(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142270
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】樹脂組成物および保護膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/027 20060101AFI20241003BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20241003BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G03F7/027
H05K3/28 C
G03F7/027 515
G06F3/041 460
G06F3/041 495
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054400
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】入澤 宗利
(72)【発明者】
【氏名】南 佳苗
【テーマコード(参考)】
2H225
5E314
【Fターム(参考)】
2H225AC32
2H225AC35
2H225AC54
2H225AC74
2H225AD06
2H225AM23P
2H225AM32P
2H225AN38P
2H225CA14
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
5E314AA27
5E314AA32
5E314AA41
5E314AA45
5E314BB02
5E314BB11
5E314CC01
5E314CC15
5E314EE01
5E314EE03
5E314FF05
5E314FF06
5E314FF19
5E314GG01
5E314GG11
(57)【要約】
【課題】新規な組成物を提供する。
【解決手段】組成物を、(A)酸基を有するポリマー、(B)光重合開始剤、(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物、及び(D)エポキシ(メタ)アクリレートを含有する組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸基を有するポリマー、(B)光重合開始剤、(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物、及び(D)エポキシ(メタ)アクリレートを含有する組成物。
【請求項2】
(A)酸基を有するポリマー、(B)光重合開始剤、(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物、及び(D)エポキシ(メタ)アクリレートを含有する組成物であり、
(A)酸基を有するポリマーの重合成分が、メチルメタクリレートを60質量%以上含み、
(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物が、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールのジ(メタ)アクリレートを含み、
(D)エポキシ(メタ)アクリレートが、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを含み、
(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物の割合が、(A)酸基を有するポリマー
100質量部に対して5質量部以上であり、
(D)エポキシ(メタ)アクリレートの割合が、(A)酸基を有するポリマー100質量部に対して5質量部以上であり、
(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物の割合が、(D)エポキシ(メタ)アクリレート1質量部に対して0.1~10質量部である、組成物。
【請求項3】
タッチパネルの保護膜用である、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
基材上に、請求項1又は2記載の組成物からなる樹脂層を積層し、該樹脂層に対して露光を行い、非露光部をアルカリ現像液によって除去して該基材上に保護膜を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物[例えば、タッチパネル保護膜用等に使用しうる樹脂組成物(感光性樹脂組成物)]、および該樹脂組成物を用いた膜(例えば、タッチパネル用電極保護膜)の形成方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ノートPC、OA機器、医療機器、あるいはカーナビゲーションシステム等の電子機器においては、これらのディスプレイに入力手段としてタッチパネルセンサーが広く用いられている。
【0003】
タッチパネルセンサーには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、抵抗膜方式、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等があり、上記したディスプレイ用途においては抵抗膜方式と投影型静電容量方式が好適に利用されている。抵抗膜方式のタッチパネルセンサーは、支持体上に光透過性導電層を有する光透過性電極を2枚利用し、これら光透過性電極を、ドットスペーサーを介して対向配置した構造を有しており、タッチパネルセンサーの1点に力を加えることにより光透過性導電層同士が接触し、各光透過性導電層に印加された電圧をもう一方の光透過性導電層を通して測定することで、力の加えられた位置の検出を行うものである。一方、投影型静電容量方式のタッチパネルセンサーは、2層の光透過性導電層を有する光透過性電極を1枚、または1層の光透過性導電層を有する光透過性電極を2枚利用し、指等を接近させた際の光透過性導電層間の静電容量変化を検出し、指を接近させた位置の検出を行うものである。後者は可動部分がないため耐久性に優れる他、多点同時検出ができることから、スマートフォンやタブレットPC等で、とりわけ広く利用されている。
【0004】
投影型静電容量方式のタッチパネルセンサーにおいては、支持体上に光透過性導電層をパターニングすることで得られた複数のセンサーからなるセンサー部を配することで、多点同時検出や移動点の検出を可能にしている。このセンサー部が検出した静電容量の変化を電気信号として外部に取り出すため、光透過性電極が有する全てのセンサーと、外部に電気信号を取り出すために設けられる複数の端子からなる端子部との間には、これらを電気的に接続する複数の周辺配線からなる周辺配線部が設けられる。通常、前述した光透過性導電層はディスプレイ上に位置し、周辺配線部や端子部はディスプレイの外、いわゆる額縁部に位置する。従来技術においては、光透過性導電層はインジウム-錫酸化物(ITO)導電膜により形成されるのが一般的であり、周辺配線部や端子部は、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属により形成されるのが一般的である。
【0005】
このようなタッチパネルセンサーは、指先が接触する際に水分や塩分などの腐食成分が付着すると、光透明性導電層や金属配線が腐食して、電気抵抗の増加や断線する問題があった。そのような光透明性導電層や金属配線の腐食を防ぐために、タッチパネルセンサーに硬化した感光性樹脂層を保護膜として有する投影型タッチパネルセンサーが開示されている(例えば特許文献1、2)。
【0006】
また、タッチパネルの製造工程においては、タッチパネルが湾曲したり、搬送ロールと接触したりして負荷がかかることがある。特に、タッチパネル用電極基材としてフレキシブル性を有する樹脂フィルム基材を用いたタッチパネルセンサーにおいては、該タッチパネルセンサーの湾曲に伴い保護膜への負荷も大きくなり、剥がれや亀裂が生じる場合がある。そのため、ITO基材、金属基材と密着性が高く湾曲に耐えることが可能な保護膜が求められている。例えば、特開2019-207321号公報(特許文献3)には、現像後の露光後膜の導体基材との密着性および膜強度が良好な感光性樹脂組成物として、(A)特定の酸性基を有するアルカリ可溶性重合体、(B)特定の光重合性化合物および(C)光重合性開始剤を含有する感光性樹脂組成物が記載されている。しかしながら、上記した水分や塩分などの腐食成分に対する耐性、いわゆる耐汗性と、金属基材およびITO基材に対する密着性のバランスに優れた保護膜を得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2013/84883号パンフレット
【特許文献2】特開2018-77490号公報
