IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オルガノフードテック株式会社の特許一覧

特開2024-142439食肉加工品用または水産加工品用の組成物、食肉加工品または水産加工品、および、食肉加工品または水産加工品の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142439
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】食肉加工品用または水産加工品用の組成物、食肉加工品または水産加工品、および、食肉加工品または水産加工品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/206 20160101AFI20241003BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 11/00 20210101ALI20241003BHJP
   A23L 13/60 20160101ALN20241003BHJP
   A23L 35/00 20160101ALN20241003BHJP
【FI】
A23L29/206
A23L13/00 A
A23L17/00 A
A23L11/00 F
A23L17/00 101D
A23L13/60 Z
A23L35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054578
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】506009453
【氏名又は名称】オルガノフードテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯村 遼
【テーマコード(参考)】
4B020
4B034
4B036
4B041
4B042
【Fターム(参考)】
4B020LB24
4B020LC04
4B020LG09
4B020LK05
4B020LK07
4B020LK11
4B020LK15
4B020LP03
4B020LP15
4B020LP23
4B034LC05
4B034LK17X
4B034LK19X
4B034LK25X
4B034LK27X
4B034LP01
4B034LP04
4B034LP11
4B034LP15
4B036LF13
4B036LH12
4B036LH14
4B036LH33
4B036LH37
4B036LH38
4B036LP01
4B036LP14
4B041LC03
4B041LC05
4B041LD01
4B041LH02
4B041LK13
4B041LK24
4B041LK31
4B041LP01
4B041LP12
4B042AC05
4B042AD20
4B042AD39
4B042AE03
4B042AG02
4B042AG03
4B042AH01
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK13
4B042AK20
(57)【要約】
【課題】かたさや弾力が良好な食肉加工品または水産加工品を得ることができる食肉加工品用または水産加工品用の組成物、その組成物を含む食肉加工品または水産加工品、および、食肉加工品または水産加工品の製造方法を提供する。
【解決手段】ヒヨコマメ澱粉、または、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを含有する、食肉加工品用または水産加工品用の組成物、その組成物を含む食肉加工品または水産加工品、および、食肉加工品または水産加工品の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒヨコマメ澱粉、または、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを含有することを特徴とする食肉加工品用または水産加工品用の組成物。
【請求項2】
ヒヨコマメ澱粉、または、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを含有することを特徴とする食肉加工品または水産加工品。
【請求項3】
ヒヨコマメ澱粉、または、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを用いることを特徴とする食肉加工品または水産加工品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉加工品用または水産加工品用の組成物、その組成物を含む食肉加工品または水産加工品、および、食肉加工品または水産加工品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンバーグ、肉団子、ハム等の食肉加工品には物性改良目的で卵白が良く使用されている。しかし、卵白の使用には、アレルゲン、原料高騰、供給不安定等の課題がある。特に近年は鳥インフルエンザの影響で原料高騰、供給不安定等の課題が大きくなっている。
