(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142366
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ワイパ駆動装置及びワイパ駆動方法
(51)【国際特許分類】
H02P 6/08 20160101AFI20241003BHJP
【FI】
H02P6/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054481
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
(72)【発明者】
【氏名】天笠 俊之
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560AA10
5H560BB04
5H560BB08
5H560BB12
5H560DA02
5H560DC07
5H560EB01
5H560EC00
5H560SS02
5H560UA05
(57)【要約】
【課題】往路方向で発生する負荷と復路方向で発生する負荷とに応じて、モータを適切に制御できるようにする。
【解決手段】ワイパアームを駆動するモータと、モータに対する負荷状態を判定するための指標値を生成し、当該指標値を基に、前記モータに対する負荷状態が低負荷状態か高負荷状態かを判定する負荷状態判定部と、モータを3相通電と2相通電とに切り替えて駆動する駆動制御部とを備える。駆動制御部は、モータに対する負荷状態が高負荷状態であると判定された場合、ワイパアームを往路方向に移動させる期間では、モータを3相通電で駆動し、ワイパアームを復路方向に移動させる期間では、モータを2相通電で駆動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパアームを駆動するモータと、
前記モータに対する負荷状態を判定するための指標値を生成し、当該指標値を基に、前記モータに対する負荷状態が低負荷状態か高負荷状態かを判定する負荷状態判定部と、
前記モータを3相通電と2相通電とに切り替えて駆動する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、
前記モータに対する負荷状態が高負荷状態であると判定された場合、
前記ワイパアームを往路方向に移動させる期間では、前記モータを3相通電で駆動し、
前記ワイパアームを復路方向に移動させる期間では、前記モータを2相通電で駆動する
ワイパ駆動装置。
【請求項2】
前記負荷状態判定部は、低負荷状態から高負荷状態への変化を検出する第1閾値と、高負荷状態から低負荷状態への変化を検出する第2閾値とを設定し、
前記第1閾値は前記第2閾値より大きい値とする
請求項1に記載のワイパ駆動装置。
【請求項3】
前記負荷状態判定部は、前記モータに対する負荷状態を判定するための指標値として、負荷に応じて決定される値を積算した値を生成する請求項1に記載のワイパ駆動装置。
【請求項4】
前記負荷に応じて決定される値は、車速である請求項3に記載のワイパ駆動装置。
【請求項5】
前記3相通電は、前記2相通電より制動力が大きい請求項1に記載のワイパ駆動装置。
【請求項6】
ワイパアームを駆動するモータを備えたワイパ駆動方法であって、
前記モータに対する負荷状態を判定するための指標値を生成し、当該指標値を基に、前記モータに対する負荷状態が低負荷状態か高負荷状態かを判定する工程と、
前記モータに対する負荷状態が高負荷状態であると判定された場合、前記ワイパアームを往路方向に移動させる期間では、前記モータを3相通電で駆動し、前記ワイパアームを復路方向に移動させる期間では、前記モータを2相通電で駆動する工程と、
を含むワイパ駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ駆動装置及びワイパ駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モータ制御において、負荷の大きさに応じて、例えば、フリーレス駆動方式と、矩形波駆動方式のように、異なる駆動方式に切り替えるモータ制御装置が知られている。ここで、フリーレス駆動方式は、矩形波駆動方式ではOFF相となる間に、中間のデューティ比となるPWM(Pulse Width Modulation)相を出力して、作動音を低下するようにした駆動方式である。フリーレス駆動方式は、矩形波駆動方式に比べて、低出力となる。特許文献1では、モータに対する負荷が小さい場合にはフリーレス駆動方式でモータを駆動し、負荷が大きい場合には矩形波駆動方式でモータを駆動するように、駆動方式の切り替え制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータに対する負荷は、モータの回転方向に対して反対方向となるトルクを付加するものと、モータの回転方向と同方向のトルクを付加するものがある。例えば、ワイパ装置の場合、ワイパアームはフロントウィンドウの下縁から頂点側に向かって移動し(往路)、上反転位置に達すると、ワイパアームの動きが反転し、頂点側から下縁に向かって移動する(復路)。走行時にワイパを作動させると、往路では、走行風の方向がワイパアームの移動方向と同じになるため、ワイパアームを駆動するモータの回転方向と同方向のトルクを与える負荷となる。これに対して、復路では、走行風の方向がワイパアームの移動方向と反対方向になるため、ワイパアームを駆動するモータの回転方向と反対方向のトルクを与える負荷となる。
【0005】
モータの回転方向に対して反対方向となるトルクを与える負荷の場合には、モータの出力を増大させることで対処できる。ところが、モータの回転方向と同方向のトルクを発生させる負荷に対しては、モータに制動力を与えるような処理が必要になる。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明は、ワイパアームを往路方向で発生する負荷と復路方向で発生する負荷とに応じて、モータを適切に制御できるようにしたワイパ駆動装置及びワイパ駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様1は、ワイパアームを駆動するモータと、前記モータに対する負荷状態を判定するための指標値を生成し、当該指標値を基に、前記モータに対する負荷状態が低負荷状態か高負荷状態かを判定する負荷状態判定部と、前記モータを3相通電と2相通電とに切り替えて駆動する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記モータに対する負荷状態が高負荷状態であると判定された場合、前記ワイパアームを往路方向に移動させる期間では、前記モータを3相通電で駆動し、前記ワイパアームを復路方向に移動させる期間では、前記モータを2相通電で駆動する。
【0008】
このように構成することで、往路方向で発生する負荷と復路方向で発生する負荷とに応じて、モータを適切に制御できる。
【0009】
本発明の態様2は、態様1の装置において、前記負荷状態判定部は、低負荷状態から高負荷状態への変化を検出する第1閾値と、高負荷状態から低負荷状態への変化を検出する第2閾値とを設定し、前記第1閾値は前記第2閾値より大きい値とする。