【特許文献3】特開2019-207321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、新規な(例えば、保護膜等を形成するのに有用な)樹脂組成物(感光性樹脂組成物)を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、優れた耐汗性(水分や塩分等の腐食成分に対する耐性)を実現(発現)しうる樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、基材[例えば、金属(銅等)、金属酸化物(ITO等)等の無機系基材)]に対して優れた密着性を実現(発現)しうる樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、耐汗性と基材[例えば、金属(銅等)、金属酸化物(ITO等)等の無機系基材)]に対する密着性とを、バランスよく両立しうる樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の成分を組み合わせることで、新規な組成物(感光性樹脂組成物)が得られること、そして、このような組成物によれば、一態様として、優れた耐汗性や、基材(例えば、銅やITO等の基材)に対して優れた密着性を実現(発現)しうること、また、別の態様では、このような耐汗性と基材に対する密着性とをバランスよく両立しうること等を見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
(A)酸基を有するポリマー、(B)光重合開始剤、(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物、及び(D)エポキシ(メタ)アクリレートを含有する組成物。
[2]
(A)酸基を有するポリマーが、メタクリレートを重合成分とするポリマーである[1]記載の組成物。
[3]
(A)酸基を有するポリマーの重合成分が、メチルメタクリレートを60質量%以上含む、[1]又は[2]記載の組成物。
[4]
(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物が、(メタ)アクリレート(化合物)である、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
(D)エポキシ(メタ)アクリレートが、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを含む、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]
(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物の割合が、(A)酸基を有するポリマー
100質量部に対して3質量部以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
(D)エポキシ(メタ)アクリレートの割合が、(A)酸基を有するポリマー100質量部に対して3質量部以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]
(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物の割合が、(D)エポキシ(メタ)アクリレート1質量部に対して0.05~20質量部である、[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]
(A)酸基を有するポリマー、(B)光重合開始剤、(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物、及び(D)エポキシ(メタ)アクリレートを含有する組成物であり、
(A)酸基を有するポリマーの重合成分が、メチルメタクリレートを60質量%以上含み、
(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物が、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールのジ(メタ)アクリレートを含み、
(D)エポキシ(メタ)アクリレートが、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを含み、
(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物の割合が、(A)酸基を有するポリマー
100質量部に対して5質量部以上であり、
(D)エポキシ(メタ)アクリレートの割合が、(A)酸基を有するポリマー100質量部に対して5質量部以上であり、
(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物の割合が、(D)エポキシ(メタ)アクリレート1質量部に対して0.1~10質量部である、組成物。
[10]
タッチパネルの保護膜用である、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]
支持体(PET等の樹脂フィルム)とこの支持体上に積層された樹脂層とを備えた積層体であって、樹脂層が[1]~[10]のいずれかに記載の組成物で構成されている積層体。
[12]
さらに、樹脂層上にカバーフィルムを備えている、[11]記載の積層体。
[13]
基材と、この基材上に形成された保護膜(保護層、樹脂層)とを備えた基材であって、保護膜が[1]~[9]のいずれかに記載の組成物(組成物の硬化物(光))で形成されている保護基材。
[14]
基材が、銅及びITOから選択された少なくとも1種を含む金属層を備えた電極基材である、[13]記載の保護基材。
[15]
タッチパネルの部材(又はタッチパネル)である、[13]又は[14]記載の保護基材。
[16]
基材上に、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物からなる樹脂層を積層し(貼り付け)、該樹脂層に対して露光(像様に露光)を行い、非露光部をアルカリ現像液によって除去して該基材上に保護膜[開口部(非露光部に対応する開口部)を有した保護膜]を形成する方法。
[17]
基材が、銅及びITOから選択された少なくとも1種を含む金属層を備えた電極基材であり、少なくとも金属層(少なくとも金属層の一部)上に保護膜を形成する、[16]記載の方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、新規な樹脂組成物(感光性樹脂組成物)を提供できる。
このような組成物は、例えば、保護膜(例えば、タッチパネル用の保護膜)等の形成に使用できる。
【0015】
本発明の他の一態様では、優れた耐汗性(水分、塩分等の腐食成分に対する耐性)を実現(発現)しうる樹脂組成物を提供できる。
【0016】
本発明の別の一態様では、基材[例えば、金属(銅等)、金属酸化物(ITO等)等の無機系基材)]に対して優れた密着性を実現(発現)しうる樹脂組成物を提供できる。
【0017】
本発明のさらに別の一態様では、耐汗性と基材[例えば、金属(銅等)、金属酸化物(ITO等)等の無機系基材)]に対する密着性とを、バランスよく両立しうる樹脂組成物を提供できる。
【0018】
このような組成物は、特に、耐汗性や密着性(特にこれらの両立)が要求される用途、例えば、タッチパネル(例えば、タッチパネル用電極)の保護膜(タッチパネル用の保護膜)等に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明を詳細に説明する。
<組成物>
本発明の組成物(樹脂組成物)は、特定の成分を含む。
【0020】
[(A)酸基を有するポリマー(成分(A))]
本発明の組成物は、(A)酸基を有するポリマーを含む。
【0021】
酸基を有するポリマーにおいて、酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基(硫酸基、スルホ基)、リン酸基、酸無水物基等が挙げられるが、好ましくはカルボキシ基、酸無水物基(特にカルボキシ基)である。そのため、酸基を有するポリマーは、少なくともカルボキシ基及び酸無水物基から選択された少なくとも1種(特に、少なくともカルボキシ基)を有していてもよい。
【0022】
酸基を有するポリマーにおいて、酸基の含有形態については、特に限定されず、例えば、ポリマー(例えば、上記のようなポリマー)に酸基を導入してもよく(例えば、官能基Aを有するポリマーと、当該官能基Aと反応して結合可能な官能基B及び酸基を有する化合物とを反応させる等)、酸基を有する化合物(モノマー等)を重合成分(ポリマーの原料)として導入してもよく、これらを組み合わせて導入してもよい。
【0023】
代表的には、酸基を有するポリマーは、酸基を有する化合物を重合成分とするものであってもよい。
【0024】
酸基を有するポリマーは、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等、又はその硬化物)等のいずれであってもよい。
【0025】
具体的な酸基を有するポリマー(酸基を有するポリマーのベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等の有機高分子化合物(ポリマー)が挙げられる。
【0026】
