(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142397
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20241003BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F25D21/04 E
F25D23/02 305A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054522
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 達朗
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA06
3L102KC03
3L102KC06
3L102KC07
3L102KC10
(57)【要約】
【課題】冷蔵庫の結露を防止するために設けられた加熱部の消費電力を低減しつつ、その低減効果を持続することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、貯蔵室1を開閉する観音開き式の左扉6及び右扉7と、左扉6と右扉7のうちいずれか一方に取り付けられ、貯蔵室1を閉じた際に左扉6と右扉7との隙間を塞ぐ仕切り体10と、左ガスケット11aと、右ガスケット11bと、を備える。仕切り体10は、左扉6及び右扉7に対向する伝熱板21と、伝熱板21を加熱する加熱部22と、仕切り体10の内部に間隔をあけて設けられた左マグネット23a及び右マグネット23bと、を有し、左ガスケット11aには、左マグネット23aに吸着される左磁性体41aが設けられており、右ガスケット11bには、右マグネット23bに吸着される右磁性体41bが設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を開閉する観音開き式の左扉及び右扉と、
前記左扉と前記右扉のうちいずれか一方に取り付けられ、前記貯蔵室を閉じた際に前記左扉と前記右扉との隙間を塞ぐ仕切り体と、
前記左扉に設けられ、前記左扉を閉じた際に前記仕切り体に密着する左ガスケットと、
前記右扉に設けられ、前記右扉を閉じた際に前記仕切り体に密着する右ガスケットと、を備え、
前記仕切り体は、前記左扉及び前記右扉に対向する伝熱板と、前記伝熱板を加熱する加熱部と、前記仕切り体の内部に間隔をあけて設けられた左マグネット及び右マグネットと、を有し、
前記左ガスケットには、前記左マグネットに吸着される左磁性体が設けられており、
前記右ガスケットには、前記右マグネットに吸着される右磁性体が設けられている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記伝熱板は、非磁性金属により形成されている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記非磁性金属は、アルミニウム合金である、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記左マグネット及び前記右マグネットは、前記伝熱板の内面に取り付けられている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記左マグネット及び前記右マグネットは、前記加熱部の両サイドであり、前記伝熱板の内面に取り付けられている、
請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記仕切り体は、断熱材と、前記断熱材を内部に収容する箱体とをさらに有し、
前記伝熱板は、前記箱体に形成された開口部に収容されている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記伝熱板の上部における幅は、前記伝熱板の中央部における幅より広い、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記左マグネットと前記右マグネットとの隙間は、前記伝熱板の前記中央部における幅より広い、
請求項7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記左ガスケット及び前記右ガスケットは、冷蔵庫筐体と前記仕切り体との間に形成された隙間を塞ぐヒレ部を有し、
前記伝熱板の前記上部は、前記ヒレ部と接触する、
請求項7に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記仕切り体は、断熱材と、内部に前記断熱材を収容し、前記伝熱板が嵌められる開口部が形成された箱体と、をさらに有し、
