(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142282
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】麺製造装置
(51)【国際特許分類】
A21C 3/10 20060101AFI20241003BHJP
A21C 3/02 20060101ALI20241003BHJP
A23L 7/109 20160101ALI20241003BHJP
【FI】
A21C3/10
A21C3/02 E
A23L7/109 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054417
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】591210932
【氏名又は名称】株式会社大和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 薫
【テーマコード(参考)】
4B031
4B046
【Fターム(参考)】
4B031CA01
4B031CD17
4B031CH02
4B031CH18
4B031CL08
4B031CL13
4B046LA04
4B046LB01
4B046LC20
4B046LE01
4B046LP10
4B046LP15
4B046LP80
4B046LQ10
(57)【要約】
【課題】麺線を形成する押し切りカッタに向けて、麺生地の破れを防止しつつ、自動的に搬送できる麺製造装置を提供すること。
【解決手段】麺棒100から麺生地101を所定長さ引き出すまで駆動し、麺生地101が引き出されてから排出台14の先端14aが所定位置αに臨むまで停止し、排出台14の先端14aが所定位置αに臨んでから麺生地シート102が第2コンベア32に落ちるまで駆動する第1コンベア13と、麺生地シート102が形成されてから排出台14の先端14aが所定位置αに臨むまでの間、第1コンベア13及び排出台14を前進移動させ、麺生地シート102が第2コンベア32に接してから第2コンベア32の上に落ちるまでの間、第1コンベア13及び排出台14を後退移動させる往復移動機構16と、麺生地シート102が第2コンベア32に接してから第2コンベア32の上に落ちるまでの間停止する第2コンベア32と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の麺生地を巻き付けた麺棒の両端部を支持すると共に、前記麺棒の回転許容と回転停止を切替可能な麺棒支持部と、
搬送動作に伴って前記麺棒を回転させて、前記麺生地を引き出す第1コンベアと、
前記第1コンベアの搬送方向の終端部に隣接して配置され、先端に向かって下り勾配に傾斜した傾斜面を有する排出台と、
前記第1コンベアの上に前記麺生地が所定の長さ引き出されたとき、前記第1コンベアの搬送方向に直交する方向に沿って前記麺生地を切断し、所定長さの麺生地である麺生地シートを形成する第1カッタ部と、
前記第1コンベア及び前記排出台を一体的に、前記第1コンベアの搬送方向に沿って往復移動させる往復移動機構と、
前記第1コンベア及び前記排出台よりも下方に配置され、前記麺生地シートを搬送可能な第2コンベアと、
前記第2コンベアによって搬送された前記麺生地シートを、前記第2コンベアの搬送方向に直交する方向に沿って一定の間隔で切断して麺線を形成する押し切りカッタ部と、
を備え、
前記第1コンベアは、前記麺棒支持部によって前記麺棒が回転許容状態で支持されてから、前記麺生地が所定の長さ引き出されるまでの間駆動し、前記麺生地が所定の長さ引き出されてから、前記排出台の先端が前記第2コンベアの上方の所定位置に臨むまでの間停止し、前記排出台の先端が前記第2コンベアの上方の所定位置に臨んでから前記麺生地シートの後端が前記第2コンベアの上に滑り落ちるまでの間駆動し、
前記往復移動機構は、前記麺生地シートが形成されてから、前記排出台の先端が前記第2コンベアの上方の所定位置に臨むまでの間、前記第1コンベア及び前記排出台を前記第1コンベアの順送方向に前進移動させ、前記麺生地シートの先端が前記第2コンベアに接してから前記麺生地シートの後端が前記第2コンベアの上に滑り落ちるまでの間、前記第1コンベア及び前記排出台を前記第1コンベアの逆送方向に後退移動させ、
前記第2コンベアは、前記麺生地シートの先端が前記第2コンベアに接してから前記麺生地シートの後端が前記第2コンベアの上に滑り落ちるまでの間停止する
ことを特徴とする麺製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載された麺製造装置において、
前記第1コンベアによる前記麺生地シートの搬送速度と、前記往復移動機構による前記第1コンベア及び前記排出台の後退速度とは、等速度に設定されている
ことを特徴とする麺製造装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された麺製造装置において、
前記麺棒支持部は、前記麺生地が所定の長さ引き出されてから、前記麺生地シートの後端が前記第2コンベアの上に滑り落ちるまでの間、回転を停止させた状態で前記麺棒を支持する
ことを特徴とする麺製造装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載された麺製造装置において、
前記麺棒支持部は、固定部と、前記固定部に対して前記第1コンベアの搬送方向に沿って近接離反が可能な可動部と、を有し、
前記麺棒は、前記固定部と前記可動部との間に配置され、
前記可動部は、前記固定部に近づき、前記固定部との間に前記麺棒を挟み込んで前記麺棒の回転を停止させる
ことを特徴とする麺製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載された麺製造装置において、
前記可動部は、前記固定部との間に前記麺棒を挟み込む挟持面と、前記麺棒を支持可能な支持面と、を有し、
前記支持面は、前記挟持面の下端から前記固定部の側へ下り勾配に傾斜した傾斜面を有する
ことを特徴とする麺製造装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載された麺製造装置において、
前記第1コンベアと前記排出台とを搭載するユニットフレームと、
前記第1コンベアの搬送方向に延びると共に、前記ユニットフレームがスライド可能に取り付けられるレールと、を備え、
前記往復移動機構は、前記ユニットフレームを前記レールに沿って往復移動させる