【0003】
また、かまぼこ等の水産加工品には魚等のすり身が使用されるが、昨今、原料価格が高騰している。
【0004】
市場では、卵白等の動物性たん白の代替としてエンドウマメ由来の未加工澱粉であるエンドウマメ澱粉を用いた食感改良剤が販売されている(非特許文献1参照)。非特許文献1では、エンドウマメ澱粉を用いた食感改良剤によってハンバーグ、メンチカツ、ソーセージ、肉団子に強度な弾力、保水性で豊かな食感を実現するとしているが、かたさや弾力の付与が十分ではなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】https://www.shokuken.co.jp/product/food-functional-pharmaceutical-preparation-2/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、かたさや弾力が良好な食肉加工品または水産加工品を得ることができる食肉加工品用または水産加工品用の組成物、その組成物を含む食肉加工品または水産加工品、および、食肉加工品または水産加工品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ヒヨコマメ澱粉、または、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを含有する、食肉加工品用または水産加工品用の組成物である。
【0008】
本発明は、ヒヨコマメ澱粉、または、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを含有する、食肉加工品または水産加工品である。
【0009】
本発明は、ヒヨコマメ澱粉、または、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを用いる、食肉加工品または水産加工品の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、かたさや弾力が良好な食肉加工品または水産加工品を得ることができる食肉加工品用または水産加工品用の組成物、その組成物を含む食肉加工品または水産加工品、および、食肉加工品または水産加工品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0012】
<食肉加工品用または水産加工品用の組成物>
本発明の実施の形態に係る食肉加工品用または水産加工品用の組成物は、ヒヨコマメ澱粉を含有する組成物である。本発明の実施の形態に係る食肉加工品用または水産加工品用の組成物は、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを含有する組成物であってもよい。
【0013】
本発明者らは、ヒヨコマメ澱粉を用いることによって、かたさや弾力が良好な食肉加工品または水産加工品を得ることができることを見出した。食肉加工品にヒヨコマメ澱粉を添加することによって、かたさや弾力を付与し、卵白の代替をすることができる。その効果はエンドウマメ澱粉よりも高い。また、水産加工品にヒヨコマメ澱粉を添加することによって、かたさや弾力を付与し、すり身の使用量を低減することができる。
【0014】
卵白の代替として加工澱粉を使用することも検討されているが、加工澱粉は食品添加物である。一方、ヒヨコマメ澱粉は、未加工のでん粉であって、食品素材であり、食品添加物表示が必要となる成分ではない。
【0015】
ヒヨコマメは、マメ亜科の植物である。ヒヨコマメ澱粉は、ヒヨコマメから抽出した生澱粉である。
【0016】
一方、加工澱粉は、生澱粉に物理的、酵素的、または化学的に加工を加えたものであり、食品に利用する際に本来の澱粉機能の他に、冷水可溶性、糊化温度調整、対塩性、粘性挙動安定性、冷蔵・冷凍保存性、解凍安定性等の付加機能を付与した澱粉製品である。物理的加工は、乾燥、加熱、撹拌処理等を行う加工であり、酵素的加工は、α-アミラーゼ等によって酵素処理を行う加工であり、化学的加工は、各種修飾物質を用いて澱粉を構成するグルコース鎖の水酸基に種々の官能基を導入し、澱粉の分子間および分子内を架橋する加工である。物理的加工、酵素的加工、または化学的加工を単独でまたは組み合わせて澱粉に高機能性を付与することができる。本実施形態に係る食肉加工品用または水産加工品用の組成物で用いるヒヨコマメ澱粉は、このような加工を行わない未加工のでん粉である。
【0017】
