(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142337
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】センサにキャップを装着する方法、キャップ、および、キャップ付きセンサ
(51)【国際特許分類】
G01L 19/06 20060101AFI20241003BHJP
G01M 3/06 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
G01L19/06 A
G01M3/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054435
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】木村 夕成
【テーマコード(参考)】
2F055
2G067
【Fターム(参考)】
2F055AA21
2F055BB20
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF21
2F055GG11
2F055HH01
2F055HH07
2G067AA02
2G067AA36
2G067DD15
(57)【要約】
【課題】センサとキャップとの間のシール性を向上させる。
【解決手段】
センサ2にキャップ3を装着する方法であって、キャップ3は、センサ2の開口部23aを閉塞する基部31と、基部31の一側から突出する一側突出部32と、基部31の他側から突出する他側突出部35と、一側突出部32の外周部に形成され、キャップ3がセンサ2に装着された状態で開口部23aの内周面F5に当接する当接部33と、を備え、キャップ3の一側突出部32が、基部31の一側が開口部23aの縁部を形成する壁部23bに当接するまで、開口部23aに挿入される第1挿入工程と、他側突出部35が開口部23a側へ押圧されることにより基部31が弾性変形し、一側突出部32が開口部23aへ、第1挿入工程による挿入位置からさらに深く挿入される第2挿入工程と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ(2)にキャップ(3)を装着する方法であって、
前記キャップ(3)は、
前記センサ(2)の開口部(23a)を閉塞する基部(31)と、
前記基部(31)の一側から突出する一側突出部(32)と、
前記基部(31)の他側から突出する他側突出部(35)と、
前記一側突出部(32)の外周部に形成され、前記キャップ(3)が前記センサ(2)に装着された状態で前記開口部(23a)の内周面(F5)に当接する当接部(33)と、
を備え、
前記キャップ(3)の前記一側突出部(32)が、前記基部(31)の一側が前記開口部(23a)の縁部を形成する壁部(23b)に当接する位置まで、前記開口部(23a)に挿入される第1挿入工程と、
前記他側突出部(35)が前記開口部(23a)側へ押圧されることにより前記基部(31)が弾性変形し、前記一側突出部(32)が前記開口部(23a)へ、前記第1挿入工程による挿入位置からさらに深く挿入される第2挿入工程と、
を含む、方法
【請求項2】
前記第2挿入工程における前記押圧は、前記他側突出部(35)に当接する当接面(41)が平面であるジグ(40)によりなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ジグ(40)の前記当接面(41)は、前記センサ(2)の前記壁部(23b)よりも広く形成されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2挿入工程における前記ジグ(40)の前記当接面(41)は、前記開口部(23a)の軸方向視において、前記開口部(23a)を包含する様に配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
開口部(23a)が形成されているセンサ(2)に着脱可能なキャップ(3)であって、
前記開口部(23a)を閉塞する基部(31)と、
前記基部(31)の一側から突出する一側突出部(32)と、
前記突出部(32)の外周部に設けられ、前記キャップ(3)が前記センサ(2)に装着された状態で前記開口部(23a)の内周面(F5)に当接する当接部(33)と、
前記基部(31)の他側から突出する他側突出部(35)と、
を備える、キャップ。
【請求項6】
開口部(23a)が形成されているセンサ(2)と、前記センサ(2)に着脱可能なキャップ(3)とを備えるキャップ付きセンサ(1)であって、
前記キャップ(3)は、
前記開口部(23a)を閉塞する基部(31)と、
前記基部(31)の一側から突出する一側突出部(32)と、
前記突出部(32)の外周部に設けられ、前記キャップ(3)が前記センサ(2)に装着された状態で前記開口部(23a)の内周面(F5)に当接する当接部(33)と、
前記基部(31)の他側から突出する他側突出部(35)と、
を備え、
