IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小林クリエイト株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-レーザー記録媒体 図1
  • 特開-レーザー記録媒体 図2
  • 特開-レーザー記録媒体 図3
  • 特開-レーザー記録媒体 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142450
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】レーザー記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/34 20060101AFI20241003BHJP
   B41M 5/46 20060101ALI20241003BHJP
   B41M 5/40 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41M5/34
B41M5/46 210
B41M5/40 213
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054591
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000186566
【氏名又は名称】小林クリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 まり
(72)【発明者】
【氏名】垣ヶ原 円美
(72)【発明者】
【氏名】小川 純生
【テーマコード(参考)】
2H026
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026BB02
2H026BB21
2H026FF07
2H026FF22
(57)【要約】
【課題】カラー画像の記録部位の厚みを抑制でき、かつ、カラー画像を容易に記録可能なレーザー記録媒体を提供する。
【解決手段】色相の相違する有彩色で発色可能な三層の感熱発色層が積層されてなるカラー発色層4を備えるカラー情報記録部2に、一面側からレーザー光を照射してカラー画像を記録するレーザー記録媒体1にあって、三層の感熱発色層のうち、中間に配置される感熱発色層を、光熱変換剤を含有し、かつ、両側に配置される感熱発色層よりも、発色する発色閾値温度の低い低温感熱発色層とし、さらに、カラー発色層4の両側に、光熱変換剤を含有する光熱変換層が配設する。そして、カラー発色層4の一面側に配設される光熱変換層と、カラー発色層4の他面側に配設される光熱変換層と、低温感熱発色層とについて、含有する光熱変換剤の吸収するレーザー光の波長域が夫々相違するよう構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側からレーザー光を照射してカラー画像を記録可能なカラー情報記録部を備えるレーザー記録媒体であって、
前記カラー情報記録部は、色相の相違する有彩色で発色可能な二層の感熱発色層が積層されてなるカラー発色層を備え、
前記カラー発色層の両側には、光熱変換剤を含有する光熱変換層が配設されており、
前記カラー発色層の一面側に配設される前記光熱変換層と、前記カラー発色層の他面側に配設される前記光熱変換層は、含有する光熱変換剤が吸収するレーザー光の波長域が相違していることを特徴とするレーザー記録媒体。
【請求項2】
一面側からレーザー光を照射してカラー画像を記録可能なカラー情報記録部を備えるレーザー記録媒体であって、
前記カラー情報記録部は、色相の相違する有彩色で発色可能な三層の感熱発色層が積層されてなるカラー発色層を備え、
前記三層の感熱発色層のうち、中間に配置される感熱発色層は、光熱変換剤を含有し、かつ、両側に配置される感熱発色層よりも、発色する発色閾値温度の低い低温感熱発色層であり、
前記カラー発色層の両側には、光熱変換剤を含有する光熱変換層が配設されており、
前記カラー発色層の一面側に配設される前記光熱変換層と、前記カラー発色層の他面側に配設される前記光熱変換層と、前記低温感熱発色層は、含有する光熱変換剤が吸収するレーザー光の波長域が夫々相違することを特徴とするレーザー記録媒体。
【請求項3】
一面側からレーザー光を照射してカラー画像を記録可能なカラー情報記録部を備えるレーザー記録媒体であって、
前記カラー情報記録部は、色相の相違する有彩色で発色可能な二層の感熱発色層が積層されてなるカラー発色層を備え、
前記二層の感熱発色層のうち、一方の感熱発色層は、光熱変換剤を含有し、かつ、他方の感熱発色層よりも、発色する発色閾値温度の低い低温感熱発色層であり、
前記カラー発色層には、前記他方の感熱発色層が配設される側に、光熱変換剤を含有する光熱変換層が配設されており、
