(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142411
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20241003BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
G06Q30/0601 320
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054545
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】520456402
【氏名又は名称】エミウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】稲田 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴彦
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L030BB66
5L049BB66
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】歯科技工物の製作に関するコミュニケーションをより円滑にすることが可能な仕組みを提供する。
【解決手段】ひとつ以上の歯科技工物の製作指示に関する情報の入力を受け付けるUI画面を生成し、前記UI画面において入力された情報に基づいて歯科技工指示書の電子データを生成する制御部を備え、前記制御部は、前記UI画面においてすでに入力された情報に基づいて、入力可能な残りの情報の候補を提案する、情報処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひとつ以上の歯科技工物の製作指示に関する情報の入力を受け付けるUI画面を生成し、前記UI画面において入力された情報に基づいて歯科技工指示書の電子データを生成する制御部を備え、
前記制御部は、前記UI画面においてすでに入力された情報に基づいて、入力可能な残りの情報の候補を提案する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記UI画面は、前記歯科技工物ごとに、前記製作指示に関する複数の項目の各々についてひとつ以上の選択肢を提示して1つの前記選択肢を選択する入力を受け付け、
前記制御部は、第1の項目について選択された前記選択肢に基づいて、第2の項目について提示する前記選択肢を絞り込む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記UI画面において入力された第1の歯科技工物の情報に基づいて、第2の歯科技工物の情報として入力可能な情報の候補を提案する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記UI画面において入力された第3の歯科技工物の情報に基づいて、前記第3の歯科技工物に関連する第4の歯科技工物の情報が入力されていないことを警告する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記UI画面において入力された健康保険の適用有無に基づいて、前記候補を提案する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、発注先の歯科技工所の情報にさらに基づいて、前記候補を提案し、
前記発注先の歯科技工所の情報は、製作可能な歯科技工物の種別、材料在庫、又は納期の少なくともいずれか1つを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、歯科技工物の発注先として選択可能な歯科技工所を、前記候補として提案する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、患者のために過去に製作された歯科技工物の情報にさらに基づいて、前記候補を提案し、
前記歯科技工物の情報は、対象歯、歯科技工物の種別、材料、又はシェードの少なくともいずれか1つを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、記憶装置にアップロードされた複数の3Dデータのうち、前記UI画面において入力された情報に基づいて患者の口腔内の3Dデータとして識別された3Dデータを、前記候補として提案する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
ひとつ以上の歯科技工物の製作指示に関する情報の入力を受け付けるUI画面を生成することと、
前記UI画面においてすでに入力された情報に基づいて、入力可能な残りの情報の候補を提案することと、
前記UI画面において入力された情報に基づいて歯科技工指示書の電子データを生成することと、
を含む情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
ひとつ以上の歯科技工物の製作指示に関する情報の入力を受け付けるUI画面を生成し、前記UI画面において入力された情報に基づいて歯科技工指示書の電子データを生成する制御部として機能させ、
前記制御部は、前記UI画面においてすでに入力された情報に基づいて、入力可能な残りの情報の候補を提案する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歯科技工物の製作のスマート化が進んでいる。例えば、3D(Dimension)カメラ、CT(Computed Tomography)スキャナ、又はCAD/CAM(Computer-Aided Design/Computer-Aided Manufacturing)装置等を用いて、歯科技工物を設計及び製作することが普及している。
【0003】
歯科技工物の製作を発注する歯科医院又は歯科技工所と、発注を受けて歯科技工物を製作する歯科技工所と、の間のコミュニケーションに関してもスマート化が進みつつある。例えば、下記特許文献1では、歯科技工物のWEB受発注システムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術は、開発されてから未だ日が浅く、様々な観点で向上の余地が残されている。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、歯科技工物の製作に関するコミュニケーションをより円滑にすることが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ひとつ以上の歯科技工物の製作指示に関する情報の入力を受け付けるUI画面を生成し、前記UI画面において入力された情報に基づいて歯科技工指示書の電子データを生成する制御部を備え、前記制御部は、前記UI画面においてすでに入力された情報に基づいて、入力可能な残りの情報の候補を提案する、情報処理装置が提供される。
【0008】
前記UI画面は、前記歯科技工物ごとに、前記製作指示に関する複数の項目の各々についてひとつ以上の選択肢を提示して1つの前記選択肢を選択する入力を受け付け、前記制御部は、第1の項目について選択された前記選択肢に基づいて、第2の項目について提示する前記選択肢を絞り込んでもよい。