前記キャップ(3)が前記センサ(2)に装着された状態において、前記基部(31)の一側が、前記開口部(23a)の縁部を形成する壁部(23b)に当接する、キャップ付きセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサにキャップを装着する方法、キャップ、および、キャップ付きセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の装置において、センサが利用されている。例えば、特許文献1には、車両の燃料タンク内の圧力を検出する圧力センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサの内部へ液体が侵入すると、センサが故障するおそれがある。ゆえに、センサの内部への液体の侵入を抑制するために、センサのシール性を向上させることが望まれている。例えば、特許文献1等に開示されている燃料タンク用の圧力センサは、リークテストにおいて、燃料タンクに取り付けられた状態で水に浸漬される。ゆえに、リークテストにおいて、圧力センサの内部への水の侵入を抑制することが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、センサのシール性を向上させることが可能な、センサにキャップを装着する方法、キャップ、および、キャップ付きセンサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、センサ2にキャップ3を装着する方法であって、前記キャップ3は、前記センサ2の開口部23aを閉塞する基部31と、前記基部31の一側から突出する一側突出部32と、前記基部31の他側から突出する他側突出部35と、前記一側突出部32の外周部に形成され、前記キャップ3が前記センサ2に装着された状態で前記開口部23aの内周面F5に当接する当接部33と、を備え、前記キャップ3の前記一側突出部32が、前記基部31の一側が前記開口部23aの縁部を形成する壁部23bに当接する位置まで、前記開口部23aに挿入される第1挿入工程と、前記他側突出部35が前記開口部23a側へ押圧されることにより前記基部31が弾性変形し、前記一側突出部32が前記開口部23aへ、前記第1挿入工程による挿入位置からさらに深く挿入される第2挿入工程と、を含む、方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、開口部23aが形成されているセンサ2に着脱可能なキャップ3であって、前記開口部23aを閉塞する基部31と、前記基部31の一側から突出する一側突出部32と、前記突出部32の外周部に設けられ、前記キャップ3が前記センサ2に装着された状態で前記開口部23aの内周面F5に当接する当接部33と、前記基部31の他側から突出する他側突出部35と、を備える、キャップが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、開口部23aが形成されているセンサ2と、前記センサ2に着脱可能なキャップ3とを備えるキャップ付きセンサ1であって、前記キャップ3は、前記開口部23aを閉塞する基部31と、前記基部31の一側から突出する一側突出部32と、前記突出部32の外周部に設けられ、前記キャップ3が前記センサ2に装着された状態で前記開口部23aの内周面F5に当接する当接部33と、前記基部31の他側から突出する他側突出部35と、を備え、前記キャップ3が前記センサ2に装着された状態において、前記基部31の一側が、前記開口部23aの縁部を形成する壁部23bに当接する、キャップ付きセンサが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャップ付きセンサのシール性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るキャップ付きセンサを示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るセンサおよび燃料タンクのリークテスト中の状態を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るセンサおよび燃料タンクのリークテスト後の状態を示す図である。
【
図5】
図1にAで示された部分における、キャップ付きセンサ1の部分断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る第1挿入工程を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る第1挿入工程を説明するための図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る第2挿入工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
<キャップ付きセンサの構成>
図1~
図3を参照して、本発明のキャップ付きセンサについて説明する。
【0013】