酸基を有するポリマーは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
中でも、アルカリ現像液への溶解性等の観点から、(メタ)アクリル系樹脂を用いることが好ましい。そのため、酸基を有するポリマーは、少なくとも(メタ)アクリル系樹脂を含んでいてもよい。
【0028】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸エステル)を重合成分とするものが挙げられ、特に、(メタ)アクリレートと酸基を有するモノマー(例えば、エチレン性不飽和カルボン酸)を重合成分とする(共重合させた)もの[(メタ)アクリル系重合体]であってもよい。また、該重合体は、他のモノマー(例えば、他の共重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマー)を重合成分とするものであってもよい(共重合させてもよい)。
【0029】
(メタ)アクリレートとしては、例えば、脂肪族(メタ)アクリレート[例えば、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート]、芳香族(メタ)アクリレート[例えば、アリール(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート]等が挙げられる。
【0030】
(メタ)アクリレート[例えば、アルキル(メタ)アクリレート等]は、置換基を有していてもよい(置換基を有するものも含まれる)。置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基(アルキルアミノ基等の置換アミノ基を含む)、エポキシ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)等が挙げられる。
(メタ)アクリレートは、1つ又は2以上の置換基を有していてもよい。
【0031】
代表的な(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のC1-30アルキル(メタ)アクリレート(例えば、C1-20アルキル(メタ)アクリレート)]、シクロアルキル(メタ)アクリレート[例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のC4-10シクロアルキル(メタ)アクリレート]、アリール(メタ)アクリレート[例えば、フェニル(メタ)アクリレート等]、アラルキル(メタ)アクリレート[例えば、ベンジル(メタ)アクリレート等]、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート[例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート]、環状エーテル基含有(メタ)アクリレート[例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等]、アミノ基(置換アミノ基を含む)含有(メタ)アクリレート[例えば、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等のN-置換アミノアルキル(メタ)アクリレート]、ハロゲン原子含有(メタ)アクリレート[例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート]等が挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート[例えば、アルキル(メタ)アクリレート]等が好ましく、特に該(メタ)アクリレートとしてメチル(メタ)アクリレート、およびブチル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0032】
重合成分は、(メタ)アクリレートを単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0033】
代表的には、(メタ)アクリル系樹脂[(メタ)アクリル系重合体]は、少なくともメタクリレート(例えば、アルキルメタクリレート等の脂肪族メタクリレート)を重合成分とするのが好ましく、中でもアルキルメタクリレート[特に、メタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)]を重合成分とするのが好ましい。
【0034】
メタクリレートを重合成分とする場合、重合成分全体に対するメタクリレート[例えば、アルキルメタクリレート(メチルメタクリレート等)]の割合は、1質量%以上(例えば、5質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、55質量%以上)程度であってもよく、格別に優れた耐汗性や密着性等の観点から、60質量%以上(例えば、65質量%以上、70質量%以上)とすることが好ましい。
【0035】
メタクリレートを重合成分とする場合、重合成分全体に対するメタクリレート[例えば、アルキルメタクリレート(メチルメタクリレート等)]の割合の上限値は、その他の重合成分の種類等に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、99質量%以下(例えば、98質量%以下)、好ましくは97質量%以下(例えば、95質量%以下)、さらに好ましくは93質量%以下(例えば、90質量%以下)等であってもよい。
【0036】
なお、これらの範囲(下限値と上限値)を適宜組み合わせて範囲を選択してもよい(例えば、1~99質量%、50~95質量%等、以下、範囲の記載について同じ)。
【0037】
また、メタクリレートを重合成分とする場合、(メタ)アクリレート全体に対するメタクリレート[例えば、アルキルメタクリレート(メチルメタクリレート等)]の割合は、1質量%以上(例えば、5質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、55質量%以上)、特に好ましくは60質量%以上(例えば、65質量%以上、70質量%以上)等であってもよい。
【0038】
なお、メタクリレートを重合成分とする場合、(メタ)アクリレート全体に対するメタクリレート[例えば、アルキルメタクリレート(メチルメタクリレート等)]の割合の上限値は、その他の重合成分の種類等に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、100質量%であってもよく、100質量%未満(例えば、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下)等であってもよい。
【0039】
酸基を有するモノマー(例えば、エチレン性不飽和カルボン酸)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等)、不飽和ポリカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸)、酸無水物(例えば、無水マレイン酸等の不飽和ポリカルボン酸無水物)、不飽和ポリカルボン酸の部分エステル(例えば、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル)等が挙げられる。
【0040】
重合成分は、酸基を有するモノマーを単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0041】
酸基を有するモノマーを重合成分とする場合、重合成分全体に対する酸基を有するモノマーの割合は、酸基の種類等にもよるが、例えば、0.1質量%以上(例えば、0.3質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、0.5質量%以上(例えば、1質量%以上)、好ましくは2質量%以上(例えば、3質量%以上)、さらに好ましくは5質量%以上(例えば、8質量%以上)程度であってもよく、10質量%以上(例えば、12質量%以上)等とすることもできる。
【0042】
酸基を有するモノマーを重合成分とする場合、重合成分全体に対する酸基を有するモノマーの割合の上限値は、酸基の種類等にもよるが、例えば、70質量%以下(例えば、60質量%以下)、好ましくは50質量%以下(例えば、40質量%以下)、さらに好ましくは30質量%以下(例えば、25質量%以下)等であってもよい。
【0043】
重合成分が、メタクリレート及び酸基を有するモノマーを含有する場合、メタクリレート及び酸基を有するモノマー全体に対する、酸基を有するモノマーの割合は、酸基の種類等にもよるが、例えば、0.1質量%以上(例えば、0.3質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、0.5質量%以上(例えば、1質量%以上)、好ましくは2質量%以上(例えば、3質量%以上)、さらに好ましくは5質量%以上(例えば、8質量%以上)程度であってもよく、10質量%以上(例えば、12質量%以上)等とすることもできる。
【0044】
