(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142375
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20241003BHJP
H02K 7/08 20060101ALI20241003BHJP
H02K 5/173 20060101ALI20241003BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20241003BHJP
F16C 35/067 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K7/08 Z
H02K5/173 A
F16H1/32 A
F16C35/067
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054493
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 倫紀
(72)【発明者】
【氏名】金城 秀一
(72)【発明者】
【氏名】八幡 考恒
【テーマコード(参考)】
3J027
3J117
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
3J027FA19
3J027GC03
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J117AA01
3J117AA03
3J117CA04
3J117CA07
3J117DA01
3J117DB10
5H605BB05
5H605CC04
5H605CC08
5H605EB10
5H605EB39
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD04
5H607EE33
5H607EE36
5H607GG01
5H607GG08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造コストが増大することを抑制できる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】電動アクチュエータ1は、モータシャフト23を有するモータ20と、モータシャフトの回転が減速して伝達される出力シャフト46と、モータシャフトと出力シャフトとのうち一方のシャフトの軸方向一方側の部分を支持する第1軸受51と、軸方向他方側の部分を支持する第2軸受52と、第1軸受を保持する第1保持部11fと、第2軸受を保持する第2保持部12と、を備える。第1軸受は、一方のシャフトに固定される第1内輪部と、第1保持部によって軸方向一方側から支持される第1外輪部と、を有する。第2軸受は、一方のシャフトに固定される第2内輪部と、第2保持部によって軸方向他方側から支持される第2外輪部と、を有する。第2保持部は、軸方向他方側に弾性変形して第2外輪部に軸方向一方側を向く力を加える弾性変形部12dを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸線を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトの回転が減速して伝達される出力シャフトと、
前記モータシャフトと前記出力シャフトとのうち一方のシャフトの軸方向一方側の部分を回転可能に支持する第1軸受と、
前記一方のシャフトの軸方向他方側の部分を回転可能に支持する第2軸受と、
前記第1軸受を保持する第1保持部と、
前記第2軸受を保持する第2保持部と、
を備え、
前記第1軸受は、前記一方のシャフトに固定される第1内輪部と、前記第1内輪部と径方向に対向して配置され前記第1保持部によって軸方向一方側から支持される第1外輪部と、前記第1内輪部と前記第1外輪部との径方向の間に位置する複数の第1転動体と、を有し、
前記第2軸受は、前記一方のシャフトに固定される第2内輪部と、前記第2内輪部と径方向に対向して配置され前記第2保持部によって軸方向他方側から支持される第2外輪部と、前記第2内輪部と前記第2外輪部との径方向の間に位置する複数の第2転動体と、を有し、
前記第2保持部は、軸方向他方側に弾性変形して前記第2外輪部に軸方向一方側を向く力を加える弾性変形部を有する、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記モータシャフトおよび前記出力シャフトを収容するケース本体を備え、
前記第2保持部は、前記ケース本体に取り付けられる取付部を有し、
前記弾性変形部は、前記第2軸受を保持する保持部と、前記取付部と前記保持部とを繋ぐ接続部と、を有し、
前記接続部の軸方向の寸法は、前記取付部の軸方向の寸法よりも小さい、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記モータシャフトは、中空シャフトであり、
前記出力シャフトの少なくとも一部は、前記モータシャフトの内部に位置し、
前記出力シャフトは、前記モータ軸線を中心に回転可能であり、
前記一方のシャフトは、前記出力シャフトであり、
前記ケース本体は、前記第1保持部を有する、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記ケース本体は、軸方向他方側に開口する開口部を有し、
前記第2保持部は、前記ケース本体に固定され、前記開口部を塞ぐ、請求項2または3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記モータシャフトは、前記出力シャフトの軸方向他方側に配置され、
前記出力シャフトは、前記モータ軸線を中心に回転可能であり、
前記一方のシャフトは、前記モータシャフトであり、
前記出力シャフトは、前記第1保持部を有する、請求項1または2に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
軸体を回転可能に支持する軸受に例えばウェーブワッシャ等の弾性部材によって与圧を与えて、軸体のがたつきを抑制するアクチュエータが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなアクチュエータは、軸受に与圧を与える弾性部材を有するため、アクチュエータの部品点数が増大していた。また、軸体および軸受等に弾性部材を組み付ける作業が必要であるため、リニアアクチュエータの製造工数が増大していた。これらにより、リニアアクチュエータの製造コストが増大していた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、製造コストが増大することを抑制できる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸線を中心として回転可能なモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトの回転が減速して伝達される出力シャフトと、前記モータシャフトと前記出力シャフトとのうち一方のシャフトの軸方向一方側の部分を回転可能に支持する第1軸受と、前記一方のシャフトの軸方向他方側の部分を回転可能に支持する第2軸受と、前記第1軸受を保持する第1保持部と、前記第2軸受を保持する第2保持部と、を備える。前記第1軸受は、前記一方のシャフトに固定される第1内輪部と、前記第1内輪部と径方向に対向して配置され前記第1保持部によって軸方向一方側から支持される第1外輪部と、前記第1内輪部と前記第1外輪部との径方向の間に位置する複数の第1転動体と、を有する。前記第2軸受は、前記一方のシャフトに固定される第2内輪部と、前記第2内輪部と径方向に対向して配置され前記第2保持部によって軸方向他方側から支持される第2外輪部と、前記第2内輪部と前記第2外輪部との径方向の間に位置する複数の第2転動体と、を有する。