ことを特徴とする麺製造装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載された麺製造装置において、
前記麺棒支持部と、前記第1コンベアと、前記排出台と、前記第1カッタ部と、前記往復移動機構とは、前記第2コンベア及び前記押し切りカッタ部に対して着脱可能である
ことを特徴とする麺製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、麺製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手打ち蕎麦における蕎麦打ち作業の最終工程では、職人は、麺棒に巻き付けた蕎麦生地を広げてから所要の幅に折り畳み、折り畳まれた蕎麦生地を包丁で切断し、1本ずつの麺(麺線)を形成する。
【0003】
これに対し、大量の需要に応じるため、帯状に圧延された麺生地を押し切りカッタで切断して麺線を形成する麺製造装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭61-7569公報
【特許文献2】特開昭60-41451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、特許文献1に開示の麺製造装置では、圧延機構で圧延された麺生地を作業者が取り出してから三つ折り等に折り畳み、コンベア上に載置しなおしてから、押し切りカッタを作動させる。そのため、特許文献1に開示の麺製造装置は、押し切りカッタに向けて自動的に麺生地を搬送させることができず、作業効率が悪いという問題があった。
【0006】
また、例えば、特許文献2に開示の麺製造装置では、押し切りカッタに向けて麺生地を搬送する途中、並列に並ぶ一対のコンベアを互いに反対方向に駆動させることで麺生地を回転させ、方向転換して圧延してから切断している。さらに、特許文献2に開示の麺製造装置では、装置全体の設置面積を小さくするため、上段のロールセットから排出された麺生地を、案内板の上を滑らせながら下方に配置されたコンベア上に落下させ、下段のロールセットに向けて搬送する。しかしながら、麺生地が搬送中に回転したり、落下したりする場合では、例えば十割蕎麦生地のような粘りが少ない麺生地では、押し切りカッタで切断する前に麺生地に破れが生じることがある。
【0007】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、麺線を形成する押し切りカッタに向けて麺生地の破れを防止しつつ、自動的に搬送することができる麺製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に対して、本発明は帯状の麺生地を巻き付けた麺棒の両端部を支持すると共に、前記麺棒の回転許容と回転停止を切替可能な麺棒支持部と、搬送動作に伴って前記麺棒を回転させて、前記麺生地を引き出す第1コンベアと、前記第1コンベアの搬送方向の終端部に隣接して配置され、先端に向かって下り勾配に傾斜した傾斜面を有する排出台と、前記第1コンベアの上に前記麺生地が所定の長さ引き出されたとき、前記第1コンベアの搬送方向に直交する方向に沿って前記麺生地を切断し、所定長さの麺生地である麺生地シートを形成する第1カッタ部と、前記第1コンベア及び前記排出台を一体的に、前記第1コンベアの搬送方向に沿って往復移動させる往復移動機構と、前記第1コンベア及び前記排出台よりも下方に配置され、前記麺生地シートを搬送可能な第2コンベアと、前記第2コンベアによって搬送された前記麺生地シートを、前記第2コンベアの搬送方向に直交する方向に沿って一定の間隔で切断して麺線を形成する押し切りカッタ部と、を備えている。そして、前記第1コンベアは、前記麺棒支持部によって前記麺棒が回転許容状態で支持されてから、前記麺生地が所定の長さ引き出されるまでの間駆動し、前記麺生地が所定の長さ引き出されてから、前記排出台の先端が前記第2コンベアの上方の所定位置に臨むまでの間停止し、前記排出台の先端が前記第2コンベアの上方の所定位置に臨んでから前記麺生地シートの後端が前記第2コンベアの上に滑り落ちるまでの間駆動する。前記往復移動機構は、前記麺生地シートが形成されてから、前記排出台の先端が前記第2コンベアの上方の所定位置に臨むまでの間、前記第1コンベア及び前記排出台を前記第1コンベアの順送方向に前進移動させ、前記麺生地シートの先端が前記第2コンベアに接してから前記麺生地シートの後端が前記第2コンベアの上に滑り落ちるまでの間、前記第1コンベア及び前記排出台を前記第1コンベアの逆送方向に後退移動させる。前記第2コンベアは、前記麺生地シートの先端が前記第2コンベアに接してから前記麺生地シートの後端が前記第2コンベアの上に滑り落ちるまでの間停止する。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明の麺製造装置は、麺線を形成する押し切りカッタに向けて、麺生地の破れを防止しつつ、自動的に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4A】実施例1の麺棒支持部を示す要部拡大説明図である。
【
図4B】実施例1の麺棒支持部によって麺棒の回転を停止させた状態を示す要部拡大説明図である。
【
図5】実施例1の麺製造装置における制御構成を示すブロック図である。
【
図6A】実施例1の麺製造装置における麺生地の搬送を示す説明図である。
【
図6B】実施例1の麺製造装置における麺生地の搬送停止を示す説明図である。
【
図6C】実施例1の麺製造装置における麺生地の切断を示す説明図である。
【
図6D】実施例1の麺製造装置における搬送部の前進を示す説明図である。
【
図7】ユニットフレームが前進した状態の実施例1の麺製造装置の斜視図である。
【
図8】ユニットフレームが前進した状態の実施例1の麺製造装置の側面図である。
【
図9】ユニットフレームが前進した状態の実施例1の麺製造装置の平面図である。
【
図10A】実施例1の麺製造装置における麺生地シートの搬送を示す説明図である。
【
図10B】実施例1の麺製造装置において麺生地シートの先端が第2コンベアに接した状態を示す説明図である。
【
図10C】実施例1の麺製造装置における搬送部の後退を示す説明図である。
【
図10D】実施例1の麺製造装置における第2コンベアによる麺生地シートの搬送を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の麺製造装置を実施するための形態は、図面に示す実施例1に基づいて以下のように説明される。