重合成分が、メタクリレート及び酸基を有するモノマーを含有する場合、メタクリレート及び酸基を有するモノマー全体に対する、酸基を有するモノマーの割合の上限値は、酸基の種類等にもよるが、例えば、70質量%以下(例えば、60質量%以下)、好ましくは50質量%以下(例えば、40質量%以下)、さらに好ましくは30質量%以下(例えば、25質量%以下)等であってもよい。
【0045】
(メタ)アクリル系樹脂[(メタ)アクリル系重合体]は、前記のように、さらに、他のモノマー[(メタ)アクリレート及び酸基を有するモノマー以外のモノマー(例えば、エチレン性不飽和基を有するモノマー)]を重合成分としてもよい。
【0046】
他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン系モノマー(例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-エトキシスチレン、p-クロロスチレン、p-ブロモスチレン、ビニルトルエン等)、ニトリル系モノマー[例えば、(メタ)アクリロニトリル]、アミド系モノマー[例えば、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド]、ビニルエステル系モノマー(例えば、酢酸ビニル)、ビニルエーテル系モノマー(例えば、ビニル-n-ブチルエーテル)、オレフィン系モノマー(例えば、エチレン、プロピレン)、ハロゲン系モノマー(例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等)等が挙げられる。
【0047】
重合成分は、他のモノマーを単独で又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0048】
重合成分が他のモノマーを含有する場合、重合成分全体に対する他のモノマーの割合は、例えば、50質量%以下(例えば、40質量%以下)程度の範囲から選択でき、30質量%以下(例えば、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下、3質量%以下)等であってもよい。
【0049】
酸基を有するポリマーは、重合性基[ラジカル重合性基、例えば、(メタ)アクリロイル基]を有していてもよい。このような重合性基を有するポリマー(酸基を有するポリマー)において、重合性基の含有形態については、特に限定されず、例えば、ポリマー(例えば、上記のようなポリマー)に重合性基を導入してもよい(例えば、官能基Aを有するポリマーと、当該官能基Aと反応して結合可能な官能基B及び重合性基を有する化合物とを反応させることにより導入してもよい)。
【0050】
具体的な重合性基(及び酸基)を有するポリマーとしては、酸基を有するポリマーが有する官能基(例えば、カルボキシ基、水酸基等)に、当該官能基と反応して結合可能な官能基(例えば、イソシアナート基)を有する重合性化合物[例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等]とを反応(付加)させたもの等が挙げられる。
【0051】
このようなポリマーは、市販品(製品)として入手することもできる。製品としては、、例えば、Z200M、Z230AA、Z250、Z251、Z254F、Z300、Z320(以上、サイクロマー(登録商標)P、ダイセル・オルネクス株式会社製)、CCR-1291H、CCR―1235、ZAR―1035、ZAR-2000、ZFR-1401H、ZFR-1491H、ZCR-1569H、ZCR-1601H、ZCR-1797H、ZCR-1798H、UXE-3000、UXE-3024(以上、KAYARAD、日本化薬株式会社製)、MAP-4050、MAP-7000、RA―4101(以上ART CURE(登録商標)、根上工業株式会社製)等が挙げられる。
【0052】
酸基を有するポリマーの酸価は、例えば、1mgKOH/g以上(例えば、5mgKOH/g以上)程度の範囲から選択してもよく、10mgKOH/g以上(例えば、15mgKOH/g以上)、好ましくは20mgKOH/g以上(例えば、25mgKOH/g以上)、さらに好ましくは30mgKOH/g以上(例えば、35mgKOH/g以上、40mgKOH/g以上、45mgKOH/g以上)程度であってもよく、50mgKOH/g以上(例えば、55mgKOH/g以上、60mgKOH/g以上、65mgKOH/g以上、70mgKOH/g以上、75mgKOH/g以上)程度であってもよい。
【0053】
酸基を有するポリマーの酸価(酸価の上限値)は、限定されないが、例えば、1000mgKOH/g以下(例えば、800mgKOH/g以下)程度の範囲から選択してもよく、耐汗性等の観点を考慮すると、500mgKOH/g以下(例えば、400mgKOH/g以下)、好ましくは300mgKOH/g以下(例えば、250mgKOH/g以下)、さらに好ましくは200mgKOH/g以下(例えば、180mgKOH/g以下)程度であってもよい。
【0054】
具体的な酸基を有するポリマーの酸価としては、例えば、10~500mgKOH/g、好ましくは30~300mgKOH/g、さらに好ましくは50~200mgKOH/g等が挙げられる。
【0055】
なお、酸価は、アルカリ現像速度、露光感度、感光性樹脂層の柔らかさ等の他、基材との密着性や耐汗性にも影響しうるものであり、上記のような範囲から好適な範囲を適宜選択してもよい。
【0056】
酸価は、例えば、JIS K2501:2003に準拠して測定できる。
【0057】
酸基を有するポリマーの水酸基価は、0mgKOH/g(又は検出限界)であってもよく、有限値であってもよい。具体的な酸基を有するポリマーの水酸基価は、例えば、100mgKOH/g以下(例えば、80mgKOH/g以下、50mgKOH/g以下、40mgKOH/g以下、30mgKOH/g以下、20mgKOH/g以下、10mgKOH/g以下)程度であってもよい。
【0058】
水酸基価は、例えば、JIS K0070 1992に準拠して測定できる。
【0059】
酸基を有するポリマーの質量平均分子量は、特に限定されないが、効率よいアルカリ現像、膜の形成しやすさ、膜(感光性樹脂層)の柔らかさ等の観点から、例えば、2000以上(例えば、3000~500000)程度の範囲から選択してもよく、成形性やアルカリ溶解性等の観点から、3000以上(例えば、4000~200000)、好ましくは5000以上(例えば、5000~150000)、さらに好ましくは8000以上(例えば、10000~100000)程度であってもよい。
【0060】
なお、質量平均分子量は、例えば、GPCを用いて、ポリスチレン換算により測定してもよく、具体的には後述の方法により測定してもよい。
【0061】
[(B)光重合開始剤(成分(B))]
本発明の組成物は、好ましくは重合開始剤(特に光重合開始剤)を含む。
【0062】
重合開始剤(光重合開始剤)としては、例えば、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(o-ベンゾイルオキシム)](1-[4-(フェニルチオ)フェニル-1,2-オクタンジオン 2-(o-ベンゾイルオキシム))、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン 1-(o-アセチルオキシム)等のオキシムエステル;ベンゾフェノン、N,N,N′,N′-テトラメチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N′,N′-テトラエチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパノン-1等の芳香族ケトン;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9′-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体;クマリン系化合物等が挙げられる。
【0063】
光重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
【0064】
[(C)水酸基を有する2官能性の重合性化合物(成分(C))]
本発明の組成物は、水酸基を有する2官能性の重合性化合物を含む。
【0065】
このような化合物において、水酸基の数は1以上であればよく、例えば、1~4個、好ましくは1~3個、さらに好ましくは1~2個(例えば、1個)であってもよい。
【0066】
重合性化合物は、通常、重合性基を有している。重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基(例えば、ビニル基等)等のエチレン性不飽和結合含有基が挙げられる。
【0067】
重合性化合物は、同一の又は異なる重合性基を有していてもよい。
【0068】
代表的な水酸基を有する2官能性の重合性化合物としては、例えば、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールのジ(メタ)アクリレート、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールのジアルケニルエーテル等が挙げられる。
