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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142352
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ブラインド装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/386 20060101AFI20241003BHJP
   E06B 9/384 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E06B9/386
E06B9/384
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054461
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 亜矢子
(57)【要約】
【課題】開いた状態で、自然光を室内に有効に取り込みつつ、スラットを安定して傾斜した姿勢とすることで、閉じる状態にすることができる、ブラインド装置を提供する。
【解決手段】ブラインド装置100は、上下方向に配置された複数のスラット3と、一対の鉛直コード4a、4bと、各スラット3を支持する支持コード4cと、を有したラダーコード4と、一対の鉛直コード4a、4bを相対的に上下に移動させることによりスラット3を傾動する傾動機構7と、を有する。各スラット3の短手方向の断面において、各スラット3は、中央が凸状となるように、下側に曲がった凸状部分31を有している。ブラインド装置100は、傾動機構7による各スラット3の傾動時に、支持コード4cに対するスラット3の滑動を抑制する抑制機構9を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に配置された複数のスラットと、
前記スラットの短手方向に挟むように上下方向に延びる一対の鉛直コードと、前記一対の鉛直コードに渡されて、前記各スラットを支持する支持コードと、を有し、前記複数のスラットを支持するラダーコードと、
前記一対の鉛直コードを相対的に上下に移動させることにより前記スラットを傾動する傾動機構と、を有したブラインド装置であって、
前記各スラットの短手方向の断面において、前記各スラットは、中央が凸状となるように、下側に曲がった凸状部分を有しており、
前記ブラインド装置は、前記傾動機構による前記各スラットの傾動時に、前記支持コードに対する前記スラットの滑動を抑制する抑制機構を有することを特徴とするブラインド装置。
【請求項2】
前記各スラットには、前記短手方向の断面において、前記各スラットの下面から、前記支持コードに向かって下方に突出した一対の脚部が設けられており、前記一対の脚部は、前記凸状部分の頂部を挟むように、前記短手方向に間隔を空けて形成されており、
前記抑制機構は、前記各スラットの前記一対の脚部が前記支持コードに接触した状態で、前記各スラットが、前記一対の脚部により、前記支持コードに支持された機構であることを特徴とする請求項1に記載のブラインド装置。
【請求項3】
前記各スラットは、
前記凸状部分が形成された本体と、
少なくとも前記支持コードと接触する位置において、前記本体に固着され、前記脚部となる脚部材と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のブラインド装置。
【請求項4】
前記複数のスラットのうち、最下部のスラットには、前記一対の鉛直コードの各鉛直コードが挿通される一対の挿通孔が形成されており、
前記抑制機構は、前記最下部のスラットの各挿通孔に、前記各鉛直コードが挿通された機構であることを特徴とする請求項1に記載のブラインド装置。
【請求項5】
前記複数のスラットのうち、前記最下部を除く各スラットには、前記各鉛直コードが鉛直方向に沿って垂下した位置に、前記各鉛直コードが挿通されるスリットまたは貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のブラインド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に複数のスラットを有したブラインド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下方向に配置される複数のスラットと、複数のスラットを支持するラダーコードとを備えたブラインド装置が知られている。このようなブラインド装置では、ラダーコードの室内側鉛直コードおよび窓側鉛直コードを相対的に上下に移動させることにより、スラットが傾動し、スラット間を通過する光量を調整することができる。