【0012】
図1に示された実施例1の麺製造装置1は、予め圧延されて麺棒100に巻き付けられた帯状の麺生地101を所定の長さ引き出してから切断して麺生地シート102を形成し、さらに、麺生地シート102を一定の間隔で切断して1本ずつの麺(麺線)を製造する装置である。
【0013】
ここで、麺製造装置1は、
図1に示されたように、搬送部10と、切断部30と、制御部50と、を備えている。搬送部10と切断部30とは、分離可能であり、それぞれ異なる架台(第1架台11と第2架台31)に支持されている。
【0014】
搬送部10は、第1架台11に支持され、麺棒支持部12と、第1コンベア13と、排出台14と、第1カッタ部15と、往復移動機構16と、を有している。また、搬送部10は、麺棒支持部12と、第1コンベア13と、排出台14と、第1カッタ部15と、を搭載するユニットフレーム21と、ユニットフレーム21がスライド可能に取り付けられたレール22と、を有している。
【0015】
ここで、レール22は、第1架台11の上部に固定され、第1コンベア13の搬送方向に延びると共に、所定間隔をあけて対向した一対のレール部材によって構成されている。
【0016】
ユニットフレーム21は、一対の平行フレーム23と、連結フレーム24と、から構成されている。一対の平行フレーム23は、第1コンベア13の搬送方向に延びると共に、所定間隔をあけて対向している。連結フレーム24は、一対の平行フレーム23の一方の端部を連結する。なお、連結フレーム24は、第1コンベア13の搬送方向の始端部13xに隣接して配置される。また、連結フレーム24と第1コンベア13との間には、第1コンベア13の動きを阻害しない程度の隙間が確保されている。そして、ユニットフレーム21には、往復移動機構16が連結されており、ユニットフレーム21は、往復移動機構16によって、レール22に沿った往復移動が可能になっている。
【0017】
麺棒支持部12は、ユニットフレーム21の平行フレーム23の上面に設置され、麺棒100の両端部100aを支持する。ここで、麺棒支持部12は、一対の固定部12aと、それぞれの固定部12aに対向する一対の可動部12bと、各可動部12bを移動させる一対の電動シリンダ12cと、を有し、麺棒100の回転許容と回転停止を切替可能である。麺棒100は、固定部12aと可動部12bの間に着脱可能に配置される。
【0018】
固定部12aは、
図2及び
図3に示されたように、平行フレーム23の上面に固定され、可動部12bに臨むと共に垂直方向に延びる規制面12dを有している(
図4A、
図4B参照)。
【0019】
可動部12bは、固定部12aに対して第1コンベア13の搬送方向に沿って近接離反が可能となるように平行フレーム23の上面に摺動可能に設けられている(
図2及び
図3参照)。可動部12bは、
図4A及び
図4Bに示されたように、固定部12aの規制面12dに臨む挟持面12e及び支持面12fと、固定部12aとは反対側に向いた背面12gと、を有している。挟持面12eは、垂直方向に延びた面であり、固定部12aとの間に麺棒100を挟み込む。支持面12fは、挟持面12eの下端から固定部12aの側へ下り勾配に傾斜した傾斜面であり、麺棒100を支持可能である。背面12gには、電動シリンダ12cの後述するロッド12kの先端が取り付けられている。
【0020】
電動シリンダ12cは、ケース12hに収容された電動モータ12jと、電動モータ12jによってケース12hから出没させられるロッド12kと、を有している。ケース12hは、平行フレーム23の上面に固定されている(
図2及び
図3参照)。電動モータ12jは、制御部50によって制御され、ロッド12kを出没させることで、可動部12bを移動させる。
【0021】
麺棒100は、ロッド12kがケース12hに収容され、可動部12bが固定部12aから離れることで、規制面12dと挟持面12eとの距離ΔPが、麺棒100の直径Rよりも開いているとき、第1コンベア13の上に載置される(
図4A参照)。このとき、第1コンベア13の後述する第1搬送ベルト13cには、巻き付けられた麺生地101の重さを含む麺棒100の重量が掛かる。そのため、第1搬送ベルト13cに接している麺生地101と第1搬送ベルト13cとの間に生じる摩擦力が大きくなる。そして、この状態で第1コンベア13が駆動すると、第1搬送ベルト13cに接した麺生地101は、第1搬送ベルト13cとの摩擦により、第1搬送ベルト13cに接触したまま移動する。これにより、麺生地101が引っ張られ、麺棒100は、固定部12aによって前方(第1コンベア13の順送方向(送り方向))への移動が規制された状態で、回転(自転)する。つまり、麺棒支持部12は、麺棒100の回転を許容した状態で支持する。
【0022】
また、麺棒100は、ロッド12kがケース12hから突出し、可動部12bが固定部12aに近づいて、規制面12dと挟持面12eとの距離ΔPが、麺棒100の直径Rと同じ長さになっているとき、支持面12fに乗り上げる。これにより、麺棒100が持ち上げられ、第1搬送ベルト13cには、麺生地101の重さを含む麺棒100の重量が掛からない。つまり、第1搬送ベルト13cには、麺棒100から垂れ下がって第1搬送ベルト13cに接触している麺生地101の一部分の重量しか掛からない。したがって、第1搬送ベルト13に接している麺生地101と第1搬送ベルト13cとの間に生じる摩擦力が小さくなり、この状態で第1コンベア13が駆動しても、第1搬送ベルト13cに接した麺生地101は、第1搬送ベルト13cに対してスリップして移動しない。さらに、麺棒100は、規制面12dと挟持面12eで挟まれる。これにより、麺棒100は、第1コンベア13から持ち上げられた状態で回転が停止される(
図4B参照)。つまり、麺棒支持部12は、麺棒100の回転を停止させた状態で支持する。
【0023】
第1コンベア13は、麺棒100の軸方向に直交する方向に麺生地101及び麺生地シート102(
図6C等参照)を搬送可能なベルトコンベアである。第1コンベア13は、搬送動作に伴って、第1コンベア13の上に載置された麺棒100を回転させて、麺生地101を巻きほどく。これにより、麺生地101は、麺棒100から引き出される。第1コンベア13は、駆動ロール13aと、従動ロール13bと、無端状の第1搬送ベルト13cと、第1コンベア用モータ13dと、を有している。
【0024】
