(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142376
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】重合性組成物、共重合体、共重合体の製造方法及び共重合体製造用キット
(51)【国際特許分類】
C08G 63/66 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
C08G63/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054494
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(71)【出願人】
【識別番号】000157603
【氏名又は名称】丸善石油化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉原 伸治
(72)【発明者】
【氏名】杉山 征樹
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA01
4J029AB01
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AE11
4J029AE18
4J029HE06
4J029JB142
4J029JB232
4J029KB03
4J029KB05
4J029KD02
4J029KE08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】温度応答性ポリマー、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを簡便に作り分けできる新たな技術を提供すること。
【解決手段】式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーを含有する重合性組成物。(式中、R
1、R
2は、炭素数1~5のアルカンジイル基。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のモノマー(A-1)及び(B-1)を含有する重合性組成物。
(A-1)下記式(1-1)で表されるモノマー
(B-1)下記式(2-1)で表されるモノマー
【化1】
〔式(1-1)中、
R
1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、
nは、1~10の整数を示す。〕
【化2】
〔式(2-1)中、R
2は、炭素数1~5の直鎖状のアルカンジイル基を示す。〕
【請求項2】
前記式(2-1)で表されるモノマーが、2-メチレン-1,3-ジオキセパンである、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
R1が、炭素数2又は3のアルカンジイル基であり、nが、1~4の整数である、請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項4】
nが1である、請求項3に記載の重合性組成物。
【請求項5】
以下の構造単位(A-2)及び(B-2)を有する、共重合体。
(A-2)下記式(1-2)で表される構造単位
(B-2)下記式(2-2)で表される構造単位
【化3】
〔式(1-2)中、
R
1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、
nは、1~10の整数を示す。〕
【化4】
〔式(2-2)中、R
2は、炭素数1~5の直鎖状のアルカンジイル基を示す。〕
【請求項6】
以下のモノマー(A-1)と以下のモノマー(B-1)とを重合させる重合工程を含む、共重合体の製造方法。
(A-1)下記式(1-1)で表されるモノマー
(B-1)下記式(2-1)で表されるモノマー
【化5】
〔式(1-1)中、
R
1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、
nは、1~10の整数を示す。〕
【化6】
〔式(2-1)中、R
2は、炭素数1~5の直鎖状のアルカンジイル基を示す。〕
【請求項7】
以下の重合性組成物(α-1)、(β-1)及び(γ-1)を備える、共重合体製造用キット。
(α-1)下記式(1-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して58モル部超100モル部未満と下記式(2-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して0モル部超42モル部未満とを含有する重合性組成物
(β-1)下記式(1-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して43モル部以上58モル部以下と下記式(2-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して42モル部以上57モル部以下とを含有する重合性組成物
(γ-1)下記式(1-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して0モル部超43モル部未満と下記式(2-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して57モル部超100モル部未満とを含有する重合性組成物
【化7】
〔式(1-1)中、
R
1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、
nは、1を示す。〕
【化8】
〔式(2-1)中、R
2は、炭素数1~5の直鎖状のアルカンジイル基を示す。〕
【請求項8】
以下の重合性組成物(α-2)、(β-2)及び(γ-2)を備える、共重合体製造用キット。
(α-2)下記式(1-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して43モル部超100モル部未満と下記式(2-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して0モル部超57モル部未満とを含有する重合性組成物
(β-2)下記式(1-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して28モル部以上43モル部以下と下記式(2-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して57モル部以上72モル部以下とを含有する重合性組成物
(γ-2)下記式(1-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して0モル部超28モル部未満と下記式(2-1)で表されるモノマー:式(1-1)で表されるモノマー及び式(2-1)で表されるモノマーの合計100モル部に対して72モル部超100モル部未満とを含有する重合性組成物
【化9】
〔式(1-1)中、
R
1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、
nは、2を示す。〕
【化10】
〔式(2-1)中、R
2は、炭素数1~5の直鎖状のアルカンジイル基を示す。〕
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性組成物、共重合体、共重合体の製造方法及び共重合体製造用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
熱に感応して相転移現象を示すポリマーを温度応答性ポリマーといい、薬物運搬体、創傷被覆材、人工筋肉、マイクロカプセル、バイオマシン、バイオセンサー、分離膜等への利用が期待されている。
このような温度応答性ポリマーとして、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル又はジエチレングリコールモノビニルエーテルとともに酢酸ビニルを重合させたランダム共重合体が知られている(特許文献1)。
【0003】
一方、機能性ビニルエーテル誘導体としてエチルビニルエーテルやテトラエチレングリコールメチルビニルエーテルが知られており、これらとともに2-メチレン-1,3-ジオキセパンを重合させた共重合体が報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Angew.Chem.Int.Ed.2017,56,p16515-16520
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載のテトラエチレングリコールメチルビニルエーテルと2-メチレン-1,3-ジオキセパンとの組み合わせについて本発明者らが検討したところ、テトラエチレングリコールメチルビニルエーテルと2-メチレン-1,3-ジオキセパンとの仕込み量のモル比を1:4とした場合及び4:1とした場合のいずれについても、得られるものは疎水性共重合体であり、上記のようにしてモル比を大きく変更しても温度応答性を示すものは得られなかった。
【0007】
一方、化粧品用添加剤、耐候性塗料、乳化重合用乳化剤として利用する添加剤には、温度応答性ポリマーでなく、界面活性剤として働く親水性ポリマーや疎水性ポリマーが必要となることがあった。
そこで、本発明者らは、モノマー2種類の組み合わせからモル比を変更するのみで、温度応答性ポリマー、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーという性質の異なる3種類のポリマーを作り分けようとするに至ったが、ビニルエーテルモノマーの重合性とこのビニルエーテルモノマーと共重合させるモノマーの重合性に差がある場合やこれら2種類のモノマーの親疎水性の高さに差がある場合などには、2種類のモノマーのモル比を変更していってもそもそも温度応答性が得られないなどといったことがあり(特許文献1等)、3種類のポリマーの作り分けは困難であった。
