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特開2024-14227荷台用ローラコンベア装置及び車両用荷台構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014227
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】荷台用ローラコンベア装置及び車両用荷台構造
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/52 20060101AFI20240125BHJP
   B65G 13/12 20060101ALI20240125BHJP
   B65G 39/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B60P1/52 A
B65G13/12
B65G39/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116901
(22)【出願日】2022-07-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年11月8日に丸周運送株式会社に荷台用ローラコンベア装置を搭載した車両を納品した。 令和4年5月12日から令和4年5月14日まで開催されたジャパントラックショー2022に展示して公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】000155573
【氏名又は名称】株式会社矢野特殊自動車
(71)【出願人】
【識別番号】514159450
【氏名又は名称】株式会社プレトライアル
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】三丸 和也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 光信
(72)【発明者】
【氏名】柴田 光市
(72)【発明者】
【氏名】上杉 毅
【テーマコード(参考)】
3F033
【Fターム(参考)】
3F033BB16
3F033BC01
3F033FA07
3F033GA06
3F033GD04
(57)【要約】
【課題】荷物を搬送するための搬送ローラを容易に昇降させるとともに、上昇時の搬送ローラが降下することを簡易的な構成で規制できる荷台用ローラコンベア装置を提供する。
【解決手段】本願発明は、ローラ本体部から支軸を突出させた複数の搬送ローラと、前記溝部に設置され前記支軸を移動可能に支持するローラシャフトガイド部を有する下側フレームと、前記下側フレームに対して荷物の搬送方向及び上下方向に移動可能に設けられた上側フレームと、前記下側フレームと前記上側フレームとの間に設けられ、前記上側フレームを、前記下側フレームに対して、前記複数の搬送ローラを前記上側フレームの天面より下側に位置させるリフトダウン位置と、前記複数の搬送ローラの一部を前記天面から突出させるリフトアップ位置とに位置決めさせる位置決め機構部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に前後方向に延伸した溝部を有する荷台に設けられる
荷物を左右方向に移動させるための荷台用ローラコンベア装置であって、
ローラ本体部から支軸を突出させた複数の搬送ローラと、
前記溝部に設置され前記支軸を移動可能に支持するローラシャフトガイド部を有する下側フレームと、
前記下側フレームに対して荷物の搬送方向及び上下方向に移動可能に設けられた上側フレームと、
前記下側フレームと前記上側フレームとの間に設けられ、前記上側フレームを、前記下側フレームに対して、前記複数の搬送ローラを前記上側フレームの天面より下側に位置させるリフトダウン位置と、前記複数の搬送ローラの一部を前記天面から突出させるリフトアップ位置とに位置決めさせる位置決め機構部と、
を備えた荷台用ローラコンベア装置。
【請求項2】
前記位置決め機構部は、前記下側フレームの底面部に立設した移動ガイド体と、前記上側フレームの天面部の裏面に垂設した上側フレーム移動体と、で構成した請求項1に記載の荷台用ローラコンベア装置。
【請求項3】
前記ローラ本体を中央部から前後端部にかけて径が漸次小さくなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の荷台用ローラコンベア装置。
【請求項4】
床面に前後方向に延伸した溝部を有する荷台に設けられる荷物を左右方向に移動させるための荷台用ローラコンベア装置を備えた車両用荷台構造であって、ローラ本体部から支軸を突出させた複数の搬送ローラと、前記床面に固定され前記支軸を移動可能に支持するローラシャフトガイド部を有する下側フレームと、前記下側フレームに対して荷物の搬送方向及び上下方向に移動可能に設けられた上側フレームと、前記下側フレームと前記上側フレームとの間に設けられ、前記上側フレームを、前記下側フレームに対して、前記複数のローラを前記上側フレームの天面より下側に位置させるリフトダウン位置と、前記複数のローラの一部を前記天面から突出させるリフトアップ位置とに位置決めさせる位置決め機構部と、を有する荷台用ローラコンベア装置を備えたことを特徴とする車両用荷台構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面に前後方向に延伸した溝部を有する荷台に設けられる荷物を左右方向に移動させるための荷台用ローラコンベア装置及び荷台用ローラコンベア装置を備えた車両用荷台構造である。
【背景技術】
【0002】
従来、荷台に設けられるローラコンベア装置は、荷台床面の前端部から後端部にかけて延伸した4列の溝内に荷物を前後方向に移動させるための荷台用ローラコンベア装置が敷設されるとともに、荷台用ローラコンベア装置が有するローラを昇降できるように構成されている。
【0003】
従来の荷台用ローラコンベア装置は、荷台内の荷物を移動させる際、ローラの一部を荷台床面から突出させることでローラに載置した荷物を荷台の前後方向に移動できる。また、従来の荷台用ローラコンベア装置は、荷物を荷台に固定する際には、ローラを荷台床面の溝内に収納して荷台床面に荷物を載置することにより、荷物が移動しにくい状態を生起できるように構成している。
【0004】
