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特開2024-142357仮想事故画像生成装置、仮想事故画像生成方法及びプログラム
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  • 特開-仮想事故画像生成装置、仮想事故画像生成方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142357
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】仮想事故画像生成装置、仮想事故画像生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241003BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/13
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054470
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良樹
(72)【発明者】
【氏名】片岡 充照
(72)【発明者】
【氏名】小島 康
(72)【発明者】
【氏名】西川 雅清
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC14
5H181EE02
5H181MC12
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運転者の運転を改善させるように働きかけることができる仮想事故画像生成装置等を提供する。
【解決手段】仮想事故画像生成装置3は、運転者が運転する車両10に関する情報に基づいて、運転者の運転が危険運転であることを判定することが可能な危険運転判定部22と、車両10に関する情報と、運転者の当該運転が危険運転であることを危険運転判定部22が判定した結果とに基づいて、運転者が車両10を運転しているときの画像に、実際に存在していれば車両10と事故を起こす可能性のある仮想的な事故対象物を生成する仮想事故対象生成部23と、仮想事故対象生成部23が生成した仮想的な事故対象物に基づいて、車両10と仮想的な事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力する仮想事故画像生成部25とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が運転する車両に関する情報に基づいて、前記運転者の運転が危険運転であることを判定することが可能な危険運転判定部と、
前記車両に関する情報と、前記運転者の運転が前記危険運転であることを前記危険運転判定部が判定した結果とに基づいて、前記運転者が前記車両を運転しているときの画像に、実際に存在していれば前記車両と事故を起こす可能性のある仮想的な事故対象物を生成する仮想事故対象生成部と、
前記仮想事故対象生成部が生成した仮想的な前記事故対象物に基づいて、前記車両と仮想的な前記事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力する仮想事故画像生成部とを備える
仮想事故画像生成装置。
【請求項2】
前記車両に関する情報には、前記車両の周辺環境を示す情報、前記車両の走行状態を示す情報、及び、前記車両を運転する前記運転者に関する情報が含まれる
請求項1に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項3】
さらに、前記仮想事故対象生成部が生成した仮想的な前記事故対象物と仮想的な事故を起こした場合に発生する過失割合を推定する過失割合推定部を備える
請求項1に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項4】
前記過失割合推定部は、前記仮想的な事故と、実際に発生した事故の過失割合との類似度に基づいて、過失割合を推定する
請求項3に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項5】
前記過失割合推定部は、前記仮想的な事故と、予め設定された事故の過失割合とに基づいて、過失割合を推定する
請求項3に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項6】
前記仮想事故画像生成部は、さらに前記車両に関する情報を用いて、前記運転者が前記危険運転を行ったときの前記運転者の挙動を示す画像を生成して出力する
請求項1~5のいずれか1項に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項7】
前記仮想事故画像生成部は、前記過失割合推定部が推定した過失割合が所定値よりも高い場合、前記仮想的な事故画像を生成して出力する
請求項3~5のいずれか1項に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項8】
さらに、前記運転者の運転が前記危険運転であることを前記危険運転判定部が判定すると、前記運転者に対して模範的な運転となる模範運転画像を生成して出力する模範運転操作生成部を備える
請求項1~5のいずれか1項に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項9】
運転者が運転する車両に関する情報に基づいて、前記運転者の運転が危険運転であることを判定することと、
前記車両に関する情報と、前記運転者の運転が前記危険運転であることが判定された結果とに基づいて、前記運転者が前記車両を運転しているときの画像に、実際に存在していれば前記車両と事故を起こす可能性のある仮想的な事故対象物を生成することと、
生成した仮想的な前記事故対象物に基づいて、前記車両と仮想的な前記事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力することとを含む
仮想事故画像生成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の仮想事故画像生成方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、仮想事故画像生成装置、仮想事故画像生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転者に安全運転を促す技術として、運転中の運転者に運転が危険であったことを指摘したり、危険な道路箇所を通知したりする技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、検知部が危険回避行動を検知するごとに、危険回避行動を検知した時の自車の位置を含む危険履歴情報を作成する危険履歴作成部と、自車が危険履歴情報に含まれた位置から所定範囲内に位置するとともに危険履歴情報に含まれた位置に向かっていると、安全運転を促す警告を運転者に対して通知する警告部とを備えた運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-219736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、運転者が危険な運転をしていたとしても、他の車両及び歩行者が危険を回避する行動をしていたり、他の車両及び歩行者が存在しなかったために事故に至らなかったりする場合は、運転者自身が危険運転をしていることを自覚できない。このような場合、運転者に対して危険運転を指摘したとしても、運転者が納得感を得ることができず、運転者の運転を改善するように運転者の安全運転意識を高めることができていないという課題がある。
