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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142418
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電動飛行体の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B64U 50/23 20230101AFI20241003BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20241003BHJP
   B64U 30/26 20230101ALI20241003BHJP
   B64U 50/19 20230101ALI20241003BHJP
   B64U 50/18 20230101ALI20241003BHJP
【FI】
B64U50/23
B64U10/13
B64U30/26
B64U50/19
B64U50/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054553
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】森崎 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】長谷 卓
(72)【発明者】
【氏名】山下 知志
(72)【発明者】
【氏名】桑村 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 雄一
(72)【発明者】
【氏名】小田 裕樹
(57)【要約】
【課題】機体の姿勢を崩すことなく離着陸することが可能な電動飛行体の制御方法を提供する。
【解決手段】電動飛行体の制御方法は、機体と、機体の重心位置を含む領域に配置され、電動機、ファン、及びダクトを有する中央推進器と、中央推進器の出口に接続されて、異なる複数の方向に延びることで気流を複数の方向に向けて分流させるマニホールドと、マニホールドの出口にそれぞれ設けられて、気流を転向させる転向部と、転向部の姿勢を制御する転向駆動部と、中央推進器を外周側から囲むようにして機体に設けられ、電動機、ファン、及びダクトを有する複数の周辺推進器と、を備える電動飛行体の制御方法であって、中央推進器を定格回転数に至るまで始動するステップと、中央推進器が定格回転数に至った後に、複数の周辺推進器を駆動することで機体を離陸させるステップと、を含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
平面視における前記機体の重心位置を含む領域に配置され、電動機、該電動機によって回転駆動されるファン、及び該ファンを外周側から覆う筒状のダクトを有する中央推進器と、
該中央推進器の出口に接続されて、異なる複数の方向に延びることで気流を前記複数の方向に向けて分流させるマニホールドと、
該マニホールドの出口にそれぞれ設けられて、気流を転向させる転向部と、
該転向部の姿勢を制御する転向駆動部と、
平面視で、前記中央推進器を外周側から囲むようにして前記機体に設けられ、電動機、該電動機によって回転駆動されるファン、及び該ファンを外周側から覆う筒状のダクトを有する複数の周辺推進器と、
を備える電動飛行体の制御方法であって、
前記中央推進器を定格回転数に至るまで始動するステップと、
前記中央推進器が前記定格回転数に至った後に、前記複数の周辺推進器を駆動することで前記機体を離陸させるステップと、
を含む電動飛行体の制御方法。
【請求項2】
前記周辺推進器の回転数を低下させるステップと、
前記周辺推進器の回転数が低下した後に、前記中央推進器の回転数を低下させることで前記機体を着陸させるステップと、
を含む請求項1に記載の電動飛行体の制御方法。
【請求項3】
機体と、
平面視で、前記機体の重心位置を外周側から囲むようにして前記機体に設けられ、電動機、該電動機によって回転駆動されるファン、及び該ファンを外周側から覆う筒状のダクトを有する複数の周辺推進器と、
前記複数の周辺推進器の一部に設けられ、前記ダクトから気流を転向させるダクト転向部と、
を備える電動飛行体の制御方法であって、
前記ダクト転向部を有する前記周辺推進器を定格回転数に至るまで始動するステップと、
前記ダクト転向部を有する前記周辺推進器が前記定格回転数に至った後に、残余の前記周辺推進器を駆動することで前記機体を離陸させるステップと、
を含む電動飛行体の制御方法。
【請求項4】
前記残余の周辺推進器の回転数を低下させるステップと、
前記残余の周辺推進器の回転数が低下した後に、前記ダクト転向部を有する前記周辺推進器の回転数を低下させることで前記機体を着陸させるステップと、