前記光熱変換層と前記低温感熱発色層は、含有する光熱変換剤が吸収するレーザー光の波長域が夫々相違することを特徴とするレーザー記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を用いてカラー画像を記録可能なレーザー記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
三原色で発色可能な感熱発色成分を含有する三層の感熱発色層を備え、各感熱発色層をレーザー光で個別に発色させて記録した画像の混色によって、カラー画像を記録可能なレーザー記録媒体が知られている(例えば、特許文献1,2)。
特許文献1のレーザー記録媒体は、吸収するレーザー光の波長域の相違する光熱変換剤を各感熱発色層に夫々含有させて、1つの感熱発色層のみに吸収される波長のレーザー光を複数種類用いることによって、三層の感熱発色層を個別に発色させ得るよう構成される。
特許文献2のレーザー記録媒体は、各感熱発色層が発色する発色閾値温度を相違させて、発色閾値温度の低い感熱発色層から順番に発色させることによって、三層の感熱発色層を個別に発色させ得るよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再表2018-235451号公報
【特許文献2】特許第3509246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、レーザー光で各感熱発色層を加熱して個別に発色させる際に、発色させる感熱発色層の熱が他の感熱発色層に伝わって、発色させるべきでない他の感熱発色層を発色させてしまわないように、感熱発色層の間に比較的厚い断熱層を配設して、感熱発色層間の熱の伝達を抑制する必要がある。このため、上記特許文献1の構成では、カラー画像の記録部位を厚くせざるを得ないという問題がある。
【0005】
上記特許文献2の構成では、発色閾値温度の高い感熱発色層を単独で発色させるために、発色閾値温度の低い感熱発色層を発色させた直後に、当該感熱発色層に特定波長の紫外線を照射して発色能を消失させて、発色閾値温度のより高い感熱発色層を発色させる際に、発色閾値温度の低い感熱発色層がそれ以上発色しないようにしている。このため、上記特許文献2の構成では、カラー画像を記録する際に、紫外線の照射に手間と時間が掛かるという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、異なる色で発色可能な複数層の感熱発色層をレーザー光で個別に発色させてカラー画像を記録するレーザー記録媒体にあって、カラー画像の記録部位の厚みを抑えつつ、かつ、カラー画像を容易に記録可能な構成の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一面側からレーザー光を照射してカラー画像を記録可能なカラー情報記録部を備えるレーザー記録媒体であって、前記カラー情報記録部は、色相の相違する有彩色で発色可能な三層の感熱発色層が積層されてなるカラー発色層を備え、前記三層の感熱発色層のうち、中間に配置される感熱発色層は、光熱変換剤を含有し、かつ、両側に配置される感熱発色層よりも、発色する発色閾値温度の低い低温感熱発色層であり、前記カラー発色層の両側には、光熱変換剤を含有する光熱変換層が配設されており、前記カラー発色層の一面側に配設される前記光熱変換層と、前記カラー発色層の他面側に配設される前記光熱変換層と、前記低温感熱発色層は、含有する光熱変換剤が吸収するレーザー光の波長域が夫々相違することを特徴とするレーザー記録媒体ある。
【0008】
かかる構成にあっては、カラー情報記録部の一面側から、適当な波長のレーザー光を照射することにより、一面側の光熱変換層と、他面側の光熱変換層と、中間感熱発色層は、選択的に加熱できるため、感熱発色層の間に厚い断熱層が配設されていなくても、個々の感熱発色層を、他の感熱発色層を発色させることなく、個別に発色させることが可能となる。
具体的には、一面側の感熱発色層を発色させる場合は、一面側の光熱変換層をレーザー光で加熱して、当該光熱変換層から一面側の感熱発色層に熱を伝え、当該感熱発色層を発色閾値温度以上に上昇させる。この時、中間の感熱発色層や他面側の感熱発色層は、一面側の感熱発色層を挟んで、加熱する光熱変換層の反対側に位置しているため、レーザー光の出力や照射時間等を調節して、一面側の光熱変換層を適度に加熱すれば、感熱発色層の間に厚い断熱層が配設されていなくても、他の感熱発色層を発色閾値温度まで上昇させることなく、一面側の感熱発色層を単独で発色させることができる。
