(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142367
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】型枠保持具
(51)【国際特許分類】
E04G 17/14 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
E04G17/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054483
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000221580
【氏名又は名称】東都積水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 祥希
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 賢一
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150HC02
2E150MA16Z
2E150MA17Z
2E150MA20Z
(57)【要約】
【課題】施工性を高めることができる型枠保持具を提供する。
【解決手段】型枠保持具1は、底板10と、底板から、底板に交差する第1方向Zの第1側Z1に向かってそれぞれ延びる第1突起15、第2突起20と、第2突起20における第1方向の第1側の端部に設けられた突部27と、を備え、底板に沿うとともに互いに交差する方向を、第2方向X及び第3方向Yと規定したときに、第1突起及び第2突起は、第2方向に互いに間隔を空けて底板に並べて配置され、第2突起は、底板から第1側に向かって延びる基部25と、基部よりも第3方向に小さく基部から第1側に向かって延びる爪部26と、を備え、突部は、第2突起における爪部の先端から、第2方向に沿うとともに第1突起に向かう向きに突出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板から、前記底板に交差する第1方向の第1側に向かってそれぞれ延びる第1突起および第2突起と、
前記第2突起における前記第1方向の前記第1側の端部に設けられた突部と、
を備え、
前記底板に沿うとともに互いに交差する方向を、第2方向及び第3方向と規定したときに、
前記第1突起及び前記第2突起は、前記第2方向に互いに間隔を空けて前記底板に並べて配置され、
前記第2突起は、前記底板から前記第1側に向かって延びる基部と、前記基部よりも前記第3方向に小さく前記基部から前記第1側に向かって延びる爪部と、を備え、
前記突部は、前記第2突起における前記爪部の先端から、前記第2方向に沿うとともに前記第1突起に向かう向きに突出する、型枠保持具。
【請求項2】
前記基部における前記第1方向の長さは、前記第1突起の前記第1方向の長さよりも短い、請求項1に記載の型枠保持具。
【請求項3】
前記爪部は、前記基部における前記第3方向の中央に配置されている、請求項1または2に記載の型枠保持具。
【請求項4】
前記第2突起は、前記第1側に向かうに従い、前記第2方向に沿う前記第1突起側に向けて傾斜している、請求項1または2に記載の型枠保持具。
【請求項5】
前記第1突起は、前記第1側に向かうに従い、前記第2方向に薄くなっている、請求項1または2に記載の型枠保持具。
【請求項6】
前記底板において前記第3方向を向く側面には、前記底板を前記第1方向に貫通する切欠きが設けられている、請求項1または2に記載の型枠保持具。
【請求項7】
前記型枠保持具は、前記底板において前記第3方向を向く側面として、第1面および第2面を含み、
前記型枠保持具は、前記切欠きとして、前記第1面に設けられた第1切欠き、および、前記第2面に設けられた第2切欠きを含み、
前記第1切欠きおよび前記第2切欠きは、前記第3方向に対向している、前記第2方向に対向する位置に設けられている、請求項6に記載の型枠保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、型枠を保持するために型枠保持具が用いられている(例えば、特許文献1から3参照)。
型枠は、堰板部、延出部、及びリブを有している。型枠保持具は、本体片(底板)と、内側係止片(第1突起)と、外側係止片とを有している。外側係止片は、外側本体部(第2突起)と、案内部(突部)とを有している。