たとえば、特許文献1には、スラットの短手方向の断面において、各スラットは、中央が凸状となるように、下側に曲がった凸状部分を有したブラインド装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-56580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1で提案されたブラインド装置は、スラットが下側に凸状であることから、室外から室内に自然光が入り込む際に、スラットの上面を反射した自然光を、室内の奥まで取り込むことができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1のブラインド装置では、ブラインド機能の利用の際、一対の鉛直コードを上下方向に相対的に移動させてスラットを傾動させようとすると、スラットは、凸状部分の一点で支持コードに接触しているため、支持コードを滑ってしまう。これにより、スラットの自重で、支持コードを適度に緊張させることができず、スラットは、本来の適正な姿勢を保つことが難しい。この結果、複数のスラットが安定した姿勢とならず、ブラインド装置を閉じる状態にすることができないことがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、開いた状態で、自然光を室内に有効に取り込みつつ、スラットを安定して傾斜した姿勢とすることで、閉じる状態にすることができる、ブラインド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を鑑みて、本発明に係るブラインド装置は、上下方向に配置された複数のスラットと、前記スラットの短手方向に挟むように上下方向に延びる一対の鉛直コードと、前記一対の鉛直コードに渡されて、前記各スラットを支持する支持コードと、を有し、前記複数のスラットを支持するラダーコードと、前記一対の鉛直コードを相対的に上下に移動させることにより前記スラットを傾動する傾動機構と、を有したブラインド装置であって、前記各スラットの短手方向の断面において、前記各スラットは、中央が凸状となるように、下側に曲がった凸状部分を有しており、前記ブラインド装置は、前記傾動機構による前記各スラットの傾動時に、前記支持コードに対する前記スラットの滑動を抑制する抑制機構を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、スラットが、スラットの短手方向の断面において、中央が凸状となるように、下側に曲がった凸状部分を有している。したがって、室外から室内に自然光が入り込む際に、スラットの上面を反射した自然光を、室内の奥まで取り込むことができる。
【0009】
ここで、ブラインド機能を利用しようとして、傾動機構により、スラットを傾動させると、抑制機構により、支持コードに対するスラットの滑動を抑制することができる。これにより、一対の鉛直コードを上下方向に相対的に移動させても、上下方向に並んだ複数のスラットを、同様の傾動動作で所定の傾斜角度まで傾動させることができる。このような結果、開いた状態で、自然光を室内に有効に取り込みつつ、スラットを安定した姿勢とすることで、閉じる状態にすることができる。
【0010】
より好ましい態様としては、前記各スラットには、前記短手方向の断面において、前記各スラットの下面から、前記支持コードに向かって下方に突出した一対の脚部が設けられており、前記一対の脚部は、前記凸状部分の頂部を挟むように、前記短手方向に間隔を空けて形成されており、前記抑制機構は、前記各スラットの前記一対の脚部が前記支持コードに接触した状態で、前記各スラットが、前記一対の脚部により、前記支持コードに支持された機構である。
【0011】
この態様によれば、抑制機構は、各スラットの一対の脚部が支持コードに接触した状態で、各スラットが一対の脚部により、支持コードに支持された機構であるので、スラットの一対の脚部を介して、スラットの自重が、支持コードに作用する。したがって、ブラインド機能を利用しようとして、傾動機構により、スラットを傾動させても、支持コードの両側には、一対の脚部を介してスラットに自重が作用しているため、支持コードに適度の緊張を持たせて、スラットの姿勢を確保しながら、スラットを傾動させることができる。特に、一対の脚部は、凸状部分の頂部を挟むように、短手方向に間隔を空けて形成されているので、傾動によるスラットの姿勢を安定させて、傾斜したスラットを支持コードに安定して支持させることができる。なお、一対の脚部が、スラットの両端(すなわち、スラットの下面の両端)から下方に突出させることで、このような効果は、より一層顕著なものとなる。
【0012】
さらに好ましい態様としては、前記各スラットは、前記凸状部分が形成された本体と、少なくとも前記支持コードと接触する位置において、前記本体に固着され、前記脚部となる脚部材と、を備える。
【0013】
この態様によれば、凸状部分が形成された本体に対して、少なくとも支持コードと接触する部分に、脚部材を取り付ければよいので、このような形状のスラットを簡単に製造することができる。
【0014】