【0010】
このように構成することで、駆動モードが頻繁に変化することが防止できる。
【0011】
本発明の態様3は、態様1の装置において、前記負荷状態判定部は、前記モータに対する負荷状態を判定するための指標値として、負荷に応じて決定される値を積算した値を生成する。
【0012】
このように構成することで、一時的な負荷の増減や計測誤差による誤動作を防止することができる。
【0013】
本発明の態様4は、態様3の装置において、前記負荷に応じて決定される値は、車速である。
【0014】
このように構成することで、ワイパを駆動するモータに与える負荷の状態を確実に検知することができる。
【0015】
本発明の態様5は、態様1の装置において、前記3相通電は、前記2相通電より制動力が大きい。
【0016】
このように構成することで、ワイパを往路側に移動するときに、モータを確実に制動することができる。
【0017】
本発明の態様6は、ワイパアームを駆動するモータを備えたワイパ駆動方法であって、前記モータに対する負荷状態を判定するための指標値を生成し、当該指標値を基に、前記モータに対する負荷状態が低負荷状態か高負荷状態かを判定する工程と、前記モータに対する負荷状態が高負荷状態であると判定された場合、前記ワイパアームを往路方向に移動させる期間では、前記モータを3相通電で駆動し、前記ワイパアームを復路方向に移動させる期間では、前記モータを2相通電で駆動する工程とを含む。
【0018】
このように構成することで、往路方向で発生する負荷と復路方向で発生する負荷とに応じて、モータを適切に制御できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ワイパアームを往路方向に移動させる期間では、モータを3相通電で駆動して十分な制動力を確保し、ワイパアームを復路方向に移動させる期間では、モータを2相通電で駆動することで、十分な駆動力を確保することで、往路方向で発生する負荷と復路方向で発生する負荷とに応じて、モータを適切に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態によるワイパ駆動装置の一例を示す構成図である。
【
図2】本実施形態によるワイパ駆動装置におけるモータ駆動部のブロック図である。
【
図3】本実施形態における矩形波駆動パターンの一例を示す図である。
【
図4】本実施形態における矩形波駆動パターンの一例をテーブルにまとめた図である。
【
図5】本実施形態におけるフリーレス駆動パターンの第1の例を示す図である。
【
図6】本実施形態におけるフリーレス駆動パターンの第1の例をテーブルにまとめた図である。
【
図7】本実施形態における矩形波駆動のときの電流の流れの説明に用いる図である。
【
図8】本実施形態におけるフリーレス駆動のときの電流の流れの説明に用いる図である。
【
図9】本実施形態におけるフリーレス駆動パターンの第2の例を示す図である。
【
図10】本実施形態におけるフリーレス駆動パターンの第2の例をテーブルにまとめた図である。
【
図11】本実施形態における矩形波駆動パターンで条件を変更した場合の例を示す図である。
【
図12】本実施形態におけるフリーレス駆動パターンの第1の例で条件を変更した場合を示す図である。
【
図13】本実施形態におけるフリーレス駆動パターンの第2の例で条件を変更した場合を示す図である。
【
図14】本実施形態によるモータ制御装置の駆動モードの切り替え動作の一例を示す図である。
【
図15】本実施形態によるモータ制御装置の駆動モードの切り替え動作の一例を示すフローチャートである。
【
図16】本実施形態によるモータ制御装置の駆動モードのモータ駆動の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図17】三相通電の他の例の説明に用いる図である。
【
図18】三相通電の更に他の例の説明に用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態によるワイパ駆動装置及びワイパ駆動方法について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施形態によるワイパ駆動装置100の一例を示す構成図である。
図1に示すように、ワイパ駆動装置100は、車両1のウィンドウガラス10のウィンド面に対して、払拭動作を行う。ワイパ駆動装置100は、モータ2と、リンク機構11と、2本のワイパアーム12と、各ワイパアーム12の先端部に装着されたワイパブレード13とを備える。
【0023】
ワイパアーム12は、モータ2の回転駆動により、ウィンドウガラス10のウィンド面を動作し、先端部に装着されたワイパブレード13により払拭動作を行う。2つのワイパアーム12は、リンク機構11により連結されている。
【0024】
ワイパブレード13は、ワイパアーム12によって、ウィンドウガラス10に押し付けられるようにして設けられている。ワイパブレード13は、ワイパアーム12の先端部に装着されるブレードホルダに保持されるブレードラバー(不図示)を備えている。ワイパブレード13は、モータ2によりワイパアーム12が揺動されると、ウィンドウガラス10の外表面上の払拭範囲を往復動し、ブレードラバー(不図示)によってウィンドウガラス10を払拭する。
【0025】
なお、以下の説明で、矢印A1で示すように、ワイパアーム12がウィンドウガラス10の下縁から頂点側に向かって上反転位置まで移動する経路を往路と呼ぶ。また、矢印A2で示すように、ワイパアーム12が頂点側の上反転位置から下縁に向かって下反転位置まで移動する経路を復路と呼ぶ。
【0026】
図2は、本実施形態によるワイパ駆動装置100におけるモータ駆動部200のブロック図である。
図2に示すように、モータ駆動部200は、制御部40と、インバータ50とを備える。
【0027】
モータ2としては、例えば、3相4極形のブラシレスモータが用いられる。モータ2は、後述する駆動信号に基づいて、インバータ50が出力する出力信号(印加電圧)により回転駆動する。
【0028】
インバータ50には、バッテリ3からの電源が印加される。また、制御部40は、ECU4(Electronic Control Unit)と接続されている。
【0029】
モータ2は、ステータ21と、ロータ22とを備える。
ステータ21は、モータ2のケースの内周に固定されている。ステータ21は、3相の巻線(21u、21v、21w)を備える。ステータ21は、巻線(21u、21v、21w)が巻装されている。例えば、3相の巻線(21u、21v、21w)は、デルタ結線により接続される。
【0030】
ロータ22は、ステータ21の内側に設けられている。ロータ22は、例えば、ロータ軸22aと、ロータ軸22aに取り付けた4極の永久磁石22bとを備える。モータ2のケース内には、複数の軸受(不図示)が設けられており、ロータ軸22aは、複数の軸受により回転可能に支持されている。
【0031】
位置検出部30は、ロータ22の回転に応じた信号を検出する。位置検出部30は、例えば、3つのホール素子(30u、30v、30w)を備える。これらの3つのホール素子(30u、30v、30w)は、ロータ22が回転すると、互いに位相の異なるパルス信号を制御部40に対して出力する。すなわち、位置検出部30は、ロータ22の回転にともない、ロータ軸22aに配置されたセンサマグネット(不図示)の磁極の変化に基づいたパルス信号を発生し、制御部40に出力する。
