(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142354
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】リモート操作システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20241003BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20241003BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06Q10/063
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054464
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 章
【テーマコード(参考)】
3C100
5E353
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA38
3C100AA53
3C100AA56
3C100BB13
3C100BB34
3C100EE07
5E353AA02
5E353CC01
5E353CC03
5E353CC04
5E353CC12
5E353CC21
5E353EE53
5E353EE54
5E353EE71
5E353EE89
5E353HH41
5E353JJ01
5E353KK02
5E353KK03
5E353LL03
5E353LL04
5E353NN20
5E353QQ01
5E353QQ08
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】管理者が選択する処理ポリシーが適切なものであるかどうかを検証することができるリモート操作システムを提供することを目的とする。
【解決手段】管理装置3は作業装置2にエラーが発生した場合における対応方針である複数の処理ポリシーを記憶しており、作業装置2からエラー情報が出力されると、管理者によって複数の処理ポリシーの中から選択された処理ポリシーに従って複数のリモート監視装置4の少なくともひとつに解消指示信号を送信する。解消指示信号を受信したリモート監視装置は、そのリモート監視装置4のオペレータOPが行うエラー解消操作に基づいて解消操作信号を出力する。データ収集部33は、作業装置2が解消操作信号に基づいて動作した結果のデータを処理ポリシーごとに収集し、データ表示部であるタッチパネル35は、データ収集部33により処理ポリシーごとに収集されたデータを表示する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置と、管理装置と、複数のリモート監視装置と、を備え、
作業装置はエラーが発生するとエラー情報を出力し、
前記管理装置は前記作業装置にエラーが発生した場合における対応方針である複数の処理ポリシーを記憶しており、前記作業装置から前記エラー情報が出力されると、前記管理装置を操作する管理者によって前記複数の処理ポリシーの中から選択された処理ポリシーに従って前記複数のリモート監視装置の少なくともひとつに解消指示信号を送信し、
前記管理装置から前記解消指示信号を受信した前記リモート監視装置は、そのリモート監視装置のオペレータが行うエラー解消操作に基づいて解消操作信号を出力し、
前記作業装置は前記リモート監視装置から出力された前記解消操作信号に基づいてエラーを解消する動作を行うリモート操作システムであって、
前記管理装置は、
前記作業装置が前記解消操作信号に基づいて動作した結果のデータを前記処理ポリシーごとに収集するデータ収集部と、
前記データ収集部により前記処理ポリシーごとに収集された前記データを表示するデータ表示部と、
を備えたリモート操作システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記データ収集部により収集された前記データを分析するデータ分析部と、前記データ分析部が分析して得た分析結果を視覚的に表示する分析結果表示部と、を備えた請求項1に記載のリモート操作システム。
【請求項3】
前記分析結果表示部は、前記分析結果をコメント文により表示する、請求項2に記載のリモート操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置に発生したエラーをリモート監視装置からの遠隔操作で解消することができるリモート操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業装置にエラーが発生した場合に、そのエラーをリモート監視装置から行う遠隔操作で解消できるように構築されたリモート操作システムが知られている。リモート操作システムでは、作業装置にエラーが発生するとそのエラーの情報がリモート監視装置に送信され、オペレータがリモート監視装置からエラーを解消する操作を行うと、その操作信号が作業装置に転送されて作業装置が動作し、エラーが解消されるようになっている(例えば、下記の特許文献1)。
