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  • 特開-アルカリ電池の梱包体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142401
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】アルカリ電池の梱包体
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/256 20210101AFI20241003BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01M50/256 201
B65D65/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054526
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115901
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100078064
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 鐵雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄介
【テーマコード(参考)】
3E086
5H040
【Fターム(参考)】
3E086AA21
3E086BB02
3E086BB51
3E086CA40
5H040AA34
5H040AT03
5H040GG11
5H040LL01
5H040LL06
5H040LL10
5H040NN00
(57)【要約】
【課題】 高温高湿環境下でのアルカリ電池の漏液を抑制し得るアルカリ電池の梱包体を提供する。
【解決手段】 本発明のアルカリ電池の梱包体は、アルカリ電池を収容するトレーと、前記トレーに収容された複数のアルカリ電池とを有し、収容された前記複数のアルカリ電池とともに前記トレーの全体がフィルム内に密封されており、前記フィルムの水蒸気透過度が、10g/m・24h以下であることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ電池を収容するトレーと、前記トレーに収容された複数のアルカリ電池とを有し、
収容された前記複数のアルカリ電池とともに前記トレーの全体がフィルム内に密封されており、
前記フィルムの水蒸気透過度が、10g/m・24h以下であることを特徴とするアルカリ電池の梱包体。
【請求項2】
前記アルカリ電池が、ボタン形電池である請求項1に記載のアルカリ電池の梱包体。
【請求項3】
前記フィルムが、ナイロン層とポリオレフィン層とを有する多層フィルム、またはアルミニウム層と樹脂層とを有する多層フィルムである請求項1に記載のアルカリ電池の梱包体。
【請求項4】
内部が減圧されている請求項1に記載のアルカリ電池の梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温高湿環境下でのアルカリ電池の漏液を抑制し得るアルカリ電池の梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの種類の電池が製造され使用されており、放電機能に関する特性のみならず、メーカーでの製造から最終消費者が使用するまでの段階において、その貯蔵性や利便性などを高める観点から、種々の検討がなされている。
【0003】
例えば特許文献1には、製造した電池の輸送、運搬時の結露の発生を効果的に防止すべく、防錆シートが配置されたトレーに電池を収容し、そのトレーの上部開口端を断熱カバーで覆う技術が提案されている。また、特許文献1には、前記トレーに電池を収容した後に梱包フィルムで包んでから、トレーの上部開口端に前記断熱カバーを配することも提案されている。前記梱包フィルムは、積層した複数のトレーを載置したパレットにおける前記トレーの荷崩れを防止するためのものであり、パレットおよび積層した複数のトレーの側面と、最上部に積まれたトレーの上面とを、梱包フィルムで覆うことが図示されている。
【0004】
一方、特許文献2には、空気電池の使用前の段階における空気極の反応を確実に防止するとともに、空気電池の使用開始時においては、空気孔を保護するシート部材の外し忘れの問題などを解消して、迅速かつ確実に放電させ得るようにするために、空気孔が塞がれていない空気電池をパッケージ部材内に封入する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-68264号公報
