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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142419
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】回転電機システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/24 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02K3/24 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054554
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】矢▲崎▼ 学
(72)【発明者】
【氏名】丁子 達也
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA13
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CA10
5H603CB03
5H603CB19
5H603CC03
5H603CE01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】中性点を効率よく冷却する回転電機システムを提供する。
【解決手段】回転電機システムのステータは、複数の電磁コイル(310)の端部であるコイルエンド部(314)を有するコイルユニット(302)と、コイルユニットから引き出した導線(312)の末端(316)に設けられた中性点端子(320)とを有する。回転電機システムは、さらに、ハウジング内に収容された区画部材(610)を備える。区画部材は、コイルエンド部における軸線方向の端部に向かい合う第1壁面(612)を有する。第1壁面には、コイルエンド部から離間する方向に凹んだ凹部(627)が形成される。中性点端子と、凹部の底面(628)との間には、液体冷媒(CO)が流通する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ及びステータを有する回転電機と、前記回転電機を収容するハウジングとを備える回転電機システムであって、
前記ハウジングは、前記ステータを収容し、且つ、前記ステータを冷却する液体冷媒が流通するステータ室を有し、
前記ロータは回転シャフトを有し、前記回転シャフトは軸線方向に沿って延び、
前記ステータは、
ステータコアと、
前記ステータコアに巻回された複数の導線によって形成される複数の電磁コイルからなり、且つ前記複数の電磁コイルの端部であるコイルエンド部を有するコイルユニットと、
前記コイルユニットから引き出した前記複数の導線の末端で形成した中性点に設けられた中性点端子と、
を有し、
前記回転電機システムは、前記ハウジング内に収容されて該ハウジングとは別体である区画部材を備え、
前記区画部材は、前記ステータ室の内面の一部を形成し且つ前記コイルエンド部における前記軸線方向の端部に向かい合う第1壁面と、前記第1壁面に形成されて前記コイルエンド部から離間する方向に凹み、且つ底面が前記第1壁面の一部で形成される凹部とを有し、
前記中性点端子と、前記凹部の前記底面との間は、前記液体冷媒が流通する液体冷媒流路を形成する、回転電機システム。
【請求項2】
請求項1記載の回転電機システムにおいて、前記凹部の前記底面は、前記中性点端子の形状に対応した形状を有する、回転電機システム。
【請求項3】
請求項2記載の回転電機システムにおいて、前記中性点端子は第1湾曲面を有し、前記凹部の前記底面は、前記中性点端子の前記第1湾曲面の形状に対応して湾曲した第2湾曲面を有する、回転電機システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の回転電機システムにおいて、前記ハウジングは、前記回転電機を冷却する気体冷媒が流通する気体冷媒流路を有し、
前記区画部材は、前記第1壁面の裏面である第2壁面を有し、前記第2壁面は、前記気体冷媒流路の内面の一部を形成する、回転電機システム。
【請求項5】
請求項4記載の回転電機システムにおいて、前記気体冷媒流路は、前記ロータを収容したロータ室に連通し、前記区画部材は、前記気体冷媒流路と前記ステータ室とを互いに液密且つ気密に区分する、回転電機システム。
【請求項6】
請求項5記載の回転電機システムにおいて、前記回転電機システムは、前記ロータを取り囲んで内部が前記ロータ室を形成する円筒形状の隔壁部材を備え、前記ステータ室は前記隔壁部材の直径方向外方に形成され、
前記隔壁部材は、前記軸線方向の一端部である第1端と、前記軸線方向の他端部である第2端とを有し、
前記区画部材は、挿入孔が形成された筒部を有し、前記隔壁部材の前記第1端は前記挿入孔に挿入され、
前記回転電機システムは、前記隔壁部材の前記第1端の外周面と、前記挿入孔の内周面との間をシールするシール部材を備える、回転電機システム。
【請求項7】
請求項6記載の回転電機システムにおいて、前記気体冷媒流路は、前記気体冷媒の流通方向における最下流である下流側端部を有し、
前記隔壁部材において前記挿入孔に挿入された前記第1端に、前記気体冷媒の前記ロータ室への入口である冷媒入口が形成され、且つ前記隔壁部材の前記第2端に、前記気体冷媒の前記ロータ室からの出口である冷媒出口が形成され、
前記下流側端部は、前記冷媒入口と向かい合う、回転電機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ及びステータを有する回転電機と、該回転電機を収容したハウジングとを備える回転電機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機が発電機である場合、ステータの内部でロータが回転することに伴い、ステータを構成する電磁コイルに交流電流が生じる。この発電により、電磁コイルが発熱して回転電機が高温になる。回転電機が過度に高温になると、回転電機内の磁力が低下する。その結果、回転電機の効率が低下する。これを回避するため、回転電機を冷却することが考えられる。
【0003】
特許文献1には、コイルエンド部に配置された中性点に液体冷媒を適下することで、中性点を冷却する技術が開示されている。特許文献2には、コイルエンド部及び中性点端子に向かって液体冷媒を吐出することで、コイルエンド部及び中性点端子を冷却する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-002647号公報
【特許文献2】特開2019-176626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2記載の技術においては、コイルエンド部に中性点(中性点端子)が配置されている。このため、回転電機の動作時に電磁コイルに発生した熱は、コイルエンド部から中性点に伝わる。そこで、中性点を効率よく冷却することが望まれる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、ロータ及びステータを有する回転電機と、前記回転電機を収容するハウジングとを備える回転電機システムであって、前記ハウジングは、前記ステータを収容し、且つ、前記ステータを冷却する液体冷媒が流通するステータ室を有し、前記ロータは回転シャフトを有し、前記回転シャフトは軸線方向に沿って延び、前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアに巻回された複数の導線によって形成される複数の電磁コイルからなり、且つ前記複数の電磁コイルの端部であるコイルエンド部を有するコイルユニットと、前記コイルユニットから引き出した前記複数の導線の末端で形成した中性点に設けられた中性点端子と、を有し、前記回転電機システムは、前記ハウジング内に収容されて該ハウジングとは別体である区画部材を備え、前記区画部材は、前記ステータ室の内面の一部を形成し且つ前記コイルエンド部における前記軸線方向の端部に向かい合う第1壁面と、前記第1壁面に形成されて前記コイルエンド部から離間する方向に凹み、且つ底面が前記第1壁面の一部で形成される凹部とを有し、前記中性点端子と、前記凹部の前記底面との間は、前記液体冷媒が流通する液体冷媒流路を形成する、回転電機システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
区画部材の凹部に流入する液体冷媒により、中性点端子が冷却される。これにより中性点端子及びコイルエンド部が冷却されるので、電磁コイルの発熱による効率の低下及び電磁コイルの劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る回転電機システムを含む複合動力システムの概略全体斜視図である。
図2図2は、回転電機システムの軸線方向に沿った概略断面図である。
図3図3は、図2とは別角度における回転電機システムの軸線方向に沿った概略断面図である。
図4図4は、外シャフトと内シャフトとを連結する位置決め固定部の分解斜視図である。
図5図5は、外シャフトと内シャフトとを位置決め固定部で連結したときの一部断面斜視図である。
図6図6は、第1ベアリング周辺の要部拡大断面図である。
図7図7は、中性点固定構造周辺の要部拡大断面図である。
図8図8は、中性点固定構造の概略斜視図である。
図9図9は、第1ベアリングホルダの概略断面斜視図である。
図10図10は、第2ベアリング周辺の要部拡大断面図である。
図11図11は、気体冷媒及び液体冷媒の流通経路を示す概略フロー図である。
図12図12は、第1ベアリングに作用する合力を表した要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、気体冷媒として圧縮エアAR(図2及び図11参照)を例示し、且つ液体冷媒として冷却油CO(図2図3及び図11参照)を例示する。本実施形態において、冷却油COは、第1ベアリング400及び第2ベアリング500に供給される潤滑油LOと同一の油供給装置904(図11参照)から供給される。しかしながら、これは説明を簡素化して理解を容易にするための便宜的な例示である。気体冷媒は、圧縮窒素等であってもよい。液体冷媒は、沸点が高く揮発性が低い有機溶剤であってもよい。
【0011】
図1は、複合動力システム10の概略全体斜視図である。複合動力システム10は、本実施形態に係る回転電機システム20と、ガスタービンエンジン950とを備える。回転電機システム20及びガスタービンエンジン950の各々は、長手方向(軸線方向)に沿って延在する。回転電機システム20の軸線と、ガスタービンエンジン950の軸線とは、一致する。換言すれば、回転電機システム20とガスタービンエンジン950とは、同一軸線上に直列配置されている。
【0012】
複合動力システム10は、例えば、飛翔体、船舶又は自動車等において、推進の動力源として利用される。飛翔体の好適な具体例としては、ドローン又はマルチコプタ等が挙げられる。複合動力システム10は、飛翔体に搭載されたときには、例えば、プロップ、ダクテッドファン等を回転付勢する動力駆動源とされる。複合動力システム10は、船舶に搭載されたときには、スクリュの回転力発生装置とされる。複合動力システム10は、自動車に搭載されたときには、モータを回転付勢する動力駆動源とされる。
【0013】
複合動力システム10は、航空機、船舶又は建物等において、補助電源の動力源として利用することもできる。この他、複合動力システム10をガスタービン発電設備として利用することも可能である。
【0014】
ガスタービンエンジン950は内燃機関である。また、ガスタービンエンジン950は、圧縮エアARを供給する気体冷媒供給装置である。後述するように、圧縮エアARは、回転電機ハウジング22(ハウジング)内において、気体冷媒として流通する。
【0015】
以下の説明において、「左」、「右」、「下」及び「上」のそれぞれは、図2及び図3における左方、右方、下方及び上方を指す。しかしながら、これらの方向は、説明を簡素化して理解を容易にするための便宜的な方向付けである。すなわち、明細書に記載した方向が、複合動力システム10を実使用するときの方向であるとは限らない。
【0016】
また、以下の説明では、回転電機システム20及びガスタービンエンジン950のそれぞれの軸線方向の左端を、第1端と表記することがある。回転電機システム20及びガスタービンエンジン950のそれぞれの軸線方向の右端を、第2端と表記することがある。また、各部材において、第1端を向く面を「第1端面」と呼び、第2端を向く面を「第2端面」と呼ぶことがある。
【0017】
すなわち、回転電機システム20において、ガスタービンエンジン950(図1参照)から離間する左端部は第1端である。回転電機システム20において、ガスタービンエンジン950に近接する右端部は第2端である。また、ガスタービンエンジン950において、回転電機システム20に近接する左端部は第1端である。ガスタービンエンジン950において、回転電機システム20から離間する右端部は第2端である。この定義に従えば、図示例では、ガスタービンエンジン950は、回転電機システム20の第2端に配設されている。回転電機システム20は、ガスタービンエンジン950の第1端に配設されている。
【0018】
回転電機システム20について説明する。図2及び図3は、回転電機システム20の軸線方向に沿った概略断面図である。なお、図2及び図3では、互いに相違する断面を示している。回転電機システム20は、回転電機60と、該回転電機60を収納した回転電機ハウジング22(ハウジング)とを備える。本実施形態において、回転電機60は発電機である。
【0019】
回転電機ハウジング22は、メインハウジング24と、第1サブハウジング26と、第2サブハウジング28とを有する。メインハウジング24の第1端及び第2端は開放端であり、メインハウジング24は略円筒形状をなす。第1サブハウジング26は、メインハウジング24の第1端(左開放端)に連結される。第2サブハウジング28は、メインハウジング24の第2端(右開放端)に連結される。以上により、メインハウジング24の第1端及び第2端が閉塞される。
【0020】
メインハウジング24は、左右方向に沿って延在する厚肉の側壁を有する。メインハウジング24には、中空内部30が形成されている。この中空内部30は、隔壁部材32により、ロータ室34とステータ室36とに区分されている。ロータ室34は、隔壁部材32の直径方向における内方(内周側)に形成された部屋である。ステータ室36は、隔壁部材32の直径方向における外部(外周側)に形成された部屋である。
【0021】
メインハウジング24の側壁の内部には、冷却ジャケット38が形成されている。冷却ジャケット38には、冷却水等の冷却媒体が流通する。冷却ジャケット38は、例えば、ウォータジャケットである。
【0022】
メインハウジング24の側壁の外面には、第1端の縁部近傍に、第1ケーシング40及び第2ケーシング42が設けられている。第1ケーシング40及び第2ケーシング42は、メインハウジング24の一部位である。すなわち、第1ケーシング40及び第2ケーシング42は、メインハウジング24と一体的に設けられる。第1ケーシング40は、端子ケーシングである。第2ケーシング42は、測定器ケーシングである。
【0023】
図2に示すように、第1ケーシング40の内部には、下方の接点室44と、上方の端子室46とが形成される。接点室44と端子室46とは、互いに独立した空間である。接点室44は、ステータ室36に連通する。接点室44には、第1ケーシング40における第1端面で開口する差込口48が形成される。差込口48は、蓋部材45で閉塞される。
【0024】
第1サブハウジング26には、回転パラメータ検出器50を保持する保持部材52が連結される。本実施形態では、回転パラメータ検出器50としてレゾルバ54を例示する。従って、以降は、回転パラメータ検出器50(レゾルバ54)の保持部材52を「レゾルバホルダ56」と表記する。
【0025】
回転電機60は、ロータ62と、該ロータ62の外周を囲むステータ64とを備える。ロータ62は、回転シャフト66を含む。隔壁部材32は、回転シャフト66の直径方向において、ロータ62とステータ64との間に介在する。従って、ロータ62は、隔壁部材32の内周側に位置する。換言すれば、ロータ62は、ロータ室34に収容されている。ステータ64は、隔壁部材32の外周側に位置する。換言すれば、ステータ64は、ステータ室36に収容されている。
【0026】
回転シャフト66は、内シャフト68と、中空筒状の外シャフト70とを有する。外シャフト70の両端は、開放端である。すなわち、図2に示すように、外シャフト70は、第1中空端部72と、第2中空端部74とを有する。
【0027】
図4及び図5に示すように、第1中空端部72の先端部近傍には、第1係止部76が形成されている。この場合、第1係止部76は、周方向に互いに間隔を置いて配置された複数個の係合溝78を有する。個々の係合溝78は、縁部の外周面から直径方向の内方に向かって凹み、第2中空端部74に向かって若干延びる。
【0028】
内シャフト68は、外シャフト70の内部に挿抜可能に挿入される。内シャフト68は、外シャフト70よりも長尺である。図2に示すように、内シャフト68は、軸線方向における一端部である左端部80(第1端側の端部)と、軸線方向における他端部である右端部82(第2端側の端部)とを有する。左端部80は、内シャフト68において、ガスタービンエンジン950から離間する端部である。右端部82は、内シャフト68において、ガスタービンエンジン950に近接する端部である。
【0029】
