(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142339
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/22 20060101AFI20241003BHJP
F23L 1/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F23D14/22 D
F23L1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054437
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000154668
【氏名又は名称】株式会社ヒラカワ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 朋子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】香川 晋一郎
(72)【発明者】
【氏名】木下 正成
【テーマコード(参考)】
3K019
3K023
【Fターム(参考)】
3K019AA01
3K019AA02
3K019BA02
3K019BB02
3K019BD07
3K023BA02
3K023BA13
(57)【要約】
【課題】燃焼装置における燃焼用空気に偏流が発生することを防止できるようにする。
【解決手段】 燃料ノズル14の一端側とブラストチューブ12の一端側との間に燃焼用空気32の噴出口35、36が形成される。ウインドボックス11における燃料ノズルの他端側とブラストチューブ12の他端側との間に燃焼用空気32の流入口31が形成される。空気ダクト39が、ウインドボックス11に向けてブラストチューブ12の燃焼用空気の供給路33における空気流の方向と交差する方向に空気38を供給する。ウインドボックス11の内部におけるブラストチューブ12よりも径方向の外側の位置に整流管43が設けられる。整流管43の一端45の側はウインドボックス11の内部において開口する。整流管43の他端47の側は、ウインドボックス11の内部において開口せずに燃焼用空気32の流入口31と連通する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラストチューブの内部に管状の燃料ノズルが配置されるとともに、ブラストチューブと燃料ノズルとの間の環状の空間が燃焼用空気の供給路とされ、
燃料ノズルの一端側に燃料の噴出口が形成され、
燃料ノズルの一端側とブラストチューブの一端側との間に燃焼用空気の噴出口が形成され、
燃料ノズルの他端側とブラストチューブの他端側との間に燃焼用空気の流入口が形成され、
ブラストチューブにおける少なくとも燃焼用空気の流入口が形成された部分がウインドボックスの内部に配置され、
ウインドボックスに向けて前記燃焼用空気の供給路における空気流の方向と交差する方向に空気を供給する空気ダクトが設けられ、
ウインドボックスの内部におけるブラストチューブよりも径方向の外側の位置に整流管が設けられ、
整流管の一端側はウインドボックスの内部において開口し、
整流管の他端側は、ウインドボックスの内部において開口せずに前記燃焼用空気の流入口と連通していることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
整流管の内部における周方向に沿った複数の位置に整流板が設けられ、
各整流板は、整流管の内周面から径方向の内向きに配置されるとともに、前記整流板の板面が、ブラストチューブと燃料ノズルとの間の燃焼用空気の供給路における空気流の方向に沿った方向に配置されていることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼装置に関し、特にボイラなどにおいて好適に用いることができる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼装置として、特許文献1には、ブラストチューブの内部に管状の燃料ノズルが配置されるとともに、ブラストチューブと燃料ノズルとの間の環状の空間が燃焼用空気の供給路とされ、燃料ノズルの一端側に燃料の噴出口が形成され、燃料ノズルの一端側とブラストチューブの一端側との間に燃焼用空気の噴出口が形成され、燃料ノズルの他端側とブラストチューブの他端側との間に燃焼用空気の流入口が形成され、ブラストチューブにおける少なくとも燃焼用空気の流入口が形成された部分がウインドボックスの内部に配置され、ウインドボックスに向けて空気を供給する空気ダクトが設けられたものが記載されている。
【0003】