【0069】
3以上のヒドロキシ基を有するポリオールとしては、例えば、トリオール[例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等のアルカンポリオール(例えば、C3-10アルカンポリオール、好ましくはC3-6アルカンポリオール)]、4以上(例えば、4~6個)のヒドロキシ基を有するポリオール{例えば、テトラオール[例えば、ペンタエリスリトール等のアルカンテトラオール(例えば、C4-12アルカンテトラオール);ジグリセリン等のトリオール(アルカントリオール等)の2量体)等]等}等が挙げられる。
【0070】
具体的な水酸基を有する2官能性の重合性化合物としては、(メタ)アクリレート、例えば、アルカントリオールジ(メタ)アクリレート[例えば、2-ヒドロキシ-1,3-ジメタクリロキシプロパン、2-ヒドロキシ-1,3-ジアクリロキシプロパン、1-ヒドロキシ-2,3-ジメタクリロキシプロパン、1-ヒドロキシ-2,3-ジアクリロキシプロパン、2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロピルアクリレート、1-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロピルアクリレート、]等の(メタ)アクリレート(化合物)が挙げられる。
【0071】
水酸基を有する2官能性の重合性化合物は、単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
【0072】
なお、水酸基を有する2官能性の重合性化合物の水酸基価は、特に限定されないが、例えば、30mgKOH/g以上(例えば、50mgKOH/g以上、100mgKOH/g以上、150mgKOH/g以上、200mgKOH/g以上、220mgKOH/g以上)程度であってもよく、400mgKOH/g以下(例えば、380mgKOH/g以下、350mgKOH/g以下、320mgKOH/g以下、300mgKOH/g以下、280mgKOH/g以下)程度であってもよい。
【0073】
水酸基を有する2官能性の重合性化合物の水酸基価は、例えば、JIS K0070 1992に準拠して測定できる。
【0074】
[(D)エポキシ(メタ)アクリレート(成分(D))]
本発明の組成物は、好ましくはエポキシ(メタ)アクリレートを含む。
【0075】
エポキシ(メタ)アクリレートは、単官能性であってもよいが、通常、多官能性であってもよい。
【0076】
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート{例えば、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸等]との反応物}、エポキシ(メタ)アクリレートの変性物[例えば、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート]等が含まれる。なお、酸変性エポキシ(メタ)アクリレートは、前述の酸基を有するポリマーに該当しないものであってもよい。
【0077】
エポキシ化合物としては、例えば、芳香族(芳香族骨格を有する)エポキシ化合物(又はエポキシ樹脂、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、トリスフェノール型、テトラフェノール型、フェノール-キシリレン型、グリシジルエーテル型等のエポキシ樹脂等)、ハロゲン化エポキシ樹脂(前記例示の芳香族エポキシ化合物のハロゲン化物)が挙げられる。
【0078】
エポキシ化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0079】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレート(酸変性不飽和エポキシエステル樹脂)としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート{例えば、エポキシ化合物(前記エポキシ化合物等)と不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸等]との反応物}の酸(例えば、酸無水物、リン酸等)変性物[例えば、カルボン酸変性(酸無水物変性)エポキシ(メタ)アクリレート、リン酸変性エポキシ(メタ)アクリレート)等]等が挙げられる。
【0080】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸に代表される不飽和カルボン酸を反応させ不飽和エポキシエステル樹脂を得たのち、さらに得られた不飽和エポキシエステル樹脂と酸成分(例えば、酸無水物、リン酸)とを反応させることで製造できる。
【0081】
酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などが使用できる。
【0082】
酸変性物において、酸(酸無水物、リン酸等)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0083】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの酸価は、例えば、1mgKOH/g以上(例えば、3mgKOH/g以上)程度の範囲から選択してもよく、5mgKOH/g以上(例えば、10mgKOH/g以上)、好ましくは15mgKOH/g以上(例えば、20mgKOH/g以上)、さらに好ましくは25mgKOH/g以上(例えば、30mgKOH/g以上、35mgKOH/g以上)程度であってもよく、40mgKOH/g以上(例えば、45mgKOH/g以上、50mgKOH/g以上)程度であってもよい。
【0084】
酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの酸価(酸価の上限値)は、限定されないが、例えば、500mgKOH/g以下(例えば、300mgKOH/g以下)程度の範囲から選択してもよく、250mgKOH/g以下(例えば、200mgKOH/g以下)、好ましくは180mgKOH/g以下(例えば、160mgKOH/g以下)、さらに好ましくは150mgKOH/g以下(例えば、120mgKOH/g以下)程度であってもよい。
【0085】
具体的な酸変性エポキシ(メタ)アクリレートの酸価としては、例えば、10~300mgKOH/g、好ましくは20~250mgKOH/g、さらに好ましくは30~200mgKOH/g(例えば、40~120mgKOH/g)等が挙げられる。
【0086】
なお、酸価は、アルカリ現像速度、露光感度、感光性樹脂層の柔らかさ等の他、基材との密着性や耐汗性にも影響しうるものであり、上記のような範囲から好適な範囲を適宜選択してもよい。
【0087】
酸価は、例えば、JIS K2501:2003に準拠して測定できる。
【0088】
代表的なエポキシ(メタ)アクリレートには、ビスフェノール骨格含有エポキシ(メタ)アクリレート[例えば、エポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用し、不飽和カルボン酸として(メタ)アクリル酸を使用して得られる不飽和エポキシエステル樹脂]やその酸変性物[酸変性不飽和エポキシエステル樹脂]等を例示することができる。
【0089】
好ましいエポキシ(メタ)アクリレートには、密着性等の観点から、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート[例えば、カルボン酸変性ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等のカルボン酸(酸無水物)変性エポキシ(メタ)アクリレート]が挙げられる。
【0090】
そのため、エポキシ(メタ)アクリレートは、少なくとも酸変性エポキシ(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。
【0091】
エポキシ(メタ)アクリレートの質量平均分子量は、特に限定されないが、効率よいアルカリ現像、膜の形成しやすさ、膜(感光性樹脂層)の柔らかさ等の観点から、例えば、1000~50000(例えば、1500~30000)、好ましくは2000~25000、さらに好ましくは3000~20000程度であってもよい。
【0092】
なお、質量平均分子量は、例えば、GPCを用いて、ポリスチレン換算により測定してもよく、具体的には後述の方法により測定してもよい。
【0093】
本発明の組成物は、溶剤(溶媒)を含んでいてもよい。
【0094】
溶媒としては、特に限定されないが、有機溶媒[アセトン、メチルエチルケトン(2-ブタノン)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒]、非有機溶媒(例えば、水)等が挙げられる。通常、溶媒は、少なくとも有機溶媒を含んでいてもよい。
溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0095】