図1は、キャップ付きセンサ1を示す模式図である。
図1に示されるように、キャップ付きセンサ1は、センサ2と、キャップ3とを備える。センサ2は、燃料タンク(後述する
図2および
図3の燃料タンク4を参照)用の圧力センサである。ただし、センサ2の用途および機能は、この例に限定されない。キャップ3は、センサ2に着脱可能であり、センサ2に取り付けられた状態で当該センサ2の開口部23aを閉塞する。キャップ3は、センサ2および燃料タンクのリークテスト中にセンサ2とキャップ3とのシール性を確保してセンサ2の開口部23aからセンサ内部へ水等が進入することを阻止するために用いられる。
【0014】
センサ2は、本体部21と、タンク接続部22と、コネクタ接続部23とを含む。本体部21には、各種信号処理を行う基板が収容されている。タンク接続部22は、燃料タンクと接続される部分である。タンク接続部22が燃料タンクに接続されると、センサ2は、燃料タンク内の圧力を検出できるようになる。タンク接続部22は、本体部21から第1方向D1に突出する。本実施の形態におけるタンク接続部22は略円筒形状を有する。ただし、タンク接続部22は、円筒形状でない他の筒状の形状であってもよい。タンク接続部22の先端には、開口部22aが形成されている。
【0015】
コネクタ接続部23は、コネクタ(後述する
図3のコネクタ7を参照)と接続される部分である。コネクタ接続部23にコネクタが接続されると、センサ2は、制御装置等の他の装置と通信できるようになる。コネクタ接続部23は、本体部21から第2方向D2に突出する。本実施の形態におけるコネクタ接続部23は略円筒形状を有する。ただし、コネクタ接続部23は、円筒形状でない他の筒状の形状であってもよい。第2方向D2は、第1方向D1に直交する。コネクタ接続部23の先端には、コネクタ7が挿入される開口部23aが形成されている。キャップ3は、コネクタ接続部23の開口部23aに着脱可能となっている。なお、キャップ3の詳細については、後述する。
【0016】
図2は、センサ2および燃料タンク4のリークテスト中の状態を示す図である。
図2に示されるように、センサ2は、燃料タンク4に取り付けられる。具体的には、センサ2のタンク接続部22が燃料タンク4に取り付けられる。センサ2および燃料タンク4のリークテストは、キャップ3がセンサ2に装着された状態で行われる。リークテストでは、水槽5に水6が注入され、水槽5内の水6にセンサ2および燃料タンク4が浸漬される。この状態で、センサ2および燃料タンク4の内部が外部に対して密閉状態になっているか否かが検査される。この際、キャップ3がセンサ2のコネクタ接続部23に装着されていることによって、センサ2の内部への水6の侵入が抑制される。
【0017】
図3は、センサ2および燃料タンク4のリークテスト後の状態を示す図である。リークテスト後に、センサ2および燃料タンク4は、水槽5から取り出される。そして、センサ2からキャップ3が取り外され、センサ2のコネクタ接続部23にコネクタ7が取り付けられる。コネクタ7はケーブル8と接続されている。ゆえに、センサ2は、ケーブル8を介して、制御装置等の他の装置と通信できるようになる。
【0018】
本実施形態では、キャップ3に対して工夫を施すことによって、センサ2とキャップ3とのシール性を向上させることが実現される。以下、
図4~
図8を参照して、このような工夫の詳細について説明する。
【0019】
図4は、キャップ3を説明するための図である。キャップ3は、基部31と、一側突出部32と、他側突出部35と、を備える。
図4は、一側突出部32の長手方向中心軸を含む平面でキャップ3を切断した断面図である。本実施の形態においては、キャップ3をセンサ2に組付けた際に、キャップ3の一側突出部32の長手方向中心軸と、センサ2のコネクタ接続部23の長手方向中心軸とが一致する。
【0020】
キャップ3は、一体成型により形成される。つまり、基部31、一側突出部32および他側突出部35は、1つの部材により形成される。キャップ3は、例えば、ゴム材料によって形成されている。
【0021】
基部31は、平板形状を有する。後述するように、基部31は、センサ2の開口部23aを閉塞する。一側突出部32は、基部31の一側F1から突出する。後述するように、一側突出部32は、キャップ3がセンサ2に装着された状態において、センサ2の開口部23aに挿入される。つまり、キャップ3がセンサ2に装着された状態において、一側突出部32の突出方向は、第2方向D2と一致する。
【0022】
他側突出部35は、基部31の、一側F1とは反対側である他側F2から突出する。他側突出部35の突出方向は、一側突出部32同様、キャップ3がセンサ2に装着された状態において、第2方向D2と一致する。他側突出部35の第2方向D2における中心軸は、一側突出部32の第2方向D2における中心軸に一致する。また、本実施の形態においては、一側突出部32と他側突出部35とは、軸方向視(第2方向D2の方向視)において略同一の形状をなす。他側突出部35の基部31からの突出高さhは、一側突出部32の基部31から突出高さよりも小さい。他側突出部35の突出高さhについては後述する。
