(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142410
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】誘導装置
(51)【国際特許分類】
G08B 5/00 20060101AFI20241003BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20241003BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08B5/00 C
G08B17/00 F
G08B23/00 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054543
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢部 周子
(72)【発明者】
【氏名】山口 純一
(72)【発明者】
【氏名】岸上 昌史
(72)【発明者】
【氏名】徳納 雄介
【テーマコード(参考)】
5C083
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C083AA02
5C083CC25
5C083JJ25
5C087AA19
5C087EE05
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG68
5C087GG82
5G405AA08
5G405AD07
5G405CA22
5G405CA28
5G405FA03
(57)【要約】
【課題】誘導装置の発見しやすさを高める。
【解決手段】通路誘導灯10は、避難口の位置又は方向を示す指標17,18を表示する表示面14Aを備え、表示面14Aと異なる領域に、指標17,18の表示に使用された表示色に対応した色を呈する誘導面である透光部15を備える。透光部15は、表示パネル14を取り付けたフレーム13に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難口の位置又は方向を示す指標を表示する表示面を備え、
前記表示面と異なる領域に、前記指標の表示に使用された表示色に対応した色を呈する誘導面を構成することを特徴とする誘導装置。
【請求項2】
光源と、
前記光源の光を前記誘導面から透過させる透光部と、をさらに備える、請求項1に記載の誘導装置。
【請求項3】
光源をさらに備え、
前記光源により前記誘導装置の周囲の室内面を照らすことにより、照らした前記室内面を前記誘導面とする、請求項1に記載の誘導装置。
【請求項4】
前記誘導装置の背面から前記光源の光を射出する、請求項3に記載の誘導装置。
【請求項5】
前記光源の光を反射する反射部を前記誘導装置の背面に備え、前記反射部の表面を誘導面として構成する請求項4に記載の誘導装置。
【請求項6】
前記反射部は、前記誘導装置の背面に対して斜めに延在する、請求項5に記載の誘導装置。
【請求項7】
前記表示面を有する表示パネルと、
前記表示パネルが取り付けられる筐体と、
前記筐体及び前記表示パネルを収容するカバーと、を備え、
前記カバーは、前記誘導面を含むとともに前記表示色を呈する透光部を有する、請求項1に記載の誘導装置。
【請求項8】
前記光源は通常状態は消灯し、
非常状態を検知する制御部から点灯指令を受信した場合に点灯する、請求項2又は3に記載の誘導装置。
【請求項9】
前記誘導面の前記表示色は緑色である、請求項1に記載の誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時の避難誘導を支援する誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建物には、避難口の位置及び方向を示す誘導灯又は誘導標識の設置が義務付けられている。火災の発生等により煙が存在する環境では、避難者が避難経路を視認しづらくなる。また、火災を含む災害発生時には避難者は心理的に動揺しやすい。このように、災害発生時においては、避難者は、誘導灯又は誘導標識が示す避難口の位置又は方向を認識しにくくなる。
【0003】