【0009】
前記制御部は、前記UI画面において入力された第1の歯科技工物の情報に基づいて、第2の歯科技工物の情報として入力可能な情報の候補を提案してもよい。
【0010】
前記制御部は、前記UI画面において入力された第3の歯科技工物の情報に基づいて、前記第3の歯科技工物に関連する第4の歯科技工物の情報が入力されていないことを警告してもよい。
【0011】
前記制御部は、前記UI画面において入力された健康保険の適用有無に基づいて、前記候補を提案してもよい。
【0012】
前記制御部は、発注先の歯科技工所の情報にさらに基づいて、前記候補を提案し、前記発注先の歯科技工所の情報は、製作可能な歯科技工物の種別、材料在庫、又は納期の少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0013】
前記制御部は、歯科技工物の発注先として選択可能な歯科技工所を、前記候補として提案してもよい。
【0014】
前記制御部は、患者のために過去に製作された歯科技工物の情報にさらに基づいて、前記候補を提案し、前記歯科技工物の情報は、対象歯、歯科技工物の種別、材料、又はシェードの少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0015】
前記制御部は、記憶装置にアップロードされた複数の3Dデータのうち、前記UI画面において入力された情報に基づいて患者の口腔内の3Dデータとして識別された3Dデータを、前記候補として提案してもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、ひとつ以上の歯科技工物の製作指示に関する情報の入力を受け付けるUI画面を生成することと、前記UI画面においてすでに入力された情報に基づいて、入力可能な残りの情報の候補を提案することと、前記UI画面において入力された情報に基づいて歯科技工指示書の電子データを生成することと、を含む情報処理方法が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、ひとつ以上の歯科技工物の製作指示に関する情報の入力を受け付けるUI画面を生成し、前記UI画面において入力された情報に基づいて歯科技工指示書の電子データを生成する制御部として機能させ、前記制御部は、前記UI画面においてすでに入力された情報に基づいて、入力可能な残りの情報の候補を提案する、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、歯科技工物の製作に関するコミュニケーションをより円滑にすることが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの概要を説明するための図である。
【
図2】同実施形態に係るプロジェクト画面の一例を示す図である。
【
図3】同実施形態に係るプロジェクト画面の一例を示す図である。
【
図4】同実施形態に係る詳細表示画面の一例を示す図である。
【
図5】同実施形態に係る詳細表示画面の一例を示す図である。
【
図6】同実施形態に係る端末装置により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】同実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
<1.概要>
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の概要を説明するための図である。
図1に示すように、システム1は、複数の端末装置10(10A~10C)、制御装置20、及び複数の歯科技工所30(30A~30C)を含む。端末装置10と制御装置20、並びに制御装置20と歯科技工所30とは、インターネット等のネットワークを介して接続される。
【0022】
端末装置10は、歯科技工物の製作指示を入力するユーザ操作を受け付ける情報処理装置である。端末装置10を操作するユーザは、歯科医師、又は歯科医師の監督の元に作業する、歯科技工士又は看護師等のスタッフである。端末装置10は、歯科医院に配置される。そして、端末装置10は、UI(User Interface)画面を表示して、患者の口腔に装着される歯科技工物の製作指示を入力するユーザ操作を受け付ける。ここでの歯科技工物の製作指示とは、歯科技工物の設計、歯科技工物の製作の方法、及び歯科技工物に使用する材料等の、歯科技工指示書に記載される情報である。歯科技工指示書とは、歯科医師から歯科技工所30へ受け渡される書類であって、歯科技工物の製作指示が記載される書類である。そして、端末装置10は、入力された歯科技工物の製作指示を制御装置20へ送信する。
【0023】
歯科技工所30は、歯科技工物を製作する施設である。歯科技工所30は、3Dプリンタ及びミリングマシン等の加工装置、並びに歯科技工物の材料を所有する。ここでの材料とは、歯科材料(dental material(s))を指す。歯科技工所30は、歯科技工指示書に基づいて、歯科技工物を製作する。そして、歯科技工所30は、製作した歯科技工物を、発注元へ送付する。
【0024】
制御装置20は、システム1の全体を制御する情報処理装置である。制御装置20は、端末装置10に入力された情報に基づいて、歯科技工指示書の電子データを生成する。そして、制御装置20は、生成した歯科技工指示書の電子データを、歯科技工所30へ送信する。歯科技工指示書の電子データを送信することは、歯科技工物を発注することを兼ねる。そのため、歯科技工所30は、受信した歯科技工指示書の電子データに基づいて歯科技工物を製作し、発注元のユーザへ送付する。
【0025】
制御装置20は、端末装置10によるUI画面の表示を制御する情報処理装置である。詳しくは、制御装置20は、端末装置10が表示するUI画面を生成し、端末装置10に対するユーザ操作に応じてUI画面を更新する。例えば、制御装置20は、UI画面をWebアプリケーションとして提供してもよい。その場合、端末装置10は、制御装置20が提供するWebアプリケーションにアクセスしてUI画面を表示し、ユーザ操作を受け付ける。
【0026】
制御装置20は、端末装置10が配置された歯科医院と歯科技工所30とを、生成した歯科技工指示書の電子データごとにマッチングする。例えば、制御装置20は、端末装置10が配置された複数の歯科医院及び複数の歯科技工所30のそれぞれの情報を記憶する。そして、制御装置20は、歯科技工指示書の電子データの送信先を、複数の歯科技工所30から選択する。制御装置20が記憶する情報としては、例えば、歯科医院の住所、歯科技工所30の住所、歯科技工所30が所有する加工装置のスペック、及び歯科技工所30における材料の在庫が挙げられる。かかる構成により、納期、価格、及び品質等の様々な観点で最適な歯科技工所30に、歯科技工物の製作を割り当てることが可能となる。
【0027】
従来の紙の歯科技工指示書には、充分なスペースが無い、指示を記載しにくい、直感的でない、見づらい、といった様々な課題があった。とりわけ、紙の歯科技工指示書には統一したフォーマットが存在しないため、これらの課題は、上記マッチングにより新たな取引が頻繁に発生する環境下では大きな障害となる。そこで、本実施形態では、歯科技工指示書に関するユーザビリティを向上させるための仕組みを提供する。
