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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142455
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/02 20060101AFI20241003BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241003BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41J17/02
B41J29/00 A
B41J2/325 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054597
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】穀田 博
(72)【発明者】
【氏名】林 昌男
【テーマコード(参考)】
2C061
2C065
2C068
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AS06
2C061CD07
2C061CD12
2C061CD14
2C061CD15
2C065AA01
2C065AB03
2C065DA12
2C068AA02
2C068AA15
2C068GK04
2C068GL03
(57)【要約】
【課題】インクリボンを使用して印字を行うプリンタにおいて、二重印字を発生し難くする。
【解決手段】本発明のある一態様に係るプリンタは、筐体と、筐体に対して開放位置と閉止位置の間で揺動可能な印字ユニットと、筐体に支持され、インクリボンを供給するインクリボン供給軸と、筐体に支持され、インクリボン供給軸によって供給されたインクリボンを巻き取るインクリボン巻取り軸と、印字媒体を搬送する搬送ローラと、筐体に連結された第1歯車と、を備えたプリンタである。印字ユニットは、インクリボンを使用して印字媒体上に情報を印字する印字ヘッドと、インクリボンをインクリボン供給軸からインクリボン巻取り軸に向けて搬送するためのリボンローラと、リボンローラの回転に連動して回転する第2歯車と、を有し、印字ユニットを開放位置から閉止位置に移動する場合に、インクリボンに前記インクリボン巻取り軸に向かう力が作用するように、第1歯車と第2歯車が係合する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に対して開放位置と閉止位置の間で揺動可能な印字ユニットと、
前記筐体に支持され、インクリボンを供給するインクリボン供給軸と、
前記筐体に支持され、前記インクリボン供給軸によって供給されたインクリボンを巻き取るインクリボン巻取り軸と、
印字媒体を搬送する搬送ローラと、
前記筐体に連結された第1歯車と、
を備え、
前記印字ユニットは、
前記インクリボンを使用して前記印字媒体上に情報を印字する印字ヘッドと、
前記インクリボンを前記インクリボン供給軸から前記インクリボン巻取り軸に向けて搬送するためのリボンローラと、
前記リボンローラの回転に連動して回転する第2歯車と、を有し、
前記印字ユニットを前記開放位置から前記閉止位置に移動する場合に、前記インクリボンに前記インクリボン巻取り軸に向かう力が作用するように、前記第1歯車と前記第2歯車が係合する、
プリンタ。
【請求項2】
前記インクリボン供給軸と前記インクリボン巻取り軸には、各軸回りの回転トルクを規制するトルクリミッタが設けられている、
請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記第1歯車は、前記印字ユニットが前記閉止位置にある場合に前記第2歯車と係合しないように構成されている、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記印字ユニットが前記閉止位置にあるか否かを検出可能な第1センサと、
前記印字ヘッドの下流側に配置されて前記印字媒体を検出可能な第2センサと、
前記印字ユニットが前記開放位置から前記閉止位置に移動したことを前記第1センサが検出した場合には、前記搬送ローラを正転駆動させ、前記第2センサが前記印字媒体の先端を検出すると前記搬送ローラを逆転駆動させ、前記印字媒体を印字が可能となる位置にする搬送制御部と、を備えた、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記インクリボン巻取り軸を回転駆動するモータと、
前記印字ユニットが前記閉止位置から前記開放位置に移動する間に前記インクリボンが所定量巻き取られるように、前記モータを制御する巻取り制御部と、をさらに備えた、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記巻取り制御部は、前記印字ユニットが前記閉止位置から前記開放位置に向けて揺動し始めた場合に前記インクリボンが巻き取られるように前記モータを制御する、