【0003】
このようなリモート操作システムにおいて、リモート監視装置が複数設置されている場合には、作業装置とリモート監視装置の間に管理装置を配置することができ、管理装置にオペレータのスキルデータを記憶させておくことで、エラーの解消処理作業をオペレータのスキル等に応じて効率的に振り分けることが可能となる。さらには、エラーの解消処理作業に対する方針(処理ポリシー)の候補を複数用意しておき、管理装置を操作する者(管理者)がその複数の処理ポリシーの中から適切(最適)と考える処理ポリシーを選択できるようになっていれば、より一層効率的にエラー解消処理作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように管理者が複数の処理ポリシーの中から処理ポリシー選択できる場合であっても、実際にその処理ポリシーが適切なものであるかどうかは不明であり、これを検証できようになっていることが望ましい。
【0006】
そこで本発明は、管理者が選択する処理ポリシーが適切なものであるかどうかを検証することができるリモート操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリモート操作システムは、作業装置と、管理装置と、複数のリモート監視装置と、を備え、作業装置はエラーが発生するとエラー情報を出力し、前記管理装置は前記作業装置にエラーが発生した場合における対応方針である複数の処理ポリシーを記憶しており、前記作業装置から前記エラー情報が出力されると、前記管理装置を操作する管理者によって前記複数の処理ポリシーの中から選択された処理ポリシーに従って前記複数のリモート監視装置の少なくともひとつに解消指示信号を送信し、前記管理装置から前記解消指示信号を受信した前記リモート監視装置は、そのリモート監視装置のオペレータが行うエラー解消操作に基づいて解消操作信号を出力し、前記作業装置は前記リモート監視装置から出力された前記解消操作信号に基づいてエラーを解消する動作を行うリモート操作システムであって、前記管理装置は、前記作業装置が前記解消操作信号に基づいて動作した結果のデータを前記処理ポリシーごとに収集するデータ収集部と、前記データ収集部により前記処理ポリシーごとに収集された前記データを表示するデータ表示部と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、管理者が選択する処理ポリシーが適切なものであるかどうかを検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムの構成図
【
図2】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムにおける情報の流れを示す図
【
図3】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムを構成する作業装置の要部側面図
【
図4】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムが備える作業装置の一部の斜視図
【
図5】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムの制御系統を示すブロック図
【
図6】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムが備える管理装置のタッチパネルに表示される処理ポリシー選択画面の一例を示す図
【
図7】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムが備えるリモート監視装置のモニタに表示されるエラー発生箇所の画像の一例を示す図
【
図8】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムのエラー処理結果の集計したデータから得られる(a)全体実績を示す図(b)処理ポリシーごとの実績を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1および
図2は、本発明の一実施の形態におけるリモート操作システム1を示している。リモート操作システム1は複数の作業装置2、管理装置3および複数のリモート監視装置4を備えている。各作業装置2と管理装置3の間および各リモート監視装置4と管理装置3の間はそれぞれ、有線または無線によって、相互に通信可能に繋がっている。各リモート監視装置4はそれぞれのリモート監視装置4に対応して配置されたオペレータOPによって操作される。
【0011】
各作業装置2は、本実施の形態では、基板KBに部品BHを装着する作業(部品装着作業)を行う部品装着装置から成る。作業装置2は
図3に示すように、基台11、搬送コンベア12、テープフィーダ13、ヘッド移動機構14、装着ヘッド15および基板カメラ16を備えている。
【0012】
図3において、搬送コンベア12は基台11上を水平方向に延びており、一端側から他端側に向けて基板KBを水平方向に搬送する。テープフィーダ13は内蔵したスプロケット13S(