【0032】
本実施形態では、ホール素子30uが、U相に対応するデジタル信号(位置検出信号Hu)を出力し、ホール素子30vが、V相に対応するデジタル信号(位置検出信号Hv)を出力する。また、ホール素子30wが、W相に対応するデジタル信号(位置検出信号Hw)を出力する。
【0033】
インバータ50は、後述する駆動制御部43が生成した駆動信号に基づいて、例えば、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御され、モータ2の3相の巻線(21u、21v、21w)に電圧を印加する。すなわち、インバータ50は、駆動制御部43が生成した駆動信号に基づいて、スイッチング素子(51a~51f)をスイッチング動作(導通/非導通)させて、モータ2への印加電圧の出力の大きさ(デューティ比)、通電期間(通電角)、通電タイミング(進角)を変更する。ここで、デューティ比は、PWM周期における対応するスイッチング素子の導通期間の継続時間と非導通期間の継続時間との比率を表す。
【0034】
なお、インバータ50は、バッテリ3から供給される直流電力により、印加電圧を生成する。 バッテリ3は、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの直流電源であり、モータ2を駆動する電力を供給する。
【0035】
インバータ50は、3相ブリッジ接続された6個のスイッチング素子51a~51fと、ダイオード52a~52fとを備える。
スイッチング素子51a~51fは、例えば、NチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、3相のブリッジ回路を構成している。
【0036】
スイッチング素子51aとスイッチング素子51dとは、バッテリ3の正極端子と負極端子との間に、直列に接続されて、U相のブリッジ回路を構成している。スイッチング素子51aは、ドレイン端子がバッテリ3の正極端子に、ソース端子がノードN1に、ゲート端子がU相のハイサイドの駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、スイッチング素子51dは、ドレイン端子がノードN1に、ソース端子がバッテリ3の負極端子に、ゲート端子がU相のローサイドの駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、ノードN1は、モータ2の接続点21aに接続されている。
【0037】
スイッチング素子51bとスイッチング素子51eとは、バッテリ3の正極端子と負極端子との間に、直列に接続されて、V相のブリッジ回路を構成している。スイッチング素子51bは、ドレイン端子がバッテリ3の正極端子に、ソース端子がノードN2に、ゲート端子がV相のハイサイドの駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、スイッチング素子51eは、ドレイン端子がノードN2に、ソース端子がバッテリ3の負極端子に、ゲート端子がV相のローサイドの駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、ノードN2は、モータ2の接続点21bに接続されている。
【0038】
スイッチング素子51cとスイッチング素子51fとは、バッテリ3の正極端子と負極端子との間に、直列に接続されて、W相のブリッジ回路を構成している。スイッチング素子51cは、ドレイン端子がバッテリ3の正極端子に、ソース端子がノードN3に、ゲート端子がW相のハイサイドの駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、スイッチング素子51fは、ドレイン端子がノードN3に、ソース端子がバッテリ3の負極端子に、ゲート端子がW相のローサイドの駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、ノードN3は、モータ2の接続点21cに接続されている。
【0039】
また、ダイオード52aは、アノード端子がノードN1に、カソード端子がバッテリ3の正極端子に、それぞれ接続されている。また、ダイオード52dは、アノード端子がバッテリ3の負極端子に、カソード端子がノードN1に、それぞれ接続されている。
【0040】
また、ダイオード52bは、アノード端子がノードN2に、カソード端子がバッテリ3の正極端子に、それぞれ接続されている。また、ダイオード52eは、アノード端子がバッテリ3の負極端子に、カソード端子がノードN2に、それぞれ接続されている。
【0041】
また、ダイオード52cは、アノード端子がノードN3に、カソード端子がバッテリ3の正極端子に、それぞれ接続されている。また、ダイオード52fは、アノード端子がバッテリ3の負極端子に、カソード端子がノードN3に、それぞれ接続されている。
【0042】
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、モータ駆動部200を統括的に制御する。制御部40は、目標のロータ22の回転出力(例えば、目標回転数TRPM)に応じた駆動信号を生成して、生成した駆動信号をインバータ50に出力する。制御部40は、ECU4及びモータ2との間で所定の情報を送受信する。
また、制御部40は、負荷状態判定部41と、車速検出部42と、駆動制御部43と、を備える。
【0043】
負荷状態判定部41は、モータ2に対する負荷に応じて決定される値を積算し、この負荷積算値を指標値として、高負荷状態か低負荷状態かを判定する。負荷に応じて決定される値は、例えば車速である。すなわち、車速が上がると、ワイパブレード13に当たる風圧が強くなり、モータ2に対する負荷が大きくなる。また、モータ2に強い負荷が生じると、設定値より、モータ2の回転数が増減し、また、デューティ比が増減する。このことから、負荷に応じて決定される値として、モータ2の回転速度やデューティ比を利用できる。また、負荷状態判定部41は、負荷に応じて決定される値として、車速、モータ速度、デューティ比、及び電源電圧等を総合的に用いて、これらの値を適宜積算して、高負荷状態か低負荷状態かを判定するための指標値を算出できる。
【0044】
なお、後述するように、ワイパアーム12を駆動するモータ2の場合には、走行により受ける負荷は、往路では、モータ2の回転方向と同方向となり、復路では、モータ2の回転方向と反対方向となる。モータ2の回転方向と反対方向となる負荷の場合には、負荷が生じると、設定値より、モータ2の回転数が低下し、回転を上げるためにデューティ比が高くなる。これに対して、モータ2の回転方向と同じ方向となる負荷の場合には、負荷が生じると、設定値より、モータ2の回転数が増加し、回転を下げるためにデューティ比が低下する。よって、モータ2の回転速度やデューティ比を負荷に応じて決定される値として利用する場合には、往路方向か復路方向かを考慮する必要がある。
【0045】