駆動ロール13a及び従動ロール13bは、ユニットフレーム21の平行フレーム23に両端部が回転自在に支持されている。なお、ここでは、駆動ロール13aが連結フレーム24の近傍に配置され、従動ロール13bが、平行フレーム23の他方の端部に配置されている。
【0025】
第1搬送ベルト13cは、駆動ロール13aと従動ロール13bの間に架け渡されている。第1搬送ベルト13cは、麺生地101との摩擦係数が高い素材によって形成されている。第1搬送ベルト13cの摩擦係数は、第1コンベア13によって麺生地101を搬送する際、麺生地101が第1搬送ベルト13cに対して滑らずに麺棒100を回転させる程度であることが望ましい。
【0026】
第1コンベア用モータ13dは、平行フレーム23の側面に取り付けられると共に、制御部50によって制御され、駆動ロール13aを一定の方向に回転させる電動式のモータである。実施例1の第1コンベア用モータ13dは、
図2において駆動ロール13aを反時計回りに回転させる。これにより、第1搬送ベルト13cは、
図2において反時計回りに回転し、第1コンベア13は、
図2の左方向に向かって麺生地101や麺生地シート102を搬送する。
【0027】
排出台14は、第1コンベア13の終端部13yに隣接して配置された帯状のプレート部材である。排出台14は、麺生地シート102との摩擦係数が低い素材によって形成されている。排出台14の摩擦係数は、第1コンベア13によって搬送された麺生地シート102が排出台14に対して滑り、第1コンベア13の搬送動作に伴って排出台14の上で麺生地シート102の移動が可能な程度であることが望ましい。
【0028】
排出台14は、平行フレーム23に長手方向の両端部が支持され、先端14aに向かって下り勾配に傾斜した傾斜面14bを有している。排出台14は、平行フレーム23に対して固定されており、傾斜面14bの傾斜角度は変化しない。なお、傾斜角度は任意に設定可能であるが、小さい方が好ましい。また、排出台14は、第1コンベア13の終端部13y上に被さった状態で固定されている。排出台14と第1コンベア13の終端部13yとの間には、打ち粉を排出可能であって、搬送される麺生地シート102の先端102aが入り込まない程度の隙間が確保されている。
【0029】
第1カッタ部15は、第1コンベア13によって搬送された麺生地101を、搬送方向に直交する方向に沿って切断し、所定長さの麺生地101である麺生地シート102を形成する。第1カッタ部15は、麺棒支持部12よりも、第1コンベア13の搬送方向の下流側に配置されている。第1カッタ部15は、第1カッタ15aと、第1カッタ駆動部15bと、を有している。
【0030】
第1カッタ15aは、搬送方向に直交する方向に延びる刃を有し、第1コンベア13の幅とほぼ同程度の刃渡りを有している。第1カッタ駆動部15bは、制御部50によって制御され、第1カッタ15aを垂直方向(上下方向)に往復移動させる。
【0031】
往復移動機構16は、ユニットフレーム21を第1コンベア13の搬送方向に沿って往復移動させる機構である。往復移動機構16は、駆動プーリ16aと、従動プーリ16bと、無端ベルト16cと、ユニット駆動モータ16dと、を有している。
【0032】
駆動プーリ16a及び従動プーリ16bは、回転軸を垂直に向けた状態で、第1コンベア13の下側に設置されている。また、駆動プーリ16a及び従動プーリ16bは、第1コンベア13の搬送方向に沿って並んでおり、駆動プーリ16aが搬送方向の始端部13x側に配置され、従動プーリ16bが搬送方向の終端部13y側に配置されている。
【0033】
無端ベルト16cは、駆動プーリ16aと従動プーリ16bとの間に架け渡されている。また、無端ベルト16cには、図示しないが、ユニットフレーム21が固定されている。ここで、ユニットフレーム21が固定される位置は、無端ベルト16cのうち、駆動プーリ16a及び従動プーリ16bに巻きつかない位置である。このため、無端ベルト16cにユニットフレーム21が固定された位置は、直進移動のみ行う。
【0034】
ユニット駆動モータ16dは、第1コンベア13の下側に配置されると共に、制御部50によって制御され、駆動プーリ16aを正逆両方向に適宜回転させる電動式のモータである。なお、駆動プーリ16aが順方向に回転したとき、無端ベルト16cは、
図3において反時計回りに回転する。このとき、無端ベルト16cにユニットフレーム21が固定された位置は、第1コンベア13の順送方向(送り方向)に移動する。また、駆動プーリ16aが逆方向に回転したとき、無端ベルト16cは、
図3において時計回りに回転する。このとき、無端ベルト16cにユニットフレーム21が固定された位置は、第1コンベア13の逆送方向に移動する。
【0035】
切断部30は、第2架台31に支持され、第2コンベア32と、押し切りカッタ部33と、を有している。
【0036】
第2コンベア32は、麺生地シート102を搬送可能なベルトコンベアである。第2コンベア32は、第1コンベア13及び排出台14よりも下方に配置され、第1コンベア13から排出された麺生地シート102は、第2コンベア32の上に載置される。ここで、排出台4の先端14aと第2コンベア32と間には、搬送部10の動きを阻害しない隙間が確保されている。なお、排出台14の先端14aと第2搬送ベルト32cとの隙間は、できるだけ少ない(近い)方が望ましい。また、実施例1では、第2コンベア32の搬送方向が、第1コンベア13の搬送方向と直交する方向となるように設置されている。
【0037】
そして、第2コンベア32は、駆動ロール32aと、従動ロール32bと、無端状の第2搬送ベルト32cと、第2コンベア用モータ32dと、を有している。
【0038】
駆動ロール32a及び従動ロール32bは、第2架台31に両端部が回転自在に支持されている。第2搬送ベルト32cは、駆動ロール32aと従動ロール32bの間に架け渡されている。なお、搬送部10は、第2コンベア32の搬送方向の中間部に配置される(
図3参照)。
【0039】
また、第2搬送ベルト32cは、麺生地101との摩擦係数が高い素材によって形成されている。第2搬送ベルト32cの摩擦係数は、第1コンベア13によって搬送された麺生地シート102が第2搬送ベルト32cに対して滑らない程度であることが望ましい。
【0040】
第2コンベア用モータ32dは、第2架台31の側面に取り付けられると共に、制御部50によって制御され、駆動ロール32aを一定の方向に回転させる電動式のモータである。ここでは、第2コンベア用モータ32dは、
図1において駆動ロール32aを反時計回りに回転させる。これにより、第2搬送ベルト32cは、
図1において反時計回りに回転し、第2コンベア32は、