これに対し、誘導表示部の側方または下方に複数の補助光源を備えた誘導灯が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この誘導灯は、器具本体の前面(表示面)に、避難誘導のピクトグラム等の指標が描かれた誘導表示部を備えている。誘導灯は、器具本体の前面であって、誘導表示部の側方に補助光源を備える。誘導灯は、複数の補助光源を順に点滅させることにより、避難方向を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、誘導灯は、建物の壁面に沿って、避難口への進行方向と平行に設置されるのが一般的である。このため、誘導灯の正面に位置する避難者は、指標が表示された表示面を視認することができる一方で、進行方向において誘導灯の手前又は奥側に位置する避難者の視野には表示面が入りにくい。つまり、後者のような避難者にとっては、少なくとも、誘導灯を探索していなくても視線が引きつけられる誘目性、及び、誘導灯を探索しているときの発見しやすさとしての視認性が低い状態となる。
【0006】
したがって、誘導灯の表示面が見えにくい場合にも、誘導灯を発見しやすくすることが要請されていた。また、誘導灯だけでなく、誘導標識についても同様の課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する誘導装置は、避難口の位置又は方向を示す指標を表示する表示面を備え、前記表示面と異なる領域に、前記指標の表示に使用された表示色に対応した色を呈する誘導面を構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誘導装置の発見しやすさを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の通路誘導灯の概略を示す斜視図。
【
図2】同実施形態における通路誘導灯の電気的構成を示す模式図。
【
図3】同実施形態の避難口誘導灯の概略を示す斜視図。
【
図4】同実施形態の通路誘導灯の作用を説明する図。
【
図5】第2実施形態の通路誘導灯の概略を示す上面図。
【
図6】同実施形態の通路誘導灯の概略を示す側面図。
【
図7】第3実施形態の通路誘導灯の概略を示す斜視図。
【
図9】同実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【
図10】同実施形態の避難者の位置と候補面との位置関係を説明する図。
【
図13】変形例の通路誘導灯の電気的構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1及び
図2を参照して、誘導装置の第1実施形態について説明する。誘導装置は、誘導灯又は誘導標識である。誘導灯は、通路誘導灯又は避難口誘導灯である。誘導標識は、誘導標識又は避難口誘導標識である。本実施形態では、誘導灯について説明する。
【0011】
図1は、通路誘導灯10を示す。通路誘導灯10は、室内壁である建物の壁や天井に取り付けられる。通路誘導灯10は、筐体12、フレーム13、及び表示パネル14を備える。筐体12は、内部に光源装置等を内蔵している。
【0012】
四角枠状のフレーム13は、筐体12の開口部に取り付けられる。表示パネル14はフレーム13に取り付けられる。表示パネル14は、透光性を有する材料から形成されている。表示パネル14の表示面14Aには、避難口への進行方向を示す指標17,18が表示されている。表示面14Aは、表示面を構成する。表示パネル14は、白い地に、表示色である緑色の片矢印である指標17や、避難口のピクトグラム(図柄、図記号)である指標18を表示している。なお、指標17,18は、避難口の方向を示すものであればよく、
図1に示すものに限られない。
【0013】
表示パネル14に用いられる緑色は、消防法告示第二号 第五(六)に準拠する色度座標の緑色である。
フレーム13は、避難口への進行方向において奥側、すなわち避難口側に位置する側面13Bと、避難口側の側面13Bに対して反対側となる側面13Aとを有する。このうち側面13Aは、発見しやすさを高める誘導面を構成する。具体的には、側面13Aは、その全体又は一部が表示色又は表示色に近い緑色を呈している。側面13Aの緑色は、上記消防法告示に準拠する緑色のほか、「JIS Z9103:2018 図記号‐安全色及び安全標識‐安全色の色度座標の範囲及び測定方法」に安全色として定められた色でもよい。同規格では、安全色を、XYZ表示系における色度座標及び輝度率の範囲を定めることにより特定している。本実施形態では、側面13Aの一部が緑色である。
【0014】
一方、避難口側の側面13Bは緑色以外の色である。側面13Bは、例えば白色等の無彩色を呈する。これにより、進行方向が適切である避難者は緑色の側面13Aを視認することが可能であるが、避難口への方向と逆方向へ移動する避難者は側面13Aを視認できず白色の側面13Bを視認する。側面13A,13Bを緑色にするか否かは、避難口への進行方向に応じて決定すればよい。