負荷積算値は、高負荷状態が続くと+(正)の値が連続するため、正の大きな値となる。一方、軽負荷の状態が続くと、"0"や-(負)の値が連続するため、"0"以下となる。なお、ここでは負荷積算値は、"0"以下の場合は全て"0"としており、モータ2が通常に作動しているときには負荷積算値は"0"を示す。また、一旦高負荷状態にあったが、その後、制御可能な領域まで負荷が軽減した場合には、負荷積算値は徐々に減算され、やがて"0"又は正の小さな値に収束する。従って、負荷積算値を見れば、現在、モータ2がどのような状況にあるかが分かり、その値が一定以上となった場合には高負荷と判断することができる。このように、負荷積算値は、モータ2に対する負荷が高負荷状態か低負荷状態かを判断する指標値となる。
【0046】
車速検出部42は、モータ2が搭載される車両の走行速度である車速を検出する。車速検出部42は、ECU4から出力される車速信号に基づいて、車速を検出する。
【0047】
駆動制御部43は、目標のロータ22の回転出力(例えば、目標回転数TRPM)に応じた駆動信号を生成し、生成した駆動信号をインバータ50に出力する。駆動制御部43は、高負荷モードと、低負荷モードとに切り替えてモータ2の駆動を制御する。低負荷モードは、モータ2に対する負荷が小さいときのモードである。高負荷モードは、モータ2に対する負荷が大きい場合のモードである。
【0048】
図1に示すように、ワイパアーム12を駆動するモータ2に対する負荷は、往路では、走行風の方向(矢印B1)がワイパアーム12の移動方向(矢印A1)と同じになるため、回転方向と同方向のトルクを与える負荷となり、モータ2の回転を加速させる。復路では、走行風の方向(矢印B1)がワイパアーム12の移動方向(矢印A2)と反対方向になるため、モータ2の回転方向と反対方向のトルクを与える負荷となり、モータ2の回転を減速させる。
【0049】
本実施形態では、駆動制御部43は、負荷累積値に応じて、高負荷モードと、低負荷モードとに切り替えてモータ2の駆動を制御する。駆動制御部43は、低負荷モードでは、静音で駆動できるように、モータ2をフリーレス駆動方式で駆動する。また、駆動制御部43は、高負荷モードに切り替えると、復路では、モータ2の回転方向と反対方向のトルクとなる負荷が加わるため、モータ2を矩形波駆動方式で駆動する。矩形波駆動方式は、2相通電でモータ2を駆動するもので、フリーレス駆動方式よりも高出力で駆動することができる。また、往路では、モータ2の回転方向と同方向のトルクとなる負荷が加わるため、モータ2をフリーレス駆動方式で駆動する。フリーレス駆動方式は、3相通電となるため、矩形波駆動方式に比べて、強い制動力を得ることができる。
【0050】
ここで、
図3~
図13を参照して、矩形波駆動、及びフリーレス駆動の詳細について説明する。
【0051】
図3、
図5、及び
図9は、ホール素子(30u、30v、30w)が出力した位置検出信号(Hu、Hv、Hw)と、インバータ50の通電制御における進角及び通電角の一例を説明するための説明図である。
図3、
図5、及び
図9は、位置検出信号(Hu、Hv、Hw)とスイッチング素子51a~51fがオンされる角度領域との対応関係を示す。横軸は、モータ2のロータ22の磁極の回転位置を電気角で表す。
【0052】
位置検出信号(Hu、Hv、Hw)は、電気角360度を1周期として、互いに60度の位相差を有し、180度毎にH状態(High状態)又はL状態(Low状態)に変化する。本実施形態では、位置検出信号HuのL状態からH状態への変化をホールエッジHE2と称し、H状態からL状態への変化をホールエッジHE5と称する。また、位置検出信号HvのL状態からH状態への変化をホールエッジHE3と称し、H状態からL状態への変化をホールエッジHE6と称する。また、位置検出信号HwのL状態からH状態への変化をホールエッジHE4と称し、H状態からL状態への変化をホールエッジHE1と称する。各ホールエッジ間の電気角は60度である。
【0053】
また、ホールエッジHE1とホールエッジHE2との間をホールステージ1(以下、単にステージ1という(以下、同様))と称し、ホールエッジHE2とホールエッジHE3との間をステージ2と称し、ホールエッジHE3とホールエッジHE4との間をステージ3と称する。また、ホールエッジHE4とホールエッジHE5との間をステージ4と称し、ホールエッジHE5とホールエッジHE6との間をステージ5と称し、ホールエッジHE6とホールエッジHE1の間とをステージ6と称する。
【0054】
図3は、本実施形態における矩形波駆動の通電パターンの一例を示す図である。
図3は、横軸を電気角とし、位置検出信号(Hu、Hv、Hw)と、各スイッチング素子51a~51fの通電パターンとの対応関係を示す図である。
図3に示す通電制御の一例は、進角20度で通電角130度とする場合である。
【0055】
通電パターンは、各スイッチング素子51a~51fのうちハイサイドとなるスイッチング素子が継続的にオン「ON」となりローサイドとなるスイッチング素子が継続的にオフ「OFF」となる状態と、各スイッチング素子51a~51fが継続的にオフ「OFF」された状態(「OFF相」の期間)と、各スイッチング素子51a~51fが一定の周期でオン又はオフに制御された状態(PWM制御された状態)(「PWM相」)のいずれかの組み合わせである。各ステージ1~6は、さらに区間A'、区間B'及び区間C'にそれぞれ区分されている。区間A'、区間B'及び区間C'に対しては個別に通電パターンが設定されている。区間A'、区間B'及び区間C'の期間(電気角)は、進角の値と通電角の値によって変化する。
【0056】
例えば、ホールエッジHE1とホールエッジHE2とで囲まれたステージ1では、区間A'の通電パターンが、スイッチング素子51a~51fがそれぞれ「ON」、「OFF」、「PWM」、「PWM」、「OFF」、及び「OFF」の組み合わせである。区間B'の通電パターンが、スイッチング素子51a~51fがそれぞれ「ON」、「OFF」、「PWM」、「PWM」、「ON」、及び「OFF」の組み合わせである。また、区間C'の通電パターンが、スイッチング素子51a~51fがそれぞれ「OFF」、「OFF」、「PWM」、「PWM」、「ON」、及び「OFF」の組み合わせである。
【0057】
また、
図4は、
図3に示す本実施形態における矩形波通電パターンの一例をテーブルとしてまとめたものである。制御部40におけるROM(不図示)は、例えば、
図4に示すような形式で矩形波通電パターンを記憶する。なお、
図4において、「1」はオン、「0」はオフ、「P」はPWMを表す。
【0058】
矩形波通電パターンを構成する組み合わせは、上述したように、下記(1)~(3)の3つの状態がある。
(1)第1状態:U相のブリッジ回路、V相のブリッジ回路、W相のブリッジ回路のうちいずれかのブリッジ回路において、ハイサイドのスイッチング素子が継続的にオンされ、ローサイドのスイッチング素子が継続的にオフされた状態にある。
(2)第2状態:U相のブリッジ回路、V相のブリッジ回路、W相のブリッジ回路のうちいずれかのブリッジ回路において、ハイサイド及びローサイドともに、継続的にオフ「OFF」された状態にある(OFF相)。