【0006】
そこで、本開示では、運転者の安全運転意識を高めるように働きかけることができる仮想事故画像生成装置、仮想事故画像生成方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る仮想事故画像生成装置は、判定することが可能な危険運転判定部と、前記車両に関する情報と、前記運転者の運転が前記危険運転であることを前記危険運転判定部が判定した結果とに基づいて、前記運転者が前記車両を運転しているときの画像に、実際に存在していれば前記車両と事故を起こす可能性のある仮想的な事故対象物を生成する仮想事故対象生成部と、前記仮想事故対象生成部が生成した仮想的な前記事故対象物に基づいて、前記車両と仮想的な前記事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力する仮想事故画像生成部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の仮想事故画像生成装置等では、運転者の運転を改善させるように働きかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る仮想事故画像生成システムを示すブロック図である。
図2A図2Aは、危険運転と判定される場合を示す図である。
図2B図2Bは、危険運転と判定される画像に仮想的な事故対象物を付加した仮想事故対象画像を示す図である。
図2C図2Cは、仮想的な事故対象物と車両が事故を起こした場合の仮想的な事故画像を示す図である。
図3図3は、実施の形態に係る仮想事故画像生成システムにおける車両の処理動作を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態に係る仮想事故画像生成システムにおける仮想事故画像生成装置の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
(実施の形態)
<構成>
まず、図1図2Cを用いて、本実施の形態に係る仮想事故画像生成装置3を含む仮想事故画像生成システム1の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、実施の形態に係る仮想事故画像生成システム1を示すブロック図である。図2Aは、危険運転と判定される場合を示す図である。図2Bは、危険運転と判定される画像に仮想的な事故対象物を付加した仮想事故対象画像を示す図である。図2Cは、仮想的な事故対象物と車両10が事故を起こした場合の仮想的な事故画像を示す図である。
【0015】
図1に示すように、仮想事故画像生成システム1は、車両10と、サーバ2と、表示装置30とを備えている。
【0016】
車両10は、運転者が運転する車両であり、運転者が車両10を運転するときに、車両10に関する情報を取得することができる。車両10は、自転車、バイク等を含み、道路又は通路を走行可能な車輪を備える走行体である。本実施の形態において、車両10は、自動車である。車両10に関する情報には、走行する車両10の周辺環境を示す情報(以下、周辺環境情報という)、車両10の走行状態を示す情報(以下、走行情報という)、及び、車両10を運転する運転者に関する情報(以下、運転者情報という)が含まれる。
【0017】
具体的には、車両10は、周辺環境情報取得部11と、走行情報取得部12と、運転者情報取得部13と、第1通信部14とを有している。
【0018】
周辺環境情報取得部11は、周辺環境情報を取得する。例えば、周辺環境情報取得部11は、運転者の運転によって車両10が走行しているときに周辺環境情報を取得したり、車両10が静止しているときに周辺環境情報を取得したりする。
【0019】
周辺環境情報は、車両10の周辺地図情報、及び、車両10の周辺に存在する対象物の情報を含んでいる。具体的には、周辺地図情報には、車両10の周辺の道路形状、車両10の周辺に存在する交差点の大きさ、形状、位置及び数、車両10の周辺に存在する信号機の位置及び台数、車両10からの死角等が含まれる。また、車両10の周辺に存在する対象物の情報には、車両10周辺に存在する他の車両の位置及び台数、車両10周辺に存在する人の位置及び数等が含まれる。
【0020】
周辺環境情報取得部11は、車両10の周辺に存在する対象物の画像及び音を記録することが可能なドライブレコーダー等の撮像部、車両10の周辺に存在する対象物の位置、距離及び数を検知可能なLiDAR(Light Detection And Ranging)等のセンサ等であ
る。また、周辺環境情報取得部11は、運転者の運転によって走行する車両10の周辺地図情報を取得する地図情報取得部を含んでいてもよい。
【0021】
周辺環境情報取得部11は、取得した周辺地図情報を第1通信部14に出力する。これにより、第1通信部14は、周辺地図情報をサーバ2へ送信することができる。
【0022】
走行情報取得部12は、走行情報を取得する。例えば、走行情報取得部12は、車両10の走行に関する情報を取得したり、車両10の位置を示す情報を取得したりする。具体的には、車両10の走行に関する情報には、車両10の走行速度、運転者によるハンドル操作等の履歴が含まれる。また、車両10の位置を示す情報には、車両10が走行したGPS(Global Positioning System)情報等の履歴が含まれる。
【0023】
走行情報取得部12は、車両10の走行速度を検知することが可能な車速センサ、ハンドル操作を検知することが可能な舵角センサ、GPS情報を取得することが可能な通信部等である。
【0024】
走行情報取得部12は、取得した走行情報を第1通信部14に出力する。これにより、第1通信部14は、走行情報をサーバ2へ送信することができる。
【0025】
運転者情報取得部13は、運転者情報を取得する。運転者情報には、運転者の視線を示す情報等が含まれる。
【0026】
運転者情報取得部13は、車両10を運転する運転者の視線を検知することが可能な視線検出センサ等である。
【0027】
運転者情報取得部13は、取得した運転者情報を第1通信部14に出力する。これにより、第1通信部14は、運転者情報をサーバ2へ送信することができる。
【0028】
第1通信部14は、車両10に搭載され、サーバ2と無線通信可能な無線通信モジュールである。第1通信部14は、上述したように、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報をサーバ2に送信する。
【0029】