同様に、他面側の感熱発色層を発色させる場合は、他面側の光熱変換層をレーザー光で加熱して、当該光熱変換層から他面側の感熱発色層に熱を伝え、当該感熱発色層を発色閾値温度以上に上昇させる。この時、中間の感熱発色層や一面側の感熱発色層は、他面側の感熱発色層を挟んで、加熱する光熱変換層の反対側に位置しているため、レーザー光の出力や照射時間等を調節して、他面側の光熱変換層を適度に加熱すれば、感熱発色層の間に厚い断熱層が配設されていなくても、他の感熱発色層を発色閾値温度まで上昇させることなく、他面側の感熱発色層を単独で発色させることができる。
また、中間の感熱発色層を発色させる場合は、当該感熱発色層をレーザー光で直接加熱して、当該感熱発色層を発色閾値温度以上に上昇させる。ここで、中間の感熱発色層は、両側の感熱発色層よりも発色閾値温度の低い低温感熱発色層であるため、レーザー光の出力や照射時間等を調節して、中間の感熱発色層の温度上昇を、両側の感熱発色層の発色閾値温度未満に抑えれば、感熱発色層の間に厚い断熱層が配設されていなくても、他の感熱発色層を発色させることなく、中間の感熱発色層を単独で発色させることができる。
このように、本発明のレーザー記録媒体は、感熱発色層の間に断熱層を配設されていなくても、個々の感熱発色層を単独で発色させることができるため、カラー情報記録部の厚みを抑えることができる。また、本発明のレーザー記録媒体は、低温感熱発色層を発色させた直後に紫外線等を照射する工程は不要であり、低温感熱発色層を先に発色させる必要もなく、三層の感熱発色層を連続的に、又は同時並行して発色させることができるため、カラー情報記録部にカラー画像を容易に記録できる。
【0009】
本発明に係るカラー発色層を、二層の感熱発色層で構成することも提案される。カラー情報記録部を二層の感熱発色層で構成する場合は、三層で構成する場合に比べて記録可能な色が制限されるが、コストや薄さの点では三層よりも有利なためである。
本発明に係るカラー発色層を、二層の感熱発色層で構成する態様としては、一面側からレーザー光を照射してカラー画像を記録可能なカラー情報記録部を備えるレーザー記録媒体であって、前記カラー情報記録部は、色相の相違する有彩色で発色可能な二層の感熱発色層が積層されてなるカラー発色層を備え、前記カラー発色層の両側には、光熱変換剤を含有する光熱変換層が配設されており、前記カラー発色層の一面側に配設される前記光熱変換層と、前記カラー発色層の他面側に配設される前記光熱変換層は、含有する光熱変換剤が吸収するレーザー光の波長域が相違していることを特徴とするレーザー記録媒体が提案される。
【0010】
すなわち、かかる構成は、上記三層構成から、中間の感熱発色層を省略して、カラー情報記録部を二層の感熱発色層で構成したものである。かかる構成にあっても、感熱発色層の間に厚い断熱層が配設されていなくても、個々の感熱発色層を単独で発色させることができるため、カラー情報記録部の厚みを抑えることができる。また、かかる構成では、低温感熱発色層を発色させた直後に紫外線等を照射する工程は不要であり、低温感熱発色層を先に発色させる必要もなく、二層の感熱発色層を連続的に、又は同時並行して発色させることができるため、カラー情報記録部にカラー画像を容易に記録できる。
【0011】
本発明に係るカラー発色層を、二層の感熱発色層で構成する別の態様として、一面側からレーザー光を照射してカラー画像を記録可能なカラー情報記録部を備えるレーザー記録媒体であって、前記カラー情報記録部は、色相の相違する有彩色で発色可能な二層の感熱発色層が積層されてなるカラー発色層を備え、前記二層の感熱発色層のうち、一方の感熱発色層は、光熱変換剤を含有し、かつ、他方の感熱発色層よりも、発色する発色閾値温度の低い低温感熱発色層であり、前記カラー発色層には、前記他方の感熱発色層が配設される側に、光熱変換剤を含有する光熱変換層が配設されており、前記光熱変換層と前記低温感熱発色層は、含有する光熱変換剤が吸収するレーザー光の波長域が夫々相違することを特徴とするレーザー記録媒体が提案される。
【0012】
すなわち、かかる構成は、上記三層構成から、一側又は他側の感熱発色層と光熱変換層を省略して、カラー情報記録部を二層の感熱発色層で構成したものである。かかる構成にあっても、感熱発色層の間に厚い断熱層が配設されていなくても、個々の感熱発色層を単独で発色させることができるため、カラー情報記録部の厚みを抑えることができる。また、かかる構成では、二層の感熱発色層を連続的に、又は同時並行して発色させることができるため、カラー情報記録部にカラー画像を容易に記録できる。
【発明の効果】
【0013】
以上に述べたように、本発明のレーザー記録媒体によれば、カラー画像の記録部位の厚みを抑制でき、かつ、カラー画像を容易に記録可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1のレーザー記録媒体1の表面図であり、(A)は顔画像F等の記録前の状態を示し、(B)は顔画像F等の記録後の状態を示す。