左端部80の一部は、外シャフト70の第1中空端部72から露出する。以下、左端部80において、第1中空端部72から露出した一部を延出部90と呼ぶ。図4及び図5に詳細を示すように、延出部90は、大径部92、中径部94及び小径部96を有する。中径部94の直径は、大径部92の直径よりも小さい。小径部96の直径は、中径部94の直径よりも小さい。
【0030】
大径部92において、第1中空端部72に近接する部位の外周面には、雄ねじ部100が形成されている。大径部92において、中径部94に近接する部位の外周面には第4係止部102が形成されている。この場合、第4係止部102は鍵溝104を有する。
【0031】
外シャフト70の第1中空端部72と、内シャフト68の左端部80とは、位置決め固定部120を介して連結される。位置決め固定部120につき説明する。位置決め固定部120は、ナット部材130と、ロックスリーブ160と、ロックリング180と、リテーナ部材200とを有する。
【0032】
ナット部材130は、ナット本体132と、円環状突部134と、第2係止部136とを有する。ナット本体132の内周面には、雌ねじ部138が形成されている。ナット本体132の内周面において、第1端の近傍に、円環状突部134が設けられる。円環状突部134は、ナット本体132の内周面から、該ナット本体132の直径方向における内方に向かって円環状に突出している。円環状突部134の内径は、中径部94の直径よりも若干大きく、且つ大径部92の直径よりも若干小さい。
【0033】
第2係止部136は、複数個の突起部140を有する。突起部140は、ナット本体132の第1端面から、軸線方向に向かって延びる。突起部140の延在方向は、外シャフト70から離間する方向である。複数個の突起部140は、ナット本体132の周方向において、互いに等間隔で離間している。複数個の突起部140のうち隣接する2個の間には、第3係止部142が設けられる。第3係止部142は、互いに離間して隣接する2個の突起部140の間に形成された間隙144である。
【0034】
突起部140の第1端は、回転シャフト66の直径方向における内方に向かって折れ曲がっている。これにより、突起部140の第1端に爪部146が設けられている。さらに、突起部140の内周面には、回転シャフト66の直径方向における外方に向かって凹んだ挿入凹部148が形成されている。爪部146及び挿入凹部148は、リテーナ部材200に対する抜け止め部150である。抜け止め部150(爪部146及び挿入凹部148)により、突起部140の内方からのリテーナ部材200の抜け止めがなされる。
【0035】
ロックスリーブ160は、筒状本体部162と、第1係合部164と、第2係合部166とを有する。第1係合部164は、筒状本体部162の第2端から、外シャフト70の第2中空端部74に向かって延びるように突出した複数個の突部168である。突部168は、周方向に間隔を置いて設けられ、軸線方向に沿って延びる。突部168の個数は、係合溝78の個数よりも少なくてもよい。突部168の個数は、係合溝78の個数と同じであってもよい。
【0036】
ロックスリーブ160は、筒状本体部162における第1端から直径方向における内方に向かって突出した径方向突起170を有する。径方向突起170は、互いに等間隔で離間した複数個のタブ形状部172を有する。互いに離間して隣接する2個のタブ形状部172の間に、間隙174が形成される。突起部140が間隙174に挿入されることにより、第2係合部166が第2係止部136に係合する。
【0037】
ロックリング180は、円環部182と、第3係合部184及び第4係合部186とを有する。第3係合部184は、円環部182の外周面から直径方向における外方に向かって突出した2個の舌片部188である。2個の舌片部188は、円環部182の周方向において、互いに約180°の間隔で離間している。なお、舌片部188の個数は1個でもよいし、3個以上であってもよい。舌片部188の個数は、間隙174の個数と同じであってもよい。第4係合部186は、円環部182の内周面から直径方向における内方に向かって突出した凸部190である。図示例では、凸部190の個数は1個であるが、凸部190の個数は複数個であってもよい。ただし、その場合、鍵溝104の個数も複数個である。第4係合部186は、円環部182の周方向において、2個の舌片部188に対してずれた位置に設けられる。
【0038】
リテーナ部材200は円環状の部材であり、軸線方向に沿って所定の肉厚を有する。リテーナ部材200の肉厚は、挿入凹部148の軸線方向長さに略等しい。
【0039】
位置決め固定部120は、以下のようにして構成される。先ず、ナット部材130に形成された雌ねじ部138が、延出部90(内シャフト68の一部)を構成する大径部92の外周面に形成された雄ねじ部100に螺合される。螺合が終了すると、ナット本体132の第2端面は、外シャフト70の第1端面に当接する。
【0040】
次に、ロックスリーブ160が第1中空端部72に装着される。ロックスリーブ160の筒状本体部162は、ナット部材130を覆う。ロックスリーブ160の第2端に設けられた第1係合部164は、第1中空端部72に形成された第1係止部76に係合する。すなわち、複数個の突部168が、複数個の係合溝78にそれぞれ係合する。この係合により、回転シャフト66の軸線を中心とするロックスリーブ160と第1中空端部72との相対回転が規制される。この状態で、タブ形状部172における第2端面は、ナット本体132における第1端面に当接する。
【0041】
また、ロックスリーブ160の第1端に形成された第2係合部166に対し、ナット部材130の第2係止部136が係合する。すなわち、ナット部材130を構成する複数個の突起部140が、互いに離間して隣接する2個のタブ形状部172の間に形成された間隙174に挿入される。この係合により、回転シャフト66の軸線を中心とするロックスリーブ160とナット部材130との相対回転が規制される。
【0042】
次に、複数個の突起部140の内周にロックリング180が挿入される。このとき、ロックリング180の第3係合部184が、ナット部材130に設けられた第3係止部142に係合する。すなわち、第3係合部184が、互いに離間して隣接する2個の突起部140の間の間隙144に挿入される。また、ロックリング180の第4係合部186が、延出部90の第4係止部102(鍵溝104)に係合される。これにより、回転シャフト66が回転することに伴ってナット部材130及びロックスリーブ160が一体的に回転する。すなわち、ナット部材130及びロックスリーブ160が回転シャフト66に対して空転することが回避される。
【0043】
次に、複数個の突起部140の内周にリテーナ部材200が挿入される。この場合、リテーナ部材200の外周縁部が挿入凹部148に挿入される。これにより、リテーナ部材200及びロックリング180の延出部90からの抜け止めがなされる。
【0044】
爪部146の最内周部位を結んで形成される内接円C1の直径は、リテーナ部材200の外径よりも小さい。従って、仮にリテーナ部材200の外周縁部が挿入凹部148から離脱した場合であっても、リテーナ部材200が爪部146を通過することが防止される。
【0045】
なお、回転電機60のロータ62を構成する回転シャフト66以外の回転シャフトであっても、該回転シャフトが外シャフト70及び内シャフト68を有する場合、上記の位置決め固定部120を介して内シャフト68と外シャフト70とを連結することが可能である。すなわち、上記の位置決め固定部120を介して内シャフト68と外シャフト70とが連結されることで構成される回転シャフト66は、回転電機60のロータ62を構成する回転シャフト66に限定されない。
【0046】
図2及び図3に戻り、延出部90の延出先端には、レゾルバロータ210及びロックナット212が設けられる。ロックナット212は、延出部90の軸線方向において、レゾルバロータ210よりも外方に位置する。ロックナット212により、レゾルバロータ210の延出部90からの抜け止めがなされる。
【0047】
外シャフト70は、第1端から第2端に向かう方向に沿って第1シャフト部70a~第5シャフト部70eを有する。第1シャフト部70aから第4シャフト部70dまでは、外径が段階的に大きくなる。すなわち、例えば、第2シャフト部70bは、第1シャフト部70aに比べて大径であり、且つ第3シャフト部70cに比べて小径である。同様に、該第3シャフト部70cは、第2シャフト部70bに比べて大径であり、且つ第4シャフト部70dに比べて小径である。
【0048】
第1シャフト部70aには、スクリュキャップ220が螺合される。スクリュキャップ220は、延出部90の軸線方向において、第1ベアリング400よりも外方に位置する。スクリュキャップ220の第2端面は、第1ベアリング400の第1内輪402(図6参照)の第1端面に当接する。
【0049】
図3及び図6に示すように、第3シャフト部70cよりも小径な第2シャフト部70bの側周面には、第2シャフト部70bの周方向に沿って複数個の溝状流路230が形成される。図6には、複数個の溝状流路230のうち1個が示されている。個々の溝状流路230は、第2シャフト部70bの側周面(外表面)から、該第2シャフト部70bの直径方向内方に向かって凹み、且つ回転シャフト66の軸線方向に沿って延びる。第1ベアリング400は、第2シャフト部70bの直径方向外方に設けられる。第1ベアリング400の第1内輪402の内周面は、溝状流路230を覆う。これにより、ロータ内流路250(後述)の一部が構成される。
【0050】
第2シャフト部70bよりも大径な第3シャフト部70cの側周面には、第3シャフト部70cの周方向に沿って複数個の案内流路232が形成される。図6には、複数個の案内流路232のうち1個が示されている。個々の案内流路232は、第3シャフト部70cにおいて、第2シャフト部70bを向く第1端に形成される。案内流路232は、溝状流路230に連なる。案内流路232は、ロータ内流路250の一部を構成する。案内流路232の底面234は、第2シャフト部70bから離間するにつれて、回転シャフト66の直径方向内方から、第3シャフト部70cの外表面(側周面)に向かうように、直径方向外方に向かって傾斜した傾斜面である。
【0051】
図2及び図3に示すように、第3シャフト部70cには、筒部材等からなる磁石ホルダ280を介して永久磁石282が保持されている。ロータ62は、回転シャフト66、磁石ホルダ280及び永久磁石282を含んで構成される。磁石ホルダ280には、該磁石ホルダ280の軸線方向に沿って延びる内孔284が形成される。内孔284には、回転シャフト66が通される。従って、磁石ホルダ280は、回転シャフト66の直径方向において、回転シャフト66と永久磁石282との間に介在する。
【0052】
磁石ホルダ280及び永久磁石282は、回転シャフト66の軸線方向において、第1磁石ストッパ286と、第2磁石ストッパ288とに挟まれる。これにより、磁石ホルダ280が外シャフト70の外周面に位置決め固定される。すなわち、磁石ホルダ280及び永久磁石282の外シャフト70に対する位置ズレが防止される。このように、第1磁石ストッパ286及び第2磁石ストッパ288は、磁石ホルダ280を位置決め固定することで永久磁石282を位置決め固定する。
【0053】
第1磁石ストッパ286の一部は、ガイド部材560の内周面と、内輪ストッパ460の外周面との間に介在する。回転シャフト66の軸線方向において、第1磁石ストッパ286と永久磁石282との間には、第1リング体290が挟まれる。第2磁石ストッパ288は、第4シャフト部70dの外表面を覆う。回転シャフト66の軸線方向において、永久磁石282と第2磁石ストッパ288との間には第2リング体292が挟まれる。第1リング体290及び第2リング体292の貫通孔には、それぞれ、磁石ホルダ280の第1端及び第2端が通される。
【0054】
以上において、スクリュキャップ220、第2シャフト部70bの溝状流路230と第1ベアリング400の第1内輪402との間、第3シャフト部70cと内輪ストッパ460との間、第3シャフト部70cと磁石ホルダ280との間には、環状の流通スペース252がそれぞれ形成される。これらの流通スペース252により、ロータ内流路250が形成される。
【0055】
ロータ内流路250は、回転シャフト66の軸線方向に沿って延びる流路であり、例えば、軸線方向において部分的に環状空間であり得る。ロータ内流路250は、回転シャフト66の軸線方向において、永久磁石282の第1端から第2端にわたって延びる。ロータ内流路250は、溝等であってもよい。
【0056】
ロータ62は、以上のように構成される。次に、ステータ64につき説明する。ステータ64は、上記のロータ62とともに回転電機60を構成する。ステータ64は、ステータコア300と、コイルユニット302と、図7及び図8に示す中性点固定構造304とを有する。
【0057】
ステータコア300(図2及び図3参照)は、円筒状の部材である。ステータコア300は、リング状の電磁鋼板を軸線方向に複数枚積層することで構成される。ステータコア300には、複数個のスロットが形成される。複数個のスロットは、ステータコア300の内側で、周方向に間隔を空けて形成されている。隣接するスロットの間には、ティース部が形成される。
【0058】
コイルユニット302は、複数個の電磁コイル310を有する。複数個の電磁コイル310は、U相コイル、V相コイル及びW相コイルである。このことから理解されるように、回転電機60が発電機である場合、該回転電機60はいわゆる三相電源である。複数個の電磁コイル310の各々は、ステータコア300のティース部に導線312が巻回されることで構成される。そのため、複数個の電磁コイル310は、ステータコア300に対して円環形状に配列されている。
【0059】
複数個の電磁コイル310のうち、ステータコア300から軸線方向に突出する部分が、当該電磁コイル310の端部となる。複数個の電磁コイル310の端部は、コイルエンド部314を構成する。すなわち、コイルユニット302は、複数個の電磁コイル310の端部であるコイルエンド部314を有する。
【0060】
複数個の電磁コイル310の各々について、電磁コイル310を構成する導線312の他端部(末端316)は、コイルユニット302のコイルエンド部314から引き出される。複数個の導線312の末端316は、束ねられ結線されることで中性点318を構成する。図7及び図8に示す中性点固定構造304は、中性点318をコイルエンド部314に固定する。
【0061】
図8に示すように、中性点固定構造304は、中性点端子320と、絶縁部材322と、冷媒通路324と、第1糸部材326と、第2糸部材328とを有する。
【0062】
中性点端子320は、中性点318に設けられる。絶縁部材322は、中性点端子320とコイルエンド部314との間に設けられている。中性点端子320は、絶縁部材322を介してコイルエンド部314に固定されている。冷媒通路324は、中性点端子320と絶縁部材322との間で、液体冷媒である冷却油COを通過させる。
【0063】
具体的には、中性点端子320は、導電性の筒状部材である。中性点端子320は、非導電性の筒状部材であってもよい。中性点端子320の内側空間330には、コイルユニット302から引き出された複数個の導線312の末端316が挿入される。
【0064】
絶縁部材322は、コイルエンド部314に配置され、且つ、中性点端子320が配置される台座である。絶縁部材322は、矩形状のブロックである。絶縁部材322は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の電気絶縁材料からなる。
【0065】
絶縁部材322は、互いに反対側の面である第1面340と第2面342とを有する。第1面340には、中性点端子320が配置される。第2面342は、コイルエンド部314に当接する。
【0066】
第1面340には、第1凹部344が第1面340に沿って形成されている。具体的には、第1面340には、2つの第1凹部344が第1面340に沿って形成されている。2つの第1凹部344は、互いに交差している。本実施形態では、絶縁部材322の第1面340を第2面342に向かって十字状に凹ませることで、互いに直交する2つの第1凹部344が第1面340に形成されている。従って、2つの第1凹部344が形成されることで、絶縁部材322の四隅には、コイルエンド部314から離間するように突出する矩形状の突出部346が形成される。中性点端子320は、4つの突出部346に配置される。
【0067】
絶縁部材322には、係止溝348が形成されている。係止溝348は、絶縁部材322の表面のうち、中性点端子320と接触しない部分に形成されている。本実施形態では、2つの係止溝348が絶縁部材322に形成されている。2つの係止溝348は、間隔を空けて絶縁部材322に形成されている。2つの係止溝348の各々は、一方の突出部346の側面と、第2面342と、他方の突出部346の側面とにかけて、U字状に形成されている。
【0068】
中性点端子320は、例えば、導電性の部材である。中性点端子320は、非導電性の部材であってもよい。中性点端子320の外周面は、絶縁部材322の第1面340に当接する。中性点端子320は、外周面が第1面340に当接することで、絶縁部材322に配置される。
【0069】
中性点端子320の内側空間330には、コイルユニット302から引き出された複数個の導線312の末端316が挿入される。
【0070】
中性点端子320のうち、第1凹部344と向かい合う部分は、中性点端子320の内側に凹むことで第2凹部350を形成している。すなわち、中性点端子320の外周面のうち、絶縁部材322の第1面340に当接する部分に第2凹部350が形成される。絶縁部材322には、2つの第1凹部344が形成されている。そのため、第2凹部350は、2つの第1凹部344のうち、一方の第1凹部344と平行に形成されている。