また、従来、荷台に積載される荷物(パレット)は、フォークリフトなどの荷役装置によって荷台床面に載置される。この際、荷物(パレット)は、荷役装置を複数回操作することで荷台の左右方向にそれぞれ載置される。ただし、倉庫側の搬出用間口が狭い場合、荷役装置の操作だけでは、荷台の左右にそれぞれ荷物を積載することができなかった。このように倉庫側の搬出用間口が狭い場合は、倉庫側の搬出用間口に合わせて荷台の左右いずれかの搬入口を一致させて荷役装置により荷物を荷台に搬入する、または、荷台載置後に荷物移動用の荷役装置を利用して荷台の左右いずれかに移動させる必要があった。
【0005】
このように、従来の荷台用ローラコンベア装置では、荷物の積卸し作業場の間口の広さに応じて、荷物の搬入・搬出作業の作業性が悪くなる虞があった。このような作業性の悪さを改善する手段として、特許文献1に記載の荷台用ローラコンベア装置が開示されている。
【0006】
特許文献1の荷台用ローラコンベア装置は、荷台の長さ方向に設けたコンベア列と、荷台の幅方向に設けたコンベア列と、を有し、各コンベア列が圧縮空気によりそれぞれ独立して昇降可能に構成し、荷物を移動させる際には、コンベア列のローラを圧縮空気で上昇して荷台床面から突出させるように構成している。これにより、特許文献1に記載の荷台用ローラコンベア装置は、荷台の幅方向に荷物の移動が可能となり作業場の間口の広さに容易に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6-8348号公報
【特許文献2】特開2000-44025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような荷台用ローラコンベア装置は、昇降自在のコンベア列を荷台床面の幅方向に敷設し、各コンベア列を圧縮空気により昇降自在とする構成である。このような、コンベア列の昇降手段を圧縮空気で実施する構成によれば、次のような問題がある。
【0009】
コンベア列の下部に圧縮空気を注入してコンベア列を昇降させる場合、圧縮空気を生成するためのコンプレッサーと、コンプレッサーで生成された圧縮空気をコンベア列の下部に伝達するための伝達手段(配管)を必要とするとともに、それらの設置スペースを必要としていた。このように従来の荷台用ローラコンベア装置では、圧縮空気を生成する手段および伝達する手段を設置するためのスペースが必要となり、荷台の積層スペースが狭くなる虞があった。また、コンベア列を昇降させるための種々様々な設備が必要であるため、コスト高となる傾向があった。
【0010】
また、上述したようなコンベア列のローラ昇降手段が有する問題を解消する手段として、特許文献2に記載の積込み・積卸し装置がある。
特許文献2の積込み・積卸し装置は、スライド傾斜面を有するベースフレームと、荷受け用ローラを有するローラフレームとで構成している。この積込み・積卸し装置は、ローラフレームをベースフレームの長手方向にスライド自在に構成し、ローラフレームのスライド移動にともないローラフレームに設けた荷受け用ローラがベースフレームのスライド傾斜面に沿って昇降できるよう構成している。
また、このローラフレームは、長手方向の後端部に設けた着脱自在の操作棒を有する昇降制御部によりスライド移動が制御されている。すなわち、特許文献2に記載の積込み・積卸し装置では、昇降制御部に操作棒を取付け、該操作棒を回動してローラフレームをスライド移動することにより荷受け用ローラの上昇位置、降下位置が調整される。このように構成することで、特許文献2に記載の積込み・積卸し装置では、荷受け用ローラの上昇・降下位置を機械的に制御でき、荷物の積層スペースが荷受け用ローラの制御装置により狭くなる虞を解消している。
しかしながら、特許文献2に記載の荷受け用ローラの昇降手段においては、次のような問題がある。
【0011】
コンベア列の端部に荷物搬送用ローラの昇降手段を設けて荷受け用ローラを昇降させる場合、荷受け用ローラを昇降させる際の操作棒の取付・取外し作業が必要となる。そのため、特許文献2の積込み・積卸し装置に記載の荷受け用ローラの昇降手段では、荷物を車両の幅方向に移動させる必要が生じるたびに操作棒の取付・取り外し作業が必要となり、荷受け用ローラを昇降させる際の作業性が悪いという問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、荷物を搬送するための搬送ローラを容易に昇降させるとともに、上昇時の搬送ローラが降下することを簡易的な構成で規制しつつ、荷物の搬送時において、搬送ローラの端部に荷物が接触しても搬送が阻害される虞のない荷台用ローラコンベア装置及び当該荷台用ローラコンベア装置を備えた車両用荷台構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、床面に前後方向に延伸した溝部を有する荷台に設けられる荷物を左右方向に移動させるための荷台用ローラコンベア装置であって、ローラ本体部から支軸を突出させた複数の搬送ローラと、前記床面に設置され前記支軸を移動可能に支持するローラシャフトガイド部を有する下側フレームと、前記下側フレームに対して荷物の搬送方向及び上下方向に移動可能に設けられた上側フレームと、前記下側フレームと前記上側フレームとの間に設けられ、前記上側フレームを、前記下側フレームに対して、前記複数のローラを前記上側フレームの天面より下側に位置させるリフトダウン位置と、前記複数のローラの一部を前記天面から突出させるリフトアップ位置とに位置決めさせる位置決め機構部と、を備えた荷台用ローラコンベア装置である。
【0014】
本発明の第2の態様は、前記位置決め機構部は、前記上側フレームの天面部の裏面に垂設した上側フレーム移動体と、前記下側フレームの底面部の上面に配設した移動ガイド体と、で構成した荷台用ローラコンベア装置である。
【0015】
本発明の第3の態様は、前記ローラ本体部は、中央部から前後端部にかけて径を漸次小さくしたことを特徴とする荷台用ローラコンベア装置である。
【0016】