前記伝熱板の前記上部が形成された上下方向の範囲において、前記左マグネット及び前記右マグネットは、前記伝熱板の内面に取り付けられており、
前記伝熱板の前記中央部が形成された上下方向の範囲において、前記左マグネット及び前記右マグネットは、前記箱体の内面に取り付けられている、
請求項7に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、最上段に配置した冷蔵室に観音開き式の扉が設けられたタイプが、大型冷蔵庫の主流となっている。観音開き式の扉の合わせ部には、密閉のために仕切り体とガスケットが配置される場合が多い。これら仕切り体とガスケットは、冷蔵室の内部から冷やされ、露点を下回ると結露が発生する。従来、結露対策として、仕切り体の内部にヒータを設けて、仕切り体およびガスケットの温度を上げる方法が採用されている。また、特許文献1には、ガスケットの表面に熱伝導率の良い材料を設けることにより、外気温から仕切り体への伝熱を高め、ヒータによる消費電力を低減する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術において、熱伝導率の高い材料が設けられたガスケットには、冷蔵室の気密性を保つために、柔らかい材料が用いられている。そのため、カスケットは、扉の開閉により繰り返し変形し、その表面に設けられた熱伝導率の高い材料のひび割れや剥がれが生じやすい。これにより、ヒータの消費電力を低減するという効果を維持することが難しい。
【0005】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、冷蔵庫の結露を防止するために設けられた加熱部の消費電力を低減しつつ、その低減効果を持続することができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る冷蔵庫は、貯蔵室を開閉する観音開き式の左扉及び右扉と、前記左扉と前記右扉のうちいずれか一方に取り付けられ、前記貯蔵室を閉じた際に前記左扉と前記右扉との隙間を塞ぐ仕切り体と、前記左扉に設けられ、前記左扉を閉じた際に前記仕切り体に密着する左ガスケットと、前記右扉に設けられ、前記右扉を閉じた際に前記仕切り体に密着する右ガスケットと、を備える。前記仕切り体は、前記左扉及び前記右扉に対向する伝熱板と、前記伝熱板を加熱する加熱部と、前記仕切り体の内部に間隔をあけて設けられた左マグネット及び右マグネットと、を有し、前記左ガスケットには、前記左マグネットに吸着される左磁性体が設けられており、前記右ガスケットには、前記右マグネットに吸着される右磁性体が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、仕切り体に設けた左マグネット及び右マグネットで、左ガスケット及び右ガスケットに設けた左磁性体及び右磁性体を吸着させている。このような構成によって、加熱部が取り付けられた伝熱板の材料に磁性体を用いる必要がなく、熱伝導率が高く経年変化の少ない適宜の材料を用いることができる。これにより、冷蔵庫の結露を防止するために設けられた加熱部の消費電力を低減しつつ、その低減効果を持続することができる冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】本開示の実施の形態1に係る冷蔵庫の仕切り体の分解斜視図
【
図5】
図2中の断面線V-Vで切断した冷蔵庫の断面図
【
図7】
図2中の断面線VII-VIIで切断した冷蔵庫の断面図
【
図8】本開示の実施の形態2の冷蔵庫の
図1に示すII部に相当する部分の拡大図
【
図9】
図8中の断面線IX-IXで切断した冷蔵庫の断面図
【
図10】
図8中の断面線X-Xで切断した冷蔵庫の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る冷蔵庫について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、本開示の理解を容易にするために、
図1の手前方向、すなわち冷蔵庫100の正面に立ったユーザが位置する方向を冷蔵庫100の前方、その反対の方向を冷蔵庫100の後方とし、冷蔵庫100に対して正面視したときの上下左右方向をそのまま冷蔵庫100の上下左右方向として説明する。なお、
図2及び
図3においては、冷蔵室1の内部と仕切り体10を図示するため、冷蔵室右扉7を開放した状態を示している。
【0010】
(実施の形態1)
冷蔵庫100は、
図1に示すように、貯蔵室として、冷蔵室1と、製氷室2と、切替室3と、野菜室4と、冷凍室5とを備えている。冷蔵室1は、最上段に設けられており、冷蔵庫100を正面視した場合に、例えば冷蔵庫100の上半分の大きさを占めている。冷蔵室1の前方を向いた開口1aは、観音開き式の扉である冷蔵室左扉6と冷蔵室右扉7とで開閉可能である。