特許文献1の燃焼装置では、装置を必要以上に大型化させないために、空気ダクトは、ブラストチューブと燃料ノズルとの間の燃焼用空気の供給路における空気流の方向と交差する方向に設置されている。そのため、ウインドボックスに空気を供給する空気ダクトにおける空気流の方向と、燃焼用空気の供給路における空気流の方向とが交差している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウインドボックスに空気を供給する空気ダクトにおける空気流の方向と、燃焼用空気の供給路における空気流の方向とが交差していると、ブラストチューブと燃料ノズルとの間の燃焼用空気の供給路において偏流が発生した場合などには、供給路における燃焼用空気の圧力分布が不均一になる。圧力分布が不均一になると、火炎が偏心して燃焼室の側面に衝突する。すると、ボイラの場合には水管や炉筒が過熱状態となったり、一酸化炭素を含む未燃ガスが発生したりする。さらに、燃焼用空気の圧力分布が不均一になると、パイロット火炎が不安定になったり、燃料の不着火が生じたり、バックファイアーが起きたりするなどの問題点が発生する原因となりやすい。
【0006】
そこで本発明は、このような問題点を解決して、燃焼装置における燃焼用空気に偏流が発生することを防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため本発明の燃焼装置は、
ブラストチューブの内部に管状の燃料ノズルが配置されるとともに、ブラストチューブと燃料ノズルとの間の環状の空間が燃焼用空気の供給路とされ、
燃料ノズルの一端側に燃料の噴出口が形成され、
燃料ノズルの一端側とブラストチューブの一端側との間に燃焼用空気の噴出口が形成され、
燃料ノズルの他端側とブラストチューブの他端側との間に燃焼用空気の流入口が形成され、
ブラストチューブにおける少なくとも燃焼用空気の流入口が形成された部分がウインドボックスの内部に配置され、
ウインドボックスに向けて前記燃焼用空気の供給路における空気流の方向と交差する方向に空気を供給する空気ダクトが設けられ、
ウインドボックスの内部におけるブラストチューブよりも径方向の外側の位置に整流管が設けられ、
整流管の一端側はウインドボックスの内部において開口し、
整流管の他端側は、ウインドボックスの内部において開口せずに前記燃焼用空気の流入口と連通していることを特徴とする。
【0008】
本発明の燃焼装置によれば、
整流管の内部における周方向に沿った複数の位置に整流板が設けられ、
各整流板は、整流管の内周面から径方向の内向きに配置されるとともに、前記整流板の板面が、ブラストチューブと燃料ノズルとの間の燃焼用空気の供給路における空気流の方向に沿った方向に配置されていることが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の燃焼装置に寄れば、整流管を設けたことによって、燃料ノズルの他端側とブラストチューブの他端側との間に形成された燃焼用空気の流入口から、ブラストチューブと燃料ノズルとの間に形成された燃焼用空気の供給路に向けて入り込む空気流の方向を、燃焼用空気の供給路における空気流の方向に近づけることができる。このため、燃焼用空気の供給路および燃焼用空気の供給路の下流側において、燃焼用空気の空気流に偏流が発生することを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態の燃焼装置の正面視の断面図である。
【
図3】
図1におけるA-A線に沿った断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態の燃焼装置における空気の流れを示す図である。
【
図5】本発明の他の実施の形態の燃焼装置の正面視の断面図である。
【
図6】
図1におけるウインドボックスの入口での風圧特性を示すグラフである。
【
図7】
図1および
図2における燃焼用空気の噴出口での風圧の分布特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1~
図3に示される本発明の実施の形態の燃焼装置10は、ボイラ1において使用される。燃焼装置10は、炉壁2を有したボイラ1に取り付けられることで、ボイラ1の燃焼室3において必要な燃焼を行う。
【0012】
図1に示すように、ボイラ1の炉壁2には、ウインドボックス11が取り付けられている。ウインドボックス11の内部から炉壁2の内部に至るブラストチューブ12が設けられている。ブラストチューブ12の一端側には、炉壁2の内部においてフレームファンネル13が接続されている。フレームファンネル13は、炉壁2を貫通したうえで燃焼室3において開口している。ブラストチューブ12は横断面円形に形成され、このブラストチューブ12の内部には管状の燃料ノズル14が同心状に配置されている。燃料ノズル14の内部には中央空気管15が同心状に配置されている。ウインドボックス11における炉壁2とは反対側の部分には、マニホールドチャンバ16が取り付けられている。マニホールドチャンバ16は、ウインドボックス11に連通している。