本発明の第4の態様は、床面に前後方向に延伸した溝部を有する荷台に設けられる荷物を左右方向に移動させるための荷台用ローラコンベア装置を備えた車両用荷台構造であって、ローラ本体部から支軸を突出させた複数の搬送ローラと、前記床面に固定され前記支軸を移動可能に支持するローラシャフトガイド部を有する下側フレームと、前記下側フレームに対して荷物の搬送方向及び上下方向に移動可能に設けられた上側フレームと、前記下側フレームと前記上側フレームとの間に設けられ、前記上側フレームを、前記下側フレームに対して、前記複数のローラを前記上側フレームの天面より下側に位置させるリフトダウン位置と、前記複数のローラの一部を前記天面から突出させるリフトアップ位置とに位置決めさせる位置決め機構部と、を有する荷台用ローラコンベア装置を備えたことを特徴とする車両用荷台構造である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、床面に前後方向に延伸した溝部を有する荷台に設けられる荷物を左右方向に移動させるための荷台用ローラコンベア装置であって、ローラ本体部から支軸を突出させた複数の搬送ローラと、前記床面に設置され前記支軸を移動可能に支持するローラシャフトガイド部を有する下側フレームと、前記下側フレームに対して荷物の搬送方向及び上下方向に移動可能に設けられた上側フレームと、前記下側フレームと前記上側フレームとの間に設けられ、前記上側フレームを、前記下側フレームに対して、前記複数のローラを前記上側フレームの天面より下側に位置させるリフトダウン位置と、前記複数のローラの一部を前記天面から突出させるリフトアップ位置とに位置決めさせる位置決め機構部と、を備えた構成であるため、ローラに載置した荷物の荷重が複数の搬送ローラに分散され、いずれかの搬送ローラに局所荷重が生起されて搬送ローラの回動が阻害される虞がなく、荷物を左右方向に容易に移動できる。
【0018】
また、搬送ローラの支軸が下側フレームに設けたローラシャフトガイド部に沿って移動する構成のため、荷台の床面に荷台用ローラコンベア装置を設置できるだけのスペースがあれば荷台用ローラコンベア装置を使用でき、設置スペースを省スペース化して荷物の載置スペースを広く確保できる。
【0019】
また、リフトダウン位置とリフトアップ位置とに位置決めさせる位置決め機構部を有する構成のため、上側フレームを位置決め機構部に沿って移動させることにより、搬送ローラをローラシャフトガイド部に沿って移動させるだけの簡易な手段で上側フレームの天面部から搬送ローラの一部を容易に突出できるとともに、搬送ローラが上側フレームの天面部から突出した状態を維持でき、荷物を左右方向に安定して移動できる。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、前記位置決め機構部は、前記下側フレームの底面部に立設した移動ガイド体と、前記上側フレームの天面部の裏面に垂設した上側フレーム移動体と、で構成したことにより、上側フレーム移動体を移動ガイド体に沿って移動させるだけで搬送ローラの上下位置調整、および搬送ローラに対する上側フレームの上下位置を調整して、天面部から搬送ローラの一部を突出できる。また、上側フレーム移動体を移動ガイド体に係合させることで搬送ローラが上昇した状態を維持でき、荷物を左右方向に移動させる際、不用意に搬送ローラが降下して荷物が破損する虞を解消することができる。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、前記ローラ本体を中央部から前後端部にかけて径が漸次小さくなる構成のため、荷物移動用ローラとしての搬送ローラが上昇した状態でも荷台の前後方向に荷物を移動できる。すなわち、荷台内の荷物を前後移動させる際、荷物の下端部が搬送ローラに接触したとしても荷物が搬送ローラの傾斜面を上昇するため、搬送ローラの端部に荷物が引っ掛かり荷物の前後移動が阻害される虞がなく、スムーズに荷物を前後移動させることができる。
【0022】
本発明の第4の態様によれば、床面に前後方向に延伸した溝部を有する荷台に設けられる荷物を左右方向に移動させるための荷台用ローラコンベア装置を備えた車両用荷台構造であって、ローラ本体部から支軸を突出させた複数の搬送ローラと、前記床面に固定され前記支軸を移動可能に支持するローラシャフトガイド部を有する下側フレームと、前記下側フレームに対して荷物の搬送方向及び上下方向に移動可能に設けられた上側フレームと、前記下側フレームと前記上側フレームとの間に設けられ、前記上側フレームを、前記下側フレームに対して、前記複数のローラを前記上側フレームの天面より下側に位置させるリフトダウン位置と、前記複数のローラの一部を前記天面から突出させるリフトアップ位置とに位置決めさせる位置決め機構部と、を有する荷台用ローラコンベア装置を備えた車両用荷台構造としたことにより、荷物の積卸し作業場の間口の広さに応じて容易に荷物の搬入・搬出作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置を荷台に敷設した状態を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態にかかる搬送ローラを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は一部を切欠した斜視図である。
図4】本発明の実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置の下側フレームを示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置の上側フレームを示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置を併設した状態を示す平面図である。
図7】本発明の実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置を併設した状態を示す底面図である。
図8】本発明の実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置の作動状態を示す模式図であり、(a)は搬送ローラを収納した状態を示す図であり、(b)は搬送ローラが上昇する途中状態を示す図であり、(c)は搬送ローラを床面から突出した状態を示す図であり、(d)は搬送ローラの上面に荷物を載置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の要旨は、床面に前後方向に延伸した溝部を有する荷台に設けられる荷物を左右方向に移動させるための荷台用ローラコンベア装置であって、ローラ本体部から支軸を突出させた複数の搬送ローラと、前記床面に固定され前記支軸を移動可能に支持するローラシャフトガイド部を有する下側フレームと、前記下側フレームに対して荷物の搬送方向及び上下方向に移動可能に設けられた上側フレームと、前記下側フレームと前記上側フレームとの間に設けられ、前記上側フレームを、前記下側フレームに対して、前記複数のローラを前記上側フレームの天面より下側に位置させるリフトダウン位置と、前記複数のローラの一部を前記天面から突出させるリフトアップ位置とに位置決めさせる位置決め機構部と、を備えた荷台用ローラコンベア装置である。