【特許文献2】特開2019-67618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電池においては、製造後の使用開始までの段階で、種々の環境下に置かれる可能性があるが、アルカリ電池の場合、高温高湿環境下に置かれると、アルカリ電解液の電池外への漏出(漏液)が生じやすいといった問題がある。よって、アルカリ電池では、輸送される形態においても、こうした問題の発生を抑制する技術の開発が求められる。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温高湿環境下でのアルカリ電池の漏液を抑制し得るアルカリ電池の梱包体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアルカリ電池の梱包体は、アルカリ電池を収容するトレーと、前記トレーに収容された複数のアルカリ電池とを有し、収容された前記複数のアルカリ電池とともに前記トレーの全体がフィルム内に密封されており、前記フィルムの水蒸気透過度が、10g/m・24h以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高温高湿環境下でのアルカリ電池の漏液を抑制し得るアルカリ電池の梱包体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のアルカリ電池の梱包体の一例を模式的に表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
アルカリ電池は、外装体(電池容器)の封口に樹脂製のガスケットやシール材を使用していることが一般的であるが、高温高湿環境下では、この樹脂材料を通じて外部の水分が外装体の内部に侵入することがある。このようにして外装体の内部に侵入した水分とアルカリ電池内のアルカリ電解液の間では、濃度を均一にしようとする作用が生じるが、この作用によってアルカリ電解液の這い出し(クリーピング)が促進されて、アルカリ電解液の外部への漏出が引き起こされてしまう。
【0012】
そこで、本発明のアルカリ電池の梱包体では、アルカリ電池の貯蔵や輸送に利用されるトレーに複数個のアルカリ電池を収容し、それらのアルカリ電池をトレーと共に、特定の水蒸気透過度を満たすフィルム内に密封することで、アルカリ電池内への水分の侵入を抑制した。これにより、電池内でのアルカリ電解液のクリープ現象を生じ難くして、製造後のアルカリ電池の貯蔵段階や輸送段階などでの漏液の発生を抑えることを可能とした。
【0013】
図1に本発明のアルカリ電池の梱包体の一例を模式的に表す斜視図を示す。図1に示すアルカリ電池の梱包体10では、ボタン形電池を収容可能な凹部を有するトレー20、およびトレー20の前記凹部内に収容された20個のボタン形アルカリ電池30の全体を、フィルム40内に密封している。アルカリ電池の梱包体10の有するフィルム40は透明であり、図1に示すように、内部のトレー20およびボタン形アルカリ電池30が、外部から視認できるようになっている。ただし、本発明においては、前記フィルムは透明のものに限定されず、フィルム内に密封したアルカリ電池およびトレーが外側から視認できなくてもよい。また、ボタン形アルカリ電池30を保護するために、トレー20の上に蓋体などを配置してもよい。
【0014】
アルカリ電池の梱包体においてトレーおよびアルカリ電池を密封するためのフィルムは、その水蒸気透過度が、10g/m・24h以下、好ましくは6g/m・24h以下、より好ましくは1g/m・24h以下である。このような特性のフィルムによって複数個のアルカリ電池をトレーごと密封することで、貯蔵段階や輸送段階でのアルカリ電池の内部への水分の侵入を抑制して、漏液の発生を抑えることが可能となる。なお、前記フィルムはできるだけ水分を透過しないことが望ましく、水蒸気透過度が0g/m・24hに近いほど好ましい。
【0015】
本明細書でいうフィルムの水蒸気透過度は、日本産業規格(JIS) K 7129(2008)に準じて測定される値である。
【0016】
アルカリ電池の梱包体においてトレーおよびアルカリ電池を密封するためのフィルムとしては、各種の樹脂フィルムを使用することができる。その素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン12などの親水性の低いナイロン(ポリアミド)などが挙げられる。前記樹脂フィルムは単層構造でもよいが、多層構造のフィルム(多層フィルム)とすることもできる。例えば、多層フィルムとしては、ナイロン層とポリオレフィン層(ポリエチレン層やポリプロピレン層など)とを有するものなどが挙げられる。また、フィルムの全体の水分透過率が前記の値を満たすのであれば、前記のような水分透過率の低い素材で構成された層と、比較的水分透過性の高い樹脂の層との多層構造としてもよい。
【0017】
前記樹脂フィルムの厚みは、例えば、15~150μmであることが好ましい。
【0018】
また、前記フィルムとして、樹脂層と金属層とを有する多層フィルム(ラミネートフィルム)を使用することもできる。このようなラミネートフィルムの樹脂層は、ナイロンフィルム(ナイロン66フィルムなど)、ポリエステルフィルム〔ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなど〕、ポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルムなどにより構成することができる。これらの樹脂層の厚みは、5~100μmであることが好ましい。
【0019】
前記ラミネートフィルムの金属層には、アルミニウムフィルム〔アルミニウム箔(アルミニウム合金箔を含む)〕、ステンレス鋼フィルム(ステンレス鋼箔)などにより構成することができる。金属層の厚みは、10~150μmであることが好ましい。
【0020】
なお、金属層を有するラミネートフィルムの場合には、金属層を構成する前記の金属フィルムに、後述する熱融着樹脂層を設けて、トレーおよびアルカリ電池を密封するフィルムとすることもできる。
【0021】