図3の上方向に向かって麺生地シート102を搬送する。
【0041】
押し切りカッタ部33は、第2コンベア32によって搬送された麺生地シート102を、搬送方向に直交する方向に沿って一定の間隔で切断し、1本ずつの麺(麺線)を形成する。押し切りカッタ部33は、第2コンベア32の搬送方向の終端部の近傍に配置されている。押し切りカッタ部33は、押し切りカッタ33aと、押し切りカッタ駆動部33bと、を有している。
【0042】
押し切りカッタ33aは、搬送方向に直交する方向に延びる刃を有し、第2コンベア32の幅とほぼ同程度の刃渡りを有している。押し切りカッタ駆動部33bは、制御部50によって制御され、押し切りカッタ33aを垂直方向(上下方向)に往復移動させる。
【0043】
制御部50は、CPU等の演算装置を有し、麺製造装置1の動作を統括的に制御する。制御部50は、
図5に示されたように、タイマ51と、麺生地センサ52と、電動モータ12jと、第1コンベア用モータ13dと、第1カッタ駆動部15bと、ユニット駆動モータ16dと、第2コンベア用モータ32dと、押し切りカッタ駆動部33bと、が電気的に接続されている。
【0044】
タイマ51は、制御部50に内蔵され、例えば、図示しない麺製造装置1の電源がON操作されてからの経過時間や、電動モータ12jの駆動時間等をカウントする。タイマ51によってカウントされた時間情報は、制御部50に入力される。
【0045】
麺生地センサ52は、色の違いを判別可能な、いわゆるカラーセンサである。麺生地センサ52は、
図1に示されたように、一対の平行フレーム23の間を跨るように設置された櫓部材52aに支持され、第1コンベア13の終端部13yの近傍に位置している。麺生地センサ52は、第1コンベア13の第1搬送ベルト13cに向かって上方から検出光を出射し、反射光された光を受光して制御部50に出力する。制御部50は、第1搬送ベルト13cによる反射光と、麺生地101による反射光との違いに基づいて、麺生地101が麺棒100から所定長さ引き出されたことを判断する。
【0046】
実施例1の麺製造装置1の動作は、以下のように説明される。
【0047】
実施例1の麺製造装置1は、
図1~
図3に示す初期状態で、図示しない電源スイッチがON/OFF制御される。実施例1の麺製造装置1では、初期状態において、ユニットフレーム21が、第1コンベア13の逆送方向に最大限後退移動している。また、麺棒支持部12の可動部12bが、固定部12aに対して最大限離れている。さらに、第1カッタ15aが、上方位置で停止している。また、第1コンベア13及び第2コンベア32は、いずれも停止している。
【0048】
実施例1の麺製造装置1は、予め帯状に圧延された麺生地101が巻き付けられた麺棒100が、麺棒支持部12にセット(固定部12aと可動部12bとの間に配置)された状態で電源スイッチがON制御される。初期状態において、固定部12aに対して可動部12bが最大限離れているため、麺棒支持部12にセットされた麺棒100は、第1コンベア13の上に載置される(
図4A参照)。これにより、麺生地101のうち、第1コンベア13の第1搬送ベルト13cに接した部分は、麺棒100の重さで第1搬送ベルト13cに押さえつけられる。
【0049】
そして、電源スイッチがON制御されて、麺製造装置1に電力が供給されたとき、制御部50は、第1コンベア用モータ13dの駆動を開始し、駆動ロール13aを回転させる。このとき、麺生地101の重さを含む麺棒100の重量により、麺棒100に巻き付けられた麺生地101の外周面と、第1搬送ベルト13cの上面との間の摩擦力によって、麺生地101が第1搬送ベルト13cに接した状態で、第1搬送ベルト13cと一体に移動する。そのため、
図6Aに示されたように、第1コンベア13の搬送動作に伴って麺生地101が引っ張られる。このとき、麺棒100は、固定部12aに突き当たって順送方向への移動が規制されているため、麺生地101が第1コンベア13によって搬送されることでその場で回転(自転)する。これにより、麺生地101は、麺棒100から巻きほどかれて、引き出される。麺棒100から引き出された麺生地101は、第1カッタ15aの下方を通り、第1コンベア13の終端部13yに向かって搬送される。
【0050】
次に、制御部50は、麺生地センサ52によって検出された反射光が、麺生地101による反射光であると判断したとき、麺生地101が所定の長さ引き出されたと判断する。そして、制御部50は、
図6Bに示されたように、第1コンベア用モータ13dの駆動を停止する。
【0051】
このように、第1コンベア13は、麺棒100が第1コンベア13に載置されてから、麺生地101が所定の長さ引き出されるまでの間駆動する。
【0052】
続いて、制御部50は、麺棒支持部12の電動モータ12jの駆動を開始し、ロッド12kをケース12hから突出させて、可動部12bを固定部12aに近づける。これにより、麺棒100は、麺棒支持部12の支持面12fに乗り上げ、規制面12dと挟持面12eとの間に挟まれる。そして、麺棒100は、第1コンベア13から持ち上げられた状態で回転が停止される。
【0053】
制御部50は、規制面12dと挟持面12eとの間に麺棒100が挟まれたとき、電動モータ12jの駆動を停止し、麺棒支持部12の可動部12bの位置を維持させる。このため、麺棒100は、第1コンベア13から持ち上げられた状態で回転が停止されたままになる。
【0054】
制御部50は、麺棒100が第1コンベア13から持ち上げられて回転が停止されたとき、
図6Cに示されたように、第1カッタ駆動部15bを駆動して、第1カッタ15aを下方に移動させ、麺生地101を切断する。これにより、所定長さの麺生地101である麺生地シート102が形成される。
【0055】
制御部50は、麺生地シート102が形成された後、第1カッタ駆動部15bを再び駆動して、第1カッタ15aを上方に移動させる。なお、制御部50は、第1カッタ15aが上方に移動したら、第1カッタ15aを上方位置で停止させる。続いて、制御部50は、第1コンベア用モータ13dを停止させたまま、ユニット駆動モータ16dの順方向への駆動を開始し、駆動プーリ16aを順方向に回転させる。これにより、往復移動機構16の無端ベルト16cが平面視で反時計回りに移動し、
図6Dに示されたように、無端ベルト16cに固定されたユニットフレーム21(ここでは不図示)が、第1コンベア13及び排出台14と一体的になって、第1コンベア13の順送方向(送り方向)に前進する。
【0056】