本発明の課題は、温度応答性ポリマー、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを簡便に作り分けできる新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、ヒドロキシ基を含有する特定のビニルエーテル系モノマーと特定の環状モノマーが、それぞれホモポリマーとした場合には温度応答性が得られないにも拘らず、これら2種類のモノマーの組み合わせを用いることによって、温度応答性ポリマー、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを簡便に作り分けできることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の<1>~<8>を提供するものである。
<1> 以下のモノマー(A-1)及び(B-1)を含有する重合性組成物(以下、「本発明の重合性組成物」とも称する)。
(A-1)下記式(1-1)で表されるモノマー(以下、「モノマー(1-1)」とも称する)
(B-1)下記式(2-1)で表されるモノマー(以下、「モノマー(2-1)」とも称する)
【0010】
【0011】
〔式(1-1)中、
R1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、
nは、1~10の整数を示す。〕
【0012】
【0013】
〔式(2-1)中、R2は、炭素数1~5の直鎖状のアルカンジイル基を示す。〕
【0014】
<2> モノマー(2-1)が、2-メチレン-1,3-ジオキセパンである、<1>に記載の重合性組成物。
<3> R1が、炭素数2又は3のアルカンジイル基であり、nが、1~4の整数である、<1>又は<2>に記載の重合性組成物。
<4> nが1である、<3>に記載の重合性組成物。
【0015】
<5> 以下の構造単位(A-2)及び(B-2)を有する、共重合体(以下、「本発明の共重合体」とも称する)。
(A-2)下記式(1-2)で表される構造単位(以下、「構造単位(1-2)」とも称する)
(B-2)下記式(2-2)で表される構造単位(以下、「構造単位(2-2)」とも称する)
【0016】
【0017】
〔式(1-2)中、
R1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、
nは、1~10の整数を示す。〕
【0018】
【0019】
〔式(2-2)中、R2は、炭素数1~5の直鎖状のアルカンジイル基を示す。〕
【0020】
<6> 以下のモノマー(A-1)と以下のモノマー(B-1)とを重合させる重合工程を含む、共重合体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも称する)。
(A-1)モノマー(1-1)
(B-1)モノマー(2-1)
【0021】
<7> 以下の重合性組成物(α-1)、(β-1)及び(γ-1)を備え、且つnが1である、共重合体製造用キット。
(α-1)モノマー(1-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して58モル部超100モル部未満とモノマー(2-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して0モル部超42モル部未満とを含有する重合性組成物
(β-1)モノマー(1-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して43モル部以上58モル部以下とモノマー(2-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して42モル部以上57モル部以下とを含有する重合性組成物
(γ-1)モノマー(1-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して0モル部超43モル部未満とモノマー(2-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して57モル部超100モル部未満とを含有する重合性組成物
【0022】
<8> 以下の重合性組成物(α-2)、(β-2)及び(γ-2)を備え、且つnが2である、共重合体製造用キット(<7>に記載のキットと<8>に記載のキットをあわせて本発明のキットと総称する)。
(α-2)モノマー(1-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して43モル部超100モル部未満とモノマー(2-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して0モル部超57モル部未満とを含有する重合性組成物
(β-2)モノマー(1-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して28モル部以上43モル部以下とモノマー(2-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して57モル部以上72モル部以下とを含有する重合性組成物
(γ-2)モノマー(1-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して0モル部超28モル部未満とモノマー(2-1):モノマー(1-1)及びモノマー(2-1)の合計100モル部に対して72モル部超100モル部未満とを含有する重合性組成物
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、温度応答性ポリマー、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを簡便に作り分けできる。また、作り分けされた各ポリマーは、細胞毒性が低く、アルカリ分解性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施例1で得られた共重合体(HEVE/MDO=5.00/5.00)の
1H NMRスペクトルを示す図。
【
図2】実施例1で得られた共重合体(HEVE/MDO=7.00/3.00)のアルカリ分解性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔重合性組成物〕
本発明の重合性組成物は、以下のモノマー(A-1)及び(B-1)を含有するものである。
(A-1)下記式(1-1)で表されるモノマー
(B-1)下記式(2-1)で表されるモノマー
【0026】
【0027】
〔式(1-1)中、
R1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示し、
nは、1~10の整数を示す。〕
【0028】
【0029】
〔式(2-1)中、R2は、炭素数1~5の直鎖状のアルカンジイル基を示す。〕
【0030】
(モノマー(A-1))
モノマー(A-1)は、上記式(1-1)で表されるヒドロキシ基含有モノマーである。モノマー(A-1)は親水性を有する。
式(1-1)中、R1は、炭素数1~5のアルカンジイル基を示す。
R1で示されるアルカンジイル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。R1で示されるアルカンジイル基の炭素数は、本発明の所望の効果を高める観点から、好ましくは1~4であり、より好ましくは2又は3である。
R1で示されるアルカンジイル基としては、例えば、メタン-1,1-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基等が挙げられる。
これらの中でも、R1で示されるアルカンジイル基としては、本発明の所望の効果を高める観点から、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基が好ましく、エタン-1,2-ジイル基がより好ましい。
【0031】
式(1-1)中、nは、1~10の整数を示すが、本発明の所望の効果を高める観点から、1~6の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましく、1又は2が更に好ましく、1が特に好ましい。なお、nが2~10の整数の場合、n個のR1は同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
モノマー(A-1)としては、具体的には、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、1-ヒドロキシプロパン-2-イルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。なお、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、モノマー(A-1)としては、本発明の所望の効果を高める観点から、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルが好ましく、2-ヒドロキシエチルビニルエーテルが特に好ましい。
【0033】
