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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142422
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】配管配線検査方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/49 20180101AFI20241003BHJP
【FI】
F24F11/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054557
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】杉山 颯
(72)【発明者】
【氏名】徳山 昂周
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA37
3L260CB90
3L260DA15
(57)【要約】
【課題】コスト、及び、作業時間の増大を抑制しつつ、正確性に優れた配管配線検査方法を提供する。
【解決手段】空調システムを構築するにあたり、室外機及び室内機の間には、導体製のガス管4及び導体製の液管5を有する冷媒配管6と、3芯ケーブル7とが配設される。検査に先立ち、室内機側のガス管4及び液管5の各端部に対して、略U字状の銅管21の各端部を連結させる。そして、室内機側の作業者が第1電線11と第2電線12とを電気的に接続させた後、室外機側の作業者が、第1電線11と第2電線12とに対してテストピン22を接触させるといった配線導通確認を行う。次に、室内機側の作業者が、第3電線13と銅管21とを電気的に接続させた後、室外機側の作業者が、第3電線13とガス管4又は液管5とに対して、テストピン22を接触させるといった冷媒配管導通確認を行う。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と、
室内機と、
導体製のガス管、及び、導体製の液管を有する冷媒配管と、
第1電線、第2電線、及び、第3電線を有する3芯ケーブルとを具備する空調システムを構築するにあたり、
少なくとも前記室内機が未施工の状態、あるいは前記室内機への配管配線接続未施工の状態において、
前記冷媒配管の一端部、及び、前記3芯ケーブルの一端部を前記室外機側に配設し、
前記冷媒配管の他端部、及び、前記3芯ケーブルの他端部を前記室内機側に配設した後、
前記冷媒配管、及び、前記3芯ケーブルの配設が正しく行われてるか否かを検査するための配管配線検査方法であって、
前記冷媒配管の前記ガス管、及び、前記液管の前記他端部同士を、予め、導体製の連結手段にて連結しておいた上で、
前記室内機側において、前記3芯ケーブルの前記第1電線と、前記第2電線とを電気的に接続させた後、前記室外機側において、前記3芯ケーブルの前記第1電線、及び、前記第2電線に対して、それぞれに、テスターのテストピンを接触させることで電気的導通を確認する配線導通確認工程と、
前記室内機側において、前記3芯ケーブルの前記第3電線と、前記ガス管、前記液管、又は、前記連結手段とを電気的に接続させた後、前記室外機側において、前記3芯ケーブルの前記第3電線、及び、前記冷媒配管の前記ガス管、又は、前記液管に対して、それぞれに、前記テスターの前記テストピンを接触させることで電気的導通を確認する冷媒配管導通確認工程とを備えていることを特徴とする配管配線検査方法。
【請求項2】
前記ガス管、及び、前記液管は、それぞれ銅管よりなり、
前記連結手段も銅管で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の配管配線検査方法。
【請求項3】
前記ガス管の径は、前記液管の径以上であり、且つ、前記液管の径の2倍以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管配線検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムを構築するにあたり、配管、及び、配線の配設が正しく行われてるか否かを検査するための配管配線検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調システム(いわゆるエアコン)を用いることで、ビル等の建物の室内における空気の温湿度や循環する風速・風量等を、適宜調整することが可能となる。この中でも冷凍サイクルを用いた直膨式の空調システムでは、室外機と、室内機と、その両機器を結ぶ、ガス管、及び、液管からなる冷媒配管と、制御信号ケーブル(例えば、3芯ケーブル、いわゆる渡り線といわれる、以降制御ケーブルという)とを備えている。