【0023】
当接部33は、一側突出部32の外周部に設けられる。後述するように、当接部33は、キャップ3がセンサ2に装着された状態でセンサ2の開口部23aの内周面(後述する
図5の内周面F5を参照)に当接する。当接部33は、一側突出部32の外周部から外側に張り出している。当接部33は、一側突出部32の外周部を一周する環状の凸部である。
図4の例では、2つの当接部33が、一側突出部32の突出方向に間隔を空けて設けられている。ただし、当接部33の数は、この例に限定されず、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。なお、当接部33の形状は、特に限定されず、例えば、図面に示される例に限定されない。例えば、当接部33は表面に平面状の部分を有していてもよく、当接部33の表面全体が湾曲面になっていてもよい。
【0024】
なお、本明細書では、環状は、円形状に限定されず、円形状、楕円形状もしくは多角形状、または、これらの組み合わせ等の種々の形状を含み得る。
【0025】
図5は、
図1にAで示された部分における、キャップ付きセンサ1の部分断面図である。
図5は、一側突出部32の長手方向中心軸を含む平面で切断した断面を示す。(なお、後述する
図6~
図12も、
図5と同一の箇所に対応する部分断面図である。)上述したように、キャップ3は、センサ2のコネクタ接続部23の開口部23aに装着される。
図5に示されるように、キャップ3がセンサ2に装着された状態では、センサ2の開口部23aに、キャップ3の突出部32が挿入される。
【0026】
そして、当接部33が、開口部23aの内周面F5に当接する。具体的には、当接部33は、弾性変形した状態で、開口部23aの内周面F5に当接する。詳細には、当接部33のうち内周面F5に当接する部分(具体的には、径方向外側の部分)が押し潰されるように弾性変形する。このように、当接部33が開口部23aの内周面F5に当接することによって、センサ2の内部への水等の液体の侵入が抑制される。つまり、センサ2のシール性が確保される。
【0027】
基部31の一側F1は、センサ2において開口部23aの縁部を形成する壁部23bと当接する。具体的には、壁部23bは、コネクタ接続部23の先端側の環状の部分である。このような壁部23bに、基部31の一側F1が当接する。この時、基部31の一側F1は、壁部23b完全に覆う。基部31が壁部23bに当接することによっても、センサ2とキャップ3とのシール性は向上される。
【0028】
ここで、開口部23aの内周面F5のうち先端側の部分(具体的には、
図5中で当接部33が当接している部分)には、鏡面加工等が施されており、当該部分の面粗度は低くなっている。それにより、開口部23aの内周面F5と当接部33との間がシールされ、センサ2の内部への水等の液体の侵入が適切に抑制される。
【0029】
<センサにキャップを装着する方法>
次に、
図6~
図8を参照して、センサ2にキャップ3を装着する方法について説明する。
【0030】
センサ2にキャップ3を装着する際には、本発明における、第1挿入工程及び第2挿入工程が実行される。
図6および
図7は、第1挿入工程を説明するための図である。
【0031】
第1挿入工程においては、まず、キャップ3の一側突出部32が、センサ2の開口部23a内に、適宜の方法により挿入される。この時、キャップ3の当接部33は、センサ2の開口部23aの縁部を形成する壁部23b付近であって、開口部23aの内部に位置する(
図6参照)。この時、キャップ3の基部31の外縁部31aを搬送ロボットのアーム等で把持して作業を行うことが可能である。
【0032】
次いで、キャップ3の他側突出部35の端部35aに、ジグ40の当接面41を当接させた後、キャップ3をセンサ2の本体部21側へ押圧する。ジグ40の当接面41は、ジグ40の、キャップ3側端部に形成された平面である。ジグ40は、キャップ3をセンサ2の本体部21側へ押圧することにより、基部31の一側F1を、開口部23aの縁部を形成する壁部23bへ当接させる(
図7参照)。
【0033】
第1挿入工程に続き、第2挿入工程が実行される。
図8は、第2挿入工程を説明するための図である。第2挿入工程においては、
図7の状態から、ジグ40は、キャップ3を、さらにセンサ2の本体部21側へ押圧する。
【0034】
その結果、
図8に示される様に、キャップ3の基部31が弾性変形し、キャップ3の一側突出部32が、第1挿入工程終了後よりも、さらにセンサ2の本体部21側へ移動する。そして、ジグ40の当接面41が、基部31の他側F2に当接したところで第2挿入工程が終了する。第2挿入工程における一側突出部32の移動量は、
図7に示される、キャップ3の他側突出部35の基部31からの突出高さhにより決まる。
【0035】