図2】実施例1のレーザー記録媒体1の層構造を示す説明図であり、(A)はカラー情報記録部2の層構造を示し、(B)はモノクロ情報記録部3の層構造を示す。
図3】レーザー光を照射してカラー情報記録部2に顔画像Fを記録する工程を示す説明図である。
図4】実施例2~4のカラー情報記録部2の層構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を、以下の実施例によって説明する。
【実施例0016】
本実施例のレーザー記録媒体1は、図1(A)に示すように、カードタイプの身分証明書の発行に用いられる身分証明用紙である。レーザー記録媒体1には、表側の左寄りの矩形状領域にカラー情報記録部2が設けられる。カラー情報記録部2は白色無地の領域であり、身分証明書の発行時に、図1(B)に示すように、レーザー光によって被証明者の顔画像Fがカラー画像で記録される。また、レーザー記録媒体1の表側の右寄りの矩形状領域には、被証明者の属性情報を記録・表示するモノクロ情報記録部3が設けられる。図1(A)に示すように、モノクロ情報記録部3には、白色無地の領域に属性情報の項目名だけが予め印刷されており、図1(B)に示すように身分証明書の発行時にレーザー光によって属性情報が黒色の文字で記録される。
【0017】
図2は、レーザー記録媒体1の層構造を示したものである。レーザー記録媒体1は、基材層と、基材層の表側(図2中の上側)を覆う保護層とを備えている。そして、図2(A)に示すように、カラー情報記録部2には、保護層と基材層の間に、カラー発色層4と光熱変換層を備えている。カラー発色層4は、レーザー光によって顔画像Fをカラーで記録するための層であり、後述するように、相異なる色で発色可能な感熱発色層を三層積層してなるものである。光熱変換層は、レーザー光を吸収してカラー発色層4を加熱するための層であり、カラー発色層4の表側と裏側に対をなすように配設される。一方、図2(B)に示すように、モノクロ情報記録部3には、保護層と基材層の間に、レーザー光によって文字を黒色で記録可能な炭化発色層が配設される。また、図示は省略するが、カラー情報記録部2とモノクロ情報記録部3以外の層構造は、基材層と保護層のみからなる。
【0018】
基材層は、レーザー記録媒体1の用途に応じた強度を有するものであればよく、材料や厚みは自由に設定可能である。基材層は、一枚のシートであってもよいし、複数枚のシートを貼り合わせたものであってもよい。基材層の具体的な材料としては、紙や樹脂シート、又はこれらの組合せが挙げられる。基材層は、カラー情報記録部2に記録する顔画像Fの色に影響しない色であることが望ましい。具体的な色としては、白色や淡色、無色が挙げられる。
【0019】
保護層は、カラー発色層4や炭化発色層の破損や劣化、記録情報の改ざんを防止する目的で設けられる。保護層は、情報の記録に使用する赤外領域のレーザー光を透過し、かつ、記録した情報を視認可能とする略透明な材料で構成される。また、保護層は、水や空気を透過しない材料によって好適に構成され得る。保護層を構成する望ましいフィルムの材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)やグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。保護層の厚みは特に限定されないが、10μm~100μm程度が好ましい。保護層は、一枚又は複数枚のフィルムによって構成され得る。保護層がフィルムである場合には、基材層やカラー発色層4等と粘着剤等により接合することが提案される。
【0020】
炭化発色層は、樹脂を含有し、所定波長のレーザー光を吸収して樹脂の炭化により黒く発色するものである。炭化発色層としては、所定波長のレーザー光を吸収して発熱する光熱変換剤と、光熱変換剤の発する熱によって炭化する樹脂とからなる組成物が挙げられる。炭化発色層の組成は、公知の組成を広く採用できる。炭化発色層の厚みは特に限定されず、文字等を黒色で明瞭に印字可能な厚さであれば足りる。炭化発色層は、基材層の表面に塗工されるものであってもよいし、基材層の表面に接合されるフィルムであってもよい。
【0021】
以下に、本発明の要部に係る構成について説明する。
【0022】
カラー発色層4は、加熱により発色する三層の感熱発色層を積層してなるものである。各感熱発色層は、加熱前は略透明であり、所定の発色閾値温度まで加熱されると、夫々異なる三原色で発色する。具体的には、表側(上層)の第一感熱発色層はシアン(C)で発色可能であり、中間(中層)の第二感熱発色層はマゼンタ(M)で発色可能であり、裏側(下層)の第三感熱発色層はイエロー(Y)で発色可能である。すなわち、本実施例では、CMYの三原色で各感熱発色層に個別に記録した画像を重ね合わせて混色させることにより、カラー情報記録部2にフルカラーの顔画像Fを記録・表示可能となっている。なお、各感熱発色層には、CMYの三原色が一色ずつ割り当れられていればよく、どの層の感熱発色層にどの三原色を割り当てるかは、任意である。