このとき、制御部50は、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨むまで、ユニット駆動モータ16dを駆動する。ここで、「第2コンベア32の上方の所定位置α」とは、第2コンベア32の幅方向の側縁のうち、第1コンベア13側の側縁34からの距離ΔL1が、麺生地シート102の搬送方向の長さΔL2よりも長くなる任意の位置である。このため、ユニットフレーム21の順送方向への最大前進時、第1架台11から排出台14の先端14aまでの距離は、麺生地シート102の搬送方向の長さΔL2よりも長くなる。
【0057】
このように、実施例1の制御部50は、麺生地シート102が形成されたとき、第1コンベア13を停止させたまま、往復移動機構16によって、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨むまで、第1コンベア13及び排出台14を第1コンベア13の順送方向に前進させる。
【0058】
すなわち、往復移動機構16は、麺生地シート102が形成されてから、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨むまでの間、第1コンベア13及び排出台14を第1コンベア13の順送方向に前進移動させる。
【0059】
また、第1コンベア13は、麺生地101が所定の長さ引き出されてから、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨むまでの間停止し、第1コンベア13上に麺生地シート102が載置された状態を維持する。
【0060】
この結果、
図7~
図9に示されたように、ユニットフレーム21は、第1コンベア13に麺生地シート102を載せたまま最大前進状態となり、第1コンベア13は、第2コンベア32の上方に張り出した状態になる。
【0061】
そして、制御部50は、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨んだと判断したとき、ユニット駆動モータ16dを停止し、ユニットフレーム21の位置を最大前進状態で維持させる。なお、制御部50は、ユニット駆動モータ16dの駆動量に基づいて、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨んだか否かを判断する。つまり、制御部50は、ユニット駆動モータ16dの駆動量が、予め設定された所定駆動量に達したとき、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨んだと判断する。
【0062】
続いて、制御部50は、第1コンベア用モータ13dの駆動を開始し、駆動ロール13aを回転させる。これにより、
図10Aに示されたように、麺生地シート102は、第1コンベア13の終端部13yに向かって搬送される。このように、制御部50は、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨んだと判断すると、第1コンベア13によって麺生地シート102を搬送させる。
【0063】
麺生地シート102は、第1コンベア13によって搬送され、先端102aが第1コンベア13の終端部13yと排出台14との隙間を乗り越えると、排出台14の傾斜面14bに乗り上げていく。なお、麺生地シート102の先端102aとは、麺生地シート102の搬送方向の上流端である。
【0064】
ここで、排出台14の摩擦係数が低く、麺生地シート102が傾斜面14bに対して滑る。このため、排出台14に傾斜面14bに乗り上げた麺生地シート102は、第1コンベア13による麺生地シート102の搬送に伴って、次第に傾斜面14bの上を滑り落ちていく。
【0065】
そして、制御部50は、
図10Bに示されたように、麺生地シート102の先端102aが第2コンベア32の第2搬送ベルト32cに接触したと判断したとき、第1コンベア用モータ13dを駆動したまま、ユニット駆動モータ16dの逆方向への駆動を開始し、駆動プーリ16aを逆方向に回転させる。これにより、往復移動機構16の無端ベルト16cが平面視で時計回りに移動し、
図10Cに示されたように、無端ベルト16cに固定されたユニットフレーム21(ここでは不図示)が、第1コンベア13及び排出台14と一体的になって、第1コンベア13の逆送方向に後退する。
【0066】
なお、タイマ51は、第1コンベア用モータ13dが駆動を開始したとき、経過時間のカウントを開始する。そして、制御部50は、タイマ51によってカウントされた第1コンベア用モータ13dの駆動開始からの経過時間に基づいて、麺生地シート102の先端102aが第2コンベア32の第2搬送ベルト32cに接触したか否かを判断する。つまり、制御部50は、タイマ51によってカウントされた経過時間が、予め設定された所定時間に達したとき、麺生地シート102の先端102aが第2コンベア32の第2搬送ベルト32cに接触したと判断する。
【0067】
また、制御部50は、ユニットフレーム21を後退させる際、第1コンベア13の第1コンベア用モータ13dによる麺生地シート102の搬送速度と、往復移動機構16のユニット駆動モータ16dによるユニットフレーム21(第1コンベア13及び排出台14)の後退速度とを等速度に設定する。
【0068】
そして、制御部50は、麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちて、第2コンベア32の上に麺生地シート102が載置され、さらにユニットフレーム21が初期位置に位置するまで、第1コンベア用モータ13dの駆動と、ユニット駆動モータ16dの駆動を継続する。なお、麺生地シート102の後端102bとは、麺生地シート102の搬送方向の下流端である。また、制御部50は、ユニットフレーム21が初期位置に位置したことを、ユニット駆動モータ16dの駆動量に基づいて判断する。
【0069】
さらに、制御部50は、少なくとも、麺生地シート102の先端102aが第2コンベア32に接触してから、麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちるまでの間、第2コンベア32を停止する。
【0070】
このように、実施例1の制御部50は、麺生地シート102の先端102aが第2コンベア32に接してから、麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちるまで、第1コンベア13によって麺生地シート102を搬送しつつ、同時に、往復移動機構16によって、第1コンベア13及び排出台14を第1コンベア13の逆送方向に後退させる。