モノマー(A-1)の含有量は、モノマー種や所望のポリマーの性質に応じて適宜設定すればよい。式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは58モル%超、より好ましくは59モル%以上、特に好ましくは60モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは100モル%未満、より好ましくは98モル%以下、更に好ましくは95モル%以下、特に好ましくは92モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、58モル%超100モル%未満が好ましく、59モル%以上98モル%以下がより好ましく、59モル%以上95モル%以下が更に好ましく、60モル%以上92モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(α-1)中のモノマー(A-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0034】
モノマー(A-1)の含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは43モル%超、より好ましくは44モル%以上、特に好ましくは45モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは100モル%未満、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下、特に好ましくは85モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、43モル%超100モル%未満が好ましく、44モル%以上95モル%以下がより好ましく、44モル%以上90モル%以下が更に好ましく、45モル%以上85モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(α-2)中のモノマー(A-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0035】
また、モノマー(A-1)の含有量は、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは43モル%以上、より好ましくは44モル%以上、特に好ましくは45モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは58モル%以下、より好ましくは56.5モル%以下、特に好ましくは55モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、43モル%以上58モル%以下が好ましく、44モル%以上56.5モル%以下がより好ましく、45モル%以上55モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(β-1)中のモノマー(A-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0036】
また、モノマー(A-1)の含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは28モル%以上、より好ましくは32モル%以上、特に好ましくは35モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは43モル%以下、より好ましくは41モル%以下、特に好ましくは40モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、28モル%以上43モル%以下が好ましく、32モル%以上41モル%以下がより好ましく、35モル%以上40モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(β-2)中のモノマー(A-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0037】
また、モノマー(A-1)の含有量は、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは0モル%超、より好ましくは0.5モル%以上、特に好ましくは1モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは43モル%未満、より好ましくは41.5モル%以下、特に好ましくは40モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、0モル%超43モル%未満が好ましく、0.5モル%以上41.5モル%以下がより好ましく、1モル%以上40モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(γ-1)中のモノマー(A-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0038】
また、モノマー(A-1)の含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは0モル%超、より好ましくは1モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは28モル%未満、より好ましくは24モル%以下、特に好ましくは20モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、0モル%超28モル%未満が好ましく、1モル%以上24モル%以下がより好ましく、5モル%以上20モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(γ-2)中のモノマー(A-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0039】
モノマー(A-1)の含有割合は、モノマー種や所望のポリマーの性質に応じて適宜設定すればよい。式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは58モル部超、より好ましくは59モル部以上、特に好ましくは60モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは100モル部未満、より好ましくは98モル部以下、更に好ましくは95モル部以下、特に好ましくは92モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、58モル部超100モル部未満が好ましく、59モル部以上98モル部以下がより好ましく、59モル部以上95モル部以下が更に好ましく、60モル部以上92モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(α-1)中のモノマー(A-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0040】
モノマー(A-1)の含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは43モル部超、より好ましくは44モル部以上、特に好ましくは45モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは100モル部未満、より好ましくは95モル部以下、更に好ましくは90モル部以下、特に好ましくは85モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、43モル部超100モル部未満が好ましく、44モル部以上95モル部以下がより好ましく、44モル部以上90モル部以下が更に好ましく、45モル部以上85モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(α-2)中のモノマー(A-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0041】
モノマー(A-1)の含有割合は、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは43モル部以上、より好ましくは44モル部以上、特に好ましくは45モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは58モル部以下、より好ましくは56.5モル部以下、特に好ましくは55モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、43モル部以上58モル部以下が好ましく、44モル部以上56.5モル部以下がより好ましく、45モル部以上55モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(β-1)中のモノマー(A-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0042】
モノマー(A-1)の含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは28モル部以上、より好ましくは32モル部以上、特に好ましくは35モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは43モル部以下、より好ましくは41モル部以下、特に好ましくは40モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、28モル部以上43モル部以下が好ましく、32モル部以上41モル部以下がより好ましく、35モル部以上40モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(β-2)中のモノマー(A-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0043】