を含む請求項3に記載の電動飛行体の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動飛行体の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンやマルチコプターに代表される電動飛行体の活用が近年進められている(例えば下記特許文献1)。電動飛行体は、機体と、機体に設けられた複数の推進器と、を主に備えている。推進器は、回転数の制御が可能である。機体を水平方向に移動させる際には、移動したい方向とは反対側の推進器の回転数を上げて機体を傾斜させる。これにより、推力方向が変化して機体を所望の方向に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-529571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように回転数の制御のみによって機体の姿勢をコントロールする場合、機体を傾斜させる際に時間を要し、その間に突風等の外力を受けて姿勢を崩してしまう虞がある。特に、離陸と着陸の際に機体の姿勢が不安定化すると、機体が地面に接触してしまう等して、電動飛行体の安定的な運用に支障を来たす虞がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、機体の姿勢を崩すことなく離着陸することが可能な電動飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る電動飛行体の制御方法は、機体と、平面視における前記機体の重心位置を含む領域に配置され、電動機、該電動機によって回転駆動されるファン、及び該ファンを外周側から覆う筒状のダクトを有する中央推進器と、該中央推進器の出口に接続されて、異なる複数の方向に延びることで気流を前記複数の方向に向けて分流させるマニホールドと、該マニホールドの出口にそれぞれ設けられて、気流を転向させる転向部と、該転向部の姿勢を制御する転向駆動部と、平面視で、前記中央推進器を外周側から囲むようにして前記機体に設けられ、電動機、該電動機によって回転駆動されるファン、及び該ファンを外周側から覆う筒状のダクトを有する複数の周辺推進器と、を備える電動飛行体の制御方法であって、前記中央推進器を定格回転数に至るまで始動するステップと、前記中央推進器が前記定格回転数に至った後に、前記複数の周辺推進器を駆動することで前記機体を離陸させるステップと、を含む。
【0007】
本開示に係る電動飛行体の制御方法は、機体と、平面視で、前記機体の重心位置を外周側から囲むようにして前記機体に設けられ、電動機、該電動機によって回転駆動されるファン、及び該ファンを外周側から覆う筒状のダクトを有する複数の周辺推進器と、前記複数の周辺推進器の一部に設けられ、前記ダクトから気流を転向させるダクト転向部と、を備える電動飛行体の制御方法であって、前記ダクト転向部を有する前記周辺推進器を定格回転数に至るまで始動するステップと、前記ダクト転向部を有する前記周辺推進器が前記定格回転数に至った後に、残余の前記周辺推進器を駆動することで前記機体を離陸させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、機体の姿勢を崩すことなく移動することが可能な電動飛行体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第一実施形態に係る電動飛行体の構成を示す平面図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る電動飛行体の構成を示す側面図である。
図3】本開示の実施形態に係る制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図4】本開示の実施形態に係る制御部が機体を水平移動させる際の制御フローを示すフローチャートである。
図5】機体を水平移動させる際の転向部の動作と推力方向を示す説明図であって、機体を上方から見た図である。
図6】機体を水平移動させる際の転向部の動作と流体の流れ方向、及び流体の運動量の大きさの関係を示す説明図であって、機体を水平方向から見た図である。
図7】機体をヨー軸回りに回転させる際の転向部の動作と推力方向を示す説明図である。
図8】本開示の第一実施形態に係る電動飛行体の離着陸時における制御フローを示すフローチャートである。
図9】本開示の第二実施形態に係る電動飛行体の構成を示す平面図である。
図10】本開示の第二実施形態に係る電動飛行体の離着陸時における制御フローを示すフローチャートである。
図11】本開示の実施形態に係る転向部の変形例を示す模式図である。
図12】本開示の各実施形態に係る制御部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態に係る電動飛行体1、及び電動飛行体1の制御方法について、図1から図8を参照して説明する。本実施形態に係る電動飛行体1の用途としては、2地点間における物品の搬送等に加えて、低所から高所にかけての資材の上昇や降下等に用いられることが想定されている。
【0011】
(電動飛行体1の構成)