【0071】
すなわち、第1コンベア13は、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨んでから、麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちるまでの間駆動し、麺生地シート102を搬送する。
【0072】
また、往復移動機構16は、麺生地シート102の先端102aが第2コンベア32に接してから、麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちるまでの間、第1コンベア13及び排出台14を第1コンベア13の逆送方向に後退移動させる。
【0073】
さらに、第2コンベア32は、麺生地シート102の先端102aが第2コンベア32に接触してから、麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちるまでの間、停止する。
【0074】
そして、制御部50は、麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちたとき、第2コンベア用モータ32dの駆動を開始し、駆動ロール32aを回転させる。これにより、
図10Dに示されたように、押し切りカッタ部33に向けて麺生地シート102が搬送される。また、制御部50は、押し切りカッタ駆動部33bの駆動を開始し、押し切りカッタ33aを一定速度で上下動させる。これにより、押し切りカッタ33aの下方を麺生地シート102が通過することで、麺生地シート102は、一定間隔で切断され、麺線が形成される。
【0075】
一方、ユニットフレーム21が初期位置まで後退したら、制御部50は、固定部12aに対して可動部12bが離れるように移動させる。これにより、麺棒100は、第1コンベア13の上に載置される。そして、制御部50は、再び第1コンベア13の駆動を開始して、麺生地101の搬送を開始する。以降、制御部50は、これらの一連の動作を繰り返し実行させる。
【0076】
実施例1の麺製造装置1の作用は、以下のように説明される。
【0077】
実施例1の麺製造装置1では、上述のように、搬送動作に伴って麺棒100を回転させて、麺生地101を引き出す第1コンベア13が、麺棒支持部12によって麺棒100が回転許容状態で支持されてから、麺生地101が所定の長さ引き出されるまでの間、駆動する。また、第1コンベア13は、麺生地101が所定の長さ引き出されてから、第1コンベア13の終端部13yに隣接して配置され、先端14aに向かって下り勾配に傾斜した排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨むまでの間、停止する。さらに、第1コンベア13は、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨んでから麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちるまでの間、駆動する。
【0078】
また、実施例1の麺製造装置1では、第1コンベア13及び排出台14を一体的に、第1コンベア13の搬送方向に沿って往復移動させる往復移動機構16が、麺生地シート102が形成されてから、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨むまでの間、第1コンベア13及び排出台14を第1コンベア13の順送方向に前進移動させる。また、往復移動機構16は、麺生地シート102の先端102aが第2コンベア32に接してから麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちるまでの間、第1コンベア13及び排出台14を第1コンベア13の逆送方向に後退移動させる。
【0079】
さらに、実施例の1の麺製造装置1では、第1コンベア13及び排出台14よりも下方に配置され、第1コンベア13の搬送方向と直交する方向に麺生地シート102を搬送可能な第2コンベア32が、麺生地シート102の先端102aが第2コンベア32に接してから、麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちるまでの間、停止する。
【0080】
つまり、実施例1の麺製造装置1は、押し切りカッタ部33に向けて麺生地シート102を搬送する第2コンベア32の上に麺生地シート102を搬送しながら、麺生地シート102を搬送する第1コンベア13を逆送方向に後退させる。
【0081】
このため、実施例1の麺製造装置1は、第2コンベア32の上で麺生地シート102を引っ張ったり押したりすることなく順次繰り出し、第2コンベア32の上に、麺生地シート102を広げながら載置していくことができる。これにより、麺生地シート102は、第2コンベア32の上で撓んだり、折れ曲がったりすることがない。この結果、実施例1の麺製造装置1は、例えばつなぎを使用しないために粘りが少なく、千切れ易い十割蕎麦生地等であっても、搬送に伴う麺生地101の破れを防止することができる。
【0082】
なお、実施例1の麺製造装置1では、排出台14の先端14aと第2コンベア32との間に生じた隙間をできるだけ少なくすることで、排出台14から突出し、第2コンベア32に接する前の麺生地シート102の長さを、できるだけ短くすることができる。これにより、実施例1の麺製造装置1は、排出台14或いは第2コンベア32によって支えられない麺生地シート102の面積を少なくして、麺生地シート102の破れを抑制することができる。
【0083】
また、帯状の麺生地101が巻き付けられた麺棒100が、実施例1の麺製造装置1の麺棒支持部12にセットされれば、麺生地101が麺棒100から引き出され、所定長さの麺生地101である麺生地シート102が自動で形成される。さらに、麺生地シート102は、第2コンベア32の上に自動的に搬送され、押し切りカッタ33aに向けて搬送される。このように、実施例1の麺製造装置1は、麺棒100に巻き付いた薄くて破れやすい麺生地101を取り扱うことが可能になり、麺線を形成する押し切りカッタ33aに向けて麺生地101の破れを防止しつつ、自動的に搬送することができる。
【0084】
そして、実施例1の麺製造装置1は、押し切りカッタ33aに向けて麺生地101を自動的に搬送できることから、手作業で麺生地101を搬送する場合と比べて、作業効率を向上させることができる。
【0085】