モノマー(A-1)の含有割合は、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは0モル部超、より好ましくは0.5モル部以上、特に好ましくは1モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは43モル部未満、より好ましくは41.5モル部以下、特に好ましくは40モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、0モル部超43モル部未満が好ましく、0.5モル部以上41.5モル部以下がより好ましく、1モル部以上40モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(γ-1)中のモノマー(A-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0044】
モノマー(A-1)の含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは0モル部超、より好ましくは1モル部以上、特に好ましくは5モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは28モル部未満、より好ましくは24モル部以下、特に好ましくは20モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、0モル部超28モル部未満が好ましく、1モル部以上24モル部以下がより好ましく、5モル部以上20モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(γ-2)中のモノマー(A-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0045】
(モノマー(B-1))
モノマー(B-1)は、上記式(2-1)で表される環状モノマーである。
式(2-1)中、R2は、炭素数1~5の直鎖状のアルカンジイル基を示す。
R2で示される直鎖アルカンジイル基の炭素数は、本発明の所望の効果を高める観点から、好ましくは2~5であり、より好ましくは3又は4である。
R2で示される直鎖アルカンジイル基としては、例えば、メタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基が挙げられる。
これらの中でも、R2で示される直鎖アルカンジイル基としては、本発明の所望の効果を高める観点から、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基が好ましく、ブタン-1,4-ジイル基がより好ましい。
【0046】
モノマー(B-1)としては、具体的には、2-メチレン-1,3-ジオキソラン、2-メチレン-1,3-ジオキサン、2-メチレン-1,3-ジオキセパン、2-メチレン-1,3-ジオキソカン等が挙げられる。なお、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、モノマー(B-1)としては、本発明の所望の効果を高める観点から、2-メチレン-1,3-ジオキサン、2-メチレン-1,3-ジオキセパンが好ましく、2-メチレン-1,3-ジオキセパンがより好ましい。
【0047】
モノマー(B-1)の含有量は、モノマー種や所望のポリマーの性質に応じて適宜設定すればよい。式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは0モル%超、より好ましくは2モル%以上、更に好ましくは5モル%以上、特に好ましくは8モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは42モル%未満、より好ましくは41モル%以下、特に好ましくは40モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、0モル%超42モル%未満が好ましく、2モル%以上41モル%以下がより好ましく、5モル%以上41モル%以下が更に好ましく、8モル%以上40モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(α-1)中のモノマー(B-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0048】
モノマー(B-1)の含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは0モル%超、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、特に好ましくは15モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは57モル%未満、より好ましくは56モル%以下、特に好ましくは55モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、0モル%超57モル%未満が好ましく、5モル%以上56モル%以下がより好ましく、10モル%以上56モル%以下が更に好ましく、15モル%以上55モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(α-2)中のモノマー(B-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0049】
また、モノマー(B-1)の含有量は、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは42モル%以上、より好ましくは43.5モル%以上、特に好ましくは45モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは57モル%以下、より好ましくは56モル%以下、特に好ましくは55モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、42モル%以上57モル%以下が好ましく、43.5モル%以上56モル%以下がより好ましく、45モル%以上55モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(β-1)中のモノマー(B-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0050】
また、モノマー(B-1)の含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは57モル%以上、より好ましくは58モル%以上、特に好ましくは60モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは72モル%以下、より好ましくは68モル%以下、特に好ましくは65モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、57モル%以上72モル%以下が好ましく、58モル%以上68モル%以下がより好ましく、60モル%以上65モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(β-2)中のモノマー(B-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0051】
また、モノマー(B-1)の含有量は、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは57モル%超、より好ましくは58.5モル%以上、特に好ましくは57モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは100モル%未満、より好ましくは99.5モル%以下、特に好ましくは99モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、57モル%超100モル%未満が好ましく、58.5モル%以上99.5モル%以下がより好ましく、57モル%以上99モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(γ-1)中のモノマー(B-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0052】
また、モノマー(B-1)の含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは72モル%超、より好ましくは76モル%以上、特に好ましくは80モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、好ましくは100モル%未満、より好ましくは99モル%以下、特に好ましくは95モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー全量中、72モル%超100モル%未満が好ましく、76モル%以上99モル%以下がより好ましく、80モル%以上95モル%以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(γ-2)中のモノマー(B-1)の含有量についても同様の範囲が好ましい。
【0053】
モノマー(B-1)の含有割合は、モノマー種や所望のポリマーの性質に応じて適宜設定すればよい。式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは0モル部超、より好ましくは2モル部以上、更に好ましくは5モル部以上、特に好ましくは8モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは42モル部未満、より好ましくは41モル部以下、特に好ましくは40モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、0モル部超42モル部未満が好ましく、2モル部以上41モル部以下がより好ましく、5モル部以上41モル部以下が更に好ましく、8モル部以上40モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(α-1)中のモノマー(B-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0054】