なお、本発明の組成物は、必要に応じて、上記成分(A)~(D)及び溶剤(溶媒)以外の成分(他の成分)を含有させてもよい。このような成分としては、例えば、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、減色剤、熱発色防止剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、撥水剤、撥油剤等が挙げられる。
他の成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0096】
組成物[又は樹脂層(感光性樹脂層)又は膜(保護膜、保護層)、以下同様]において、成分(A)の割合は、成分(A)、(B)、(C)および(D)の総量に対して、例えば、20質量%以上(例えば、25質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、耐汗性や適度な粘着性[例えば、膜の積層(貼り付け)しやすさ]等の観点から、30質量%以上(例えば、35~95質量%)、好ましくは40質量%以上(例えば、40~90質量%)、さらに好ましくは45質量%以上(例えば、45~85質量%)程度であってもよく、50質量%以上(例えば、50~80質量%、50~75質量%、50~70質量%、50~65質量%、54~66質量%、55~70質量%)程度であってもよい。
【0097】
組成物において、成分(B)の割合は、成分(A)、(B)、(C)および(D)の総量に対して、例えば、0.01質量%以上(例えば、0.03質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、光重合性や樹脂層の視認性等の観点から、0.05質量%以上(例えば、0.05~10質量%)、好ましくは0.07質量%以上(例えば、0.08~7質量%)、さらに好ましくは0.1質量%以上(例えば、0.1~5質量%、0.1~3質量%、0.2質量%以上)程度であってもよい。
【0098】
組成物において、成分(C)の割合は、成分(A)、(B)、(C)および(D)の総量に対して、例えば、0.5質量%以上(例えば、1質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、耐汗性や密着性等の観点から、2質量%以上(例えば、2~80質量%、2~45質量%、2~25質量%)、好ましくは3質量%以上(例えば、4~50質量%)、さらに好ましくは5質量%以上(例えば、7~40質量%、5~25質量%、5~20質量%)程度であってもよく、10質量%以上(例えば、10~40質量%、10~35質量%、10~30質量%、12~25質量%、15~50質量%、15~40質量%、15~35質量%)程度であってもよい。
【0099】
組成物において、成分(C)の割合は、成分(A)100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上(例えば、0.3質量部以上)程度の範囲から選択してもよく、耐汗性や密着性等の観点から、0.5質量部以上(例えば、0.5~200質量部)、好ましくは1質量部以上(例えば、2~150質量部)、さらに好ましくは3質量部以上(例えば、4~100質量部)程度であってもよく、5質量部以上(例えば、8質量部以上、10質量部以上、12質量部以上、15質量部以上、20質量部以上、25質量部以上、30質量部以上、5~80質量部、10~70質量部、15~60質量部、20~50質量部、25~45質量部、5~50質量部、10~55質量部)程度であってもよい。
【0100】
組成物において、成分(D)の割合は、成分(A)、(B)、(C)および(D)の総量に対して、例えば、0.5質量%以上(例えば、1質量%以上)程度の範囲から選択してもよく、耐汗性や密着性等の観点から、2質量%以上(例えば、2~80質量%、2~45質量%、2~25質量%)、好ましくは3質量%以上(例えば、4~50質量%)、さらに好ましくは5質量%以上(例えば、7~40質量%、5~25質量%)程度であってもよく、10質量%以上(例えば、10~40質量%、10~35質量%、10~30質量%、12~25質量%、15~50質量%、15~40質量%、15~35質量%、20質量%以上、20~35質量%、24~31質量%)程度であってもよい。
【0101】
組成物において、成分(D)の割合は、成分(A)100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上(例えば、0.3質量部以上)程度の範囲から選択してもよく、耐汗性や密着性等の観点から、0.5質量部以上(例えば、0.5~200質量部)、好ましくは1質量部以上(例えば、2~150質量部)、さらに好ましくは3質量部以上(例えば、4~100質量部)程度であってもよく、5質量部以上(例えば、8質量部以上、10質量部以上、12質量部以上、15質量部以上、20質量部以上、25質量部以上、30質量部以上、35質量部以上、5~80質量部、10~70質量部、15~60質量部、20~50質量部、25~45質量部、5~50質量部、10~55質量部)程度であってもよい。
【0102】
組成物において、成分(C)の割合は、成分(D)1質量部に対して、例えば、0.01質量部以上(例えば、0.02質量部以上)程度の範囲から選択してもよく、耐汗性や密着性等の観点から、0.03質量部以上(例えば、0.03~30質量部)、好ましくは0.05質量部以上(例えば、0.05~20質量部)、さらに好ましくは0.1質量部以上(例えば、0.1~10質量部)程度であってもよく、0.2質量部以上(例えば、0.3質量部以上、0.5質量部以上、0.7質量部以上、0.2~10質量部、0.2~5質量部、0.2~3質量部、0.2~2質量部、0.3~10質量部、0.5~5質量部、0.7~3質量部)程度であってもよい。
【0103】
組成物において、成分(C)及び成分(D)の総量の割合は、成分(A)100質量部に対して、例えば、0.2質量部以上(例えば、0.5質量部以上)程度の範囲から選択してもよく、耐汗性や密着性等の観点から、1質量部以上(例えば、1~500質量部)、好ましくは2質量部以上(例えば、3~300質量部)、さらに好ましくは5質量部以上(例えば、8~200質量部)程度であってもよく、10質量部以上(例えば、15質量部以上、20質量部以上、25質量部以上、30質量部以上、35質量部以上、40質量部以上、50質量部以上、60質量部以上、70質量部以上、10~150質量部、20~150質量部、30~120質量部、40~100質量部、50~90質量部、50~80質量部、10~100質量部、20~120質量部)程度であってもよい。
【0104】
組成物が他の成分を含む場合、他の成分の割合は、成分(A)、(B)、(C)、(D)及び他の成分の総量に対して、例えば、30質量%以下(例えば、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下等)であってもよく、0.01質量%以上(例えば、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上)等であってもよい。
【0105】
なお、組成物が溶媒を含む場合、溶媒と溶媒以外の成分[固形分、例えば、成分(A)、(B)、(C)及び(D)(さらに必要に応じて他の成分)]の割合は、適宜選択できるが、例えば、1質量%以上(例えば、3~90質量%)、好ましくは5質量%以上(例えば、8~80質量%)、さらに好ましくは10質量%以上(例えば、15~70質量%)程度であってもよく、20質量%以上(例えば、20~80質量%、25~70質量%、30~65質量%)程度であってもよい。
【0106】
<組成物の用途等>
本発明の組成物の適用形態は、各種用途に応じて適宜選択できるが、例えば、組成物により樹脂層(感光性樹脂層、膜)を形成してもよい。
【0107】
樹脂層は、単独で形成してもよく、支持体(基材、支持体)上に形成してもよい(形成し、積層体としてもよい)。
【0108】
代表的な積層体としては、支持体(フィルム状の基材)と、この支持体上に積層された樹脂層(前記組成物により形成された樹脂層)とを備えた積層体が挙げられる。
【0109】
支持体(支持体の材質)としては、樹脂層の用途等に応じて選択でき、例えば、樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等)、金属等が挙げられる。支持体の形状もまた、樹脂層の用途等に応じて選択できるが、例えば、フィルム(シート)状等が挙げられる。
【0110】
代表的な支持体は、樹脂フィルムである。
【0111】
支持体は、樹脂層の用途等にもよるが、透明(透明フィルム等)であってもよい。このような透明の支持体は、全光線透過率において、例えば、50%以上、60%以上等であってもよく、ヘーズにおいて10%以下等であってもよい。
【0112】
支持体(例えば、フィルム等)の厚みは、用途等によるが、例えば、1~300μm(例えば、2~200μm)、好ましくは3~100μ、さらに好ましくは5~50μm等であってもよい。
【0113】