【0015】
本実施形態では、フレーム13の側面13Aを有する壁部には、貫通孔16が形成されている。貫通孔16はフレーム13の壁部を貫通している。貫通孔16には、表示色を呈する透光部15が嵌合されている。透光部15は、緑色に着色された透光性材料からなる板状の部材である。又は、透光部15は、無色透明の板状部材の表面若しくは表面及び裏面を緑に着色されることで緑色を呈していてもよい。なお、側面13Bは、貫通孔16を省略してもよい。側面13Bに貫通孔16を設ける場合には、貫通孔16に無色透明又は白色の板状部材を設けてもよい。
【0016】
図2に示すように、通路誘導灯10は、電源ユニット50、光源装置51、及びバッテリ52を備える。電源ユニット50は、商用電源等の外部電源53から電力を供給される。電源ユニット50は、交流電圧を直流電圧に変換する。また、電源ユニット50は、光源装置51に供給する電圧、及びバッテリ52を充電させる充電電圧を生成する。バッテリ52は、電源ユニット50から供給された電力により充電される。また、電源ユニット50は、外部電源53から電源ユニット50に交流電圧が供給されているか否かを監視する。そして、電源ユニット50は、停電時に、バッテリ52から供給された電力を用いて駆動電圧を生成する。そして、駆動電圧を光源装置51に供給する。光源装置51は、LED、蛍光ランプなどの光源を備える。光源装置51は光を照射する。なお、誘導標識は、蓄光式の標識であるため電源ユニット50、光源装置51及びバッテリ52を必要としない。
【0017】
図3は、避難口誘導灯11である。避難口誘導灯11は、避難口の上方等に設けられることにより、避難口の位置を示す。避難口誘導灯11は、表示パネル14の指標19が通路誘導灯10と異なっている。また、避難口誘導灯11は、両側の側面13A,13Bに透光部15を備えることにより、表示色である緑色を呈している。そのほかの構成は、通路誘導灯10と同様である。これにより、避難口に向かって移動する避難者は、緑色の側面13A,13Bの何れかを視認することができる。なお、指標19は、避難口の位置を示すものであればよく、
図3に示すものに限られない。
【0018】
(作用)
次に誘導装置の作用について説明する。ここでは、通路誘導灯10の作用について説明するが、避難口誘導灯11についても同様の作用が得られる。
【0019】
図4は、通路誘導灯10が設置された建物内の空間を示す。通路誘導灯10は、廊下の壁面101に平行に設けられている。
図4の例では、通路誘導灯10は、廊下の室内面100である天井102に取り付けられている。光源装置51が照射した照明光は、表示パネル14の表示面14Aを透過する。また、照明光は、表示パネル14の表示面14Aだけでなく、透光部15を透過する。照明光が透光部15を透過することにより、透光部15は緑色に光ってみえる。
【0020】
通路誘導灯10は、壁面101と平行に設けられているため、通路誘導灯10の正対方向においては通路誘導灯10の表示面14Aの見かけの大きさが大きくなる。通路誘導灯10の正面に位置する避難者にとっては表示面14Aの誘目性及び視認性が高い。このため通路誘導灯10を発見しやすくすることができる。一方、
図4に示すように、通路誘導灯10の非正対方向からは、表示面14Aの見かけの大きさが小さいため、表示面14Aの誘目性及び視認性が低い。正対方向は、表示面14Aの法線方向に対して避難者が通路誘導灯10を見る方向である視線との視方向角が所定の角度以下の方向である。非正対方向は視方向角が所定の角度を超える方向である。視方向角が90°に近づくほど、見付面積が小さくなる。
【0021】
一方で、通路誘導灯10の手前に位置する避難者からは、側面13Aの見かけの大きさが大きい。また、通路誘導灯10の側面13Aにおいて透光部15は緑色に光って見える。つまり、通路誘導灯10の側面13Aは、非正対方向において誘目性及び視認性が高く、見つけやすい状態となる。
【0022】
避難口への方向において通路誘導灯10の手前に位置する避難者は、透光部15が透過する緑色の光を容易に見つけることができる。透光部15は光を透過するため、建物内に煙110が発生した場合においても見つけやすい。そして、避難者は、視認した光が、指標17,18を表示する表示色と同じか若しくは近い緑色であることから、通路誘導灯10があることを認識することができる。また、避難口への方向と反対方向に移動する避難者は、緑色以外の側面13Aを視認する。この避難者は、周囲を見回して、緑色の光を発する通路誘導灯10又は避難口誘導灯11が位置する方向へ移動することで、避難口に向かうことができる。