前記第2保持部は、軸方向他方側に弾性変形して前記第2外輪部に軸方向一方側を向く力を加える弾性変形部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータの製造コストが増大することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の伝達機構を軸方向他方側から見た図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す第1の部分拡大断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す第2の部分拡大断面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の電動アクチュエータを示す第1の部分拡大断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の電動アクチュエータを示す第2の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図において、Z軸方向は、正の側(+Z側)を上側とし、負の側(-Z側)を下側とする上下方向である。本実施形態において、下側は「軸方向一方側」に相当し、上側は「軸方向他方側」に相当する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0010】
<第1実施形態>
各図に適宜示すモータ軸線J1が延びる方向である軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、モータ軸線J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、モータ軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸線J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。周方向は、各図において矢印θ1で示される。
【0011】
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ1は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ1は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。電動アクチュエータ1は、ケース10と、モータ20と、伝達機構30と、出力シャフト46と、第1軸受51と、第2軸受52と、第3軸受53と、制御基板80と、回転センサ81と、センサマグネット45と、を備える。本実施形態において、第1軸受51および第2軸受52は、ボールベアリングである。
【0012】
ケース10は、モータ20、伝達機構30、および出力シャフト46を含む電動アクチュエータ1の各部を内部に収容する。ケース10は、ケース本体11と、第2保持部12と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ1は、第2保持部12を備える。ケース本体11は、モータ軸線J1を中心とする円筒状である。本実施形態において、ケース本体11は、金属製である。ケース本体11は、樹脂製であってもよい。ケース本体11は、上側、すなわち軸方向他方側に開口する開口部11mを有する。ケース本体11は、第1収容部11aと、第2収容部11bと、を有する。
【0013】
第1収容部11aは、ケース本体11の下側の部分である。第1収容部11aは、底壁部11cと、周壁部11dと、第1保持部11fと、を有する。すなわち、電動アクチュエータ1は、第1保持部11fを備える。底壁部11cは、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。底壁部11cの板面は、軸方向を向く。周壁部11dは、底壁部11cの径方向外縁から上側に延びる筒状である。
【0014】
第1保持部11fは、第1軸受51を保持する。第1保持部11fは、第1筒状部11gと、第1支持部11hと、を有する。第1筒状部11gは、モータ軸線J1を中心とする円筒状である。第1筒状部11gは、底壁部11cの径方向内縁から下側に突出する。第1筒状部11gは、第1軸受51を径方向外側から支持する。
【0015】
第1支持部11hは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第1支持部11hは、第1筒状部11gの下端から径方向内側に突出する。第1支持部11hは、第1軸受51よりも下側に位置する。第1支持部11hは、第1支持面11iを有する。第1支持面11iは、第1支持部11hの外側面のうち上側を向く面である。第1支持面11iは、第1軸受51と軸方向に接触する。これにより、第1支持部11hは、第1軸受51を下側から支持する。
【0016】
第2収容部11bは、ケース本体11の上側の部分である。第2収容部11bは、第1収容部11aと軸方向に繋がる。第2収容部11bは、上側に開口する筒状である。第2収容部11bの内周面には、上側を向く段差面11kを有する段差が設けられる。
【0017】
第2保持部12は、ケース本体11の上端に固定される。第2保持部12は、ケース本体11の開口部11mを上側から塞ぐ。本実施形態において、第2保持部12は、金属製である。第2保持部12は、樹脂製であってもよい。第2保持部12は、取付部12aと、環状突出部12bと、弾性変形部12dと、を有する。
【0018】
取付部12aは、第2保持部12のうちケース本体11に固定される部分である。取付部12aは、モータ軸線J1を囲む円環板状である。取付部12aの板面は、軸方向を向く。取付部12aの下側を向く面は、第2収容部11bの上端と軸方向に接触する。取付部12aは、図示しないボルトによってケース本体11に固定される。これにより、第2保持部12は、ケース本体11に固定される。
【0019】
環状突出部12bは、モータ軸線J1を囲む円環状である。環状突出部12bは、取付部12aの径方向内縁から下側に突出する。環状突出部12bの外周面は、第2収容部11bの内周面と径方向に接触する。これにより、ケース本体11に対する第2保持部12の径方向の位置が決まる。
【0020】
弾性変形部12dは、開口部11mを上側から塞ぐ。弾性変形部12dは、上側に弾性変形して第2軸受52に下側を向く弾性力を加える。弾性変形部12dは、接続部12eと、保持部12gと、を有する。接続部12eは、モータ軸線J1を中心とする円環板状である。接続部12eの板面は、軸方向を向く。接続部12eの径方向外縁は、取付部12aの径方向内縁と繋がる。接続部12eの径方向内縁は、保持部12gと繋がる。接続部12eは、取付部12aと保持部12gとを繋ぐ。接続部12eの軸方向の寸法は、取付部12aの軸方向の寸法よりも小さい。
【0021】
保持部12gは、第2軸受52を保持する。これにより、第2保持部12は、第2軸受52を保持する。保持部12gは、モータ軸線J1を中心として軸方向に突出する円筒状である。保持部12gは、下側に開口する。保持部12gの内周面は、第2軸受52を径方向外側から支持する。保持部12gは、第2支持部12hを有する。
【0022】
第2支持部12hは、保持部12gの内側面の上端側の部分から径方向内側に突出する。第2支持部12hは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第2支持部12hは、第2軸受52よりも上側に位置する。第2支持部12hは、第2支持面12iを有する。第2支持面12iは、第2支持部12hの外側面のうち下側を向く面である。第2支持面12iは、第2軸受52と軸方向に接触する。これにより、第2支持部12hは、第2軸受52を上側から支持する。
【0023】