【0013】
燃料ノズル14と中央空気管15とは、ブラストチューブ12とフレームファンネル13との接続部の近傍から、ウインドボックス11を通って、マニホールドチャンバ16に達している。中央空気管15の内部には中央空気供給路17が形成され、中央空気管15と管状の燃料ノズル14との間の環状空間には気体燃料供給路18が形成されている。中央空気管15はブラストチューブ12とフレームファンネル13との接続部の近傍において一端側が開口しており、その開口によって燃焼用一次空気19のための中央空気噴出口20が形成されている。燃料ノズル14も中央空気噴出口20に対応した位置において一端側が開口しており、その開口によって、すなわち燃料ノズル14の一端側の開口と中央空気管15の一端側の部分とによって、環状の気体燃料噴出口21が形成されている。
【0014】
中央空気管15は他端側がマニホールドチャンバ16において開口しており、その開口によって空気流入口22が形成されている。管状の燃料ノズル14は、マニホールドチャンバ16の内部において、中央空気管15の開口により形成されている空気流入口22よりもウインドボックス11に近い位置にて開口しており、それによって、燃料ノズル14の内周面と中央空気管15の外周面との間に環状の気体燃料流入口23が形成されている。気体燃料流入口23と空気流入口22との間における中央空気管15の部分は、気体燃料24を流入口23に案内するための環状の案内部材25によって覆われている。案内部材25の一端26は管状の燃料ノズル14の端部に被さっており、案内部材25の他端27は中央空気管15の端部に被さっている。このため、案内部材25は、その内部空間が気体燃料流入口23に連通している。環状の案内部材25における周方向の1個所には、接続ポート28が設けられている。接続ポート28は、マニホールドチャンバ16の外部からの気体燃料24を、この接続ポート28と案内部材25と流入口23とを通して、気体燃料供給路18へ送り込むことができる。
【0015】
ブラストチューブ12は、炉壁2からウインドボックス11の内部まで配置されている。このためブラストチューブ12は、マニホールドチャンバ16の内部には到達していない。ウインドボックス11の内部におけるブラストチューブ12の他端側の開口は、燃焼用空気の流入口31を形成している。ブラストチューブ12と管状の燃料ノズル14との間の環状空間は、燃焼用二次空気32のための空気供給路33を形成している。
【0016】
燃料ノズル14の一端の周囲には、ディフューザ34が設けられている。ディフューザ34は、環状板の形態であり、その内周縁が燃料ノズル14の一端に接続されている。ディフューザ34の外周縁とフレームファンネル13の内周面との間には、空気供給路33に連通する環状の二次空気噴出口35が形成されている。
図1および
図2に示すように、ディフューザ34自体にも、二次空気噴出口36が貫通状態で複数形成されている。
【0017】
空気供給路33には、パイロットバーナ37が設置されている。パイロットバーナ37は、公知の構成を有する。
【0018】
ウインドボックス11には、このウインドボックス11に燃焼用空気38を供給するための空気ダクト39が接続されている。空気ダクト39は、ブラストチューブ12の長さ方向と交差する方向に、すなわち図示の例ではブラストチューブ12の長さ方向と直交する方向に配置されている。このため、空気ダクト39は、燃焼用空気38を、ウインドボックス11に向けて、ブラストチューブ12の長さ方向と交差する方向に、すなわち図示の例では直交する方向に供給する。
【0019】
空気ダクト39には、ウインドボックス11に供給する燃焼用空気38の量を調節するためのダンパ40が設けられている。ダンパ40は、図外のモータなどのアクチュエータによって、その開度が調節される。
【0020】
ウインドボックス11の内部には、整流管43が設けられている。
図1および
図3に示すように、整流管43の内部における周方向に沿った複数の位置には、それぞれ整流板44が設けられている。整流板44の設置数は、たとえば、整流管43の周方向に沿った一定角度おきに6~12枚程度であることが好適である。
【0021】