本実施形態に係る食肉加工品用または水産加工品用の組成物は、さらに、海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つを含有してもよい。海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つを含有することによって、かたさや弾力を付与することができるという効果が得られる。海藻粉末は、石化した海藻を粉末化したものである。L-シスチンは、アミノ酸の一種である。
【0018】
海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つの含有量は、ヒヨコマメ澱粉100質量%に対して、例えば、50質量%以下であり、20質量%以下であることが好ましい。
【0019】
本実施形態に係る食肉加工品用または水産加工品用の組成物は、ヒヨコマメ澱粉、海藻粉末、L-シスチンの他に、食塩、砂糖、調味料、酵母、増粘多糖類、澱粉分解物等の一般的に食肉加工品または水産加工品に用いられる他の成分を含んでもよい。
【0020】
他の成分の含有量は、例えば、ヒヨコマメ澱粉100質量%に対して、例えば、50質量%以下であり、20質量%以下であることが好ましい。
【0021】
本実施形態に係る食肉加工品用または水産加工品用の組成物の形態は特に制限されず、例えば、液体状、ペースト状、顆粒状、粉末状、固形状等のいずれの形態であってもよい。
【0022】
本実施形態に係る食肉加工品用または水産加工品用の組成物を用いることによって、かたさや弾力が良好な食肉加工品または水産加工品を得ることができる。
【0023】
<食肉加工品または水産加工品>
本実施形態に係る食肉加工品または水産加工品は、上記組成物を含む食肉加工品または水産加工品であり、ヒヨコマメ澱粉を含有する食肉加工品または水産加工品である。本実施形態に係る食肉加工品または水産加工品は、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを含有する食肉加工品または水産加工品であってもよい。
【0024】
食肉加工品としては、食肉を加工した食品であればよく、特に制限はないが、ハンバーグ、肉団子、ハム、ソーセージ、ベーコン、サラダチキン等が挙げられる。
【0025】
食肉としては、食用に供される肉であればよく、特に限定されないが、例えば、牛、豚、鶏、馬、羊、アヒル、七面鳥等の畜肉、猪、鹿、熊等の獣肉、クジラ、海豚等の海産動物、カモ、ガチョウ、ダチョウ、カンガルー、ワニ等の精肉、およびこれらの加工品等が挙げられる。食肉の部位としては、特に限定されず、脛、肩、ネック、タン、ホホ、モモ、スネ、テール、足等の部位が挙げられる。これらの食肉は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0026】
水産加工品としては、水産物を加工した食品であればよく、特に制限はないが、かまぼこ、さつま揚げ、つみれ、ちくわ、はんぺん等が挙げられる。
【0027】
水産物としては、海、川、湖、沼等から産するものであればよく、特に限定されないが、例えば、タラ、アジ、イトヨリダイ、ホッケ、マイワシ、シログチ、タチウオ、ハモ等の魚類、エビ、タコ、イカ、カニ等の甲殻類等が挙げられる。これらの水産物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0028】
また、本実施形態に係る食肉加工品または水産加工品において、上記食肉のうちの1種または2種以上と、上記水産物のうちの1種または2種以上とを混合して使用してもよい。
【0029】
食肉加工品におけるヒヨコマメ澱粉の含有量は、食肉加工品全体の質量に対して、例えば、1~5質量%の範囲であり、2~4質量%の範囲であることが好ましい。食肉加工品全体の質量に対してヒヨコマメ澱粉の含有量が1質量%未満であると、かたさや弾力が不十分となる場合があり、5質量%を超えると、かたくなりすぎる場合がある。
【0030】
水産加工品におけるヒヨコマメ澱粉の含有量は、水産加工品全体の質量に対して、例えば、2~6質量%の範囲であり、3~4質量%の範囲であることが好ましい。水産加工品全体の質量に対してヒヨコマメ澱粉の含有量が2質量%未満であると、かたさや弾力が不十分となる場合があり、6質量%を超えると、かたくなりすぎる場合がある。
【0031】
本実施形態に係る食肉加工品または水産加工品は、さらに、海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つを含有してもよい。海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つを含有することによって、かたさや弾力を付与することができるという効果が得られる。
【0032】