請求項5に記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクリボンを使用して用紙に印字を行う種々のプリンタが知られている。
例えば特許文献1には、支持台に対して開閉可能な状態でプリンタの内部に設置された印字部を有し、印字部が閉止状態の場合に、印字部と支持台との間に通紙ルートが形成されたプリンタが記載されている。このプリンタには、ロール状に巻き取られたインクリボンを回転自在の状態で支持するリボン供給部と、印字済みのインクリボンを巻き取り回収するリボン巻き取り部と、を有するインクリボン部が備わっている。リボン供給部とリボン巻き取り部はプリンタの前方側区画壁に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-123624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のプリンタでは、リボン供給部とリボン巻き取り部とが筐体に固定され、かつインクリボンの搬送経路となる印字部が筐体に対して開閉自在であるために、二重印字の問題が生ずることがある。二重印字とは、インクリボンの同一箇所が二度に亘って印字に使用されることであり、二度目の印字では溶融されるべきインクが十分でないことに起因してかすれ等の印字品質の低下が生じる場合がある。この二重印字は、ラベル交換を行う際に、印字部(印字ユニット)を開放位置から閉止位置に移動させる場合に生じ得る。すなわち、印字ユニットを開放位置から閉止位置に移動させる場合にインクリボンがリボン供給部側に巻き戻されることで、その後に印字を行う場合に二重印字が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、インクリボンを使用して印字を行うプリンタにおいて、二重印字を発生し難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、
筐体と、
前記筐体に対して開放位置と閉止位置の間で揺動可能な印字ユニットと、
前記筐体に支持され、インクリボンを供給するインクリボン供給軸と、
前記筐体に支持され、前記インクリボン供給軸によって供給されたインクリボンを巻き取るインクリボン巻取り軸と、
印字媒体を搬送する搬送ローラと、
前記筐体に連結された第1歯車と、を備えたプリンタである。
前記印字ユニットは、
前記インクリボンを使用して前記印字媒体上に情報を印字する印字ヘッドと、
前記インクリボンを前記インクリボン供給軸から前記インクリボン巻取り軸に向けて搬送するためのリボンローラと、
前記リボンローラの回転に連動して回転する第2歯車と、を有し、
前記印字ユニットを前記開放位置から前記閉止位置に移動する場合に、前記インクリボンに前記インクリボン巻取り軸に向かう力が作用するように、前記第1歯車と前記第2歯車が係合する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、インクリボンを使用して印字を行うプリンタにおいて、二重印字を発生し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のプリンタの斜視図である。
図2】内部が見える状態の一実施形態のプリンタの側面図である。
図3】一実施形態のプリンタにおいて、印字ヘッドユニットが開放状態のときの印字部の斜視図である。
図4】参照プリンタの印字ヘッドユニットの開放時と閉止時の各々において、インクリボン(使用開始時点)の状態を説明する図である。
図5】参照プリンタの印字ヘッドユニットの開放時と閉止時の各々において、インクリボン(使用終了時点)の状態を説明する図である。
図6】一実施形態のプリンタにおいてトルク付与部材の周辺を示す斜視図である。
図7図2のプリンタの印字ヘッドユニットの閉止時における概略的な部分断面である。
図8図2のプリンタの印字ヘッドユニットの開放時における概略的な部分断面である。
図9】一実施形態のプリンタの印字ヘッドユニットを開放するときのインクリボン(使用終了時点)の状態を説明する図である。
図10】一実施形態のプリンタにおけるラベル交換前後のインクリボン状態を模式的に一次元で表した図である。
図11】一実施形態のプリンタの機能ブロック図である。
図12】一実施形態のプリンタによる連続紙の搬送動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
【0010】
本発明のある態様の第1の態様は、
筐体と、
前記筐体に対して開放位置と閉止位置の間で揺動可能な印字ユニットと、
前記筐体に支持され、インクリボンを供給するインクリボン供給軸と、