(3)第3状態:U相のブリッジ回路、V相のブリッジ回路、W相のブリッジ回路のうちいずれかのブリッジ回路において、ハイサイドまたはローサイドの一方のスイッチング素子がオンであり、もう一方のスイッチング素子が、一定の周期でオン又はオフに制御された状態(PWM制御された状態)(「PWM」)にある。
【0059】
このように、駆動制御部43は、矩形波駆動において、上述した矩形波通電パターンにより、スイッチング素子51a~51fの導通(通電)を制御する。
【0060】
図3に示すように、矩形波駆動では、U相のブリッジ回路、V相のブリッジ回路、W相のブリッジ回路のうち、第1のブリッジ回路が、ハイサイド及びローサイドともに継続的にオフされた状態(OFF相)、第2のブリッジ回路が、ハイサイドのスイッチング素子が継続的にオンされローサイドのスイッチング素子が継続的にオフされた状態、第3のブリッジ回路が、一定の周期でオン又はオフに制御された状態(PWM相)である。
例えば、ステージ1のC’の期間では、U相のブリッジ回路がOFF相であり、V相のブリッジ回路がPWM相であり、W相のブリッジ回路がハイサイドのスイッチング素子が継続的にオンされローサイドのスイッチング素子が継続的にオフされた状態となっている。
また、例えば、ステージ2のC’の期間では、U相のブリッジ回路がPWM相であり、V相のブリッジ回路がOFF相であり、W相のブリッジ回路がハイサイドのスイッチング素子が継続的にオンされローサイドのスイッチング素子が継続的にオフされた状態となっている。
また、例えば、ステージ3のC’の期間では、U相のブリッジ回路がPWM相であり、V相のブリッジ回路がハイサイドのスイッチング素子が継続的にオンされローサイドのスイッチング素子が継続的にオフされた状態であり、W相のブリッジ回路がOFF相となっている。
また、例えば、U相のブリッジ回路、V相のブリッジ回路、W相のブリッジ回路のうち、いずれかのブリッジ回路がPWM相である場合、PWM相となっているブリッジ回路におけるハイサイドのスイッチング素子とローサイドのスイッチング素子には逆相のPWM信号が入力される。具体的に、例えば、ステージ1のC’の期間では、V相のブリッジ回路がPWM相であり、当該V相のブリッジ回路は、ハイサイドのスイッチング素子がオンのときにはローサイドのスイッチング素子がオフに、また、ハイサイドのスイッチング素子がオフのときにはローサイドのスイッチング素子がオンになるよう、それぞれ逆相のPWM信号が入力される。
【0061】
このように、矩形波駆動では、ハイサイドのスイッチング素子とローサイドのスイッチング素子とがともにオフ「OFF」となるOFF相が存在している。
例えば、
図3におけるステージ1のC’の期間では、U相のハイサイド及びローサイドのスイッチング素子(スイッチング素子51a及び51d)がともにオフ「OFF」している。また、ステージ2のC’の期間では、V相のハイサイド及びローサイドのスイッチング素子(スイッチング素子51b及び51e)がともにオフ「OFF」している。また、ステージ3のC’の期間では、W相のハイサイド及びローサイドのスイッチング素子(スイッチング素子51c及び51f)がともにオフ「OFF」している。このように、U相のブリッジ回路、V相のブリッジ回路、W相のブリッジ回路のうちいずれかのブリッジ回路におけるハイサイド及びローサイドのスイッチング素子がともにオフ「OFF」している期間では、2相通電となっている。
【0062】
なお、2相通電になるのは、各ステージにおけるC’の期間だけではない。例えば、ステージ1のB’の期間では、U相のハイサイドのスイッチング素子51aは「ON」、ローサイドのスイッチング素子51dはオフ「OFF」となっている。また、W相のハイサイドのスイッチング素子51cは「ON」、ローサイドのスイッチング素子51fはオフ「OFF」となっている。よって、ノードN1とノードN3とは同電位となり、ノードN1とノードN3との間のコイルには電流が流れず、2相通電となる。
【0063】
矩形波駆動では、フリーレス駆動に比べて、高い出力を得ることができる。また、矩形波駆動では、2相通電となるため、フリーレス駆動に比べて、制動力が弱くなる。
【0064】
次に、フリーレス駆動について説明する。
フリーレス駆動に使用されるフリーレス通電パターンの制御方法としては、以下の2つの方法がある。
【0065】
フリーレス通電の第1の方法は、矩形波駆動ではOFF相となる期間を、中間のデューティ比(例えばデューティ50%)のPWM相に置き換えたものである。また、フリーレス通電の第2の方法は、矩形波駆動ではOFF相となる期間を、指示されたデューティ比の1/2のデューティ比のPWM相に置き換えたものである。
【0066】
第1の方法を用いたフリーレス通電パターンによる駆動・通電では、下記(4)~(6)の3つの状態で駆動を行う。
【0067】
(4)第4状態:最大デューティ比のPWM信号(MAX DUTY)によりPWM制御された状態(以下、「PL」状態と言う)にある。
(5)第5状態:最小デューティ比のPWM信号(MIN DUTY)によりPWM制御された状態(以下、「PS」状態と言う)にある。
(6)第6状態:最大デューティ比と最小デューティ比と間の中間のデューティ比(Duty=50%)のPWM信号によりPWM制御された状態(以下、「PM」状態と言う)にある。
【0068】
フリーレス通電パターンにおいてU相、V相及びW相の巻線(21u、21v、21w)がそれぞれPM状態となるタイミングは、矩形波通電パターンにおいてU相、V相及びW相の巻線(21u、21v、21w)がそれぞれOFF相のコイルとなるタイミングと同じである。
【0069】
第1の方法を用いたフリーレス通電パターンでは、矩形波駆動ではOFF相となる期間を、中間のデューティ比のPWM相に置き換えている。そして、指示デューティ比のPWM信号を、中間のデューティ比のPWM信号が中間値となるように、最大のデューティのPWM信号と最小のデューティ比のPWM信号に分割している。
【0070】
ここで、本実施形態において、中間のデューティ比は50%である。また、最大デューティ比は、中間のデューティ比に、外部から入力される指示デューティ比の半分のデューティ比を加算したデューティ比である。また、最小デューティ比は、中間のデューティ比から、指示デューティ比の半分のデューティ比を減算したデューティ比である。
【0071】
例えば、指示デューティ比が80%の場合、中間のデューティ比は予め50%に設定されているため、最大デューティ比は、(50+80÷2)により90%となり、最小デューティ比は、(50-80÷2)により10%となる。
なお、指示デューティ比は、予めユーザーにより制御部40が有するROM(不図示)に記憶されているものとする。
ここで、ローサイドのスイッチング素子51d~51fは、ハイサイドのスイッチング素子51a~51cに入力されるPWM信号とは逆相のPWM信号が入力される。
【0072】
図5は、第1の方式のフリーレス通電パターンの一例を示す図である。
図5は、横軸を電気角とし、位置検出信号(Hu、Hv、Hw)と、各スイッチング素子51a~51fの通電パターンとの対応関係を示す図である。
【0073】