このような積層体は、さらに別の層を備えていてもよい。このような別の層は、樹脂層のうち、支持体と同じ側又は反対側(例えば、樹脂層上)に位置していればよく、積層体の使用目的等に応じて選択でき、機能層であってもよく、保護層(カバー層、樹脂層を保護するための層、カバーフィルム)であってもよく、これらを組み合わせた層[例えば、支持体上に、機能層と樹脂層と保護層(カバー層)とを順に設ける等]や、両方の目的を備えた層(保護ないしカバー機能を備えた機能層等)であってもよい。
【0114】
カバー層(又はカバーフィルム)は、剥離(樹脂層から剥離)可能(離型性を有するもの)であってもよく、離型処理(例えば、シリコーン等の離型剤の塗工処理)がされていてもよい。
【0115】
具体的なカバー層(カバーフィルム)としては、例えば、離型処理されていてもよい樹脂フィルム[例えば、オレフィン系樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム)、シリコーン等の離型剤が塗工された樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)等]が挙げられる。
【0116】
樹脂層の厚みは、樹脂層の用途等に応じて選択できるが、例えば、1μm以上(例えば、1~300μm)程度の範囲から選択してもよく、解像性、耐汗性、密着性等の観点から、好ましくは2μm以上(例えば、2~200μm)、さらに好ましくは3μm以上(例えば、4~100μm)程度であってもよく、50μm以下(例えば、40μm以下、30μm以下、20μm以下、15μm以下、2~20μm、4~15μm)であってもよい。
【0117】
代表的な積層体としては、支持体(キャリアーフィルム)上に樹脂層が積層された積層フィルム[ドライフィルムレジスト(DFR)]、支持体、樹脂層及びカバーフィルムがこの順に積層された積層フィルム等が挙げられる。
【0118】
樹脂層(積層体)は、前記組成物により形成できれば特に限定されないが、代表的には、支持体上に、組成物をコーティング(塗布)することにより形成できる。コーティング(塗布)法としては、支持体の形状や樹脂層の厚み等に応じて選択でき、特に限定されず、慣用の塗布法を採用できる。必要に応じて、塗布後、乾燥処理、加熱処理等してもよい。
【0119】
樹脂層は、本発明の組成物で形成されており、例えば、保護膜(特に、タッチパネルの保護膜)用途等において好適である。
【0120】
以下、このような樹脂層(保護膜)等について、詳述する。
【0121】
[保護膜等]
保護膜(保護層、樹脂層)は、前記組成物により形成される。
【0122】
保護膜の対象(保護対象)としては、種々の基材が使用できるが、特に、電極基材(タッチパネル用の電極基材等)等を好適に保護できる。
【0123】
そのため、本発明には、基材と、この基材上に形成された保護膜(保護層、樹脂層)とを備えた基材(保護基材)も含まれる。
【0124】
なお、このような保護基材は、基材の種類に応じて、各種機器ないし機器の部材[例えば、タッチパネルの部材(タッチパネルの電極等)として]として用いることができる(又は各種機器ないし機器の部材を構成できる)。
【0125】
このような基材としては、例えば、プラスチック、ガラス、ゴム、セラミックス等が好ましく用いられる。このような基材は全光線透過率が60%以上であるものが好ましい。プラスチックの中でも、フレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で好適に用いられる。基材として使用される樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0126】
基材(例えば、樹脂フィルム)の厚みは、例えば、50~300μm程度であってもよい。基材には易接着層など公知の層が設けられていてもよい。
【0127】
基材(例えば、電極基材)は、金属層を備えていてもよい。このような金属層は、上記のような基材(ベース基材)上に設けられていてもよく、パターン(例えば、センサー部、配線部、端子部等の各種目的・用途に応じたパターン)を形成していてもよい。
【0128】
金属層(パターンを形成する金属)としては、用途・機能等に応じて選択できるが、金属ないし合金(金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等)、金属酸化物(例えば、ITO等)等が挙げられる。特に、タッチパネル(タッチパネルの電極、タッチパネルの光透過性導電層等)等においては、銅、ITO等を少なくとも含む金属層であってもよい。
【0129】
基材上に保護膜を形成する方法としては、特に限定されず、基材上に直接的に前記組成物をコーティングする等してもよく、前記のように、積層体を用いてもよい。
【0130】
例えば、予め樹脂層を形成した積層体を作製し、積層体のうち、樹脂層(樹脂層側)を基材上[電極基材においては、例えば、少なくとも電極(金属層)上]に貼り付けることで、基材上に樹脂層を積層してもよい。なお、積層体がカバーフィルムを備えている場合には、カバーフィルムを剥離した後、樹脂層を積層することができる。
【0131】
なお、積層体は、前記のように、支持体上に前記組成物(塗工液)を塗工、乾燥すること等で形成することができる。支持体としては、前記のように、活性光線を透過させる透明フィルムが好ましい。該透明フィルムの全光線透過率は60%以上が好ましく、ヘーズ値は10%以下が好ましい。また、支持体の厚みは、薄い方が光の屈折が少ないので好ましく、厚い方が塗工安定性に優れるため好ましいが、5~50μm等が好ましい。このようなフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のフィルムが挙げられる。カバーフィルムとしては、例えば、未硬化又は硬化した樹脂層(感光性樹脂組成)を剥離できればよく、離型性の高い樹脂のフィルムが用いられる。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコーン等の離型剤が塗工されたポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
【0132】
樹脂層(感光性樹脂層)の厚みは、前述の範囲から選択でき、例えば、2~20μm(例えば、4~15μm)等であってもよい。
【0133】
基材[例えば、電極基材(タッチパネル用電極基材等)]へ樹脂層を貼り付ける方法としては、ラミネータ等を用いて、樹脂層を加熱しながら基材[例えば、電極基材(タッチパネル用電極基材等)]に圧着することにより積層する方法等が挙げられる。この際、樹脂層の加熱温度は70~130℃とすることが好ましく、圧着圧力は0.1~1.0MPaとすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、上記のように樹脂層を70~130℃に加熱すれば、予め基材[例えば、電極基材(タッチパネル用電極基材等)]を予熱処理することは必要ではないが、密着性をさらに向上させるために、基材の予熱処理を行うこともできる。
【0134】
このように基材[例えば、電極基材(タッチパネル用電極基材等)]上に樹脂層を形成した後に、樹脂層に対して光照射ないし露光(例えば、マスク材を介して露光)を行い、所定箇所に光硬化部(樹脂層の硬化物、樹脂層のうち光照射ないし露光された部位の硬化物)を形成できる。露光の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等、紫外線を有効に放射するものを用いることができる。光源(紫外線等)の照射量および照射時間は、樹脂層に応じて適切に設定できる。露光方法(例えば、マスクを介した露光方法)としては、例えば、マスクパターンを密着させて露光する接触露光法、マスクパターンをドライフィルムに密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法などが挙げられる。
【0135】
非露光部[露光されなった部分(マスクされた部分等)]は、例えば、アルカリ現像液により除去できる。
【0136】
非露光部をアルカリ現像液によって除去する方法は、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方式により現像して除去する方法を例示することができる。アルカリ現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが好適に用いられ、例えば、20~50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(例えば、0.5~2.0質量%水溶液)等が用いられる。
【実施例0137】
以下実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0138】
(実施例1~6、比較例1~3)