さらに好ましい別の態様としては、前記複数のスラットのうち、最下部のスラットには、前記一対の鉛直コードの各鉛直コードが挿通される一対の挿通孔が形成されており、前記抑制機構は、前記最下部のスラットの各挿通孔に、前記各鉛直コードが挿通された機構である。
【0015】
この態様によれば、最下部のスラットに形成された各挿通孔に、各鉛直コードが挿通されている。この状態で、ブラインド機能を利用しようとして、傾動機構により、スラットを傾斜させると、スラットは、貫通孔に挿通された一対の鉛直コードにより拘束されるため、最下部のスラットは、これを支持する支持コードに対して滑動が制限される(滑動が抑制される)。さらに、他のスラットの傾斜角度が大きくなるに従って、貫通孔に拘束された一対の鉛直コードは、引き寄せられ、これにより、最下部のスラットと同様の傾動動作を、他のスラットにもさせることができる。このような結果、傾動機構により、所望の傾斜角度まで各スラットを傾動させることができる。
【0016】
さらに好ましい態様としては、前記複数のスラットのうち、前記最下部を除く各スラットには、前記各鉛直コードが鉛直方向に沿って垂下した位置に、前記各鉛直コードが挿通されるスリットまたは貫通孔が形成されている。
【0017】
この態様によれば、最下部を除く各スラットに形成されたスリットまたは貫通孔に、各鉛直コードが、鉛直方向に沿って垂下した位置で挿通される。これにより、傾動機構によるスラットの傾動動作にかかわらず、一対の鉛直コードは、上下方向に沿って、安定した距離を確保することができる。このような結果、傾動機構により、所望の傾斜角度まで各スラットを傾動させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、開いた状態で、自然光を室内に有効に取り込みつつ、スラットを安定して傾斜した姿勢とすることで、閉じる状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係るブラインド装置の構造を示す斜視図である。
図2図1に示すブラインド装置の開状態の断面図である。
図3】(a)は、図1に示すスラットの要部の拡大斜視図であり、(b)~(d)は、その変形例に係る拡大斜視図である。
図4】(a)は、図1に示すブラインド装置において、傾動機構によりスラットを傾動させる動作を説明するための模式図であり、(b)は、従来のブラインド装置において、傾動機構によりスラットを傾動させる動作を説明するための模式図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るブラインド装置の構造を示す斜視図である。
図6図5に示すブラインド装置の開状態の断面図である。
図7】(a)は、図1に示す最下部以外のスラットの要部の拡大斜視図であり、(b)は、図1に示す最下部のスラットの要部の拡大斜視図である。
図8図5に示すブラインド装置において、傾動機構によりスラットを傾動させる動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1および第2実施形態に係るブラインド装置について、図面を参照しながら説明する。第1実施形態に係るブラインド装置は、図1図4を参照し、さらに後述する第2実施形態に係るブラインド装置は、図5図8を参照する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るブラインド装置100の構造を示す斜視図である。図1に示すように、ブラインド装置100は、ヘッドボックス1と、ボトムレール2と、複数のスラット3、3、…と、複数(ここでは3本)のラダーコード4と、複数(ここでは3本)の昇降コード5と、操作棒6と、複数(ここでは3つ)のクリップ20と、を備えている。
【0022】
ヘッドボックス1の上面には、複数(ここでは2つ)のブラケット1aが設けられている。ブラケット1aは、ブラインド装置100を窓上部の壁面等に固定するためのものである。ヘッドボックス1の下面からラダーコード4および昇降コード5が垂下されている。
【0023】
ボトムレール2の所定位置には、昇降コード5の一端が固定されており、これによりボトムレール2が支持されている。また、ボトムレール2の所定位置には、ボトムカバー2aが取り付けられており、ボトムカバー2aに、ラダーコード4の下端部が固定される。ボトムレール2の両端には、ボトムキャップ2bが取り付けられている。
【0024】
複数のスラット3は、ヘッドボックス1とボトムレール2との間において、上下方向に互いに所定の間隔をおいて配置されている。各スラット3の所定位置には、昇降コード5が挿通される貫通孔33が形成されている。貫通孔33は、スラット3を傾動させたときに、スラット3の傾斜範囲において、昇降コード5が鉛直方向に沿って垂下される位置および大きさを有している。本実施形態では、貫通孔33は、スラット3の短手方向の断面において、凸状部分31の先端(折り目の谷線)を中心として、そこから、短手方向の両側に沿って延在している。