【0023】
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)第1実施形態では、表示パネル14の表示面14Aとは異なる領域に、指標17~19の表示に使用された表示色に対応した緑色を呈する誘導面を構成する。第1実施形態において誘導面は、通路誘導灯10の側面13A及び避難口誘導灯11の側面13A,13Bである。このため、通路誘導灯10及び避難口誘導灯11の表示面14Aの見かけの大きさが小さくなる位置からそれらの誘導灯を見た場合であっても、通路誘導灯10及び避難口誘導灯11の発見しやすさを高めることができる。
【0024】
(1-2)第1実施形態では、通路誘導灯10及び避難口誘導灯11は、光源装置51及び誘導面から光を透過させる緑色の透光部15を備える。このため、非正対方向からの誘導面の見付面積を大きくすることができる。避難者は、透光部15を透過した緑色の光を視認することにより通路誘導灯10又は避難口誘導灯11を認識しやすくなる。
【0025】
(1-3)第1実施形態では、透光部15は緑色である。緑色は誘導灯や誘導標識に用いられる色であると認識されているため、避難者は、緑色の誘導面を視認することによって、直観的に通路誘導灯10及び避難口誘導灯11を認識することができる。
【0026】
(第2実施形態)
次に
図5及び
図6を参照して、誘導装置の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、誘導灯の側面が誘導面を構成するようにした。これに代えて、第2実施形態では、誘導装置に隣接する室内面と誘導灯が有する反射部の表面とが誘導面を構成する。以下、第1実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0027】
本実施形態では、誘導装置を通路誘導灯に例示して説明する。
図5は、通路誘導灯20を上から見た図である。通路誘導灯20は、室内面100である壁面101に取り付けられている。通路誘導灯20は、背面に、1対の反射部22を備えている。本実施形態では、反射部22は、通路誘導灯20の本体21を壁面101に固定する支持部としても機能する。本体21は、筐体12、フレーム13及び表示パネル14を有する。
【0028】
各反射部22の一端は、本体21の背面の中心部に固定されている。反射部22は、本体21の背面の法線方向に対して交差する方向に延在している。より具体的には反射部22は、一端から壁面101に固定された他端にむかって相対距離が大きくなるように、本体21の背面に対して斜めに延在している。反射部22の側面23,24には、反射率を高めるために反射材が設けられていてもよい。
【0029】
本体21の背面には、発光部25が設けられている。発光部25は、壁面101に向かって照明光Lを照射する。発光部25は、例えば筐体12内に内蔵された補助光源(図示略)又は光源装置51が照射した光を透過する透光部を有している。透光部の材料は第1実施形態の透光部15と同様である。又は、発光部25は緑色の光を壁面101に向かって照射する補助光源のみであってもよい。
【0030】
図6は、通路誘導灯20の側面図である。反射部22は、通路誘導灯20と壁面101との間に位置するとともに、側方からみて矩形状の形状を有する。発光部25は、壁面101に向かって緑色の光を照射する。これにより、壁面101のうち光が照射された領域は緑色となる。この壁面101は、誘導面を構成する。
【0031】
また、発光部25から照射した光は、反射部22の両側の側面23,24(
図4及び
図5参照)を照らす。これにより、反射部22の側面23,24は緑色を呈する。側面23,24も誘導面を構成する。
【0032】
発光部25が壁面101を緑色に照らすことにより、通路誘導灯20の周囲に位置する避難者が通路誘導灯20を発見しやすくなる。また、側面23,24が緑色の光を反射することにより、通路誘導灯20を正面ではなく側面23,24側からみた避難者は通路誘導灯10を認識しやすくなる。また、反射部22が斜めに延在することにより、反射部22が本体21の背面の法線方向に延在する場合に比べ、反射光を多くすることができる。これにより、側面23,24の誘目性、視認性を高めることができる。なお、避難口誘導灯についても、通路誘導灯20と同様の効果が得られる。
【0033】
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-3)に記載の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(2-1)第2実施形態では、通路誘導灯20は壁面101を照らすことにより、壁面101を誘導面とする。このため、通路誘導灯20の発見しやすさを高めることができる。