図5に示す通電制御の例は、進角20度で通電角130度とする場合である。通電パターンは、各スイッチング素子51a~51fが、最大デューティ比のPWM信号(PWM相(MAX DUTY))で駆動される状態(第4状態)と、デューティ比50%のPWM信号(PWM相(DUTY=50))で駆動される状態(第6状態)と、最小デューティ比のPWM信号(PWM相(MIN DUTY))で駆動される状態(第5状態)とのいずれかの組み合わせである。
【0074】
各ステージ1~6は、さらに、区間A、区間B及び区間Cに区分されている。区間A、区間B及び区間Cに対しては個別に通電パターンが設定されている。区間A、区間B及び区間Cの期間(電気角)は、進角の値と通電角の値によって変化する。
【0075】
なお、PWM制御された状態において各スイッチング素子51a~51fはそれぞれONとOFFとを繰り返すため、正確には波形は複数の凹凸を有する矩形波状となるが、便宜上、各スイッチング素子51a~51fのON/OFFを明記せず、「PWM相」と表記した。ここで、
図5において、「PL」状態を「PWM相(MAX Duty)」、「PS」状態を「PWM相(MIN Duty)」、「PM」状態を「PWM相(Duty=50)」と表記する。
【0076】
例えば、ホールエッジHE1とホールエッジHE2とで囲まれたステージ1では、区間Aの通電パターンが、スイッチング素子51a~51fがそれぞれ「PL」、「PL」、「PS」、「PS」、「PM」、及び「PM」の組み合わせである。区間Bの通電パターンが、スイッチング素子51a~51fがそれぞれ「PL」、「PL」、「PS」、「PS」、「PL」、及び「PL」の組み合わせである。また、区間Cの通電パターンが、スイッチング素子51a~51fがそれぞれ「PM」、「PM」、「PS」、「PS」、「PL」、及び「PL」の組み合わせである。
【0077】
また、
図6は、
図5に示す第1の方式のフリーレス通電パターンの一例をテーブルとしてまとめたものである。制御部40におけるROM(不図示)は、例えば、
図6に示すような形式でフリーレス通電パターンを記憶する。
【0078】
フリーレス駆動では、矩形波通電ではOFFとなるタイミングにおいても、PWM制御することにより、転流時の電流波形が滑らかになることで駆動音が静かになる(モータ作動音を低減する)効果が期待できる。
【0079】
また、フリーレス駆動では、矩形波駆動ではOFF相となるタイミングで、デューティ比50%のPWM駆動となる。このため、3相通電となり、矩形波駆動の場合に比べて、モータの回転方向と同方向となる負荷に対する制動力が大きくなる。このことについて、
図7及び
図8を参照して説明する。
【0080】
図7は、矩形波駆動で、U相のスイッチング素子51a及び51dがオフ「OFF」している期間での電流の流れを示している。
図7に示すように、U相のハイサイド及びローサイドのスイッチング素子51a及び51dがともにオフ「OFF」している期間では、W相ではハイサイドのスイッチング素子51cが継続的にオン「ON」、ローサイドのスイッチング素子51fが継続的にオフ「OFF」しており、V相では、指示デューティ比のPWM信号によりスイッチング素子51b及び51eが交互にオン「ON」又はオフ「OFF」している(
図3における矩形波駆動方式のステージ1のC’の期間参照)。
【0081】
ここで、V相のスイッチング素子51b及び51eのゲートに供給される指示PWM信号により、スイッチング素子51b及び51eが交互にオン/オフされることで、ステータ21の巻線(21u,21v,21w)に、パルス幅に応じた電流が流れる。すなわち、ハイサイドのスイッチング素子51bがオン、ローサイドのスイッチング素子51eがオフのタイミングでは、W相のスイッチング素子51cからV相のスイッチング素子51eに電流が流れず、指示PWM信号によりハイサイドのスイッチング素子51bがオフ、ローサイドのスイッチング素子51eがオンになると、W相のスイッチング素子51cからV相のスイッチング素子51eに電流が流れる。これにより、指示PWM信号のパルス幅に応じた磁束が巻線(21u,21v,21w)から発生されることになる。W相のスイッチング素子51cからV相のスイッチング素子51eに電流が流れていくとき、
図7に示すように、U相のハイサイド及びローサイドのスイッチング素子51a及び51dは、ともにオフ「OFF」している。よって、W相のスイッチング素子51c及び51fから、U相のスイッチング素子51a及び51bには、電流は流れない。よって、矩形波駆動では、W相とV相との2相通電となる。
【0082】
これに対して、
図8に示すように、フリーレス駆動方式では、矩形波駆動ではU相のスイッチング素子51a及び51dがオフ「OFF」している期間で、U相のハイサイド及びローサイドのスイッチング素子51a及び51dは、デューティ比50%のパルスで交互のオン/オフ駆動されている(
図5における矩形波駆動方式のステージ1のCの期間参照)。デューティ比50%のパルス信号は、アナログ値では、1/2の電圧に相当する。すなわち、Hレベルを例えば14Vとすると、U相のハイサイド及びローサイドのスイッチング素子51a及び51eの接続点は、アナログ値では7Vに相当する。よって、(14V-7V)の電位差に相当する電流がW相のスイッチング素子51cから、スイッチング素子51a及び51eの接続点に向けて流れていくことになる。よって、
図8に示すように、指示PWM信号によりハイサイドのスイッチング素子51bがオフ、ローサイドのスイッチング素子51eがオンのタイミングで、W相のスイッチング素子51cからV相のスイッチング素子51eに電流が流れていくとき、これと同時に、W相のスイッチング素子51cから、スイッチング素子51a及び51dの接続点に向けて、電流が流れていくことになる。よって、フリーレス駆動では、W相とU相とV相との3相通電となる。
【0083】
以上のように、矩形波駆動では、U相、V相、W相の3相のなかで、1相がOFF相となっている期間があり、2相通電となる。これに対して、フリーレス駆動では、矩形波駆動ではOFF相となる期間が中間のデューティ比のPWM相に置き換えられているため、3相通電となる。2相通電の矩形波駆動では、出力は大きくできるが、U相、V相、W相のうちの2相で駆動しているので、3相通電を行うフリーレス駆動に比べて、ロータ22の回転にブレーキをかけるような制動力が弱くなる。これに対して、3相通電となるフリーレス駆動では、2相通電の矩形波駆動に比べて、ロータ22の回転にブレーキをかけるような制動力が強く働く。
【0084】
次に、第2の方法を用いたフリーレス通電パターンについて説明する。第2の方法を用いたフリーレス通電パターンによる駆動・通電では、それぞれ下記(7)~(9)の3つの状態で駆動を行う。
【0085】
(7)第7状態:スイッチング素子51a~51fのうちハイサイドのスイッチング素子が継続的にオンされ、ローサイドのスイッチング素子が継続的にオフされた状態にある。
(8)第8状態:スイッチング素子51a~51fが外部から入力される指示デューティ比のPWM信号によりPWM制御された状態(以下、「P1」状態と言う)にある。
(9)第9状態:スイッチング素子51a~51fが外部から入力される指示デューティ比の1/2のデューティ比のPWM信号によりPWM制御された状態(以下、「P2」状態と言う)にある。
【0086】
第2の方法を用いたフリーレス通電パターンでは、矩形波駆動ではOFF相となる期間を、指示されるデューティ比の1/2のデューティ比のPWM相に置き換えている。