整流管43は、ブラストチューブ12よりも径方向に沿った外側の位置において、ブラストチューブ12と同心状に配置されている。整流管43は、その一端45がウインドボックス11の内部における炉壁2に近い位置に開口している。この開口によって、ブラストチューブ12の周囲に、整流管43のための環状の空気流入口46が形成されている。整理管43の他端47は、ウインドボックス11における炉壁2から離れた場所に位置する壁体48に、すなわちウインドボックス11におけるマニホールドチャンバ16が取り付けられた壁体48に、接続されている。このため、整流管43の他端47は、ウインドボックス11の内部では開口せずに、ブラストチューブ12の他端側に形成された燃焼用空気の流入口31に連通している。また整流管43の他端47は、ウインドボックス11にマニホールドチャンバ16が取り付けられた部分に形成された連通口49であって、管状の燃料ノズル14の周囲において環状に形成された連通口49を介して、マニホールドチャンバ16の内部に連通している。
【0022】
各整流板44は、長方形状に形成され、その長さが整流管43の長さと同等になるようにされている。各整流板44は、その板面52が整流管43の径方向および長さ方向に向くように配置されて、整流管43の内面53から径方向の内向きに配置されている。つまり、各整流板44は、その板面52が、ブラストチューブ12と燃料ノズル14との間の燃焼用二次空気32の供給路33における空気流の方向に沿った方向に配置されている。整流管42の径方向に沿った整流板44の内縁54は、ブラストチューブ12の外周面よりも径方向に沿ったわずかに外側に位置するようにされている。
【0023】
このような構成の燃焼装置10を稼働させる場合には、外部から案内部材25の接続ポート28に気体燃料24を供給するとともに、図外の送風機からの燃焼用空気38を、空気ダクト39を経てウインドボックス11に供給する。
【0024】
気体燃料24は、接続ポート28から案内部材25を経て気体燃料供給路18へ送り込まれ、気体燃料噴出口21からフレームファンネル13の内部に噴出される。
【0025】
ウインドボックス11に供給された燃焼用空気38は、整流管43によって形成された空気流入口46から整流管43の内部に入り込む。整流管43の内部に入り込んだ燃焼用空気38の一部は、流入口31からブラストチューブ12の内部に入り込み、燃焼用二次空気32として空気供給路33を流れ、二次空気噴出口35、36からフレームファンネル13の内部に噴出される。整流管43の内部に入り込んだ燃焼用空気38の残部は、連通口49を通ってマニホールドチャンバ16に入り込み、さらに空気流入口22から中央空気管15に入り込んで、燃焼用一次空気19として中央空気供給路17を流れ、中央空気噴出口20からフレームファンネル13の内部に噴出される。
【0026】
フレームファンネル13においては、上述のようにして噴出された気体燃料24と一次空気19と二次空気32とが、混合されたうえで燃焼に供される。燃焼により生じた燃焼ガス60は、フレームファンネル13の開口61からボイラ1の燃焼室3の内部に送り出される。
【0027】
燃焼用空気38の流れの詳細について説明する。空気ダクト39からウインドボックス11に向けて、ブラストチューブ12の長さ方向と交差する方向に供給された燃焼用空気38は、整流管43に当たることで、
図3に示すように整流管43の外周に沿って流れるように方向転換される。また同時に、整流管43に当たることで、
図1に示すように炉壁2に近づく方向にも方向転換される。
【0028】
このように方向転換された燃焼用空気38は、整流管43の一端45の空気流入口46において再度方向転換されることで、空気流入口46から整流管43の内部に入り込む。整流管43の内部に入り込んだ燃焼用空気38は、整流管43の内面53と整流板44とに案内されることで、整流管43の軸心方向すなわちブラストチューブ12の軸支方向に沿った流れとなるように、その流れの方向が矯正される。換言すると、整流管43の内部に入り込んだ燃焼用空気38は、ブラストチューブ12と燃料ノズル14との間の燃焼用二次空気32の供給路33における空気流の方向に沿った方向に、その流れの方向が矯正される。その結果、燃焼用空気38の偏流が発生することを防止できる。
【0029】
図4は、このように整流管43によって流れの方向が矯正される燃焼用空気38の流線58の例を示す。
【0030】
燃焼用空気38がこのように整流管43の内部で流れの方向が矯正されて偏流の発生が防止されることで、整流管43の内部における燃焼用空気38の圧力分布、および整流管43よりも後流側の各部における圧力分布、特に燃焼用二次空気32のための空気供給路33における圧力分布について、その均一化を図ることができる。それによって、上述した圧力分布が不均一になった場合に発生する不都合を、ことごとく解消することができる。
【0031】
整流管43の内部における燃焼用空気38の圧力分布が均一化すると、その影響が、空気ダクト39がウインドボックス11に接続された部分の連通口62にも及ぶ。反対に、連通口62における圧力分布を測定することで、それよりも後流側における燃焼用空気38の圧力分布を知ることができる。