【0034】
(2-2)第2実施形態では、通路誘導灯20の本体21の背面から光源装置51の光を壁面101に向かって照射する。このため、通路誘導灯20の発見しやすさを高めることができる。
【0035】
(2-3)第2実施形態では、反射部22が通路誘導灯20の背面に設けられる。反射部22の側面23,24は、誘導面を構成する。このため、非正対方向において、誘導面である側面23,24の見かけの大きさが大きくなるため、通路誘導灯20の発見しやすさを高めることができる。
【0036】
(2-4)第2実施形態では、反射部22は室内面100に対して斜めに延在する。このため、反射部22が室内面100の法線方向と平行である場合に比べ、側面23,24に入射する入射光が多くなる。このため、反射部22による反射光を多くすることができる。
【0037】
(第3実施形態)
次に
図7を参照して、誘導装置の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、誘導灯に設けられたカバーが誘導面を構成する。以下、第1実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0038】
本実施形態では、誘導装置を、通路誘導灯に例示して説明する。
図7に示すように、通路誘導灯30は、カバー31を備える。カバー31は、正面に開口部32を有する。カバー31の両側の側壁部のうち少なくとも一方は、緑色を呈する透光部33である。透光部33は誘導面である側面34を構成する。透光部33は、第1実施形態の透光部15と同様の構成である。側面35を有する側壁部も、透光部33としてもよい。
【0039】
カバー31の開口部32は、表示パネル14の表示面14Aを露出している。光源装置51が照射した光は、正面だけでなく側方にも射出される。このため、透光部33は、表示パネル14から射出した光を透過させる。これにより、カバー31の側面34,35が緑色を呈する。
【0040】
これにより、第1実施形態と同様に、カバー31の側面34を視認した避難者は、通路誘導灯30を認識しやすくなる。なお、避難口誘導灯についても、通路誘導灯30と同様の効果が得られる。
【0041】
以上説明したように、第3実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-3)に記載の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(3-1)第3実施形態では、通路誘導灯30は、筐体12及び表示パネル14を収容するカバー31を備える。カバー31は、誘導面を含むとともに表示色を呈する透光部33を備える。このため、既存の通路誘導灯にカバー31を取り付けることによって、誘導面を構成することができる。
【0042】
(第4実施形態)
次に
図8及び
図9を参照して、誘導装置の誘導面を決定する第4実施形態について説明する。以下、第1実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施形態において「誘導装置」は、誘導灯のほか、誘導標識を含む。
図8は、誘導装置の誘導面を決定する情報処理装置60の構成を示す。情報処理装置60は、制御部61、記憶部62、入力部63及び出力部64を備える。制御部61は、CPU等の演算装置、演算結果を一時的に保存するメモリ等を備える。記憶部62は、ハードディスクなどの記憶媒体である。記憶部62は、建物内の誘導装置の位置を示す位置データ65を記憶する。位置データ65は、誘導装置の位置を、通路誘導灯、避難口誘導灯、通路誘導標識及び避難口誘導標識といった種別と関連付けて記録する。入力部63は、タッチパネルやマウスなどの入力操作部である。出力部64は、ディスプレイやプリンター等である。制御部61は、記憶部62に記憶されたプログラムに従って、誘導面を決定する処理を行う。
【0044】
図9は、誘導面を決定する処理の手順を示す。制御部61は、位置データ65に基づいて、一つの誘導装置の位置を特定する(ステップS1)。制御部61は、建物内における避難者の位置を特定する(ステップS2)。ここでは、避難者の位置を、誘導装置の正面ではなく、誘導装置が設置される建物の空間において、避難口への方向の手前又は奥側に特定する。また避難者の位置の特定方法は特に限定されないが、例えば平均的な身長の成人の頭部(又は両目の中間点)の位置を想定したものであってもよい。