【0071】
第2凹部350が中性点端子320の内側に凹むことで、中性点端子320の内側空間330には、中性点端子320の内側に突出する突出部352が形成される。突出部352は、中性点端子320の内側空間330に挿入される複数個の導線312の末端316を押圧する。これにより、複数個の導線312の末端316は、中性点端子320の内側空間330に固定される。
【0072】
冷媒通路324は、第1凹部344と第2凹部350とによって構成される。上記のように、絶縁部材322には、2つの第1凹部344が形成されている。また、中性点端子320には、第2凹部350が形成されている。そのため、絶縁部材322の第1面340(4つの突出部346)に中性点端子320が配置されることで、一方の第1凹部344と第2凹部350とによって一方の冷媒通路324が構成される。また、他方の第1凹部344によって他方の冷媒通路324が構成される。つまり、中性点端子320と絶縁部材322との間には、2つの冷媒通路324が形成される。
【0073】
第1糸部材326は、絶縁部材322と、該絶縁部材322に配置された中性点端子320とに巻回されている。具体的には、絶縁部材322と中性点端子320とには、2つの第1糸部材326が巻回されている。絶縁部材322には、2つの係止溝348が形成されている。一方の第1糸部材326は、一方の係止溝348に係止されるように、絶縁部材322と中性点端子320とに巻回されている。他方の第1糸部材326は、他方の係止溝348に係止されるように、絶縁部材322と中性点端子320とに巻回されている。これにより、中性点端子320が絶縁部材322に固定される。
【0074】
第2糸部材328は、コイルエンド部314と、該コイルエンド部314に配置された絶縁部材322とに巻回されている。具体的には、コイルエンド部314と絶縁部材322とには、2つの第2糸部材328が巻回されている。2つの糸部材は、他方の第1凹部344に係止されるように、コイルエンド部314と絶縁部材322とに巻回されている。これにより、絶縁部材322がコイルエンド部314に固定される。
【0075】
次に、ロータ62の第1端及び第2端につき説明する。
【0076】
図2図3及び図6に示すように、回転シャフト66の第1端は、第1ベアリング400を介して第1サブハウジング26に回転可能に保持される。具体的に、第1サブハウジング26は、第1ベアリング室410が形成されたベアリング保持部27を有する。ベアリング保持部27は、第1サブハウジング26の直径中心の周辺部分である。第1ベアリング室410は、ベアリング保持部27の第1端から第2端にわたって延びるように形成されている。第1ベアリング室410には、回転シャフト66の第1端が通される。
【0077】
図6に示すように、外シャフト70の第2シャフト部70bに配置された第1ベアリング400は、第1内輪402、第1転動ボール404及び第1外輪406を有する。第1ベアリング400(第1内輪402、第1転動ボール404及び第1外輪406)は全て、金属材からなる。
【0078】
第1ベアリング400は、中空筒状の第1ベアリングホルダ420に保持される。図6及び図9に示すように、第1ベアリングホルダ420は、第1端に位置して外径が最大である第1フランジ部422と、第1フランジ部422の第2端に連なる第1カバー部424と、リングホルダ部426と、スプリングホルダ部428とを有する。第1フランジ部422は、ボルト等を介して第1サブハウジング26の第1端に連結される。これにより、第1ベアリングホルダ420が回転電機ハウジング22に位置決め固定される。
【0079】
第1カバー部424は、第1外輪406の直径方向外方に位置する。すなわち、第1カバー部424は、第1外輪406の外周面側から第1ベアリング400を覆う。第1外輪406の外周面と、第1カバー部424の内周面との間には第1絶縁材430及び第2絶縁材432が介在する。第1絶縁材430及び第2絶縁材432により、第1ベアリング400と第1ベアリングホルダ420とが電気的に絶縁される。典型例では、第1絶縁材430及び第2絶縁材432は、第1カバー部424の内周面に形成された絶縁材である。代替的に、第1絶縁材430は、第1ベアリング400の第1外輪406の外周面に形成された絶縁膜であってもよい。又は、第1絶縁材430及び第2絶縁材432は、絶縁体からなるリングであってもよい。
【0080】
第1絶縁材430と第2絶縁材432とは、第1ベアリングホルダ420の軸線方向において、第1カバー部424に形成された環状溝434を介して互いに離間している。環状溝434は、第1カバー部424の内周面から外周面に向かって凹み、且つ第1カバー部424の外周面に沿って延びる溝である。環状溝434は、第1ベアリング400を構成する第1外輪406の外周面に向かい合う。環状溝434の天井面には、複数個の第1給油孔436が形成されている。複数個の第1給油孔436は、第1カバー部424の直径方向に沿って放射状に拡散するように延びる。個々の第1給油孔436は、第1カバー部424の内周面と外周面とを連通する。
【0081】
リングホルダ部426は、複数個の流通孔438を有する。複数個の流通孔438は、リングホルダ部426の円周方向に互いに間隔を置いて形成され、リングホルダ部426の内周面から外周面にわたって貫通している。リングホルダ部426の内周側には、中間部材であるスペーサリング440が配置される。スペーサリング440は、リングホルダ部426の内周において位置決め固定される。
【0082】
スペーサリング440は、第1ベアリングホルダ420の軸線方向において、与圧付加部材441である弾性体442と、第1ベアリング400との間に介在する。第1ベアリング400の第2端面と、スペーサリング440の第1端面との間には、第3絶縁材444が介在する。典型例では、第3絶縁材444は、スペーサリング440の第1端面に形成された絶縁材である。代替的に、第3絶縁材444は、第1ベアリング400の第1外輪406の第2端面に形成された絶縁膜であってもよい。又は、第3絶縁材444は、絶縁体からなるリングであってもよい。
【0083】
第1絶縁材430、第2絶縁材432及び第3絶縁材444の好適な一例は、アルミナ溶射膜である。ただし、第1絶縁材430、第2絶縁材432及び第3絶縁材444は、アルミナ以外の素材からなる絶縁体であってもよい。また、第1絶縁材430、第2絶縁材432及び第3絶縁材444の成膜方法は、溶射に限定されない。成膜方法は、化学的気相成長(CVD)法又は物理的気相成長(PVD)法であってもよい。
【0084】
スペーサリング440は、複数個の中継孔446を有する。複数個の中継孔446は、スペーサリング440の円周方向に互いに間隔を置いて形成され、スペーサリング440の内周面から外周面にわたって貫通している。個々の中継孔446は、リングホルダ部426の内周側において、個々の流通孔438に重なる。従って、個々の中継孔446は、個々の第1給油孔436に連通する。
【0085】
スプリングホルダ部428は、弾性体442を保持する。図示例において、弾性体442は、複数個の皿ばね443から構成される。弾性体442は、皿ばね443以外の弾性を示す部材であってもよい。弾性体442の他の例としては、コイルスプリングが挙げられる。
【0086】
具体的に、スプリングホルダ部428の内部には、ガイド部材560の筒状ガイド部562が挿入される。ガイド部材560の筒状ガイド部562の外周面と、スプリングホルダ部428の内周面との間に、収容室448が形成される。収容室448には、弾性体442(複数個の皿ばね443)及びリング型ストッパ450が挟まれる。なお、スプリングホルダ部428の第2端には、厚肉部452が設けられる。皿ばね443の第2端は、リング型ストッパ450を介して、厚肉部452の第1端に当接する。リング型ストッパ450と、スペーサリング440の第2端との間で、皿ばね443が圧縮される。
【0087】
第1ベアリング400の外径と、皿ばね443の外径とは略等しい。従って、圧縮された皿ばね443は、スペーサリング440を介して、第1外輪406の第2端面に荷重(与圧)を付与する。荷重の方向は、回転シャフト66の軸線方向である。このように、皿ばね443は、第1外輪406において、回転シャフト66の軸線方向を向く側面(第2端面)に対し、回転シャフト66の軸線方向に沿って荷重を付与する。
【0088】
ガイド部材560は、筒状ガイド部562よりも大径な外フランジ部564を有する。外フランジ部564は、スプリングホルダ部428の外方に露出する。スプリングホルダ部428の第2端面は、外フランジ部564の第1端面に当接する。
【0089】
さらに、第1ベアリングホルダ420の内部には、内輪ストッパ460が挿入される。内輪ストッパ460の第1端は、ガイド部材560の内部及びスペーサリング440の内部を通り、第1カバー部424に達している。内輪ストッパ460の第1端は、第1カバー部424の内部において、第1内輪402の第2端面に当接する。以上のように、第1ベアリング400の第1内輪402は、外シャフト70の軸線方向において、スクリュキャップ220と内輪ストッパ460との間に挟まれる。これにより、第1ベアリング400が外シャフト70の外周面における所定箇所に位置決め固定される。
【0090】
第1ベアリング室410は、回転シャフト66の軸線方向(左右方向)に沿って延在している。第1ベアリング室410の左端は、該第1ベアリング室410の右端よりも出力シャフト964から離間する。これとは逆に、第1ベアリング室410の右端は、該第1ベアリング室410の左端よりも出力シャフト964に近接する。以下、第1ベアリング室410において、右端よりも出力シャフト964から離間する左端を「第1遠位端412」と呼ぶことがある。また、左端よりも出力シャフト964に近接する右端を「第1近位端414」と呼ぶことがある。
【0091】
図2及び図3に示すように、第1サブハウジング26は、第1端に円環壁部462を有する。円環壁部462により、第1サブハウジング26の第1端に開口463及び内部空間464が形成される。このため、第1サブハウジング26の第1端は開放端である。この開放端は、レゾルバホルダ56によって閉塞される。具体的に、レゾルバホルダ56は円筒状係合部466を有する。円筒状係合部466は、第1サブハウジング26の第1端の開口463を介して、円環壁部462の内部空間464に挿入される。レゾルバホルダ56は、この状態で、例えば、取付ボルト(図示せず)等を介して第1サブハウジング26に連結される。円筒状係合部466の外周面と、円環壁部462の内周面との間は、不図示のシール部材によってシールされる。
【0092】
レゾルバホルダ56における直径中心には、シャフト孔470が形成されている。シャフト孔470には、延出部90の延出先端が通される。レゾルバホルダ56の第1端において、シャフト孔470は、キャップカバー472によって閉塞されている。この閉塞により、延出部90の延出先端が遮蔽される。
【0093】
シャフト孔470の内周面には、レゾルバステータ216が保持されている。レゾルバステータ216の内周側に、レゾルバロータ210が位置する。すなわち、レゾルバステータ216は、レゾルバロータ210の外周側で該レゾルバロータ210を取り囲む。レゾルバステータ216とレゾルバロータ210とで、レゾルバ54が構成される。レゾルバ54は、回転パラメータ検出器50である。本実施形態では、レゾルバ54は、内シャフト68の回転角度を検出する。なお、上記したように、レゾルバロータ210は、延出部90に保持されている。
【0094】
レゾルバホルダ56には、係合孔474が形成されている。係合孔474には、送信コネクタ218が係合される。レゾルバステータ216と送信コネクタ218とは、信号線219を介して電気的に接続される。なお、送信コネクタ218には、受信器(図示せず)の受信コネクタが挿入される。送信コネクタ218と受信コネクタとを介して、レゾルバ54と受信器が電気的に接続される。受信器は、レゾルバ54が発した信号を受信する。
【0095】
図2図3及び図10に示すように、回転シャフト66の第2端は、第2ベアリング500を介してメインハウジング24に回転可能に保持される。第2ベアリング500は、第2内輪502、第2転動ボール504及び第2外輪506を有する。第2ベアリング500(第2内輪502、第2転動ボール504及び第2外輪506)は全て、金属材からなる。
【0096】
メインハウジング24の第2端には、第1端に向かって凹んだ保持凹部508が形成される。メインハウジング24の保持凹部508と、中空体である第2サブハウジング28の内室512とにより、第2ベアリング室520が形成される。第2ベアリング500は、第2ベアリング室520に収容されている。なお、保持凹部508は、ロータ室34に連通する。
【0097】
第2ベアリング室520は、回転シャフト66の軸線方向(左右方向)に沿って延在している。第2ベアリング室520の左端は、該第2ベアリング室520の右端よりも出力シャフト964から離間する。これとは逆に、第2ベアリング室520の右端は、該第2ベアリング室520の左端よりも出力シャフト964に近接する。以下、第2ベアリング室520において、右端よりも出力シャフト964から離間する左端を「第2遠位端522」と呼ぶことがある。また、左端よりも出力シャフト964に近接する右端を「第2近位端524」と呼ぶことがある。
【0098】
保持凹部508には、第2ベアリングホルダ530の第2カバー部532が収容される。第2ベアリングホルダ530は、第2カバー部532の外周面から直径方向外方に延出した外フランジ部534を有する。外フランジ部534は、ボルト等を介してメインハウジング24の第2端に連結される。これにより、第2ベアリングホルダ530が回転電機ハウジング22に位置決め固定される。
【0099】
第2カバー部532は、第2外輪506の直径方向外方に位置し、第2外輪506の外周面側から第2ベアリング500を覆う。すなわち、第2ベアリング500は、外シャフト70の第2端の外周面と、第2ベアリングホルダ530の内周面との間に挟まれる。
【0100】
第2外輪506の外周面と、第2カバー部532の内周面との間には、不図示の第4絶縁材が介在する。第4絶縁材により、第2ベアリング500と第2ベアリングホルダ530とが電気的に絶縁される。典型例では、第4絶縁材は、第2カバー部532の内周面に形成された絶縁膜である。代替的に、第4絶縁材は、第2外輪506の外周面に形成された絶縁膜であってもよい。又は、第4絶縁材は、絶縁体からなるリングであってもよい。
【0101】
第4絶縁材の好適な一例は、アルミナ溶射膜である。ただし、第4絶縁材の素材は、アルミナ以外の絶縁体であってもよい。また、第4絶縁材の成膜方法は、溶射に限定されない。成膜方法は、化学的気相成長(CVD)法又は物理的気相成長(PVD)法であってもよい。
【0102】
第2ベアリングホルダ530の内部には、内側内輪ストッパ540及び外側内輪ストッパ542が挿入される。内側内輪ストッパ540、第2内輪502及び外側内輪ストッパ542は、外シャフト70の第5シャフト部70eにおいて、回転シャフト66の軸線方向に沿って並んでいる。内側内輪ストッパ540は第2遠位端522に位置し、外側内輪ストッパ542は第2近位端524に位置する。第2内輪502は、内側内輪ストッパ540と外側内輪ストッパ542との間に位置する。第2内輪502が内側内輪ストッパ540と外側内輪ストッパ542とで挟まれることにより、第2ベアリング500が外シャフト70の外周面における所定箇所に位置決め固定される。
【0103】
第2サブハウジング28の内室512には、整流部材550が収容される。整流部材550は、略円錐台形状をなし、第2端から第1端に向かうにつれてテーパー状に拡径する。整流部材550の第2端には、環状部552が設けられる。環状部552がメインハウジング24の第2端に位置決め固定されることにより、整流部材550がメインハウジング24に保持される。
【0104】
整流部材550の直径中心には、通気孔554が形成されている。通気孔554の内周面に対し、外側内輪ストッパ542の外周面が直径方向において向かい合う。
【0105】
次に、回転電機ハウジング22の内部をロータ室34とステータ室36とに区画する隔壁部材32について説明する。
【0106】
図2及び図3に示す隔壁部材32は、円筒形状体である。従って、隔壁部材32は、ロータ62の大部分を外周側から囲んでいる。これにより、隔壁部材32の内部にロータ室34が形成される。該ロータ室34には、ロータ62が収容される。
【0107】
その一方で、主に隔壁部材32の外周面とメインハウジング24の内周面とで空間が形成される。この空間が、ステータ室36である。ステータ室36には、ステータ64が収容される。メインハウジング24の内周面と電磁コイル310とは、互いに若干離間している。すなわち、メインハウジング24の内周面と電磁コイル310との間にクリアランスが形成される。このクリアランスにより、メインハウジング24と電磁コイル310とが電気的に絶縁される。
【0108】
隔壁部材32の肉厚が過度に大きい場合、隔壁部材32の重量が大きくなり、且つ回転電機60が直径方向に沿って大きくなる。また、肉厚が過度に大きな隔壁部材32は、永久磁石282と電磁コイル310との間の交番磁界を遮る。以上のような不具合を回避するため、隔壁部材32の肉厚は小さいことが好ましい。隔壁部材32の肉厚は、例えば、1mm前後であることが好ましい。
【0109】