図1に示すように、電動飛行体1は、機体10と、中央推進器20aと、周辺推進器20bと、マニホールド25と、転向部24と、転向駆動部と、制御部30と、を備える。機体10は、バッテリーやGPSセンサー、送受信装置等の各種機器を収容している。詳しくは図示しないが、機体10には物品や貨物を搭載するためのスペースが形成されていてもよい。図1の例では、一例として機体10は平面視で矩形状をなしている。機体10の重心位置Gを含む領域には中央推進器20aが設けられている。4つの角部には、中央推進器20aを外周側から囲むようにして、それぞれ周辺推進器20bが1つずつ配置されている。つまり、周辺推進器20bは、矩形をなす機体10の幾何的な重心位置Gを挟んで対角線上に一対ずつ、計4つ設けられている。
【0012】
(中央推進器20a、周辺推進器20bの構成)
中央推進器20aと周辺推進器20bとは、設けられている位置が異なるのみであって、同等の構成を有する。そこで、以下ではこれらを総称して推進器20と呼び、その構成を、図2を参照して説明する。推進器20は、機体10の上昇下降や水平移動、ヨーイングの際の推力を発生させるための装置である。推進器20は、電動機21と、ファン22と、ダクト23と、を有する。
【0013】
電動機21は、電動機本体41と、出力軸42と、を有する。電動機本体41は、ステータ、及びロータコアを収容している。ロータコアには出力軸42が一体に接続されている。出力軸42は、軸線Xに沿って延びるとともに当該軸線X回りに回転可能である。出力軸42の軸端にはファン22が取り付けられている。ファン22は、スピナー51と、ブレード52と、を有する。スピナー51は、軸線Xを中心とする円盤状をなしている。なお、スピナー51は、軸線X方向に突出する尖頭状をなしていてもよい。スピナー51は、出力軸42と一体となって軸線X回りに回転する。
【0014】
ブレード52は、スピナー51の外周面から径方向に延びるとともに、周方向に間隔をあけて複数設けられている。図1、及び図2の例では、ブレード52が2枚設けられている。なお、ブレード52の数は2枚に限定されず、3枚以上であってもよい。ブレード52は、径方向から見て翼型の断面形状を有する。ブレード52がスピナー51とともに軸線X回りに回転することで、軸線X方向一方側から他方側に向かう空気の流れが発生する。この空気の流れの運動量の反力が機体10を上昇等させるための推力となる。以下の説明では、気流の流れ方向において、気流の流れ去る側を「下流側」と呼び、その反対側を「上流側」と呼ぶことがある。
【0015】
ダクト23は、上記の電動機21、及びファン22を外周側から覆う筒状をなしている。つまり、ダクト23は軸線Xを中心とする筒状をなしている。ダクト23の内側の空間は、ブレード52が発生させた気流が通過する流路となっている。ダクト23は、ステーによって電動機本体41に接続されている。ステーは径方向に延びるとともに周方向に間隔をあけて複数設けられている。この他、電動機本体41を内筒に収容し、当該内筒とダクト23との間にステーをかけ渡すことでダクト23が支持されていてもよい。
【0016】
中央推進器20aの下流側の端部には、マニホールド25が接続されている。マニホールド25は、中央推進器20aのダクト23を通過した気流を複数の流れに分流するために設けられている。図1に示すように、マニホールド25の出口側開口26は、機体10の下面に4つ分散されて開口している。これら4つの出口側開口26は、矩形をなす機体10の各辺に1つずつ設けられている。それぞれの出口側開口26は、機体10の各辺に交差する方向を長辺とする矩形をなしている。これら出口側開口26に向けて、ダクト23を通過した気流が枝分かれして、各出口側開口26から分散して気流が噴射される。
【0017】
転向部24は、マニホールド25の出口側開口26から流れ出る気流を転向させて推力方向を変化させるための装置である。転向部24は、中央推進器20aの軸線Xに対する径方向に延びる回動軸Y回りに回動可能とされている。転向部24は、回動軸Yから下流側に向かって広がる板状のフラップ24aによって形成されている。図1に示すように、転向部24は、周方向に90°の間隔をあけて4つ設けられている。図2に示すように、それぞれの転向部24には転向駆動部(図示省略)が接続されている。転向駆動部は転向部24を回動軸Y回りに回動させるアクチュエータである。転向駆動部は、後述する制御部30に電気的に接続されており、当該制御部30から送られた電気信号に基づいて駆動状態がコントロールされる。それぞれの転向部24は、互いに独立して制御されるように構成されている。
【0018】
図3に示すように、制御部30は、移動方向受付部31と、駆動信号生成部32と、回転数調節部33と、記憶部34と、を有する。移動方向受付部31は、例えば遠隔操作によって操縦者が入力した信号に基づいて、機体10を移動させる方向を取得する。以下の説明では、機体10の移動する方向を単に「移動方向D」と呼ぶ。移動方向Dは、水平面内における任意の方向である。
【0019】
駆動信号生成部32は、移動方向受付部31が受け付けた移動方向Dに基づいて、転向部24を駆動するための信号を転向駆動部に送信する。つまり、移動方向Dに応じて、どの転向部24をどの方向にどれだけ回動させるかが決定される。
【0020】
回転数調節部33は、移動方向Dに基づいて各推進器20の回転数を調節する。回転数調節部33の動作の詳細については後述する。記憶部34は、各種の情報を電気信号として格納している。記憶部34には、例えば移動方向D、移動速度と、転向部24の回動角度、推進器20の回転数との関係などが予め格納されている。