【0003】
空調システムを構築する際には、まず、室外機の設置が予定されている室外機側から、室内機の設置が予定されている室内機側にかけて、冷媒配管と制御ケーブルとが作業者によって配設される。その後、室外機側、及び、室内機側のそれぞれにおいて、冷媒配管と制御ケーブルとが、室外機、及び、室内機との間を接続する部品としてそれぞれ接続させられる。
【0004】
ところで、事務所ビルや商業施設など大型施設等において空調システムを構築する場合においては、室が多数存在することから、その分だけ設置される室内機も多数となる。また室の規模も大きくなり、一つの室に複数台の室内機を設置することもあり、なおさら多数となる(例えば、数台~数百台等)。
【0005】
構築の態様としては、1台の室外機に対して、1台の室内機を設置する場合もあれば、1台の室外機に対して、複数台の室内機を設置する場合もある。尚、後者の場合には、冷媒配管と制御ケーブルとが、配管、配線の中間部において各室内へと分岐させられる。
【0006】
いずれの態様においても、各室毎に室内機は必要である(もちろん、一つの室に複数の室内機が設置される場合もある)。そのため、冷媒配管及び制御ケーブルの配設に際しては、誤配管や誤配線といった懸念が生じうる。従って、空調システムを構築するにあたっては、竣工までの何処かのタイミングで(例えば、冷媒配管及び制御ケーブルの配設完了時や、冷媒配管及び制御ケーブルを、室外機と室外機とに接続した直後等)、配設が正しく行われてるか否かを室内機および室外機の双方が見えない位置で検査する必要がある。
【0007】
該検査の一例として、冷媒配管内の温度変化を検知することで、冷媒配管及び制御ケーブルが正しく配設されているか否かを判断するといった検査方法がある(例えば、特許文献1等参照。)。さらには、冷媒配管内の圧力を検知することで、冷媒配管や制御線が正しく配設されているか否かを判断するといった検査方法もある(例えば、特許文献2等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11-325538号公報
【特許文献2】特開2002-213800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の冷媒配管内の温度変化を検知する検査方法においては、実際に配管内の温度が変化するまでに時間を要し、また、温度が外的要因によって左右されるおそれもあり、正確性に欠けるといった問題がある。
【0010】
また、特許文献2の冷媒配管内の圧力を検知する検査方法においては、圧力検知手段を別途設置する必要があり、コスト面及び作業効率面において問題がある。
【0011】
特許文献1および特許文献2において、どちらも室外機または室内機のどちらかを運転する、つまり制御ケーブルなどを実際に配線接続した後でなければ検査できないという問題もある。
【0012】
本発明は上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、コスト、及び、作業時間の増大を抑制しつつ、正確性に優れた配管配線検査方法を提供することにある。また、実際に室内機を室内に施工する前であって、制御ケーブルの室内機配線接続施工前、及び、冷媒配管の室内機への配管接続施工前において、検査を行うことができる配管配線検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0014】
手段1.室外機と、
室内機と、
導体製のガス管、及び、導体製の液管を有する冷媒配管と、
第1電線、第2電線、及び、第3電線を有する3芯ケーブルとを具備する空調システムを構築するにあたり、
少なくとも前記室内機が未施工の状態、あるいは前記室内機への配管配線接続未施工の状態において、
前記冷媒配管の一端部、及び、前記3芯ケーブルの一端部を前記室外機側に配設し、
前記冷媒配管の他端部、及び、前記3芯ケーブルの他端部を前記室内機側に配設した後、
前記冷媒配管、及び、前記3芯ケーブルの配設が正しく行われてるか否かを検査するための配管配線検査方法であって、
前記冷媒配管の前記ガス管、及び、前記液管の前記他端部同士を、予め、導体製の連結手段にて連結しておいた上で、
前記室内機側において、前記3芯ケーブルの前記第1電線と、前記第2電線とを電気的に接続させた後、前記室外機側において、前記3芯ケーブルの前記第1電線、及び、前記第2電線に対して、それぞれに、テスターのテストピンを接触させることで電気的導通を確認する配線導通確認工程と、