第1挿入工程および第2挿入工程により、センサ2の開口部23a内であって、キャップ3の当接部33よりも本体部21側の空気が圧縮される。また、第2挿入工程終了後の当該空気の圧力は、第1挿入工程前よりも上昇している。このため、第2挿入工程の終了後、ジグ40を取り外すと、当該空気の圧力により、キャップ3が、センサ2の本体部21から離れる側へ若干戻される。この時、キャップ3は、圧縮された空気の圧力と、センサ2の開口部23aの内周面F5とキャップ3の当接部33の間に生じる摩擦力と、が釣り合う位置まで戻される。
【0036】
本発明においては、キャップ3が、センサ2の本体部21から離れる側へ若干戻された後、センサ2とキャップ3との位置関係は、
図5の状態となる。すなわち、基部31の一側F1が、開口部23aの壁部23bに当接した状態が保たれる。
【0037】
本発明においては、第2挿入工程後、キャップ3がセンサ2の本体部21から離れる側へ戻された際、
図5の状態となる様に、キャップ3における他側突出部35の突出高さhが設定されている。当該突出高さhは、キャップ3の当接部33の数や弾性係数、当接部33と開口部23aとの間の摩擦係数、等を考慮の上、試験やシミュレーション等により決定される。
【0038】
比較例として、従来使用されていたキャップ30をセンサ2に装着する場合について説明する。
図9および
図10は、第1比較例として、従来使用されていたキャップ30をセンサ2に装着する場合を説明するための図である。従来のキャップ30は、基部310の他側F20に他側突出部35を備えていない。よって、第1挿入工程において、ジグ40は、キャップ30の基部310の他側F20を押圧する。
【0039】
図9は、第1挿入工程の終了時を示し、基部310の一側F10が、開口部23aの壁部23bへ当接している。従来のキャップ30においては、他側突出部35が形成されていないため、第2挿入工程により一側突出部320をセンサ2の本体部21側へさらに移動させることができない。
【0040】
すなわち、従来のキャップ30が使用される場合、第1挿入工程のみにより、キャップ30がセンサ2に装着される。第1挿入工程において、キャップ30の当接部330よりもセンサ2の本体部21側の空気が圧縮され、圧力が上昇する。よって第1挿入工程の終了後、当該空気の上昇した圧力により、キャップ30が、センサ2の本体部21から離れる側へ若干戻される。この時、
図10に示される様に、基部310の一側F10と開口部23aの壁部23bとの間に間隙が生じることがあった。当該間隙が生じることによって、従来のキャップ30が使用された場合には、基部310と壁部23bとの間のシールがなされないことがあった。
【0041】
また、ジグ側に突起部を形成することにより、第2挿入工程を行うことも考えられる。しかしながら、この場合、以下に示す様な不都合が生じることがある。これを第2比較例として、以下に説明する。
図11および
図12は、第2比較例を説明するための図である。
【0042】
図11に示される様に、第2比較例においては、キャップ30は他側突出部35を備えてなく、ジグ400が突起部420を備える。突起部420は、ジグ400における、キャップ30側端部に形成された突起部分である。突起部420のキャップ30側の端面420aは、一側突出部320の長手軸方向に垂直な断面よりも小さく形成されている。
【0043】
第2従来例においては、第1挿入工程後、
図11に示される様に、突起部420の端面420aが基部310の他側F20を押圧することにより、第2挿入工程を実行することができる。しかしながら、キャップ30とジグ40の相対位置がずれてしまうと、
図12に示される様に、第2挿入工程において、キャップ30の基部310が、センサ2の壁部23bとジグ400の突起部420との間に挟まれることにより破損する恐れがある。
【0044】
これに対し、本発明においては、キャップ3が他側突出部35を備え、ジグ40が他側突出部35を押圧することにより、第2挿入工程が実行可能であると共に、第2挿入工程においてキャップ3の基部31が破損することもない。
【0045】
また、本発明において、ジグ40の当接面41の面積を、開口部23aの開口面積よりも大きく形成することが好ましい。またさらに、開口部23aの軸方向視において、ジグ40の当接面41が開口部23aの壁部23bを包含する様にジグ40を配置して、第1挿入工程および第2挿入工程を行うことが好ましい。
【0046】
この様な構成とすることにより、キャップ3の一側突出部32をセンサ2の開口部23aに挿入する際に、キャップ3に偏った荷重がかかることがなく、一側突出部32を開口部23aにスムーズに挿入することができる。また、第2挿入工程の終了時において、基部31が、ジグ40の押圧力を均等に受けることが可能となるため、センサ2とキャップ3との間に、偏りのないシール性をもたらすことが可能となる。
【0047】
以上、説明した様に、本発明によれば、センサ2にキャップ3を装着した際のシール性が向上する。
【符号の説明】
【0048】
1:キャップ付きセンサ、2:センサ、3:キャップ、23a:開口部、23b:壁部、31:基部、32:一側突出部、33:当接部、35:他側突出部、40:ジグ、41:当接面、F5:内周面