【0011】
冷蔵室1の下方に設けられている、製氷室2、切替室3、野菜室4および冷凍室5には、引出し扉が設けられている。各々の引出し扉を前方及び後方に移動させることにより、それぞれの貯蔵室を開閉することができる。
【0012】
冷蔵室左扉6は、冷蔵庫筐体101の前面左端部に回動自在に取り付けられている。冷蔵室右扉7は、冷蔵庫筐体101の前面右端部に回動自在に取り付けられている。冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7を閉めた状態において、冷蔵室左扉6と冷蔵室右扉7との間には、隙間G1が設けられている。この隙間G1を塞ぐために、上下方向に延在した
図2に示す仕切り体10と、冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7に設けられ、仕切り体10と接触する
図5に示すガスケット11a,11bが設けられている。
【0013】
仕切り体10の上方には、
図2に示すように、冷蔵庫筐体101の開口1aとの間に、隙間G2が生じている。また、仕切り体10の下方にも、同様に開口1aとの間に隙間が生じている。そのため、仕切り体10の上下方向における高さは、冷蔵室1の開口1aの高さよりも低い。
【0014】
仕切り体10は、
図4に示すように、断熱材30と、冷蔵室左扉6に回動可能に取り付けられた支持枠24と、支持枠24に取り付けられて支持枠24との間で断熱材30を保持する背面部材31と、支持枠24に取り付けられた伝熱板21とを有している。支持枠24と背面部材31とは組み合わされて、内部に断熱材30を収容する箱体を形成する。
【0015】
断熱材30は、例えば、発泡ポリスチレン製の上下方向に延びる棒状部材であり、
図5及び
図6に示すように、仕切り体10の内部に設けられている。断熱材30は、冷蔵室左扉6と冷蔵室右扉7との間に形成された隙間G1と冷蔵室1との間に介在して断熱する。断熱材30の前面には、
図6に示すように、後述する側壁部24b,24dとの干渉を避けるための凹部30aが形成されている。
【0016】
支持枠24は、例えば合成樹脂製で、仕切り体10の各種の部品を支持する上下に延びる枠状体である。支持枠24は、
図5に示すように、冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7が冷蔵室1を閉じている際に、仕切り体10の前側となる部分を形成し、左ガスケット11a及び右ガスケット11bに接触する。なお、左ガスケット11a及び右ガスケット11bを区別しない場合は、単にガスケット11a,11bと記載する。支持枠24は、仕切り体10の内部に設けられた断熱材30の収容空間のうち、前方側を画定する。支持枠24には、
図4に示すように、上下方向に延びる矩形状の開口24aが形成されている。この開口24aは、伝熱板21の形状に合わせている。
図6に示すように、開口24aの左側を画定する支持枠24の縁部には、後方に向けて突出した側壁部24bと、側壁部24bの先端から右方向に突出した底壁部24cとが形成されている。同様に、開口24aの右側を画定する支持枠24の縁部には、後方に向けて突出した側壁部24dと、側壁部24dの先端から左方向に突出した底壁部24eとが形成されている。
【0017】
支持枠24の後方に突出した側壁部24b,24dには、断熱材30に形成された凹部30aが引っ掛かり、断熱材30の左右方向の動きが制限される。また、側壁部24b,24d、及び底壁部24c,24eにより形成された段落ちした箇所には、伝熱板21が収容されている。
【0018】
さらに支持枠24には、
図4に示すように、上側ヒンジ28の軸部28aが挿入される軸受け部51と下側ヒンジ29の軸部29aが挿入される軸受け部52とが形成されている。軸受け部51と軸受け部52は同一軸線上にある。支持枠24に組付けられた上側ヒンジ28及び下側ヒンジ29は、
図5に示すように、冷蔵室左扉6に固定される。これにより、支持枠24を有する仕切り体10は、
図5に示すように、ガスケット11a,11bに接触した実線で示した状態と、背面部材31が冷蔵室左扉6に当接した二点鎖線で示した状態との間で回動可能となる。
【0019】
背面部材31は、例えば合成樹脂製で、支持枠24と組み合わされて、内部に断熱材30の収容空間を形成する。背面部材31は、仕切り体10の内部に形成される断熱材30の収容空間のうち、後方側を画定する。
【0020】
伝熱板21は、
図6に示すように、左右縁から後方に起立した起立部21a,21bを有し、上下方向に直交する方向から切断するとチャンネル状の断面を有している。伝熱板21は、支持枠24の側壁部24b,24d、及び底壁部24c,24eにより形成された段落ちした部分に収容されている。支持枠24の前面と、伝熱板21の前面とは面一である。