上述のように、接続部12eの軸方向の寸法は、取付部12aの軸方向の寸法よりも小さい。そのため、本実施形態では、接続部12eの軸方向の剛性を小さくし易い。これにより、弾性変形部12dの剛性を小さくし易い。また、上述のように、接続部12eの径方向外縁は、ケース本体11に固定される取付部12aと繋がっている。したがって、保持部12gに軸方向を向く力が加わると、接続部12eは、径方向外縁を固定端として、軸方向に弾性変形する。これにより、保持部12gは軸方向に移動する。
【0024】
モータ20は、ケース本体11の内部に配置される。モータ20は、ロータ21と、ステータ22と、を有する。ロータ21は、モータ軸線J1を中心として回転可能である。ロータ21は、モータシャフト23と、ロータコア24aと、マグネット24bと、を有する。モータシャフト23は、モータ軸線J1を中心として回転可能である。モータシャフト23は、モータ軸線J1を中心として軸方向に延びる略円筒状である。モータシャフト23は、ケース本体11の内部に収容される。モータシャフト23は、中空シャフトである。モータシャフト23は、軸方向の両側に開口する。モータシャフト23は、本体部23aと、偏心軸部23bと、を有する。
【0025】
本体部23aは、モータシャフト23の上側の部分である。本体部23aの外周面にはロータコア24aが固定される。本体部23aの上端は、第2収容部11bの内部に配置される。本体部23aのうち上端以外の部分は、第1収容部11aの内部に配置される。
【0026】
偏心軸部23bは、モータシャフト23の下側の部分である。偏心軸部23bは、本体部23aと軸方向に繋がる。偏心軸部23bは、ロータコア24aよりも下側に配置される。軸方向に見て、偏心軸部23bの内周面は、モータ軸線J1を中心とする円形状である。軸方向に見て、偏心軸部23bの外周面は、モータ軸線J1に対して偏心した偏心軸線J2を中心とする円形状である。偏心軸線J2は、モータ軸線J1と平行な仮想軸線である。偏心軸部23bの外周面には、第3軸受53の内輪部が嵌め合わされて固定される。
【0027】
ロータコア24aは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。ロータコア24aは、本体部23aの外周面に固定される。マグネット24bは、ロータコア24aに固定される。マグネット24bは、周方向に間隔をあけて複数配置される。
【0028】
ステータ22は、ロータ21の径方向外側に、ロータ21と隙間を介して配置される。ステータ22は、ロータコア24aを径方向外側から囲む環状のステータコア22aと、ステータコア22aに装着されたインシュレータ22bと、インシュレータ22bを介してステータコア22aに装着された複数のコイル部22cと、を有する。ステータコア22aの外周面は、周壁部11dの内周面に固定されている。
【0029】
伝達機構30は、第1収容部11aの内部に配置される。伝達機構30は、ロータコア24aおよびステータ22の下側に配置される。伝達機構30は、モータシャフト23および出力シャフト46に連結される。本実施形態において、伝達機構30は、モータシャフト23のモータ軸線J1回りの回転を減速して出力シャフト46に伝達する減速機構である。伝達機構30は、ロータ21の回転を増速して出力シャフト46に伝達する増速機構であってもよいし、ロータ21の回転と同じ回転速度の回転を出力シャフト46に伝達する伝達機構であってもよい。伝達機構30は、外歯ギヤ31と、内歯ギヤ32と、フランジ部42と、複数の突出部43と、を有する。
【0030】
外歯ギヤ31は、偏心軸線J2を中心とする円環状である。外歯ギヤ31は、第3軸受53の外輪部に嵌め合わされる。外歯ギヤ31は、モータシャフト23の偏心軸部23bに第3軸受53を介して連結される。これにより、外歯ギヤ31には、モータシャフト23の回転が伝達される。外歯ギヤ31は、偏心軸線J2回りにモータシャフト23と相対的に回転可能である。
図2に示すように、外歯ギヤ31は、複数の貫通孔部31bと、外歯歯車部31cと、を有する。
【0031】
本実施形態において、複数の貫通孔部31bのそれぞれは、外歯ギヤ31を軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、複数の貫通孔部31bのそれぞれは、円形状である。複数の貫通孔部31bは、モータ軸線J1を囲んで配置される。本実施形態において、貫通孔部31bは、8個設けられる。外歯歯車部31cは、外歯ギヤ31の外周面に沿って設けられる。外歯歯車部31cは、外歯ギヤ31の外周面に沿って並ぶ複数の外歯歯部31dによって構成される。
【0032】
内歯ギヤ32は、外歯ギヤ31の径方向外側に配置される。内歯ギヤ32は、外歯ギヤ31を径方向外側から囲む。内歯ギヤ32は、モータ軸線J1を中心とする環状である。
図1に示すように、内歯ギヤ32の外周面は、周壁部11dの内周面に固定される。
図2に示すように、内歯ギヤ32は、内歯歯車部32aを有する。内歯歯車部32aは、内歯ギヤ32の内周面に沿って設けられる。内歯歯車部32aは、内歯ギヤ32の内周面に沿って並ぶ複数の内歯歯部32bによって構成される。
【0033】
図1に示すように、フランジ部42は、外歯ギヤ31の下側に配置される。フランジ部42は、外歯ギヤ31と軸方向に間隔をあけて配置される。フランジ部42は、モータ軸線J1を中心とする円環状である。フランジ部42は、出力シャフト46に固定される。フランジ部42には、複数の突出部43が設けられる。
【0034】
本実施形態において、複数の突出部43のそれぞれは、フランジ部42から上側に突出する円柱状である。
図2に示すように、突出部43の外径は、貫通孔部31bの内径よりも小さい。複数の突出部43は、モータ軸線J1を囲んで配置される。本実施形態において、突出部43は、8個設けられる。
図1に示すように、各突出部43は、互いに異なる貫通孔部31bに下側から挿入される。
図2に示すように、各突出部43は、貫通孔部31bの内側面を介して、外歯ギヤ31をモータ軸線J1回りに揺動可能に支持する。
【0035】
図1に示すように、出力シャフト46は、軸方向に延びる。出力シャフト46は、ケース本体11の内部に収容される。出力シャフト46は、モータ軸線J1を中心に回転可能である。出力シャフト46には、伝達機構30を介してモータシャフト23の回転が減速して伝達される。出力シャフト46は、モータシャフト23の内部を軸方向に通される。出力シャフト46は、モータシャフト23から軸方向両側に突出している。すなわち、出力シャフト46の少なくとも一部は、モータシャフト23の内部に位置する。出力シャフト46は、出力シャフト本体41と、出力シャフト本体41取付部材44と、を有する。
【0036】
出力シャフト本体41は、軸方向に延びる。出力シャフト本体41は、第1軸受51および第2軸受52によって、モータ軸線J1回りに回転可能に支持される。すなわち、第1軸受51および第2軸受52は出力シャフト46を回転可能に支持する。出力シャフト本体41は、連結部41aと、延伸部41bと、を有する。
【0037】
連結部41aは、出力シャフト本体41の下側の部分である。連結部41aは、モータ軸線J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。連結部41aは、下側に開口する。連結部41aの下端は、第1筒状部11gの内部に挿入されている。連結部41aの上端は、偏心軸部23bの内部に挿入されている。連結部41aは、第1軸受51によってモータ軸線J1回りに回転可能に支持される。
【0038】
連結部41aの内部には、下側から図示しない被駆動シャフトが挿入可能である。被駆動シャフトの外周面に設けられたスプライン溝が、連結部41aの内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされると、連結部41aと被駆動シャフトとが互いに連結される。これにより、モータシャフト23の回転が、出力シャフト46を介して、被駆動シャフトに伝達される。
【0039】