食肉加工品における海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つの含有量は、食肉加工品全体の質量に対して、例えば、2.5質量%以下であり、2質量%以下であることが好ましい。
【0033】
水産加工品における海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つの含有量は、水産加工品全体の質量に対して、例えば、3質量%以下であり、2質量%以下であることが好ましい。
【0034】
食肉加工品は、食肉、ヒヨコマメ澱粉、海藻粉末、L-シスチンの他に、例えば、食塩、たん白、食物繊維、香辛料、調味料、パン粉、リン酸塩、pH調整剤等の一般的に食肉加工品に用いられる他の成分を含んでもよい。
【0035】
食肉加工品において、その他の成分の配合量は、各種食肉加工品の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0036】
水産加工品は、水産物、ヒヨコマメ澱粉、海藻粉末、L-シスチンの他に、例えば、食塩、たん白、食物繊維、みりん、香辛料、調味料、リン酸塩、pH調整剤等の一般的に水産加工品に用いられる他の成分を含んでもよい。
【0037】
水産加工品において、その他の成分の配合量は、各種水産加工品の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0038】
本実施形態に係る食肉加工品または水産加工品は、かたさや弾力が良好である。
【0039】
<食肉加工品または水産加工品の製造方法>
本実施形態に係る食肉加工品または水産加工品の製造方法は、上記組成物を用いて食肉加工品または水産加工品を製造する方法である。本実施形態に係る食肉加工品または水産加工品の製造方法は、ヒヨコマメ澱粉を用いて食肉加工品または水産加工品を製造する方法である。本実施形態に係る食肉加工品または水産加工品の製造方法は、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを用いて食肉加工品または水産加工品を製造する方法であってもよい。食肉加工品の製造方法は、各種食肉加工品の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。水産加工品の製造方法は、各種水産加工品の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0040】
例えば、ハンバーグは、食肉、ヒヨコマメ澱粉、水、必要に応じて海藻粉末やL-シスチン、およびその他の原料を混合、成形した後、所定の温度で焼成することによって製造すればよい。
【0041】
例えば、かまぼこは、水産物のすり身等、ヒヨコマメ澱粉、水、必要に応じて海藻粉末やL-シスチン、およびその他の原料の擂りを行った後、成形し、所定の温度で加熱、冷却、静置することによって製造すればよい。
【0042】
水としては、特に制限はないが、水道水、純水、軟水、硬水等が挙げられる。
【0043】
本実施形態に係る食肉加工品または水産加工品の製造方法によって、かたさや弾力が良好な食肉加工品または水産加工品を得ることができる。
【実施例0044】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
<実施例1、比較例1,2>
[ゲル棒での各種澱粉との比較]
表1に示す配合比(質量部)で、下記方法で各種澱粉を含むゲル棒を作製した。得られたゲル棒について、下記方法で、ゲル強度(g/cm)、ゲル破断距離(mm)、離水距離(cm)を測定した。
【0046】
(ゲル棒の作製方法)
(1)純水に各種澱粉をそれぞれ加え、スターラーを用いて室温(25℃)で5分間撹拌し、分散させる。
(2)食塩を加える場合は食塩を加え、室温(25℃)でさらに5分間撹拌する。
(3)得られた溶液を塩化ビニル製ケーシング(直径48mm)に充填する。
(4)溶液を充填したケーシングを恒温水槽(80℃)で45分間加熱する。
(5)加熱後のケーシングを30分以上水冷し、冷蔵庫(4℃)で一晩以上(20時間)静置する。
(6)ケーシングから出したゲル棒を3cm厚にカットし、ゲル強度、ゲル破断距離および離水距離を測定する。
【0047】
(評価方法)
レオメーター(サン科学製、CR200D型)を用い、直径5mmのプランジャーでテーブル速度60mm/分の条件で、ゲル強度(g/cm)およびゲル破断距離(mm)を測定した。また、短冊状の濾紙(長さ10cm×幅1cm)をゲル棒に刺し、30分後の浸水距離(cm)を測定し、離水距離(cm)とした。結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