【0023】
各感熱発色層は、感熱発色成分とバインダー樹脂を含んでいる。感熱発色成分は、ロイコ色素と顕色剤の組合せを使用可能である。バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール等の無色の樹脂材料を使用可能である。感熱発色成分は、加熱前は略透明であるが、感熱発色層が所定の発色閾値温度まで加熱されると、ロイコ色素と顕色剤が反応することにより、加熱された部位が所定の色で発色する。各感熱発色層に含有させるロイコ色素と顕色剤は、夫々公知の材料から選択可能である。感熱発色層の発色する色は、主にロイコ色素の種類によって決定される。すなわち、第一感熱発色層はシアンで発色するロイコ色素を含有し、第二感熱発色層はマゼンタで発色するロイコ色素を含有し、第三感熱発色層はイエローで発色するロイコ色素を含有する。
【0024】
各感熱発色層の発色閾値温度は、主にロイコ色素と顕色剤の配合によって決定され得る。そして、本実施例では、中間の第二感熱発色層が、両側の第一感熱発色層と第三感熱発色層よりも発色閾値温度が低くなるよう構成される。
【0025】
三層の感熱発色層のうち、中間の第二感熱発色層には、さらに、光熱変換剤が含有される。光熱変換剤は、所定の波長域のレーザー光を吸収し発熱するものである。すなわち、第二感熱発色層は、含有する光熱変換剤が吸収し得る波長のレーザー光を照射することにより、照射部位を加熱できる。光熱変換剤は、公知の材料を好適に用いることができる。例えば、赤外領域のレーザー光を吸収して発熱する好適な光熱変換剤としては、シアニン系色素が挙げられる。一方、三層の感熱発色層のうち、表裏両側に配置される第一感熱発色層と第三感熱発色層は、記録に使用するレーザー光を吸収可能な光熱変換剤を含有せず、記録に使用するレーザー光を透過するよう構成される。
【0026】
上述のように、カラー発色層4の表裏両側には、光熱変換剤を含有する光熱変換層が配設される。光熱変換剤は、所定の波長域のレーザー光を吸収して発熱するものであり、光熱変換層は、含有する光熱変換剤が吸収し得る波長のレーザー光を照射することにより、照射部位を加熱できる。そして、図2(A)に示すように、表側の表側光熱変換層は、第一感熱発色層と隣接しており、レーザー光で加熱した部位の熱を表側光熱変換層から第一感熱発色層に伝えることにより、第一感熱発色層を間接的に加熱し得るよう構成される。同様に、裏側の裏側光熱変換層は、第三感熱発色層と隣接しており、レーザー光で加熱した部位の熱を裏側光熱変換層から第三感熱発色層に伝えることにより、第三感熱発色層を間接的に加熱し得るよう構成される。
【0027】
表側光熱変換層は、カラー発色層4に記録される顔画像Fの視認を妨げないように、無色透明であることが望ましい。一方、裏側光熱変換層は、カラー発色層4に記録される顔画像Fの色に影響しない白色や淡色、無色であることが望ましい。
【0028】
各光熱変換層は、光熱変換剤とバインダー樹脂を含んでいる。バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール等の無色の樹脂材料を使用可能である。光熱変換剤は、公知の材料を好適に用いることができる。赤外領域のレーザー光を吸収して発熱する好適な光熱変換剤としては、シアニン系色素が挙げられる。
【0029】
上述のように、カラー情報記録部2においては、第二感熱発色層と、表側光熱変換層と、裏側光熱変換層とに、光熱変換剤が夫々含有される。ここで、各層が含有する光熱変換剤は、吸収するレーザー光の波長域が相違しており、本実施例では、三種類の波長のレーザー光を表側から照射することにより、第二感熱発色層と、表側光熱変換層と、裏側光熱変換層とを選択的に加熱し得るよう構成される。具体的には、表側光熱変換層は、
第一感熱発色層の記録時に使用する第一の波長のレーザー光を吸収して発熱し、第二感熱発色層の記録時に使用する第二の波長のレーザー光と、第三感熱発色層の記録時に使用する第三の波長のレーザー光を透過するよう構成される。また、第二感熱発色層は、第二の波長のレーザー光を吸収して発熱し、第三の波長のレーザー光を透過するよう構成される。そして、裏側光熱変換層は、第三のレーザー光を吸収して発熱するよう構成される。上述の第一の波長、第二の波長、及び第三の波長のレーザー光は特に限定されないが、いずれも、赤外領域のレーザー光とすることが望ましい。具体的なレーザー光としては、YAGレーザー光や、CO2レーザー光、YVO4レーザー光、ファイバレーザー光などが挙げられ、具体的な波長としては、785nm、976nm、1064nmの三波長が挙げられる。
【0030】