従って、隔壁部材32は、薄肉であっても十分な強度及び剛性を有する素材からなることが好ましい。そのような素材の好適な例としては、セラミックスが挙げられる。ロータ62とステータ64との間の交番磁界が遮られることを回避するため、絶縁性で且つ非磁性のセラミックスが特に素材として好適である。その具体例としては、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si34)及びアルミナ(Al23)が挙げられる。このうち、アルミナは安価であるので特に好ましい。
【0110】
後述するように、ロータ室34には、第1端から第2端に向かって、気体冷媒である圧縮エアARが流通する。永久磁石282の外周面と隔壁部材32の内周面との離間距離が過度に小さいと、圧縮エアARに乱流が発生し易くなるので、風損が大きくなる。しかも、ロータ62における圧縮エアARに対する摩擦抵抗が大きくなるので、永久磁石282に発生する摩擦熱が大きくなる。以上のような不具合を回避するため、永久磁石282の外周面と隔壁部材32の内周面との離間距離は、隔壁部材32の外周面と電磁コイル310との離間距離よりも大きいことが好ましい。前者は、後者の約2.5倍~約4倍であることが好ましい。前者と後者の組み合わせの一例を挙げると、前者は1.1mm~2.1mmの範囲内であり、後者は0.3mm~0.5mmの範囲内である。
【0111】
隔壁部材32の第1端の内部には、ベアリング保持部27の一部である筒状部600が挿入される。筒状部600の内周面と、第1ベアリングホルダ420におけるスプリングホルダ部428の外周面との間は、シール部材によって気密及び液密にシールされる。第1サブハウジング26の第2端と、ステータ64の第1端との間には、区画部材610が介在する。区画部材610は、第2端を向く第1壁面612と、第1端を向く第2壁面614とを有する。すなわち、第2壁面614は第1壁面612の裏面である。なお、区画部材610は、第1サブハウジング26及びメインハウジング24とは別部材である。
【0112】
図7に示す区画部材610は、第2端から第1端に向かうにつれて略テーパー状に拡開する。区画部材610の第1端には、直径が最大であり且つ所定の肉厚を有する環状縁部616(側壁)が位置する。環状縁部616は、第1サブハウジング26の第2端面に設けられた環状壁部25の内周側に収容される。環状縁部616の側壁には、環状の第3シール部材618が設けられる。第3シール部材618は、環状壁部25の内周面に当接することで、気体冷媒流路700とステータ室36とを気密且つ液密に区分する。環状縁部616の内周面と、環状壁部25の外周面とは、僅かに離間する。
【0113】
区画部材610は、第2端に筒部620(特に図7参照)を有する。筒部620には、左挿入孔622が形成されている。隔壁部材32の第1端は、左挿入孔622に挿入されている。左挿入孔622の内周面には、環状の第1シール部材624が設けられる。第1シール部材624は、隔壁部材32の第1端の外周面に当接することで、気体冷媒流路700とステータ室36とを気密且つ液密に区分する。筒部620の内周面と、隔壁部材32の第1端の外周面とは、僅かに離間する。
【0114】
区画部材610において、環状縁部616(第1端)と筒部620(第2端)との間は、第2端から第1端に向かうにつれて略漸次的に拡径する部分である。以下、この部分を拡径部626と呼ぶ。拡径部626には、直径が段階的に拡径する部分が含まれてもよい。第1壁面612は、拡径部626において、第2端を向く面である。第2壁面614は、拡径部626において、第1端を向く面である。
【0115】
図10に示すように、第2サブハウジング28は、シール設置部630を有する。シール設置部630は、第2サブハウジング28の第1端面から第1端に向かって突出する。シール設置部630は、エア分配路702を形成する右挿入孔632を有する。右挿入孔632の内周面には、環状の第2シール部材634が設けられる。従って、隔壁部材32の第2端が右挿入孔632に挿入されると、第2シール部材634が隔壁部材32の第2端の外周面に当接する。第2シール部材634は、これにより、隔壁部材32から気体冷媒が排出される気体冷媒排出路(図2に示されるエア分配路702)と、ステータ室36とを気密且つ液密に区分する。右挿入孔632の内周面と、隔壁部材32の第2端の外周面とは、僅かに離間する。
【0116】
以上のように、第3シール部材618、第1シール部材624及び第2シール部材634により、ロータ室34とステータ室36とが互いに独立空間となる。従って、例えば、ロータ室34に供給された気体冷媒(圧縮エアAR)がステータ室36に漏洩することが防止される。また、ステータ室36に供給された液体冷媒(冷却油CO)がロータ室34に漏洩することも防止される。
【0117】
隔壁部材32の第2端の内部には、メインハウジング24の第1端に形成された筒状凸部640が挿入される。筒状凸部640と、シール設置部630の内周面とは、隔壁部材32の第2端を間に挟んで互いに向かい合う。
【0118】
上記から理解されるように、隔壁部材32の第1端は、区画部材610の筒部620の左挿入孔622に挿入されることで、区画部材610を介して第1サブハウジング26に支持される。また、隔壁部材32の第2端は、第2サブハウジング28のシール設置部630の右挿入孔632に挿入されることで、第2サブハウジング28に支持される。隔壁部材32は、その他の部材には特に当接していない。また、図示例において、隔壁部材32の第1端の先端面32aに当接した部材は存在せず、隔壁部材32の第2端の先端面32bに当接した部材も存在しない。換言すれば、隔壁部材32における軸線方向の両先端面32a、32bは、他の部材から拘束を受けていない非拘束面である。このため、隔壁部材32の両端部は、該隔壁部材32の軸線方向において自由に熱膨張を起こすことが可能である。
【0119】
なお、この態様では、両先端面32a、32bを非拘束面としているが、先端面32a又は先端面32bのいずれか一方に何らかの部材が当接していてもよい。
【0120】
隔壁部材32の第1端を支持する区画部材610について説明する。
【0121】
ステータ室36の内面は、区画部材610の第1壁面612と、隔壁部材32の外周面と、メインハウジング24の内周面とを含む。すなわち、区画部材610の第1壁面612は、ステータ室36の内面の一部を形成する。一方、区画部材610の第2壁面614と第1サブハウジング26の第2端面との間は、気体冷媒である圧縮エアARが流通する気体冷媒流路700である。従って、第2壁面614は、気体冷媒流路700の内面の一部を形成する。
【0122】
気体冷媒流路700は、圧縮エアARの流通方向における最下流である下流側端部704を有する。下流側端部704から流出した圧縮エアARは、隔壁部材32において、左挿入孔622に挿入された第1端の開口から、ロータ室34に流入する。すなわち、隔壁部材32における第1端の開口は、圧縮エアARのロータ室34への入口(冷媒入口706)である。なお、圧縮エアARの一部は、回転シャフト66の軸線方向に沿ってロータ室34内を流通する。従って、隔壁部材32の第2端の開口は、圧縮エアARのロータ室34からの出口(冷媒出口708)である。
【0123】
上記したように、区画部材610は、環状縁部616(第1端)と筒部620(第2端)との間に、第2端から第1端に向かうにつれて略漸次的に拡径する拡径部626を有する。拡径部626には、回転シャフト66の第2端から第1端に向かって凹んだ凹部627が形成される。凹部627の底面628は、第1壁面612の周方向の一部である。凹部627は、第1壁面612の周方向において、例えば、45°~90°の範囲内に形成される。この凹部627は、コイルエンド部314における軸線方向の端部に向かい合う。このことから理解されるように、第1壁面612の一部は、コイルエンド部314における軸線方向の端部に向かい合う。
【0124】
凹部627の底面628の形状は、凹部627内に配置された中性点端子320の形状に対応している。図示例では、凹部627の底面628は、中性点端子320の第1湾曲面319aに対応して湾曲した第2湾曲面319bを有する。
【0125】
凹部627の底面628と、中性点端子320との間は、所定間隔で離間している。ステータ室36内を液体冷媒が流通するとき、液体冷媒の一部は、凹部627の底面628と中性点端子320との間を通過する。すなわち、凹部627の底面628と中性点端子320との間は、液体冷媒流路の一部を形成する。
【0126】
図7には、拡径部626において、凹部627が設けられていない部分を仮想線で示している。図7から理解されるように、仮に、拡径部626における凹部627が設けられていない部分と、中性点端子320とが向かい合う場合、拡径部626は中性点端子320に干渉する。
【0127】
図1に示すように、メインハウジング24の左端近傍の側周面には、第1ケーシング40及び第2ケーシング42が一体的に設けられる。第1ケーシング40の端子室46には、U相端子151a、V相端子151b及びW相端子151cが収納される。U相端子151aは、電磁コイル310のうちU相コイルに電気的に接続される。V相端子151bは、電磁コイル310のうちV相コイルに電気的に接続される。W相端子151cは、電磁コイル310のうちW相コイルに電気的に接続される。U相端子151a、V相端子151b及びW相端子151cは、外部機器(外部負荷又は外部電源)が電気的に接続される電気端子部である。回転電機60で発生した電力は、外部機器に供給される。外部負荷としては、例えば、図示しないモータが挙げられる。別の外部機器としては、例えば、図示しないバッテリが挙げられる。
【0128】
U相端子151aとU相コイルとの電気的接点は、第1ケーシング40の接点室44に設けられる。V相端子151bとV相コイルとの電気的接点も同様に、接点室44に設けられる。W相端子151cとW相コイルとの電気的接点も同様に、接点室44に設けられる。V相端子151bとV相コイルとの電気的接点を例示して説明すると、図2に示すように、V相端子151bは、閉塞凸部294を有する。閉塞凸部294は、接点室44と端子室46との連通開口を閉塞する。この閉塞により、接点室44と端子室46とが互いに独立空間となる。
【0129】
閉塞凸部294には、V相端子151bの端子部295が設けられる。端子部295は、接点室44内に延びる。また、V相コイルの端部である端子線298が接点室44に引き出される。接点室44内では、端子部295と端子線298とが、ビス296を介して接続される。これにより、V相端子151bとV相コイルとが電気的に接続される。特に図示しないが、U相端子151a及びU相コイルも同様に、接点室44内で接続される。W相端子151c及びW相コイルも同様に、接点室44内で接続される。
【0130】
図1に示すように、第2ケーシング42は、第1ケーシング40に隣接する。第2ケーシング42には、温度測定器であるサーミスタ152が収納されている。特に図示はしていないが、サーミスタ152の測定端子は、第2ケーシング42から引き出された後、電磁コイル310に接続されている。第2ケーシング42からは、サーミスタ152に接続されたハーネス149が外部に引き出される。
【0131】
以上のように構成される回転電機システム20には、気体冷媒流路700を含む空冷流路730(図2参照)と、第1油冷流路800(図2参照)と、第2油冷流路840(図3参照)と、第3油冷流路870(図3参照)とが設けられる。先ず、空冷流路730について説明する。
【0132】
図3に示すように、空冷流路730は、給気路732と、気体冷媒流路700と、第1分岐路734と、第1ドレイン路736と、第2分岐路738と、第2ドレイン路740とを含む。給気路732への入口となる給気口は、第1サブハウジング26の側周面に設けられる。ここで、給気口には、例えば、ガスタービンエンジン950において発生した圧縮エアARの一部(抽気エア)が供給される。なお、コンプレッサによって大気を圧縮することで得た圧縮エアARを給気口に供給してもよい。代替的に、酸素ボンベ又は窒素ボンベから給気口に圧縮気体を供給してもよい。
【0133】
図2に示すように、給気路732は第2サブハウジング28の内部に形成される。給気路732は、第1サブハウジング26の側周面から該第1サブハウジング26の内部に向かって延びる。気体冷媒流路700は、第1サブハウジング26の側周面から該第1サブハウジング26の内部に向かうにつれ、第1端から第2端に向かうように傾斜する。なお、図2では1個の給気路732を形成した構成を例示しているが、複数個の給気路732を形成してもよい。
【0134】
気体冷媒流路700は、上記したように、第1サブハウジング26の第2端面と、区画部材610の第2壁面614との間に形成される空間である。区画部材610の拡径部626の直径は、第2端に向かうにつれて小さくなる。従って、気体冷媒である圧縮エアARは、気体冷媒流路700を下流に向かって流通するに従い、回転電機ハウジング22の直径中心に向かって移動する。
【0135】
気体冷媒流路700の下流側端部704は、筒部620における第1端側の基端の内面と、第1サブハウジング26の筒状部600の外面との間である。区画部材610の筒部620の左挿入孔622に隔壁部材32が挿入されているので、下流側端部704を流出した圧縮エアARは、隔壁部材32の第1端に形成された冷媒入口706から、ロータ室34に流入する。
【0136】
図2に示すように、圧縮エアARの一部は、第1磁石ストッパ286に遮られる。その結果、圧縮エアARの一部は第1ベアリング400に向かう。圧縮エアARの残部は、第1磁石ストッパ286と隔壁部材32との間のクリアランスを通過し、ロータ室34内を軸線方向に沿って流通する。すなわち、圧縮エアARの残部は第2ベアリング500に向かう。以下、第1ベアリング400に向かう圧縮エアARを「第1分流エアAR1」と呼び、第2ベアリング500に向かう圧縮エアARを「第2分流エアAR2」と呼ぶ。第1分岐路734は第1分流エアAR1の流通経路であり、第2分岐路738は第2分流エアAR2の流通経路である。
【0137】
図2及び図6に示すように、第1分岐路734は、第1磁石ストッパ286の第1端面と、ガイド部材560の第2端面との間に形成される空間と、内輪ストッパ460とガイド部材560との間に形成されるクリアランスとを含む。このことから理解されるように、第1ベアリング室410の第1近位端414は、第1分岐路734を形成する。第1近位端414に到達した第1分流エアAR1により、第1ベアリング400に対するエアカーテンが形成される。
【0138】
第1分岐路734は、スペーサリング440の内部空間を介して、該スペーサリング440の中継孔446に連通する。中継孔446には、第1ベアリングホルダ420のリングホルダ部426に形成された流通孔438に重なっている。従って、第1分流エアAR1は、第1分岐路734、中継孔446及び流通孔438を通過して、リングホルダ部426と第1サブハウジング26との間の空間に流入する。
【0139】
第1ドレイン路736は、気体冷媒案内路である第1導路742と、内部空間464と、第2導路744と、合流路746とを有する。第1導路742への入口は、第1サブハウジング26において、第1ベアリングホルダ420の流通孔438に向かい合う箇所に形成される。なお、第1ドレイン路736の個数は特に限定されないが、典型例では1個~3個である。第1導路742の出口は、内部空間464に向かって開口する。このため、第1導路742は、出口を介して内部空間464に連通する。
【0140】
内部空間464は、上記したように、第1サブハウジング26の円環壁部462によって囲まれ、且つレゾルバホルダ56で閉塞された空間である。第2導路744は、第1サブハウジング26の下部に形成され、下方に向かって直線状に延びる。第2導路744の入口は、内部空間464に向かって開口する。
【0141】
合流路746は、第2導路744に対して直交し、軸線方向に沿って延びる。合流路746の入口は、第2導路744に向かって開口する。
【0142】
第2分岐路738は、ロータ室34の一部を含む。ロータ室34において、第2分岐路738は主に、永久磁石282の外周面と隔壁部材32の内周面との間に形成される。上記したように、隔壁部材32の第2端の開口は、圧縮エアARのロータ室34からの冷媒出口708である。
【0143】
隔壁部材32の第2端の内部には、メインハウジング24の筒状凸部640が挿入される。ここで、メインハウジング24は、内部に図2に示すエア分配路702(気体冷媒排出路)を有する。エア分配路702への入口は、筒状凸部640に形成されている。すなわち、エア分配路702への入口は、冷媒出口708に向かい合っている。このため、第2分流エアAR2の一部はエア分配路702に流入する。以下、エア分配路702に流入した圧縮エアARを「支流エアSb」と呼ぶ。支流エアSbの一部は、第2サブハウジング28の内室512を形成する内面と、整流部材550の外面との間を通り、第2ベアリング室520の第2近位端524に到達する。余剰の支流エアSbは、第2サブハウジング28と外シャフト70との間に形成された環状の流通スペースを経て、回転電機ハウジング22の外方に排出される。
【0144】
第2分岐路738は、第2磁石ストッパ288と隔壁部材32との間のクリアランスと、第2ベアリング室520の第2遠位端522とをさらに含む。すなわち、第2分流エアAR2の残部は、第2ベアリング室520の第2遠位端522において、第2ベアリングホルダ530と内側内輪ストッパ540との間に流入する。なお、説明の簡素化のため、以下、第2分岐路738を流通する第2分流エアAR2の残部を「本流エアMs」と呼ぶ。
【0145】
以上のように、第2ベアリング室520の第2遠位端522には本流エアMsが供給され、第2ベアリング室520の第2近位端524には支流エアSbが供給される。すなわち、第2ベアリング500は、第2分流エアAR2によって囲まれる。その結果、第2ベアリング500に対するエアカーテンが形成される。
【0146】