サーバ2は、車両10の外部に設けられている情報処理装置である。サーバ2は、仮想事故画像生成装置3を備えている。なお、図1では、仮想事故画像生成装置3がサーバ2に搭載されている場合を例示しているがこれには限定されない。例えば、仮想事故画像生成装置3は、車両10に搭載されていてもよい。
【0030】
仮想事故画像生成装置3は、運転者の運転が危険運転である場合に、危険運転をしていたことを運転者に自覚させるための画像を運転者に提示することができる。提示する画像は、動画像又は静止画像である。危険運転をしていたことを運転者に自覚させるための画像は、実際に運転者が危険運転する様子を撮像した画像、又は、これらの仮想的な画像等である。
【0031】
具体的には、仮想事故画像生成装置3は、第2通信部21と、危険運転判定部22と、仮想事故対象生成部23と、過失割合推定部24と、仮想事故画像生成部25と、模範運転操作生成部26とを備えている。
【0032】
第2通信部21は、車両10と無線通信可能な無線通信モジュールである。第2通信部21は、車両10から送信された周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報を受信する。第2通信部21は、受信した周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報を、危険運転判定部22及び仮想事故対象生成部23に出力する。
【0033】
危険運転判定部22は、運転者が車両10を運転する際の車両10に関する情報に基づいて、運転者の運転が危険運転であることを判定することが可能である。危険運転は、実際に事故が発生していないものの、事故が発生する可能性の高い運転である。例えば、危険運転には、運転者の確認不十分な運転、脇見運転、周囲に人が存在している場所での高速走行、急激な車線変更、急加速、急ハンドル、車線逸脱、ブレーキタイミングの遅れ、速度超過、法令違反に該当する運転等に該当する運転が含まれる。
【0034】
具体的には、危険運転判定部22は、車両10から取得した周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報に基づいて、運転者による車両10の運転が危険運転に該当するか否かを判定する。例えば、危険運転判定部22は、周辺環境情報に近くに人の存在が示されているとき、運転者情報に運転者の視線が車室内に向いている等の脇見運転を示しているというシーンの場合、運転者の運転が危険運転であると判定する。別の例では、危険運転判定部22は、周辺環境情報に死角の多い周辺環境であることが示されているとき、確認不十分(速度を落とさない、又は、脇見運転等)で車両10を走行させたというシーンの場合、運転者の運転が危険運転であると判定する。このように、危険運転判定部22は、運転者の運転をシーンごとに危険運転に該当するか否かを判定することができる。
【0035】
なお、危険運転判定部22は、周辺環境情報に人及び他の車両が車両10の近傍に存在していることが示されている場合、運転者が車両10を走行させると、運転者の運転が危険運転であると判定してもよい。例えば、危険運転判定部22は、車両10の近傍に人又は他の車両が存在しており、人又は他の車両が運転者の運転する車両10を避けることで事故発生を回避したことが周辺環境情報に示されている場合にも危険運転と判定する。また、危険運転判定部22は、走行情報に示される走行速度が所定の速度を超えていた場合、運転者の運転が危険運転であると判定してもよい。また、危険運転判定部22は、運転者情報に運転者の視線が車室内に向いている等の脇見運転を示している場合だけでも、運転者の運転が危険運転であると判定してもよい。
【0036】
危険運転判定部22は、運転者の運転が危険運転であると判定した結果を仮想事故対象生成部23へ出力する。
【0037】
仮想事故対象生成部23は、運転者の運転が危険運転であると判定された結果を危険運転判定部22から取得し、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報を第2通信部21から取得する。仮想事故対象生成部23は、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報と、運転者の運転が危険運転であることを危険運転判定部22が判定した結果とに基づいて、運転者が車両10を運転しているときの図2Aの画像(シーン画像)に応じて、実際に存在していれば車両10と事故を起こす可能性のある図2Bの仮想的な事故対象物を生成して出力する。
【0038】
具体的には、仮想事故対象生成部23は、運転者が危険運転であると判定されたシーンに応じた仮想的な事故対象物を生成する。例えば、仮想事故対象生成部23は、車両10の近傍に人又は他の車両が存在しており、人又は他の車両の挙動が変更されたことが周辺
環境情報に示されている場合、仮想的な事故対象物を生成する。別の例では、仮想事故対象生成部23は、車両10の近傍の人又は他の車両が運転者の運転する車両10を避けないような動きをすることが周辺環境情報に示されている場合、仮想的な事故対象物を生成する。さらに別の例では、運転者が脇見運転をしているときのシーンに応じて、車両10に近づく様子を示した仮想的な事故対象物を生成する。別の例では、運転者が確認不十分で車両10を走行させているときのシーンで、仮想的な事故対象物が死角から飛び出して車両10に近づく様子を示した仮想的な事故対象物を生成する。
【0039】
このように、仮想事故対象生成部23は、運転者の運転が危険と判断された要因に基づいて仮想事故対象物を生成したり、運転者が安全確認していない場所に仮想事故対象物を生成したりする。本実施の形態では、仮想事故対象生成部23は、実際に事故が発生していないものの、仮に事故対象物が存在していた場合に事故を起こす可能性が高い仮想的な事故対象物を生成する。
【0040】
ここで、仮想的な事故対象物は、実際に存在していれば車両10と事故を起こす可能性のある対象物であるが、より詳しくは、実際に事故が発生しなかったものの、危険運転と判定されたシーンにおいて、仮に事故対象物が存在していた場合に事故を起こす可能性が高いことを、仮想的に再現した対象物である。例えば、仮想的な事故対象物は、運転者が認識できている他の車両及び人が車両10に接触するように近づいてくる様子を仮想的に再現した事故対象物、図2Bのように障害物に車両10及び人が潜んでいると想定し、障害物の死角から車両10に接触するように近づいてくる様子を仮想的に再現した事故対象物を含んでいる。
【0041】
そして、仮想事故対象生成部23は、危険運転であると判定されたシーンに応じた仮想的な事故対象物を過失割合推定部24に出力する。
【0042】
過失割合推定部24は、仮想事故対象生成部23が生成した仮想的な事故対象物と仮想的な事故を起こした場合に発生する過失割合を推定する。
【0043】
例えば、過失割合推定部24は、仮想的な事故と、予め設定された事故内容と過失割合との関係を示すデータテーブルとを照らし合わせ、過失割合を推定してもよい。具体的には、過失割合推定部24は、仮想的な事故について、予め設定された事故内容と過失割合との関係を示すデータテーブルを用いて、過失割合を推定する。例えば、データテーブルは、サーバ2に搭載されている記憶部に記憶されていてもよい。