モノマー(B-1)の含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは0モル部超、より好ましくは5モル部以上、更に好ましくは10モル部以上、特に好ましくは15モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは57モル部未満、より好ましくは56モル部以下、特に好ましくは55モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、0モル部超57モル部未満が好ましく、5モル部以上56モル部以下がより好ましく、10モル部以上56モル部以下が更に好ましく、15モル部以上55モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(α-2)中のモノマー(B-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0055】
モノマー(B-1)の含有割合は、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは42モル部以上、より好ましくは43.5モル部以上、特に好ましくは45モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは57モル部以下、より好ましくは56モル部以下、特に好ましくは55モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、42モル部以上57モル部以下が好ましく、43.5モル部以上56モル部以下がより好ましく、45モル部以上55モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(β-1)中のモノマー(B-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0056】
モノマー(B-1)の含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは57モル部以上、より好ましくは58モル部以上、特に好ましくは60モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは72モル部以下、より好ましくは68モル部以下、特に好ましくは65モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、57モル部以上72モル部以下が好ましく、58モル部以上68モル部以下がより好ましく、60モル部以上65モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(β-2)中のモノマー(B-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0057】
モノマー(B-1)の含有割合は、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは57モル部超、より好ましくは58.5モル部以上、特に好ましくは57モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは100モル部未満、より好ましくは99.5モル部以下、特に好ましくは99モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、57モル部超100モル部未満が好ましく、58.5モル部以上99.5モル部以下がより好ましく、57モル部以上99モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(γ-1)中のモノマー(B-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0058】
モノマー(B-1)の含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは72モル部超、より好ましくは76モル部以上、特に好ましくは80モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、好ましくは100モル部未満、より好ましくは99モル部以下、特に好ましくは95モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーを得る場合には、モノマー(A-1)及びモノマー(B-1)の合計100モル部に対して、72モル部超100モル部未満が好ましく、76モル部以上99モル部以下がより好ましく、80モル部以上95モル部以下が特に好ましい。また、本発明のキットが備える重合性組成物(γ-2)中のモノマー(B-1)の含有割合についても同様の範囲が好ましい。
【0059】
本発明の重合性組成物は、上記モノマー(A-1)及び(B-1)の他に、更にラジカル重合開始剤及び溶媒から選ばれる1種又は2種以上の成分を含有していてもよい。
【0060】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)二水和物、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミド)四水和物、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン]二塩酸塩等のアゾ系重合開始剤;t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシ酢酸t-ブチル、ペルオキシ安息香酸t-ブチル、ペルオキシオクタン酸t-ブチル、ペルオキシネオデカン酸t-ブチル、ペルオキシイソ酪酸t-ブチル、過酸化ラウロイル、ペルオキシピバリン酸t-アミル、ペルオキシピバリン酸t-ブチル、過酸化ジクミル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。なお、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
モノマー(A-1)及び(B-1)の合計に対するラジカル重合開始剤の含有量のモル比〔(ラジカル重合開始剤)/((A-1)+(B-1))〕としては、重合反応制御の観点から、0.0001以上5以下が好ましく、0.0005以上2.5以下がより好ましく、0.001以上1以下が特に好ましい。
【0062】
溶媒としては、例えば、水等の水系溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシブタノール等のグリコールモノエーテル系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のグリコールモノエーテルエステル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアルキルエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒が挙げられる。なお、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
モノマー(A-1)及び(B-1)の合計に対する溶媒の含有質量比〔(溶媒)/((A-1)+(B-1))〕としては、反応効率、重合反応制御等の観点から、通常0以上50以下であり、0以上25以下が好ましく、0以上10以下がより好ましい。
【0064】
そして、本発明の重合性組成物を用いることにより、温度応答性ポリマー、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを簡便に作り分けできる。また、作り分けされた各ポリマーは細胞毒性が低く且つアルカリ分解性を有する。なお、モノマー(A-1)とモノマー(B-1)の組み合わせによって温度応答性ポリマー、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを作り分けできる理由は必ずしも明らかではないが、モノマー(A-1)の重合性とモノマー(B-1)の重合性の差が小さく且つモノマー(A-1)の親水性の強さとモノマー(B-1)の疎水性の強さのバランスが良好なためと、本発明者らは推察する。
【0065】
〔共重合体〕
本発明の共重合体は、以下の構造単位(A-2)及び(B-2)を有するものである。
(A-2)下記式(1-2)で表される構造単位
(B-2)下記式(2-2)で表される構造単位
【0066】
【0067】
〔式(1-2)中の各記号は前記と同義である。〕
【0068】
【0069】
〔式(2-2)中の各記号は前記と同義である。〕
【0070】
構造単位(A-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは80モル%超、より好ましくは81.5モル%以上、特に好ましくは83モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは100モル%未満、より好ましくは97.5モル%以下、特に好ましくは95モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、80モル%超100モル%未満が好ましく、81.5モル%以上97.5モル%以下がより好ましく、83モル%以上95モル%以下が特に好ましい。
【0071】
