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▶ 倉知 輝之の特許一覧

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  • 特開-スライドリクライニング用支持部材 図1
  • 特開-スライドリクライニング用支持部材 図2
  • 特開-スライドリクライニング用支持部材 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142365
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】スライドリクライニング用支持部材
(51)【国際特許分類】
   A47C 1/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A47C1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054479
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】303000589
【氏名又は名称】倉知 輝之
(74)【代理人】
【識別番号】100194180
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 豊博
(72)【発明者】
【氏名】倉知 輝之
【テーマコード(参考)】
3B099
【Fターム(参考)】
3B099BA08
3B099CB01
3B099CB05
(57)【要約】
【課題】背部フレームが傾くにつれてこれを支持する接続部材が反対方向に押しやるようにして、背部フレームの後方への移動距離を短くする。
【解決手段】基体4に沿って移動可能な座部フレーム1と、前記座部フレームの端部に一端が接続された背部フレーム2と、前記基体に一端が回転自在に固定接続され、他端が前記背部フレームと回転自在に接続されて該背部フレームを回動自在に支持する接続部材3とを、備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に沿って移動可能な座部フレームと、前記座部フレームの端部に一端が接続された背部フレームと、前記基体に一端が回転自在に固定接続され、他端が前記背部フレームと回転自在に接続されて該背部フレームを回動自在に支持する接続部材とを、備えたことを特徴とするスライドリクライニング用支持部材。
【請求項2】
前記基体に沿って前記座部フレームが移動するように、前記座部フレームの補助部材にローラを設けるとともに、前記基体に前記ローラが走行する溝付きレール部材を設ける構成としたことを特徴とする請求項1に記載のスライドリクライニング用支持部材。
【請求項3】
前記溝付きレール部材に前記ローラの走行を停止する手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載のスライドリクライニング用支持部材。
【請求項4】
前記座部フレームと接続されて、前記座部フレームの移動方向と反対方向に弾性力を生ずるようにした弾性体を前記基体に設けたことを特徴とする請求項1に記載のスライドリクライニング用支持部材。
【請求項5】
モータの駆動制御により、前記座部フレームが前記基体に沿って移動するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のスライドリクライニング用支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部フレームと背部フレームが同時に動作するリクライニングチェアなどに使用する、スライドリクライニング用の支持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リクライニングチェアなどに使用する、スライドリクライニング用の支持部材として、座部フレームの端部と背部フレームの端部を回転可能に接続した支持部材が知られている。これを使用することより、利用者が座部に腰をかけて背部に寄りかかると、座部フレームと背部フレームが連動して利用者の体形に合った姿勢を保つように動作し、休息感を味わうことができる。
特許文献1の椅子には、第1図に、座受3に軸支したローラ5とレール6を係嵌して、座フレーム7は前後方向へスライド可能に配装され、また座フレーム7に固定してあるアームレスト8に背フレーム9の略中央部が枢支されて、背フレーム9と座フレーム7が夫々一端にて枢着され、座フレーム7は前方へスライドし、これにつれて背フレーム9は背後へ傾動する構成が開示されている。
しかし、この構成では、背フレームの略中央部が枢支されて座フレームに接続されているため、座フレームが前方にスライドすると、その分だけ背フレームが後方に傾動して背後が長くなる。なお、枢支する部分を略中央部よりも上方にすると、背フレームの後方への傾動は小さくなるが、利用者にとって楽な姿勢をとり辛くなる、すなわち、体重の力だけでは各フレームを動かすのが難しくなるという問題が生じる。
【0003】
特許文献2のリクライニングチェアには、図3に、クッションフレーム10を角度調節機構13により回動自在に枢支したバックレストフレーム11が、脚体15とピン17により回動自在に枢支されて構成されている。これにより、使用時には、バックレストフレーム11と枢支されたクッションフレーム10がピン17を軸として上下に動作することになる。
特許文献2も、使用時には、バックレストフレーム11が固定された脚体15のピン17を軸として回転するため、特許文献1と同様に、バックレストフレーム11の傾きに応じて背後が長くなる。
【0004】
このように、リクライニング機能を有する椅子などにあっては、使用時に背部のフレームが傾斜することによって後方に延びることになるため、壁などを背後にして椅子などを設置する場合には、後方に長くなる分だけの余分なスペースを予め空けておかなくてはいけない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58-100653号公報
【特許文献2】実公昭60-41155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、リクライニング機能を有するリクライニングチェアなどを設置する際には、利用する際に背後に延びることを考慮して、設置しなければならない点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、座部フレームと接続された背部フレームを背後から回転自在に支持する接続部材を設けるとともに、背部フレームの回動に伴って、接続部材も回転するように構成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスライドリクライニング用支持部材は、背部フレームが後方に傾くに従って、座部フレームがスライドして前方に移動するとともに、背部フレームを背後から支持いている接続部材も前方に傾いて、背部フレームを前方に押し出すように構成しているため、背部フレームが前方に押し出された分だけ背部フレームの後方への伸びを抑えることができるという利点がある。また、座部フレームのスライドに伴って、座部フレームが上下に動くようなこともない。座部フレームの前後へスライドする範囲も長く確保できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るスライドリクライニング用支持部材の構成を説明する図である。