延伸部41bは、出力シャフト本体41の上側の部分である。延伸部41bは、モータ軸線J1を中心として軸方向に延びる円柱状である。延伸部41bは、連結部41aと軸方向に繋がる。延伸部41bは、モータシャフト23の内部を軸方向に通される。延伸部41bの上側の部分は、モータシャフト23よりも上側に突出する。延伸部41bの上端は、第2軸受52によってモータ軸線J1回りに回転可能に支持される。上述のように、連結部41aは、第1軸受51によってモータ軸線J1回りに回転可能に支持される。つまり、第1軸受51および第2軸受52のそれぞれは、モータシャフト23と出力シャフト46のうち一方のシャフトである出力シャフト46を回転可能に支持する。本実施形態において、一方のシャフトは、出力シャフト46である。
【0040】
本実施形態によれば、モータシャフト23は、中空シャフトであり、出力シャフト46の少なくとも一部は、モータシャフト23の内部に位置し、出力シャフト46は、モータ軸線J1を中心に回転可能であり、一方のシャフトは、出力シャフト46であり、ケース本体11は、第1保持部11fを有する。よって、出力シャフト46をモータシャフト23の内部に配置できるため、電動アクチュエータ1が径方向に大型化することを抑制できる。
【0041】
また、本実施形態では、上述のように、ケース本体11が第1保持部11fを有するため、ケース本体11とは別個に第1軸受51を保持する部材を有する構成と比較して、電動アクチュエータ1の部品点数が増大することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ1の製造コストが増大することを抑制できる。
【0042】
取付部材44は、延伸部41bの外周面のうちモータシャフト23よりも上側の部分に固定される。取付部材44は、固定筒部44aと、環状部44bと、を有する。固定筒部44aは、モータ軸線J1を中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。固定筒部44aは、延伸部41bの外周面に固定される。環状部44bは、固定筒部44aの下端から径方向外側に広がる略円環板状である。
【0043】
センサマグネット45は、モータ軸線J1を囲む環状である。センサマグネット45は、固定筒部44aの外周面に固定される。センサマグネット45の径方向外縁は、環状部44bよりも径方向外側に位置し、回転センサ81と軸方向に対向する。
【0044】
モータシャフト23の本体部23aの下端と、出力シャフト46の連結部41aの上端との間には、ワッシャ61が配置される。ワッシャ61は、延伸部41bを囲む円環板状である。ワッシャ61は、本体部23aおよび連結部41aのそれぞれと軸方向に接触する。また、本体部23aの上端と環状部44bとの間には、ワッシャ62が配置される。ワッシャ62は、延伸部41bを囲む円環板状である。ワッシャ62は、本体部23aおよび環状部44bのそれぞれと軸方向に接触する。ワッシャ61およびワッシャ62の板面は、軸方向を向く。ワッシャ61およびワッシャ62は、例えば、スリップワッシャである。ワッシャ61およびワッシャ62は、モータシャフト23と出力シャフト46との間の摩擦力を低減する。
【0045】
図1に示すように、制御基板80は、ステータ22よりも上側に配置される。制御基板80は、ケース10の段差面11kに固定される。制御基板80は、径方向に広がる板状である。図示は省略するが、制御基板80には、モータ20に電力を供給するインバータ回路が設けられる。図示は省略するが、制御基板80は、複数のコイル部22cと電気的に接続される。制御基板80は、複数のコイル部22cに供給する電力を制御する。制御基板80には、貫通孔80aが設けられる。軸方向に見て、貫通孔80aは、モータ軸線J1を中心とする円形状である。貫通孔80aには、出力シャフト46の延伸部41bが軸方向に通される。制御基板80には、回転センサ81が取り付けられる。
【0046】
回転センサ81は、制御基板80の上側を向く面うち貫通孔80aの周縁部に固定される。回転センサ81は、センサマグネット45の径方向外縁と軸方向に対向する。本実施形態において、回転センサ81は、磁気センサである。回転センサ81は、例えば、ホールICなどのホール素子である。回転センサ81は、センサマグネット45の磁界を検出することで、出力シャフト46の回転を検出する。
【0047】
次に、本実施形態においてモータシャフト23の回転が伝達機構30によって出力シャフト46に減速して伝達される回転伝達構成について説明する。制御基板80からモータ20に電力が供給されてモータシャフト23がモータ軸線J1回りに回転すると、偏心軸部23bは、モータ軸線J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部23bの公転は、第3軸受53を介して外歯ギヤ31に伝達される。外歯ギヤ31は、貫通孔部31bの内周面と突出部43の外周面との接触する位置が変化しつつ、モータ軸線J1回りに公転する。外歯ギヤ31がモータ軸線J1回りに公転すると、外歯ギヤ31の外歯歯車部31cと内歯ギヤ32の内歯歯車部32aとの噛み合う位置が、周方向に変化する。これにより、外歯ギヤ31を介して、内歯ギヤ32にモータシャフト23の駆動力が伝達される。
【0048】
上述のように、内歯ギヤ32は、ケース10に固定されている。そのため、内歯ギヤ32に伝達される駆動力の反力によって、外歯ギヤ31は偏心軸線J2回りに回転する。このとき、外歯ギヤ31の回転は、モータシャフト23の回転に対して減速される。外歯ギヤ31の回転は、貫通孔部31bの内側面および突出部43を介して、フランジ部42に伝達され、フランジ部42がモータ軸線J1回りに回転する。上述のように、出力シャフト46は、フランジ部42と固定されるため、出力シャフト46は、フランジ部42とともにモータ軸線J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト46には、伝達機構30を介してモータシャフト23の回転が伝達される。
【0049】
図1に示すように、第1軸受51は、伝達機構30よりも下側に配置される。上述のように、第1軸受51は、ボールベアリングである。第1軸受51は、出力シャフト46の連結部41aをモータ軸線J1回りに回転可能に支持する。第1軸受51は、出力シャフト46の下側、すなわち軸方向一方側の部分を回転可能に支持する。第1軸受51は、出力シャフト46、すなわち一方のシャフトを回転可能に支持する。
図3に示すように、第1軸受51は、第1内輪部51aと、第1外輪部51bと、複数の第1転動体51cと、第1保持器51dと、を有する。
【0050】
第1内輪部51aは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第1内輪部51aは、連結部41aを囲む。本実施形態において、第1内輪部51aは、連結部41aに固定されている。つまり、第1内輪部51aは、出力シャフト46に固定されている。第1内輪部51aは、連結部41aに圧入されていてもよいし、接着剤によって連結部41aに接着固定されていてもよい。
【0051】
第1外輪部51bは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第1外輪部51bは、第1内輪部51aを径方向外側から囲む。第1外輪部51bは、第1内輪部51aと径方向に対向して配置される。本実施形態において、第1外輪部51bは、第1保持部11fの第1筒状部11gの内周面に隙間嵌めされている。これにより、第1外輪部51bは、第1保持部11fによって径方向外側から支持される。第1外輪部51bの下側を向く面は、第1保持部11fの第1支持面11iと軸方向に接触する。これにより、第1外輪部51bは、第1保持部11fによって下側、すなわち軸方向一方側から支持される。これにより、ケース本体11に対する第1軸受51の軸方向の位置が決まる。また、上述のように、出力シャフト46は、第1内輪部51aと固定されている。よって、第1軸受51を介して、ケース本体11に対する出力シャフト46の軸方向の位置が決まる。