【0025】
また、本発明は、前記位置決め機構部は、前記上側フレームの天面部の裏面に垂設した上側フレーム移動体と、前記下側フレームの底面部の上面に配設した移動ガイド体と、で構成したことにも特徴を有する。
【0026】
また、本発明は、前記ローラ本体の形態を中央部から前後端部にかけて径を漸次小さくしたことにも特徴を有する。
【0027】
本発明に係る荷台用ローラコンベア装置の構成について、図1から図8を参照して以下に説明する。
【0028】
本実施形態における荷台用ローラコンベア装置Rは、図1図2、および図8に示すように、荷物を搬送するための搬送ローラ1と、荷台Cの床面に設けた溝部Dに設置された下側フレーム2と、下側フレーム2に対して荷物の搬送方向と上下方向に移動可能に設けた上側フレーム3と、下側フレーム2と上側フレーム3の間に設けられ、下側フレーム2に対する上側フレーム3の位置を決定するための位置決め機構部4と、を有する。荷台用ローラコンベア装置Rは、例えば、図1に示すように、荷台C床面の後部に左右方向に複数設けた溝部Dに設置されて使用される。なお、本実施形態において溝部Dは、前後方向に伸延した4つの前後搬送用溝部D1の間に前後搬送用溝部D1に直交するように設けられている。前後搬送用溝部D1と溝部Dは、仕切板によって非連結状態としている。
【0029】
搬送ローラ1は、図3(a)ないし図3(c)に示すように、載置した荷物(パレットP)を移動させる回動自在の円筒体である。搬送ローラ1は、荷物(パレットP)を支持移送するローラ本体10と、ローラ本体10を支持するための支軸11とを有する。
【0030】
ローラ本体10は、中央部から前後端部にかけて漸次径が小さくなる略樽形状(または紡錘形状)に形成されており、ローラ本体10の略中央部に位置する支持面部10aと、支持面部10aの前後端部からローラ本体10の前後端部にかけて周面を下り傾斜状とした傾斜面部10bと、各面部の略中央部に前後方向に貫通形成した支軸挿通孔部10cを有する。
【0031】
支持面部10aは、荷台Cの左右方向に荷物(パレットP)を移動させる際、荷物(パレットP)の支持部として機能する。支持面部10aは、略同一径に形成された円筒体であり、支持面部10aの周面で荷物(パレットP)を支持できるように構成している。支持面部10aの前後端部には、傾斜面部10b,10bをそれぞれ伸延している。
【0032】
傾斜面部10bは、基端部を支持面部10aと略同径に構成し、先端部を基端部よりも小径として、全体を略円錐台状に形成している。支持面部10aと傾斜面部10bとは、滑らかに連結している。
【0033】
このように構成した搬送ローラ1は、ローラ本体10の略中央部に前後方向に貫通した支軸挿通孔部10cを有する。支軸挿通孔部10cには、ベアリングからなる軸受け10dを装着している。軸受け10dには、ローラ本体10を支持するための円柱状の支軸11を挿通している。これにより、ローラ本体10は、支軸11に回動自在に支持されている。支軸11の前後端部は、下側フレーム2に支持されている。
【0034】
下側フレーム2は、図4に示すように、互いに平行な前側壁部20および後側壁部21と、前側壁部20および後側壁部21の一側(下側)の端部同士を繋ぐ部分である底面部22とを有する。下側フレーム2は、前側壁部20、後側壁部21、および底面部22により、全体として上方を開口状に形成した略「コ」字状に構成している。
【0035】
下側フレーム2を構成する前側壁部20、後側壁部21、および底面部22の各部は、いずれも矩形板状の外形を有する。下側フレーム2を構成する前側壁部20および後側壁部21は、対向する位置にローラガイド部23を複数有する。
【0036】
ローラガイド部23は、前側壁部20および後側壁部21の長手方向に一定間隔離間して複数設けられている。ローラガイド部23は、荷台床面に対する搬送ローラ1の上下位置を調整するために機能する部分であり、搬送ローラ1を荷台床面より下側に位置させるリフトダウン部23aと、搬送ローラ1の一部を荷台床面から突出させるリフトアップ部23cと、リフトダウン部23aとリフトアップ部23cとを滑らかに繋ぐスライド傾斜部23bと、を有する。
【0037】
リフトダウン部23aおよびリフトアップ部23cは、図4および図8に示すように、ローラガイド部23の左側にリフトダウン部23aを配設し、右側にリフトアップ部23cを設けている。リフトダウン部23aおよびリフトアップ部23cはいずれも円弧状に形成されており、その円弧径は、支軸11よりも大径に形成している。なお、本実施形態においては、支軸11の径の約2倍に形成している。
【0038】
スライド傾斜部23bは、リフトダウン部23aからリフトアップ部23cにかけてリフトダウン部23a側から順に上り傾斜面部23b1、頂部23b2、および下り傾斜面部23b3を有しており、各部は滑らかに連結している(図8(a)参照)。
【0039】
上り傾斜面部23b1は、水平面に対して傾斜した直線状の上り斜面である。本実施形態において上り傾斜面部23b1は、水平面に対して約60度傾斜している。
頂部23b2は、上り傾斜面部23b1と下り傾斜面部23b3を連結した円弧状の部分であり、その円弧径は、支軸11よりも小径に構成している。なお、本実施形態においては、頂部23b2は、支軸11の約2/3倍の径に形成している。このように、頂部23b2の径を支軸11よりも小径とすることにより、支軸11が頂部23b2を乗り越えやすくしている。
【0040】
下り傾斜面部23b3は、水平面に対して傾斜した直線状の下り斜面である。本実施形態において、下り傾斜面部23b3は、水平面に対して20度傾斜している。
【0041】
このように形成されたローラガイド部23,23には、搬送ローラ1のローラ本体10を支持する支軸11を架設している。すなわち、ローラガイド部23のリフトダウン部23aとスライド傾斜部23bとリフトアップ部23cの各部に支軸11が支持されながら移動することにより、支軸11に支持されたローラ本体10の上下位置を容易に変更できる。
【0042】
また、頂部23b2とリフトアップ部23cを下り傾斜面部23b3で連結する構成により、搬送ローラ1のローラ本体10の一部が後述する上側フレーム3の天面部32から突出したリフトアップ位置から、上側フレーム3の天面部32と下側フレーム2の底面部22との間に収納されるリフトダウン位置に変位することが阻害される。すなわち、リフトアップ部23cと下り傾斜面部23b3とが傾斜状に連結されていることにより、支軸11がリフトアップ位置からリフトダウン位置に変位するに際して、下り傾斜面部23b3の斜面を上昇する必要がある。この下り傾斜面部23b3が支軸11のリフトアップ位置からリフトダウン位置への変位を阻害することで搬送ローラ1をリフトアップ位置に留め置くことができる。