【0028】
以下、歯科技工指示書の電子データを、単に歯科技工指示書とも称する。
【0029】
<2.UI画面の例>
端末装置10は、UI画面を表示して、UI画面に対するユーザ操作を受け付ける。そして、制御装置20は、UI画面において入力された情報に基づいて、歯科技工指示書の電子データを生成する。以下では、
図2~
図5を参照しながら、端末装置10が表示するUI画面の一例を説明する。
【0030】
(1)プロジェクト画面
図2及び
図3は、本実施形態に係るプロジェクト画面100の一例を示す図である。プロジェクト画面100は、歯科技工物の製作に関する一連の工程を含むプロジェクト全体の情報を表示し、編集(即ち、入力又は修正)を受け付けるUI画面である。プロジェクトに含まれる工程は、例えば、歯科技工物の製作指示の入力、歯科技工所30への発注、歯科技工所30による歯科技工物の製作、製作された歯科技工物の輸送、及び歯科技工物の患者への装着を含む。
【0031】
ユーザは、プロジェクト画面100上でカーソルを操作して所望するUI要素を選択したり、プルダウンメニューから所望する選択肢を選択したり、テキストを入力したりすることができる。とりわけ、ユーザは、プロジェクト画面100において、歯科技工物の製作指示を入力することでプロジェクトを開始させる。プロジェクト画面100においては、ひとつ以上の歯科技工物の製作指示の入力を受け付けることができる。そして、プロジェクトごとに、ひとつ以上の歯科技工物の製作指示を含む歯科技工指示書が生成される。ユーザは、歯科技工物を発注した後は、製作状況等のプロジェクトの進捗をプロジェクト画面100上で確認することができる。
【0032】
図2及び
図3に示すように、プロジェクト画面100は、メイン画面101と、メイン画面101の上側に表示される上側フレーム102と、メイン画面101の左側に表示される左側フレーム103と、から成る。プロジェクト画面100は、実際には、1つの画面として表示される。以下、プロジェクト画面100に含まれるUI要素について説明する。なお、以下の説明において明示的に入力を受け付け可能と説明するUI要素以外のUI要素も、入力を受け付け可能であってよい。
【0033】
-メイン画面101
メイン画面101は、歯列表示欄110、テキストボックス120、歯科技工物一覧表示欄130、及び3Dデータ入力表示欄140を含む。
【0034】
歯列表示欄110は、歯列画像を表示する欄である。歯列画像とは、上顎右側1番~8番、上顎左側1番~8番、下顎右側1番~8番、及び下顎左側1番~8番の計32本の歯を示す画像が、歯の並びに準じて並んだ画像である。
図2に示した歯列表示欄110は、パーマー表記(Palmer notation)に準じた歯列画像を表示している。さらに、歯列表示欄110は、プロジェクト画面100において入力された歯科技工物の製作指示を、パーマー表記に準じて表示する。
【0035】
テキストボックス120は、歯科技工物の製作指示としてのテキストの入力を受け付け、入力されたテキストを表示する欄である。ユーザは、テキストボックス120において任意のテキストを入力することができる。テキストボックス120には、例えば、歯科技工物に関する詳細な補足説明が入力される。
【0036】
歯科技工物一覧表示欄130は、発注する歯科技工物の一覧を表示する欄である。歯科技工物一覧表示欄130においては、1つの歯科技工物に関する各項目の情報が、1行にまとめて表示される。歯科技工物一覧表示欄130は、歯科技工物に関する各項目の情報を表示する欄として、品名表示欄131、対象歯表示欄132、マテリアル表示欄133、シェード表示欄134、価格表示欄135、及びステータス表示欄136を含む。
【0037】
品名表示欄131は、歯科技工物の名称を表示する欄である。
【0038】
対象歯表示欄132は、歯科技工物の対象歯を表示する欄である。対象歯とは、歯科技工物が装着される歯である。
【0039】
マテリアル表示欄133は、歯科技工物の材料の名称を表示する欄である。ここでの材料の名称とは、メーカ各社が提供する歯科材料の名称である。
【0040】
シェード表示欄134は、歯科技工物のシェードを表示する欄である。シェードとは、歯科技工物の色に対応する。
【0041】
価格表示欄135は、歯科技工物の価格を表示する欄である。
【0042】
ステータス表示欄136は、歯科技工物の製作状況を表示する欄である。
図2に示した例では、製作指示を入力中であって発注前であるから、未製作であることを示す「―」が表示されている。製作が進行するにつれて、ステータス表示欄136には、「削り出し実施中」、「適合調整実施中」、「デザイン未着手」、又は「完了」といった、プロジェクト画面100表示時点での製作状況が表示される。
【0043】
歯科技工物一覧表示欄130は、各行の末尾に、詳細表示ボタン137を含む。詳細表示ボタン137は、歯科技工物の詳細な情報を表示するトリガとなるボタンである。詳細表示ボタン137が選択された場合、端末装置10は、詳細表示ボタン137と同じ行に表示されている歯科技工物に関する詳細な情報を含む画面(後述する詳細表示画面200)を表示する。
【0044】
歯科技工物一覧表示欄130は、プロダクト追加ボタン138を含む。プロダクト追加ボタン138は、発注する歯科技工物を追加するトリガとなるボタンである。プロダクト追加ボタン138が選択された場合、端末装置10は、新たに発注する歯科技工物に関する詳細な情報の入力を受け付ける画面(後述する詳細表示画面200)を表示する。そして、端末装置10は、当該画面において入力された歯科技工物の情報を、歯科技工物一覧表示欄130に追加する。
【0045】
歯科技工物一覧表示欄130は、合計金額表示欄139を含む。合計金額表示欄139は、歯科技工物一覧表示欄130に一覧表示された歯科技工物の価格の合計を表示する欄である。
図2に示すように、合計金額表示欄139では、税込み価格、税抜き価格、及び税額が、分けて表示されてもよい。
【0046】
3Dデータ入力表示欄140は、患者の口腔内の3Dデータに関する情報の入力を受け付け、入力された情報を表示する欄である。端末装置10は、歯科技工物の製作指示のひとつとして、患者の口腔内の3Dデータを入力するユーザ操作を受け付ける。例えば、端末装置10は、ファイル追加ボタン142が選択された場合に、患者の口腔内の3Dデータとして新たな3Dデータを添付するユーザ操作を受け付ける。そして、端末装置10は、3Dデータ入力表示欄140において、添付された3Dデータのイメージ画像141(141A~141C)を表示する。なお、3Dデータのフォーマットの一例としては、STL(Stereolithography)、PLY(Polygon File Format)、及びPDF(Portable Document Format)が挙げられる。
【0047】
-上側フレーム102
図3に示すように、上側フレーム102は、歯科技工所表示欄151、注文一覧表示ボタン152、顧客表示ボタン153、及び経理表示ボタン154を含む。
【0048】
歯科技工所表示欄151は、プロジェクト画面100に表示されたプロジェクトにおける歯科技工物の発注先の歯科技工所30の名称を表示する。
【0049】