【0052】
複数の第1転動体51cは、第1内輪部51aと第1外輪部51bとの径方向の間に位置する。複数の第1転動体51cは、周方向に沿って配置される。各第1転動体51cは、球状である。第1保持器51dは、複数の第1転動体51cを保持する。第1保持器51dは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第1保持器51dには、周方向に沿って、図示しない複数の保持孔が設けられる。各保持孔には、複数の第1転動体51cが保持される。各第1転動体51cは、各保持孔から径方向両側に突出し、第1内輪部51aおよび第1外輪部51bと接触する。これにより、第1内輪部51aと第1外輪部51bとは、複数の第1転動体51cを介して、互いにモータ軸線J1回りに相対回転できる。
【0053】
図1に示すように、第2軸受52は、センサマグネット45よりも上側に配置される。上述のように、第2軸受52は、ボールベアリングである。第2軸受52は、出力シャフト46の延伸部41bをモータ軸線J1回りに回転可能に支持する。すなわち、第2軸受52は、出力シャフト46、すなわち一方のシャフトの上側、すなわち軸方向他方側の部分を回転可能に支持する。
図4に示すように、第2軸受52は、第2内輪部52aと、第2外輪部52bと、複数の第2転動体52cと、第2保持器52dと、を有する。
【0054】
第2内輪部52aは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第2内輪部52aは、延伸部41bを囲む。本実施形態において、第2内輪部52aは、延伸部41bに固定されている。つまり、第2内輪部52aは、出力シャフト46に固定されている。第2内輪部52aは、延伸部41bに圧入されていてもよいし、接着剤によって延伸部41bに接着固定されていてもよい。
【0055】
第2外輪部52bは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第2外輪部52bは、第2内輪部52aを径方向外側から囲む。第2外輪部52bは、第2内輪部52aと径方向に対向して配置される。本実施形態において、第2外輪部52bは、保持部12gの内周面に隙間嵌めされている。これにより、第2外輪部52bは、第2保持部12によって径方向外側から支持される。第2外輪部52bの上側を向く面は、第2保持部12の第2支持面12iと軸方向に接触する。これにより、第2外輪部52bは、第2保持部12によって上側、すなわち軸方向他方側から支持される。
【0056】
複数の第2転動体52cは、第2内輪部52aと第2外輪部52bとの径方向の間に位置する。複数の第2転動体52cは、周方向に沿って配置される。各第2転動体52cは、球状である。第2保持器52dは、複数の第2転動体52cを保持する。第2保持器52dは、モータ軸線J1を中心とする円環状である。第2保持器52dには、周方向に沿って、図示しない複数の保持孔が設けられる。各保持孔には、複数の第2転動体52cが保持される。各第2転動体52cは、各保持孔から径方向両側に突出し、第2内輪部52aおよび第2外輪部52bと接触する。これにより、第2内輪部52aと第2外輪部52bとは、複数の第2転動体52cを介して、互いにモータ軸線J1回りに相対回転できる。
【0057】
図1に示す第1長さL1は、ケース本体11の第2収容部11bの上端と第1支持面11iとの間の軸方向の長さである。
図4に示す固定前第2長さL2aは、ケース本体11に固定されていない第2保持部12の取付部12aの下端と第2支持面12iとの間の軸方向の長さである。
図1に示す、第3長さL3は、出力シャフト46に固定される第1外輪部51bの下端と第2外輪部52bの上端との間の軸方向の長さである。本実施形態において、第3長さL3は、第1長さL1に固定前第2長さL2aを足し合わせた長さよりも長い。よって、少なくとも出力シャフト46、第1軸受51および第2軸受52が取り付けられたケース本体11に第2保持部12を固定すると、保持部12gには第1軸受51から上側を向く力が加わる。これにより、
図4に示すように、弾性変形部12dの接続部12eが上側、すなわち軸方向他方側に弾性変形し、保持部12gが上側に移動する。そのため、ケース本体11に固定された後の第2保持部12の取付部12aの下端と第2支持面12iとの間の軸方向の長さである固定後第2長さL2bは、固定前第2長さL2aよりも長くなる。また、
図1に示すように、第1長さL1に固定後第2長さL2bを足し合わせた長さは、第3長さL3と同じ長さになる。
【0058】
図4に示すように、弾性変形部12dは上側に弾性変形しているため、第2軸受52の第2外輪部52bには弾性変形部12dから下側を向く弾性力Feが加わる。つまり、弾性変形部12dは、第2外輪部52bに下側、すなわち軸方向一方側を向く力を加える。これにより、第2保持部12と第2軸受52とは安定して軸方向に接触する。よって、第2外輪部52bは、第2保持部12よって上側から安定して支持される。また、上述のように、第2軸受52は出力シャフト46に固定されているため、第2軸受52を介して、出力シャフト46に下側を向く弾性力Feが加わる。これにより、弾性変形部12dの弾性力Feによって、出力シャフト46を下側に押すことができる。また、上述のように、第1軸受51は出力シャフト46に固定されているため、出力シャフト46を介して、第1軸受51に弾性力Feが加わる。よって、
図3に示すように、第1軸受51の第1外輪部51bの下端と第1支持面11iとが安定して軸方向に接触する。よって、第1外輪部51bは、第1保持部11fによって下側から安定して支持される。これらにより、第1軸受51および第2軸受52を介して、出力シャフト46と、第1保持部11fおよび第2保持部12とを安定して軸方向に接触させることができる。したがって、ケース本体11に対する出力シャフト46の位置を精度よく決めることができる。
【0059】
本実施形態によれば、電動アクチュエータ1は、モータシャフト23を有するモータ20と、出力シャフト46と、出力シャフト46、すなわち一方のシャフトの下側、すなわち軸方向一方側の部分を回転可能に支持する第1軸受51と、出力シャフト46の上側、すなわち軸方向他方側の部分を回転可能に支持する第2軸受52と、第1軸受51を保持する第1保持部11fと、第2軸受52を保持する第2保持部12と、を備える。第1軸受51は、出力シャフト46に固定される第1内輪部51aと、第1保持部11fによって下側から支持される第1外輪部51bと、を有する。第2軸受52は、出力シャフト46に固定される第2内輪部52aと、第2保持部12によって上側から支持される第2外輪部52bと、を有する。第2保持部12は、上側に弾性変形して第2外輪部52bに下側を向く力を加える弾性変形部12dを有する。そのため、上述のように、第2軸受52を保持する第2保持部12に設けられた弾性変形部12dによって、第2軸受52を介して出力シャフト46に下側を向く弾性力Feを加えることができる。これにより、第1軸受51を介して、第1保持部11fによって出力シャフト46を安定して下側から支持できる。よって、第1保持部11fおよび第2保持部12に対する出力シャフト46の軸方向の位置を精度よく決めることができ、出力シャフト46が軸方向にがたつくことを抑制できる。したがって、本実施形態では、出力シャフト46に対して軸方向に弾性力を加えるウェーブワッシャおよびシムリング等の弾性部材を別途設ける必要がない。そのため、電動アクチュエータ1の部品点数が増大することを抑制できる。また、第2保持部12と別個に弾性部材を備える構成と比較して、第2軸受52および出力シャフト46等に弾性部材を組み付ける作業が不要になるため、電動アクチュエータ1の製造工数が増大することを抑制できる。これらにより、電動アクチュエータ1の製造コストが増大することを抑制できる。
【0060】