さらに、実施例1の麺製造装置1では、第1コンベア13の搬送方向と、第2コンベア32の搬送方向とが直交している。このため、実施例1の麺製造装置1は、麺生地101を第1コンベア13の搬送方向に直交する方向に切断して麺生地シート102を形成した後、第2コンベア32によって、麺生地シート102を第1コンベア13の搬送方向に直交する方向に搬送しつつ、第2コンベア32の搬送方向に直交する方向に麺生地シート102を切断して麺線を形成する。このため、実施例1の麺製造装置1によって製造された麺線の長さ方向は、麺棒100に対する麺生地101の巻き付き方向に沿ったものとなる。これにより、実施例1の麺製造装置1は、腰があり、のど越しの良い麺線を製造することができる。
【0086】
また、実施例1の麺製造装置1では、第1コンベア13による麺生地シート102の搬送速度と、往復移動機構16による第1コンベア13及び排出台14の後退速度とが、等速度に設定されている。
【0087】
これにより、第2コンベア32に接触した麺生地シート102は、第1コンベア13の搬送方向に押されたり引っ張られたりすることがない。このため、実施例1の麺製造装置1は、麺生地シート102を先端102aから後端102bに向かって、第2コンベア32の上に順次、垂直に降ろしていくことができる。そして、実施例1の麺製造装置1は、麺生地シート102の破れをさらに抑制することができる。
【0088】
また、実施例1の麺製造装置1では、麺棒支持部12が、麺生地101が所定の長さ引き出されてから、麺生地シート102の後端102bが第2コンベア32の上に滑り落ちるまでの間、回転停止をさせた状態で麺棒100を支持する。
【0089】
これにより、実施例1の麺製造装置1は、第1コンベア13の搬送動作に伴って、麺棒100に巻き付けられた麺生地101が不要に引き出されることを防止できる。
【0090】
また、実施例1の麺製造装置1では、麺棒支持部12が、固定部12aと、固定部12aに対して第1コンベア13の搬送方向に沿って近接離反が可能な可動部12bと、を有している。そして、麺棒100が、固定部12aと可動部12bとの間に配置され、可動部12bは、固定部12aに近づき、固定部12aとの間に麺棒100を挟み込んで麺棒100の回転を停止させる。
【0091】
これにより、実施例1の麺製造装置1は、麺棒100の回転許容と回転停止を簡易な構造で切り替えることができる。
【0092】
また、実施例1の麺製造装置1では、可動部12bが、固定部12aとの間に麺棒100を挟み込む挟持面12eと、麺棒100を支持可能な支持面12fと、を有している。そして、支持面12fが、固定部12aの側へ下り勾配に傾斜した傾斜面を有している。
【0093】
これにより、実施例1の麺製造装置1は、麺棒支持部12によって麺棒100の回転を停止した際、麺棒100を第1コンベア13の上から持ち上げて支持することができる。このため、実施例1の麺製造装置1は、麺棒100の回転停止中、麺棒100に巻き付けられた麺生地101が麺棒100の自重で潰されることを防止し、麺生地101の破れを抑制することができる。
【0094】
また、実施例1の麺製造装置1は、麺棒支持部12と第1コンベア13と排出台14と第1カッタ部15とを搭載するユニットフレーム21と、第1コンベア13の搬送方向に延びると共に、ユニットフレーム21がスライド可能に取り付けられるレール22と、を備えている。そして、実施例1の往復移動機構16は、ユニットフレーム21をレール22に沿って往復移動させる。
【0095】
これにより、実施例1の麺製造装置1は、第1コンベア13及び排出台14を、簡易な構造で一体的に往復移動させることができる。そして、実施例1の麺製造装置1は、第1コンベア13と排出台14との位置ずれを防止して、麺生地シート102の破れの発生を抑制することができる。
【0096】
また、実施例1の麺製造装置1では、麺棒支持部12と、第1コンベア13と、排出台14と、第1カッタ部15と、往復移動機構16と、を有する搬送部10が、第1架台11に支持され、第2コンベア32と、押し切りカッタ部33と、を有する切断部30が、第2架台31に支持されている。そして、第1架台11と第2架台31とは異なる架台であり、搬送部10と切断部30とが分離可能になっている。
【0097】
つまり、実施例1の麺製造装置1では、麺棒支持部12と、第1コンベア13と、排出台14と、第1カッタ部15と、往復移動機構16とが、第2コンベア32及び押し切りカッタ部33に対して着脱可能である。
【0098】
このため、実施例1の麺製造装置1は、例えば、第2コンベア32及び押し切りカッタ部33を有する既存の麺切り装置に対して、麺棒支持部12と、第1コンベア13と、排出台14と、第1カッタ部15と、往復移動機構16とを、後付けすることが可能である。また、第1コンベア13の搬送方向と、第2コンベア32の搬送方向とを任意の方向に設定することができ、麺線の長さ方向と、麺棒100に対する麺生地101の巻き付き方向との角度関係を、所望の関係に設定することが可能となる。
【0099】
以上、本発明の麺製造装置を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0100】
実施例1の麺製造装置1は、カラーセンサである麺生地センサ52の検出結果に基づいて、麺生地101が所定の長さ引き出されたと判断される例が示された。しかしながら、麺生地101が所定の長さ引き出されたか否かは、例えば、第1コンベア13による麺生地101の搬送開始からの経過時間に基づいて判断されてもよい。
【0101】
さらに、排出台14の先端14aが第2コンベア32の上方の所定位置αに臨んだことや、麺生地シート102の先端102aが第2コンベア32の第2搬送ベルト32cに接触したことは、位置センサ等を用いて判断されてもよい。
【0102】
実施例1の麺製造装置1は、搬送部10と切断部30とが、それぞれ異なる架台(第1架台11及び第2架台31)に支持され、分離可能になっている。しかしながら、搬送部10と切断部30とは、同一の架台によって支持されてもよい。つまり、搬送部10と切断部30とが分離不可能であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 麺製造装置
12 麺棒支持部
13 第1コンベア
14 排出台
14a 先端
15 第1カッタ部
16 往復移動機構
21 ユニットフレーム
22 レール
32 第2コンベア
33 押し切りカッタ部
100 麺棒
101 麺生地
102 麺生地シート