注文一覧表示ボタン152は、注文一覧を表示するトリガとなるボタンである。注文一覧表示ボタン152が選択された場合、端末装置10は、例えば、ユーザが実施中の、又は過去に実施したプロジェクトの一覧を表示する。
【0050】
顧客表示ボタン153は、顧客情報を表示するトリガとなるボタンである。顧客表示ボタン153が選択された場合、端末装置10は、例えば、ユーザが実施中の、又は過去に実施したプロジェクトの顧客(即ち、患者)の情報を表示する。
【0051】
経理表示ボタン154は、経理情報を表示するトリガとなるボタンである。経理表示ボタン154が選択された場合、端末装置10は、例えば、ユーザが実施中の、又は過去に実施したプロジェクトに関する経理情報を表示する。
【0052】
-左側フレーム103
図3に示すように、左側フレーム103は、ニックネーム表示欄161、ステータス表示欄162、発注者表示欄163、患者名表示欄164、スケジュール表示欄165、顧客連絡ボタン166、及び歯科技工指示書表示ボタン167を含む。
【0053】
ニックネーム表示欄161は、プロジェクト画面100に表示されたプロジェクトのニックネームを表示する欄である。
【0054】
ステータス表示欄162は、プロジェクト画面100に表示されたプロジェクトの進捗状況を表示する欄である。プロジェクトの進捗状況としては、例えば、入力された製作指示に誤りがないかを確認中であることを示す「データ確認中」、歯科技工物の発注が完了したことを示す「発注済み」、及び歯科技工物の製作が完了したことを示す「製作完了」等が挙げられる。
【0055】
発注者表示欄163は、プロジェクト画面100に表示されたプロジェクトにおいて製作される歯科技工物の発注者の名称を表示する欄である。
【0056】
患者名表示欄164は、プロジェクト画面100に表示されたプロジェクトにおいて製作される歯科技工物が装着される患者の名称を表示する欄である。
【0057】
スケジュール表示欄165は、プロジェクト画面100に表示されたプロジェクトにおける、歯科技工物の製作スケジュールに関連する情報を表示する欄である。
図3に示した例では、スケジュール表示欄165は、注文番号、注文日、納品希望日、出荷日、指摘日、及びセット日を含む。注文番号とは、プロジェクトに一意に割り当てられる番号である。注文日とは、歯科技工所30に対し歯科技工物が発注された日付である。納品希望日とは、歯科技工所30により製作された歯科技工物の納品を希望する日付である。出荷日とは、歯科技工所30により製作された歯科技工物が出荷された又は出荷する予定の日付である。指摘日とは、歯科技工物の製作指示に誤りがないかの確認を受けた又は確認を受ける予定の日付である。セット日とは、歯科技工物を患者に装着した又は装着する予定の日付である。
【0058】
顧客連絡ボタン166は、顧客への連絡のトリガとなるボタンである。顧客連絡ボタン166が選択された場合、端末装置10は、顧客への連絡事項を入力する画面を表示して、入力された情報を顧客に通知する。
【0059】
歯科技工指示書表示ボタン167は、歯科技工指示書を表示するトリガとなるボタンである。歯科技工指示書表示ボタン167が選択された場合、端末装置10は、プロジェクト画面100に表示された情報を、歯科技工指示書の形式に従って整形した上で、表示する。
【0060】
(2)詳細表示画面
図4及び
図5は、本実施形態に係る詳細表示画面200の一例を示す図である。詳細表示画面200は、歯科技工物ごとの詳細な情報を表示し、編集(即ち、入力又は修正)を受け付けるUI画面である。
【0061】
ユーザは、詳細表示画面200上でカーソルを操作して所望するUI要素を選択したり、プルダウンメニューから所望する選択肢を選択したり、テキストを入力したりすることができる。とりわけ、ユーザは、詳細表示画面200において、歯科技工物の詳細な情報を確認したり、製作指示を入力したりすることができる。
【0062】
詳細表示画面200が表示されるトリガは複数あり得る。一例として、端末装置10は、
図2に示したプロジェクト画面100において詳細表示ボタン137が選択された場合に、当該詳細表示ボタン137と同じ行に表示されている歯科技工物に関する詳細な情報を表示する詳細表示画面200を表示する。他の一例として、端末装置10は、
図2に示したプロジェクト画面100においてプロダクト追加ボタン138が選択された場合に、詳細表示画面200を表示して、新たに発注する歯科技工物に関する詳細な情報の入力を受け付ける。
【0063】
詳細表示画面200は、タブの切り替えにより、表示する情報を切り替えることができる。具体的には、詳細表示画面200は、プロダクトタブ201が選択された場合に、
図4に示すプロダクトページ203を表示する。他方、詳細表示画面200は、工程・ファイルタブ202が選択された場合に、
図5に示す工程・ファイルページ204を表示する。
【0064】
以下、詳細表示画面200に含まれるUI要素について説明する。なお、以下の説明において明示的に入力を受け付け可能と説明するUI要素以外のUI要素も、入力を受け付け可能であってよい。
【0065】
-プロダクトページ203
プロダクトページ203は、詳細表示画面200が対象とする歯科技工物に関する詳細な情報の入力を受け付け、受け付けた情報を表示するページである。ただし、プロダクトページ203は、所定期間においてのみユーザに編集権限を付与する一方で、所定期間外では閲覧権限のみを付与してもよい。即ち、プロダクトページ203は、所定期間に限定して、歯科技工物に関する情報の入力を受け付け可能であってよい。所定期間の一例は、発注前の期間、及び歯科技工所30から製作指示の変更を依頼された期間である。
図4に示すように、プロダクトページ203は、製作指示入力表示欄210及び価格内訳表示欄220を含む。なお、
図4では、一例として、
図2に示したプロジェクト画面100の歯科技工物一覧表示欄130における「A」行の詳細表示ボタン137が選択された場合の表示例が示されている。
【0066】
製作指示入力表示欄210は、歯科技工物の製作指示の入力を受け付け、入力された製作指示の内容を表示する欄である。
図4に示すように、製作指示入力表示欄210は、プロダクトマスタ入力表示欄211、表示品名表示欄212、対象歯入力表示欄213、マテリアル入力表示欄214、シェード入力表示欄215、価格調整入力表示欄216、個別価格調整入力表示欄217、及び保険適用有無選択欄218を含む。
【0067】
プロダクトマスタ入力表示欄211は、歯科技工物の種別の入力を受け付け、入力された歯科技工物の種別を表示する欄である。プロダクトマスタ入力表示欄211は、選択可能な歯科技工物の種別を列挙したプルダウンメニューを表示してもよく、かかるプルダウンメニューにおいて歯科技工物の種別を選択するユーザ操作を受け付け得る。
【0068】
表示品名表示欄212は、歯科技工物の名称を表示する欄である。表示品名表示欄212に表示される歯科技工物の名称は、プロダクトマスタ入力表示欄211において入力された歯科技工物の種別に応じて、自動的に設定される。表示品名表示欄212に表示された歯科技工物の名称は、プロジェクト画面100の品名表示欄131における表示に反映される。
【0069】