【0087】
ここで、本実施形態において、例えば、指示デューティ比が80%の場合、第8状態におけるデューティ比は80%となり、第9状態におけるデューティ比は80÷2により40%となる。
なお、指示デューティ比は、予めユーザーにより制御部40が有するROM(不図示)に記憶されるものとする。
【0088】
図9は、第2の方式のフリーレス通電パターンの一例を示す図である。
図9は、横軸を電気角とし、位置検出信号(Hu、Hv、Hw)と、各スイッチング素子51a~51fの通電パターンとの対応関係を示す図である。
【0089】
図9に示す通電制御の例は、進角20度で通電角130度とする場合である。通電パターンは、各スイッチング素子51a~51fのうちハイサイドのスイッチング素子が継続的にオンされローサイドのスイッチング素子が継続的にオフされた状態(第7状態)と、指示されたデューティ比の1/2のデューティ比のPWM信号(PWM 1/2DUTY)によりPWM制御された状態(第9状態)と、指示されたデューティ比のPWM信号(PWM 指示DUTY)でPWM制御された状態(第8状態)と、のいずれかの組み合わせである。各ステージ1~6は、さらに、区間A"、区間B"、及び区間C"にそれぞれ区分されている。
【0090】
例えば、ホールエッジHE1とホールエッジHE2とで囲まれたステージ1では、区間A"の通電パターンが、スイッチング素子51a~51fが、それぞれ「1」、「0」、「P1」、「P1」、「P2」、及び「P2」の組み合わせである。区間B"の通電パターンが、スイッチング素子51a~51fが、それぞれ「1」、「0」、「P1」、「P1」、「1」、及び「0」の組み合わせである。また、区間C"の通電パターンが、スイッチング素子51a~51fが、それぞれ「P2」、「P2」、「P1」、「P1」、「1」、及び「0」の組み合わせである。
【0091】
また、
図10は、
図9に示す第2の方式のフリーレス通電パターンの一例をテーブルとしてまとめたものである。制御部40におけるROM(不図示)は、例えば、
図10に示すような形式でフリーレス通電パターンを記憶する。
なお、
図10において、「P1」は外部から入力される指示デューティ比のPWM信号によりPWM制御された第8状態、「P2」は指示デューティ比の1/2のデューティ比のPWM信号によりPWM制御された第9状態、「1」はオン、「0」はオフを、それぞれ表す。
【0092】
なお、上述の例の通電制御の例は、進角20度で通電角130度とする場合である。進角20度で通電角140度とした場合には、以下のような通電パターンとなる。
【0093】
図11は、進角20度で通電角140度で、矩形波駆動を行ったときの通電パターンである。
図12は、進角20度で通電角140度で、第1方式のフリーレス駆動を行ったときの通電パターンである。
図13は、進角20度で通電角140度で、第2方式のフリーレス駆動を行ったときの通電パターンである。
【0094】
次に、本実施形態におけるモータ2の制御について説明する。前述したように、本実施形態では、
図2における制御部40の負荷状態判定部41において、負荷に応じて決定される値を取得し、この値を積算した負荷積算値をモータ2に対する負荷が高負荷状態か低負荷状態かを判定する指標値としている。
【0095】
本実施形態では、負荷に応じて決定される値としては、例えば車速が用いられる。そして、負荷状態判定部41は、この車速から得られる値を積算して負荷積算値を生成し、この負荷積算値を指標値として、高負荷状態か低負荷状態かを判定している。
【0096】
図14は、第1の実施形態によるモータ駆動部200での駆動モードの切り替え動作の一例を示す図である。以下の例では、モータ2に対する負荷に応じて決定される値として、車速を用いている。
【0097】
図14において、横軸は、時間を示し、縦軸は、車速を示している。また、波形W1は、時間に対する負荷積算値の変化の一例を示している。負荷積算値は、車速から得れる値を積算したもので、高負荷状態か低負荷状態を判断する指標値となる。また、期間TR1及び期間TR3は、低負荷モードの期間を示し、期間TR2は、高負荷モードの期間を示している。
【0098】
閾値Vth1(第1閾値)は、低負荷モードから高負荷モードに切り替える際の閾値である。また、閾値Vth2(第2閾値)は、高負荷モードから低負荷モードに切り替える際の閾値である。
【0099】
例えば、車速を増加していくと、
図14に示すように、負荷積算値が増加していく。そして、負荷積算値が閾値Vth1以上になると、駆動制御部43は、低負荷状態から高負荷状態に変化したとして、低負荷モードから高負荷モードに切り替える。また、車速を低下させていくと、負荷積算値が低下していく。負荷積算値が閾値Vth2以下になると、駆動制御部43は、高負荷状態から低負荷状態に変化したとして、高負荷モードから低負荷モードに切り替える。
ここで、低負荷状態から高負荷状態に切り替わったと判断する際の閾値Vth1は、高負荷状態から低負荷状態に切り替わったと判断する際の閾値Vth2より大きい値(Vth1≧Vth2)となり、例えば、1.1倍から6.6倍の範囲内の値である。
【0100】
このように、本実施形態では、低負荷状態から高負荷状態に切り替わったと判定する際の閾値Vth1と、高負荷モードから低負荷モードに切り替わったと判定する際の閾値Vth2との関係をVth1≧Vth2としている。これにより、車速により駆動モードが頻繁に変化することを防止している。
【0101】
また、本実施形態では、モータ2に対する負荷に応じて決定される値を積算した値を求め、この負荷積算値を指標値として、負荷が大きいか否かを判定している。このため、一時的な負荷の増減や計測誤差による誤動作を防止することができる。
【0102】
図15は、第1の実施形態によるモータ駆動部200の駆動モードの切り替え動作の一例を示すフローチャートである。この例では、モータ2に対する負荷に応じて決定される値として、車速を用いている。
【0103】
(ステップS101)制御部40の車速検出部42は、ECU4から出力される車速信号に基づいて車速を検出する。
【0104】
(ステップS102)次に、制御部40の駆動制御部43は、モータ2の駆動モードが、低負荷モードであるか否かを判定する。駆動制御部43は、駆動モードが低負荷モードである場合(ステップS102:Yes)、処理をステップS103に進める。また、駆動制御部43は駆動モードが低負荷モードでない場合(ステップS102:No)、処理をステップS107に進める。
【0105】
(ステップS103)負荷状態判定部41は、車速に対応する値を積算し、この負荷積算値(指標値)が閾値Vth1以上であるか否かを判定する。負荷状態判定部41は、負荷積算値(指標値)が閾値Vth1以上である場合(ステップS103:Yes)、処理をステップS104に進める。また、負荷状態判定部41は、負荷積算値(指標値)が閾値Vth1未満である場合(ステップS103:No)、処理をステップS111に進める。
【0106】
(ステップS104)駆動制御部43は、低負荷モードから高負荷モードに切り替える。
【0107】
(ステップS105)負荷状態判定部41が生成している負荷積算値(指標値)を初期化する("0"に戻す)。