【0044】
データテーブルは、例えば以下のように設定されていてもよい。
【0045】
(1)信号機のある交差点において、第1車両が一方の道路を走行し、第2車両が他方の道路を走行しているとき、一方の道路が青信号のため、第1車両は交差点に侵入しているが、他方の道路が赤信号にもかかわらず第2車両が交差点に侵入して第1車両と衝突したという事故内容の場合、第2車両の過失割合を100%としてもよい。
【0046】
(2)信号機のない交差点において、第1車両が一方の道路を走行し、第2車両も第1車両と同様の速度で他方の道路を走行しているとき、両車両が交差点に侵入して互いに衝突したという事故内容の場合、第2車両に対して第1車両が左側から交差点に侵入するときに第1車両が左方優先となるため、第1車両の過失割合を40%、第2車両の過失割合を60%としてもよい。
【0047】
(3)信号機の無い交差点において、第1車両が一方の道路を走行し、第2車両が一方通行である他方の道路を走行しているとき、第1車両は交差点に侵入した際に、第2車両
が一方通行に違反して交差点に侵入し、互いに衝突したという事故内容の場合、第1車両の過失割合を20%、第2車両の過失割合を80%としてもよい。
【0048】
(4)信号機の無い交差点において、第1車両が広路である一方の道路を走行し、第2車両が狭路である他方の道路を走行しているとき、両車両が交差点に侵入して互いに衝突したという事故内容の場合、第1車両の過失割合を30%、第2車両の過失割合を70%としてもよい。
【0049】
(5)信号機の無い交差点において、一方の道路に一時停止の標識があり、一時停止の標識のない他方の道路を走行している第1車両に対して、一時停止の標識がある一方の道路を走行している第2車両が交差点に侵入して第1車両と衝突したという事故内容の場合、第2車両の過失割合を80%とし、第1車両の過失割合を20%としてもよい。
【0050】
(6)信号機の無い交差点において、第1車両が優先道路である一方の道路を走行し、第2車両が非優先道路である他方の道路を走行しているとき、両車両が交差点に侵入して互いに衝突したという事故内容の場合、第1車両の過失割合を10%、第2車両の過失割合を90%としてもよい。
【0051】
このように、データテーブルは、事故内容に応じて適宜、過失割合が設定されていてもよい。
【0052】
例えば、過失割合推定部24は、仮想的な事故と、過去に実際に発生した事故の過失割合との類似度に基づいて過失割合を推定してもよい。この際、過失割合推定部24は、過去に実際に発生した事故内容とその過失割合との関係を示す複数の履歴データを用いる。具体的には、過失割合推定部24は、仮想的な事故と、過去に実際に発生した事故の過失割合との類似度に基づいて、抽出した履歴データに示される過失割合を調節した値を過失割合として推定してもよい。また、過失割合推定部24は、仮想的な事故と最も類似する履歴データを抽出し、抽出した履歴データに示される過失割合を、仮想的な事故によって生じた過失割合として推定してもよい。
【0053】
過失割合推定部24は、推定した過失割合を仮想事故画像生成部25に出力する。また、過失割合推定部24は、推定した過失割合を表示装置30に出力してもよい。これにより、表示装置30は、推定された過失割合を表示することができる。例えば、表示装置30は、「車両の過失割合〇%」、「仮想的な事故対象物の過失割合▽%」と表示してもよい。
【0054】
仮想事故画像生成部25は、過失割合推定部24を介して、仮想的な事故対象物を仮想事故対象生成部23から取得する。仮想事故画像生成部25は、少なくとも仮想事故対象生成部23が生成した仮想的な事故対象物に基づいて、車両10と仮想的な事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力する。また、仮想事故画像生成部25は、車両に関する情報及び仮想的な事故対象物に基づいて仮想的な事故画像を生成して出力することもできる。
【0055】
具体的には、仮想事故画像生成部25は、図2Cに示すように、仮想的な事故対象物と車両10とが仮想的に事故を起こした様子を、仮想的な事故画像として生成する。
【0056】
例えば、仮想事故画像生成部25は、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報に基づいて、危険運転であると判定されたシーン画像を用いてもよい。シーン画像は、全ての周辺環境を模した仮想的に再現した画像であってもよく、周辺環境情報取得部11が取得した周辺環境情報に示される実際に運転した動画像であってもよい。具体的には、運転者
が危険運転である脇見運転をしている場合、仮想事故画像生成部25は、運転者が脇見運転をしている様子を示すシーン画像を生成してもよい。さらに別の例では、死角の多い地域を車両10が走行している場合、仮想事故画像生成部25は、図2Bのように運転者が確認不十分で車両10を走行させている様子を示すシーン画像を生成してもよい。仮想事故画像生成部25は、これらのようなシーン画像に仮想的な事故対象物を付加し、図2Cに示すように、仮想的な事故対象物と車両10とが仮想的に事故を起こした様子を、仮想的な事故画像として生成してもよい。
【0057】
仮想的な事故画像が示す視界は、例えば、鳥瞰図、車両10の周囲の人から見た画像、他の車両に乗車する運転者から見た画像、車内の運転者から見た画像等である。
【0058】
また、仮想事故画像生成部25は、さらに車両10に関する情報を用いて、運転者が危険運転を行ったときの運転者の挙動を示す画像を生成して出力してもよい。この場合、仮想事故画像生成部25は、仮想的な事故画像を生成するとき、危険運転と判定されたときの運転者の視野を切り出した仮想的な画像を付加してもよい。また、仮想事故画像生成部25は、鳥瞰図と合わせて、運転者の視野を切り出した仮想的な画像を表示装置30に表示させてもよい。これにより、運転者が危険運転していたことを認識させることが期待できる。
【0059】
また、仮想事故画像生成部25は、過失割合推定部24が推定した過失割合が所定値よりも高い場合、仮想的な事故画像を生成して出力する。また、仮想事故画像生成部25は、過失割合推定部24が推定した過失割合が所定値以下の場合、仮想的な事故画像を生成しなくてもよい。なお、過失割合推定部24が推定した過失割合が所定値よりも高いか否かを仮想事故画像生成部25及び模範運転操作生成部26が判定してもよく、過失割合推定部24が判定してもよい。所定値は、予め設定された値であり、任意に設定することができる。
【0060】
仮想事故画像生成部25は、生成した仮想的な事故画像を表示装置30に出力する。
【0061】
模範運転操作生成部26は、過失割合推定部24を介して、仮想的な事故対象物を仮想事故対象生成部23から取得する。模範運転操作生成部26は、過失割合推定部24が推定した過失割合が所定値よりも高い場合、少なくとも仮想的な事故対象物に基づいて、運転者に対して模範的な運転となる模範運転画像を生成して出力する。また、模範運転操作生成部26は、車両に関する情報及び仮想的な事故対象物に基づいて模範運転画像を生成して出力してもよい。
【0062】