【0021】
伝熱板21は、非磁性金属から形成されており、一例としてはアルミニウム合金製である。また、伝熱板21の内側の面、すなわち伝熱板21の断熱材30側を向いた面には、加熱部であるヒータ22と、2本のマグネット23a,23bとが、粘着テープや接着剤などの公知の取付手段を用いて取り付けられている。
【0022】
左マグネット23a及び右マグネット23bは、
図4に示すように、上下方向に延びる同じ長さを有する棒状のマグネットである。なお、左マグネット23a及び右マグネット23bを区別しない場合は、単にマグネット23a,23bと記載する。マグネット23a,23bを上下方向に対して直交する方向から切断すると、矩形状の断面を有している。
図6に示すように、左マグネット23aは伝熱板21の左側に取り付けられ、右マグネット23bは伝熱板21の右側に取り付けられている。
【0023】
ヒータ22は、左マグネット23aと右マグネット23bとに挟まれた位置であり、伝熱板21の内面の中央部に取り付けられている。すなわち、ヒータ22の両サイドに、左マグネット23aと右マグネット23bとが配置されている。ヒータ22を通電することにより、伝熱板21及びガスケット11a、11bを加温して、結露の発生を抑える。ヒータ22は、冷蔵庫100に設けられた図示しない外気温度センサおよび湿度センサから得られたデータに基づいて、図示しない制御部により制御されている。
【0024】
また、仕切り体10は、
図4に示すように、伝熱板21、支持枠24,及び背面部材31といった上下方向の延びる各部材を上方及び下方から挟み込んで保持する上側カバー部材25及び下側カバー部材26を有している。
図3に示すように、仕切り体10の上端部に設けられた上側カバー部材25には、溝部25aが形成されている。この溝部25aには、冷蔵庫筐体101に設けられた突起部102が収容される。
【0025】
冷蔵室左扉6を開く際、仕切り体10は冷蔵室左扉6とともに移動し、突起部102が溝部25aを摺動する。これにより、仕切り体10は、
図5において二点鎖線で示す状態まで回動する。このとき、仕切り体10は第2状態にあるとし、背面部材31は、冷蔵室左扉6に当接した状態にある。このように、仕切り体10が第2状態になることで、仕切り体10を冷蔵室右扉7に干渉させずに、冷蔵室左扉6を開けることができる。
【0026】
一方、冷蔵室左扉6を閉じていく際、第2状態にある仕切り体10は、冷蔵室右扉7に当たることはない。そして、冷蔵室左扉6が完全に閉じる直前、溝部25aが突起部102に当たり、仕切り体10は、
図5において実線で示す状態まで回動する。このとき、仕切り体10は第1状態にあるとする。
【0027】
このように、上側カバー部材25と下側カバー部材26とにより一体化された仕切り体10は、
図5に示す実線の状態と二点鎖線の状態との間で回動する。なお、仕切り体10の回動をスムーズに行うため、
図2に示すように、仕切り体10の上方には、冷蔵庫筐体101の開口1aとの間に、隙間G2が設けられている。仕切り体10の下方においても同様に、隙間が設けられている。
【0028】
左ガスケット11aは、上下方向に延びた部材であり、
図5に示すように、冷蔵室左扉6に設けられている。左ガスケット11aは、第1状態にある仕切り体10と接触する。左ガスケット11aは、柔軟性を有する材料からつくられており、一例としてはシリコンゴム製である。
【0029】
冷蔵室左扉6の冷蔵室1を画定する内面には、
図5に示すように、上下に延びた溝部53が形成されている。この溝部53は、冷蔵室左扉6を閉じた際に冷蔵室右扉7と突き合う状態となる部分の端辺に沿って形成されている。左ガスケット11aは、一部が溝部53にはめられて、冷蔵室左扉6に取り付けられている。左ガスケット11aは、
図2に示すように、隙間G2を閉塞するために、上部に他の部分よりも幅が広く横方向に突出したヒレ部12を有している。ヒレ部12は、隙間G2を跨いで冷蔵庫筐体101と仕切り体10とに接触する。ヒレ部12には、仕切り体10に設けられた伝熱板21の上端部が接触する。左ガスケット11aは、下部にも同様に、隙間を閉塞するためのヒレ部を有している。ヒレ部12を含む左ガスケット11aの上下方向における長さは、仕切り体10の上下方向における長さよりも長い。仕切り体10は、冷蔵室左扉6が閉められているとき、全長にわたって左ガスケット11aと接触する。
【0030】
左ガスケット11aの内部には、