【0025】
ラダーコード4は、複数のスラット3を支持するように、梯子状に形成されている。具体的には、ラダーコード4は、スラット3の短手方向に挟むように上下方向に延びる一対の鉛直コードを有している。一対の鉛直コードは、室内側鉛直コード4aおよび窓側鉛直コード4bからなる。室内側鉛直コード4aは、スラット3の室内側の端縁に沿って上下方向に延びている。窓側鉛直コード4bは、スラット3の窓側の端縁に沿って上下方向に延びている。なお、以下に、室内側鉛直コード4aおよび窓側鉛直コード4bを、一対の鉛直コード4a、4bと記載することがある。
【0026】
室内側鉛直コード4aと窓側鉛直コード4bとは、互いに上下に所定の間隔をおいて配置される複数の支持コード4cによって連結されている。すなわち、支持コード4cは、室内側鉛直コード4aと窓側鉛直コード4bとを渡している。支持コード4c上には、スラット3が載置されており、支持コード4cは、スラット3を支持している。室内側鉛直コード4aと窓側鉛直コード4bとが相対的に上下に移動することによって、支持コード4cの室内側端部(室内側鉛直コード4aに連結された部分)および窓側端部(窓側鉛直コード4bに連結された部分)が上下し、スラット3が傾動する。
【0027】
各ラダーコード4の上部は、ヘッドボックス1内に配置された傾動機構7に取り付けられている。傾動機構7は、一般的な機構であるため、図1では、傾動機構7の概略のみを破線で示している。傾動機構7は、回転ドラム(図示せず)と回転シャフト(図示せず)を有しており、ラダーコード4は、回転ドラムに巻き付けまたは固定されている。複数(ここでは3つ)の回転ドラムは、ヘッドボックス1内に配置された回転シャフトに固定されており、回転シャフトを回転させることによって、回転ドラムが回転し、ラダーコード4の室内側鉛直コード4aと窓側鉛直コード4bとが相対的に上下に移動する。これにより、スラット3を傾動することができる。
【0028】
各昇降コード5は、ボトムレール2からスラット3の貫通孔33を介してヘッドボックス1内に導入されており、ヘッドボックス1内を長手方向に引き回され、ヘッドボックス1の導出口1bから外部に導出されている。複数の昇降コード5は、コード止め11によって1つに纏められ、コード止め11の下方においては1本になった状態で垂下し、ボトムレール2のボトムキャップ2bに取り付けられている。
【0029】
ヘッドボックス1の導出口1bには、昇降コード5が上下に移動できる状態と移動できない状態(拘束状態)とに切り替え可能なストッパ12が設けられている。昇降コード5を上下に移動させることによって、ストッパ12の状態を切り替えることができるとともに、ボトムレール2を任意の高さ位置に設定することができる。
【0030】
操作棒6は、その軸回りに回転可能に構成されている。操作棒6の上端は、回転方向を変換して回転を伝達する変換機構13に接続されており、操作棒6の回転は上述の回転シャフトに伝達される。このため、操作棒6をその軸回りに回転させると、傾動機構7の回転シャフトおよび複数の回転ドラムが回転し、ラダーコード4の室内側鉛直コード4aと窓側鉛直コード4bとが相対的に上下に移動する。これにより、スラット3の傾斜角度(スラット角度)が変更される。
【0031】
ここで、複数のスラット3、3、3…は、同じ形状である。具体的には、図2、および図3(a)に示すように、本実施形態では、各スラット3の短手方向の断面において、各スラット3は、中央が凸状となるように、下側に曲がった凸状部分31を有している。本実施形態では、スラット3は、長手方向に沿って下側に屈曲したV字状の断面を有している。スラット3の幅は、15mm~50mmの範囲であり、スラット3のV字を成す角度は、155°~165°の範囲である。スラット3は、下側に凸状であれば特に限定されるものではなく、例えば、スラット3の断面は、湾曲した弧状であってもよい。これにより、室外RO側からの自然光を、各スラット3の上面34に反射させ、室内RI側に反射させることができる。
【0032】
ここで、スラット3は、アルミニウム等であってもよいが、表面に、白色の樹脂が塗装されていることが好ましい。この他にも、スラット3は、白色の練り込み式樹脂素材で形成されていてもよい。スラット3の表面を白色の樹脂とすることにより、スラット3の反射率を高めることができ、室外ROからの自然光を室内RIに効率的に取り込むことができる。
【0033】
ところで、下側に曲がった凸状部分のみを有したスラット3Fを有したブラインド装置において、ブラインド機能を利用の際、一対の鉛直コードを上下方向に相対的に移動させてスラットを傾動させようとすると、図4(b)のような現象が生じることがある。具体的には、スラット3Fは、凸状部分の一点で支持コードに接触しているため、一対の鉛直コードの上下方向の相対的な移動に伴い、支持コード4cも傾斜し、スラット3Fは、支持コード4cの上を滑ってしまう。これにより、スラット3Fの自重で、支持コード4cを適度に緊張させることができず、スラット3Fは、本来の適正な姿勢を保つことが難しい。この結果、複数のスラット3Fは、同じ姿勢とならず、ブラインド装置を閉じる状態にすることができないことがある。このような現象は、特に下方のスラット3Fに生じ易い。特に、昇降コード5は、ボトムレール2の自重により緊張状態になるが、ラダーコード自体は、梯子状の形状であるため、弛み易いため、下方のスラット3Fの姿勢が安定し難い。