具体的には、模範運転操作生成部26は、危険運転と判定された運転者の運転をどのようにすればよいのかを運転者に提示するために、運転者に対して模範的な運転となる模範運転画像を生成して表示装置30に出力する。例えば、模範運転操作生成部26は、運転者に対して、模範運転となるハンドル操作、アクセル操作、及び、ブレーキ操作といった運転操作を矯正させるような模範運転画像を生成して表示装置30に出力する。さらに別の例では、模範運転操作生成部26は、運転者に対して、運転者の確認不十分な運転、脇見運転、周囲に人が存在している場所での高速走行、急激な車線変更、車線逸脱、速度超過があれば、これらの問題を運転者に指摘するための模範運転画像を生成して表示装置30に出力する。さらに別の例では、運転者が誤ったハンドル操作をしている場合、模範運転操作生成部26は、正しいハンドル操作となるように舵角を修正するような模範運転画像を生成して表示装置30に出力する。さらに別の例では、運転者のブレーキタイミングが遅れている場合、模範運転操作生成部26は、適切なブレーキタイミングとなるような模範運転画像を生成して表示装置30に出力する。例えば、模範運転操作生成部26は、運転者が実際に車両10を運転しているときに、運転者のブレーキタイミングが遅れた場
合、表示装置30の画面にブレーキを促すメッセージ又はアイコンを表示させてもよい。なお、メッセージ又はアイコンは、運転者が危険運転をした場合に表示装置30の画面に表示されればよく、ブレーキタイミングが遅れた場合に限定されない。
【0063】
また、仮想事故画像生成装置3では、危険運転をしたときの運転者の画像と、模範運転画像を見て運転が改善された後の運転者の画像とを録画していてもよい。この場合、仮想事故画像生成装置3は、危険運転をしたときの運転者の画像と、運転が改善された後の運転者の画像とを並べて表示装置30に表示させてもよい。これにより、運転者は、自身の運転が改善されたことを把握することができる。
【0064】
また、仮想事故画像生成装置3では、熟練の運転者が運転する様子が予め録画されていてもよい。この場合、様々なシーンに対応するように、複数の熟練の運転者が運転する様子の画像が記憶部に記憶されていてもよい。模範運転操作生成部26は、運転者が危険運転を行ったシーンと類似するシーンの画像(熟練の運転者が運転する様子の画像)を用いた模範運転画像を表示装置30に表示させてもよい。また、模範運転操作生成部26は、模範運転画像として、危険運転をしたときのシーンを仮想的に再現することで、運転者をその仮想的なシーンに没入させて、仮想的に運転操作を教習してもよい。
【0065】
また、場合によっては、模範運転操作生成部26は、車両10を制御するための制御信号を車両10のECU(Electronic Control Unit)等に出力することで、強制的に車両
10のブレーキをかけてもよく、運転者のシートを振動させることで、危険運転があったことを運転者に知らせてもよい。また、車両10が速度超過している場合、模範運転操作生成部26は、車両10を制御するための制御信号を車両10のECU等に出力することで、踏み込まれているアクセルペダルを強制的に戻してもよい。
【0066】
表示装置30は、仮想的な事故対象物、過失割合、仮想的な事故画像、及び、模範運転画像を表示することができる。表示装置30が表示するこれらの画像は、鳥瞰図、車両10の周囲の人の目線から見た画像、他の車両に乗車する運転者の目線から見た画像、車内の運転者から見た画像等である。表示装置30が表示するこれらの画像は、例えば、全てがコンピュータグラフィックスによって生成された画像であってもよく、運転者が車両10を運転しているときの画像(シーン画像)に仮想的な事故対象物を付加した画像であってもよい。
【0067】
表示装置30は、例えば、電子ミラー、HUD(Head-Up Display)、カーナビゲーシ
ョン、スマートフォン、ドライブシミュレータ等である。表示装置30は、車両10に搭載されていてもよく、施設に設置されていてもよい。
【0068】
<処理動作>
次に、本実施の形態における仮想事故画像生成装置3の処理動作について説明する。
【0069】
まず、図3を用いて、車両10の処理動作について説明する。
【0070】
図3は、実施の形態に係る仮想事故画像生成システム1における車両10の処理動作を示すフローチャートである。
【0071】
まず、図3に示すように、周辺環境情報取得部11は、周辺環境情報を取得する(S11)。周辺環境情報取得部11は、取得した周辺地図情報を、第1通信部14へ出力する。
【0072】
次に、走行情報取得部12は、走行情報を取得する(S12)。走行情報取得部12は
、取得した走行情報を、第1通信部14へ出力する。
【0073】
次に、運転者情報取得部13は、運転者情報を取得する(S13)。運転者情報取得部13は、取得した運転者情報を、第1通信部14へ出力する。
【0074】
なお、ステップS11からS13の処理は、順番が並べ替えられてもよく、パラレルに行われてもよい。
【0075】
第1通信部14は、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報をサーバ2に送信する(S14)。なお、第1通信部14は、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報のそれぞれを取得する度にサーバ2に送信してもよく、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報を纏めてサーバ2に送信してもよい。
【0076】
そして、図3における車両10の処理動作を終了する。
【0077】
次に、図4を用いて、サーバ2における仮想事故画像生成装置3の処理動作について説明する。
【0078】
図4は、実施の形態に係る仮想事故画像生成システム1における仮想事故画像生成装置3の処理動作を示すフローチャートである。
【0079】
まず、図4に示すように、第2通信部21が、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報を車両10から受信することで、サーバ2は、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報を取得する(S21)。第2通信部21は、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報を危険運転判定部22及び仮想事故対象生成部23に出力する。
【0080】
次に、危険運転判定部22は、第2通信部21から取得した周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報に基づいて、運転者による車両10の運転が危険運転に該当するか否かを判定する(S22)。危険運転判定部22は、運転者による車両10の運転が危険運転に該当しないと判定した場合(S22でNO)、図4のフローチャートを終了する。
【0081】
一方、危険運転判定部22は、運転者による車両10の運転が危険運転に該当すると判定した場合(S22でYES)、運転者の運転が危険運転であると判定した結果を仮想事故対象生成部23へ出力する。