図5に示すように、上下方向に延在した左磁性体41aが設けられている。左磁性体41aは、例えば鋼材から形成されたもので、左ガスケット11aの延在方向に延びる棒状部材である。左磁性体41aは、冷蔵室左扉6が閉じられ仕切り体10が実線で示した第1状態にあるときに、左マグネット23aに対応する位置、すなわち、左マグネット23aの前方に配置されている。これにより、左磁性体41aは左マグネット23aに吸着される。なお、冷蔵室左扉6が閉められているとき、左磁性体41aと左マグネット23aとの間には、伝熱板21が介在する。伝熱板21は、非磁性金属から形成されていることから、左磁性体41aと左マグネット23aとの吸着を妨げない。
【0031】
このように、冷蔵室左扉6に設けられた左ガスケット11aについて説明したが、
図5に示すように、冷蔵室右扉7にも同様に、右ガスケット11bが設けられている。すなわち、冷蔵室右扉7の内面にはその一辺に沿って溝部54が形成されており、この溝部54に右ガスケット11bの一部が嵌められている。右ガスケット11bには、
図2に示すように隙間G2を閉塞するためのヒレ部12が設けられている。また、右ガスケット11bの内部には、右マグネット23bに対応する位置に、右磁性体41bが設けられている。なお、左磁性体41a及び右磁性体41bを区別しない場合は、単に磁性体41a,41bと記載する。
【0032】
このように、マグネット23a,23bにより磁性体41a,41bを吸着し、仕切り体10をガスケット11a,11bに接触させることで、冷蔵室左扉6および冷蔵室右扉7と仕切り体10とを密着させることができ、冷蔵室1を密閉することができる。
【0033】
冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7の一辺には、ガスケット11a,11bが取り付けられているが、冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7のその他の3辺についても、外縁の周囲を一周閉じる形でガスケットが設けられている。
図2においては、冷蔵室左扉6の上辺に沿って取り付けられたガスケット13を図示している。これらのガスケットの材料には、ガスケット11a,11bと同様に、柔軟性を有する材料が用いられ、例えばシリコンゴムが用いられる。このように、冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7の4辺に設けられたガスケットは、交差部で溶着され一体化されている。
【0034】
冷蔵室左扉6の上辺に配置されるガスケット13の内部には、
図7に示すように、柔軟な樹脂素材を基材とするマグネット16が、ガスケット13の延材方向に沿って配置されている。マグネット16は、磁性金属を材料として製作された冷蔵庫筐体101を吸着する。その他の辺に設けられたガスケットも同様の構成を有しており、これにより、冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7と冷蔵庫筐体101とが密着する。
【0035】
冷蔵庫100は一般に、キッチンなどの屋内に配置され、その周囲温度に関わらず冷蔵室1の内気は0℃~5℃程度の低温に保たれる。この低温に保たれた冷蔵室1の内気により冷蔵庫100の外郭が冷やされて、その表面温度が露点を下回ると結露が発生する。なお、冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7の内部には、
図5に示すように、真空断熱材17を配置しており、かつ各扉の内部空間はウレタン発泡材を充填している。また冷蔵庫筐体101の内部には、
図7に示すように、真空断熱材103を配置し、かつ内部空間はウレタン発泡材を充填している。これらの断熱材により、冷蔵庫の外郭表面への熱伝導によって生じる温度低下を抑制している。一方、
図5に示す仕切り体10は回動機構を有するため、内部に断熱材30を内蔵するスペースが限られる。そこで、伝熱板21にヒータ22を設け、伝熱板21およびガスケット11a、11bを加温して結露の発生を抑制している。
【0036】
本実施の形態1では、仕切り体10にマグネット23a,23bを設け、このマグネット23a,23bによりガスケット11a,11bに設けた磁性体41a,41bを吸着させている。このように、仕切り体10と、冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7とを磁力により密着させる構成を、伝熱板21以外の構成により実現している。そのため、ヒータ22を取り付けた伝熱板21の材料に磁性体を用いる必要がなく、熱伝導率が高く経年変化の少ない適宜の材料の中から伝熱板21を製造することができる。伝熱板21を、熱伝導率の高い材料から製造することで、ヒータ22からの熱は、伝熱板21の全体にむらなく伝えることができ、少ない消費エネルギーで結露を抑制することができる。また、伝熱板21に外気の熱が伝わりやすく、少ないヒータ22の消費エネルギーで結露を抑制することができる。さらに、伝熱板21に経年変化の少ない材料を用いることでき、ヒータ22の消費エネルギーの低減効果を持続することができる。