さらに、前記フィルムとして、樹脂層と水蒸気バリア層とを有する多層フィルム(市販のガスバリアフィルム)を使用することもできる。このような多層フィルムの樹脂層には、金属層を有するラミネートフィルムの樹脂層を構成し得るものとして先に例示した各種のフィルムと同じものが挙げられる。
【0022】
水蒸気バリア層は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの無機酸化物で構成することができる。なお、酸化ケイ素で構成される水蒸気バリア層は、酸化アルミニウムで構成される水蒸気バリア層に比べて、水分の透過を抑制する機能が高い傾向にある。よって、水蒸気バリア層を構成する無機酸化物には、酸化ケイ素を採用することがより好ましい。
【0023】
無機酸化物で構成される水蒸気バリア層は、例えば蒸着法によって樹脂層を構成するフィルムの表面に形成することができる。水蒸気バリア層の厚みは、10~300nmであることが好ましい。
【0024】
フィルム内へトレーおよびアルカリ電池へ封入する際には、例えば2枚のフィルムを用意し、複数個のアルカリ電池を収容したトレーを2枚のフィルムで挟み、これらのフィルムの周縁部(図1においては、フィルム40の4辺の端部とその近傍)同士を、接着したり熱融着したりして封止する方法;複数個のアルカリ電池を収容したトレーをフィルムで形成された袋やチューブに入れ、その袋やチューブの開口端を接着したり熱融着したりして封止する方法;などが採用できる。
【0025】
2枚のフィルムの周縁部同士を接着したり、フィルムからなる袋やチューブの開口端を接着したりする際には、公知の接着剤を使用できる。ただし、フィルム内部への水分の侵入をより良好に抑制すると共に、トレーおよびアルカリ電池をフィルム内へ封入する際の作業性をより向上させる観点からは、フィルムの封止は熱融着で行うことが好ましい。
【0026】
よって、トレーおよびアルカリ電池を密封するための前記フィルムは熱融着性を有していることが好ましく、前記フィルムには必要に応じて熱融着樹脂層を設けることもできる。熱融着樹脂層を構成する熱融着樹脂としては、変性ポリオレフィンフィルム(変性ポリオレフィンアイオノマーフィルムなど)、ポリプロピレンおよびその共重合体などが挙げられる。熱融着樹脂層の厚みは、20~200μmであることが好ましい。
【0027】
アルカリ電池の梱包体において、フィルム内に密封するアルカリ電池は、その構成・構造や形状については、特に制限はなく、従来から知られている各種のアルカリ電池を対象とする。ただし、本発明によって抑制する漏液は、樹脂製のガスケットやシール材といった樹脂製の部材を含む封口構造を備えている場合に生じやすいため、このような封口構造を有するアルカリ電池を使用した場合に、本発明の効果が特に顕著となる。
【0028】
アルカリ電池の正極には、例えば、活物質として酸化銀(酸化第一銀、酸化第二銀など)、二酸化マンガン、オキシ水酸化ニッケル、銀とコバルト、ニッケルまたはビスマスとの複合酸化物などを用いることができる。これらの正極活物質を、例えば、導電助剤、バインダ、および塗料化または合剤化のために必要とされる水や電解液などと共に混合し、ニッケル発泡基材などの集電体の空孔内に充填したり、そのまま加圧成形したりすることにより、正極を形成できる。
【0029】
アルカリ電池の負極には、活物質として、亜鉛または亜鉛合金、水素吸蔵合金などを用いることができる。亜鉛または亜鉛合金は、亜鉛箔や亜鉛合金箔のような金属シートの形態で用いることもでき、また亜鉛粒子や亜鉛合金粒子、水素吸蔵合金粒子のような金属粒子の形態で用いることもできる。
【0030】
負極の活物質を金属粒子の形態で用いる場合、負極には、例えば、前記の金属粒子の他に、必要に応じて添加されるゲル化剤(ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなど)やバインダを含んでもよく、これにアルカリ電解液を加えることで構成される負極合剤(ゲル状負極)を使用してもよい。負極に含有させるアルカリ電解液には、電池容器に収容するアルカリ電解液と同じものを使用することができる。
【0031】
アルカリ電池に使用する使用するアルカリ電解液としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)の1種または複数種の水溶液(アルカリ電解液)などが好適に用いられ、水酸化カリウムの水溶液が特に好ましい。
【0032】
アルカリ電解液には、必要に応じて公知の各種添加剤を添加してもよい。例えば、アルカリ電池の負極に亜鉛または亜鉛合金を用いる場合、活物質の腐食(酸化)を防止するために、アルカリ電解液に酸化亜鉛を添加するなどしてもよい。酸化亜鉛は、負極に添加することもできる。
【0033】
アルカリ電池のセパレータについては、特に制限は無く、例えば、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。また、親水処理された微孔性ポリオレフィンフィルム(微孔性ポリエチレンフィルムや微孔性ポリプロピレンフィルムなど)とセロファンフィルムとビニロン・レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを積み重ねたものをセパレータとしてもよい。
【0034】
アルカリ電池の形態は、例えば、金属製の外装缶と金属製の封口缶と樹脂製のガスケットと備え、外装缶の開口部にガスケットを介して封口缶を嵌合させて封止する封口構造を有するボタン形の形態〔ボタン形電池(コイン形電池と称されるものも含む)〕や、円筒形などの筒形で金属製の外装缶と、金属製の封口板と、樹脂製のガスケットとを備え、内側に折り曲げた外装缶の開口端と、封口版とを、樹脂製のガスケットを介して嵌合させて封止する封口構造を有する筒形の形態(筒形電池)などが挙げられる。