【0082】
次に、仮想事故対象生成部23は、運転者の運転が危険運転であると判定された結果を危険運転判定部22から取得し、周辺環境情報、走行情報、及び、運転者情報を第2通信部21から取得する。仮想事故対象生成部23は、車両10に関する情報と、運転者の運転が危険運転であることを危険運転判定部22が判定した結果とに基づいて、運転者が車両10を危険運転しているときの画像に応じた仮想的な事故対象物を生成し、生成した仮想的な事故対象物を過失割合推定部24に出力する(S23)。
【0083】
次に、過失割合推定部24は、仮想的な事故対象物を仮想事故対象生成部23から取得する。過失割合推定部24は、仮想事故対象生成部23が生成した仮想的な事故対象物と仮想的な事故を起こした場合に発生する過失割合を推定する(S24)。
【0084】
次に、過失割合推定部24は、推定した過失割合が所定値よりも高いか否かを判定する(S25)。過失割合推定部24は、推定した過失割合が所定値以下であると判定した場合(S25でNO)、図4のフローチャートを終了する。
【0085】
一方、過失割合推定部24は、推定した過失割合が所定値よりも高いと判定した場合(S25でYES)、過失割合推定部24は、仮想的な事故対象物を、仮想事故画像生成部25及び模範運転操作生成部26へ出力する。
【0086】
次に、仮想事故画像生成部25は、過失割合推定部24が推定した過失割合が所定値よりも高い場合、少なくとも仮想的な事故対象物に基づいて仮想的な事故画像を生成し、表示装置30に出力する(S26)。表示装置30は、図2Cに示す仮想的な事故画像を表示する。このとき、仮想事故画像生成部25は、過失割合推定部24が推定した過失割合を表示装置30に表示させてもよい。
【0087】
次に、模範運転操作生成部26は、過失割合推定部24が推定した過失割合が所定値よりも高い場合、少なくとも仮想的な事故対象物に基づいて、運転者に対して模範的な運転となる模範運転画像を生成し、表示装置30に出力する(S27)。表示装置30は、模範運転画像を表示する。
【0088】
そして、図4におけるサーバ2の処理動作を終了する。なお、図3及び図4の処理が繰り返し行われる。
【0089】
<作用効果>
このような、本実施の形態における仮想事故画像生成装置3、仮想事故画像生成方法及びプログラムの作用効果について説明する。
【0090】
上述したように、本実施の形態の仮想事故画像生成装置3は、運転者が運転する車両10に関する情報に基づいて、運転者の運転が危険運転であることを判定することが可能な危険運転判定部22と、車両10に関する情報と、運転者の当該運転が危険運転であることを危険運転判定部22が判定した結果とに基づいて、運転者が車両10を運転しているときの画像に、実際に存在していれば車両10と事故を起こす可能性のある仮想的な事故対象物を生成する仮想事故対象生成部23と、仮想事故対象生成部23が生成した仮想的な事故対象物に基づいて、車両10と仮想的な事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力する仮想事故画像生成部25とを備える。
【0091】
これによれば、運転者の運転が危険運転であることを判定することができるため、仮想的な事故対象物によって運転者の運転が危険運転であったことを、運転者に知らせることができる。
【0092】
また、仮想的な事故対象物と車両10が事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成することができるため、運転者は、自身が行ってしまった危険運転のどこに問題があったかを振り返ることができたり、危険運転によってどのような事故を起こしてしまうかを認識できたりする。例えば、危険運転において、他の車両が避けてくれなかった場合、人が死角から飛び出した場合等を示す仮想的な事故対象物を運転者に提示することで、どのような事故に発展するかを運転者に認識させることができる。このため、運転者が実際に行った危険運転の状況を運転者に把握させることができるため、実際に事故が起こらなくても、運転者は、自身の運転が危険運転であったことを認識しやすくなる。
【0093】
したがって、仮想事故画像生成装置3によれば、運転者の安全運転意識を高めるように働きかけることができる。これにより、運転者は、自身の運転が危険運転であったことを反省し、安全運転に努めるように、安全運転意識を高めることが期待できる。その結果、社会における安全運転意識の高まりにより、人的損失、物的損失、保険料高騰及び物的損失による経費増大を抑制することができる。
【0094】
また、本実施の形態の仮想事故画像生成方法は、運転者が運転する車両10に関する情報に基づいて、運転者の運転が危険運転であることを判定することと、車両10に関する情報と、運転者の当該運転が危険運転であることが判定された結果とに基づいて、運転者が車両10を運転しているときの画像に、実際に存在していれば車両10と事故を起こす可能性のある仮想的な事故対象物を生成することと、生成した仮想的な事故対象物に基づいて、車両10と仮想的な事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力することとを含む。
【0095】
この方法においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0096】
また、本実施の形態のプログラムは、仮想事故画像生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0097】
このプログラムにおいても上述と同様の作用効果を奏する。
【0098】
また、本実施の形態の仮想事故画像生成装置3において、車両10に関する情報には、車両10の周辺環境を示す情報、車両10の走行状態を示す情報、及び、車両10を運転する運転者に関する情報が含まれる。
【0099】
これによれば、リアリティある仮想的な事故画像を生成することができるため、より運転者の安全運転意識を高めるように働きかけることができる。
【0100】
また、本実施の形態の仮想事故画像生成装置3は、さらに、仮想事故対象生成部23が生成した仮想的な事故対象物と仮想的な事故を起こした場合に発生する過失割合を推定する過失割合推定部24を備える。
【0101】
これによれば、仮想的な事故を起こした場合の過失割合を推定することができるため、運転者は、自身の運転が危険運転であったことと、それに伴う過失割合を認識させることができる。このため、運転者は、もし事故を起こしてしまった場合に、自身の過失割合の大きさを把握することができるようになる。
【0102】
また、仮想的な事故を起こした場合に過失の割合を推定するため、運転者に過失が無い場合に、過失割合を推定し、結果的に仮想的な事故画像を提示してしまうということが生じ難くなる。これにより、運転者の納得感が低下してしまうことを抑制することができる。
【0103】
また、本実施の形態の仮想事故画像生成装置3において、過失割合推定部24は、仮想的な事故と、実際に発生した事故の過失割合との類似度に基づいて、過失割合を推定する。
【0104】
これによれば、仮想的な事故を起こした場合の過失割合をより精度よく推定することができる。