このように、第二感熱発色層と、表側光熱変換層と、裏側光熱変換層は、照射するレーザー光の種類によって選択的に加熱できる。そして、上述のように、第一感熱発色層は、表側光熱変換層を加熱することにより間接的に加熱でき、第三感熱発色層は、裏側光熱変換層を加熱することにより間接的に加熱できるため、本実施例では、三種類のレーザー光を使用して、各感熱発色層を個別に加熱することにより、各感熱発色層に画像を個別に記録できる。
【0031】
カラー情報記録部2を構成する感熱発色層や光熱変換層は、各層の材料を含有する塗料を、基材層の表側、又は保護層の裏側に、塗布、乾燥して積層することにより形成され得る。ここで、図2(A)に示すように、三層の感熱発色層は他の層を介さずに積層され、感熱発色層と感熱発色層の間に断熱層は配設されない。また、感熱発色層と光熱変換層の間も断熱層等を介さずに積層される。
【0032】
レーザー記録媒体1を用いて身分証明書を発行する際は、図1(A)→1(B)に示すように、公知のレーザー記録装置を用いて、上述の三種類の波長のレーザー光によって、カラー情報記録部2に顔画像Fを記録する。また、レーザー光を使用してモノクロ情報記録部3に属性情報を示す文字を記録する。モノクロ情報記録部3への記録は、既存の方法で記録可能であるため、詳細な説明は省略する。なお、モノクロ情報記録部3の記録に使用するレーザー光は、カラー情報記録部2の記録に用いる三種類のレーザー光のいずれかを用いることが望ましい。レーザー記録装置を簡略化できるためである。
【0033】
顔画像Fを記録する際は、まず、顔画像Fのフルカラーのデジタルデータを、CMYの三原色に色分解する。そして、色分解によって得られた、シアンの版の画像と、マゼンタの版の画像と、イエローの版の画像を、三種類のレーザー光を使用して、三層の感熱発色層に夫々記録する。
【0034】
色分解によって得られたシアンの版の画像は、第一の波長のレーザー光の照射によって、第一感熱発色層に記録する。具体的には、図3(A)に示すように、表側からカラー情報記録部2に照射した第一の波長のレーザー光は、保護層を透過して表側光熱変換層に吸収され、表側光熱変換層が発熱する。そして、表側光熱変換層の熱が、隣接する第一感熱発色層に伝わって、第一感熱発色層が発色閾値温度以上に上昇することにより、レーザー光の照射部位がシアンで発色する。第一感熱発色層の発色濃度は、レーザー光の強度や照射時間、照射面積によって制御できる。なお、第一の波長のレーザー光は、表側光熱変換層で吸収されるため、表側光熱変換層よりも裏側(下層)には到達しない。また、表側光熱変換層と、第二、第三感熱発色層の間には、第一感熱発色層が配置されているため、表側光熱変換層をレーザー光で適度に発熱させれば、表側光熱変換層の発熱によって第一感熱発色層のみを発色させることができる。第一の波長のレーザー光の照射によって第一感熱発色層に記録する場合、図3(A)に示すように、第一感熱発色層を厚み全体に亘って発色させず、表側光熱変換層から熱が伝わる表側を部分的に発色させて、裏側は未発色とする。第一感熱発色層の裏側を発色閾値温度まで加熱すると、隣接する第二感熱発色層が発色してしまうためである。
【0035】
色分解によって得られたマゼンタの版の画像は、第二の波長のレーザー光の照射によって、第二感熱発色層に記録する。具体的には、図3(B)に示すように、表側からカラー情報記録部2に照射した第二の波長のレーザー光は、保護層、表側光熱変換層、及び第一感熱発色層を透過して、第二感熱発色層の光熱変換剤に吸収され、第二感熱発色層が発熱する。そして、第二感熱発色層が発色閾値温度以上に上昇することにより、レーザー光の照射部位がマゼンタで発色する。第二感熱発色層の発色濃度は、レーザー光の強度や照射時間、照射面積によって制御できる。なお、第二の波長のレーザー光は、第二感熱発色層で吸収されるため、第二感熱発色層よりも裏側(下層)には到達しない。また、第二感熱発色層の発色閾値温度は、他の感熱発色層の発色閾値温度よりも低いため、第二感熱発色層をレーザー光で適度に発熱させれば、第二感熱発色層の発熱によって、第二感熱発色層のみを発色させることができる。
【0036】
色分解によって得られたイエローの版の画像は、第三の波長のレーザー光の照射によって、第三感熱発色層に記録する。具体的には、図3(C)に示すように、表側からカラー情報記録部2に照射した第三の波長のレーザー光は、保護層、表側光熱変換層、及び三層の感熱発色層を透過して、裏側光熱変換層に吸収され、裏側光熱変換層が発熱する。そして、裏側光熱変換層の熱が、隣接する第三感熱発色層に伝わって、第三感熱発色層が発色閾値温度以上に上昇することにより、レーザー光の照射部位がイエローで発色する。第三感熱発色層の発色濃度は、レーザー光の強度や照射時間、照射面積によって制御できる。
第三の波長のレーザー光は、裏側光熱変換層以外には吸収されず、また、裏側光熱変換層と、第一、第二感熱発色層の間には、第三感熱発色層が配置されているため、裏側光熱変換層をレーザー光で適度に発熱させれば、裏側光熱変換層の発熱によって第三感熱発色層のみを発色させることができる。