【0037】
また、仕切り体10に内蔵されたヒータ22は、アルミニウム合金製の伝熱板21に取り付けられている。アルミニウムの熱伝導率は約200W/m・Kと、一般的に使用される鋼材の熱伝導率である約53W/m・Kと比べて3倍以上高い。そのため、ヒータ22からの熱は、伝熱板21の全体にむらなく伝えることができ、少ない消費エネルギーで結露を抑制することができる。
【0038】
また、仕切り体10にマグネット23a,23bを設けたことから、仕切り体10と接触するガスケット11a、11bの内部には、マグネットを配置する必要がなく、マグネット23a,23bと吸着する磁性体41a、41bを配置することができる。磁性体の一般的な金属である鋼材の熱伝導率は約53W/m・Kと、マグネットの熱伝導率は約3W/m・Kと比べて10倍以上高い。そのため伝熱板21を介し伝えられるヒータからの熱は、磁性体41a、41bによって拡散することができ、ガスケット11a、11bの温度を効率的に高めることが可能となる。このように、ヒータ22の伝熱効率が上がる分、ヒータ22への投入電力を抑制しながら、ガスケット11a、11bの結露を抑制することができる。
【0039】
また、磁性体41a、41bは、そのサイズを自由に設定することができる。例えば厚さ0.5mmの鋼材を用いることにより、冷蔵室1の開閉に伴う変形を発生させない十分な剛性を持たせることが可能である。これにより、磁性体41a,41bに、経年的な形状の変化および熱伝導率の変化が抑制され、信頼性が高い冷蔵庫を提供することができる。
【0040】
また、仕切り体10と冷蔵庫筐体101との隙間G2を塞ぐヒレ部12には、伝熱板121の上端部と下端部とが接触する。隙間G2を跨いで設けられるヒレ部12には、冷蔵室1内の冷気が接触する。そのためヒレ部12は、ガスケット11a、11bのなかでも温度が下がりやすく結露が発生しやすい場所である。しかしながら、伝熱板21に取り付けられたヒータ22に通電することで、伝熱板21を介してヒレ部12を加温することができる。これにより、ヒレ部12における結露の発生を抑制することができる。
【0041】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態においては、
図8に示すように、仕切り体110に取り付けられている伝熱板121の幅寸法が一定ではなく、この点が上記実施の形態1の構成と異なっている。一方で、本実施の形態は、上記実施の形態1と共通する構成も多いことから、共通の構成については同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
図8に示すように、伝熱板21の上端から下方へ長さLの範囲における部分(以下、伝熱板121の上部121aと記載する。)は、一部でヒレ部12と接触しており、その幅はW1である。同様に、伝熱板21の下端から上方へ長さLの範囲における部分(以下、伝熱板121の下部(不図示)と記載する。)は、一部でヒレ部と接触しており、その幅はW1である。また、伝熱板121の上部121aと下部(不図示)との間の中間部121bの幅は、W2である。ここで、幅W1は幅W2よりも大きく、W1>W2の関係にある。仕切り体110の内部には、
図9に示すように、上下方向に延び、互いに平行に配された2本のマグネット23a,23bが設けられている。
【0043】
伝熱板121の上部121aが形成された上下方向の範囲において、
図9に示すように、左マグネット23aは伝熱板121の内面の左側に取り付けられ、右マグネット23bは伝熱板21の内面の右側に取り付けられている。左マグネット23aと右マグネット23bとの間に、隙間W3があけられている。ここで、伝熱板121の上部121aの幅W1は、隙間W3よりも大きく、W1>W3の関係にある。ヒータ22は、伝熱板121の内面であり、2本のマグネット23a,23bの隙間W3に設けられている。このように伝熱板121の上部121aは、2本のマグネット23a,23bと、ヒータ22とを、内面に取り付けることが可能な幅W1を有している。伝熱板121の上部121aは、支持枠124に形成された幅W1を有する開口124aに嵌められている。
【0044】