表2からわかるように、ヒヨコマメ澱粉を用いた実施例1-1のゲル棒は、馬鈴薯澱粉を用いた比較例1-1のゲル棒、エンドウマメ澱粉を用いた比較例2-1のゲル棒に比べて、ゲル強度、ゲル破断距離が大きく、かたさおよび弾力が良好であった。また、実施例1-1のゲル棒は、比較例1-1のゲル棒、比較例2-1のゲル棒に比べて、離水距離が小さく、離水が少なかった。食塩を添加すると通常はゲルの形成が阻害されるが、ヒヨコマメ澱粉、食塩を用いた実施例1-2のゲル棒は、馬鈴薯澱粉、食塩を用いた比較例1-2のゲル棒、エンドウマメ澱粉、食塩を用いた比較例2-2のゲル棒に比べて、かたさおよび弾力が良好であり、離水が少なかった。
【0051】
<実施例2、比較例3,4,5>
[ハンバーグでの乾燥卵白代替試験]
表3に示す配合比(質量部)で、下記方法でハンバーグを作製した。得られたハンバーグについて、下記方法で、加熱歩留(%)、かたさ(Pa)、凝集性、付着性(J/m)を測定した。表3における澱粉分解物は、コーンの澱粉分解物である。
【0052】
(ハンバーグの作製方法)
(1)表3に示す原料を、卓上ミキサー(愛工舎製作所製、ケンミックス)を用いて室温(25℃)で4分間混合する。
(2)得られた混合物を、80g/個で成形する。
(3)スチームコンベクションオーブン(ニチワ電機製)を用いて焼成する(オーブン250℃、10分、次いでスチーム95℃、5分)。
(4)ブラストチラー(ニチワ電機製)を用いて-20℃に急速冷凍後、真空包装し、冷凍保管する(-20℃)。
(5)電子レンジで解凍後、加熱歩留、かたさ、凝集性、付着性を測定する。
【0053】
(評価方法)
加熱前後の重量を測定し、[(加熱後重量/加熱前重量)×100]から加熱歩留(%)を求めた。クリープメータ(山電社製、RHEONER II CREEP METER RE2-33005C)を用いて、直径20mmプランジャー、10mm/秒、圧縮率67%の条件で、かたさ(Pa)、凝集性、付着性(J/m)の測定を行った。結果を表4に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
表4からわかるように、ヒヨコマメ澱粉を用いた実施例2-1、実施例2-2のハンバーグは、乾燥卵白を用いた比較例4のハンバーグ、エンドウマメ澱粉を用いた比較例5のハンバーグに比べて、加熱歩留が高く、保水性が良好であった。また、ヒヨコマメ澱粉を用いた実施例2-1、実施例2-2のハンバーグは、乾燥卵白を用いた比較例4のハンバーグとかたさ、凝集性が同等であり、エンドウマメ澱粉を用いた比較例5のハンバーグに比べて、かたさ、凝集性、付着性(べたつき)が良好であった。
【0057】
<実施例3、比較例6>
[すり身低減試験]
表5に示す配合比(質量部)で、下記方法でかまぼこを作製した。得られたかまぼこについて、下記方法で、ゲル強度(g/cm)、ゲル破断距離(mm)を測定した。表5における澱粉分解物は、コーンの澱粉分解物であり、C-33-S(オルガノフードテック株式会社製)は、L-シスチン(C-33-S全体の質量に対して3.75質量%)や調味料等を含む水産練り製品用複合製剤である。
【0058】
(かまぼこの作製方法)
(1)冷凍すり身を、ステファンカッター(ステファン社製)を用いて1分間空擂りする。
(2)空擂りしたすり身に食塩を添加し、ステファンカッターを用いて1分間塩擂りする。
(3)塩擂りしたすり身にみりん風調味料以外の原料を添加し、ステファンカッターを用いて4℃に達するまで本擂りする。
(4)本擂りしたすり身にみりん風調味料を添加し、ステファンカッターを用いて10℃に達するまで本擂りする。
(5)真空処理をして、塩化ビニル製ケーシング(直径48mm)に充填する。
(6)充填したケーシングを30℃で30分間静置する。
(7)さらに90℃で40分間加熱する。
(8)加熱後のケーシングを流水で冷却後、5℃で一晩(20時間)静置する。
(9)ケーシングを剥がし、得られたかまぼこを3cmにカットし、破断荷重、破断距離を測定する。
【0059】
(評価方法)
レオメーター(サン科学製、CR200D型)を用い、直径5mmの球形プランジャーでテーブル速度1mm/秒の条件で、破断荷重(g)および破断距離(mm)を測定した。結果を表6に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
表6からわかるように、ヒヨコマメ澱粉を用いた実施例3-1、実施例3-2のかまぼこは、ヒヨコマメ澱粉を用いなかった比較例6-1、比較例6-2、比較例6-3のかまぼこに比べて、破断荷重、破断距離が大きく、かたさおよび弾力が良好であった。
【0063】
以上の通り、ヒヨコマメ澱粉を用いることによって、かたさや弾力が良好な食肉加工品または水産加工品を得ることができた。また、ヒヨコマメ澱粉と海藻粉末およびL-シスチンのうち少なくとも1つとを用いることによって、さらにかたさや弾力が良好な食肉加工品または水産加工品を得ることができた。