【0108】
(ステップS106)駆動制御部43は、エナジーモードを解除する(ステップS106)。ここで、エナジーモードとは、負荷積算値(指標値)が非常に大きくなった場合(負荷が大きくなった場合)に、出力を制限する保護モードである。ステップS106の処理後に、駆動制御部43は、処理をステップS111に進める。
【0109】
(ステップS107)負荷状態判定部41は、負荷積算値(指標値)が閾値Vth2以下であるか否かを判定する。負荷状態判定部41は、負荷積算値(指標値)が閾値Vth2以下である場合(ステップS107:YES)、処理をステップS108に進める。また、負荷状態判定部41は、負荷積算値(指標値)が閾値Vth2より大きい場合(ステップS107:No)、処理をステップS111に進める。
【0110】
(ステップS108)駆動制御部43は、高負荷モードから低負荷モードに切り替える。
【0111】
(ステップS109)負荷状態判定部41は、負荷積算値(指標値)を初期化する("0"に戻す)。
【0112】
(ステップS110)駆動制御部43は、エナジーモードを解除する(ステップS110)。ステップS110の処理後に、駆動制御部43は、処理をステップS111に進める。
【0113】
(ステップS111)駆動制御部43は、駆動モードに応じて、モータ2を駆動して、処理をステップS101に戻す。
【0114】
図16は、ステップS111での駆動モードに応じたモータの駆動処理を示すフローチャートである。
(ステップS201)駆動制御部43は、モータ2の駆動モードの設定状態を取得する。
【0115】
(ステップS202)駆動制御部43は、高負荷モードに設定されているか否かを判定する。駆動制御部43は、高負荷モードに設定されていなければ(ステップS202:No)、処理をステップS203に進め、高負荷モードに設定されていれば(ステップS202:Yes)、処理をステップS204に進める。
【0116】
(ステップS203)ステップS202で高負荷モードに設定されていないと判定された場合には(ステップS202:No)、ワイパの駆動モードは低負荷モードに設定されている。この場合、駆動制御部43は、モータ2をフリーレス駆動方式で駆動する。
【0117】
(ステップS204)ステップS202で高負荷モードに設定されていると判定された場合には(ステップS202:Yes)、駆動制御部43は、ワイパアーム12を復路方向に移動させているか否かを判定する。駆動制御部43は、ワイパアーム12を復路方向に移動させていない場合には(ステップS204:No)、処理をステップS205に進め、ワイパアーム12を復路方向に移動させている場合には(ステップS204:Yes)、処理をステップS206に進める。
【0118】
(ステップS205)ワイパアーム12を復路方向に移動させていないと判定された場合には(ステップS204:No)、ワイパアーム12は往路方向に移動されている。ワイパアーム12が往路方向に移動されているときには、走行風の方向がワイパアーム12の移動方向と同じになるため、モータ2の回転方向と同方向のトルクを与える負荷となる。この場合、駆動制御部43は、十分な制動力が得られるように、フリーレス駆動方式でモータ2を駆動する。
【0119】
(ステップS206)ワイパアーム12を復路方向に移動させた場合(ステップS204:Yes)、走行風の方向がワイパアーム12の移動方向と反対方向になるため、モータ2の回転方向と反対方向のトルクを与える負荷となる。この場合、駆動制御部43は、十分な駆動力が得られるように、矩形波駆動方式でモータ2を駆動する。
【0120】
以上説明したように、本実施形態では、ワイパアーム12を復路方向に移動させている場合、モータ2の回転方向と反対方向のトルクが加わるため、十分な駆動力が得られるように、モータ2を矩形波駆動方式で駆動している。また、ワイパアーム12を往路方向に移動させている場合、モータ2の回転方向と同じ方向のトルクが加わるため、十分な制動力が得られるように、モータ2をフリーレス駆動方式で駆動している。これにより、往路の場合も復路の場合も、ワイパアーム12を所定の速度に制御して移動させることができる。
【0121】
上述の実施形態では、モータ2の回転方向と同じ方向のトルクが加わる場合に、モータ2をフリーレス駆動方式で駆動しているが、モータ2を3相通電できれば、どのように駆動しても良い。例えば、
図17に示すように、モータ2を正弦波駆動してもよいし、
図18に示すように、3次高調波を重畳して駆動してもよい。
【0122】
また、上述の実施形態では、モータ2に対する負荷に応じて決定される値として車速を用いているが、モータ2に対する負荷に応じて決定される値は、モータ2の回転速度、デューティ比、電源電圧等、モータ2に与えられる負荷を反映する値であれば、どのようなものを用いても良い。また、モータ2の回転速度、デューティ比、電源電圧、車速等を適宜組み合わせて、負荷を判定するようにしてもよい。
【0123】
また、本発明のモータ制御方法は、ワイパのモータ制御ばかりでなく、他のモータを制御する場合にも応用可能である。本発明のモータ制御方法は、例えば、パワーウィンドウやサンルーフ用のモータを駆動する場合にも応用可能である。すなわち、走行中にパワーウィンドウにより窓を開ける場合には、窓の移動方向と風圧の方向とが同方向になるので、十分な制動力が得られるように、3相通電のフリーレス駆動方式でモータを駆動し、窓を閉じる場合には、十分な出力が得られるように、矩形波駆動方式でモータを駆動する。また、走行中にサンルーフを開ける場合には、サンルーフの移動方向と風圧の方向とが同方向になるので、十分な制動力が得られるように、3相通電のフリーレス駆動方式でモータを駆動し、サンルーフを閉じる場合には、サンルーフの移動方向と風圧の方向とが反対方向になるので、十分な出力が得られるように、矩形波駆動方式でモータを駆動する。
【0124】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、ワイパアーム12を往路方向に移動させる期間では、モータ2を3相通電で駆動し、ワイパアーム12を復路方向に移動させる期間では、モータ2を2相通電で駆動することで、往路方向で発生する負荷と復路方向で発生する負荷とに応じて、モータを適切に制御できる。
【0125】
また、これにより、モータの破損を生じにくくすることができるため、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」、目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る」に貢献することが可能となる。
【0126】
上述した実施形態におけるワイパ駆動装置100の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0127】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0128】
2…モータ、12…ワイパアーム、21…ステータ、22…ロータ、40…制御部、41…負荷状態判定部、42…車速検出部、43…駆動制御部、50…インバータ、51a~51f…スイッチング素子