【0032】
このように圧力分布が均一化された燃焼用空気38の一部は、前述のように流入口31からブラストチューブ12の内部に入り込み、圧力分布が均一化された状態の燃焼用二次空気32として、二次空気噴出口35、36からフレームファンネル13の内部に噴出される。圧力分布が均一化された燃焼用空気38の残部は、連通口49を通ってマニホールドチャンバ16に入り込み、さらに中央空気管15に入り込んで、燃焼用一次空気19として、中央空気噴出口20からフレームファンネル13の内部に噴出される。
【0033】
上記の実施の形態では、整流管43の内部に整流板44が設けられた形態について説明した。しかし、
図5に示すように、整流板44を設けずに、整流管43だけを設けた構成とすることもできる。
図5に示す整流管43だけを設けた構成であると、
図1~
図4に示すように整流板44を設けた形態に比べて、同等に近い程度の圧力分布の均一化を図ることができるとともに、構造の簡単化を図ることができる。反対に
図1~
図4に示すように整流板44を設けた形態であると、さらなる整流効果にもとづく圧力分布のいっそうの均一化を図ることができる。
【0034】
[測定例]
次に、燃焼用空気の圧力分布の測定結果について説明する。
図6は、
図1および
図3における、空気ダクト39がウインドボックス11に接続された部分の連通口62でのウインドボックス11の内部の燃焼用空気38の圧力分布の測定結果のグラフを示す。
図6では、気体燃料24を低燃焼させたときの測定結果と、気体燃料24を高燃焼させたときの測定結果とを示す。
図6における低燃焼とは、燃料にメタンガスを用いたときの負荷20%~30%程度の燃焼状態をいう。また高燃焼とは、定格燃焼量(最大燃焼量)、負荷100%の燃焼状態をいう。圧力は、横断面円形で呼び径が250mmの空気ダクト39のダクト壁41における、炉壁2から最も離れた位置を原点として、原点から空気ダクト39の径方向に25mmの位置の、
図1に示された「a点」と、同125mmの位置の「b点」と、同225mmの位置の「c点」とにおいて測定した。
図6では、
図1に示される整流板44を備えた整流管43を設けた「整流管有」のときと、整流管43を設けなかった「整流管無」のときとについての測定結果をそれぞれ示す。
【0035】
図6から分かるように、特に低燃焼の場合において、「整流管無」のときは測定点ごとの圧力値が大きく変化して、圧力分布に大幅な変動が生じていた。これに対し「整流管有」のときは、「整流管無」のときに比べて圧力分布に大きな変動はなく、また「整流管無」のとき場合に比べて測定圧力値自体も向上していることから、燃焼用空気38が良好に供給されていることを確認できた。
【0036】
高燃焼の場合は、「整流管無」のときと「整流管有」のときとで、圧力分布の変動状態は大差なかったが、測定圧力値が向上していることを確認できた。
【0037】
図7は、
図1および
図2における、燃焼用二次空気32の噴出口35の位置での、上記と同様の低燃焼の場合での、燃焼用二次空気32の圧力分布の測定結果のグラフを示す。測定は、環状の噴出口35の周方向に沿った「d点」、「e点」、「f点」、「g点」の90度おきの4点で行った。「d点」、「e点」、「f点」、「g点」は、いずれも、ディフューザ34の近傍における、ディフューザ34よりも空気流の上流側の位置とした。このうち、「d点」は噴出口35の最も上側の位置の測定点であり、「f点」は噴出口35の最も下側の位置の測定点であった。測定は、「整流管無」のときと、整流管43は設置したが整流板は設置していない「板無整流管有」のときと、整流管43と整流板44との双方を設置した「板付整流管有」のときとについて行った。
【0038】
図7から分かるように、「整流管無」のときでは測定点ごとの圧力値が大きく変化して、圧力分布に大幅な変動が生じていた。これに対し「板無整流管有」のときと、「板付整流管有」のときとでは、いずれも圧力分布に実質的な変動がなく、均一な圧力分布になっていることを確認できた。さらに、「板無整流管有」のときと、「板付整流管有」のときとにおいては、「整流管無」のときと比べて測定圧力値自体も向上しており、燃焼用二次空気32が良好に供給されていることを確認できた。「板付整流管有」のときは、「板無整流管有」ときよりもさらに測定圧力値が向上していた。
【符号の説明】
【0039】
11 ウインドボックス
12 ブラストチューブ
14 燃料ノズル
15 中央空気管
18 気体燃料供給路
19 燃焼用一次空気
20 中央空気噴出口
21 気体燃料噴出口
22 空気流入口
31 流入口
32 燃焼用二次空気
33 空気供給路
35 二次空気噴出口
36 二次空気噴出口
38 燃焼用空気
39 空気ダクト
43 整流管
44 整流板
45 一端
46 空気流入口
47 他端
52 板面