前記室内機側において、前記3芯ケーブルの前記第3電線と、前記ガス管、前記液管、又は、前記連結手段とを電気的に接続させた後、前記室外機側において、前記3芯ケーブルの前記第3電線、及び、前記冷媒配管の前記ガス管、又は、前記液管に対して、それぞれに、前記テスターの前記テストピンを接触させることで電気的導通を確認する冷媒配管導通確認工程とを備えていることを特徴とする配管配線検査方法。
【0015】
手段1によれば、配線導通確認工程を経るという、1回のテスターでの電気的導通の確認により、3芯ケーブルの第1電線及び第2電線の配設が適切であるか否かを検査することができる。また、冷媒配管導通確認工程を経るという、もう1回のテスターでの電気的導通の確認により、3芯ケーブルの第3電線、並びに、ガス管及び液管を有する冷媒配管の配設が適切であるか否かを確認することができる。すなわち、ガス管及び液管の他端部同士を(室内機側において)連結手段で連結しておいた上で、合計2回のテスターでの電気的導通の確認、換言すると最小限の回数での確認を行うことにより、3芯ケーブルの3本の電線と、ガス管及び液管を有する冷媒配管とが正しく配設されているか否かを検査することができる。そのため、検査を行う上で、作業者の作業負担を著しく軽減でき、作業コストの低減を図ることができるとともに、作業時間の飛躍的な短縮を図ることができる。また、別途温度や圧力を計測するためのセンサ等を設置する必要もないことから、この点においてもコストの低減及び作業効率の向上を図ることができる。
【0016】
さらに、電気的導通を確認するだけで検査を行うことができることから、外気温等の外的要因によって検査結果に影響が及ぶといった事態を抑制することができ、この点において検査の正確性向上を図ることができる。
【0017】
また、実際に室内機を室内に施工する前であって、制御ケーブルの室内機配線接続施工前、及び、冷媒配管の室内機への配管接続施工前において、検査を行うことができる。
【0018】
手段2.前記ガス管、及び、前記液管は、それぞれ銅管よりなり、
前記連結手段も銅管で構成されていることを特徴とする手段1に記載の配管配線検査方法。
【0019】
手段2によれば、冷媒配管のガス管、及び、液管の他端部同士を、導体製の連結手段にて連結する際に、管状(筒状)を保った状態のまま、溶接等によって容易かつ確実に連結させることが可能となる。また、検査完了後、連結手段を切除した後においても、各管の断面形状を維持しやすく、例えばフレア加工が容易になる等、室内機との接続に際しての作業性の向上を図ることができる。
【0020】
手段3.前記ガス管の径は、前記液管の径以上であり、且つ、前記液管の径の2倍以下であることを特徴とする手段1又は2に記載の配管配線検査方法。
【0021】
手段3によれば、ガス管、及び、液管の径がそれほど変わらないため、各管の見分けがつかないおそれがある。この点、上述の通り、冷媒配管のガス管及び液管の他端部同士が連結手段にて連結されている。そのため、冷媒配管導通確認工程において、室外機側でガス管又は液管のいずれにテストピンを接触させたとしても正確な確認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】空調システムの概略構成を示す模式図である。
図2】冷媒配管及び3芯ケーブルが配設された状態を示す模式図である。
図3図2のK部の概要を示す部分拡大斜視図である。
図4】配線導通確認が行われる直前の態様を示す模式図である。
図5】配線導通確認の態様を示す模式図である。
図6】冷媒配管導通確認の態様を示す模式図である。
図7】別の実施形態における冷媒配管導通確認の態様を示す斜視図である。
図8】確認タグの取付完了時の態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。尚、各図面においての寸法、縮尺は、便宜上、簡略化している部分があるため、実際の寸法、縮尺と必ずしも一致するわけではない。
【0024】
図1に示すように、空調システム1は、ビルの屋上等に設置される室外機2と、ビルの屋内に設置される室内機3とを備えている。尚、本実施形態における空調システム1は、便宜上、1台の室外機2に対して、1台の室内機3を設置するといった態様となっている。
【0025】
室外機2と室内機3との間には、導体製のガス管4及び導体製の液管5を有する冷媒配管6と、3芯ケーブル7とが配設されている。また、ガス管4の外径はその冷房負荷や冷却能力によって当然異なるが、例えば約15.9mm、液管5の外径は例えば約9.5mmとなっている。加えて、ガス管4及び液管5は、それぞれが、スポンジゴム製の被覆部8によって覆われた上で、粘着テープ9によって共巻きされている。
【0026】