対象歯入力表示欄213は、歯科技工物の対象歯の入力を受け付け、入力された対象歯を表示する欄である。対象歯入力表示欄213は、選択可能な対象歯を列挙したプルダウンメニューを表示してもよく、かかるプルダウンメニューにおいて対象歯を選択するユーザ操作を受け付け得る。対象歯入力表示欄213において入力された対象歯は、プロジェクト画面100の対象歯表示欄132における表示に反映される。
【0070】
マテリアル入力表示欄214は、歯科技工物の材料の名称の入力を受け付け、入力された歯科技工物の材料の名称を表示する欄である。マテリアル入力表示欄214は、選択可能な材料を列挙したプルダウンメニューを表示してもよく、かかるプルダウンメニューにおいて材料を選択するユーザ操作を受け付け得る。マテリアル入力表示欄214において入力された材料の名称は、プロジェクト画面100のマテリアル表示欄133における表示に反映される。
【0071】
シェード入力表示欄215は、歯科技工物のシェードの入力を受け付け、入力された歯科技工物のシェードを表示する欄である。シェード入力表示欄215は、選択可能なシェードを列挙したプルダウンメニューを表示してもよく、かかるプルダウンメニューにおいてシェードを選択するユーザ操作を受け付け得る。シェード入力表示欄215において入力されたシェードは、プロジェクト画面100のシェード表示欄134における表示に反映される。
【0072】
価格調整入力表示欄216は、プロジェクトにおいて発注される全ての歯科技工物に適用される、価格調整の内容の入力を受け付け、入力された価格調整の内容を表示する欄である。価格調整入力表示欄216は、選択可能な価格調整の内容を列挙したプルダウンメニューを表示してもよく、かかるプルダウンメニューにおいて価格調整の内容を選択するユーザ操作を受け付け得る。価格調整入力表示欄216に入力される価格調整の内容としては、例えば、発注元の歯科医院と発注先の歯科技工所30との取引量が多いことに起因する値引き(即ち、ボリュームディスカウント)が挙げられる。価格調整の内容は、値引きの他に、値上げであってもよい。
【0073】
個別価格調整入力表示欄217は、個別の歯科技工物に適用される、価格調整の内容の入力を受け付け、入力された価格調整の内容を表示する欄である。価格調整入力表示欄216は、選択可能な価格調整の内容を列挙したプルダウンメニューを表示してもよく、かかるプルダウンメニューにおいて価格調整の内容を選択するユーザ操作を受け付け得る。個別価格調整入力表示欄217に入力される価格調整の内容としては、例えば、余剰在庫の材料を使用することに起因する値引きが挙げられる。価格調整の内容は、値引きの他に、値上げであってもよい。
【0074】
端末装置10は、価格調整入力表示欄216及び個別価格調整入力表示欄217へのユーザによる入力を受け付けなくてもよい。その場合、端末装置10は、取引量及び材料在庫等の情報に基づいて、価格調整入力表示欄216及び個別価格調整入力表示欄217における入力内容を自動的に設定してもよい。
【0075】
保険適用有無選択欄218は、保険適用の有無を選択するユーザ操作を受け付けるチェックボックスである。ユーザは、かかるチェックボックスにチェックを入れたり外したりすることで、保険の適用有無を選択する。保険適用有無選択欄218にチェックが入っていることは、保険適用有り、を示す。他方、保険適用有無選択欄218にチェックが入っていないことは、保険適用無し、を示す。ここでの保険とは、歯科技工物の製作費に対して金銭的な補助を行う制度であり、具体的には国民健康保険を指す。
【0076】
価格内訳表示欄220は、歯科技工物の価格の内訳を表示する欄である。価格内訳表示欄220には、歯科技工物の種別ごとの単価、材料価格、歯科技工所30における各種加工費が、列挙されており、それらの合計金額が歯科技工物の価格となる。価格内訳表示欄220における合計金額は、プロジェクト画面100の価格表示欄135における表示に反映される。なお、価格内訳表示欄220に表示される価格は、標準の価格に、価格調整入力表示欄216及び個別価格調整入力表示欄217において入力された価格調整を適用し、さらに保険適用有無選択欄218において入力された保険の適用有無を反映することで、算出される。
【0077】
-工程・ファイルページ204
工程・ファイルページ204は、詳細表示画面200が対象とする歯科技工物の製作工程、及び添付ファイルに関する詳細な情報の入力を受け付け、受け付けた情報を表示するページである。
図5に示すように、工程・ファイルページ204は、製作工程一覧表示欄230、及び3Dデータ入力表示欄240を含む。なお、
図5では、一例として、発注後、製作工程がある程度進捗したタイミングにおける表示が示されている。
【0078】
製作工程一覧表示欄230は、歯科技工物の製作が開始されてから完了するまでの一連の製作工程に関する情報の一覧を表示する欄である。製作工程一覧表示欄230においては、製作工程に関する各項目の情報が、1行にまとめて表示される。製作工程一覧表示欄230は、製作工程に関する各項目の情報を表示する欄として、工程名称表示欄231、ステータス表示欄232、担当者名表示欄233、及び担当者コメント表示欄234を含む。
【0079】
工程名称表示欄231は、製作工程の名称を表示する欄である。
【0080】
ステータス表示欄232は、製作工程の進捗状況を表示する欄である。
【0081】
担当者名表示欄233は、製作工程を担当する担当者の名前を表示する欄である。
【0082】
担当者コメント表示欄234は、製作工程を担当する担当者から報告されたコメントを表示する欄である。
【0083】
製作工程一覧表示欄230は、各行の末尾に、詳細表示ボタン235を含む。詳細表示ボタン235は、製作工程の詳細な情報を表示するトリガとなるボタンである。詳細表示ボタン235が選択された場合、端末装置10は、詳細表示ボタン235と同じ行に表示されている製作工程に関する詳細な情報を含む画面を表示する。
【0084】
製作工程一覧表示欄230は、製作工程追加ボタン236を含む。製作工程追加ボタン236は、新たな製作工程を追加するトリガとなるボタンである。製作工程追加ボタン236が選択された場合、端末装置10は、新たな製作工程に関する詳細な情報の入力を受け付ける画面を表示する。そして、端末装置10は、当該画面において入力された製作工程の情報を、製作工程一覧表示欄230に追加する。
【0085】
3Dデータ入力表示欄240は、患者の口腔内の3Dデータに関する情報の入力を受け付け、入力された情報を表示する欄である。3Dデータ入力表示欄240の構成は、3Dデータ入力表示欄140の構成と同一である。ただし、3Dデータ入力表示欄240は、詳細表示画面200が対象とする歯科技工物に関連する3Dデータに関する情報に限定して、入力を受け付け、入力された情報を表示してもよい。例えば、3Dデータ入力表示欄240は、患者の口腔内の3Dデータのうち、詳細表示画面200が対象とする歯科技工物に関連する3Dデータのイメージ画像241(241A~241C)を表示してもよい。また、端末装置10は、ファイル追加ボタン242が選択された場合に、詳細表示画面200が対象とする歯科技工物に関連する3Dデータを添付するユーザ操作を受け付けてもよい。
【0086】
<3.技術的特徴>