【0043】
このように構成した前後側壁面部20,21は、その下端部を底面部22に連結固定している。底面部22は、図7に示すように、後述する位置決め機構部4の移動ガイド体40を固定するための移動体固定孔部24を有する。
【0044】
移動体固定孔部24は、前後側壁面部20,21に設けた複数のローラガイド部23のうち、左右端部に位置するローラガイド部231,237と、ローラガイド部231,237に隣接したローラガイド部232,236との間に位置する底面部22にそれぞれ設けられている。
なお、本実施形態において、移動体固定孔部24,24はそれぞれ3箇所設けられており、その配置は、二等辺三角形状となるように配置されている。
【0045】
また、前後側壁面部20,21の左右端部には、図4に示すように、前後側面部20,21の上端部を連結するスライド表示部26を有する。スライド表示部26は、矩形板状に形成されており、前後側壁面部20,21に前後端部を溶接固定している。これにより、前後側壁面部20,21を変態しにくく構成している。前後側壁面部20,21の左右端部に設けたスライド表示部26のうち、図4の左側に位置するスライド表示部26の上面には、上側フレーム3がスライド移動したことを報知するための報知テープ26aを貼付している。報知テープ26aは、スライド表示部26の上面全体を覆うように貼付されており、本実施形態においては、赤色に着色されたテープを貼付している。
【0046】
このようにスライド表示部26に報知テープ26aを貼付することで、上側フレーム3を下側フレーム2に沿ってスライド移動した際には、報知テープ26aが視認できる状態となり、搬送ローラ1のローラ本体10の一部が上側フレーム3から突出した状態であることを作業者に報知できる。
【0047】
このように構成した下側フレーム2の上方には、下側フレーム2に対して荷物の搬送方向及び上下方向に移動可能とする上側フレーム3を配設している。
【0048】
上側フレーム3は、図5に示すように、互いに平行な前側壁部30および後側壁部31と、前側壁部30および後側壁部31の一側(上側)の端部同士を繋ぐ部分である天面部32とを有する。上側フレーム3は、前側壁部30、後側壁部31、および天面部32により、全体として下側を開口状とした略「コ」字状に構成されている。
【0049】
上側フレーム3を構成する前側壁部30、後側壁部31、および天面部32の各部は、いずれも矩形板状の外形を有する。上側フレーム3は、下側フレーム2に覆い被せた状態において、下側フレーム2の前後側壁面部20,21の外側に上側フレーム3の前後側壁面部30,31が位置するように構成している。すなわち、上側フレーム3の前後幅員が下側フレーム2の前後幅員よりも大きく形成されており、下側フレーム2が上側フレーム3に収納されている。
また、上側フレーム3を構成する前側壁部30および後側壁部31は、対向する位置に上下ガイド孔部33を有する。
【0050】
上下ガイド孔部33は、上下方向を長手方向とする長穴に形成されており、前側壁部30および後側壁部31の長手方向に複数設けられている。上下ガイド孔部33は、左右幅員を支軸11の直径よりもやや大きく形成しており、支軸11が上下動自在に遊嵌されている。これにより、搬送ローラ1は、上側フレーム3に対する左右方向への移動が上下ガイド孔部33で規制され、上側フレーム3の移動に追従して左右方向に移動できる。すなわち、上側フレーム3と搬送ローラ1とは、下側フレーム2の長手方向に沿って同時に移動できる。この際、搬送ローラ1は、支軸11が下側フレーム2のローラガイド部23に沿って移動することにより、上側フレーム3とは独立して上下に変位できる。
【0051】
天面部32は、図5に示すように、搬送ローラ1のローラ本体10に対応する位置に設けたローラ昇降孔部32aと、略中央部に穿設したスライドガイド棒挿通孔部32bと、を有する。
【0052】
ローラ昇降孔部32aは、平面視において略矩形状に穿設している。ローラ昇降孔部32aは、前後長をローラ本体10の前後長よりも長く形成し、左右幅員をローラ本体10の直径よりも短く形成している。これにより、搬送ローラ1の支軸11がローラガイド部23のリフトアップ部23cに移動した状態において、ローラ本体10の一部がローラ昇降孔部32aから荷台の床面に突出し、荷物を搬送可能な状態に変位できる。
なお、本実施形態において、リフトアップ部23cに支軸11が移動した際のローラ本体10の荷台床面に対する突出長は約3mmに設定している。
【0053】
また、ローラ本体10の一部を荷台床面に突出したリフトアップ位置において、傾斜面部10bの前後端部が天面部32から突出しないように構成している。
すなわち、図8(d)に示すように、搬送ローラ1をリフトアップ位置(支軸11をリフトアップ部23c)に変位した状態において、傾斜面部10bの端部(ローラ本体10の前後端部)が上側フレーム3に収納された構成とすることにより、搬送ローラ1がリフトアップ位置であっても、荷台Cの前後方向に荷物(パレットP)を移動した際、搬送ローラ1の端部に荷物(パレットP)が引っ掛かることなく荷台Cの前後方向に移動できる。
【0054】
スライドガイド棒挿通孔部32bは、天面部32の略中央部に略円形に穿設されている。上側フレーム3は、スライドガイド棒挿通孔部32bにスライドガイド棒を挿通し、スライドガイド棒を左右いずれかの方向に移動することで、スライドガイド棒の移動方向に移動させられる。このようにスライドガイド棒をスライドガイド棒挿通孔部32bに挿通して左右いずれかの方向に移動するだけで上側フレーム3が左右方向に移動し、この上側フレーム3の移動に連動して下側フレーム2のローラガイド部23に沿って搬送ローラ1の上下位置を容易に変位させることができる。なお、本実施形態において、スライドガイド棒の移動量はおよそ10mmとし、その時の搬送ローラ1の上下位置変位は3mmに設定している。
【0055】
また、本実施形態における荷台用ローラコンベア装置Rを構成する下側フレーム2および上側フレーム3は、下側フレーム2に対する上側フレーム3のスライド移動が位置決め機構部4により制御されている。
【0056】