また、本実施形態では、上述のように、ケース本体11に対する出力シャフト46の軸方向の位置を精度よく決めることができるため、出力シャフト46に固定されるセンサマグネット45と、ケース本体11に固定される制御基板80に取り付けられる回転センサ81との間の軸方向の位置が変動することを抑制できる。これにより、回転センサ81によってセンサマグネット45の磁界を精度よく検出できるため、出力シャフト46の回転速度を安定させることができる。
【0061】
本実施形態によれば、第2保持部12は、ケース本体11に固定される取付部12aを有し、弾性変形部12dは、第2軸受52を保持する保持部12gと、取付部12aと保持部12gとを繋ぐ接続部12eと、を有し、接続部12eの軸方向の寸法は、取付部12aの軸方向の寸法よりも小さい。よって、弾性変形部12dの軸方向の剛性を小さくし易いため、弾性変形部12dを軸方向に弾性変形させ易い。そのため、弾性変形部12dから第2軸受52に加わる弾性力Feが大きくなりすぎることを抑制し易い。よって、第2軸受52の複数の第2転動体258cに加わる弾性力Feが大きくなりすぎることを抑制し易いため、第2軸受52によって出力シャフト46を安定して支持できる。したがって、出力シャフト46を円滑に回転させることができるため、電動アクチュエータ1を安定して動作させることができる。
【0062】
また、上述のように、第2軸受52に加わる弾性力Feが大きくなりすぎることを抑制できるため、第2保持部12をケース本体11に固定する際に、第2保持部12に加える下側を向く力が増大することを抑制できる。したがって、容易に第2保持部12をケース本体11に固定できるため、電動アクチュエータ1の製造工数が増大することを抑制できる。
【0063】
本実施形態によれば、ケース本体11は、上側、すなわち軸方向他方側に開口する開口部11mを有し、第2保持部12は、ケース本体11に固定され、開口部11mを塞ぐ。そのため、本実施形態では、第2保持部12によって、第2軸受52を介して出力シャフト46を下側に押すことができるとともに、ケース本体11の開口部11mを塞ぐことができる。したがって、例えば、第2保持部12とは別個に開口部11mを塞ぐ部材を備える構成と比較して、電動アクチュエータ1の部品点数が増大することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ1の製造コストが増大することをより好適に抑制できる。
【0064】
<第2実施形態>
図5は、本実施形態の電動アクチュエータ201を示す断面図である。本実施形態の電動アクチュエータ201は、モータシャフト221と出力シャフト241とが軸方向に並んで配置される。電動アクチュエータ201は、ケース210と、モータ220と、伝達機構230と、出力シャフト241と、第1軸受257と、第2軸受258と、第3軸受255と、制御基板280と、を備える。本実施形態において、第1軸受257および第2軸受258は、ボールベアリングである。
【0065】
ケース210は、モータ220および伝達機構230を収容する。ケース210は、モータ220および伝達機構230を収容するケース本体211と、蓋部材214と、を有する。本実施形態において、ケース本体211は、金属製である。ケース本体211は、モータケース212と、伝達機構ケース213と、を有する。モータケース212は軸方向両側に下側に開口し、伝達機構ケース213は上側に開口する。モータケース212の内部と伝達機構ケース213の内部とは互いに繋がる。モータケース212の上端には蓋部材214が固定される。
【0066】
モータケース212の内部には、モータ220、制御基板280、第2保持部250、および第2軸受258が収容される。モータケース212は、ケース筒部212aと、壁部212bと、を有する。ケース筒部212aは、モータ軸線J3を中心として軸方向に延びる円筒状である。ケース筒部212aは、軸方向の両側に開口する。ケース筒部212aの上側の開口は、蓋部材214によって塞がれる。
【0067】
なお、各図に適宜示すモータ軸線J3が延びる方向である軸方向は、上下方向(Z軸方向)と平行である。以下の説明においては、モータ軸線J3の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、モータ軸線J3を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸線J3を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0068】
壁部212bは、ケース筒部212aの内周面から径方向内側に拡がる円環板状である。壁部212bは、壁部212bを軸方向に貫通する孔部212hを有する。本実施形態において孔部212hは、モータ軸線J3を中心とする円形状である。
【0069】
伝達機構ケース213は、モータケース212の下側に配置される。伝達機構ケース213の内部には、モータシャフト221の一部、伝達機構230、出力シャフト241、第1軸受257、および第3軸受255が収容される。伝達機構ケース213は、底壁部213aと、筒部213bと、突出筒部213cを有する。
【0070】
底壁部213aは、モータ軸線J3を中心とする円環板状である。底壁部213aは、伝達機構230よりも下側に配置される。筒部213bは、底壁部213aの径方向外縁から上側に突出する円筒状である。筒部213bは、上側に開口する。筒部213bは、ケース筒部212aと軸方向に接触する。筒部213bは、ケース筒部212aに固定される。突出筒部213cは、底壁部213aの径方向内縁から下側に突出する円筒状である。突出筒部213cは、軸方向両側に開口する。
【0071】
モータ220は、モータシャフト221を有するロータ222と、ステータ223と、を有する。ロータ222は、モータシャフト221の外周面に固定される環状のロータコア222aと、ロータコア222aに固定されるマグネット222bと、を有する。モータシャフト221は、ケース本体211の内部に収容される。モータシャフト221は、モータ軸線J3を中心として回転可能である。モータシャフト221は、第1軸受257と第2軸受258とによって、モータ軸線J3回りに回転可能に支持される。すなわち、第1軸受257および第2軸受258のそれぞれは、モータシャフト221と出力シャフト241のうち一方のシャフトであるモータシャフト221を回転可能に支持する。本実施形態において、一方のシャフトは、モータシャフト221である。
【0072】
モータシャフト221は、モータ軸線J3に対して偏心した偏心軸線J4を中心とする偏心軸部221aを有する。偏心軸線J4は、モータ軸線J3と平行である。偏心軸部221aは、ロータコア222aよりも下側に位置する。偏心軸部221aには、第3軸受255の内輪部が嵌め合わされている。モータシャフト221は、第3軸受255を介して、伝達機構230に連結される。
【0073】
ステータ223は、ロータ222と径方向に対向する。ステータ223は、ケース筒部212aの内周面に固定される。これにより、ステータ223は、モータケース212に保持される。ステータ223のその他の構成等は、上述の第1実施形態のステータ22の構成と同一である。
【0074】
伝達機構230は、ステータ223の下側に配置され、モータシャフト221および出力シャフト241に連結される。伝達機構230は、外歯ギヤ231と、内歯ギヤ233と、フランジ部242と、を有する。外歯ギヤ231は、偏心軸部221aに第3軸受255を介して連結される。外歯ギヤ231には、複数の貫通孔部231aが設けられる。内歯ギヤ233は、筒部213bの内周面に固定される。フランジ部242は、出力シャフト241に固定される。フランジ部242には、複数の突出部243が設けられる。複数の突出部243は、フランジ部242から上側に延び、外歯ギヤ231の複数の貫通孔部231aのそれぞれに挿入される。外歯ギヤ231、内歯ギヤ233、およびフランジ部242それぞれのその他の構成等は、上述の第1実施形態の外歯ギヤ31、内歯ギヤ32、フランジ部42それぞれのその他の構成等と同一である。