【0021】
次いで、図4から図6を参照して、電動飛行体1が移動方向Dに水平移動する際の各装置の挙動について説明する。図4に示すように、移動方向Dが操縦者によって入力されると、ステップS1で、移動方向受付部31が当該移動方向Dについての情報を受け付ける。その後、ステップS2で、移動方向Dに応じて転向部24を駆動させる。具体的には、移動方向受付部31から移動方向Dに関する信号を受信した駆動信号生成部32が、転向駆動部に所定の電気信号を送信する。これにより、転向部24が所定の方向に所定の角度だけ回動する。すると、周辺推進器20bから流れ出る気流の方向(推力方向)が変化する。これにより、機体10には移動方向Dの反対側に向かう気流の反力としての推力が与えられる(図5参照)。
【0022】
この時、図6に示すように、移動方向Dに直交する水平方向から見た場合、機体10には、当該方向を軸とするピッチングモーメントMが発生する。具体的には、例えば図6のように機体10を紙面左方に向かって移動させる際、機体10には時計回りのピッチングモーメントMが生じる。このピッチングモーメントMが大きくなると、機体10が時計回りに傾いてしまう。そこで、回転数調節部33が、周辺推進器20bの回転数を調節することで、ピッチングモーメントMを相殺するための反モーメントM´を発生させる(ステップS3)。複数の周辺推進器20bを、機体10の重心を挟んで移動方向Dの一方側(移動していく側:前方側)に位置する周辺推進器20bと、他方側(後方側)に位置する周辺推進器20bとに分けて考えた場合、回転数調節部33は、移動方向D一方側に位置する周辺推進器20bの回転数を、他方側の周辺推進器20bの回転数よりも高くなるように調節する。つまり、図6中の矢印の長さの差異によって示すように、当該一方側の周辺推進器20bによる推力が他方側の周辺推進器20bによる推力よりも大きくなる。すると、反時計回りの反モーメントM´が発生する。これにより、上述のピッチングモーメントMが相殺される。したがって、機体10は傾くことなく、つまりピッチングを伴わずに移動方向D一方側に向かって移動する。
【0023】
さらに、移動方向Dへの水平移動に限らず、転向部24を動作させることによって機体10をヨーイングさせることも可能である。ヨーイングとは、機体10の重心を通るヨー軸回りに当該機体10を回動させる動作を指す。図7に示すように、ヨーイングをさせる際には、それぞれの転向部24を同一の方向に同角度だけ回動させることで、重心位置Gを通る軸線Xの周方向に推力を発生させる。つまり、マニホールド25のそれぞれの出口側開口26では、周方向一方側から他方側に向かって推力が発生する。これにより、電動飛行体1全体に、ヨー軸回りに周方向一方側から他方側に向かうモーメントが発生してヨーイング動作が行われる。以上のような水平移動、及びヨーイング動作を適宜組み合わせることで、電動飛行体1の移動や姿勢のコントロールが行われる。
【0024】
(電動飛行体の制御方法)
続いて、電動飛行体1の離着陸時における制御フローについて、図8を参照して説明する。同図に示すように、この制御フローでは、ステップS11で、まず中央推進器20aを始動する。中央推進器20aは、予め定められた定格回転数に至るまで回転数が上昇するように制御される。これにより、マニホールド25を通じて転向部24に至った気流の向きが自在にコントロールできるようになる。つまり、舵が効いている状態となる。その後、ステップS12で、複数の周辺推進器20bを全て駆動する。これら周辺推進器20bを駆動することによって、機体10に上昇推力が与えられ、機体10は離陸する。その後、目的地に到着したら、着陸のためにステップS13を実行する。ステップS13では、周辺推進器20bの回転数を下げて、上昇推力を低下させる。これにより、機体10は降下する。なお、この状態では、中央推進器20aの回転数は定格回転数のまま維持される。その後、機体10が着地したら、ステップS14で中央推進器20aを停止させる。以上により、電動飛行体1の離着陸に関する制御フローが完了する。
【0025】
(作用効果)
ここで、従来の電動飛行体1では、推進器20の回転数の制御のみによって機体10の移動方向Dをコントロールする方式が一般的であった。例えば、機体10を水平方向に移動させる際には、移動したい方向とは反対側の推進器20の回転数を上げて機体10を傾斜させる。これにより、推力方向が変化して機体10を所望の方向に移動させることができるとされていた。しかしながら、上記のように回転数の制御のみによって機体10の姿勢をコントロールする場合、機体10を傾斜させる際に時間を要し、その間に突風等の外力を受けて姿勢を崩してしまう虞がある。そのため、機体10を傾斜させることなく当該機体10を移動させるための技術に対する要請が高まっていた。特に、離着陸の際の精緻な姿勢制御を可能にする技術が求められていた。そこで、本実施形態に係る電動飛行体1は、上述の方法、及び各構成を採用している。
【0026】