代替的に、第2サブハウジング28に別の圧縮エア給気路を形成してもよい。この構成において、第2近位端524に対し、別の圧縮エア給気路を介して圧縮エアARを供給することも可能である。
【0147】
第2ベアリング室520に余剰に供給された第2分流エアAR2は、整流部材550の内面551に案内されながら、メインハウジング24の下部に形成された第2ドレイン路740の入口に向かう。第2ドレイン路740は、メインハウジング24の内部において下方に延びる。第2ドレイン路740には、合流路746が直交して連通する。従って、第1分流エアAR1と第2分流エアAR2(本流エアMs及び支流エアSb)は、第2ドレイン路740において合流し、回転電機ハウジング22の外方に流出する。
【0148】
図11に示すように、第2ドレイン路740から排出された圧縮エアARは、気液分離装置900に回収される。後述するように、気液分離装置900において圧縮エアARと冷却油CO又は潤滑油LOとが分離される。油が分離された圧縮エアARは、気液分離装置900から大気に排出される。気液分離装置900は油回収装置901であり、また、後述する循環ポンプ902とともに油供給装置904を構成する。このように、気液分離装置900は、油回収装置901と、油供給装置904の一部とを兼ねる。
【0149】
第1油冷流路800は、ステータ室36内に冷却油COを循環供給するための流路である。第1油冷流路800は、タンク906に接続された第1油供給路802と、ステータ室36と、ステータ室側ドレイン路804とを含む。第1油供給路802は、メインハウジング24の第2端の近傍に設けられる。ステータ室側ドレイン路804は、第1ケーシング40の側部に設けられる。第1油供給路802はステータ室36に連通し、ステータ室36は、第1ケーシング40の接点室44に連通する(図2参照)。接点室44は、ステータ室側ドレイン路804に連通する。従って、タンク906から第1油供給路802に供給された冷却油COは、ステータ室36を通過した後、接点室44に流入する。
【0150】
冷却油COは、さらに、接点室44からステータ室側ドレイン路804を介してタンク906に戻される。タンク906の冷却油COは、第1復路管910を介して第1油供給路802に再供給される。なお、ステータ室側ドレイン路804を流通した冷却油COを気液分離装置900に送り、その後に気液分離装置900からタンク906に送ってもよい。図11では、後者を例示している。
【0151】
第2油冷流路840は、第1ベアリング400及び第2ベアリング500に潤滑油LOを循環供給するための流路である。第1サブハウジング26の上部には、第2油供給路842が形成される。第2油供給路842は、第1サブハウジング26の直径方向外方から直径方向内方に向かって延びる。ここで、第1サブハウジング26と、第1ベアリングホルダ420の第1カバー部424との間には、ホルダ用スペーサ844(図6参照)が挟まれている。ホルダ用スペーサ844には、周方向に沿って複数個の連通孔846が形成されている。第2油供給路842は、連通孔846を介して第1給油孔436に連通する。従って、潤滑油LOの一部は、第2油供給路842、連通孔846及び第1給油孔436を介して第1ベアリング400の第1外輪406に供給される。
【0152】
第2油供給路842には、第1ノズル部材848に形成された油分配路849が連なる(図2参照)。従って、潤滑油LOの残部は、油分配路849を流通し、第1ノズル部材848に設けられた吐出部850から、第1ベアリング室410の第1遠位端412に吐出される。
【0153】
第1サブハウジング26の下部には、内部空間464を含む第1ドレイン路736が形成されている。上記のようにして第1ベアリング400に供給された潤滑油LOは、第1ドレイン路736を経た後、第2ドレイン路740を介して回転電機ハウジング22の外方に流出する。第2ドレイン路740から排出された潤滑油LOは、気液分離装置900に回収される。気液分離装置900から排出された潤滑油LOは、気液分離装置900及びタンク906を経て、第2油供給路842に接続された第2復路管912を介して第2油供給路842に戻される。
【0154】
第2油供給路842において、油分配路849よりも上流には、第3油供給路852が直交する。第3油供給路852はメインハウジング24の第2端において、直径方向内方に向かうように折り曲がっている。第3油供給路852は、第2ベアリングホルダ530に形成された第2給油孔536に連なる。従って、第2油供給路842から第3油供給路852に分配された潤滑油LOは、第2給油孔536を介して第2ベアリング500の第2外輪506に供給される。なお、例えば、メインハウジング24に予備油供給路853を形成し、該予備油供給路853から第2ベアリングホルダ530に潤滑油LOを供給してもよい。
【0155】
第1サブハウジング26の下部には、第2ベアリング室520に連通する第2ドレイン路740が形成されている。上記のようにして第2ベアリング500に供給された潤滑油LOは、第2ドレイン路740を介して回転電機ハウジング22の外方に流出する。このように、第2ドレイン路740は油排出路を兼ねる。第2ドレイン路740から排出された潤滑油LOは、気液分離装置900に回収される。気液分離装置900から排出された潤滑油LOは、タンク906を経て、第2油供給路842に接続された第2復路管912を介して、第2油供給路842に戻される。
【0156】
第3油冷流路870は、ロータ内流路250に冷却油COを循環供給するための流路である。すなわち、第3油冷流路870は、第3復路管914を介して気液分離装置900に接続された第4油供給路872と、ロータ内流路250と、タンク906に接続された第2ドレイン路740とを含む。第4油供給路872は、第1サブハウジング26の下部に設けられる。第4油供給路872には、第2ノズル部材874に形成された油導路876が連なる。従って、冷却油COは、油導路876を流通し、第2ノズル部材874に設けられた吐出部878から、第1シャフト部70aに向かって吐出される。
【0157】
冷却油COは、スクリュキャップ220の環状の流通スペース252を通過し、第1ベアリング400の第1内輪402で覆われた溝状流路230を流通する。さらに、冷却油COは、案内流路232、外シャフト70と内輪ストッパ460との間の流通スペース、外シャフト70と第1磁石ストッパ286との間の流通スペース、外シャフト70と磁石ホルダ280との間の流通スペース、外シャフト70と第2磁石ストッパ288との間の流通スペースを通過し、第2ベアリング室520の第2遠位端522に到達する。
【0158】
ロータ内流路250を流通した冷却油COは、第2ドレイン路740にて潤滑油LOと合流する。その後、冷却油COは潤滑油LOと同様に、第2ドレイン路740を介して回転電機ハウジング22の外方に流出する。第2ドレイン路740から排出された冷却油COは、気液分離装置900に回収される。気液分離装置900から排出された冷却油COは、タンク906を経て、第3復路管914を介して第4油供給路872に戻される。
【0159】
なお、潤滑油LOと、ロータ内流路250を流通する冷却油COとを兼用することも可能である。この場合、例えば、第2油供給路842に供給した潤滑油LOを、第1ノズル部材848及び第2ノズル部材874に分配する。
【0160】
図11に示す気液分離装置900には、タンク906及び循環ポンプ902が設けられた送油路908が接続される。タンク906に貯留された油は、循環ポンプ902によって、該循環ポンプ902に接続された第1復路管910、第2復路管912及び第3復路管914に送られる。上記したように、第1復路管910に送られた油は、第1油供給路802を経て、ステータ室36に冷却油COとして供給される。第2復路管912に送られた油は、第2油供給路842及び第3油供給路852を経て、第1ベアリング400及び第2ベアリング500に潤滑油LOとしてそれぞれ供給される。第3復路管914に送られた油は、第4油供給路872を経て、ロータ内流路250に冷却油COとして供給される。
【0161】
気液分離装置900には、回収路が接続される。第2ドレイン路740を経て回転電機ハウジング22から排出された圧縮エアAR、冷却油CO及び潤滑油LOは、回収路を経て気液分離装置900に流入する。上記したように、気液分離装置900は、圧縮エアARと油とを分離する。圧縮エアARは、排気ライン920を介して大気に放出される。一方、油は、タンク906に一旦貯留される。その後、潤滑油LOは循環ポンプ902によってタンク906から吸引され、第1復路管910、第2復路管912及び第3復路管914に送られる。以上が繰り返されることにより、タンク906内の油が潤滑油LO又は冷却油COとして循環供給される。
【0162】
回転電機システム20は、基本的には以上のように構成される。なお、ガスタービンエンジン950の構成は、例えば、特開2022-157789号公報の図8に示された構成と同様である。このため、ガスタービンエンジン950の説明は概略に留める。
【0163】
ガスタービンエンジン950は、エンジンハウジング952を備える。エンジンハウジング952は、インナハウジング954と、アウタハウジング956とを含む。インナハウジング954は、回転電機システム20の第2サブハウジング28に連結される。アウタハウジング956は、インナハウジング954に連結される。
【0164】
インナハウジング954は、複数個の脚部958を有する。図示例では、脚部958の個数は6個である。しかしながら、脚部958の個数は、ガスタービンエンジン950と回転電機システム20との間で要求される結合強度に応じて決定される。すなわち、脚部958の個数は、図示例の6個に限定されない。複数個の脚部958の間には、吸気空間960が形成される。
【0165】
ガスタービンエンジン950は、回転シャフト66に連結された出力シャフト964を備える。出力シャフト964の直径方向外方には、不図示のコンプレッサホイール及び不図示のタービンホイールが装着される。コンプレッサホイール及びタービンホイールは、回転シャフト66及び出力シャフト964と一体的に回転可能である。
【0166】
次に、複合動力システム10の動作につき説明する。
【0167】
先ず、U相端子151a、V相端子151b及びW相端子151cを介して、複数個の電磁コイル310(U相コイル、V相コイル及びW相コイル)に交流電流が供給される。交流電流が電磁コイル310に流れることで、ステータ64に交番磁界が生じる。このため、電磁コイル310と、ロータ62の永久磁石282との間に、吸引力と反発力とが交互に作用する。この結果、回転シャフト66が回転を開始する。代替的に、図示しない公知のスタータによって回転シャフト66を回転させてもよい。
【0168】
回転シャフト66の回転トルクは、コンプレッサホイールを介して出力シャフト964に伝達される。すなわち、回転シャフト66が回転を開始すると、該回転シャフト66と一体的に出力シャフト964も回転を開始する。これに伴い、出力シャフト964に支持されたコンプレッサホイール及び不図示のタービンホイールが出力シャフト964と一体的に回転する。
【0169】
以上のようにしてガスタービンエンジン950が起動された以降は、ガスタービンエンジン950の運転に伴って出力シャフト964が回転する。従って、電磁コイル310への電流の供給を停止しても、出力シャフト964と一体的に回転シャフト66が回転する。
【0170】
回転シャフト66が永久磁石282を保持しているので、永久磁石282を囲む電磁コイル310に交流電流が生じる。交流電流は、U相端子、V相端子及びW相端子を介して、不図示の電流変換器に送られる。電流変換器により、交流電流が直流電流に変換される。不図示の制御回路が、バッテリに電気的に接続された外部負荷の出力が低下したと判断したとき、電流変換器は、直流電流をバッテリに供給する。これにより、バッテリに充電がなされる。
【0171】
出力シャフト964が回転することにより、インナハウジング954の脚部958同士の間の吸気空間960を介してエンジンハウジング952内に大気が吸引される。ここで、回転電機システム20の第2サブハウジング28は、メインハウジング24からエンジンハウジング952に向かうに従って縮径するような山形形状をなす。このため、吸引される大気は、第2サブハウジング28によってエンジンハウジング952に向かうように整流される。第2サブハウジング28の第2端がエンジンハウジング952の第1端における開口に挿入されているので、大気がエンジンハウジング952内に効率よく導かれる。
【0172】
エンジンハウジング952内に吸引された大気は、コンプレッサホイールによって大気が圧縮される。これにより圧縮エアARが生じる。この圧縮エアARの一部が、回転電機システム20の空冷流路730に供給される。
【0173】
具体的に、圧縮エアARは、第1サブハウジング26の側周面に設けられた給気口を介して給気路732に流入する。圧縮エアARは、給気路732を通過して、第1サブハウジング26の第2端面と、区画部材610の第2壁面614との間に形成される気体冷媒流路700に流入する。圧縮エアARは、気体冷媒流路700を、回転電機ハウジング22の内部のロータ室34に向かって移動する。このように気体冷媒流路700における圧縮エアARの流通方向は、回転電機ハウジング22の直径方向外方から直径方向内方に向かう方向である。
【0174】
圧縮エアARは、さらに、気体冷媒流路700の下流側端部704から、ロータ室34の冷媒入口706を介してロータ室34に流入する。圧縮エアARは、ロータ室34において、第1磁石ストッパ286を境界として第1分流エアAR1と第2分流エアAR2とに分かれる。第1分流エアAR1は、第1分岐路734に沿って第1ベアリング室410の第1近位端414に到達し、該第1近位端414においてエアカーテンを形成する。このように、第1ベアリング室410への第1分流エアAR1の供給方向は、永久磁石282から第1ベアリング室410に向かう第2方向である。エアカーテンにより、第1ベアリング400が冷却される。
【0175】
余剰の第1分流エアAR1は、スペーサリング440の中継孔446と、第1ベアリングホルダ420のリングホルダ部426の流通孔438とを通過し、第1ドレイン路736に流入する。上記したように、第1ドレイン路736は、第1導路742と、第1サブハウジング26の内部空間464と、第2導路744と、合流路746とを有する。流通孔438を通過した第1分流エアAR1は、先ず、第1サブハウジング26に形成された第1導路742に流入する。第1導路742が内部空間464を介して第2導路744に連通し、且つ第2導路744が合流路746に連通しているので、第1分流エアAR1は、内部空間464、第2導路744及び合流路746を順次流通する。その後、第1分流エアAR1は、合流路746から第2ドレイン路740に流入する。
【0176】
第2分流エアAR2は、第2分岐路738の一部であるロータ室34内を流通する。ロータ室34内では、第2分流エアAR2は、主に永久磁石282の外周面と隔壁部材32の内周面との間を流れる。すなわち、第2分流エアAR2は永久磁石282に接触する。この接触により、ロータ62が冷却される。ロータ62を冷却した第2分流エアAR2は、ロータ室34の冷媒出口708を経て、第2分岐路738を流通する本流エアMsと、エア分配路702を流通する支流エアSbとに分かれる。
【0177】
本流エアMsは、第2ベアリング室520の第2遠位端522に到達する。一方、支流エアSbは、第2サブハウジング28の内室512を形成する内面と、整流部材550の外面との間を通り、第2ベアリング室520の第2近位端524に到達する。なお、余剰の支流エアSbは、第2サブハウジング28と外シャフト70との間に形成された通気孔554を介して、回転電機ハウジング22の外方に排出される。このようにして余剰の圧縮エアARが回転電機ハウジング22の外方に排出されることにより、回転電機ハウジング22の内部を流通する圧縮エアARの圧力が略一定に調整される。
【0178】
上記から理解されるように、第2ベアリング室520において、第2ベアリング500を囲むエアカーテンが形成される。エアカーテンにより、第2ベアリング500が冷却される。
【0179】
第2ベアリング室520に余剰に供給された第2分流エアAR2は、整流部材550の内面551に案内されて第2ドレイン路740に向かう。第2ドレイン路740において、第1分流エアAR1及び第2分流エアAR2が合流する。ここで、第1ベアリング400及び第2ベアリング500には、潤滑油LOがそれぞれ供給されている。このため、第1ベアリング室410を通過した第1分流エアAR1及び第2ベアリング室520を通過した第2分流エアAR2は、実質的に気液混合物である。合流路746を通過した第1分流エアAR1及び第2分流エアAR2は、回転電機ハウジング22から気液分離装置900に向かう。
【0180】
気液分離装置900において、圧縮エアARと冷却油CO又は潤滑油LOとが分離される。冷却油COが分離された圧縮エアARは、気液分離装置900から大気に排出される。
【0181】
以上のようにして圧縮エアARが回転電機ハウジング22内を流通すると同時に、該回転電機ハウジング22内に冷却油CO及び潤滑油LOが流通する。冷却油CO及び潤滑油LOの流通経路について説明する。
【0182】
第1油冷流路800において、冷却油COは、タンク906から第1油供給路802に供給される。第1油供給路802がステータ室36に連通しているので、冷却油COは、ステータ室36を満たしながらステータ室側ドレイン路804に向かって移動する。このように、ステータ室36内のステータ64は、冷却油COに浸された状態となる。これにより、ステータ64が冷却される。
【0183】