図4も参照)により、リールRLに巻き付けられたキャリアテープCTを引き出して搬送する。
【0013】
キャリアテープCTには多数の部品BHが一列に並んだ状態で封入されている。テープフィーダ13はキャリアテープCTを搬送コンベア12側に向けて送ることで、部品供給位置13Kに部品BHを供給する(
図3および
図4)。
【0014】
ヘッド移動機構14は例えばXYテーブル機構から成り、装着ヘッド15を水平面内で移動させる。装着ヘッド15は下方に延びた複数のノズル15Nを備えている(
図3および
図4)。
【0015】
図3および
図4において、基板カメラ16は撮像光軸を下方に向けた姿勢で装着ヘッド15に取り付けられている。基板カメラ16はヘッド移動機構14によって、装着ヘッド15とともに水平面内方向に移動される。
【0016】
各作業装置2の各部、すなわち搬送コンベア12、テープフィーダ13、ヘッド移動機構14、装着ヘッド15および基板カメラ16の各動作は、作業装置制御部17(
図3)によって制御される。これにより搬送コンベア12は基板KBの搬送および位置決めを行い、各テープフィーダ13は部品供給位置13Kに部品BHを供給する。
【0017】
ヘッド移動機構14は作業装置制御部17によって制御されて装着ヘッド15を移動させ、装着ヘッド15はノズル15Nの下端に部品BHを吸着させる(
図4)。基板カメラ16は作業装置制御部17からの指令に基づいて撮像動作を行う。基板カメラ16の撮像動作によって得られた画像データは、作業装置制御部17に送られて処理される。
【0018】
作業装置2が部品装着作業を行う場合には先ず、搬送コンベア12を作動させて基板KBを搬入し、作業位置に位置決めする。基板KBを作業位置に位置決めしたらヘッド移動機構14を作動させて装着ヘッド15を基板KBの上方に移動させ、基板カメラ16に基板KBを撮像させる。基板カメラ16に基板KBを撮像させたら、その撮像によって得られた画像に基づいて基板KBを認識する。
【0019】
作業装置2は基板KBを認識したら、装着ヘッド15に装着ターンを繰り返し実行させる。装着ヘッド15が実行するひとつの装着ターンは、テープフィーダ13が供給する部品BHをノズル15Nによりピックアップする動作と、ピックアップした部品BHを基板KB上の所定の位置に装着する動作から成る。
【0020】
作業装置2は、装着ヘッド15が装着ターンを繰り返し実行することによって基板KBに装着されるべき全ての部品BHが装着されたら、搬送コンベア12を作動させて基板KBを作業位置から搬出する。これにより基板KBの1枚当たりの部品装着作業が終了する。
【0021】
作業装置2は上述のようにして部品装着作業を実行するが、その過程において何らかのエラーが発生することがある。作業装置2にエラーが発生すると、その作業装置2からエラーの情報(エラー情報)が管理装置3に出力される(
図2)。作業装置2からエラー情報が出力されると、管理装置3を操作する者(管理者)は、複数のリモート監視装置4の中からひとつのリモート監視装置4を選択し、その選択したリモート監視装置4に解消指示信号を、エラー情報とともに送信する(
図2)。ここで「解消指示信号」とは、発生したエラーを解消するようにリモート監視装置4のオペレータOPに指示する信号をいう。
【0022】
本実施の形態では、各リモート監視装置4とこれを操作するオペレータOPとの組み合わせは固定したものではない。よって、各オペレータOPは任意のリモート監視装置4から操作を行うことができるが、オペレータOPはリモート監視装置4の操作を行う前に自身の識別子と自身が操作するリモート監視装置4の識別子との組み合わせを管理装置3に報告するようになっており、そのオペレータOPとリモート監視装置4のとの組み合わせの情報は管理装置3に記憶されるようになっている。このため管理装置3はどのリモート監視装置4がどのオペレータOPによって操作されているかを把握しており、解消指示信号をリモート監視装置4に送信することは、そのリモート監視装置4を操作するオペレータOPにエラー解消操作を指示することを意味する。
【0023】
上記のようにして管理装置3から選択されたリモート監視装置4に解消指示信号が送信されると、そのリモート監視装置4を操作するオペレータOPがリモート監視装置4からエラーの解消操作を行う。オペレータOPがリモート監視装置4からエラーの解消操作を行うと、リモート監視装置4はそのエラーの解消操作に基づいて解消操作信号を出力する(
図2)。そして作業装置2は、リモート監視装置4から出力された解消操作信号に基づいて動作することによって、(すなわちリモート監視装置4から遠隔操作されることによって)、エラーを解消する。以下、このような流れで作業装置2に発生したエラーが解消される構成の詳細を説明する。
【0024】
本実施の形態におけるリモート操作システム1において、各作業装置2の作業装置制御部17は、