型枠は、本体片上であって、内側係止片と外側係止片との間に配置される。案内部の係止端面が型枠のリブの外縁に係合することによって、リブの抜け止めが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-190618号公報
【特許文献2】特開平08-193420号公報
【特許文献3】実開昭54-178923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の型枠保持具では、外側本体部により本体片に沿う方向(第2方向)の位置決めをするとともに、案内部により本体片の厚み方向(第1方向)の位置決めをしている。型枠保持具に型枠を着脱する際には、案内部が支持されている部分である外側本体部を比較的柔らかく形成し、リブに対して案内部が本体片に沿う方向に容易に移動できる必要がある。
一方で、外側本体部が比較的柔らかいと、型枠を本体片に沿う方向に位置決めすることが困難になる。
以上のように例示した観点から、従来の型枠保持具には、施工性の点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、施工性が高い型枠保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
<1>本発明の一態様に係る型枠保持具は、底板と、前記底板から、前記底板に交差する第1方向の第1側に向かってそれぞれ延びる第1突起および第2突起と、前記第2突起における前記第1方向の前記第1側の端部に設けられた突部と、を備え、前記底板に沿うとともに互いに交差する方向を、第2方向及び第3方向と規定したときに、前記第1突起及び前記第2突起は、前記第2方向に互いに間隔を空けて前記底板に並べて配置され、前記第2突起は、前記底板から前記第1側に向かって延びる基部と、前記基部よりも前記第3方向に小さく前記基部から前記第1側に向かって延びる爪部と、を備え、前記突部は、前記第2突起における前記爪部の先端から、前記第2方向に沿うとともに前記第1突起に向かう向きに突出する。
【0007】
一般的に、型枠保持具により保持される型枠は、第1方向に延びる第1板片と、第1板片における第1方向の第2側の端部から、第2方向のうち第1突起から第2突起に向かう第1側に向かって延びる第2板片と、第2板片の先端部から第1方向の第1側に向かって延びる第3板片と、を有する。
【0008】
この発明では、第1突起及び第2突起が型枠の第1板片及び第3板片を第2方向に挟んだときに、第1板片及び第3板片を第2方向に位置決めすることができる。そして、型枠の第2板片を、第2板片に対する第1方向の第2側から底板により支持し、型枠の第3板片に、第3板片の第1方向の第1側から突部を係止することにより、型枠の第2板片及び第3板片を、第1方向に位置決めをすることができる。
また、第2突起は、基部および爪部を備えている。爪部は、基部よりも第3方向に小さいため、爪部は第2方向に変形し易い。従って、爪部に設けられた突部を、第2方向に容易に移動させることができる。一方、基部は、爪部よりも第3方向に大きいため、基部が第3板片の広い範囲を支持することができる。
以上から、この型枠保持具を用いた施工時の施工性を高めることができる。
【0009】
<2>上記<1>に係る型枠保持具では、前記基部における前記第1方向の長さは、前記第1突起の前記第1方向の長さよりも短い構成を採用してもよい。
【0010】
一般的に、型枠により形成した基礎から型枠を取外す際には、型枠における第1方向の第1側の端部を、第2方向において第1突起から離間するように型枠を傾けながら、型枠を取外す。
この発明では、基礎及び型枠保持具から型枠を取外す際に支障となり易い第2突起の基部における第1方向の長さが第1突起の第1方向の長さよりも短く、型枠の第1板片及び第3板片を、第1突起及び第2突起の中でも第1方向に長い主に第1突起により、第2方向に位置決めする。これにより、第2方向への位置決め性能を維持しつつ、基礎及び型枠保持具から型枠を取外し易くすることができる。
【0011】
<3>上記<1>または<2>に係る型枠保持具では、前記爪部は、前記基部における前記第3方向の中央に配置されている構成を採用してもよい。
【0012】