ステータ室36内の冷却油COがステータ室側ドレイン路804に向かう過程で、冷却油COは、中性点固定構造304に設けられた冷媒通路324を通過する。冷媒通路324を冷却油COが通過することで、中性点318及び中性点端子320が冷却される。また、コイルエンド部314から中性点端子320への熱伝達が低減される。
【0184】
ステータ室36内の冷却油COは、区画部材610の第1壁面612に沿って第1ケーシング40に向かう。このとき、冷却油COの移動方向は、回転電機ハウジング22の直径方向内方から直径方向外方に向かう第2方向である。このように、区画部材610の第1壁面612に沿って流通する冷却油COの流通方向と、区画部材610の第2壁面614に沿って流通する圧縮エアARの流通方向とは互いに逆方向である。
【0185】
ステータ室36を流通した冷却油COは、該ステータ室36の第1端から、第1ケーシング40の接点室44に流入する。接点室44内の冷却油COは、端子部295、端子線298及びビス296に接触する。これにより、U相端子151aとU相コイルとの電気的接点が冷却される。同様の理由から、V相端子151bとV相コイルとの電気的接点も冷却される。W相端子151cとW相コイルとの電気的接点も冷却される。
【0186】
接点室44内の冷却油COは、ステータ室側ドレイン路804に流入する。ステータ室側ドレイン路804を流通した冷却油COは、タンク906に回収される。その後、タンク906から第1復路管910を介して第1油供給路802に冷却油COが再供給される。なお、ステータ室側ドレイン路804を流通した冷却油COを気液分離装置900に送り、その後に気液分離装置900からタンク906に送ってもよい。
【0187】
第2油冷流路840において、潤滑油LOは、タンク906から第2油供給路842に供給される。潤滑油LOの一部は、第2油供給路842、ホルダ用スペーサ844の連通孔846、スペーサリング440の第1給油孔436を介して第1ベアリング400の第1外輪406に供給される。潤滑油LOの別の一部は、第2油供給路842から、第1ノズル部材848に形成された油分配路849に流入し、さらに、第1ノズル部材848に設けられた吐出部から、第1ベアリング室410の第1遠位端412に吐出される。従って、第1ベアリング室410への潤滑油LOの供給方向は、第1ベアリング室410から永久磁石282に向かう第1方向である。以上のようにして第1ベアリング400に供給された潤滑油LOは、第1ベアリング400を冷却し且つ潤滑する。その後、潤滑油LOは、第1サブハウジング26の内部空間464と、第1ドレイン路736とを介して、気液分離装置900に回収される。
【0188】
潤滑油LOのまた別の一部は、第2油供給路842から第3油供給路852に流入し、第2ベアリングホルダ530に形成された第2給油孔536を介して、第2ベアリング500の第2外輪506に供給される。潤滑油LOは、メインハウジング24に設けられた吐出部556からも第2ベアリング500に供給される。この潤滑油LOは、第2ベアリング500を冷却し且つ潤滑する。その後、潤滑油LOは、第2ベアリング室520に連通する第2ドレイン路740を介して、気液分離装置900に回収される。
【0189】
上記したように、第1ベアリング室410の第1近位端414に供給された第1分流エアAR1はエアカーテンを形成する。第1ベアリング400に供給された潤滑油LOがエアカーテンを通過してロータ室34に浸入することは困難である。第2ベアリング室520では、第2遠位端522に供給された本流エアMsと、第2近位端524に供給された支流エアSbとがエアカーテンを形成する。第2ベアリング500に供給された潤滑油LOがエアカーテンを通過してロータ室34に浸入することは困難である。このため、ロータ室34に潤滑油LOが浸入することが回避される。これにより、特に永久磁石282が潤滑油LOで汚れることを回避することができる。
【0190】
また、潤滑油LOが第2ベアリング室520から第2サブハウジング28の内室512に浸入することも困難である。従って、整流部材550が潤滑油LOで汚れることを回避することもできる。
【0191】
潤滑油LOは、エアカーテンを形成した圧縮エアARを含んでいる。気液分離装置900は、この圧縮エアARを潤滑油LOから分離する。圧縮エアARが分離された潤滑油LOは、タンク906に一旦貯留された後、第2復路管912から第2油供給路842に再供給される。
【0192】
第3油冷流路870において、冷却油COは、タンク906から第4油供給路872に供給され、第2ノズル部材874に形成された油導路876を流通する。冷却油COは、第2ノズル部材874に設けられた吐出部878から、外シャフト70の第1シャフト部70aに向かって吐出される。冷却油COは、回転シャフト66の軸線方向に沿ってロータ内流路250を流通する。具体的に、冷却油COは、スクリュキャップ220と第1シャフト部70aとの間の流通スペース、第1ベアリング400の第1内輪402で覆われた溝状流路230、案内流路232、外シャフト70と内輪ストッパ460との間の流通スペース、外シャフト70と第1磁石ストッパ286との間の流通スペース、外シャフト70と磁石ホルダ280との間の流通スペース、外シャフト70と第2磁石ストッパ288との間の流通スペースを通過する。その結果、冷却油COは、第2ベアリング室520の第2遠位端522に到達する。
【0193】
ロータ内流路250を流通した冷却油COは、第2ドレイン路740にて潤滑油LOと合流する。その後、冷却油COは潤滑油LOと同様に、第2ドレイン路740を介して気液分離装置900に回収される。気液分離装置900において圧縮エアARが分離された冷却油COは、タンク906に一旦貯留された後、第3復路管914を介して第4油供給路872に戻される。
【0194】
以上のように、本実施形態では、同一の油を潤滑油LO(潤滑剤)及び冷却油CO(液体冷媒)として兼用している。このため、潤滑剤の循環供給流路と、液体冷媒の循環供給流路とを複合することが可能である。従って、潤滑剤の循環供給流路の構成と、液体冷媒の循環供給流路の構成との簡素化を図ることができる。ただし、潤滑剤と液体冷媒とを、互いに異なる液体としてもよい。
【0195】
回転電機60の継続運転に伴って該回転電機60が熱を帯びる。このとき、隔壁部材32の第1端部又は第2端部のうち少なくとも一方は、熱膨張に基づいて該隔壁部材32の軸線方向に沿って自由に伸張することが可能である。隔壁部材32の両端面のうち少なくとも一方は、他の部材に当接していない非当接面であり、このために他の部材から拘束を受けない非拘束面であるからである。
【0196】
しかも、この場合、隔壁部材32の支持は、第1シール部材624、第3シール部材618及び第2シール部材634を介するフローティング支持である。従って、隔壁部材32は、熱膨張に基づいて該隔壁部材32の直径方向に沿って自由に拡径することも可能である。
【0197】
以上のような理由から、膨張した隔壁部材32が、他の部材から過大な圧縮応力を受けることが回避される。すなわち、隔壁部材32に過大な圧縮応力が集中することが回避される。
【0198】
回転シャフト66に振動等が生じたとき、図12に示すように、回転シャフト66から第1ベアリング400に、直径方向内方から直径方向外方に向かう荷重が入力される。以下、この荷重を「入力荷重S」と呼ぶ。入力荷重Sにより、皿ばね443(与圧付加部材441としての弾性体442)が第1ベアリング400に与圧を付与する力点において、皿ばね443に荷重が作用する。以下、この荷重を「作用荷重T」と呼ぶ。
【0199】
本実施形態においては、皿ばね443の全体が第1ベアリングホルダ420の内部に収容されている。このため、上記の入力荷重S及び作用荷重Tとで形成される合力Fと、回転シャフト66の直径方向との交差角度が小さい。このように、第1ベアリング400に作用する合力Fにおいて、回転シャフト66の直径方向からのズレ量は小さい。なお、典型例では、交差角度は5°以内であり、合力Fは回転シャフト66の中心から力点に向かう。
【0200】
このため、合力Fに起因して第1ベアリング400に作用する回転モーメントを小さくすることができる。その結果、第1ベアリング400が振動することが抑制されるので、第1ベアリング400の耐久性の向上を図ることができる。しかも、小型の与圧付加部材441を用いることができるので、回転電機システム20の小型化を図ることができる。
【0201】
回転電機60に対してメンテナンスを施すことが想定される。この場合において、内シャフト68を外シャフト70から抜去する際、作業者は、第1係合部164と第2係合部166との係合を解除することで、ロックスリーブ160を第1中空端部72から取り外すことができる。その後、作業者は、ナット部材130を弛緩する方向に回転させることで、該ナット部材130を延出部90から取り外すことができる。
【0202】
メンテナンスの終了後、上記とは逆に、作業者は、内シャフト68を外シャフト70に挿入した後、ナット部材130を締付方向に回転させることで、該ナット部材130を延出部90に取り付けることができる。その後、第1係合部164と第2係合部166とを互いに係合させることで、ロックスリーブ160を第1中空端部72に取り付けることができる。以上のように、上記の構成によれば、回転シャフト66の分解及び組立が容易である。
【0203】
位置決め固定部120によって、外シャフト70からの内シャフト68の抜け止めがなされる。従って、外シャフト70からの内シャフト68の抜け止めを図るために、例えば、外シャフト70に対する加締めを行う必要がない。従って、回転シャフト66にメンテナンスを行う際、内シャフト68を外シャフト70から容易に抜去することができる。
【0204】
また、ナット部材130と延出部90との螺合の弛緩防止を図るためにねじ結合を接着剤で固める必要がない。従って、回転シャフト66にメンテナンスを行う際、ねじ結合に固着した接着剤を除去する作業が不要である。
【0205】
上記を含め、本実施形態の効果を纏めると、以下のとおりである。
【0206】
回転電機システム20は、ロータ62及びステータ64を有する回転電機60と、回転電機60を収容する回転電機ハウジング22とを備える。回転電機ハウジング22は、ステータ64を収容し、且つ、ステータ64を冷却する液体冷媒が流通するステータ室36を有する。ロータ62は、回転シャフト66を有する。回転シャフト66は、軸線方向に沿って延びる。ここで、軸線方向は、該回転シャフト66の直径方向に対して直交する方向である。ステータ64は、ステータコア300と、ステータコア300に巻回された複数の導線312によって形成される複数の電磁コイル310からなり、且つ複数の電磁コイル310の端部であるコイルエンド部314を有するコイルユニットと、コイルユニットから引き出した複数の導線312の末端316で形成した中性点318に設けられた中性点端子320と、を有する。回転電機システム20は、さらに、ハウジング内に収容されて該ハウジングとは別体である区画部材610を備える。区画部材610は、ステータ室36の内面の一部を形成し且つコイルエンド部314における軸線方向の端部に向かい合う第1壁面612と、第1壁面612に形成されてコイルエンド部314から離間する方向に凹み、且つ底面が第1壁面612の一部で形成される凹部627とを有する。中性点端子320と、凹部627の底面628との間は、液体冷媒(冷却油CO等)が流通する液体冷媒流路を形成する。
【0207】
凹部627に流入する液体冷媒により、中性点端子320が冷却される。これにより中性点端子320及びコイルエンド部314が冷却されるので、電磁コイル310の発熱による効率の低下を抑制することができる。また、電磁コイル310の劣化を抑制することもできる。
【0208】
凹部627の底面628は、中性点端子320の形状に対応した形状を有する。
【0209】
これにより、中性点端子320と、凹部627の底面628との間の流通抵抗が小さくなる。従って、中性点端子320と、凹部627の底面628との間を液体冷媒が容易に流通する。その結果、中性点端子320が効率よく冷却される。
【0210】
中性点端子320は第1湾曲面319aを有し、凹部627の底面628は、中性点端子320の第1湾曲面319aの形状に対応して湾曲した第2湾曲面319bを有する。
【0211】
中性点端子320が第1湾曲面319aを有する場合であっても、液体冷媒が、中性点端子320と、凹部627の底面628との間を液体冷媒を容易に流通することができる。すなわち、この場合においても、中性点端子320が効率よく冷却される。
【0212】
ハウジングは、回転電機60を冷却する気体冷媒(圧縮エアAR等)が流通する気体冷媒流路700を有する。区画部材610は、第1壁面612の裏面である第2壁面614を有する。この第2壁面614は、気体冷媒流路700の内面の一部を形成する。
【0213】
この構成によれば、ステータ64を液体冷媒で冷却しながら、回転電機60におけるステータ室36以外の所定箇所を気体冷媒で冷却することが可能である。これにより、回転電機60に発生した熱を一層速やかに電磁コイル310から除去することができる。
【0214】
この構成において、区画部材610は、ステータ64に供給される液体冷媒と、所定箇所に供給される気体冷媒とが互いに混じり合うことを防止する。従って、例えば、所定箇所に配置された部材(ロータ62の永久磁石282等)が液体媒体(冷却油CO等)で濡れることが回避される。
【0215】
気体冷媒流路700はロータ室34に連通し、区画部材610は、気体冷媒流路700とステータ室36とを互いに液密且つ気密に区分する。
【0216】
ロータ室34に液体冷媒が供給されると、液体冷媒の粘性によってロータ62の回転速度が小さくなる。上記の構成によれば、このような不具合が生じることが回避される。上記したように、区画部材610が、液体冷媒と気体冷媒とが互いに混じり合うことを防止するので、ステータ室36に供給された液体冷媒がロータ室34に供給されることが回避されるからである。しかも、ロータ室34内のロータ62を、気体冷媒によって冷却することが可能である。
【0217】
回転電機システム20は、ロータ62を取り囲んで内部がロータ室34を形成する円筒形状の隔壁部材32を備える。ステータ室36は、隔壁部材32の直径方向外方に形成される。ここで、隔壁部材32は、軸線方向の一端部である第1端と、軸線方向の他端部である第2端とを有する。区画部材610は、挿入孔が形成された筒部を有する。隔壁部材32の第1端は、挿入孔に挿入される。隔壁部材32の第1端の外周面と、挿入孔の内周面との間は、シール部材によってシールされる。
【0218】
区画部材610と隔壁部材32とを組み合わせることにより、ステータ室36と気体冷媒流路700とを確実に分け隔てることができる。
【0219】
気体冷媒流路700は、気体冷媒の流通方向における最下流である下流側端部704を有する。隔壁部材32において挿入孔に挿入された第1端に、気体冷媒のロータ室34への入口である冷媒入口706が形成される。且つ隔壁部材32の第2端に、気体冷媒のロータ室34からの出口である冷媒出口708が形成される。気体冷媒流路700の下流側端部704は、冷媒入口706と向かい合う。
【0220】
この構成により、気体冷媒流路700を流通した気体冷媒が、ロータ室34に確実に流入する。
【0221】
回転電機システム20は、隔壁部材32の第1端と区画部材610との間に介在する第1シール部材624と、隔壁部材32の第2端と前記ハウジングとの間に介在する第2シール部材634と、ステータ室36に液体冷媒を供給する液体冷媒供給装置と、を備える。この構成において、隔壁部材32の第1端の端面及び第2端の端面のうち少なくとも一方は、如何なる部材にも当接していない非当接面である。
【0222】
隔壁部材32における第1端部の先端面32a及び第2端部の先端面32bのうち少なくとも一方は、他の部材に拘束を受けない非拘束面である。従って、回転電機60の継続運転に伴って該回転電機60が熱を帯びたとき、隔壁部材32の第1端部及び第2端部のうち少なくとも一方は、熱膨張に基づいて該隔壁部材32の軸線方向に沿って自由に伸張することが可能である。このため、軸線方向に沿って伸張した隔壁部材32の両端部が、他の部材から圧縮応力を受けることが回避される。
【0223】
また、隔壁部材32は、第1シール部材を介して区画部材610にフローティング支持され、且つ第2シール部材を介してハウジングにフローティング支持される。従って、隔壁部材32は、熱膨張に基づいて該隔壁部材32の直径方向に沿って自由に膨張することも可能である。このため、直径方向に沿って膨張した隔壁部材32の外周面が、他の部材から圧縮応力を受けることも回避される。
【0224】
隔壁部材32は、セラミックスからなる。
【0225】
セラミックスは、高強度、絶縁性及び耐熱性を示す素材である。このため、隔壁部材32を薄肉で形成した場合であっても、隔壁部材32の強度及び絶縁性が確保され、且つ熱に対して安定性を示す。これにより、隔壁部材32が十分な耐久性を示す。また、セラミックスからなる隔壁部材32は、ロータ62とステータ64との間の交番磁界を遮ることがほとんどない。
【0226】
区画部材610は、隔壁部材32の第1端が挿入される左挿入孔622を有する。第1シール部材は、隔壁部材32の第1端の外周面と、前記挿入孔の内周面との間をシールする。
【0227】
この構成によれば、隔壁部材32を、第1シール部材を介して区画部材610でフローティング支持することが容易である。また、隔壁部材32の第1端の外周面と左挿入孔622の内周面との間がシールされるので、気体冷媒がステータ室36に漏洩することが回避される。逆に、液体冷媒が気体冷媒流路700に漏洩することも回避される。
【0228】