構造単位(A-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは66.5モル%超、より好ましくは67モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは100モル%未満、より好ましくは97.5モル%以下、特に好ましくは95モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、66.5モル%超100モル%未満が好ましく、67モル%以上97.5モル%以下がより好ましく、67モル%以上95モル%以下が特に好ましい。
【0072】
構造単位(A-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは71モル%以上、特に好ましくは72モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは80モル%以下、より好ましくは78.5モル%以下、特に好ましくは77モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、71モル%以上80モル%以下が好ましく、71モル%以上78.5モル%以下がより好ましく、72モル%以上77モル%以下が特に好ましい。
【0073】
構造単位(A-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは60モル%以上、特に好ましくは62モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは66.5モル%以下、より好ましくは66モル%以下、特に好ましくは65.5モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、60モル%以上66.5モル%以下が好ましく、60モル%以上66モル%以下がより好ましく、62モル%以上65.5モル%以下が特に好ましい。
【0074】
構造単位(A-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは0モル%超、より好ましくは7.5モル%以上、特に好ましくは15モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは71モル%未満、特に好ましくは70モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、0モル%超71モル%未満が好ましく、7.5モル%以上71モル%未満がより好ましく、15モル%以上70モル%以下が特に好ましい。
【0075】
構造単位(A-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは0モル%超、より好ましくは7.5モル%以上、特に好ましくは15モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは60モル%未満、特に好ましくは58モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、0モル%超60モル%未満が好ましく、7.5モル%以上60モル%未満がより好ましく、15モル%以上58モル%以下が特に好ましい。
【0076】
構造単位(A-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは80モル部超、より好ましくは81.5モル部以上、特に好ましくは83モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは100モル部未満、より好ましくは97.5モル部以下、特に好ましくは95モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、80モル部超100モル部未満が好ましく、81.5モル部以上97.5モル部以下がより好ましく、83モル部以上95モル部以下が特に好ましい。
【0077】
構造単位(A-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは66.5モル部超、より好ましくは67モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは100モル部未満、より好ましくは97.5モル部以下、特に好ましくは95モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、66.5モル部超100モル部未満が好ましく、67モル部以上97.5モル部以下がより好ましく、67モル部以上95モル部以下が特に好ましい。
【0078】
構造単位(A-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは71モル部以上、特に好ましくは72モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは80モル部以下、より好ましくは78.5モル部以下、特に好ましくは77モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、71モル部以上80モル部以下が好ましく、71モル部以上78.5モル部以下がより好ましく、72モル部以上77モル部以下が特に好ましい。
【0079】
構造単位(A-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは60モル部以上、特に好ましくは62モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは66.5モル部以下、より好ましくは66モル部以下、特に好ましくは65.5モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、60モル部以上66.5モル部以下が好ましく、60モル部以上66モル部以下がより好ましく、62モル部以上65.5モル部以下が特に好ましい。
【0080】
構造単位(A-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは0モル部超、より好ましくは7.5モル部以上、特に好ましくは15モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは71モル部未満、特に好ましくは70モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、0モル部超71モル部未満が好ましく、7.5モル部以上71モル部未満がより好ましく、15モル部以上70モル部以下が特に好ましい。
【0081】
構造単位(A-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは0モル部超、より好ましくは7.5モル部以上、特に好ましくは15モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは60モル部未満、特に好ましくは58モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、0モル部超60モル部未満が好ましく、7.5モル部以上60モル部未満がより好ましく、15モル部以上58モル部以下が特に好ましい。
【0082】
構造単位(B-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは0モル%超、より好ましくは2.5モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは20モル%未満、より好ましくは18.5モル%以下、特に好ましくは17モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、0モル%超20モル%未満が好ましく、2.5モル%以上18.5モル%以下がより好ましく、5モル%以上17モル%以下が特に好ましい。
【0083】
構造単位(B-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは0モル%超、より好ましくは2.5モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは33.5モル%未満、より好ましくは33モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、0モル%超33.5モル%未満が好ましく、2.5モル%以上33モル%以下がより好ましく、5モル%以上33モル%以下が特に好ましい。
【0084】
構造単位(B-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは20モル%以上、より好ましくは21.5モル%以上、特に好ましくは23モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは29モル%以下、特に好ましくは28モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、20モル%以上29モル%以下が好ましく、21.5モル%以上29モル%以下がより好ましく、23モル%以上28モル%以下が特に好ましい。
【0085】
構造単位(B-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは33.5モル%以上、より好ましくは34モル%以上、特に好ましくは34.5モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは40モル%以下、特に好ましくは38モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、33.5モル%以上40モル%以下が好ましく、34モル%以上40モル%以下がより好ましく、34.5モル%以上38モル%以下が特に好ましい。