また、図2、及び、図3に示すように、3芯ケーブル7は、第1電線11と、第2電線12と、第3電線13とを備えている。各電線11~13は、銅導体製であり、且つ、それぞれ色違いの絶縁体14で覆われている(例えば、赤色、白色、黒色)。この3芯ケーブル7は、室内機3と室外機2との間において、室内機3の運転状態を室内機3に信号として送り、室外機2側の圧縮機の運転能力の変化や、オンオフを制御するために接続される制御信号ケーブルである。尚、室内機3の動力線(電源ケーブル)、室外機2の動力線はそれぞれ近くに位置する動力盤からそれぞれ送られるもので、室内機3と室外機2との間を通常は渡って配線されない。
【0027】
次に、検査の手順を具体的に説明する。尚、該検査は、冷媒配管6及び3芯ケーブル7の配設後、且つ、室外機2及び室内機3の設置前において行うもの、換言すると、図2に示す状態で行うものである。
【0028】
ちなみに、後述する変形例(a)においても述べるが、室外機2側だけが設置されていてもよい。この状態の施工は、デベロッパーが施主の新築工事でよくみられるのだが、建屋全体の竣工時には、室内側のテナントの室内天伏や間仕切りが未定の状態で、時期を変えてテナント工事が行われることが多々ある。その場合において、室内機3の未施工の状態、あるいは室内機3への配管配線接続未施工の状態での配管配線検査が行われることとなる。
【0029】
検査に先立って、図4に示すように、予め、室内機3側のガス管4、及び、液管5の各端部に対して、連結手段としての銅管21(略U字形状)の各端部を、溶接によって連結させておく。
【0030】
そして、室外機2側と室内機3側とに、作業者(図示しない)を各1名ずつ配置させる。また、両作業者には、作業者同士の連絡を可能にする連絡手段(例えば、携帯電話やトランシーバ)を持たせておく。加えて、室外機2側の作業者には、図5図6に示すように、テストピン22を備えたテスター(電気テスター)23も持たせておく。
【0031】
作業者の配置が完了したならば、先ずは3芯ケーブル7の電気的導通を確認する配線導通確認を行う。すなわち、図5に示すように、室内機3側の作業者が、3芯ケーブル7の第1電線11と、第2電線12とを、互いに絡ませて電気的に接続させる。尚、本実施形態では、第1電線11及び第2電線12として、3本の電線のうち予め定められた任意の2本が採択される。その後、室内機3側の作業者が室外機2側の作業者に対し、接続が完了した旨を連絡手段により伝える。次に、室外機2側の作業者が、3芯ケーブル7の第1電線11と、第2電線12とに対して、テスター23のテストピン22を接触させることで電気的導通を確認する。当該導通が確認できれば、第1電線11及び第2電線12の配設が適切であることを確認することができる。
【0032】
尚、大規模な室に対し多数の室内機3があり、3芯ケーブル7が複数並列している場合などにおいて、導通が確認できなければ、他の3芯ケーブル7の第1電線11と、第2電線12とを、互いに絡ませて電気的に接続させる。同様に、接続が完了した旨を連絡手段により伝える。次に、室外機2側の作業者が、3芯ケーブル7の第1電線11と、第2電線12とに対して、テスター23のテストピン22を接触させることで電気的導通を確認する。これにより当該導通が確認できれば、第1電線11及び第2電線12の配設が適切であることを確認できたことになる。確認の後、室外機2側の系統名称などを連絡しあって室内機3側の3芯ケーブル7に対し、確認完了を認知させるためのタグ付けを行うこととしてもよい。
【0033】
配線導通確認の完了後、今度は、冷媒配管6の電気的導通を確認する冷媒配管導通確認を行う。すなわち、図6に示すように、室内機3側の作業者が、3芯ケーブル7の第3電線(残り1本の電線)13と、冷媒配管6の銅管21(ガス管4や液管5でも可)とを、互いに絡ませて電気的に接続させる。その後、室内機3側の作業者が室外機2側の作業者に対し、接続が完了した旨を連絡手段により伝える。次に、室外機2側の作業者が、3芯ケーブル7の第3電線13と、冷媒配管6のガス管4(液管5でも可)とに対して、テスター23のテストピン22を接触させることで電気的導通を確認する。当該導通が確認できれば、第3電線13並びにガス管4及び液管5を有する冷媒配管6の配設が適切であることを確認することができる。このとき、室外機2側の系統名称などを連絡しあって室内機3側の冷媒配管6に確認タグ31の取付けを行ってもよい(図8参照)。このように、確認タグ31を取付けることで、室内機3の設置等をスムースに行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0034】
尚、対象室に対し単独の室内機3が設置される場合であっても、複数の室内機3が設置される場合であっても、前記配線導通確認又は前記冷媒配管導通確認のいずれかにおいて、通電を確認できなかった場合には、当該作業者或いは別途専門の担当者が詳細な点検作業を行い、不良箇所、誤接続箇所等を特定し、配管配線の引き直しなど是正施工等を行う。