図5に示すように、エラー検出部21、エラー情報取得部22、エラー情報送信部23および解消操作信号受信部24を備えている。エラー検出部21は、作業装置2内に何らかのエラーが発生した場合にはこれを検出し、作業装置2の全部または一部の動作を中断させる。エラー情報取得部22は、エラー検出部21によって検出されたエラーの発生箇所(エラー発生箇所)を特定し、発生したエラーの情報(種別およびその内容)をエラー情報として取得する(
図2)。
【0025】
エラー情報取得部22は、エラーの発生箇所が基板カメラ16によって撮像可能である場合には、ヘッド移動機構14を作動させて基板カメラ16をエラー発生箇所の上方に移動させ、エラー発生箇所を基板カメラ16に撮像させる。例えば、装着ヘッド15が、或るテープフィーダ13からの部品BHの吸着に一定回数連続して失敗していた場合には、そのテープフィーダ13の部品供給位置13Kをエラー発生箇所として特定し、部品供給位置13Kの静止画像または動画を基板カメラ16に撮像させる。
【0026】
エラー情報送信部23は、エラー情報取得部22が取得したエラー情報を管理装置3に送信する(
図2)。エラー発生箇所が基板カメラ16によって撮像された場合には、そのエラー発生箇所の画像データ(静止画あるいは動画データ)は、エラー情報の全部または一部として管理装置3に送信される。
【0027】
図5において、管理装置3は、記憶部31、解消指示信号送信部32、データ収集部33およびデータ分析部34を備えている。管理装置3には管理者用入出力装置としてのタッチパネル35が接続されている。
【0028】
記憶部31には、リモート監視装置4を操作を担当する複数のオペレータOPそれぞれの過去の実績データをベースとするスキルデータが記憶されている。また記憶部31には、作業装置2に発生したエラーに対する処理方針である処理ポリシーが複数記憶されている。
【0029】
ここで「エラーに対する処理方針」とは、作業装置2に発生したエラーを解消するためにどのオペレータOPにエラーの解消指示を与えるか(どのリモート監視装置4に解消指示信号を送信するか)、複数のオペレータOPにどのような順序でエラーの解消指示を与えるか(複数のリモート監視装置4にどのような順序で解消指示信号を送信するか)、等の方針をいう。記憶部31に記憶された複数の処理ポリシーは、管理者がタッチパネル35から所定の操作を行うことで、タッチパネル35に処理ポリシー選択画面が表示される。
【0030】
図6は、タッチパネル35に表示された処理ポリシー選択画面GMの一例であり、記憶部31に記憶された第1処理ポリシーと第2処理ポリシーの2つの処理ポリシーが表示された状態を示している。ここで第1処理ポリシーは「処理件数が多いオペレータが操作するリモート監視装置に解消指示信号を送信する」という内容の処理ポリシーであり、第2処理ポリシーは「エラーの種別ごとに割り当てられた担当オペレータが操作するリモート監視装置に解消指示信号を送信する」という内容の処理ポリシーである。
【0031】
管理者は、タッチパネル35に表示された処理ポリシー選択画面GMからひとつの処理ポリシーをタッチしたうえで、処理ポリシー選択画面GMの中の確定ボタンBTをタッチすることで、その処理ポリシーを選択することができる。管理者によって処理ポリシーが選択されたら、解消指示信号送信部32は、その選択された処理ポリシーに該当するリモート監視装置4(すなわち複数のリモート監視装置4のうちの少なくともひとつのリモート監視装置4)に解消指示信号を送信する(
図2)。具体的には、解消指示信号送信部32は、管理者によって第1処理ポリシー、すなわち「処理件数が多いオペレータが操作するリモート監視装置に解消指示信号を送信する」といる処理ポリシーが選択された場合には、記憶部31に記憶されたスキルデータに基づいて処理件数が多いオペレータOPを抽出し、そのオペレータOPが操作しているリモート監視装置4を特定する。そして、その特定したリモート監視装置4に解消指示信号を送信する。
【0032】
一方、解消指示信号送信部32は、管理者によって第2モード、すなわち「エラーの種別ごとに割り当てられた担当オペレータが操作するリモート監視装置に解消指示信号を送信する」という処理ポリシーが選択された場合には、記憶部31に記憶されたスキルデータに基づいて、発生したエラーに対応することに定められているオペレータOPを抽出し、そのオペレータOPが操作しているリモート監視装置4を特定する。そして、その特定したリモート監視装置4に解消指示信号を送信する。
【0033】
図1において、複数のリモート監視装置4それぞれは、例えばパーソナルコンピュータから構成されている。各リモート監視装置4は、
図5にも示すように、リモート監視制御部41、モニタ42および入力装置43を備えている。
【0034】
図5において、リモート監視制御部41は、解消指示信号受信部51、エラー情報表示制御部52および解消操作信号送信部53を備えている。解消指示信号受信部51は管理装置3から送られてきた解消指示信号とエラー情報を受信し、エラー情報表示制御部52は、解消指示信号受信部51が受信したエラー情報をモニタ42に表示させる。
【0035】
図7(a)は、エラー情報表示制御部52によってモニタ42に表示されたエラー情報の一例としてのエラー発生箇所の画像GZを示している。