【0086】
構造単位(B-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは29モル%超、特に好ましくは30モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは100モル%未満、より好ましくは92.5モル%以下、特に好ましくは85モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、29モル%超100モル%未満が好ましく、29モル%超92.5モル%以下がより好ましく、30モル%以上85モル%以下が特に好ましい。
【0087】
構造単位(B-2)の合計含有量は、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは40モル%超、特に好ましくは42モル%以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、共重合体の全構造単位に対して、好ましくは100モル%未満、より好ましくは92.5モル%以下、特に好ましくは85モル%以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、40モル%超100モル%未満が好ましく、40モル%超92.5モル%以下がより好ましく、42モル%以上85モル%以下が特に好ましい。
【0088】
構造単位(B-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは0モル部超、より好ましくは2.5モル部以上、特に好ましくは5モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは20モル部未満、より好ましくは18.5モル部以下、特に好ましくは17モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ親水性ポリマーとする場合には、0モル部超20モル部未満が好ましく、2.5モル部以上18.5モル部以下がより好ましく、5モル部以上17モル部以下が特に好ましい。
【0089】
構造単位(B-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは0モル部超、より好ましくは2.5モル部以上、特に好ましくは5モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは33.5モル部未満、より好ましくは33モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ親水性ポリマーとする場合には、0モル部超33.5モル部未満が好ましく、2.5モル部以上33モル部以下がより好ましく、5モル部以上33モル部以下が特に好ましい。
【0090】
構造単位(B-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは20モル部以上、より好ましくは21.5モル部以上、特に好ましくは23モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは29モル部以下、特に好ましくは28モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、20モル部以上29モル部以下が好ましく、21.5モル部以上29モル部以下がより好ましく、23モル部以上28モル部以下が特に好ましい。
【0091】
構造単位(B-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは33.5モル部以上、より好ましくは34モル部以上、特に好ましくは34.5モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは40モル部以下、特に好ましくは38モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ温度応答性ポリマーとする場合には、33.5モル部以上40モル部以下が好ましく、34モル部以上40モル部以下がより好ましく、34.5モル部以上38モル部以下が特に好ましい。
【0092】
構造単位(B-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは29モル部超、特に好ましくは30モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは100モル部未満、より好ましくは92.5モル部以下、特に好ましくは85モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが1であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、29モル部超100モル部未満が好ましく、29モル部超92.5モル部以下がより好ましく、30モル部以上85モル部以下が特に好ましい。
【0093】
構造単位(B-2)の合計含有割合は、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは40モル部超、特に好ましくは42モル部以上であり、また、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、構造単位(A-2)及び(B-2)の合計100モル部に対して、好ましくは100モル部未満、より好ましくは92.5モル部以下、特に好ましくは85モル部以下である。具体的な範囲としては、式(1-1)中のnが2であり且つ疎水性ポリマーとする場合には、40モル部超100モル部未満が好ましく、40モル部超92.5モル部以下がより好ましく、42モル部以上85モル部以下が特に好ましい。
【0094】
なお、本発明の共重合体中の各構造単位の含有量は、1H-NMR等により測定可能である。
【0095】
本発明の共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよいが、ランダム共重合体が好ましい。また、本発明の共重合体としては、非架橋型重合体が好ましい。
【0096】
本発明の共重合体の数平均分子量(Mn)としては、500以上100,000以下が好ましく、1,000以上50,000以下がより好ましい。
また、本発明の共重合体の重量平均分子量(Mw)としては、1,000以上200,000以下が好ましく、2,000以上100,000以下がより好ましい。
また、分子量分布(Mw/Mn)としては、1.01以上4.00以下が好ましく、1.01以上3.00以下がより好ましい。
なお、数平均分子量、重量平均分子量及び分子量分布は、後述する実施例に記載の方法に従い測定すればよい。
【0097】
〔共重合体の製造方法〕
本発明の製造方法は、上記モノマー(A-1)と上記モノマー(B-1)とを重合させる重合工程を含む、共重合体の製造方法である。本発明の製造方法によれば、細胞毒性が低く且つアルカリ分解性を有する温度応答性ポリマー、細胞毒性が低く且つアルカリ分解性を有する親水性ポリマー及び細胞毒性が低く且つアルカリ分解性を有する疎水性ポリマーを簡便に且つ効率良く作り分けできる。
モノマー(A-1)、(B-1)は、上記重合性組成物に使用されるものと同様である。また、これらのモノマーは、市販品を用いても常法に従って合成して得たものを用いてもよい。
【0098】
(重合工程)
重合工程は、反応効率の観点から、ラジカル重合開始剤及び/又は溶媒の存在下で行うのが好ましく、ラジカル重合開始剤存在下で行うのがより好ましい。ラジカル重合開始剤とともに溶媒を用いてもよい。
本発明の製造方法における各種文言の意義、各成分の使用量及びその比率等は、「本発明の重合性組成物」について説明した各種文言の意義、各成分の含有量及びその比率等と同様である。
【0099】
重合工程の重合温度は、通常0~150℃であるが、反応効率の観点から、20~120℃が好ましい。重合時間は、通常30分間~72時間であるが、反応効率の観点から、1時間~60時間が好ましい。
なお、上記工程で得られた反応生成物は、必要に応じて精製してもよい。
【0100】
そして、上記のようにして製造できる本発明の共重合体は、温度応答性、親水性又は疎水性のいずれかであり且つ細胞毒性が低くアルカリ分解性を有する。
したがって、本発明の共重合体は温度応答性を有する場合、分解性プラスチック、薬物運搬体、バイオセンサー、温度応答調光剤又はそれらの素材等として有用である。
また、本発明の共重合体は親水性を有する場合、分解性プラスチック、薬物運搬体、化粧品用添加剤、乳化剤又はそれらの素材等として有用である。
また、本発明の共重合体は疎水性を有する場合、分解性プラスチック、薬物運搬体、分離膜、耐候性塗料又はそれらの素材等として有用である。
【0101】
〔キット〕
本発明のキットは、上記重合性組成物(α-1)、(β-1)及び(γ-1)を備えるもの、又は上記重合性組成物(α-2)、(β-2)及び(γ-2)を備えるものである。本発明のキットにおける各種文言の意義、各成分の含有量及びその比率等は、「本発明の重合性組成物」について説明した各種文言の意義、各成分の含有量及びその比率等と同様である。
重合性組成物(α-1)又は重合性組成物(α-2)を用いることによって、細胞毒性が低く且つアルカリ分解性を有する親水性ポリマーが、重合性組成物(β-1)又は重合性組成物(β-2)を用いることによって、細胞毒性が低く且つアルカリ分解性を有する温度応答性ポリマーが、重合性組成物(γ-1)又は重合性組成物(γ-2)を用いることによって、細胞毒性が低く且つアルカリ分解性を有する疎水性ポリマーが、それぞれ簡便に且つ効率良く製造できる。