【0105】
また、本実施の形態の仮想事故画像生成装置3において、過失割合推定部24は、仮想的な事故と、予め設定された事故の過失割合とに基づいて、過失割合を推定する。
【0106】
これによれば、仮想的な事故を起こした場合の過失割合を容易に推定することができる。
【0107】
また、本実施の形態の仮想事故画像生成装置3において、仮想事故画像生成部25は、
さらに車両10に関する情報を用いて、運転者が危険運転を行ったときの運転者の挙動を示す画像を生成して出力する。
【0108】
これによれば、運転者が危険運転を行ったときの運転者の挙動を示す画像を運転者に提示することができるため、運転者は、自身が行ってしまった危険運転のどこに問題があったかを認識することができるようになる。このため、より運転者の安全運転意識を高めるように働きかけることができる。
【0109】
また、本実施の形態の仮想事故画像生成装置3において、仮想事故画像生成部25は、過失割合推定部24が推定した過失割合が所定値よりも高い場合、仮想的な事故画像を生成して出力する。
【0110】
例えば、運転者に過失割合の小さい仮想的な事故画像を生成して運転者に提示した場合、運転者は、自身に問題があると認識し難くなり、仮想的な事故画像に対する納得感が低下してしまう。
【0111】
しかし、本実施の形態によれば、過失割合が高い場合に仮想的な事故画像を生成するため、運転者は、自身の危険運転によって、どのような事故を起こしてしまうかを認識することができる。このため、より運転者の安全運転意識を高めるように働きかけることができる。
【0112】
また、本実施の形態の仮想事故画像生成装置3は、さらに、運転者の運転が危険運転であることを危険運転判定部22が判定すると、運転者に対して模範的な運転となる模範運転画像を生成して出力する模範運転操作生成部26を備える。
【0113】
これによれば、運転者に対して模範運転画像を提示することで、運転者の危険運転を改善させることができる。このため、運転者が安全運転に努めるように、安全運転意識を高めることが期待できる。
【0114】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態等に限定されるものではない。
【0115】
例えば、本実施の形態における仮想事故画像生成装置等において、危険運転判定部は、サーバに搭載されているが、車両に搭載されていてもよい。さらに、仮想事故対象生成部が車両に搭載されていてもよい。さらに、過失割合推定部が車両に搭載されていてもよい。さらに、仮想事故画像生成部が車両に搭載されていてもよい。さらに、模範運転操作生成部が車両に搭載されていてもよい。このため、仮想事故画像生成装置が車両に搭載されていてもよい。この場合、車両に搭載されている表示装置に過失割合、仮想的な事故画像、及び、模範運転画像等を表示させることができるため、サーバに各情報を送信しなくてもよくなる。その結果、車両とサーバとの通信負荷の増大を抑制することができる。
【0116】
また、本実施の形態における仮想事故画像生成装置等において、危険運転の回数を計測してもよい。この場合、所定期間における危険運転の回数が閾値以上の場合、運転者の保険料に反映してもよい。つまり、危険運転の回数が閾値以上の場合、運転者の保険料を高くしてもよい。
【0117】
また、本実施の形態における仮想事故画像生成装置等において、仮想事故画像を警察庁、及び、自動車教習所等に提供してもよい。この場合、警察庁、及び、自動車教習所は、仮想事故画像を用いて安全運転啓蒙に活用することができる。
【0118】
また、本実施の形態における仮想事故画像生成装置等において、仮想的な事故対象物、過失割合、仮想的な事故画像、及び、模範運転画像を記憶する記憶部を備えていてもよい。この場合、記憶部は、車両に関する情報に仮想的な事故対象物、過失割合、仮想的な事故画像、及び、模範運転画像を紐付けて記憶してもよい。記憶部は、同様のシーンとなる仮想的な事故対象物、過失割合、仮想的な事故画像、及び、模範運転画像を1つに集約してもよい。
【0119】
また、本実施の形態における仮想事故画像生成装置等に含まれる各構成要件は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0120】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0121】
なお、上記実施の形態において、それぞれの構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、それぞれの構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。それぞれの構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0122】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0123】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0124】
また、フローチャートにおけるそれぞれのステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0125】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつくそれぞれの種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0126】
以下に、上記実施の形態に基づいて説明した仮想事故画像生成装置、仮想事故画像生成方法及びプログラムの特徴を示す。
【0127】
<技術1>
運転者が運転する車両に関する情報に基づいて、前記運転者の運転が危険運転であることを判定することが可能な危険運転判定部と、
前記車両に関する情報と、前記運転者の運転が前記危険運転であることを前記危険運転判定部が判定した結果とに基づいて、前記運転者が前記車両を運転しているときの画像に、実際に存在していれば前記車両と事故を起こす可能性のある仮想的な事故対象物を生成する仮想事故対象生成部と、
前記仮想事故対象生成部が生成した仮想的な前記事故対象物に基づいて、前記車両と仮
想的な前記事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力する仮想事故画像生成部とを備える
仮想事故画像生成装置。
【0128】
<技術2>
前記車両に関する情報には、前記車両の周辺環境を示す情報、前記車両の走行状態を示す情報、及び、前記車両を運転する前記運転者に関する情報が含まれる
技術1に記載の仮想事故画像生成装置。
【0129】
<技術3>
さらに、前記仮想事故対象生成部が生成した仮想的な前記事故対象物と仮想的な事故を起こした場合に発生する過失割合を推定する過失割合推定部を備える
技術1又は2に記載の仮想事故画像生成装置。
【0130】
<技術4>
前記過失割合推定部は、前記仮想的な事故と、実際に発生した事故の過失割合との類似度に基づいて、過失割合を推定する
技術3に記載の仮想事故画像生成装置。
【0131】
<技術5>