この発明では、爪部が、基部における第3方向の中央に配置されていて、基部が、爪部よりも第3方向の両側に広がっている。よって、型枠を第3方向に広く支えることが可能になり、例えば、型枠が第1方向に沿う軸線周りに位置ズレするのを抑制することができる。
【0013】
<4>上記<1>から<3>のいずれか1項に係る型枠保持具では、前記第2突起は、前記第1側に向かうに従い、前記第2方向に沿う前記第1突起側に向けて傾斜している構成を採用してもよい。
【0014】
この発明では、第2突起が、第1方向の第1側に向かうに従い、第2方向に沿う第1突起側に向けて傾斜している。したがって、第1突起と第2突起との間に型枠が配置されるときに、型枠が第2突起を、第2方向に沿う第1突起の反対側に向けて強制的に弾性変形させ易くなる。その結果、第2突起の復元変形力により、第2突起が型枠に強く押し当てられる。よって、第2突起により型枠を強く支持することができる。
【0015】
<5>上記<1>から<4>のいずれか1項に係る型枠保持具では、前記第1突起は、前記第1側に向かうに従い、前記第2方向に薄くなっている構成を採用してもよい。
【0016】
この発明では、第1突起が、第1方向の第1側に向かうに従い、第2方向に薄くなっている。したがって、第1突起が、第1方向の第1側では第2方向に変形し易くなり、型枠が第1突起と第2突起との間に配置し易くなる。よって、施工性を高めることができる。一方、第1突起が、第1方向の第2側では第2方向に変形し難くなる。よって、第1突起により型枠を強く支持することができる。
【0017】
<6>上記<1>から<5>のいずれか1項に係る型枠保持具では、前記底板において前記第3方向を向く側面には、前記底板を前記第1方向に貫通する切欠きが設けられている構成を採用してもよい。
【0018】
この発明では、底板の側面に切欠きが設けられている。よって、切欠きを起点として、底板を第2方向に分断し易くすることができる。
【0019】
<7>上記<6>に係る型枠保持具では、前記型枠保持具は、前記底板において前記第3方向を向く側面として、第1面および第2面を含み、前記型枠保持具は、前記切欠きとして、前記第1面に設けられた第1切欠き、および、前記第2面に設けられた第2切欠きを含み、前記第1切欠きおよび前記第2切欠きは、前記第3方向に対向している、請求項前記第2方向に対向する位置に設けられている構成を採用してもよい。
【0020】
この発明では、第1切欠きおよび第2切欠きが、第3方向に対向している。よって、第1切欠きおよび第2切欠きを起点として、底板を第2方向に一層分断し易くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の型枠保持具では、施工性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態の型枠保持具が施工に用いられる、建築物のベタ基礎の断面図である。
【
図2】同型枠保持具の正面図であって、型枠保持具が型枠を保持した状態を示す図である。
【
図3】同型枠保持具の正面図であって、型枠保持具が型枠を保持していない状態を示す図である。
【
図5】同型枠保持具を第2方向の第1側から見た側面図(右側面図)である。
【
図7】同型枠保持具を第2方向の第2側から見た側面図(左側面図)である。
【
図9】同型枠保持具を用いてベタ基礎を施工する工程の第1例を説明する断面図である。
【
図10】同型枠保持具を用いてベタ基礎を施工する工程の第2例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る型枠保持具の一実施形態を、
図1から
図10を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の型枠保持具1は、例えば、建築物100のベタ基礎(基礎)105を施工するのに用いられる。なお、
図1では、ベタ基礎105のうち底盤部106を施工した状態を示している。基礎は、布基礎でもよい。
ベタ基礎105は、捨てコンクリート110上に施工される。例えば、捨てコンクリート110では、コンクリート111内に複数の鉄筋112が埋設されている。
なお、捨てコンクリート110内に鉄筋112が埋設されていなくてもよい。
【0024】
以下では、まず、型枠保持具1の構成について説明する。
図2から
図8に示すように、型枠保持具1は、底板10と、第1突起15と、第2突起20と、を有する。なお、