ハウジングは、ロータ室34に連通して気体冷媒が流通する気体冷媒排出路(エア分配路702)を有する。隔壁部材32の第2端は、気体冷媒排出路の開口に挿入される。第2シール部材は、第2端の外周面と、気体冷媒排出路の内周面との間をシールする。
【0229】
この構成によれば、隔壁部材32を、第2シール部材を介して回転電機ハウジング22でフローティング支持することが容易である。また、気体冷媒排出路の内周面と第2端の外周面との間がシールされるので、気体冷媒がステータ室36に漏洩することが回避される。逆に、液体冷媒が気体冷媒排出路に漏洩することも回避される。
【0230】
回転電機ハウジング22は、ベアリング保持部27を有する。回転電機システム20は、ベアリング保持部27と回転シャフト66との間に形成される第1ベアリング室410と、第1ベアリング室410に収容された第1ベアリング400とを備える。ロータ室34は、第1ベアリング室410に連通する。
【0231】
これにより、例えば、ロータ62を冷却するための気体冷媒を第1ベアリング室410に供給することができる。又は、第1ベアリング400を冷却するための気体冷媒をロータ室34に供給することができる。このため、ロータ62及び第1ベアリング400を同一の気体冷媒で冷却することが可能である。
【0232】
ベアリング保持部27における隔壁部材32を向く端部(筒状部600)は、隔壁部材32の内部に挿入されている。
【0233】
この場合、ベアリング保持部27における端部を隔壁部材32の内部(ロータ室34)に収容しない場合と比較して、回転電機ハウジング22における軸線方向の長さを短くすることができる。
【0234】
区画部材610は、軸線方向に沿って延びる側壁(環状縁部616)を有する。回転電機システム20は、側壁と回転電機ハウジング22との間に介在する第3シール部材618を備える。
【0235】
この構成により、隔壁部材32の第1端は、第3シール部材618を介して回転電機ハウジング22に間接的にフローティング支持される。隔壁部材32が熱膨張に基づいて該隔壁部材32の直径方向に沿って膨張したとき、第1シール部材624及び第3シール部材618が圧縮される。この圧縮により、隔壁部材32の直径方向への膨張が吸収される。このため、直径方向に沿って膨張した隔壁部材32の外周面が、他の部材から圧縮応力を受けることが一層回避される。
【0236】
回転電機システム20は、回転電機ハウジング22と回転シャフト66との間に介在し、第1内輪402及び第1外輪406を有する第1ベアリング400を備える。回転電機システム20は、さらに、第1ベアリング400を保持する中空筒状の第1ベアリングホルダ420と、第1ベアリングホルダ420と第1ベアリング400との間に設けられ、回転シャフト66の軸線方向に沿って第1ベアリングホルダ420に与圧を付与する与圧付加部材441とを備える。
【0237】
図12に示すように、回転シャフト66から第1ベアリング400に入力される直径方向の入力荷重Sと、入力荷重Sによって与圧付加部材441に作用する軸線方向の作用荷重Tとで、合力Fが形成される。上記の構成においては、与圧付加部材441が第1ベアリングホルダ420の内部に収容されているので、作用荷重Tは入力荷重Sよりも相当に小さい。従って、上記の構成によれば、上記の入力荷重S及び作用荷重Tとで形成される合力Fと、回転シャフト66の直径方向との交差角度が相当に小さい。このため、合力Fに起因して第1ベアリング400に作用する回転モーメントを小さくすることができる。その結果、第1ベアリング400が振動することが抑制されるので、第1ベアリング400の耐久性の向上を図ることができる。
【0238】
与圧付加部材441は、第1外輪406において、回転シャフト66の軸線方向を向く第2端面に対し、回転シャフト66の軸線方向に沿って荷重を付与する。
【0239】
この場合、上記の合力Fと、回転シャフト66の直径方向との交差角度を一層小さくすることができる。これにより、第1ベアリング400の振動が一層抑制される。従って、第1ベアリング400の耐久性の一層の向上を図ることができる。
【0240】
第1ベアリング400の外径と、与圧付加部材441の外径とは略等しい。
【0241】
この構成によれば、上記の合力Fと、回転シャフト66の直径方向との交差角度をさらに一層小さくすることが可能である。これにより、ベアリングの振動をさらに一層抑制して該ベアリングの耐久性の一層の向上を図ることができる。
【0242】
与圧付加部材441は、弾性体442で構成される。
【0243】
与圧付加部材441を弾性体442とすることで、第1ベアリング400の全周にわたって与圧を略均等に付加することができる。
【0244】
回転電機システム20は、第1ベアリングホルダ420の内部に配置される筒状ガイド部562を有するガイド部材560と、第1ベアリングホルダ420の内周面と筒状ガイド部562の外周面との間に形成された収容室448とを有する。与圧付加部材441である弾性体442は、収容室448に収容される。
【0245】
この構成によれば、弾性体442が収容室448内で伸縮する際、該弾性体442を筒状ガイド部562で案内することができる。
【0246】
回転電機システム20は、第1ベアリング400及び第2ベアリング500に潤滑油LOを供給する油供給装置904を備える。回転電機ハウジング22は、第1ベアリング400及び第2ベアリング500に潤滑油LOを供給するための第2油供給路842を有する。第1ベアリングホルダ420は、第1ベアリング400の外周面と向かい合う位置に、第1ベアリングホルダ420の内周面と外周面とを連通する第1給油孔436を有する。第2ベアリングホルダ530は、第2ベアリング500の外周面と向かい合う位置に、第2ベアリングホルダ530の内周面と外周面とを連通する第2給油孔536を有する。
【0247】
この構成によれば、油供給装置904からの潤滑油LOを、第1ベアリングホルダ420の第1給油孔436及び第2ベアリングホルダ530の第2給油孔536を介して、第1ベアリング400及び第2ベアリング500にそれぞれ供給することが可能である。又は、ベアリングホルダの流通孔438を流通した潤滑油LOをベアリングに供給することが可能である。このように、第1ベアリングホルダ420及び第2ベアリングホルダ530に第1給油孔436及び第2給油孔536をそれぞれ形成することにより、第1ベアリング400及び第2ベアリング500に対して潤滑油LOを容易に供給することができる。
【0248】
回転電機システム20は、第1ベアリングホルダ420の内部に収容され、且つ軸線方向において皿ばね443と第1ベアリング400との間に介在するスペーサリング440を中間部材として備える。皿ばね443は、スペーサリング440を介してベアリングに与圧を付加する。ここで、スペーサリング440は、潤滑油LOが流通可能な中継孔446を有する。
【0249】
回転電機システム20がスペーサリング440(中間部材)を備える場合であっても、第1ベアリング400に供給された潤滑油LOを、スペーサリング440の中継孔446と、第1ベアリングホルダ420に形成された流通孔438とを介して、第1ベアリングホルダ420の外部に排出することが可能である。又は、第1ベアリングホルダ420の流通孔438を流通した後にスペーサリング440の中継孔446を流通した潤滑油LOを第1ベアリング400に供給することが可能である。このように、スペーサリング440に中継孔446を形成し且つ第1ベアリングホルダ420に流通孔438を形成することにより、第1ベアリング400に対して潤滑油LOを容易に給排することができる。
【0250】
また、スペーサリング440が皿ばね443と第1ベアリング400との間に介在するので、皿ばね443が第1ベアリング400に直接接触することが回避される。このため、皿ばね443が第1ベアリング400に与圧を付加する際、第1ベアリング400に傷が入る懸念が払拭される。
【0251】
回転電機システム20は、回転電機ハウジング22と回転シャフト66との間に介在する第1ベアリング400と、第1ベアリング400に潤滑油LOを供給する油供給装置904と、回転電機ハウジング22に設けられて第1ベアリング400を保持する中空筒状の第1ベアリングホルダ420と、を備える。第1ベアリングホルダ420は、回転シャフト66の直径方向外側から第1ベアリング400を覆う第1カバー部424を有する。回転電機システム20は、第1ベアリング400の外周面と、第1カバー部424の内周面との間に介在する絶縁材(第1絶縁材430及び第2絶縁材432)をさらに備える。また、第1ベアリングホルダ420の周壁部は、潤滑油LOが流通する流通孔438を有する。
【0252】
第1ベアリング400の外周面と第1ベアリングホルダ420の第1カバー部424の内周面との間に、潤滑油LOによって油膜が形成される。ここで、第1ベアリング400の外周面と第1ベアリングホルダ420の第1カバー部424の内周面との間には、第1絶縁材430及び第2絶縁材432が介在する。第1絶縁材430及び第2絶縁材432により、第1ベアリング400と第1ベアリングホルダ420との間(特に第1ベアリング400と第1カバー部424との間)で放電が生じることが抑制される。従って、第1ベアリング400(第1内輪402、第1転動ボール404及び第1外輪406)が損傷することが防止される。また、油膜が安定して存在するので、放電に伴って潤滑油LOが劣化することも抑制される。以上のような理由から、第1ベアリング400が振動することが抑制される。
【0253】
さらに、上記の位置に絶縁材が介在して放熱性が低下した状況下であっても、流通孔438を流通する潤滑油LOによって第1ベアリング400が冷却されるので、第1ベアリング400の耐久性の向上を図ることができる。
【0254】
第1絶縁材430及び第2絶縁材432は、例えば、第1カバー部424の内周面に形成された絶縁膜である。
【0255】
絶縁膜の膜厚は、環状の絶縁性物体の厚みよりも小さくすることが可能である。従って、第1ベアリング400の外周面と、第1カバー部424との間に第1絶縁材430及び第2絶縁材432(絶縁膜)を介在することが容易である。
【0256】
第1絶縁材430及び第2絶縁材432は、第1ベアリング400の外周面に形成された絶縁膜であってもよい。この場合においても、第1カバー部424の内周面に絶縁膜を形成する場合と同様の効果が得られる。
【0257】
第1ベアリング400の素材は金属材であり、第1ベアリングホルダ420の素材も金属材である。
【0258】
金属材からなる第1ベアリング400及び第1ベアリングホルダ420は、金属材以外の素材からなるベアリングホルダ及びベアリングに比べて、高い耐久性を示す。
【0259】
第1カバー部424は、第1ベアリング400の外周面と向かい合う位置に、第1カバー部424の内周面と外周面とを連通する第1給油孔436を有する。
【0260】
この構成によれば、第1ベアリングホルダ420に形成された第1給油孔436を介して、第1ベアリング400の外周面に潤滑油LOを容易に供給することができる。
【0261】
回転電機システム20は、回転電機ハウジング22に気体冷媒を供給する気体冷媒供給装置を備える。なお、気体冷媒供給装置の典型例はガスタービンエンジン950であるが、気体冷媒供給装置はコンプレッサ等であってもよい。回転電機ハウジング22は、気体冷媒が流通する気体冷媒流路700を有する。第1ベアリングホルダ420に形成された流通孔438は、気体冷媒流路700に連通する。
【0262】
これにより、気体冷媒を第1ベアリング400に供給することができる。従って、第1ベアリング400を一層冷却することが可能である。
【0263】
回転電機ハウジング22は、第1ベアリングホルダ420が配置された第1ベアリング室410を有する。回転シャフト66の軸線方向に沿って第1ベアリング室410から永久磁石282に向かう方向を第1方向とし、且つ第1方向の反対方向を第2方向とするとき、潤滑油LOは、第1方向に沿って第1ベアリングホルダ420に供給される。一方、気体冷媒は、第2方向に沿って第1ベアリングホルダ420に供給される。
【0264】
気体冷媒は、潤滑油LOを遮るエアカーテンとなる。これにより、潤滑油LOが回転電機ハウジング22の内方に浸入することが抑制される。
【0265】
回転電機システム20は、第1ベアリング400及び第2ベアリング500と、ロータ62に液体冷媒を供給する液体冷媒供給装置と、ロータ62の内部に形成され且つ回転シャフト66の軸線方向に沿って延び、液体冷媒が流通するロータ内流路250と、を備える。回転シャフト66は、小径な第2シャフト部70bと、第2シャフト部70bよりも直径が大きな第3シャフト部70cとを有する。第3シャフト部70cは、ロータ内流路250を流通する液体冷媒の流通方向下流において第2シャフト部70bに隣接する。回転シャフト66は、第2シャフト部70bの外表面から該第2シャフト部70bの直径方向内方に向かって凹み且つ該回転シャフト66の軸線方向に沿って延びる溝状流路230を有する。第1ベアリング400は、第2シャフト部70bの直径方向外方に設けられる。第1ベアリング400の内周面が溝状流路230を覆うことで、ロータ内流路250の一部が構成される。
【0266】
液体冷媒は、溝状流路230を流通する際、第1ベアリング400の内周面に接触する。この接触により、第1ベアリング400が効率よく冷却される。
【0267】
ロータ内流路250は、第3シャフト部70cにおける第2シャフト部70bを向く端部に形成され、溝状流路230に連なる案内流路232を有する。案内流路232の底面234は、第2シャフト部70bから離間するにつれて回転シャフト66の直径方向内方から第3シャフト部70cの外表面に向かうように傾斜した傾斜面である。
【0268】
液体冷媒は、回転シャフト66が回転するときにロータ内流路250を流通する。従って、回転シャフト66の軸線方向に沿ってロータ内流路250を流通する液体冷媒に対し、遠心力が作用する。遠心力を受けた液体冷媒は、ロータ内流路250を流通するにつれ、回転シャフト66の直径方向外方に移動する傾向がある。この構成によれば、溝状流路230を流通した液体冷媒が、案内流路232に沿って回転シャフト66の直径方向外方に円滑に移動することができる。
【0269】
ロータ62は、回転シャフト66の直径方向において回転シャフト66と永久磁石282との間に介在する磁石ホルダ280を有する。ロータ内流路250の少なくとも一部は、回転シャフト66の外表面と、磁石ホルダ280の内周壁との間に形成される。
【0270】
これにより、ロータ内流路250の一部を容易に形成することができる。
【0271】
液体冷媒供給装置は、液体冷媒として冷却油COを供給する油供給装置904である。回転電機ハウジング22は、第1ベアリング400及び第2ベアリング500に冷却油COを潤滑剤として供給するための油供給路(第2油冷流路840及び第3油供給路852)を有する。
【0272】
この構成では、第1ベアリング400及び第2ベアリング500を潤滑するための潤滑油LOの一部を、液体冷媒として用いることができる。従って、1個の装置を油供給装置904及び液体冷媒供給装置の兼用装置として用いることができる。このため、設備投資の低廉化を図り得る。しかも、回転電機システム20の構成の簡素化も図り得る。
【0273】
回転電機システム20は、回転電機ハウジング22に設けられて第1ベアリング400を保持する第1ベアリングホルダ420を備える。第1ベアリングホルダ420は、第1ベアリング400の外周面と向かい合う位置に、第1ベアリングホルダ420の内周面と該第1ベアリングホルダ420の外周面とを連通し、冷却油COが流通する第1給油孔436を有する。
【0274】
第1給油孔436により、第1ベアリングホルダ420を介して第1ベアリング400に潤滑油LOを供給することができる。
【0275】
回転電機ハウジング22は、ロータ内流路250及び油供給路を流通した冷却油COを油供給装置904に排出する油排出路(第2ドレイン路740)を有する。
【0276】
この場合、第1ベアリング400及び第2ベアリング500に供給された潤滑油LOと、ロータ62を冷却した冷却油COとを回転電機ハウジング22から排出する一方で、新たな潤滑油LO及び冷却油COを、第1ベアリング400及び第2ベアリング500と、ロータ62とにそれぞれ供給することができる。従って、第1ベアリング400及び第2ベアリング500を継続的に潤滑及び冷却することが可能であり、且つロータ62を継続的に冷却することが可能である。
【0277】
油供給装置904は、第2ドレイン路740(油排出路)から排出された潤滑油LO及び冷却油COをロータ内流路250及び油供給路に再供給する。
【0278】
この構成により、回転電機システム20に対して潤滑油LO及び冷却油COを循環供給することができる。従って、新たな潤滑油LO及び冷却油COを連続的に供給する場合よりもコストが低廉化する。
【0279】
回転電機システム20は、第1ベアリング400及び第2ベアリング500に気体冷媒を供給する気体冷媒供給装置を備える。上記の実施形態において、気体冷媒供給装置はガスタービンエンジン950である。回転電機ハウジング22は、気体冷媒が流通する気体冷媒流路700と、気体冷媒をハウジング外に排出するための気体冷媒排出路とを有する。油供給装置904は、気体冷媒排出路を流通した気体冷媒と、第2ドレイン路740(油排出路)を流通した冷却油CO及び潤滑油LOとを回収し、且つ冷却油CO及び潤滑油LOを油供給路に再供給する。
【0280】
油供給装置904が気体冷媒、潤滑油LO及び冷却油COを合わせて回収するので、気体冷媒と潤滑油LO及び冷却油COとを個別に回収する必要がない。従って、気体冷媒回収装置を回転電機システム20に設ける必要は特にない。このため、回転電機システム20の構成が複雑となることが回避される。
【0281】
油供給装置904は、気体冷媒と油とを分離する気液分離装置900を含む。