図7(a)に示す画像GZは、前述した部品BHの吸着ミスが発生した場合におけるテープフィーダ13の部品供給位置13Kを含む領域を映し出したものであり、エラー発生箇所の画像GZの中心位置は、ノズル15Nの下端の位置(ノズル下端位置KC)に一致している。エラー発生箇所の画像GZがモニタ42に表示されたら、オペレータOPは、その画像GZを見ながら、入力装置43からエラーの解消操作を行う。
【0036】
ノズル下端位置KCは本来、部品供給位置13Kと一致しているべきであるが、エラーが発生した状態の
図7(a)の画像GZでは、ノズル下端位置KCと部品供給位置13Kとが一致していない。この場合、オペレータOPは、ノズル下端位置KCがテープフィーダ13の部品供給位置13Kに一致するように、部品吸着時における装着ヘッド15の位置を移動させる操作を行う。具体的には、
図7(a)の画像GZにおけるノズル下端位置KCと部品供給位置13Kとの差分がキャンセルされて
図7(b)の状態になるように、部品吸着時における装着ヘッド15の位置を移動させるためのオフセット量(移動方向および移動量)を入力装置43から入力する。
【0037】
解消操作信号送信部53は、オペレータOPによって入力装置43から入力されたエラーの解消操作に基づく解消操作信号を管理装置3に送信する。管理装置3は解消操作信号を受信したら、その受信した解消操作信号を、エラー情報の送信元である作業装置2に送信(転送)する(
図2)。
【0038】
エラー情報の送信元である作業装置2の作業装置制御部17は、リモート監視装置4が出力した(管理装置3経由で転送されてきた)解消操作情報を解消操作信号受信部24によって受信する(
図2)。解消操作信号を受信した作業装置制御部17は、その受信した解消操作信号に基づいてエラー発生箇所に関連する部位を作動させる。これによりエラーが解消したら、作業装置制御部17は、部品装着作業の中断状態を解除して、部品装着作業を再開させるとともに、エラーの解消(復旧)に成功した旨の信号を管理装置3に送信する。一方、エラーが解消しなかった場合には、その旨の信号を管理装置3に送信する。
【0039】
このように本実施の形態におけるリモート操作システム1は、作業装置2と、管理装置3と、複数のリモート監視装置4を備え、作業装置2はエラーが発生するとエラー情報を出力し、管理装置3は作業装置2にエラーが発生した場合における対応方針である複数の処理ポリシーを記憶しており、作業装置2からエラー情報が出力されると、管理装置3を操作する管理者によって複数の処理ポリシーの中から選択された処理ポリシーに従って複数のリモート監視装置4の少なくともひとつに解消指示信号を送信し、管理装置3から解消指示信号を受信したリモート監視装置4は、そのリモート監視装置4のオペレータOPが行うエラー解消操作に基づいて解消操作信号を出力し、作業装置2はリモート監視装置4から出力された解消操作信号に基づいてエラーを解消する動作を行うようになっている。
【0040】
本実施の形態のリモート操作システム1では、上記のように、作業装置2にエラーが発生した場合には、管理者によって選択されている処理ポリシーに従って解消指示信号がリモート監視装置4に送られるが、管理者が選択している処理ポリシーが適切であるかどうか、すなわち、エラー解消効率の観点等から、適切(最適)なリモート監視装置4(オペレータOP)に解消指示信号を送っているかどうかは常に検証される必要がある。このため前述した管理装置3のデータ収集部33は、作業装置2が解消操作信号に基づいて動作した結果のデータを処理ポリシーごとに収集し、データ分析部34は、データ収集部33により収集されたデータを分析するようになっている。
【0041】
図8(a)は、データ収集部33が収集したデータの一例を示す表であり、複数の作業装置2に発生したエラーの数(エラー数)と、エラーの解消操作に費やした時間(処理時間)の結果を「全体実績」として示している。作業者はタッチパネル35から所定の操作をすることで、タッチパネル35にこのデータを表示させることができる。
【0042】
図8(a)に示すエラー数は、「総エラー数」、「復旧エラー数」、「非復旧エラー数」に分類されている。「総エラー数」は複数の作業装置2の全体に発生したエラーの数、「復旧エラー数」は復旧(エラーの解消)に成功したエラーの数、「非復旧エラー数」は復旧に成功しなかったエラーの数である。また「処理時間」は、「復旧総時間」、「復旧待ち時間」、「処理時間/件数」、「待ち時間/件数」に分類されている。「復旧総時間」は、複数の作業装置2に発生した全てのエラーそれぞれの復旧作業に要した時間の総計、「復旧待ち時間」は復旧したエラーのそれぞれについて、その作業に取り掛かる前に要した時間の総計、「処理時間/件数」は復旧総時間を復旧エラー数で割って得られた時間、「待ち時間/件数」は復旧待ち時間を適用回数で割って得られた時間である。
【0043】
図8(b)は、データ収集部33が処理ポリシーごとに収集したデータをデータ分析部34が分析して得た分析結果を「処理ポリシーごとの実績」として示している。作業者はタッチパネル35から所定の操作をすることで、タッチパネル35にこの分析結果を表示させることができる。この場合、タッチパネル35は、データ収集部33により収集されたデータを処理ポリシーごとに表示するデータ表示部として機能する。