図2には、後述する型枠115等も併せて示している。
図4に示すように、底板10は、底板10に対して直交(交差)する第1方向Zに見たときに、所定の方向に長い矩形状を呈する板状に形成されている。底板10の厚さ(第1方向Zの長さ)は、3mm以上5mm以下であることが好ましい。
以下では、底板10に沿うとともに互いに直交(交差)する方向を、第2方向X及び第3方向Yと規定する。第2方向Xは、前記所定の方向であるとする。
【0025】
図2から
図8に示すように、底板10には、突条11及び切欠き12が形成されている。突条11及び切欠き12は、第2方向Xにずらされている。以下、第2方向Xに沿って、突条11に対して切欠き12が位置する側を、第2方向Xの第1側X1(以下では、単に第1側X1とも言う)という。第2方向Xに沿って、切欠き12に対して突条11が位置する側、すなわち、第2方向Xにおける第1側X1とは反対側を、第2方向Xの第2側X2(以下では、単に第2側X2とも言う)という。
【0026】
突条11は、底板10における第2方向Xの所定の部分の位置を表す指標である。突条11は、底板10における、底板10の第1方向Zの第1側Z1(以下では、単に第1側Z1とも言う)を向く表面10cに形成される。本実施形態では、底板10における第2方向Xの中央よりも第2側X2の部分に、2つの突条11が形成されている。
各突条11は、表面10cから第1側Z1に向かって突出しつつ、第3方向Yに延びている。2つの突条11は、第2方向Xに互いに間隔を空けて配置されている。
以下では、2つの突条11のうち第1側X1の突条11を、突条11Aとも言う。
2つの突条11のうち第2側X2の突条11を、突条11Bとも言う。
【0027】
例えば、突条11Aと、第1突起15の後述する第1面16との距離は、60mmである。突条11Bと、第1面16との距離は、75mmである。例えば、突条11Aは基礎幅150mm用であり、突条11Bは基礎幅180mm用である。
【0028】
切欠き12は、底板10の側面13に設けられている。側面13は、底板10において第3方向Yを向く面である。型枠保持具1は、側面13として、第1面13aおよび第2面13bを含んでいる。第1面13aおよび第2面13bは、異なる面である。第1面13aおよび第2面13bは、互いに第3方向Yの反対側を向く。型枠保持具1は、切欠き12として、第1面13aに設けられた第1切欠き12a、および、第2面13bに設けられた第2切欠き12bを含む。
【0029】
第1切欠き12aおよび第2切欠き12bは、底板10を第1方向Zに貫通する。第1切欠き12aおよび第2切欠き12bは、第3方向Yに対向している。第1切欠き12aおよび第2切欠き12bは、第3方向Yに延びる同一直線上(同一の仮想線L1上)に位置している。仮想線L1は、第1突起15における第1側X1の端上に位置していることが好ましい。図示の例では、第1切欠き12aおよび第2切欠き12bは、上面視において第3方向Yに向けて凸となる(互いに対向する凸となる)三角形状である。
【0030】
第1突起15及び第2突起20は、底板10から第1側Z1に向かってそれぞれ延びている。本実施形態では、型枠保持具1は、1つの第1突起15を備えている。第1突起15は、底板10における第2方向Xの中心に対しては、やや第1側X1に配置されている。第1突起15は、底板10における第2側X2の端から、全長の3/4分の長さ第1側X1にずれた位置に対しては、第2側X2に配置されている。第1突起15は、底板10における第3方向Yの中心に配置されている。
【0031】
第1突起15は、底板10から第1側Z1に延びる四角柱状である。第1突起15は、第2方向Xや第3方向Yよりも第1方向Zに長い。第1突起15の頂面は、第1側Z1を向く。第1突起15における4つの側面のうち、2つの側面は、第2方向Xを向き、残りの2つの側面は、第3方向Yを向く。以下、第2方向Xを向く2つの側面のうち、第1側X1の面を第1面16といい、第2側X2の面を第2面17という。
【0032】
第1突起15は、第1側Z1に向かうに従い、第2方向Xに薄くなっている。本実施形態では、第1面16は、第1方向Zに平行である。第1面16は、底板10に対して垂直に起立している。第2面17は、第1方向Zに対して傾斜している。第2面17は、第1側Z1に向かうに従い第1側X1に傾斜している。第1突起15は、第3方向Yから見た正面視において台形状である。