【0037】
このように、本実施例では、カラー情報記録部2の表側から、三種類の波長のレーザー光を選択的に照射して、三層の感熱発色層に、シアン、マゼンタ、イエローの画像を個別に記録し、各感熱発色層に記録した画像を重ね合わせることにより、カラー情報記録部2にフルカラーの顔画像Fが記録される。
【0038】
ここで、本実施例では、カラー発色層4の両側の第一感熱発色層と第三感熱発色層は、カラー発色層4の表裏に配置された光熱変換層から熱を伝えて発色させるため、感熱発色層の間に断熱層が配設されていなくても、他の感熱発色層を発色閾値温度まで上昇させずに、単独で発色させることができる。また、カラー発色層4の中間の第二感熱発色層は、両側の第一感熱発色層と第三感熱発色層よりも発色閾値温度が低いため、感熱発色層の間に断熱層が配設されていなくても、他の感熱発色層を発色閾値温度まで上昇させずに、単独で発色させることができる。すなわち、本実施例のレーザー記録媒体1は、感熱発色層の間に断熱層が不要であり、カラー情報記録部2の厚みを抑制できるという利点がある。
【0039】
また、本実施例では、レーザー光の出力等を調整することにより、他の感熱発色層を発色閾値温度まで上昇させずに、夫々の感熱発色層を単独で発色閾値温度まで加熱できる。このため、本実施例では、発色閾値温度の低い第二感熱発色層に画像を最初に記録し、第二感熱発色層への記録直後に紫外線等を照射して、第二感熱発色層の発色能を消失させる必要はない。したがって、本実施例のレーザー記録媒体1は、カラー情報記録部2に顔画像Fを容易に記録できるという利点がある。なお、本実施例では、三層の感熱発色層を個別に発色させるために、紫外線等を照射して、記録済みの感熱発色層の発色能を消失させる工程は不要であるが、記録した顔画像Fの不正改変を防止するために、全ての感熱発色層に画像を記録した後に、紫外線等の照射によって、各感熱発色層の発色能を消失させるようにしてもよい。
【0040】
以下に述べる実施例2~4は、上記実施例1から、カラー情報記録部2の層構造を変更した変形例である。その他の構成は実施例1と共通であるため、本文及び図中で共通符号を用いて詳細な説明は省略する。
【実施例0041】
上記実施例1では、カラー発色層4が、第一感熱発色層と、第二感熱発色層と、第三感熱発色層で構成されるのに対して(図2(A)参照)、本実施例では、図4(A)に示すように、カラー発色層4から第二感熱発色層に相当する感熱発色層が省略され、カラー発色層4が第一感熱発色層と第三感熱発色層の二層で構成される。
【0042】
本実施例は、実施例1と同様に、第一の波長のレーザー光で表側光熱変換層を発熱させて、第一感熱発色層を表側から加熱すれば、感熱発色層間に断熱層が配設されていなくても、第一感熱発色層を単独で発色させることができる。また、実施例1と同様に、第三の波長のレーザー光で裏側光熱変換層を発熱させて、第三感熱発色層を裏側から加熱すれば、感熱発色層間に断熱層が配設されていなくても、第三感熱発色層を単独で発色させることができる。したがって、本実施例にあっても、感熱発色層の間に断熱層が不要であり、カラー情報記録部2の厚みを抑制できる。また、本実施例にあっても、一方の感熱発色層へ記録した直後に、紫外線等を照射する工程も不要であるため、カラー情報記録部2に顔画像Fを容易に記録できるという利点がある。
【0043】
なお、上記実施例1のカラー発色層4は、三層の感熱発色層をCMYの三原色で夫々発色させることによりフルカラー画像を記録可能であるが、本実施例のカラー発色層4は、異なる色で発色可能な感熱発色層を二層しか備えないため、表示可能な色が制限される。このため、本実施例では、第一感熱発色層と第三感熱発色層の発色する色を、カラー情報記録部2の記録対象に応じて適宜設定することが望ましい。具体的には、記録対象が顔画像である場合、第一感熱発色層と第三感熱発色層の発色する色を、赤系統の色と、青緑系統の色の組合せにすれば、顔画像Fを違和感のない色再現性で記録できる。
【実施例0044】
上記実施例1では、カラー発色層4が、第一感熱発色層と、第二感熱発色層と、第三感熱発色層で構成されるのに対して(図2(A)参照)、本実施例では、図4(B)に示すように、カラー発色層4から第三感熱発色層に相当する感熱発色層が省略され、カラー発色層4が第一感熱発色層と第二感熱発色層の二層で構成される。また、カラー発色層4の裏側の裏側光熱変換層も本実施例では省略され、光熱変換層は、カラー発色層4の表側の表側光熱変換層のみが配設される。
【0045】