【0035】
以上詳述したように、本実施形態によれば、配線導通確認工程を経るという、1回のテスター23での電気的導通の確認により、3芯ケーブル7の第1電線11及び第2電線12の配設が適切であるか否かを検査することができる。また、冷媒配管導通確認工程を経るという、もう1回のテスター23での電気的導通の確認により、3芯ケーブル7の第3電線13、並びに、ガス管4及び液管5を有する冷媒配管6の配設が適切であるか否かを確認することができる。すなわち、ガス管4及び液管5の端部同士を(室内機3側において)銅管21で連結しておいた上で、合計2回のテスター23での電気的導通の確認、換言すると最小限の回数での確認を行うことにより、3芯ケーブル7の各電線11~13と、ガス管4及び液管5を有する冷媒配管6とが正しく配設されているか否かを検査することができる。そのため、検査を行う上で、作業者の作業負担を著しく軽減でき、作業コストの低減を図ることができるとともに、作業時間の飛躍的な短縮を図ることができる。また、別途温度や圧力を計測するためのセンサ等を設置する必要もないことから、この点においてもコストの低減及び作業効率の向上を図ることができる。
【0036】
さらに、電気的導通を確認するだけで検査を行うことができることから、外気温等の外的要因によって検査結果に影響が及ぶといった事態を抑制することができ、この点において検査の正確性向上を図ることができる。
【0037】
また、ガス管4の外径と、液管5の外径とが互いに近似していることから、各管4、5の見分けがつかなくなるといったおそれがある。この点、冷媒配管6のガス管4及び液管5の端部同士が、連結手段(銅管21)にて連結されている。そのため、冷媒配管導通確認工程において、室外機2側でガス管4又は液管5のいずれにテストピン22を接触させたとしても正確な確認を行うことができ、各管4、5を確認することによる不具合を防止することができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、連結手段として、銅管21が用いられている。そのため、連結する際に、管状(筒状)を保った状態のまま、溶接によって容易かつ確実に連結させることが可能となる。室内機3側の冷媒配管6は、テナント工事までの期間が開く場合、ほこりの侵入などを防止する目的などでよく管端を潰されて本工事施工完了とされがちだが、潰された冷媒配管はまた加工しなければならず、今回のような手順を踏めばそのような手間がない。
また、検査完了後、連結手段を切除した後においても、各管の断面形状を維持しやすく、例えばフレア加工が容易になる等、室内機3との接続に際しての作業性の向上を図ることができる。
【0039】
なお、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0040】
(a)上記実施形態では、冷媒配管6及び3芯ケーブル7の配設後、且つ、室外機2及び室内機3の設置前において、検査を行うこととしている。これに対し、例えば、図7に示すように、室外機2の設置後(室外機2と、冷媒配管6及び3芯ケーブル7とを接続後)等のタイミングで、検査を行うこととしても良い。但し、当該検査に際しては、検査対象、すなわち、各電線11~13と、ガス管4又は液管5とを露出させる必要がある。
【0041】
(b)上記実施形態の空調システム1は、便宜上、1台の室外機2に対して、1台の室内機3を設置するといった態様となっているが、当然、1台の室外機2に対して、複数台の室内機3を設置するといった態様としても良い。勿論、複数台の室外機2を設置する場合にも適用可能である。
【0042】
(c)上記実施形態では、連結手段として、銅管21を用いているが、導体であれば、材質、及び、形状は特に限定されるものではない。例えば、鉄製やアルミニウム製であっても良い。
【0043】
(d)上記実施形態では、ガス管4、及び、液管5同士が、粘着テープ9によって共巻きされているが、共巻きされていなくても特に問題ない。また、冷媒配管6及び3芯ケーブル7に対し、カバーリングを施しても良い。
【0044】
(e)上記実施形態では、室外機2側と室内機3側とに、作業者を各1名ずつ配置させることとしているが、2名以上の作業者を配置させることとしても良い。
【符号の説明】
【0045】
1…空調システム、2…室外機、3…室内機、4…ガス管、5…液管、6…冷媒配管、7…3芯ケーブル、11…第1電線、12…第2電線、13…第3電線、21…連結手段としての銅管、22…テストピン、23…テスター。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8