表1に示す各成分の配合比率となるように、組成物(感光性樹脂層用の塗工液)を作製した。表1における各成分配合量の単位は、質量部を表す。作製した塗工液を、ワイヤーバーを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(16μm厚、全光線透過率88%、ヘーズ値2%)上に塗工し、100℃で5分間乾燥し、PETフィルムの片面上に感光性樹脂層(乾燥膜厚:9μm)を設け、該感光性樹脂層の上にカバーフィルムとしてポリプロピレンフィルム(25μm厚)を貼合して、PETフィルム上に感光性樹脂層とカバーフィルムをこの順に有する実施例1~6および比較例1~3の積層体を得た。
【0139】
【0140】
表1において、各成分は以下の通りである。
【0141】
<(A)酸基を有するポリマー>
(A-1);メチルメタクリレート/n-ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比71/5/24で共重合させた共重合樹脂の35質量%溶液、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル、質量平均分子量Mw50000、酸価136mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g)
(A-2);メチルメタクリレート/メタクリル酸を質量比76/24で共重合させた共重合樹脂の35質量%溶液、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル、質量平均分子量Mw50000、酸価136mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g)
(A-3);メチルメタクリレート/メタクリル酸を質量比88/12で共重合させた共重合樹脂の35質量%溶液、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル、質量平均分子量Mw50000、酸価78mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g)
(A-4);メチルメタクリレート/n-ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比71/17/12で共重合させた共重合樹脂の35質量%溶液、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル、質量平均分子量Mw50000、酸価78mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g)
(A-5);メチルメタクリレート/n-ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比55/21/24で共重合させた共重合樹脂の35質量%溶液、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル、質量平均分子量Mw50000、酸価136mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g)
(A-6);メチルメタクリレート/n-ブチルアクリレート/メタクリル酸を質量比55/33/12で共重合させた共重合樹脂の35質量%溶液、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル、質量平均分子量Mw50000、酸価78mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g)
【0142】
<(B)光重合開始剤>
(B-1);1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(o-ベンゾイルオキシム)](イルガキュアOXE01、BASFジャパン株式会社製)
【0143】
<(C)光重合性化合物>
(C-1);2-ヒドロキシ-1,3-ジメタクリロキシプロパン(水酸基価245mgKOH/g)
(C-2);2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルアクリレート(水酸基価261mgKOH/g)
(C-3);1,9-ノナンジオールジメタクリレート(水酸基価0mgKOH/g)
(C-4);ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基価188mgKOH/g)
【0144】
<(D)エポキシ(メタ)アクリレート>
(D-1)KAYARAD(登録商標)UXE-3024(商品名、日本化薬(株)製、固形分65質量%、酸価60mgKOH/g、質量平均分子量10000、水酸基価18mgKOH/g)
【0145】
また、酸価、水酸基価及び質量平均分子量は、次のようにして測定した。
【0146】
<酸価>
試料1gに含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム(mg)数をJIS K0070 1992に準拠し、フェノールフタレインを使用した指示薬滴定法により測定した。
【0147】
<水酸基価>
JIS K0070 1992に準拠して測定した。試料1gを量り、丸底フラスコに入れ、無水酢酸・ピリジン試薬5mlを加え、すり合わせの空気冷却器を付け、95~100℃の油浴中で1時間間加熱した。冷却後、空気冷却器の上方から水1mlを加えて振り動かし無水酢酸を分解した。再びフラスコを油浴中で10分間加熱した。冷却後、空気冷却器およびフラスコの首部を中和エタノール5mLで洗い込み、0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール液で滴定した。同様の方法で空試験を行った。
水酸基は次式で算出した。
水酸基価=(a-b)×N×56.11/d+c
a:空試験における水酸化カリウム・エタノール液の消費量(ml)
b:試料を用いたときの水酸化カリウム・エタノール液の消費量(ml)
c:酸価
d:試料の量(g)
N:滴定に用いた水酸化カリウム・エタノール液のモル濃度
【0148】
<質量平均分子量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した(標準ポリスチレン換算)。
【0149】
<熱処理後ITO基材の作製>
ポリ環状オレフィン樹脂基材上にITO層が積層されたITO基材(サイズ10cm×10cm)のITO層面に、実施例および比較例の積層体のカバーフィルムを剥離して露出した感光性樹脂層面を貼り付けた。次に、PETフィルム側から感光性樹脂層に対して一辺1cmの四角形パターンを有するフォトマスクを介して紫外線露光した。続いて、PETフィルムを剥離し、30℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にてアルカリ現像を実施し、非露光部の感光性樹脂層を除去した。次に、150℃30分の熱処理を行い、感光性樹脂層で形成された保護膜を有する熱処理後のITO基材とした。
【0150】
<熱処理後ITO/銅基材の作製>
ポリ環状オレフィン樹脂基材上にITO層および銅層がこの順に積層されたITO/銅基材(サイズ10cm×10cm)に変更し、銅層面に実施例および比較例の積層体のカバーフィルムを剥離して露出した感光性樹脂層面を貼り付けた以外は同様にして、硬化した感光性樹脂層で形成された保護膜を有する熱処理後のITO/銅基材を得た。
【0151】
<密着性の評価>
上記のように作製した熱処理後のITO基材、並びに熱処理後のITO/銅基材の保護膜が形成された領域について、JIS K5400-8.5(JIS D0202)に準じた碁盤目付着性試験法を実施し、保護膜の密着性を評価した。碁盤目個中の剥離個数を数え、下記評価基準にて評価した。結果を表2に示す。
<密着性評価基準>
A:碁盤目の剥離個数が0個。
B:碁盤目の剥離個数が全体の0%を超えて5%以下。
C:碁盤目の剥離個数が全体の5%を超えて15%以下。
D:碁盤目の剥離個数が全体の15%を超えて35%以下。
E:碁盤目の剥離個数が全体の35%を超える。
【0152】
<耐汗性の評価>
100質量部の純水に対して、5質量部の塩化ナトリウム、5質量部のりん酸水素二ナトリウム・12水和物および2.1質量部の99%酢酸を混合した人工汗液を作製した。次に上記熱処理後のITO/銅基材の保護膜上に、該人工汗液をスポイトで20か所に滴下し、室温で乾燥させた。次に、乾燥させた該ITO/銅基材を60℃95%RHの雰囲気下で100時間保存し、銅表面の変色具合を観察した。結果を表2に示す。実用可能レベルはB以上である。
<耐汗性評価基準>
A:銅表面に変色が認められない。
B:銅表面に黒い変色が1カ所認められる。
C:銅表面に黒い変色が2~5カ所認められる。
D;銅表面に黒い変色が6~20カ所認められる。
【0153】
【0154】
表2の結果から、本発明の組成物によれば、耐汗性と、基材[例えば、金属や金属酸化物(例えば、銅基材および酸化物ITO基材)]に対する密着性のバランスに優れた膜を形成できること、そして、このような膜はタッチパネル用保護膜等として好適であることが判る。
特に、実施例1~4の組成物では、熱処理後でさえも、基材に対する密着性に優れるほか、耐汗性についても非常に優れ、高度に耐汗性と密着性とをバランスよく両立できた。