【0075】
出力シャフト241は、伝達機構230の下側に配置される。出力シャフト241は、軸方向に延びる。出力シャフト241は、ケース本体211の内部に収容される。出力シャフト241は、モータシャフト221の下側に配置される。つまり、モータシャフト221は、出力シャフト241の上側、すなわち軸方向他方側に配置される。出力シャフト241は、伝達機構230を介してモータシャフト221の回転が減速して伝達される。これにより、出力シャフト241は、モータ軸線J3回りに回転可能である。出力シャフト241は、第1保持部241aと、出力軸部241bと、を有する。すなわち、電動アクチュエータ201は、第1保持部241aを備える。
【0076】
第1保持部241aは、第1軸受257を保持する。第1保持部241aは、フランジ部242に連結される。第1保持部241aは、モータ軸線J3を中心として軸方向に延びる筒状である。第1保持部241aは、フランジ部242の径方向内縁から下側に延びている。第1保持部241aは、底部を有し、上側に開口する。第1保持部241aは、円筒状のカップ部材216および円筒状の第4軸受256を介して、底壁部213aによって下側から支持される。これにより、ケース本体211に対する出力シャフト241の軸方向の位置が決まる。また、第1保持部241aは、カップ部材216および第4軸受256を介して、突出筒部213cによって径方向外側から支持される。これにより、ケース本体211に対する出力シャフト241の径方向の位置が決まる。第1保持部241aは、第1軸受257を径方向外側から支持する。
図6に示すように、第1保持部241aは、第1支持部241dを有する。
【0077】
第1支持部241dは、第1保持部241aの内周面の下端側の部分から径方向内側に突出する。第1支持部241dは、モータ軸線J3を中心とする円環状である。第1支持部241dは、第1軸受257よりも下側に位置する。第1支持部241dは、第1支持面241eを有する。第1支持面241eは、第1支持部241dの外側面のうち上側を向く面である。第1支持面241eは、第1軸受257と軸方向に接触する。これにより、第1支持部241dは、第1軸受257を下側から支持する。
【0078】
図5に示すように、出力軸部241bは、第1保持部241aから下側に延びる柱状である。出力軸部241bは、モータ軸線J3を中心とする円柱状である。出力軸部241bの下側の部分は、突出筒部213cを軸方向に通され、ケース210の外部に位置する。本実施形態におけるモータシャフト221の回転が伝達機構230によって出力シャフト241に減速して伝達される回転伝達構成は、上述の第1実施形態の回転伝達構成と同様である。
【0079】
制御基板280は、モータ軸線J3と直交する方向に広がる板状である。制御基板280は、モータシャフト221よりも上側に配置される。制御基板280は、モータケース212の内部に収容される。図示は省略するが、制御基板280は、ステータ223が有する複数のコイル部と電気的に接続される。制御基板280のその他の構成等は、上述の第1実施形態の制御基板80のその他の構成等と同一である。
【0080】
第2保持部250は、ケース本体211の壁部212bに固定される。本実施形態において、第2保持部250は、金属製である。第2保持部250は、樹脂製であってもよい。
図7に示すように、第2保持部250は、取付部250aと、弾性変形部250cと、を有する。
【0081】
取付部250aは、第2保持部250のうちケース本体211に固定される部分である。取付部250aは、モータ軸線J3を囲む円環板状である。取付部250aの板面は、軸方向を向く。取付部250aは、壁部212bよりも上側に配置される。取付部250aは、壁部212bと軸方向に接触する。取付部250aは、ボルトによって壁部212bに固定される。これにより、第2保持部250は、ケース本体211に固定される。
【0082】
弾性変形部250cは、モータ軸線J3を中心とする略円筒状である。弾性変形部250cは、上側に弾性変形して第2軸受258に下側を向く弾性力Feを加える。弾性変形部250cは、接続部250dと、保持部250eと、を有する。接続部250dは、モータ軸線J3を中心とする円環板状である。接続部250dの板面は、軸方向を向く。接続部250dの径方向外縁は、取付部250aの径方向内縁と繋がる。接続部250dの径方向内縁は、保持部250eと繋がる。接続部250dは、取付部250aと保持部250eとを繋ぐ。接続部250dの軸方向の寸法は、取付部250aの軸方向の寸法よりも小さい。
【0083】
保持部250eは、第2軸受258を保持する。これにより、第2保持部250は、第2軸受258を保持する。保持部250eは、モータ軸線J3を中心とし軸方向に突出する円筒状である。保持部250eは、軸方向の両側に開口する。保持部250eは、壁部212bの孔部212hを軸方向に通される。保持部250eの内周面は、第2軸受258を径方向外側から支持する。保持部250eは、第2支持部250fを有する。
【0084】
第2支持部250fは、保持部250eの内側面の上端から径方向内側に突出する。第2支持部250fは、モータ軸線J3を中心とする円環状である。第2支持部250fは、第2軸受258よりも上側に位置する。第2支持部250fは、第2支持面250gを有する。第2支持面250gは、第2支持部250fの外側面のうち下側を向く面である。第2支持面250gは、第2軸受258と軸方向に接触する。これにより、第2支持部250fは、第2軸受258を上側から支持する。
【0085】
上述のように、接続部250dの軸方向の寸法は、取付部250aの軸方向の寸法よりも小さい。そのため、接続部250dの軸方向の剛性を小さくし易い。すなわち、弾性変形部250cの軸方向の剛性を小さくし易い。また、上述のように、接続部250dの径方向外側の端部は、ケース本体211に固定される取付部250aと繋がっている。したがって、本実施形態では上述の第1実施形態と同様に、保持部250eに軸方向を向く力が加わると、接続部250dは、径方向外縁を固定端として、軸方向に弾性変形する。これにより、保持部250eは軸方向に移動する。
【0086】
図5に示すように、第1軸受257は、伝達機構230よりも下側に配置される。上述のように、第1軸受257は、ボールベアリングである。第1軸受257は、モータシャフト221の下側、すなわち軸方向一方側の部分を回転可能に支持する。
図6に示すように、第1軸受257は、第1内輪部257aと、第1外輪部257bと、複数の第1転動体257cと、第1保持器257dと、を有する。本実施形態の複数の第1転動体257cおよび第1保持器257dそれぞれの構成等は、上述の第1実施形態の複数の第1転動体51cおよび第1保持器51dそれぞれの構成等と同一である。
【0087】
第1内輪部257aは、モータ軸線J3を中心とする円環状である。第1内輪部257aは、モータシャフト221を囲む。本実施形態において、第1内輪部257aは、モータシャフト221に固定されている。
【0088】
第1外輪部257bは、モータ軸線J3を中心とする円環状である。第1外輪部257bは、第1内輪部257aを径方向外側から囲む。第1外輪部257bは、第1内輪部257aと径方向に対向して配置される。本実施形態において、第1外輪部257bは、出力シャフト241の第1保持部241aの内周面に隙間嵌めされている。これにより、第1外輪部257bは、第1保持部241aによって径方向外側から支持される。第1外輪部257bの下側を向く面は、第1保持部241aの第1支持面241eと軸方向に接触する。よって、第1外輪部257bは、第1保持部241aによって下側、すなわち軸方向一方側から支持される。そのため、出力シャフト241に対する第1軸受257の軸方向の位置が決まる。また、上述のように、モータシャフト221は、第1内輪部257aと固定されている。よって、第1軸受257を介して、出力シャフト241に対するモータシャフト221の軸方向の位置が決まる。また、上述のように、カップ部材216および第4軸受256を介して、ケース本体211に対する出力シャフト241の軸方向の位置が決まる。したがって、第1軸受257、出力シャフト241、カップ部材216および第4軸受256を介して、ケース本体211に対するモータシャフト221の軸方向の位置が決まる。