【0033】
本実施形態では、第2突起20は、底板10における、第1側X1の端部であって、第1突起15よりも第1側X1の部分に配置されている。第1突起15及び第2突起20は、第2方向Xに互いに間隔を空けて底板10に並べて配置されている。
第2突起20は、自身の厚さ方向が第2方向Xとなる平板状に形成されている。第2突起20は、底板10における第3方向Yの全長にわたって配置されている。第2突起20は、底板10から第1側Z1に向かって延びている。
図3に示すように、第2突起20は、型枠115が取り外された状態で、第1側Z1に向かうに従い、第2側X2に向けて傾斜している。
【0034】
図2から
図8に示すように、第2突起20は、基部25と、爪部26と、突部27とを有している。
基部25は、底板10から第1側Z1に向かって延びている。基部25の第2側Z2の端は、底板10上に位置している。基部25は、第2方向Xから見た正面視において矩形状である。爪部26は、基部25から第1側Z1に向かって延びている。爪部26の第2側Z2の端は、基部25上に位置している。爪部26は、基部25よりも第3方向Yに小さい。爪部26は、基部25における第3方向Yの中央に配置されている。爪部26は、底板10における第3方向Yの中心に配置されている。
【0035】
突部27は、爪部26における第1側Z1の端部に設けられている。突部27は、爪部26から、第2方向Xに沿うとともに第1突起15に向かう向き(第2側X2)に突出している。
突部27における第2側X2を向く表面27aは、第1側Z1に向かうに従い漸次、第1側X1に向かうように傾斜している。
【0036】
基部25の第1方向Zの長さは、第1突起15の第1方向Zの長さよりも短い。第2突起20の第1方向Zの全体の長さ(基部25だけでなく、基部25および爪部26を含む部分の第1方向Zの長さ)は、第1突起15の第1方向Zの長さよりも長い。
【0037】
第2突起20には、リブ22が設けられている。リブ22は、第3方向Yに見たときに三角形状を呈する板状に形成されている。リブ22は、第2突起20における第1側X1を向く表面と、底板10の表面10cとを連結している。リブ22は、第2突起20が第1側X1に倒れるのを防止する。リブ22は、基部25における第3方向Yの中央に設けられている。リブ22の上端は、基部25の上端よりも下方に位置している。リブ22は、爪部26に配置されてはいない。
【0038】
以上のように構成された型枠保持具1は、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製である。型枠保持具1は、ポリプロピレン樹脂で形成されていることが最も好ましい。型枠保持具1は、例えば、使用済みの合成樹脂をマテリアルリサイクルにより再利用した、リサイクル原料で形成されていることが好ましい。例えば、型枠保持具1は、金型を用いた射出成形により製造される。
【0039】
本実施形態では、型枠保持具1は、第2側Z2が下方になるように配置されている。なお、型枠保持具1が配置される向きは、これに限定されない。
【0040】
次に、型枠保持具1が支持する型枠115の構成について説明する。
図2に示すように、型枠115は、第1板片116と、第2板片117と、第3板片118とを有する。第1板片116、第2板片117、及び第3板片118は、それぞれ平板状に形成される。
第1板片116は、第1方向Zに延びている。第2板片117は、第1板片116のうち、第1方向Zにおける第1側Z1とは反対の第2側Z2(以下では、単に第2側Z2とも言う)の端部から、第1側X1に向かって延びている。第3板片118は、第2板片117の先端部から第1側Z1に向かって延びている。
【0041】
本実施形態では、第1板片116の第1方向Zの長さは、第3板片118の第1方向Zの長さよりも長い。例えば、第1板片116、第2板片117、及び第3板片118は、鋼板を折り曲げることにより、一体に形成されている。
図2に示すように、型枠保持具1の底板10は、型枠115の第2板片117を、第2板片117に対する第2側Z2から支持している。
型枠保持具1の第1突起15及び第2突起20は、型枠115の第1板片116及び第3板片118を第2方向Xに挟んでいる。この際に、第2突起20は第3板片118に対向するように配置される。