位置決め機構部4は、図4および図5に示すように、下側フレーム2の底面部22に立設した移動ガイド体40と、上側フレーム3の天面部32の裏面に垂設した上側フレーム移動体41と、を有する。上側フレーム3は、移動ガイド体40と上側フレーム移動体41との係合により、下側フレーム2に対して上下変位しながら左右方向に移動できる。
【0057】
移動ガイド体40は、下側フレーム2の底面部22に設けた移動体固定孔部24の上面に配設している。移動ガイド体40は、互いに平行な前側壁部42および後側壁部43と、前側壁部42および後側壁部43の一側(下側)の端部同士を繋ぐ部分である底面部44により、全体として略「コ」字状に構成されている。
【0058】
移動ガイド体40を構成する前側壁部42、後側壁部43、および底面部44の各部は、いずれも板状の外形を有する。移動ガイド体40を構成する前側壁部42および後側壁部43は、対向する位置に移動シャフトガイド溝部45を有する。
【0059】
移動シャフトガイド溝部45は、図4に示すように、下側フレーム2と上側フレーム3の間に搬送ローラ1が収納される位置に上側フレーム3を配置するシャフト係止部45aと、下側フレーム2に対して上下変位しながら上側フレーム3を移動させる移動傾斜面部45bと、搬送ローラ1のローラ本体10の一部がローラ昇降孔部32aから突出した状態を維持するための移動規制溝部45cを有する。移動シャフトガイド溝部45は、シャフト係止部45a、移動傾斜面部45b、および移動規制溝部45cにより、上側フレーム3の左右移動および上下移動を制御している。
【0060】
移動シャフトガイド溝部45は、ローラガイド部23のリフトダウン部23aからリフトアップ部23cに向かう方向の順にシャフト係止部45a、移動傾斜面部45b、移動規制溝部45cを有する。
【0061】
シャフト係止部45aは、正面視において、円弧状に形成された凹状部であり、移動傾斜面部45bに滑らかに連結している。
【0062】
移動傾斜面部45bは、シャフト係止部45aから移動規制溝部45cに向かうに連れて上り傾斜状に形成されている。また、図8(a)に示すように、シャフト係止部45aの最下端部45a1から移動傾斜面部45bの頂部45b1までの左右変位量Mと、リフトダウン部23aの最下端部23a1からスライド傾斜部23bの頂部23b4までの左右変位量mとは略同一に構成している。すなわち、搬送ローラ1と上側フレーム3とは、上側フレーム3がスライド移動した際、同一のタイミングでそれぞれ最上部(頂部45b1、頂部23b4)に到達し、同一のタイミングでそれぞれ降下動作を開始する。これにより、上側フレーム3を移動させる際、スライドガイド棒にかかる負荷を一定にできる。
【0063】
仮に、上側フレーム3を移動させるための負荷が途中で変動する場合(負荷が大きくなる場合)、上昇した負荷に応じてスライドガイド棒を移動させる力を大きくする必要がある。本実施形態における移動ガイド体40やローラガイド部23のように左右への移動距離が短い場合、スライドガイド棒を移動させる力を移動途中で上昇させると、ローラ本体10を支持する支軸11がリフトダウン部23aやリフトアップ部23cの垂直部23a2,23c2に接触、または上側フレーム移動体41の移動シャフト49がシャフト係止部45aや移動規制溝部45cの垂直部45a2,45c1に接触して支軸11、移動シャフト49を破損する虞を生じる。
本実施形態においては、スライドガイド棒にかかる負荷を略一定とすることにより、支軸11および移動シャフト49が各垂直部23a2,23c2,45a2,45c1と接触して破損する虞を可及的に低減している。
【0064】
移動規制溝部45cは、移動傾斜面部45bに滑らかに連結している。移動規制溝部45cは、移動傾斜面部45bから底面部44まで垂直に伸延した直線状の溝部である。移動規制溝部45cは、後述する移動シャフト49の直径よりもやや大きい幅に形成している。これにより、移動シャフト49は、上下動自在で左右方向への移動がし辛いように移動規制溝部45cに遊嵌されている。
【0065】
底面部44は、移動ガイド体40を底面部22に固定するために機能する部分である。底面部44には、下側フレーム2の底面部22に設けた移動体固定孔部24に対応する箇所に締結孔部を穿設している。移動ガイド体40は、締結孔部を介してボルトやネジ等の締結手段により下側フレーム2の移動体固定孔部24に締結されている。このように構成された移動ガイド体40には、上側フレーム移動体41を係合している。
【0066】
上側フレーム移動体41は、互いに平行な前側面部46および後側面部47と、前側面部46および後側面部47の一側(上部側)の端部同士を繋ぐ部分である上面部48により、全体として略「コ」字状に構成されている。
【0067】
上側フレーム移動体41を構成する前側面部46、後側面部47および上面部48の各部は、いずれも矩形板状の外形を有する。上側フレーム移動体41を構成する前側面部46および後側面部47には、中実の円柱体である移動シャフト49を架設している。移動シャフト49は、移動ガイド体40の移動シャフトガイド溝部45に遊嵌している。
【0068】
前側面部46および後側面部47の上端部に架設した上面部48は、上側フレーム3に固定するための孔部を有する。
上側フレーム移動体41は、上側フレーム3の天面部32に穿設した固定孔部にボルトやネジ等の締結手段を挿通し、これらの締結手段を上面部48の孔部に螺合することで上側フレーム3に固定されている。すなわち、上側フレーム3と上側フレーム移動体41とは、締結手段で固定することにより一体に構成している。
【0069】
位置決め機構部4は上述のように構成されており、上側フレーム3に垂設した上側フレーム移動体41の移動シャフト49を下側フレーム2に立設した移動ガイド体40の移動シャフトガイド溝部45に沿って移動させることにより、搬送ローラ1の昇降状態を制御できる。すなわち、移動ガイド体40と上側フレーム移動体41を係合させることにより、上側フレーム3は、下側フレーム2に沿って左右方向に移動できるとともに、下側フレーム2に対する上側フレーム3の上下位置を調整することができる。
【0070】
本実施形態における荷台用ローラコンベア装置Rは、上述したように構成されており、図1に示すように、荷物としてのパレットPの幅員と略同一幅となる位置に設けられた溝部Dに配設されている。
【0071】
[荷台用ローラコンベア装置の使用方法]
このように構成した荷台用ローラコンベア装置Rを用いて荷物を左右方向に移動させる手順について図8(a)~(d)を参照して説明する。図8は、荷台用ローラコンベア装置Rの動作を示す模式図である。
【0072】