【0089】
図5に示すように、第2軸受258は、ロータコア222aよりも上側に配置される。上述のように、第2軸受258は、ボールベアリングである。第2軸受258は、モータシャフト221の上側、すなわち軸方向他方側の部分を回転可能に支持する。
図7に示すように、第2軸受258は、第2内輪部258aと、第2外輪部258bと、複数の第2転動体258cと、第2保持器258dと、を有する。本実施形態の複数の第2転動体258cおよび第2保持器258dそれぞれの構成等は、上述の第1実施形態の複数の第2転動体52cおよび第2保持器52dそれぞれの構成等と同一である。
【0090】
第2内輪部258aは、モータ軸線J3を中心とする円環状である。第2内輪部258aは、モータシャフト221を囲む。本実施形態において、第2内輪部258aは、モータシャフト221に固定されている。
【0091】
第2外輪部258bは、モータ軸線J3を中心とする円環状である。第2外輪部258bは、第2内輪部258aを径方向外側から囲む。第2外輪部258bは、第2内輪部258aと径方向に対向して配置される。本実施形態において、第2外輪部258bは、保持部250eの内周面に隙間嵌めされている。これにより、第2外輪部258bは、第2保持部250によって径方向外側から支持される。第2外輪部258bの上側を向く面は、第2保持部250の第2支持面250gと軸方向に接触する。これにより、第2外輪部258bは、第2保持部250によって上側、すなわち軸方向他方側から支持される。
【0092】
本実施形態では、上述の第1実施形態と同様に、少なくともモータシャフト221、出力シャフト241、第1軸受257、および第2軸受258が取り付けられたケース本体211に第2保持部250を固定すると、保持部250eには第2軸受258から上側を向く力が加わる。これにより、弾性変形部250cの接続部250dが上側、すなわち軸方向他方側に弾性変形し、保持部250eが上側に移動する。よって、上述の第1実施形態と同様に、第2軸受258の第2外輪部258bには弾性変形部250cから下側を向く弾性力Feが加わる。つまり、弾性変形部250cは、第2外輪部258bに下側、すなわち軸方向一方側を向く力を加える。これにより、第2外輪部258bは、第2保持部250よって上側から安定して支持される。また、第2軸受258はモータシャフト221に固定されているため、第2軸受258を介して、モータシャフト221に弾性力Feが加わる。これにより、弾性変形部250cの弾性力Feによって、モータシャフト221を下側に押すことができる。また、上述のように、第1軸受257はモータシャフト221に固定されているため、モータシャフト221を介して、第1軸受257に弾性力Feが加わる。そのため、
図6に示すように、第1外輪部257bは、第1保持部241aによって下側から安定して支持される。これらにより、第1軸受257および第2軸受258を介して、モータシャフト221と、第1保持部241aおよび第2保持部250とを安定して軸方向に接触させることができる。したがって、ケース本体211に対するモータシャフト221の軸方向の位置を精度よく決めることができる。
【0093】
本実施形態によれば、モータシャフト221は、出力シャフト241の上側、すなわち軸方向他方側に配置され、出力シャフト241は、モータ軸線J3を中心に回転可能であり、一方のシャフトは、モータシャフト221であり、出力シャフト241は、第1保持部241aを有する。よって、モータシャフト221と出力シャフト241とを軸方向に並べて配置できるため、電動アクチュエータ201が径方向に大型化することを抑制できる。
【0094】
また、本実施形態では、出力シャフト241が第1保持部241aを有するため、出力シャフト241とは別個に第1軸受257を保持する部材を有する構成と比較して、電動アクチュエータ201の部品点数が増大することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ201の製造コストが増大することをより好適に抑制できる。
【0095】
また、本実施形態では、第1軸受257は、モータシャフト221に固定される第1内輪部257aと、第1保持部241aによって下側から支持される第1外輪部257bと、を有し、第2軸受258は、モータシャフト221に固定される第2内輪部258aと、第2保持部250によって上側から支持される第2外輪部258bと、を有する。第2保持部250は、上側に弾性変形して第2外輪部258bに下側を向く力を加える弾性変形部250cを有する。そのため、上述の第1実施形態と同様に、弾性変形部250cによって、第2軸受258を介してモータシャフト221に下側を向く弾性力Feを加えることができる。これにより、上述のように、第1保持部241aおよび第2保持部250に対するモータシャフト221の軸方向の位置を精度よく決めることができるため、モータシャフト221が軸方向にがたつくことを抑制できる。したがって、本実施形態では、モータシャフト221に対して軸方向に弾性力を与えるウェーブワッシャおよびシムリング等の弾性部材を別途設ける必要が無い。よって、上述の第1実施形態と同様に、電動アクチュエータ201の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。これにより、電動アクチュエータ201の製造コストが増大することを抑制できる。
【0096】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0097】
電動アクチュエータの構成は本実施形態に限定されず、例えば、モータシャフトと出力シャフトとは径方向に並んで配置されてもよい。この場合、モータシャフトおよび出力シャフトのいずれか一方のみが、第1保持部に保持される第1軸受、および第2保持部に保持される第2軸受によって回転可能に支持されてもよいし、両方のシャフトが第1保持部に保持される第1軸受、および第2保持部に保持される第2軸受によって回転可能に支持されてもよい。また、モータシャフトおよび出力シャフト以外のシャフトが第1保持部に保持される第1軸受、および第2保持部に保持される第2軸受によって回転可能に支持されてもよい。
【0098】
伝達機構の構成は、本実施形態に限定されず、例えば、複数の突出部は外歯ギヤに設けられ、複数の貫通孔部は出力フランジ部に設けられてもよい。この場合、複数の突出部のそれぞれは、外歯ギヤから出力フランジ部に向かって、すなわち下側に向かって突出し、貫通孔部に挿入される。また、伝達機構に設けられる突出部の個数および貫通孔部の個数は、それぞれ、7個以下であってもよいし、9個以上であってもよい。
【0099】
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0100】
1,201…電動アクチュエータ、11,211…ケース本体、11f,241a…第1保持部、11m…開口部、12,250…第2保持部、12a,250a…取付部、12d,250c…弾性変形部、12e,250d…接続部、12g,250e…保持部、20,220…モータ、23,221…モータシャフト、46,241…出力シャフト、51,257…第1軸受、51a,257a…第1内輪部、51b,257b…第1外輪部、51c,257c…第1転動体、52,258…第2軸受、52a,258a…第2内輪部、52b,258b…第2外輪部、52c,258c…第2転動体、J1,J3…モータ軸線、J2,J4…偏心軸線