以上、端末装置10により表示されるUI画面の一例を説明した。以下では、上記説明したUI画面の特徴を補足しながら、システム1の技術的特徴を詳細に説明する。
【0087】
図2~
図5を参照しながら上記説明したように、端末装置10は、ひとつ以上の歯科技工物の製作指示に関する情報の入力を受け付けるUI画面を表示する。ここで、端末装置10は、UI画面においてすでに入力された情報に基づいて、入力可能な残りの情報の候補(以下、入力候補とも称する)を提案する。端末装置10が入力候補を絞り込むことで、ユーザによる製作指示の入力負荷を軽減することが可能である。以下、入力候補を提案する方法の一例を説明する。
【0088】
UI画面は、歯科技工物ごとに、製作指示に関する複数の項目の各々についてひとつ以上の選択肢(即ち、入力候補)を提示して1つの選択肢を選択する入力を受け付けてもよい。その場合、端末装置10は、第1の項目について選択された選択肢に基づいて、第2の項目について提示する選択肢を絞り込んでもよい。例えば、
図4を参照しながら上記説明したように、端末装置10は、製作指示入力表示欄210において、歯科技工物の種別、対象歯、材料、及びシェードの各々について、プルダウンメニューから選択肢を選択するユーザ操作を、製作指示の入力として受け付け得る。その際、端末装置10は、例えば、歯科技工物の種別及び対象歯が入力された場合、入力された歯科技工物の種別及び対象歯に対して選択可能な材料及びシェードを絞り込み、絞り込んだ選択肢のみをプルダウンメニューにおいて表示してもよい。かかる構成によれば、適切な製作指示を入力するよう、ユーザを支援することが可能となる。
【0089】
なお、入力候補を絞り込む方法は多様に考えられる。例えば、制御装置20は、歯科技工物の種別、対象歯、材料、及びシェードについて選択可能な選択肢の組み合わせを、標準のデータセットとして保有していてもよい。そして、端末装置10は、かかる標準のデータセットを参照して、入力候補を絞り込んでもよい。制御装置20は、歯科医院又は歯科技工所30ごとに異なる標準のデータセットを保有していてもよい。さらに、制御装置20は、材料在庫の有無等に応じて、標準のデータセットを更新してもよい。
【0090】
端末装置10は、UI画面において入力された第1の歯科技工物の情報に基づいて、第2の歯科技工物の情報として入力可能な情報の候補を提案してもよい。詳しくは、端末装置10は、互いに関連する複数の歯科技工物の製作指示同士が整合するように、製作指示の入力候補を提案してもよい。一例として、端末装置10は、対象歯が隣接する複数の歯科技工物に関しては、材料及びシェードが一致するよう、材料及びシェードの入力候補を提案してもよい。他の一例として、端末装置10は、インプラントを構成するアバットメント及びフィクスチャーが同一メーカの材料で製作されるように、材料の入力候補を提案してもよい。かかる構成によれば、適切な製作指示を入力するよう、ユーザを支援することが可能となる。
【0091】
端末装置10は、UI画面において入力された第3の歯科技工物の情報に基づいて、第3の歯科技工物に関連する第4の歯科技工物の情報が入力されていないことを警告してもよい。詳しくは、端末装置10は、互いに関連する複数の歯科技工物についての製作指示をまとめて入力するように、製作指示の入力候補を提案してもよい。例えば、端末装置10は、フィクスチャーについての製作指示が入力され、アバットメントについての製作指示が未入力である場合、「アバットメントの発注が漏れています」といったメッセージをポップアップ表示する。かかる構成によれば、歯科技工物の発注漏れを防止することが可能となる。
【0092】
端末装置10は、UI画面において入力された健康保険の適用有無に基づいて、入力候補を提案してもよい。例えば、
図4に示したプロダクトページ203において、保険適用有無選択欄218において保険適用有りが選択された場合、端末装置10は、健康保険の適用が可能な材料のみをマテリアル入力表示欄214のプルダウンメニューに表示してもよい。他方、保険適用有無選択欄218において保険適用無しが選択された場合、端末装置10は、健康保険の適用可否を問わず、すべての材料をマテリアル入力表示欄214のプルダウンメニューに表示してもよい。かかる構成によれば、健康保険の適用有無に応じた適切な製作指示を入力するよう、ユーザを支援することが可能となる。換言すると、健康保険の適用を患者が希望しているにも関わらず、健康保険が適用されない歯科技工物を誤って製作してしまうような事態の発生を防止することが可能となる。
【0093】
また、端末装置10は、UI画面において入力された健康保険の適用有無に基づいて、提案する入力候補の優先度を設定してもよい。例えば、保険適用有無選択欄218において保険適用有りが選択された場合、端末装置10は、マテリアル入力表示欄214のプルダウンメニューに表示する材料を、健康保険適用後の価格が安い順に並べてもよい。他方、保険適用有無選択欄218において保険適用無しが選択された場合、端末装置10は、マテリアル入力表示欄214のプルダウンメニューに表示する材料を、品質が高い順に並べてもよい。かかる構成によれば、健康保険の適用有無から推測される患者のニーズに対応する、適切な製作指示の入力を支援することが可能となる。
【0094】
ここで、歯科技工物の製作指示が入力されるよりも前に、発注先の歯科技工所30が入力されてもよい。その場合、端末装置10は、発注先の歯科技工所30の情報にさらに基づいて、入力候補を提案してもよい。ここでの発注先の歯科技工所30の情報は、製作可能な歯科技工物の種別、材料在庫、又は納期の少なくともいずれか1つを含む。例えば、端末装置10は、発注先の歯科技工所30において製作可能な歯科技工物の種別、在庫がある材料、及び達成可能な納期を、入力候補として提案してもよい。なお、歯科技工所30の情報は、制御装置20において管理されていてもよく、端末装置10は、制御装置20から発注先の歯科技工所30の情報を取得して、入力候補の提案に利用してもよい。かかる構成によれば、適切な製作指示を入力するよう、ユーザを支援することが可能となる。具体的には、発注先の歯科技工所30では指定した条件で歯科技工物を製作することが困難であることが発注後に発覚して、改めて別の歯科技工所30に発注し直すような手戻りを防止することが可能となる。
【0095】
もちろん、発注先の歯科技工所30よりも先に、歯科技工物の製作指示が入力されてもよい。その場合、端末装置10は、歯科技工物の発注先として選択可能な歯科技工所30を、入力候補として提案してもよい。例えば、端末装置10は、制御装置20が管理している歯科技工所30の情報に基づいて、
図2に示したプロジェクト画面100の歯科技工物一覧表示欄130に表示された複数の歯科技工物を製作可能な歯科技工所30をリストアップして、発注先候補として提案し得る。その際、端末装置10は、価格、発注元の歯科医院と歯科技工所30との距離、歯科技工所30が製作する歯科技工物の品質に基づいて、発注先候補として提案する歯科技工所30に優先度を設定してもよい。なお、歯科技工所30が製作する歯科技工物の品質は、過去に当該歯科技工所30が製作した歯科技工物に対する、患者、又は発注元の歯科医院からの評価に基づいて、推定され得る。かかる構成によれば、適切な製作指示を入力するよう、ユーザを支援することが可能となる。具体的には、発注先の歯科技工所30では指定した条件で歯科技工物を製作することが困難であることが発注後に発覚して、改めて別の歯科技工所30に発注し直すような手戻りを防止することが可能となる。