【0035】
複数個のアルカリ電池を収容するトレーについては、特に制限はなく、アルカリ電池を収容する凹部を複数個備えた形態の、樹脂製のトレーなどを使用することができる。
【0036】
また、複数個のアルカリ電池を収容したトレーには、必要に応じて蓋体を被せてから、フィルム内に封入してもよい。
【0037】
また、複数個のアルカリ電池を収容したトレーをフィルム内に封入するに際しては、周知の方法によってフィルムの内部を減圧しておいてもよい。
【0038】
本発明のアルカリ電池の梱包体は、多数のアルカリ電池の、高温多湿となる可能性のある環境下での貯蔵や輸送の際に特に有用である。
【実施例0039】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
【0040】
実施例1
ステンレス鋼製の外装缶および封口缶と、ナイロン66製のガスケットとを有する電池値容器内に、酸化銀を活物質とする正極と、インジウムおよびビスマスを含有する亜鉛合金粒子を活物質とする負極と、これらの正極と負極とを隔離するセパレータと、水酸化カリウム水溶液からなるアルカリ電解液とを収容したボタン形アルカリ電池20個を、樹脂製のトレーの凹部に収容した。
【0041】
また、ナイロン層、変性ポリエチレン層、ナイロン層、変性ポリエチレン層、および直鎖型低密度ポリエチレン層が順次積層された厚みが100μmの5層構造のフィルム「Filmics BN(商品名、MICS化学株式会社)」(水蒸気透過度:5.3g/m・24h)を四角形に切断したものを2枚用意し、これらを重ねて3辺の周縁部を熱融着させて収容袋を形成した。
【0042】
ボタン形アルカリ電池を収容したトレーに蓋体として空のトレーを被せたものを前記収容袋の中に入れ、内部の空気を外部に吸引して真空に近い状態まで減圧しつつ袋の残りの1辺の周縁部を熱融着により封止して、アルカリ電池の梱包体を得た。
【0043】
実施例2
20個のボタン形アルカリ電池を収容したトレーに蓋体を被せたものと共に、40gのシリカゲルを、前記収容袋に入れた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電池の梱包体を作製した。
【0044】
実施例3
内部を減圧せずに収容袋を封止した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電池の梱包体を作製した。
【0045】
実施例4
収容袋を構成するフィルムとして、アルミニウム層(厚み:40μm)とナイロン層(厚み:25μm)とポリプロピレン熱融着樹脂層(厚み:30μm)とを有するアルミニウムラミネートフィルム(水蒸気透過度:<0.1g/m・24h)を使用した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電池の梱包体を作製した。
【0046】
実施例5
収容袋を構成するフィルムとして、実施例4で用いたアルミニウムラミネートフィルムを使用した以外は、実施例2と同様にしてアルカリ電池の梱包体を作製した。
【0047】
比較例1
収容袋を構成するフィルムとして、厚みが22μmのポリプロピレンフィルム(水蒸気透過度:14g/m・24h)を使用した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電池の梱包体を作製した。
【0048】
実施例1~5および比較例1のアルカリ電池の梱包体について、下記の貯蔵試験を行った。各梱包体を、60℃、相対湿度90%に調整した恒温槽内に入れて77日間貯蔵し、その後に、各梱包体内で漏液が発生したアルカリ電池の個数を確認し、総個数(20個)に対する割合を百分率で表して、漏液発生率を求めた。
【0049】
また、実施例1と同様にして20個のボタン形アルカリ電池を収容したトレーに蓋体を被せたものについても、フィルム内に密封しない状態で、比較例2として、実施例のアルカリ電池の梱包体と同じ貯蔵試験を行った。
【0050】
前記貯蔵試験の結果を表1に示す。なお、表1における「フィルム」の欄の「5層構造のフィルム」は、実施例1~3で使用した「ナイロン層/変性ポリエチレン層/ナイロン層/変性ポリエチレン層/直鎖型低密度ポリエチレン層が順次積層された5層構造のフィルム」を意味し、同「アルミニウムラミネートフィルム」は、実施例4、5で使用した「アルミニウム層とナイロン層とポリプロピレン熱融着樹脂層を有するラミネートフィルム」を意味している。また、表1における「圧力」の欄の「減圧」は、フィルムの袋の最後の1辺の熱融着を行う際に、内部の空気を外部に吸引したことを意味しており、同「常圧」は、これを実施していないことを意味している。
【0051】
【表1】
表1に示す通り、複数個のアルカリ電池と、これを収容したトレーとの全体を、適正な水蒸気透過度を有するフィルムで密封して構成した実施例1~5のアルカリ電池の梱包体は、アルカリ電池の漏液発生率が、フィルムによる密封をしていない比較例2や、水蒸気透過度の大きなフィルムで密封した比較例1の梱包体に比べて低下しており、漏液の発生を良好に抑制できていた。
【符号の説明】
【0052】
10 アルカリ電池の梱包体
20 トレー
30 アルカリ電池(ボタン形電池)
40 フィルム
図1