型枠保持具1の突部27は、型枠115の第3板片118に、第3板片118に対する第1側Z1から係止している。突部27は、型枠115が第1側Z1に浮き上がるのを防止する。
型枠保持具1は、1つの型枠115を支持する、いわゆるハーフセパ(ハーフセパレータ)である。
【0042】
次に、以上のように型枠保持具1を用いて建築物100のベタ基礎105を施工する工程について説明する。
図1に示すように、型枠保持具1は、ベタ基礎105の底盤部106を施工するのにも用いられるし、ベタ基礎105の後述する立上がり部107を施工するのにも用いられる。
例えば、底盤部106を施工する際には、例えば作業者は、
図1及び
図4に示すように、捨てコンクリート110の上面における、下方に鉄筋112が埋設されている位置に、墨出し等により線L3を引く。
図1に示すように、捨てコンクリート110上の所定の範囲に、鉄筋120を配置する。
捨てコンクリート110上に、型枠保持具1を配置する。例えば、底盤部106の仕様等に基づいて、第1方向Zに見たときに、型枠保持具1の突条11Bを線L3に重ねる。型枠保持具1の底板10の一部を穿孔して捨てコンクリート110にコンクリート用のコンクリート釘125を打ち込む。穿孔する位置は、例えば、第1突起15よりも第2側X2であることが好ましく、突条11よりも第1側X1であることが好ましい。なお穿孔する位置に、窪みなどの目印が予め形成されていてもよい。また穿孔することに代えて、予め貫通孔が形成されていてもよい。
このようにして、コンクリート釘125により、捨てコンクリート110の所定の位置に型枠保持具1を複数固定する。
【0043】
次に、複数の型枠保持具1に、型枠115を複数固定する。具体的には、型枠保持具1の第1突起15及び第2突起20の間に、型枠115の第1板片116及び第3板片118を配置する。型枠保持具1の底板10上に、型枠115の第2板片117を配置する。型枠保持具1の突部27を、型枠115の第3板片118に、第3板片118に対する第1側Z1から係止させる。
以上の工程を行うことにより、複数の型枠保持具1に、型枠115を複数固定する。
【0044】
このとき、
図5に示すように、捨てコンクリート110と型枠115との間には、第1方向Zに隙間S1が形成される。隙間S1の第1方向Zの長さは、底板10の厚さに対応する。隙間S1を通して型枠115の外部に後述するコンクリート121Aが漏れないようにするためにも、底板10の厚さは、薄い方が好ましい。
【0045】
次に、
図1に示すように、複数の型枠115の間に、型枠115を埋設する程度のコンクリート121Aを流し込む。コンクリート121Aが固化してコンクリート121となると、コンクリート121及び鉄筋120により、底盤部106を構成する。
【0046】
同様にして、底盤部106の上面における、下方に鉄筋120が埋設されている位置に線L4を引く。底盤部106上の所定の範囲に、不図示の鉄筋を配置する。
底盤部106上に、別の型枠保持具1である型枠保持具1Aを配置する。例えば、ベタ基礎105の立上がり部の仕様等に基づいて、第1方向Zに見たときに、型枠保持具1Aの突条11Aを線L4に重ねる。コンクリート釘125により、底盤部106の所定の位置に型枠保持具1Aを複数固定する。
【0047】
次に、複数の型枠保持具1Aに、型枠115を固定する。型枠保持具1に固定された型枠115と型枠保持具1Aに固定された型枠115との間にコンクリートを流し込む。このコンクリートが固化すると、
図9に示すように、立上がり部107を構成する。
以上の工程により、ベタ基礎105が施工される。
ベタ基礎105から型枠115を取外す際には、
図1において二点鎖線L6で示すように、型枠115における第1側Z1の端部を、第2方向Xにおいて、型枠115が固定されている型枠保持具1の第1突起15から離間するように型枠115を傾けながら、型枠保持具1から型枠115を取外す。
ベタ基礎105が施工されると、例えば、
図9に示すように、型枠保持具1は土126中に埋設される。なお