【0096】
端末装置10は、患者のために過去に製作された歯科技工物の情報にさらに基づいて、入力候補を提案してもよい。ここでの患者のために過去に製作された歯科技工物の情報は、対象歯、歯科技工物の種別、材料、又はシェードの少なくともいずれか1つを含み得る。例えば、端末装置10は、患者向けに過去に製作され装着されている歯科技工物と、同一メーカの材料を入力候補として提案したり、同一のシェードを入力候補として提案したりする。なお、患者のために過去に製作された歯科技工物の情報は、制御装置20により記憶されていてもよく、端末装置10は、制御装置20から当該情報を取得して、入力候補の提案に利用してもよい。かかる構成によれば、適切な製作指示を入力するよう、ユーザを支援することが可能となる。具体的には、患者が現在装着している歯科技工物と、これから発注する歯科技工物とを、外観上馴染ませることが可能となる。
【0097】
歯科医院においては、患者の口腔内の3Dデータが各種メーカのスキャナにより取得され得る。そして、スキャナにより取得された3Dデータは、スキャナのメーカにより提供されるクラウドサーバ(記憶装置の一例)に、自動的にアップロードされ得る。制御装置20は、スキャナメーカのクラウドサーバと連携して、クラウドサーバにアップロードされた3Dデータを取得してもよい。そこで、制御装置20は、クラウドサーバにアップロードされた複数の3Dデータのうち、UI画面において入力された情報に基づいて患者の口腔内の3Dデータを識別してもよい。そして、端末装置10は、患者の口腔内の3Dデータとして識別された3Dデータを、患者の口腔内の3Dデータの候補として提案してもよい。例えば、端末装置10は、
図2に示したファイル追加ボタン142、又は
図5に示したファイル追加ボタン242が選択された場合に、患者の口腔内の3Dデータとして識別された3Dデータを、添付するべき3Dデータとして優先的に提案してもよい。かかる構成によれば、クラウドサーバにアップロードされた複数の3Dデータから、患者の3Dデータを探し出すような手間を軽減することが可能である。歯科医院に複数のメーカのスキャナが混在する場合、即ち3Dデータのアップロード先となり得るクラウドサーバが複数存在する場合には、かかる入力負荷の軽減効果は多大なものとなる。
【0098】
なお、患者の口腔内の3Dデータの識別方法は多様に考えられる。一例として、制御装置20は、UI画面におけるデータ入力日時にスキャン日時が近い3Dデータを、患者の口腔内の3Dデータとして識別してもよい。他の一例として、制御装置20は、UI画面において入力された患者名と同一の患者名をメタデータとして含む3Dデータを、患者の口腔内の3Dデータとして識別してもよい。他の一例として、制御装置20は、3Dデータに基づいて推定される対象歯及び歯科技工物の種別が、UI画面において入力された対象歯及び歯科技工物の種別に一致する3Dデータを、患者の口腔内の3Dデータとして識別してもよい。
【0099】
以上、入力候補を提案する方法の一例を説明した。
【0100】
続いて、
図6を参照しながら本実施形態において実行される処理の流れの一例を説明する。
図6は、本実施形態に係る端末装置10により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0101】
図6に示すように、まず、端末装置10は、ひとつ以上の歯科技工物の製作指示に関する情報の入力を受け付けるUI画面を表示する(ステップS102)。例えば、端末装置10は、プロジェクト画面100又は詳細表示画面200を表示する。
【0102】
次いで、端末装置10は、UI画面において、歯科技工物の製作指示の入力を受け付ける(ステップS104)。例えば、端末装置10は、歯科技工物の種別、対象歯、材料、又はシェードの少なくとも一部を入力するユーザ操作を受け付ける。
【0103】
次に、端末装置10は、入力済みの製作指示に基づいて、未入力の製作指示についての入力候補を提案する(ステップS106)。一例として、端末装置10は、1つの歯科技工物の種別、対象歯、材料、及びシェードの入力を受け付ける際に、歯科技工物の種別及び対象歯が入力された時点で、材料及びシェードの望ましい入力候補を絞り込みプルダウンメニューにおいて表示する。他の一例として、端末装置10は、複数の歯科技工物についての製作指示の入力を受け付ける際に、一部の歯科技工物の製作指示が入力された時点で、残りの歯科技工物の製作指示として望ましい入力候補を絞り込みプルダウンメニューにおいて表示する。
【0104】
次いで、端末装置10は、提案した入力候補に基づく製作指示の入力を受け付ける(ステップS108)。例えば、端末装置10は、プルダウンメニューに表示した複数の入力候補のうち、ひとつの入力候補を選択するユーザ操作を受け付ける。
【0105】
そして、端末装置10は、入力された歯科技工物の製作指示に基づいて、歯科技工物を発注する(ステップS110)。例えば、端末装置10は、入力された情報を制御装置20に送信する。その後、制御装置20は、端末装置10から受信した情報に基づいて歯科技工指示書を生成して、発注先の歯科技工所30に送信する。
【0106】
<4.ハードウェア構成例>
以下では、
図7を参照して、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、
図7に示す情報処理装置900は、例えば、
図1に示した端末装置10、制御装置20、又は歯科技工所30に配置され制御装置20と通信する情報処理装置を実現し得る。本実施形態に係る端末装置10、制御装置20、又は歯科技工所30に配置された情報処理装置による情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明するハードウェアとの協働により実現される。
【0107】
図7に示すように、情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903及びホストバス904aを備える。また、情報処理装置900は、ブリッジ904、外部バス904b、インタフェース905、入力装置906、出力装置907、ストレージ装置908、及び通信装置909を備える。
【0108】
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。情報処理装置900は、CPU901に代えて、又はこれとともに、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)若しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の電気回路を有してもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901によるプログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。CPU901は、例えば、端末装置10の動作全般を制御する制御部を構成し得る。また、CPU901は、例えば、制御装置20の動作全般を制御する制御部を構成し得る。また、CPU901は、例えば、歯科技工所30に配置された情報処理装置の動作全般を制御する制御部を構成し得る。