【0034】
このような点から、本実施形態では、図3(a)に示すように、スラット3には、短手方向の断面において、各スラット3の下面36から、支持コード4cに向かって下方に突出した一対の脚部32、32が形成されている。具体的には、一対の脚部32、32は、凸状部分31の頂部21aを挟むように、短手方向に間隔を空けて形成されている。本実施形態では、スラット3の短手方向の断面において、一対の脚部32、32は、スラット3の下面36の両端から下方に突出している。
【0035】
ブラインド装置100は、傾動機構7による各スラット3の傾動時に、支持コード4cに対するスラット3の滑動を抑制する抑制機構9を有している。本実施形態では、抑制機構9は、各スラット3の一対の脚部32、32が支持コード4cに接触した状態で、各スラット3が、一対の脚部32、32により、支持コード4cに支持された機構である。
【0036】
ここで、脚部32、32により、スラット3が支持コード4cに対して、これらの2点のみで支持されていてもよいが、本実施形態では、凸状部分31の先端が、支持コード4cに接触しており、抑制機構9は、各スラット3が、一対の脚部32、32および凸状部分31の先端の3点で、支持コード4cに支持された機構である。
【0037】
図4(a)に示すように、傾動機構7により、スラット3を傾動させると、抑制機構9により、支持コード4cに対するスラット3の滑動を抑制することができる。これにより、一対の鉛直コード4a、4bを上下方向に相対的に移動させても、上下方向に並んだ複数のスラット3、3、…を、同様の傾動動作で所定の傾斜角度まで傾動させることができる。
【0038】
抑制機構9は、各スラット3の一対の脚部32、32が支持コード4cに接触した状態で、各スラット3が一対の脚部32、32により、支持コード4cに支持された機構であるので、スラット3の一対の脚部32、32を介して、スラット3の自重が、支持コード4cに作用する。特に、一対の脚部32、32は、凸状部分31の頂部31aを挟むように、短手方向に間隔を空けて形成されているので、傾動によるスラット3の姿勢を安定させて、傾斜したスラット3を支持コード4cに安定して支持させることができる。スラット3の短手方向の断面において、一対の脚部32、32を、スラット3の下面36の両端から下方に突出させたので、一対の脚部32、32の距離をより広く確保することができるため、スラット3を安定して支持することができる。
【0039】
したがって、ブラインド機能を利用しようとして、傾動機構7により、スラット3を傾動させても、支持コード4cの両側には、一対の脚部32、32を介してスラット3に自重が作用しているため、支持コード4cに適度の緊張を持たせることができる。このため、鉛直コード4a、4bは、スラット3の傾斜角度が大きくなるに従って、引き寄せられ、スラット3の姿勢を確保しながら、スラット3を所望の傾斜角度まで、傾動させることができる。特に、各スラット3が、一対の脚部32、32および凸状部分31の先端の3点で、支持コード4cに支持されることにより、スラット3の傾動時の姿勢を更に安定させることができる。
【0040】
このような結果、本実施形態に係るブラインド装置100によれば、開いた状態(図4(a)の左図の状態)で、自然光を室内に有効に取り込みつつ、傾動時に、スラット3を安定した姿勢とすることで、安定して閉じる状態にする(図4(a)の右図の状態)ことができる。
【0041】
ここで、スラット3は、凸状部分31となる本体部分と、その下面から下方に突出した脚部32、32とを有しているのであれば、特にその製造方法は、限定されるものではなく、たとえば、プレス成形または射出成形などにより、製造することができる。さらに、図3(b)に示すように、支持コード4cにより支持される位置に、脚部32、32を部分的に形成してもよい。
【0042】
さらに、図3(c)に示すように、各スラット3は、凸状部分31が形成された本体31Aと、支持コード4cと接触する位置において、本体31Aに固着され、脚部32となる脚部材32Aと、を備えた構造であってもよい。凸状部分31が形成された本体31Aに対して、少なくとも支持コード4cと接触するように、脚部材32A、32Aを取り付ければよいので、このような形状のスラット3を簡単に製造することができる。
【0043】
図3(d)に示すように、本体31Aのうち、支持コード4cにより支持される位置に、一対の脚部材32A、32Aを部分的に固着してもよい。これにより、凸状部分31の下面(スラット3の下面36)に、一対の脚部材32A、32Aを有したスラットを、さらに簡単に製造することができる。