上記方法によれば、離陸に先立って中央推進器20aをまず初めに始動することで、離陸前の時点から転向部24による気流の転向が可能な状態となる。この状態から周辺推進器20bを駆動することで機体10は離陸する。この時点で、中央推進器20aから噴射された気流は転向部24によってその方向が制御可能である。これにより、離陸後直ちに機体10の姿勢を安定化させることができる。したがって、離陸時に突風等を受けて機体10の姿勢に変化が生じた場合であっても直ちにこれを是正し、正常な姿勢に復旧することができる。これにより、電動飛行体1を安定的に運用することが可能となる。
【0027】
また、上記方法によれば、着陸に先立って周辺推進器20bの回転数を下げることで機体10は降下する。この状態では、中央推進器20aは定格回転数で運転されている。したがって、中央推進器20aから噴射された気流は転向部24によってその方向が制御可能である。その後、機体10が着地したら中央推進器20aを停止する。これにより、着陸動作の全フェーズにおいて、転向部24の動作によって機体10の姿勢を安定化させることができる。したがって、着陸時に突風等を受けて機体10の姿勢に変化が生じた場合であっても直ちにこれを是正し、正常な姿勢に復旧することができる。これにより、電動飛行体1をさらに安定的に運用することが可能となる。
【0028】
さらに、上記構成によれば、転向部24によって、マニホールド25から流れる気流の方向を変えることによって、中央推進器20aの推力方向を自在に調節することができる。これにより、電動飛行体1の姿勢を大きく変えることなく、水平移動や位置調整ができる。したがって、機体10に搭載される物品等の重量バランスを崩すことなく、安定的かつ円滑に目的地に搬送することが可能となる。さらには、移動の直前に機体10を傾斜させる等の時間を要しないため、当該時間に突風等の影響を受けてしまう可能性も低減することができる。このため、電動飛行体1のさらに安定的な運用を実現することが可能となる。また、転向部24による気流の方向を重心回りの周方向一方側から他方側に向かう方向に一致させることで、電動飛行体1のヨー軸回りの回動動作も実現することができる。このように、微細な移動や位置調整、ヨーイングを容易に行うことが可能となる。
【0029】
さらに、上記構成によれば、転向部24としてのフラップ24aの回動角度を変えることのみによって、ダクト23から流れる気流の向きを変えることができる。これにより、簡素な構成のもとで、微細な移動や位置調整、ヨーイングを容易に行うことが可能となる。また、転向部24の回動角度さえ変化させれば推力方向が直ちに変化するため、操縦操作に対する電動飛行体1の応答性も高めることができる。
【0030】
また、上記構成によれば、まず制御部30が転向部24を動作させることで移動方向Dの後方側に向かう推力を発生させる。その際、機体10には水平方向を軸とするピッチングモーメントMが生じる。そこで、回転数調節部33が、移動方向D前方側に位置する周辺推進器20bの電動機21の回転数を後方側よりも高くする。これにより、反対向きの反モーメントM´が発生し、上記のピッチングモーメントMが相殺される。したがって、機体10を傾斜させることなく、移動方向Dに向けて移動させることが可能となる。これにより、貨物の重量バランスや突風による外力の影響を受けずに機体10をスムーズに移動させることができる。特に、傾けてしまうと破損する繊細な物品や重量バランスの取りにくい長尺の物品を運搬する際に有利となる。
【0031】
加えて、上記構成によれば、転向部24によってヨー軸回りの推力を発生させることによって、機体10をその場で回転させることができる。また、反対に、風等の外力によって機体10が不用意に回動してしまった際には、上記のような動作をさせることで初期の姿勢に直ちに復旧することができる。これにより、電動飛行体1の姿勢制御の精緻性、正確性が向上し、移動や搬送に留まらず、様々な用途に電動飛行体1を活用することが可能となる。つまり、電動飛行体1の汎用性を大きく向上させることができる。
【0032】
また、転向部24がマニホールド25の出口側開口26に集約して配置されているため、例えばそれぞれの推進器20のダクト23に転向部24を設ける構成に比べて、可動部の数を減らすことができる。これにより、部品点数が削減され、メンテナンスコストや製造コストを大きく低減することが可能となる。
【0033】
以上、本開示の第一実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0034】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態について、図9図10を参照して説明する。なお、上記の第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0035】