【0044】
図8(b)の分析結果には、処理ポリシーごとに、「総エラー数」、「適用回数」、「復旧エラー数」、「非復旧エラー数」、「復旧総時間」、「復旧待ち総時間」、「処理時間/件数」および「待ち時間/件数」が示されている。「総エラー数」は発生したエラーの総数であり、「適用回数」は処理ポリシーの適用回数、すなわち管理者によって選択された処理ポリシーが適用されて処理されたエラーの数である。「復旧エラー数」、「非復旧エラー数」、「復旧総時間」、「復旧待ち総時間」、「処理時間/件数」および「待ち時間/件数」は
図8(a)の「復旧エラー数」、「非復旧エラー数」、「復旧総時間」、「復旧待ち総時間」、「処理時間/件数」、「待ち時間/件数」を処理ポリシーごとに細分化して示したものである。
【0045】
本実施の形態では、
図8(b)に示すように、データ分析部34がデータを分析して得た分析結果が、タッチパネル35に視覚的に表示されるようになっている。
図8(b)では、分析結果が、各処理ポリシーについてのコメント文としてタッチパネル35に表示されるようになっている。この場合、タッチパネル35は、データ分析部34が分析して得た分析結果を視覚的に(ここではコメント文により)表示する分析結果表示部として機能する。なお、コメント文は、例えば、人工知能を利用した文章作成中ツール等によって作成することができる。
【0046】
このように本実施の形態におけるリモート操作システム1の管理装置3は、作業装置2が解消操作信号に基づいて動作した結果のデータを処理ポリシーごとに収集するデータ収集部33と、データ収集部33により収集されたデータを表示するデータ表示部(タッチパネル35)を備えた構成となっている。さらには管理装置3は、データ収集部33により収集されたデータを分析するデータ分析部34と、データ分析部34が分析して得た分析結果を視覚的に表示する分析結果表示部(タッチパネル35)を備えた構成となっている。このため本実施の形態におけるリモート操作システム1において、管理者は、自らのいわゆるKKD(経験、勘、度胸)に頼ることなく、客観的な評価によって複数の処理ポリシーの中から適切な処理ポリシーを選択することができる。
【0047】
上述の例では、データ分析部34がデータ収集部33により収集されたデータを分析して得た結果(分析結果)が各処理ポリシーについてのコメント文によって視覚的に表示されるようになっているが、コメント文に替えて、あるいはコメント文とともに、処理ポリシーごとの実績がグラフ(例えば棒グラフ)等で表示されるようになっていてもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態におけるリモート操作システム1は、作業装置2にエラーが発生した場合における対応方針である複数の処理ポリシーを記憶し、作業装置2からエラー情報が出力されると、管理者によって複数の処理ポリシーの中から選択された処理ポリシーに従って複数のリモート監視装置の少なくともひとつに解消指示信号を送信する管理装置3が、作業装置2が解消操作信号に基づいて動作した結果のデータを処理ポリシーごとに収集するデータ収集部33と、データ収集部33により収集されたデータを表示するデータ表示部(タッチパネル35)を備えているので、管理者は、自分が選択した処理ポリシーが適切(最適)なものであるかどうかを検証することができる。このため管理者は客観的な評価によって複数の処理ポリシーの中から適切な処理ポリシーを選択することができ、リモート操作システム1の作業装置2に発生したエラーは効率的に解消処理されるようになる。
【0049】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述した処理ポリシー(第1処理ポリシー、第2処理ポリシー)は一例であり、その他の内容を有する処理ポリシーを採用してもよい。これには、「前回のエラー解消処理作業が終了してからの経過時間が最も長いオペレータに優先して解消指示信号を送信する」という内容の処理ポリシーや、「エラーの復旧成功率の最も高いオペレータに優先して解消指示信号を送信する」という内容の処理ポリシー等を含めることができる。また、上述の実施の形態では、作業装置2の例として部品装着装置を示したが、作業装置2は部品装着装置以外の作業装置であっても構わない。また、上述の実施の形態では、リモート操作システム1は複数の作業装置2を備えていたが、作業装置2は少なくともひとつ備えていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
管理者が選択する処理ポリシーが適切なものであるかどうかを検証することができるリモート操作システムを提供する。
【符号の説明】
【0051】
1 リモート操作システム
2 作業装置
3 管理装置
4 リモート監視装置
31 記憶部
32 解消指示信号送信部
33 データ収集部
34 データ分析部
35 タッチパネル(データ表示部)(分析結果表示部)
OP オペレータ