【0044】
(第2実施形態)
以下に、第2実施形態に係るブラインド装置100を説明する。第2実施形態に係るブラインド装置100が第1実施形態のものと相違する点は、スラット3A、3Bの形状と、抑制機構9Aである。したがって、第1実施形態と同じ機能を有する部材は、図5~8において、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0045】
本実施形態では、図5および図6に示すように、ブラインド装置100の基本的な装置構成は、第1実施形態のものと同様である。本実施形態では、図7(a)に示すように、ブラインド装置100は、傾動機構7による各スラット3A、3Bの傾動時に、支持コード4cに対するスラット3A、3Bの滑動を抑制する抑制機構9Aを有する。さらに、複数のスラット3A、3Bのうち、最下部を除く各スラット3Bには、各鉛直コード4a、4bが鉛直方向に沿って垂下した位置に、各鉛直コード4a、4bが挿通される一対のスリット37、37が形成されている。
【0046】
具体的には、図7(b)に示すように、複数のスラット3A、3Bのうち、最下部のスラット3Aには、一対の鉛直コード4a、4bの各鉛直コード4a(4b)が挿通される一対の挿通孔35が形成されている。挿通孔35は、各鉛直コード4a、4bが鉛直方向に沿って垂下した位置に、各鉛直コード4a、4bが挿通される孔である。抑制機構9は、最下部のスラット3Aの各挿通孔35に、各鉛直コードが挿通された機構である。
【0047】
挿通孔35は、たとえば、第1実施形態の図3(c)に示す本体31Aに対して、直接的に挿通孔35が穿設されてもよい。しかしながら、本実施形態では、図7(a)に示すように、スリット37が形成されたスラット3Bに対して、挿通孔35を形成する。具体的には、図7(a)に示すように、スラット3Bは、図5および図6に示すように、各鉛直コード4a、4bが鉛直方向に沿って垂下した位置に、各鉛直コード4a、4bが挿通されるスリット37が形成されている。スラット3Bに対して、挿通孔35は、スリット37の開口37aを覆うように、被覆部材(たとえば、粘着テープなどの被覆シート)35aで固着することにより、形成することができる。
【0048】
本実施形態では、最下部のスラット3Aに形成された各挿通孔35に、各鉛直コード4a(4b)が挿通されている。この状態、図8に示すように、ブラインド機能を利用しようとして、傾動機構7により、スラット3A、3Bを傾斜させると、最下部のスラット3Aは、挿通孔35に挿通された一対の鉛直コード4a、4bにより拘束されるため、最下部のスラット3Aは、これを支持する支持コード4cに対して滑動が抑制される。
【0049】
さらに、他のスラット3B、3B、…の傾斜角度が大きくなるに従って、挿通孔35、35に拘束された一対の鉛直コード4a、4bは、引き寄せされ、これにより、これらのスラット3B、3B、…もスラット3Aの動作と同様の傾動動作をすることになる。このような結果、傾動機構7により、所望の傾斜角度まで各スラット3A(3B)を傾動させることができる。
【0050】
この態様によれば、最下部を除く各スラット3Bに形成されたスリット37に、各鉛直コード4a、4bが、鉛直方向に沿って垂下した位置で挿通される。これにより、傾動機構7によるスラット3A、3Bの傾動動作にかかわらず、一対の鉛直コード4a、4bは、上下方向に沿って、安定した距離を確保することができる。このような結果、傾動機構7により、所望の傾斜角度まで各スラットを傾動させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、最下部を除く各スラット3Bには、スリット37が形成されていたが、これらの各スラットに、スリット37または挿通孔35のいずれかが形成されていてもよい。さらに、最下部以外ばかりでなく、全てのスラットに、挿通孔35が形成されていてもよい。これにより、昇降コード5により、ボトムレール2を途中まで上昇させた状態において、傾動機構7により、残りのスラットを傾動させた場合に、残りのスラットのうち最下位に位置するスラットの挿通孔35により、一対の鉛直コード4a、4bが引き寄せられ、残りのスラットが所望の傾斜角度まで各スラットを傾動させることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0053】
3、3A、3B:スラット、4、ラダーコード、4a:室内側鉛直コード(鉛直コード)、4b:窓側鉛直コード、4c:支持コード、5:昇降コード、7:傾動機構:9、9A:抑制機構、31:凸状部分、31A:本体、32、32:脚部、32A:脚部材、35:挿通孔、37:スリット、100:ブラインド装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8