前記過失割合推定部は、前記仮想的な事故と、予め設定された事故の過失割合とに基づいて、過失割合を推定する
技術3に記載の仮想事故画像生成装置。
【0132】
<技術6>
前記仮想事故画像生成部は、さらに前記車両に関する情報を用いて、前記運転者が前記危険運転を行ったときの前記運転者の挙動を示す画像を生成して出力する
技術1~5のいずれか1つに記載の仮想事故画像生成装置。
【0133】
<技術7>
前記仮想事故画像生成部は、前記過失割合推定部が推定した過失割合が所定値よりも高い場合、前記仮想的な事故画像を生成して出力する
技術3~5のいずれか1つに記載の仮想事故画像生成装置。
【0134】
<技術8>
さらに、前記運転者の運転が前記危険運転であることを前記危険運転判定部が判定すると、前記運転者に対して模範的な運転となる模範運転画像を生成して出力する模範運転操作生成部を備える
技術1~7のいずれか1つに記載の仮想事故画像生成装置。
【0135】
<技術9>
運転者が運転する車両に関する情報に基づいて、前記運転者の運転が危険運転であることを判定することと、
前記車両に関する情報と、前記運転者の運転が前記危険運転であることが判定された結果とに基づいて、前記運転者が前記車両を運転しているときの画像に、実際に存在していれば前記車両と事故を起こす可能性のある仮想的な事故対象物を生成することと、
生成した仮想的な前記事故対象物に基づいて、前記車両と仮想的な前記事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力することとを含む
仮想事故画像生成方法。
【0136】
<技術10>
技術9に記載の仮想事故画像生成方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本開示は、例えば車両、ドライブシミュレータ等に利用可能である。
【符号の説明】
【0138】
3 仮想事故画像生成装置
10 車両
22 危険運転判定部
23 仮想事故対象生成部
24 過失割合推定部
25 仮想事故画像生成部
26 模範運転操作生成部
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が運転する車両に関する情報に基づいて、前記運転者の運転が危険運転であることを判定することが可能な危険運転判定部と、
前記車両に関する情報と、前記運転者の運転が前記危険運転であることを前記危険運転判定部が判定した結果とに基づいて、前記運転者が前記車両を運転しているときの画像に、実際に存在していれば前記車両と事故を起こす可能性のある仮想的な事故対象物を生成する仮想事故対象生成部と、
前記仮想事故対象生成部が生成した仮想的な前記事故対象物に基づいて、前記車両と仮想的な前記事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力する仮想事故画像生成部とを備える
仮想事故画像生成装置。
【請求項2】
前記車両に関する情報には、前記車両の周辺環境を示す情報、前記車両の走行状態を示す情報、及び、前記車両を運転する前記運転者に関する情報が含まれる
請求項1に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項3】
さらに、前記仮想事故対象生成部が生成した仮想的な前記事故対象物と仮想的な事故を起こした場合に発生する過失割合を推定する過失割合推定部を備える
請求項1に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項4】
前記過失割合推定部は、前記仮想的な事故と、実際に発生した事故との類似度に基づいて、過失割合を推定する
請求項3に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項5】
前記過失割合推定部は、前記仮想的な事故と、予め設定された事故の過失割合とに基づいて、過失割合を推定する
請求項3に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項6】
前記仮想事故画像生成部は、さらに前記車両に関する情報を用いて、前記運転者が前記危険運転を行ったときの前記運転者の挙動を示す画像を生成して出力する
請求項1~5のいずれか1項に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項7】
前記仮想事故画像生成部は、前記過失割合推定部が推定した過失割合が所定値よりも高い場合、前記仮想的な事故画像を生成して出力する
請求項3~5のいずれか1項に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項8】
さらに、前記運転者の運転が前記危険運転であることを前記危険運転判定部が判定すると、前記運転者に対して模範的な運転となる模範運転画像を生成して出力する模範運転操作生成部を備える
請求項1~5のいずれか1項に記載の仮想事故画像生成装置。
【請求項9】
運転者が運転する車両に関する情報に基づいて、前記運転者の運転が危険運転であることを判定することと、
前記車両に関する情報と、前記運転者の運転が前記危険運転であることが判定された結果とに基づいて、前記運転者が前記車両を運転しているときの画像に、実際に存在していれば前記車両と事故を起こす可能性のある仮想的な事故対象物を生成することと、
生成した仮想的な前記事故対象物に基づいて、前記車両と仮想的な前記事故対象物とが事故を起こした場合の仮想的な事故画像を生成して出力することとを含む
仮想事故画像生成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の仮想事故画像生成方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
例えば、過失割合推定部24は、仮想的な事故と、過去に実際に発生した事故との類似度に基づいて過失割合を推定してもよい。この際、過失割合推定部24は、過去に実際に発生した事故内容とその過失割合との関係を示す複数の履歴データを用いる。具体的には、過失割合推定部24は、仮想的な事故と、過去に実際に発生した事故との類似度に基づいて、抽出した履歴データに示される過失割合を調節した値を過失割合として推定してもよい。また、過失割合推定部24は、仮想的な事故と最も類似する履歴データを抽出し、抽出した履歴データに示される過失割合を、仮想的な事故によって生じた過失割合として推定してもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
また、本実施の形態の仮想事故画像生成装置3において、過失割合推定部24は、仮想的な事故と、実際に発生した事故との類似度に基づいて、過失割合を推定する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0130
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0130】
<技術4>
前記過失割合推定部は、前記仮想的な事故と、実際に発生した事故との類似度に基づいて、過失割合を推定する
技術3に記載の仮想事故画像生成装置。