【0282】
気液分離装置900が気体冷媒と油とを分離するので、気体冷媒及び油を合わせて回収したにも拘わらず、油のみを油供給路に再供給することが可能である。すなわち、この構成によれば、第1ベアリング400及び第2ベアリング500に潤滑油LOを循環供給し、且つステータ室36及びロータ内流路250に冷却油COを供給することが容易である。
【0283】
回転シャフト66は、中空筒状の外シャフト70と、外シャフト70の中空内部30に挿抜可能に挿入される内シャフト68とを有する。外シャフト70は、回転シャフト66の軸線方向の一端部である第1中空端部72と、軸線方向の他端部である第2中空端部74とを有する。内シャフト68は、軸線方向の一端部である左端部80(第1端部)と、軸線方向の他端部である右端部82(第2端部)とを有する。左端部80(第1端部)は、第1中空端部72から露出し且つ軸線方向に沿って第1中空端部72から離間する方向に向かって延びる延出部90を有する。
【0284】
回転シャフト66は、延出部90を第1中空端部72に対して位置決め固定する位置決め固定部120を備える。位置決め固定部120は、延出部90の外周面に螺合されるナット部材130と、ナット部材130を囲むロックスリーブ160と、ナット部材130と延出部90とに係合するロックリング180と、を有する。
【0285】
ナット部材130は、軸線方向における第1中空端部72の端面に当接する当接面を有する。ロックスリーブ160は、第1係合部164及び第2係合部166を有する。第1係合部164は、第1中空端部72に設けられた第1係止部76と係合して、回転シャフト66の軸線を中心とするロックスリーブ160と第1中空端部72との相対回転を規制する。第2係合部166は、ナット部材130に設けられた第2係止部136と係合して、軸線を中心とするロックスリーブ160とナット部材130との相対回転を規制する。ロックリング180は、第3係合部184及び第4係合部186を有する。第3係合部184は、ナット部材130に設けられた第3係止部142と係合して、軸線を中心とするナット部材130とロックリング180との相対回転を規制する。第4係合部186は、延出部90に設けられた第4係止部102(鍵溝104)と係合して、軸線を中心とするロックリング180と延出部90との相対回転を規制する。
【0286】
以上のように、第1係合部164~第4係合部186が第1係止部76~第4係止部102にそれぞれ係合することで、内シャフト68と外シャフト70とが互いに連結される。すなわち、内シャフト68と外シャフト70との連結構造が簡素になる。しかも、これにより、内シャフト68に対するナット部材130の締結が弛緩することが防止される。従って、内シャフト68に対してナット部材130が弛緩することを防止するための加締め等が不要である。このため、回転シャフト66の分解及び組立が容易である。
【0287】
加えて、上記のように内シャフト68と外シャフト70とを連結することにより、内シャフト68及び外シャフト70を一体的に回転させることができる。すなわち、内シャフト68と外シャフト70との間の相対的な空転が回避される。
【0288】
ロックスリーブ160は、第1中空端部72の外周面の一部とナット部材130の外周面とを、回転シャフト66の直径方向における外方から覆う筒状本体部162を有する。第1係合部164は、筒状本体部162の軸線方向の一端部に設けられる。第2係合部166は、筒状本体部162における軸線方向の他端部から前記直径方向における内方に向かって突出した径方向突起170である。径方向突起170は、ナット部材130に設けられた第2係止部136に係合する。
【0289】
この構成によれば、ナット部材130とロックスリーブ160との相対的な空転が防止される。このため、ナット部材130が弛緩することが一層防止される。
【0290】
径方向突起170は、複数個のタブ形状部172を有する。且つ第2係止部136は、ナット部材130の一端部から回転シャフト66の軸線方向に沿って延びる複数個の突起部140を有する。複数個の突起部140のうち回転シャフト66の回転方向において互いに隣り合う2個の間に、複数個のタブ形状部172のうち1個が挿入される。
【0291】
この構成により、ナット部材130が回転することが一層困難となる。このため、ナット部材130が弛緩することが一層防止される。
【0292】
複数個の突起部140において、軸線方向に沿ってタブ形状部172から突出した部分の内周面が、ロックリング180の外周面に当接する。
【0293】
この当接に基づき、ロックリング180が複数個の突起部140を介してナット部材130に保持される。この保持により、ロックリング180を容易に位置決め固定することが可能である。
【0294】
位置決め固定部120は、ロックスリーブ160の径方向突起170から軸線方向に離間した位置に配置されたリテーナ部材200を有する。リテーナ部材200は、複数個の突起部140の内側に係合する。軸線方向において、リテーナ部材200と径方向突起170との間にロックリング180が配置される。ロックリング180の外径は、径方向突起170の内径よりも小さくてもよい。この場合、リテーナ部材200が、ナット部材130からのロックリング180の離脱を阻止する。
【0295】
このように、リテーナ部材200により、ロックリング180、ロックスリーブ160及びナット部材130の延出部90からの抜け止めがなされる。
【0296】
複数個の突起部140の各々は、複数個の突起部140の内周側からのリテーナ部材200の抜け止めとなる抜け止め部150を有する。
【0297】
リテーナ部材200が複数個の突起部140の内周側から離脱することが防止されるので、ロックリング180、ロックスリーブ160及びナット部材130の延出部90からの抜け止めが確実となる。
【0298】
抜け止め部150は、例えば、複数個の突起部140の各々の軸線方向における突端に設けられ、且つ複数個の突起部140の内周側に向かって突出した爪部146を有する。爪部146の最内周部位を結んで形成される内接円C1の直径は、リテーナ部材200の外径よりも小さい。
【0299】
これにより、リテーナ部材200が複数個の突起部140の内周側から離脱することを確実に防止することが可能である。
【0300】
抜け止め部150は、例えば、複数個の突起部140の各々の内周面から直径方向における外方に向かって凹んだ挿入凹部148を有する。リテーナ部材200の直径方向における外周縁部は、挿入凹部148に挿入される。
【0301】
この構成においても、リテーナ部材200が複数個の突起部140の内周側から離脱することを確実に防止することが可能である。
【0302】
抜け止め部150は、爪部146及び挿入凹部148を有してもよい。この構成においても、リテーナ部材200が複数個の突起部140の内周側から離脱することを一層確実に防止することが可能である。
【0303】
第3係合部184は、複数個の突起部140のうち回転方向において隣接する2個の間に係合する。
【0304】
この構成により、ナット部材130が回転シャフト66に対して相対的に回転することが防止される。従ってナット部材130が弛緩することが一層防止される。
【0305】
回転シャフト66は、回転電機60のロータ62を構成する。
【0306】
上記したように回転シャフト66が分解及び組立し易いので、回転電機60に対してメンテナンスを施すことが容易である。また、回転電機60を運転しているときにナット部材130が弛緩することが防止されるので、回転シャフト66に振動が発生することが抑制される。
【0307】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0308】
(付記1)
回転電機システム(20)は、ロータ(62)及びステータ(64)を有する回転電機(60)と、前記回転電機を収容するハウジング(22)とを備える。前記ハウジングは、前記ステータを収容し、且つ、前記ステータを冷却する液体冷媒(CO)が流通するステータ室(36)を有する。前記ロータは、回転シャフト(66)を有する。前記回転シャフトは、軸線方向に沿って延びる。前記ステータは、ステータコア(300)と、前記ステータコアに巻回された複数の導線(312)によって形成される複数の電磁コイル(310)からなり、且つ前記複数の電磁コイルの端部であるコイルエンド部(314)を有するコイルユニット(302)と、前記コイルユニットから引き出した前記複数の導線の末端(316)で形成した中性点(318)に設けられた中性点端子(320)と、を有する。前記回転電機システムは、さらに、前記ハウジング内に収容されて該ハウジングとは別体である区画部材(610)を備える。前記区画部材は、前記ステータ室の内面の一部を形成し且つ前記コイルエンド部における前記軸線方向の端部に向かい合う第1壁面(612)と、前記第1壁面に形成されて前記コイルエンド部から離間する方向に凹み、且つ底面(628)が前記第1壁面の一部で形成される凹部(627)とを有する。前記中性点端子と、前記凹部の前記底面との間は、前記液体冷媒が流通する液体冷媒流路を形成する。
【0309】
凹部に流入する液体冷媒により、中性点端子が冷却される。これにより中性点端子及びコイルエンド部が冷却されるので、電磁コイルの発熱による効率の低下を抑制することができる。また、電磁コイルの劣化を抑制することもできる。
【0310】
(付記2)
付記1記載の回転電機システムにおいて、前記凹部の前記底面は、前記中性点端子の形状に対応した形状を有してもよい。
【0311】
これにより、中性点端子と、凹部の底面との間の流通抵抗が小さくなる。従って、中性点端子と、凹部の底面との間を液体冷媒が容易に流通する。その結果、中性点端子が効率よく冷却される。
【0312】
(付記3)
付記1又は2に記載の回転電機システムにおいて、前記中性点端子は第1湾曲面(319a)を有し、前記凹部の前記底面は、前記中性点端子の前記第1湾曲面の形状に対応して湾曲した第2湾曲面(319b)を有してもよい。
【0313】
中性点端子が第1湾曲面を有する場合であっても、液体冷媒が、中性点端子と、凹部の底面との間を液体冷媒を容易に流通することができる。すなわち、この場合においても、中性点端子が効率よく冷却される。
【0314】
(付記4)
付記1~3のいずれか1つに記載の回転電機システムにおいて、前記ハウジングは、前記回転電機を冷却する気体冷媒(AR)が流通する気体冷媒流路(700)を有してもよい。前記区画部材は、前記第1壁面の裏面であり、前記気体冷媒流路700の内面の一部を形成する第2壁面(614)を有してもよい。
【0315】
この構成によれば、ステータを液体冷媒で冷却しながら、回転電機におけるステータ室以外の所定箇所を気体冷媒で冷却することが可能である。これにより、回転電機に発生した熱を一層速やかに回転電機から除去することができる。
【0316】
また、区画部材は、ステータに供給される液体冷媒と、所定箇所に供給される気体冷媒とが互いに混じり合うことを防止する。従って、例えば、所定箇所に配置された部材が液体媒体で濡れることが回避される。
【0317】
(付記5)
付記4記載の回転電機システムにおいて、前記気体冷媒流路は、前記ロータを収容したロータ室に連通し、前記区画部材は、前記気体冷媒流路と前記ステータ室とを互いに液密且つ気密に区分してもよい。
【0318】
ロータ室に液体冷媒が供給されると、液体冷媒の粘性によってロータの回転速度が小さくなる。上記の構成によれば、このような不具合が生じることが回避される。上記したように、区画部材が、液体冷媒と気体冷媒とが互いに混じり合うことを防止するので、ステータ室に供給された液体冷媒がロータ室に供給されることが回避されるからである。しかも、ロータ室内のロータを、気体冷媒によって冷却することが可能である。
【0319】
(付記6)
付記5記載の回転電機システムにおいて、前記回転電機システムは、前記ロータを取り囲んで内部が前記ロータ室を形成する円筒形状の隔壁部材(32)を備えてもよい。この場合、前記ステータ室は、前記隔壁部材の直径方向外方に形成される。ここで、前記隔壁部材は、前記軸線方向の一端部である第1端と、前記軸線方向の他端部である第2端とを有する。前記区画部材は、挿入孔(622)が形成された筒部(620)を有してもよい。前記隔壁部材の前記第1端は、前記挿入孔に挿入されてもよい。前記隔壁部材の前記第1端の外周面と、前記挿入孔の内周面との間は、シール部材(624)によってシールされてもよい。
【0320】
区画部材と隔壁部材とを組み合わせることにより、ステータ室と気体冷媒流路とを確実に分け隔てることができる。
【0321】
(付記7)
付記6記載の回転電機システムにおいて、前記気体冷媒流路は、前記気体冷媒の流通方向における最下流である下流側端部(704)を有し、前記隔壁部材において前記挿入孔に挿入された前記第1端に、前記気体冷媒の前記ロータ室への入口である冷媒入口(706)を形成し、且つ前記隔壁部材の前記第2端に、前記気体冷媒の前記ロータ室からの出口である冷媒出口(708)を形成してもよい。前記気体冷媒流路の前記下流側端部は、前記冷媒入口と向かい合ってもよい。
【0322】
この構成により、気体冷媒流路を流通した気体冷媒が、ロータ室に確実に流入する。
【0323】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0324】
10…複合動力システム 20…回転電機システム
22…回転電機ハウジング 24…メインハウジング
25…環状壁部 26…第1サブハウジング
27…ベアリング保持部 28…第2サブハウジング
30…中空内部 32…隔壁部材
32a、32b…先端面 34…ロータ室
36…ステータ室 38…冷却ジャケット
40…第1ケーシング 42…第2ケーシング
44…接点室 46…端子室
50…回転パラメータ検出器 52…保持部材
54…レゾルバ 56…レゾルバホルダ
60…回転電機 62…ロータ
64…ステータ 66…回転シャフト
68…内シャフト 70…外シャフト
72…第1中空端部 74…第2中空端部
76…第1係止部 78…係合溝
80…左端部 82…右端部
90…延出部 92…大径部
94…中径部 96…小径部
102…第4係止部 104…鍵溝
120…位置決め固定部 130…ナット部材
132…ナット本体 136…第2係止部
140…突起部 142…第3係止部
144…間隙 146…爪部
148…挿入凹部 150…抜け止め部
160…ロックスリーブ 162…筒状本体部
164…第1係合部 166…第2係合部
168…突部 170…径方向突起
172…タブ形状部 174…間隙
180…ロックリング 182…円環部
184…第3係合部 186…第4係合部
188…舌片部 190…凸部
200…リテーナ部材 220…スクリュキャップ
230…溝状流路 232…案内流路
234…底面 250…ロータ内流路
252…流通スペース 280…磁石ホルダ
282…永久磁石 284…内孔
286…第1磁石ストッパ 288…第2磁石ストッパ
300…ステータコア 302…コイルユニット
304…中性点固定構造 310…電磁コイル
312…導線 314…コイルエンド部
318…中性点 319a…第1湾曲面
319b…第2湾曲面 320…中性点端子
322…絶縁部材 324…冷媒通路
400…第1ベアリング 402…第1内輪
404…第1転動ボール 406…第1外輪
410…第1ベアリング室 412…第1遠位端
414…第1近位端 420…第1ベアリングホルダ
424…第1カバー部 426…リングホルダ部
428…スプリングホルダ部 430…第1絶縁材
432…第2絶縁材 436…第1給油孔
438…流通孔 440…スペーサリング
441…与圧付加部材 442…弾性体
443…皿ばね 444…第3絶縁材
446…中継孔 448…収容室
460…内輪ストッパ 462…円環壁部
464…内部空間 500…第2ベアリング
502…第2内輪 504…第2転動ボール
506…第2外輪 508…保持凹部
520…第2ベアリング室 522…第2遠位端
524…第2近位端 530…第2ベアリングホルダ
532…第2カバー部 536…第2給油孔
540…内側内輪ストッパ 542…外側内輪ストッパ
550…整流部材 554…通気孔
556…吐出部 560…ガイド部材
562…筒状ガイド部 600…筒状部
610…区画部材 612…第1壁面
614…第2壁面 616…環状縁部
618…第3シール部材 620…筒部
622…左挿入孔 624…第1シール部材
626…拡径部 627…凹部
628…底面 630…シール設置部
632…右挿入孔 634…第2シール部材
640…筒状凸部 700…気体冷媒流路
702…エア分配路 704…下流側端部
706…冷媒入口 708…冷媒出口
730…空冷流路 732…給気路
734…第1分岐路 736…第1ドレイン路
738…第2分岐路 740…第2ドレイン路
742…第1導路 744…第2導路
746…合流路 800…第1油冷流路
802…第1油供給路 804…ステータ室側ドレイン路
840…第2油冷流路 842…第2油供給路
844…ホルダ用スペーサ 846…連通孔
848…第1ノズル部材 849…油分配路
850…吐出部 852…第3油供給路
853…予備油供給路 870…第3油冷流路
872…第4油供給路 874…第2ノズル部材
876…油導路 878…吐出部
900…気液分離装置 901…油回収装置
902…循環ポンプ 904…油供給装置
906…タンク 950…ガスタービンエンジン
960…吸気空間 964…出力シャフト
AR…圧縮エア AR1…第1分流エア
AR2…第2分流エア C1…内接円
CO…冷却油 LO…潤滑油
Ms…本流エア Sb…支流エア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12