図2】本発明に係るスライドリクライニング用支持部材の動作状態を説明する図である。
図3】本発明に係るスライドリクライニング用支持部材を水平にしたときの状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
背部フレームの傾きに伴って後方へ寸法が伸びる動作を抑制するという目的を、背部フレームを支持する接続部材の前方への動きで吸収するように構成して実現した。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面において、同一又は機能的に同様の構成要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
【実施例0011】
図1は、本発明に係るスライドリクライニング用支持部材の構成を説明する図である。図中1は、利用者が腰を掛ける座部フレームであり、2は、座部フレーム1の一端と回転自在に接続されており、利用者の背面が当たる背部フレーム、3は、背部フレーム2の傾きによる回動を支える接続部材であり、一端が背部フレーム2の両側部をそれぞれ回動自在に支持し、他端は基体4と回転自在にそれぞれが固定接続されている。4は、座部フレーム1や背部フレーム2などを支えている基体、5は、ローラ6が取り付けられている補助部材であり、座部フレーム1と背部フレーム2とが接続された近傍の位置に、基体4に沿って座部フレーム1の両側に固定接続されている。補助部材5には、ローラ6が2つ取り付けられており、座部フレーム1の対応する位置に2つ固定接続されている。この補助部材5及び後述するレール部材7の基体4に沿った長さにより、座部フレーム1が移動する範囲が規定されることになる。すなわち、補助部材5を短かくして補助部材5がレール部材7を移動する範囲を大きくするほど、座部フレーム1の移動範囲を大きくすることができ、背部フレーム2を傾斜した状態から水平になる状態まで移動させることができるようになる。
【0012】
図中7は、溝を設けたレール部材であり、基体4の補助部材5と対応する位置に設けられて、座部フレーム1のローラ6が溝の中を回転しながら走行することができる。8は、バネなどの弾性部材であり、一端が基体4に接続され、他端は座部フレーム1に設けられた支持棒9にそれぞれ2か所接続されている。支持棒9は、座部フレーム1に配置されており、座部フレーム1が基体4に沿って移動する方向と垂直方向に配置されている。
【0013】
図2は、本発明に係るスライドリクライニング用支持部材の動作状態を説明する図である。利用者が座部フレーム1に腰を下ろし、背部フレーム2に背をもたれることで、利用者の体重により支点11を中心として背部フレーム2が回転するとともに、接続部材3も回動して、背部フレーム2は、座部フレーム1の支点10を軸として回転しながら、座部フレーム1を前方に押しやることになる。このとき、座部フレーム1は、基体4に設けられているレール部材7の溝を、座部フレーム1に設けられている補助部材5のローラ6が回転走行して、座部フレーム1が基体4に沿って前方に移動する。すなわち、座部フレーム1は、レール部材7にガイドされながら移動することになる。本実施例では、レール部材7としてC字型のパイプを使用している。
【0014】
また、座部フレーム1が基体4に沿って前方へ移動すると、弾性部材8が伸びることにより座部フレーム1を後方に押し戻す力が働き、滑らかに座部フレーム1を基体4に沿って前方へ移動させることができる。
【0015】
図3は、本発明に係るスライドリクライニング用支持部材を水平にしたときの状態を説明する図である。すなわち、図2の状態から、座部フレーム1をさらに前方に移動させて背部フレーム2と座部フレーム1が水平になったときの状態を示す図である。
ここで、接続部材3の長さmだけ前方に延び、背部フレーム2の支点11から端部までの長さLだけ後方に延びることになるため、この差分だけ基体4から後方に延びることになる。
このため、従来のように背部フレームの支点を固定した場合と比較して、支点11が前方に移動しながら背部フレーム2が支点11を中心に回転して後方に傾くため(回動)、後方に延びる長さが短くなり、また、座部フレーム1を基体4に沿って前後に動かすことで、座部フレーム1が上下に動くこともない。なお、接続部材3の長さmが長さLよりも長い場合には、基体4から後方に延びることはない。また、Lの長さを、背部フレーム2での支点11の位置を変えることで、変えられるようにしてもよい。
【0016】
支点11の位置を背部フレーム2のどの位置にするかによって、利用者の体重が背部フレーム2に与える力が異なり、支点11の位置が高くなるほど、すなわち、座部フレーム1から離れるほど、与える力が弱くなるため、利用者にとって楽な姿勢をとるのが難しくなる。このような場合には、座部フレーム1を定速モータと減速機を組み合わせたアクチュエーターモータを使って、利用者が操作することにより、基体4に沿って自動で前後にスライドさせるように構成することもできる。このとき、スライドする速度が調節できるようにしてもよい。この場合には、弾性部材8は不要となる。
【0017】
また、レール部材7にストッパーを設けて、背部フレーム2が所定の傾きの位置でそれ以上傾かないようにして、後方に必要以上延びないような角度に制限できるようにすることもできる。また、そのストッパーがレール部材7の任意の位置に設定できるようにして、ローラ6の移動範囲を制限するようにしてもよい。上記の定速モータと減速機を組み合わせたアクチュエーターモータを使って、制限された傾斜角度になると、自動的にストッパーの機能が働くようにモータを駆動制御することもできる。
【0018】
このように、リクライニングチェアなどに本発明のスライドリクライニング用支持部材を採用することで、利用に際して背後に延びることを考慮する必要がなくなるため、余分なスペースを予め背後に確保する必要がなくなって、背後の壁などに近接して配置することが可能になり、スペースの有効活用が増すことになる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
ベッドやチェアだけでなく、その他の介護用品、搬送用機器などにも適用して作業時の利便性を高めることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 座部フレーム
2 背部フレーム
3 接続部材
4 基体
5 補助部材
6 ローラ
7 レール部材
8 弾性部材
9 支持棒
10 支点
11 支点
図1
図2
図3