なお、左マグネット23aは、左ガスケット11a内に配置された磁性体41aに対応する位置に設けられている。また、右マグネット23bは、右ガスケット11b内に配置された磁性体41bに対応する位置に設けられている。仕切り体110は、伝熱板121の下部の範囲においても、同様の構成を有している。また、冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7が閉められているとき、左磁性体41aと左マグネット23aとの間、及び右磁性体41bと右マグネット23bとの間には、伝熱板121が介在する。伝熱板121は、非磁性金属から形成されていることから、磁性体41a,41bとマグネット23a,23bとの吸着を妨げない。
【0045】
一方、
図8に示すように、伝熱板121の中間部121bの幅W2は、上部121aの幅W1よりも狭い。伝熱板121が嵌められる支持枠124に形成された開口124aの幅も、
図10に示すように、伝熱板121に合わせて幅W1よりも狭い幅W2となっている。この中間部121b及び開口124aの幅W2は、左マグネット23aと右マグネット23bとの間の隙間W3よりも狭く、W2<W3の関係にある。
【0046】
このように、支持枠124の開口124aよりも隙間をあけて配置されたマグネット23a,23bは、支持枠124の内面に取り付けられている。左マグネット23aは、支持枠124の内面に形成された溝部55aに配置されている。この溝部55aは、開口124aよりも図中左側に上下方向に延びて形成されている。また右マグネット23bは、支持枠124の内面に形成された溝部55bに配置されている。この溝部55bは、開口124aよりも図中右側に上下方向に延びて形成されている。
【0047】
ヒータ22は、伝熱板121の内面であり、2本のマグネット23a,23bの隙間W3に設けられている。このように伝熱板121の中間部121bは、その内面にマグネット23a,23bは取り付けられずに、ヒータ22のみ取付可能な幅W2を有している。伝熱板121の中間部121bは、支持枠124に形成された幅W2を有する開口124aに嵌められている。冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7が閉められているとき、左磁性体41aと左マグネット23aとの間、及び右磁性体41bと右マグネット23bとの間には、支持枠124が介在する。支持枠124は、合成樹脂製であることから、磁性体41a,41bとマグネット23a,23bとの吸着を妨げない。
【0048】
このように、伝熱板121及び支持枠124に磁力を妨げない材料を使用していることから、仕切り体110の全長にわたって、磁性体41a,41bとマグネット23a,23bとを吸着させることができる。これにより冷蔵室左扉6及び冷蔵室右扉7と仕切り体110とが密着し、冷蔵室1の内部の冷気と冷蔵庫100の周囲空気との交換が防止される。
【0049】
本実施の形態においては、結露が生じやすいヒレ部12に接触する伝熱板121の上部121a及び下部(不図示)の幅W1を、伝熱板121の中間部121bの幅W2よりも広くしている。これにより、ヒレ部12と伝熱板121との接触面積を大きくすることができ、ヒータ22からの熱をヒレ部12に伝えやすくすることができる。これによりガスケット11a,11bの温度ムラを軽減することができる。また、ヒータ22のガスケット11a,11bへの伝熱効率が上がる分、ヒータ22への投入電力を抑制しながら、ガスケット11a、11bの結露を抑制することができる。
【0050】
また、仕切り体110にマグネット23a,23bを設けていることから、伝熱板121は、ガスケット11a,11bに配されたマグネット23a,23bとの吸着を考慮することなく、その幅寸法を自在に設定することができる。例えば、伝熱板121の上部121a及び下部(不図示)の幅W1を可能な限り大きく、中間部121bの幅W2を可能な限り小さくしても、冷蔵室1の密閉を保つことができる。これにより、ガスケット11a,11bと伝熱板121との接触面積を、ガスケット11a,11bに結露が生じにくい中間部121bで小さくしてガスケットへの熱伝導効率を下げ、結露が生じやすい上部121a及び下部(不図示)で大きくしてガスケットへの熱伝導効率を上げ、ガスケット11a、11bの温度ムラを軽減することが可能となる。これにより、ヒータ22の伝熱効率が上げることができ、ヒータ22への投入電力を抑制することが可能となり、冷蔵庫の省エネルギー性を向上できる。
【0051】
この開示は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記実施の形態の冷蔵庫100では、冷蔵室1に観音開き式の扉が設けられていると説明したが、その他の貯蔵室に上述した特徴を有した観音開き式の扉を設けてもよい。その他の貯蔵室とは、例えば、製氷室、切替室、野菜室、冷凍室等である。
【0052】