図9に示すように、本実施形態に係る電動飛行体1は、上記第一実施形態で説明した中央推進器20aを備えず、周辺推進器20bのみが機体10に設けられている。周辺推進器20bは、平面視で機体10の重心位置Gを囲むようにして8つ設けられている。具体的には、矩形をなす機体10の各角部に1つずつ、各辺部に1つずつ、計8つの周辺推進器20bが設けられている。これら周辺推進器20bの一部、つまり、各辺部に設けられている周辺推進器20bには、上述した転向部24と同様のダクト転向部124が設けられている。ダクト転向部124は、周辺推進器20bのダクト23に取り付けられており、軸線Xに対する径方向に延びる回動軸P回りに回動可能とされている。4つのダクト転向部124は、機体10の重心に直交する面内方向における4つの異なる方向に延びている。4つのダクト転向部124の動作や制御部30の制御フローは、第一実施形態で説明したものと同様である。
【0036】
(電動飛行体の制御方法)
続いて、電動飛行体1の離着陸時における制御フローについて、図10を参照して説明する。同図に示すように、この制御フローでは、ステップS21で、まずダクト転向部124を有する周辺推進器20bを始動する。当該周辺推進器20bは、予め定められた定格回転数に至るまで回転数が上昇するように制御される。これにより、ダクト転向部124に至った気流の向きが自在にコントロールできるようになる。つまり、舵が効いている状態となる。その後、ステップS22で、残余の周辺推進器20bを全て駆動する。これら周辺推進器20bを駆動することによって、機体10に上昇推力が与えられ、機体10は離陸する。その後、目的地に到着したら、着陸のためにステップS23を実行する。ステップS23では、ダクト転向部124を有さない周辺推進器20bの回転数を下げて、上昇推力を低下させる。これにより、機体10は降下する。なお、この状態では、ダクト転向部124を有する周辺推進器20bの回転数は定格回転数のまま維持される。その後、機体10が着地したら、ステップS24で全ての周辺推進器20bを停止させる。以上により、電動飛行体1の離着陸に関する制御フローが完了する。
【0037】
(作用効果)
上記方法によれば、離陸に先立ってダクト転向部124を有する周辺推進器20bをまず初めに始動することで、離陸前の時点からダクト転向部124による気流の転向が可能な状態となる。この状態から残余の周辺推進器20bを駆動することで機体10は離陸する。この時点で、ダクト転向部124を有する周辺推進器20bから噴射された気流はダクト転向部124によってその方向が制御可能である。これにより、離陸後直ちに機体10の姿勢を安定化させることができる。したがって、離陸時に突風等を受けて機体10の姿勢に変化が生じた場合であっても直ちにこれを是正し、正常な姿勢に復旧することができる。これにより、電動飛行体1をさらに安定的に運用することが可能となる。
【0038】
さらに、上記方法によれば、着陸に先立ってダクト転向部124を有しない周辺推進器20bの回転数を下げることで機体10は降下する。この状態では、ダクト転向部124を有する推進器20bは定格回転数で運転されている。したがって、当該周辺推進器20bから噴射された気流はダクト転向部124によってその方向が制御可能である。その後、機体10が着地したら当該周辺推進器20bを停止する。これにより、着陸動作の全フェーズにおいて、ダクト転向部124の動作によって機体10の姿勢を安定化させることができる。したがって、着陸時に突風等を受けて機体10の姿勢に変化が生じた場合であっても直ちにこれを是正し、正常な姿勢に復旧することができる。これにより、電動飛行体1をさらに安定的に運用することが可能となる。
【0039】
また、上記構成によれば、周辺推進器20bのダクト23を通過した気流の方向をダクト転向部124によって変えることによって、当該周辺推進器20bの推力方向を自在に調節することができる。これにより、電動飛行体1の姿勢を大きく変えることなく、水平移動や位置調整ができる。したがって、機体10に搭載される物品等の重量バランスを崩すことなく、安定的かつ円滑に目的地に搬送することが可能となる。さらには、移動の直前に機体10を傾斜させる等の時間を要しないため、当該時間に突風等の影響を受けてしまう可能性も低減することができる。このため、電動飛行体1のさらに安定的な運用を実現することが可能となる。また、ダクト転向部124による気流の方向を重心回りの周方向一方側から他方側に向かう方向に一致させることで、電動飛行体1のヨー軸回りの回動動作も実現することができる。このように、微細な移動や位置調整、ヨーイングを容易に行うことが可能となる。
【0040】
以上、本開示の第二実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0041】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0042】
例えば、転向部24、及びダクト転向部124の変形例として図11に示す構成を採ることも可能である。同図の例では、転向部24は、ダクト23から気流の下流側に向かって延びるとともに、出口の向きを自在に変更可能なノズル24bを有する。ノズル24bは、管状をなしており、その内部には気流が流通する流路が形成されている。この構成によっても上述したものと同様の作用効果を得ることができる。また、ノズル24bが弾性変形可能な材料で形成されていてもよい。この場合も、出口側端部の延びる方向をアクチュエータによって変化させることで、所望の方向への気流を発生させることができる。
【0043】