荷台用ローラコンベア装置Rを使用しない状態において上側フレーム3の左端部は、図8(a)に示すように、下側フレーム2の左端部と略同一の位置に位置する。この際、上側フレーム移動体41の移動シャフト49は移動ガイド体40のシャフト係止部45aに位置し、搬送ローラ1の支軸11は、リフトダウン部23aに位置している。この状態において、搬送ローラ1は、下側フレーム2と上側フレーム3の間に収納されている。
【0073】
次に、図8(b)に示すように、スライドガイド棒をスライドガイド棒挿通孔部32bに挿通し、スライドガイド棒を右方向に移動することにより、移動シャフト49が移動傾斜面部45bに沿って上昇する。
この際、移動シャフト49の上昇動作と連動して上側フレーム3も上昇する。なお、搬送ローラ1は、下側フレーム2のスライド傾斜部23bに支軸11が支持されているため、上側フレーム3から独立して上昇動作する。また、支軸11の上昇変位量は、移動シャフト49の上昇変位量よりも小さくしており、上側フレーム3の左右方向への移動中に搬送ローラ1のローラ本体10の一部が天面部32から突出しないように構成している。
【0074】
次に、図8(c)に示すように、スライドガイド棒をさらに右方向に移動して上側フレーム3を図8(b)の状態から右方向に移動すると、移動シャフト49が移動傾斜面部45bの頂点を越えて移動規制溝部45cに嵌入する。
この際、上側フレーム3は、移動シャフト49の降下動作と同時に降下動作を開始し、その後、上下ガイド孔部33に架設した支軸11に支持される。これにより、天面部32のローラ昇降孔部32aから搬送ローラ1のローラ本体10の支持面部10aが突出してパレットPを支持搬送可能な状態となる。
【0075】
このように、本実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置Rは、上側フレーム3が移動シャフトガイド溝部45に沿って上下変位しながら左右方向に移動する。これにより、搬送ローラ1のローラ本体10の支持面部10aを荷台Cの床面より上方に突出し、支持面部10aの上面にパレットPを載置した状態において、搬送ローラ1がリフトダウン位置に変位することが規制される。
この搬送ローラ1のリフトアップ位置からリフトダウン位置への変位を規制する手段について、以下に説明する。
【0076】
[上側フレーム3の移動規制手段]
搬送ローラ1をリフトアップ位置に位置した状態において、図8(d)に示すように、パレットPの下面と上側フレーム3の天面部32との間隔を符号tとし、移動規制溝部45cに嵌入した移動シャフト49の最下部と移動傾斜面部45bの頂部との間隔を符号Tとする。この符号tおよび符号Tは、t<Tの関係を有する。
【0077】
上記条件を前提として、上側フレーム3が、リフトアップ位置からリフトダウン位置に変位する場合を想定する。上側フレーム3は、リフトアップ位置からリフトダウン位置に変位する際、移動規制溝部45cに嵌入した移動シャフト49が移動傾斜面部45bに沿って上昇する。
この際、間隔tと間隔Tはt<Tの関係であることから、移動シャフト49が移動傾斜面部45bの頂部に到達する前に上側フレーム3の天面部32がパレットPの下面に接触する。
そのため、上側フレーム3は、搬送ローラ1にパレットPを載置した状態において、パレットPの下面が天面部32と干渉することで移動シャフト49の最下端部が移動傾斜面部45bの頂部を越えることができず、移動シャフト49がシャフト係止部45aに移動することが規制される。すなわち、リフトアップ位置に移動した上側フレーム3は、搬送ローラ1に載置したパレットPが障害となってリフトアップ位置からリフトダウン位置への変位が規制される。したがって、パレットPを搬送ローラ1に載置した状態でパレットPを左方向に移動しても、上側フレーム3がリフトアップ状態からリフトダウン状態に変位する虞がなく安定した荷役作業を実現できる。
【0078】
このように本実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置Rは、シャフト係止部45aの最下端部45a1から移動傾斜面部45bの頂部45b1までの左右変位量Mと、リフトダウン部23aの最下端部23a1からスライド傾斜部23bの頂部23b1までの左右変位量mを略同一とする構成により、搬送ローラ1の昇降動作を略一定の力で実施でき、搬送ローラ1の支軸11や移動シャフト49に負荷がかかる虞を低減して省メンテナンス性を実現できる。
【0079】
また、本実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置Rは、搬送ローラ1の支軸11をローラガイド部23で支持し、上側フレーム3の上下ガイド孔部33に支軸11を挿通した構成により、上側フレーム3を左右移動させるだけの簡単な操作で搬送ローラ1を昇降できる。
【0080】
また、本実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置Rは、搬送ローラ1をリフトアップ位置に設けた場合において、搬送ローラ1の前後端部を天面部32から上方に突出させない構成により、搬送ローラ1を上昇した状態でも搬送ローラ1の前後端部に荷台Cの前後方向にパレットPを移動させることができる。
【0081】
また、本実施形態にかかる荷台用ローラコンベア装置Rは、パレットPの下面と上側フレーム3の天面部32との間隔tと、移動規制溝部45cに嵌入した移動シャフト49の最下部と移動傾斜面部45bの頂部との間隔Tをt<Tの関係としたことにより、搬送ローラ1の上面にパレットPを載置した状態において、搬送ローラ1がリフトアップ位置の状態からリフトダウン位置の状態に変位することが載置したパレットPによって規制されてパレットPまたはパレットPに載置した荷物が傷つく虞を可及的に低減できる。
【0082】
[変形例]
本実施形態における荷台用ローラコンベア装置Rは、溝部Dに配設することでパレットPを荷台Cの左右方向に容易に移動できる。各溝部Dに配設される荷台用ローラコンベア装置Rは、1つの溝部Dに対して1台設置するだけに限らず、2台併設していてもよい。1つの溝部Dに対して併設する荷台用ローラコンベア装置R´の構成について以下に説明する。なお、荷台用ローラコンベア装置Rと同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