図10に示すように、型枠保持具1を土126中に埋設する前に、底板10を、切欠き12を利用して第2方向Xに分断してもよい。この場合、底板10が前記仮想線L1を境として第2方向Xに2つに分断される。その結果、底盤部106に底板10が残るものの、土126には底板10が残らない。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の型枠保持具1では、第1突起15及び第2突起20が型枠115の第1板片116及び第3板片118を第2方向Xに挟んだときに、第1板片116及び第3板片118を第2方向Xに位置決めすることができる。そして、型枠115の第2板片117を、第2板片117に対する第2側Z2から底板10により支持し、型枠115の第3板片118に、第3板片118の第1側Z1から突部27を係止することにより、型枠115の第2板片117及び第3板片118を、第1方向Zに位置決めをすることができる。
また、第2突起20は、基部25および爪部26を備えている。爪部26は、基部25よりも第3方向Yに小さいため、爪部26は第2方向Xに変形し易い。従って、爪部26に設けられた突部27を、第2方向Xに容易に移動させることができる。一方、基部25は、爪部26よりも第3方向Yに大きいため、基部25が第3板片118の広い範囲を支持することができる。
以上から、この型枠保持具1を用いた施工時の、施工性を高めることができる。
【0049】
図1において二点鎖線L6で示すように型枠115を傾けながら、ベタ基礎105及び型枠保持具1から型枠115を取外す。ベタ基礎105及び型枠保持具1から型枠115を取外す際に支障となり易い第2突起20の基部25における第1方向Zの長さが第1突起15の第1方向Zの長さよりも短く、型枠115の第1板片116及び第3板片118を、第1突起15及び第2突起20の中でも第1方向Zに長い主に第1突起15により、第2方向Xに位置決めする。これにより、第2方向Xへの位置決め性能を維持しつつ、ベタ基礎105及び型枠保持具1から型枠115を取外し易くすることができる。
【0050】
爪部26が、基部25における第3方向Yの中央に配置されていて、基部25が、爪部26よりも第3方向Yの両側に広がっている。よって、型枠115を第3方向Yに広く支えることが可能になり、例えば、型枠115が第1方向Zに沿う軸線周りに位置ズレするのを抑制することができる。
【0051】
第2突起20が、第1方向Zの第1側Z1に向かうに従い、第2方向Xに沿う第1突起15側(第2側X2)に向けて傾斜している。したがって、第1突起15と第2突起20との間に型枠115が配置されるときに、型枠115が第2突起20を、第2方向Xに沿う第1突起15の反対側(第1側X1)に向けて強制的に弾性変形させ易くなる。その結果、第2突起20の復元変形力により、第2突起20が型枠115に強く押し当てられる。よって、第2突起20により型枠115を強く支持することができる。
【0052】
第1突起15が、第1方向Zの第1側Z1に向かうに従い、第2方向Xに薄くなっている。したがって、第1突起15が、第1方向Zの第1側Z1では第2方向Xに変形し易くなり、型枠115が第1突起15と第2突起20との間に配置し易くなる。よって、施工性を高めることができる。一方、第1突起15が、第1方向Zの第2側では第2方向Xに変形し難くなる。よって、第1突起15により型枠115を強く支持することができる。
【0053】
底板10の側面13に切欠き12が設けられている。よって、切欠き12を起点として、底板10を第2方向Xに分断し易くすることができる。
第1切欠き12aおよび第2切欠き12bが、第3方向Yに対向している。よって、第1切欠き12aおよび第2切欠き12bを起点として、底板10を第2方向Xに一層分断し易くすることができる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、第2突起20の基部25の第1方向Zの長さは、第1突起15の第1方向Zの長さ以上でもよい。
爪部26が、基部25における第3方向Yの中央に配置されていなくてもよい。
第2突起20が、第1方向Zの第1側Z1に向かうに従い、第2方向Xに沿う第1突起15側(第2側X2)に向けて傾斜していなくてもよい。
第1突起15が、第1方向Zの第1側Z1に向かうに従い、第2方向Xに薄くなっていなくてもよい。
型枠保持具は、第1突起、第2突起、及び突部を組にしたものを2つ備え、互いに対向する2つの型枠115を支持する、いわゆるセパレータでもよい。
底板10に、突条11及び切欠き12は形成されなくてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 型枠保持具
10 底板
15 第1突起
20 第2突起
25 基部
26 爪部
27 突部
X 第2方向
Y 第3方向
Z 第1方向