【0109】
CPU901、ROM902及びRAM903は、CPUバスなどを含むホストバス904aにより相互に接続されている。ホストバス904aは、ブリッジ904を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス904bに接続されている。なお、必ずしもホストバス904a、ブリッジ904及び外部バス904bを分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0110】
入力装置906は、ユーザから情報が入力される装置である。そのような装置としては、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバー等が挙げられる。他にも、入力装置906は、音声入力を受け付けるマイクロフォン、又はジェスチャ入力を受け付けるカメラを含んでいてもよい。情報処理装置900のユーザは、入力装置906を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理の実行を指示したりすることができる。入力装置906は、例えば、端末装置10においてユーザ操作の入力を受け付ける。また、入力装置906は、例えば、歯科技工所30に配置された情報処理装置において歯科技工物を製作する担当者からの入力を受け付ける。
【0111】
出力装置907は、情報をユーザに対して出力する装置である。そのような装置として、ディスプレイ及びプロジェクタ等の視覚情報を出力する装置、スピーカ等の聴覚情報を出力する装置、並びに偏心モータ等の触覚情報を出力する装置等が挙げられる。出力装置907は、例えば、情報処理装置900が行った各種処理により得られた結果を出力する。出力装置907は、例えば、端末装置10においてUI画面を表示する。また、出力装置907は、例えば、歯科技工所30に配置された情報処理装置においてUI画面を表示する。
【0112】
ストレージ装置908は、データを格納する装置である。そのような装置としては、HDD等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び光磁気記憶デバイス等が挙げられる。ストレージ装置908は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置及び記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置908は、例えば、制御装置20において、端末装置10が配置された複数の歯科医院の情報及び複数の歯科技工所30の情報を記憶する。
【0113】
通信装置909は、有線又は無線で他の装置と通信する装置である。通信装置909は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、LPWA(Low Power Wide Area)、又はUSB(Universal Serial Bus)等の任意の通信規格に準拠した通信を行う。
【0114】
以上、本実施形態に係る情報処理装置900の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて実現されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより実現されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0115】
<5.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0116】
端末装置10は、UI画面において、患者の口腔内の3Dデータと共に、又は代えて、患者の顔貌を含む画像である顔貌画像、又は患者の歯列を含む画像である歯列画像を入力するユーザ操作を受け付けてもよい。そして、端末装置10は、顔貌画像又は歯列画像の少なくともいずれか1つに基づいて、歯科技工物の製作指示に関する入力候補を提案してもよい。例えば、端末装置10は、患者の顔貌又は歯列になじむシェードを、入力候補として提案してもよい。
【0117】
上記実施形態では、歯科技工物の製作指示に関する入力候補を提案することの一例として、プルダウンメニューに表示する選択肢を絞り込むことを挙げたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、端末装置10は、テキストボックス120等の自由にテキストを入力可能な欄において、テキストの入力候補を提案してもよい。詳しくは、端末装置10は、ユーザにより入力されたテキストに基づいて後続するテキストの入力候補を提案してもよい。若しくは、端末装置10は、プルダウンメニューを用いて入力された情報に基づいて、テキストの入力候補を提案してもよい。逆に、端末装置10は、テキストの入力内容に基づいて、プルダウンメニューに表示する選択肢を絞り込んでもよい。
【0118】
上記実施形態では、制御装置20がUI画面をWebアプリケーションとして提供する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。UI画面は、端末装置10にインストールされたネイティブアプリケーションにより提供されてもよい。即ち、端末装置10が、UI画面を生成して表示してもよい。また、入力候補の提案は、制御装置20による制御に基づいて端末装置10が実施してもよいし、端末装置10が単体で実施してもよい。
【0119】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(詳しくは、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、本明細書において説明した各装置を制御するコンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどの処理回路により実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。また、上記のコンピュータは、ASICのような特定用途向け集積回路、ソフトウエアプログラムを読み込むことで機能を実行する汎用プロセッサ、又はクラウドコンピューティングに使用されるサーバ上のコンピュータ等であってよい。また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、単数のコンピュータにより集中して処理されてもよく、複数のコンピュータにより分散して処理されてもよい。さらに、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されても良い。
【0120】
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0121】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0122】
1 システム
10 端末装置
20 制御装置
30 歯科技工所
100 プロジェクト画面
200 詳細表示画面