本実施例は、実施例1と同様に、第一の波長のレーザー光で表側光熱変換層を発熱させて、第一感熱発色層を表側から加熱すれば、感熱発色層間に断熱層が配設されていなくても、第一感熱発色層を単独で発色させることができる。また、実施例1と同様に、第二の波長のレーザー光で第二感熱発色層を適度に発熱させれば、感熱発色層間に断熱層が配設されていなくても、第二感熱発色層を単独で発色させることができる。したがって、本実施例にあっても、感熱発色層の間に断熱層が不要であり、カラー情報記録部2の厚みを抑制できる。また、本実施例にあっても、一方の感熱発色層へ記録した直後に、紫外線等を照射する工程も不要であるため、カラー情報記録部2に顔画像Fを容易に記録できるという利点がある。本実施例のカラー発色層4は、実施例2と同様に、異なる色で発色可能な感熱発色層を二層しか備えないため、表示可能な色が制限されるが、第一感熱発色層と第二感熱発色層の発色する色を適宜設定すれば、顔画像Fを違和感のない色再現性で記録できる。
【実施例0046】
上記実施例1では、カラー発色層4が、第一感熱発色層と、第二感熱発色層と、第三感熱発色層で構成されるのに対して(図2(A)参照)、本実施例では、図4(C)に示すように、カラー発色層4から第一感熱発色層に相当する感熱発色層が省略され、カラー発色層4が第二感熱発色層と第三感熱発色層の二層で構成される。また、カラー発色層4の表側の表側光熱変換層も本実施例では省略され、光熱変換層は、カラー発色層4の裏側の裏側光熱変換層のみが配設される。
【0047】
本実施例は、実施例1と同様に、第二の波長のレーザー光で第二感熱発色層を適度に発熱させれば、感熱発色層間に断熱層が配設されていなくても、第二感熱発色層を単独で発色させることができる。また、実施例1と同様に、第三の波長のレーザー光で表側光熱変換層を発熱させて、第三熱発色層を裏側から加熱すれば、感熱発色層間に断熱層が配設されていなくても、第三感熱発色層を単独で発色させることができる。したがって、本実施例にあっても、感熱発色層の間に断熱層が不要であり、カラー情報記録部2の厚みを抑制できる。また、本実施例にあっても、一方の感熱発色層へ記録した直後に、紫外線等を照射する工程も不要であるため、カラー情報記録部2に顔画像Fを容易に記録できるという利点がある。本実施例のカラー発色層4は、実施例2,3と同様に、異なる色で発色可能な感熱発色層を二層しか備えないため、表示可能な色が制限されるが、第一感熱発色層と第二感熱発色層の発色する色を適宜設定すれば、顔画像Fを違和感のない色再現性で記録できる。
【0048】
上記実施例2~4のように、本発明に係るカラー発色層4は、二層の感熱発色層で構成することも可能である。カラー発色層4を二層の感熱発色層で構成した場合は、実施例1に比べてカラー情報記録部2を薄くでき、製造コストも削減できる。また、カラー情報記録部2への記録に用いるレーザー光も二種類で足りるため、カラー画像の記録に要する時間も低減でき、レーザー光の照射装置も簡易化できる。
【0049】
以上に、本発明の実施例について説明したが、本発明の実施形態は、上記実施例の構成に限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。例えば、上記実施例のレーザー記録媒体は、カードタイプの身分証明書であるが、冊子タイプの身分証明書であってもよい。また、本発明は身分証明書に限られず、カラー画像を記録可能なカラー情報記録部を具備するレーザー記録媒体全般に適用可能である。
【0050】
また、上記実施例のレーザー記録媒体1は、カラー情報記録部2とモノクロ情報記録部3が配設されるが、本発明は、モノクロ情報記録部3を具備せず、全域がカラー情報記録部2からなるものであってもよい。また、モノクロ情報記録部3に、炭化発色層に替えてカラー発色層4を配設して、カラー発色層4に黒色の文字を記録するようにしてもよい。
【0051】
上記実施例のカラー発色層4は、感熱発色層と感熱発色層の間に、断熱層に相当する層が配設されないが、本発明は、従来構成において、感熱発色層間に配設される断熱層を、無くしたり、薄くしたりできるものであり、本発明係るカラー発色層は、感熱発色層間に断熱層が全く配設されていないものに限られず、感熱発色層間に断熱層が配設されるものを含む。なお、「断熱層」は、記録用のレーザー光の照射によって、発熱したり、発色したりせず、感熱発色層間の熱伝導を抑制できる効果を有するものを指す。
【0052】
なお、上記実施例のレーザー記録媒体1では、基材層の表側(本発明の「一面側」に相当)にのみカラー情報記録部2やモノクロ情報記録部3が配設されるが、表側のカラー情報記録部2やモノクロ情報記録部3に加えて、レーザー記録媒体1の裏側(本発明の「他面側」に相当)にも、カラー情報記録部やモノクロ情報記録部を配設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 レーザー記録媒体
2 カラー情報記録部
3 モノクロ情報記録部
4 カラー発色層
F 顔画像
図1
図2
図3
図4