荷台用ローラコンベア装置R´は、溝部Dの後側に配設した荷台用ローラコンベア装置R1と、溝部Dの前側に配設した荷台用ローラコンベア装置R2と、各コンベア装置の下側フレーム2,2の位置関係を一定とするために各コンベア装置の底面部22,22に架設した下フレーム連結板材5と、各コンベア装置の上側フレーム3,3を一体に移動させるために天面部32,32に架設した上フレーム連結板材6と、を有する。
【0084】
荷台用ローラコンベア装置R1は、荷台用ローラコンベア装置Rと同様に下側フレーム2および上側フレーム3を有する。
下側フレーム2は、下フレーム連結板材5を固定するために底面部22に穿設した連結板材固定孔部25と、後側壁部21に略方形状に穿設した下部固定孔部27と、下部固定孔部27近傍の底面部22から前方に突出した係合部28と、を有する。
【0085】
連結板材固定孔部25は、ローラガイド部232とローラガイド部233との間、またはローラガイド部235とローラガイド部236との間の底面部22に穿設している。
【0086】
下部固定孔部27は、連結板材固定孔部25近傍の後側壁部21下部に穿設している。
係合部28は、平面視略方形状に形成されており、一部を前方に突出した突片部28aを有する。
【0087】
上側フレーム3は、後側壁部31に略方形状に穿設した上部固定孔部34と、上部固定孔部34近傍の天面部32から前方に突出した係合部35と、を有する。
上部固定孔部34は、下部固定孔部27と対向する位置に穿設されている。係合部35は、平面視略方形状に形成されており、一部を前方に突出した突片部35aを有する。
【0088】
荷台用ローラコンベア装置R2は、荷台用ローラコンベア装置Rと同様に下側フレーム2および上側フレーム3を有する。
下側フレーム2は、下フレーム連結材5を固定するために底面部22に穿設した連結板材固定孔部25と、前側壁部20に略方形状に穿設した下部固定孔部27と、下部固定孔部27近傍の底面部22から後方に突出した係合部28と、を有する。
【0089】
連結板材固定孔部25は、ローラガイド部232とローラガイド部233との間、またはローラガイド部235とローラガイド部236との間の底面部22に穿設している。
【0090】
下部固定孔部27は、補強板体固定孔部25近傍の前側壁部20下部に穿設している。
係合部28は、平面視略方形状に形成されており、一部を前方に突出した突片部28aを有する。
【0091】
上側フレーム3は、前側壁部30に略方形状に穿設した上部固定孔部34と、上部固定孔部34上部の天面部32から後方に突出した係合部35と、を有する。
上部固定孔部34は、下部固定孔部27と対向する位置に穿設されている。
係合部35は、平面視略方形状に形成されており、一部を後方に突出した突片部35aを有する。
【0092】
上述したように荷台用ローラコンベア装置R1,R2は形成されており、下部固定孔部27,27には、下フレーム連結板材5を挿通し、上部固定孔部34,34には、上フレーム連結板材6を挿通している。
下フレーム連結板材5は、矩形板状に形成されており、その前後長を荷台用ローラコンベア装置R1の後側壁部21と荷台用ローラコンベア装置R2の前側壁部20とを直線状に結んだ長さと略同一長に形成している。
下フレーム連結板材5は、下部固定孔部27,27に挿通して荷台用ローラコンベア装置R1,R2の底面部22,22に載置した状態において、補強板体固定孔部25に対応する位置に上下に貫通した孔部を有する。
下フレーム連結板材5は、底面部22の裏面から補強板体固定孔部25にネジなどの締結部材を挿通し、締結部材の先端側を孔部に螺合することで底面部22に固定されている。
【0093】
このように各フレーム2,2を底面部22,22に固定した下フレーム連結板材5で連結固定することにより、併設した荷台用ローラコンベア装置R1と荷台用ローラコンベア装置R2の下側フレーム2,2の前後左右の位置関係を一定にできる。
【0094】
上フレーム連結板材6は、図6に示すように、前部6aと後部6b、および前部6aと後部6bを斜めに連結する傾斜部6cとを有する。前部6a、後部6b、および傾斜部6cは、いずれも矩形板状に形成されている。
上フレーム連結板材6は、前部6aを荷台用ローラコンベア装置R2の天面部32に固定し、後部6bを荷台用ローラコンベア装置R1の天面部32に固定している。上フレーム連結板材6の前後長は、荷台用ローラコンベア装置R1の後側壁部31と荷台用ローラコンベア装置R2の前側壁部30とを直線状に結んだ長さと略同一長に構成している。
上フレーム連結板材6は、上下に貫通した孔部を複数有する。上フレーム連結板材6は、ネジ等の締結部材を天面部32の上方から挿通し、締結部材の先端部を孔部に螺合することにより上側フレーム3に固定されている。
【0095】
このように荷台用ローラコンベア装置R1とR2は、各天面部32,32の前後方向に突設した係合部35,35を係合しつつ、係合部35,35の裏面を各天面部32,32に固定した上フレーム連結板材6で支持することにより、荷台用ローラコンベア装置R1およびR2が一体となって移動できる。すなわち、荷台用ローラコンベア装置R´は、荷台用ローラコンベア装置R1,R2のうちいずれか一方の上側フレーム3を左右方向に移動するだけで一方の上側フレーム3の動きに連動して他方の上側フレーム3も左右方向に同時に移動できる。
【0096】
このように荷台用ローラコンベア装置R´は、荷台用ローラコンベア装置Rと同様に1つの操作で各荷台用ローラコンベア装置R1,R2を同時に移動でき、操作性を変えることなくパレットPの支持箇所を増加して荷台Cの左右方向にパレットPを安定した状態で移動できる。
【0097】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したリ組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0098】
1 搬送ローラ
2 下側フレーム
3 上側フレーム
4 位置決め機構部
5 下フレーム連結板材
6 上フレーム連結板材
10 ローラ本体
11 支軸
20 前側壁部
21 後側壁部
22 底面部
23 ローラガイド部
24 移動体固定孔部
25 補強板体固定孔部
26 スライド表示部
27 下部固定孔部
28 係合部
30 前側壁部
31 後側壁部
32 天面部
33 上下ガイド孔部
34 上部固定孔部
35 係合部
40 移動ガイド体
41 上側フレーム移動体
45 移動シャフトガイド溝部
49 移動シャフト
P パレット
D 溝部
t,T 間隔
R,R´,R1,R2 荷台用ローラコンベア装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8