したがって、本発明のキットを用いることによって、細胞毒性が低く且つアルカリ分解性を有する温度応答性ポリマー、細胞毒性が低く且つアルカリ分解性を有する親水性ポリマー及び細胞毒性が低く且つアルカリ分解性を有する疎水性ポリマーの全てを簡便に且つ効率良く製造できる。
【実施例0102】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、各測定法は次の方法に従った。
【0103】
(1)数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及び分子量分布(Mw/Mn)は、ポリスチレンゲル換算のゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)により測定した[RI検出器、カラム:TSKgelカラムG-MHHR-M×2(東ソー(株)製)、溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(10mmol/L臭化リチウム含有)、測定温度:40℃、流速:1.0mL/分]。
【0104】
(2)モノマー転化率の算出及びポリマーの構造解析は、1H NMR(JEOL社製JNM ECX-500II)を用いて行った(溶媒:重水、重クロロホルム又は重ジメチルスルホキシド)。
【0105】
(実施例1 HEVEとMDOのラジカル共重合)
試験管に、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル(以下、「HEVE」と記載する)0.193g(2.19mmol)、2-メチレン-1,3-ジオキセパン(以下、「MDO」と記載する)0.250g(2.19mmol)、ラジカル重合開始剤としてジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(商品名V-601、富士フィルム和光純薬工業株式会社;以下「V-601」と記載する)2.0mg(8.76×10
-6mol)を加え、よく溶かした(モル比はHEVE/MDO=5.00/5.00;モノマー合計/V-601=500/1)。次いで、試験管に撹拌子を加え、氷浴中で試験管内に窒素を吹込み、脱酸素した。脱酸素終了後、試験管を密閉し、70℃の油浴中でラジカル共重合を行った。
また、HEVE/MDO(モル比)を、9.00/1.00、8.00/2.00、7.00/3.00、6.00/4.00、5.50/4.50、5.25/4.75、4.50/5.50、4.00/6.00、3.00/7.00、2.00/8.00、1.00/9.00に変更し、同様の手順により各々ラジカル共重合を行った。
反応開始から24時間経過後に試験管に空気を吹き込み、N,N-ジメチルホルムアミドを加え、スペクトラポア 7透析膜(分画分子量=1000)を用いて透析精製を行った。その後凍結乾燥させた。
仕込み量モル比 HEVE/MDO=5.00/5.00の場合、得られた共重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=5700、Mw/Mn=1.31であった。他の仕込み比の共重合体のMn、Mw/Mnについては表1に示す。
また構造は、
1H NMRより、下記式(3)のように決定した。
図1に、実施例1で得られた共重合体の
1H NMR[溶媒:重クロロホルム]の結果を示した。
【0106】
【0107】
〔式(3)中、x及びnは、各構造単位の繰り返し数を示す。〕
【0108】
(試験例1 HEVEとMDOのラジカル共重合体の水溶性評価)
実施例1で得られた共重合体に、濃度1.0質量%となるように超純水(富士フィルム和光純薬社製)を加え、4℃で1日間攪拌した。その後、その共重合体水溶液又は共重合体分散液を200rpmで攪拌し温度を5℃から85℃まで変化させながら、波長500nmの光の透過率変化を測定した。測定には、紫外・可視分光光度計(日本分光社製、型式V-650)を使用した。
その際、温度変化に対して透過率が50%になる点を応答温度(℃)として決定した。また、温度を変化させていっても透過率が50%超から50%以下にならない場合や温度を変化させていっても透過率が50%未満から50%以上にならない場合は、応答温度なしとして決定した。このような応答温度なしと評価された共重合体については、測定温度5℃から85℃までの平均透過率を算出し、平均透過率が90%以上のものを親水性、10%未満または不溶なものを疎水性と決定した。応答温度(℃)と平均透過率(%)を表1に示した。
【0109】
(試験例2 HEVEとMDOのラジカル共重合体のアルカリ分解性評価)
実施例1で得られた共重合体に、濃度1.0質量%となるように超純水(富士フィルム和光純薬社製)を加え、4℃で1日間攪拌した。その後、その共重合体水溶液又は共重合体分散液に、1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液(富士フィルム和光純薬社製)を加えてpH13とし、室温にて3日間攪拌した。その間24時間ごとにGPC分析を行い、数平均分子量を測定し、その分子量の減少から共重合体の分解を確認した。数平均分子量の減少が認められたものを、アルカリ分解性あり(評価:〇)とした。結果を表1に示した。
また、
図2に、仕込み量モル比 HEVE/MDO=7.00/3.00で得た共重合体(サンプル1-4)の分子量変化を示した。
【0110】
【0111】
表1に示すとおり、HEVEとMDOを含有する重合性組成物を用いることによって、温度応答性ポリマー、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを簡便に作り分けできた。また、作り分けされた各ポリマーは、アルカリ分解性を有していた。
【0112】
(試験例3 HEVEとMDOのラジカル共重合体の細胞毒性評価)
10%ウシ胎児血清を添加したダルベッコ改変イーグル培地100μLに、懸濁したマウス線維芽細胞(NIH-3T3)を播種し、実施例1で得た共重合体(仕込み量モル比 HEVE/MDO=7.00/3.00)水溶液存在下で培養した。37℃で24時間インキュベートした後、生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク社製)を用いて、450nmの吸光度から細胞生存率(%)を求めた。
この細胞生存率(%)の算出を、共重合体水溶液濃度0.2mg/mL、0.4mg/mL、0.6mg/mL、0.8mg/mL、1.0mg/mLでそれぞれ行った。細胞生存率はいずれも100%以上であった。
【0113】
(実施例2 DEGVとMDOのラジカル共重合とその水溶性)
試験管に、ジエチレングリコールモノビニルエーテル(以下、「DEGV」と記載する)0.232g(1.75mmol)、MDO 0.300g(2.63mmol)、V-601 2.0mg(8.76×10―6mol)を加え、よく溶かした(モル比はDEGV/MDO=4/6;モノマー合計/V-601=500/1)。次いで、試験管に撹拌子を加え、氷浴中で試験管内に窒素を吹込み、脱酸素した。脱酸素終了後、試験管を密閉し、70℃の油浴中でラジカル共重合を24時間行った。その結果、DEGVの転化率70%、MDOの転化率21%で共重合体が得られ、GPC分析の結果、Mn=6600、Mw/Mn=1.83であった。
また、仕込み量モル比 DEGV/MDOを、6/4、4.5/5.5、3.5/6.5、2/8に変更し、同様の手順により各々ラジカル共重合を行い、DEGVとMDOのラジカル共重合体を得た。
これら5種類のDEGVとMDOの共重合体について、試験例1と同様にして水溶性評価を行った。結果を表2に示した。
【0114】
【0115】
表2に示すとおり、DEGVとMDOを含有する重合性組成物を用いることによって、温度応答性ポリマー、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーを簡便に作り分けできた。
【0116】
(比較例1 TEGMVEとMDOのラジカル共重合とその水溶性)
試験管に、テトラエチレングリコールメチルビニルエーテル(以下、「TEGMVE」と記載する)0.821g(3.504mmol)、MDO 0.100g(0.876mmol)、V-601 2.0mg(8.76×10―6mol)を加え、よく溶かした(モル比はTEGMVE/MDO=8/2)。次いで、試験管に撹拌子を加え、氷浴中で試験管内に窒素を吹込み、脱酸素した。脱酸素終了後、試験管を密閉し、70℃の油浴中でラジカル共重合を24時間行った。その結果、TEGMVEの転化率59%、MDOの転化率21%で共重合体が得られ、GPC分析の結果、Mn=9900、Mw/Mn=2.22であった。
また、仕込み量モル比 TEGMVE/MDOを、表3に示すモル比に変更し、同様の手順により各々ラジカル共重合を行い、TEGMVEとMDOのラジカル共重合体を得た。さらに試験例1と同様にして水溶性評価を行った。結果を表3に示した。
【0117】
【0118】
TEGMVEとMDOとの組み合わせについては、モル比を変更していっても温度応答性を示す共重合体は得られなかった。
【0119】
(参考例1 HEVEホモポリマー及びMDOホモポリマーとそれらの水溶性)
試験管に、HEVE 0.386g(4.38mmol)、V-601 2.0mg(8.76×10-6mol)を加え、よく溶かす。次いで、試験管に撹拌子を加え、氷浴中で試験管内に窒素を吹込み、脱酸素する。脱酸素終了後、試験管を密閉し、70℃の油浴中でラジカル重合を行う。
また試験管に、MDO 0.500g(4.38mmol)、V-601 2.0mg(8.76×10-6mol)を加え、よく溶かす。次いで、試験管に撹拌子を加え、氷浴中で試験管内に窒素を吹込み、脱酸素する。脱酸素終了後、試験管を密閉し、70℃の油浴中でラジカル重合を行う。
得られたHEVEホモポリマーは親水性、MDOホモポリマーは疎水性であり、いずれも温度応答性を示さない。