【0045】
誘導装置には、複数の誘導面の候補が設定されている。誘導面の候補は、種別毎に異なっていてもよい。誘導面の候補は、誘導装置の側面、背面、上面、或いは誘導装置が設けられる室内面100である。室内面100には壁面及び天井が含まれる。制御部61は、誘導面の全ての候補を特定し、ステップS2で特定した避難者の位置から見た全ての候補の見かけの大きさを計算する(ステップS3)。例えば、見かけの大きさは、立体角で表される。
【0046】
図10を参照して誘導面の候補S1の立体角ωについて説明する。
図10において避難者の位置を位置Pとする。候補S1を底面とし位置Pを頂点とする錐体C1を考えたとき、立体角ωは、位置Pを中心とする半径Rの球面S2と錐体C1の交わる部分Sの面積SAを用いて、以下の「式1」で定義される。
【0047】
ω=SA/R
2 …(式1)
候補S1は、
図10に例示するような球面S2の径方向と略平行な法線を有する面とは限らない。
【0048】
制御部61は、全ての候補のうち最大の見かけの大きさを有する候補を特定する(ステップS4)。そして、特定した候補の見かけの大きさが、予め定めた大きさ(所定の大きさ)以上であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0049】
制御部61は、最大の見かけの大きさが所定の大きさ以上であると判定すると(ステップS5:YES)、特定した候補を誘導面として(ステップS6)処理を終了する。
制御部61は、最大の見かけの大きさが所定の大きさ未満であると判定すると(ステップS5:NO)、ステップS4で特定した候補の次に大きい見かけの大きさを有する候補を特定する(ステップS7)。例えばステップS4で最も大きい見かけの大きさを有する候補を特定した場合には、2番目に大きい見かけの大きさを有する候補を特定する。そして、制御部61は、既に特定した見かけの大きさに、ステップS7で特定した候補の見かけの大きさを合算する(ステップS8)。このとき、既に特定した最も大きい見かけの大きさを有する候補と、2番目に大きい見かけの大きさを有する候補が、避難者の位置から重なって見えるとき、
図10に例示するそれらの候補S1のうち位置Pから見える部分Sを合わせて面積SAとして算出する一方で、その重なりによって位置Pから見えなくなった面(隠面)は面積SAに含めないようにしてもよい。また、複数の候補S1が重なり合っている場合には、重なり合った各候補S1の集合体を一つの底面と見なすとともに、その底面を有する錐体C1を設定して立体角ωを算出するようにしてもよい。
【0050】
制御部61は、ステップS5に戻り、ステップS8で合算した見かけの大きさについて所定の大きさ以上であるか否かの判定を行う。制御部61は、合算した見かけの大きさが所定の大きさ以上であると判定すると(ステップS5:YES)、特定した全ての候補を誘導面とする(ステップS6)。一方、制御部61は、合算した見かけの大きさが所定の大きさ未満であると判定すると(ステップS5:YES)、次に大きい見かけの大きさを有する候補を特定し(ステップS7)、その候補の見かけの大きさを既に合算した見かけの大きさに合算する(ステップS8)。このように見かけの大きさが所定の大きさ以上になるまで、ステップS5~S8を繰り返すことによって、複数の誘導面を特定する。
【0051】
第4実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4-1)第4実施形態によれば、一つの誘導灯又は誘導標識について、避難者からみた誘導面の候補の見かけの大きさに応じて、誘導面の位置を決定する。このため、視認性及び誘目性の高い位置に誘導面を設けることができる。
【0052】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
(発光部)
・第2実施形態において、通路誘導灯20の本体21の背面に発光部25を設けた。また、本体21の背面に反射部22を設けたが、反射部22を省略してもよい。
図11に示すように、通路誘導灯40は、室内面100である天井102に固定されている。また、本体21の背面に設けられた発光部25は、壁面101に光を照射する。この態様においても通路誘導灯40の周囲に位置する避難者は、発光部25から拡散された緑色の光又は壁面101に反射した緑色の光を視認することができる。なお、避難口誘導灯も通路誘導灯40以外と同様の構成とすることができる。
【0053】
・