さらに、上記実施形態で説明した機体10の形状は一例であって、設計や仕様に応じて適宜選択された任意の形状、寸法体格を採用することが可能である。機体10の形状や寸法体格が変わっても、上記実施形態で説明した構成、及び制御フローは適用可能である。また、推進器20の数も、機体10の形状、寸法体格、及び重量等に応じて適宜決定されてよい。
【0044】
また、上記実施形態で説明した推進器20自体の構成も一例であって、ファン22の下流側に静翼をさらに有する構成を採ることが可能である。静翼は、ファン22が圧送した空気の流れを整流するために設けられる。この構成であっても、上述したものと同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
さらに、制御部30では、移動方向受付部31が移動方向Dの入力を受け付けた後、駆動信号生成部32による駆動信号の生成と、回転数調節部33による回転数の調節は、自律的に行われることが望ましい。言い換えると、ユーザーは、移動方向Dさえ入力すれば、その後の処理は制御部30によって自律的に行われることが望ましい。同様に、移動方向Dの入力を受け付けた後、駆動信号生成部32、及び回転数調節部33によって、ヨーイングを自動で行うように構成されていてもよい。
【0046】
上述の機体10は、人員が搭乗可能であってもよい。その場合、機体10には操縦装置や航法装置が搭載されていることが望ましい。
【0047】
また、移動方向Dにおける加速度の入力に基づいて、転向部24の回動速度を変化させるように構成されていてもよい。これにより、入力された移動方向Dへの加速度に則って機体10の精緻なコントロールが可能となる。
【0048】
なお、本開示の実施形態における制御部30の処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0049】
本開示の実施形態における記憶部34、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部34、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0050】
上述した制御部30による処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ200が読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータ200が読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータ200の具体例を以下に示す。
【0051】
図12に示すように、コンピュータ200は、CPU201と、メインメモリ202と、ストレージ203と、インターフェース204と、を備える。
例えば、上述の制御部30はコンピュータ200に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ203に記憶されている。CPU201は、プログラムをストレージ203から読み出してメインメモリ202に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU201は、プログラムに従って、上述した記憶部34に対応する記憶領域をメインメモリ202に確保する。
【0052】
ストレージ203の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ203は、コンピュータ200のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース204または通信回線を介してコンピュータ200に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ200に配信される場合、配信を受けたコンピュータ200が当該プログラムをメインメモリ202に展開し、上記処理を実行してもよい。なお、ストレージ203は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0053】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータ200にすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0054】
なお、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びこれらに類する処理装置を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0055】
<付記>
各実施形態に記載の電動飛行体1の制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0056】