また、冷蔵室左扉6と冷蔵室右扉7との隙間を塞ぐ仕切り体10,110は、冷蔵室左扉6に回動可能に取り付けられていると説明したが、冷蔵室右扉7に回動可能に取り付けてもよい。
【0053】
また、伝熱板121は、上部121aと中間部121bとの境、及び下部(不図示)と中間部121bの境でその幅が異なる形状であると説明したが、上部121a及び下部に向けて徐々に広くなる形状としてもよい。
【0054】
また、伝熱板は、アルミニウム合金製に限定されず、一般的に使用される鋼材よりも熱伝導率が高い非磁性金属であれば任意の材料を使用することができる。
【0055】
また、磁性体41a,41bは、鋼材製であると説明したが、マグネット23a,23bと吸着する材料であれば任意の材料を使用することができる。
【0056】
(付記1)
貯蔵室を開閉する観音開き式の左扉及び右扉と、
前記左扉と前記右扉のうちいずれか一方に取り付けられ、前記貯蔵室を閉じた際に前記左扉と前記右扉との隙間を塞ぐ仕切り体と、
前記左扉に設けられ、前記左扉を閉じた際に前記仕切り体に密着する左ガスケットと、
前記右扉に設けられ、前記右扉を閉じた際に前記仕切り体に密着する右ガスケットと、を備え、
前記仕切り体は、前記左扉及び前記右扉に対向する伝熱板と、前記伝熱板を加熱する加熱部と、前記仕切り体の内部に間隔をあけて設けられた左マグネット及び右マグネットと、を有し、
前記左ガスケットには、前記左マグネットに吸着される左磁性体が設けられており、
前記右ガスケットには、前記右マグネットに吸着される右磁性体が設けられている、
冷蔵庫。
【0057】
(付記2)
前記伝熱板は、非磁性金属により形成されている、
付記1に記載の冷蔵庫。
【0058】
(付記3)
前記非磁性金属は、アルミニウム合金である、
付記2に記載の冷蔵庫。
【0059】
(付記4)
前記左マグネット及び前記右マグネットは、前記伝熱板の内面に取り付けられている、
付記1から3のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【0060】
(付記5)
前記左マグネット及び前記右マグネットは、前記加熱部の両サイドであり、前記伝熱板の内面に取り付けられている、
付記4に記載の冷蔵庫。
【0061】
(付記6)
前記仕切り体は、断熱材と、前記断熱材を内部に収容する箱体とをさらに有し、
前記伝熱板は、前記箱体に形成された開口部に収容されている、
付記1から5のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【0062】
(付記7)
前記伝熱板の上部における幅は、前記伝熱板の中央部における幅より広い、
付記1から3のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【0063】
(付記8)
前記左マグネットと前記右マグネットとの隙間は、前記伝熱板の前記中央部における幅より広い、
付記7に記載の冷蔵庫。
【0064】
(付記9)
前記左ガスケット及び前記右ガスケットは、冷蔵庫筐体と前記仕切り体との間に形成された隙間を塞ぐヒレ部を有し、
前記伝熱板の前記上部は、前記ヒレ部と接触する、
付記7又は8に記載の冷蔵庫。
【0065】
(付記10)
前記仕切り体は、断熱材と、内部に前記断熱材を収容し、前記伝熱板が嵌められる開口部が形成された箱体と、をさらに有し、
前記伝熱板の前記上部が形成された上下方向の範囲において、前記左マグネット及び前記右マグネットは、前記伝熱板の内面に取り付けられており、
前記伝熱板の前記中央部が形成された上下方向の範囲において、前記左マグネット及び前記右マグネットは、前記箱体の内面に取り付けられている、
付記7から9のいずれか1つに記載の冷蔵庫。
【符号の説明】
【0066】
1…冷蔵室、1a…開口、2…製氷室、3…切替室、4…野菜室、5…冷凍室、6…冷蔵室左扉、7…冷蔵室右扉、10…仕切り体、11a,11b…ガスケット、11a…左ガスケット、11b…右ガスケット、12…ヒレ部、13…ガスケット、16…マグネット、17…真空断熱材、21…伝熱板、21a…起立部、22…ヒータ、23a…左マグネット、23b…右マグネット、24…支持枠、24a…開口、24b…側壁部、24c…底壁部、24d…側壁部、24e…底壁部、25…上側カバー部材、25a…溝部、26…下側カバー部材、28…上側ヒンジ、28a…軸部、29…下側ヒンジ、29a…軸部、30…断熱材、30a…凹部、31…背面部材、41a…左磁性体、41a,41b…磁性体、41b…右磁性体、51,52…軸受け部、53,54,55a,55b…溝部、100…冷蔵庫、101…冷蔵庫筐体、102…突起部、103…真空断熱材、110…仕切り体、121…伝熱板、121a…上部、121b…中間部、124…支持枠、124a…開口、G1,G2…隙間、W1,W2…幅、W3…隙間。