図12に示すように、通路誘導灯43は、上面43Aに1又は複数の発光部44を備えてもよい。発光部44は、本体21内に内蔵されていてもよい。この態様において、通路誘導灯43は、支持部45を備える。支持部45は、一端が本体21の上面43Aに固定されるとともに他端が天井102に固定される。発光部44が照射する照明光Lは、筐体12に形成された孔46を介して天井102を照らす。この態様においても、通路誘導灯40の周囲に位置する避難者は、発光部44から拡散された緑色の光又は壁面101に反射した緑色の光を視認することができる。この態様においては、天井102が誘導面を構成する。
【0054】
(反射部)
・第2実施形態では、反射部22は、本体21の背面の法線方向に対して交差する方向に延在するものとしたが、反射部22は、本体21の背面に設けられていればよく、この構成に限定されない。反射部22は、背面の法線方向と平行に延在していてもよい。また、本体21の背面に1対の反射部22が設けられる代わりに、1又は3以上の反射部22が設けられていてもよい。
【0055】
(誘導面)
・第1実施形態では、片矢印の指標17を表示した通路誘導灯10のうち、避難口への方向において手前に位置する側面を誘導面とし、その反対側の側面は誘導面を構成しない態様とした。これに代えて、片矢印の指標17を表示していても、通路誘導灯10の両側の側面13A,13Bが誘導面を構成してもよい。また、両矢印の指標を表示した通路誘導灯10において、側面13A,13Bが誘導面を構成していてもよい。
【0056】
・第1実施形態では、通路誘導灯10の側面13A、避難口誘導灯11の側面13A,13Bを誘導面とした。第2実施形態では、反射部22の側面23,24を誘導面とするとともに室内面100を誘導面とした。誘導面は、避難者が見やすい位置に設ければよい。例えば、誘導灯又は誘導標識の上面、下面を誘導面としてもよい。又は、室内面100である床面を誘導面としてもよい。また誘導灯が建物内に設置された照射対象物(例えば、非常扉)に光を照射することで、その表面を誘導面としてもよい。
【0057】
(点灯制御)
・
図13に示すように、誘導面を構成するための補助光源装置54を光源装置51とは別に設けるようにしてもよい。例えば、第1実施形態における通路誘導灯10においては透光部15の近傍に補助光源装置54を設置する。第2実施形態の通路誘導灯20においては発光部25の光源を補助光源装置54とする。また、電源ユニット50は、インターフェース部(I/F部)55を介して管理センター(サーバ)又は煙検知器から点灯指令信号を取得する。電源ユニット50は、点灯指令信号を取得すると、補助光源装置54を点灯する。この態様によれば、補助光源装置54は通常状態は消灯し、非常状態を検知する制御部としての電源ユニット50から点灯指令を受信した場合に点灯する。つまり、誘導面は非常状態にのみ照らされるため、通常状態においては建物内において目立たないようにすることができる。また、このように補助光源装置54を用いる場合、表示面14Aを照射する光源装置51とは別の態様で光を射出することができる。例えば、補助光源装置54は、点滅してもよい。
【0058】
(透光部)
・第1実施形態では、フレーム13に設けられた貫通孔16に透光部15を設けることにより誘導面を構成した。これに代えて、
図14に示すように筐体12及びフレーム13に切欠部47,48を形成してもよい。そして、切欠部47,48を組み合わせることで貫通孔16を構成してもよい。貫通孔16には透光部15が嵌合される。或いは、筐体12のみに貫通孔16を形成するとともに、この貫通孔16に透光部15を設けるようにしてもよい。
【0059】
(誘導標識)
・上記各実施形態では、誘導装置を通路誘導灯又は避難口誘導灯とした。これに代えて、誘導装置は、誘導標識であってもよい。誘導標識は、少なくとも一方の側面が緑色に着色されている。この態様であっても、誘導標識の発見しやすさを高めることができる。
【符号の説明】
【0060】
10,20,30,40,43…通路誘導灯、11…避難口誘導灯、12…筐体、13…フレーム、13A,13B…側面、14…表示パネル、14A…表示面、15…透光部、16…貫通孔、17~19…指標、20…通路誘導灯、21…本体、22…反射部、23,24…側面、25…発光部、30…通路誘導灯、31…カバー、32…開口部、33…透光部、34,35…側面、43A…上面、44…発光部、45…支持部、46…孔、47,48…切欠部、50…電源ユニット、51…光源装置、52…バッテリ、53…外部電源、54…補助光源装置、55…インターフェース部、60…情報処理装置、61…制御部、62…記憶部、63…入力部、64…出力部、65…位置データ。