(1)第1の態様に係る電動飛行体1の制御方法は、機体10と、平面視における前記機体10の重心位置Gを含む領域に配置され、電動機21、該電動機21によって回転駆動されるファン22、及び該ファン22を外周側から覆う筒状のダクト23を有する中央推進器20aと、該中央推進器20aの出口に接続されて、異なる複数の方向に延びることで気流を前記複数の方向に向けて分流させるマニホールド25と、該マニホールド25の出口にそれぞれ設けられて、気流を転向させる転向部24と、該転向部24の姿勢を制御する転向駆動部と、平面視で、前記中央推進器20aを外周側から囲むようにして前記機体10に設けられ、電動機21、該電動機21によって回転駆動されるファン22、及び該ファン22を外周側から覆う筒状のダクト23を有する複数の周辺推進器20bと、を備える電動飛行体1の制御方法であって、前記中央推進器20aを定格回転数に至るまで始動するステップS11と、前記中央推進器20aが前記定格回転数に至った後に、前記複数の周辺推進器20bを駆動することで前記機体10を離陸させるステップS12と、を含む。
【0057】
上記方法によれば、離陸に先立って中央推進器20aをまず初めに始動することで、離陸前の時点から転向部24による気流の転向が可能な状態となる。この状態から周辺推進器20bを駆動することで機体10は離陸する。この時点で、中央推進器20aから噴射された気流は転向部24によってその方向が制御可能である。これにより、離陸後直ちに機体10の姿勢を安定化させることができる。
【0058】
(2)第2の態様に係る電動飛行体1の制御方法は、(1)の電動飛行体1の制御方法であって、前記周辺推進器20bの回転数を低下させるステップS13と、前記周辺推進器20bの回転数が低下した後に、前記中央推進器20aの回転数を低下させることで前記機体10を着陸させるステップS14と、を含む。
【0059】
上記方法によれば、着陸に先立って周辺推進器20bの回転数を下げることで機体10は降下する。この状態では、中央推進器20aは定格回転数で運転されている。したがって、中央推進器20aから噴射された気流は転向部24によってその方向が制御可能である。その後、機体10が着地したら中央推進器20aを停止する。これにより、着陸動作の全フェーズにおいて、転向部24の動作によって機体10の姿勢を安定化させることができる。
【0060】
(3)第3の態様に係る電動飛行体1の制御方法は、機体10と、平面視で、前記機体10の重心位置Gを外周側から囲むようにして前記機体10に設けられ、電動機21、該電動機21によって回転駆動されるファン22、及び該ファン22を外周側から覆う筒状のダクト23を有する複数の周辺推進器20bと、前記複数の周辺推進器20bの一部に設けられ、前記ダクト23から気流を転向させるダクト転向部124と、を備える電動飛行体1の制御方法であって、前記ダクト転向部124を有する前記周辺推進器20bを定格回転数に至るまで始動するステップS21と、前記ダクト転向部124を有する前記周辺推進器20bが前記定格回転数に至った後に、残余の前記周辺推進器20bを駆動することで前記機体10を離陸させるステップS22と、を含む。
【0061】
上記方法によれば、離陸に先立ってダクト転向部124を有する周辺推進器20bをまず初めに始動することで、離陸前の時点からダクト転向部124による気流の転向が可能な状態となる。この状態から残余の周辺推進器20bを駆動することで機体10は離陸する。この時点で、ダクト転向部124を有する周辺推進器20bから噴射された気流はダクト転向部124によってその方向が制御可能である。これにより、離陸後直ちに機体10の姿勢を安定化させることができる。
【0062】
(4)第4の態様に係る電動飛行体1の制御方法は、(3)の電動飛行体1の制御方法であって、前記残余の周辺推進器20bの回転数を低下させるステップS23と、前記残余の周辺推進器20bの回転数が低下した後に、前記ダクト転向部124を有する前記周辺推進器20bの回転数を低下させることで前記機体10を着陸させるステップS24と、を含む。
【0063】
上記方法によれば、着陸に先立ってダクト転向部124を有しない周辺推進器20bの回転数を下げることで機体10は降下する。この状態では、ダクト転向部124を有する推進器20bは定格回転数で運転されている。したがって、当該周辺推進器20bから噴射された気流はダクト転向部124によってその方向が制御可能である。その後、機体10が着地したら当該周辺推進器20bを停止する。これにより、着陸動作の全フェーズにおいて、ダクト転向部124の動作によって機体10の姿勢を安定化させることができる。
【符号の説明】
【0064】
1…電動飛行体 10…機体 20…推進器 20a…中央推進器 20b…周辺推進器 21…電動機 22…ファン 23…ダクト 24…転向部 24a…フラップ 24b…ノズル 25…マニホールド 26…出口側開口 30…制御部 31…移動方向受付部 32…駆動信号生成部 33…回転数調節部 34…記憶部 41…電動機本体 42…出力軸 51…スピナー 52…ブレード 120…水平推進器 124…ダクト転向部 200…コンピュータ 201…CPU 202…メインメモリ 203…ストレージ 204…インターフェース D…移動方向 G…重心位置 M…ピッチングモーメント M´…反モーメント O…中心軸 P…回動軸 Q…チルト軸 X…軸線 Y…回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12