前記筐体に支持され、前記インクリボン供給軸によって供給されたインクリボンを巻き取るインクリボン巻取り軸と、
印字媒体を搬送する搬送ローラと、
前記筐体に連結された第1歯車と、を備え、
前記印字ユニットは、
前記インクリボンを使用して前記印字媒体上に情報を印字する印字ヘッドと、
前記インクリボンを前記インクリボン供給軸から前記インクリボン巻取り軸に向けて搬送するためのリボンローラと、
前記リボンローラの回転に連動して回転する第2歯車と、を有し、
前記印字ユニットを前記開放位置から前記閉止位置に移動する場合に、前記インクリボンに前記インクリボン巻取り軸に向かう力が作用するように、前記第1歯車と前記第2歯車が係合する、プリンタである。
なお、「第1歯車」は、歯車自体であってもよいし歯車の一部であってもよい。
【0011】
本発明のある態様の第1の態様によれば、前記印字ユニットを前記開放位置から前記閉止位置に移動する場合に、前記インクリボンが前記インクリボン供給軸に巻き戻り難くなるため、二重印字を発生し難くすることができる。
【0012】
本発明のある態様の第2の態様は、前記インクリボン供給軸と前記インクリボン巻取り軸には、各軸回りの回転トルクを規制するトルクリミッタが設けられている、前記第1の態様に記載のプリンタである。
【0013】
本発明のある態様の第2の態様によれば、インクリボンを必要以上に強く巻き取ることに伴うリボン皺の発生やリボン断裂が生じないため、印字品質の悪化が避けられる。
【0014】
本発明のある態様の第3の態様は、前記第1歯車が、前記印字ユニットが前記閉止位置にある場合に前記第2歯車と係合しないように構成されている、前記第2の態様に記載のプリンタである。
【0015】
本発明のある態様の第3の態様によれば、閉止位置にある印字ユニットが印字動作を行うときに第1歯車と第2歯車が係合しないため、両者が係合することに伴う不要な負荷が生じない。
【0016】
本発明のある態様の第4の態様は、前記印字ユニットが前記閉止位置にあるか否かを検出可能な第1センサと、
前記印字ヘッドの下流側に配置されて前記印字媒体を検出可能な第2センサと、
前記印字ユニットが前記開放位置から前記閉止位置に移動したことを前記第1センサが検出した場合には、前記搬送ローラを正転駆動させ、前記第2センサが前記印字媒体の先端を検出すると前記搬送ローラを逆転駆動させ、前記印字媒体を印字が可能となる位置にする搬送制御部と、を備えた、前記第1から第3の態様のいずれか一つに記載のプリンタである。
【0017】
本発明のある態様の第4の態様によれば、プリンタ内の印字媒体を交換する際に印字媒体の無駄(印字されない印字媒体が排出されること)が生じなくなる。
【0018】
本発明のある態様の第5の態様は、前記インクリボン巻取り軸を回転駆動するモータと、
前記印字ユニットが前記閉止位置から前記開放位置に移動する間に前記インクリボンが所定量巻き取られるように、前記モータを制御する巻取り制御部と、をさらに備えた、前記第1から第4の態様のいずれか一つに記載のプリンタである。
【0019】
本発明のある態様の第5の態様によれば、モータによりインクリボンがさらに前記インクリボン巻取り軸に巻き取られるため、二重印字をさらに発生し難くすることができる。
【0020】
本発明のある態様の第6の態様は、前記巻取り制御部が、前記印字ユニットが前記閉止位置から前記開放位置に向けて揺動し始めた場合に前記インクリボンが巻き取られるように前記モータを制御する、前記第5の態様に記載のプリンタである。
【0021】
本発明のある態様の第6の態様によれば、モータによりインクリボンを巻き取る際の安全性を高めることができる。
【0022】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。
図1に一実施形態のプリンタ1の外観を示す。以下では、説明の便宜のために、図1に示すように、XYZ座標を定義する。すなわち、+X,-Xはそれぞれプリンタ1の左右方向を示し、+Y,-Yはそれぞれプリンタ1の前後方向を示し、+Z,-Zはそれぞれプリンタ1の上下方向を示す。
プリンタ1の前面のフロントカバー2には、印字したラベルを発行(排出)するための発行口5が設けられている。プリンタ1の片側側面には、オープンカバー6が2箇所のヒンジ7により上下方向に開閉自在の状態で装着されている。
【0023】
図2は、内部が見える状態のプリンタ1の要部の側面図である。
プリンタ1の内部には、後方に配置された用紙供給部10と、前方に配置された印字部11と、上方に配置されたインクリボン部12とが設置されている。
【0024】
用紙供給部10には、ロール紙Rが装填されている。図2に示すように、ロール紙Rは、連続紙CPがロール状に巻回されたものである。連続紙CPは、帯状の台紙PMと、台紙PM上に間隔を空けて剥離可能に取り付けられた複数枚のラベルPLと、を含む。台紙PMにおいてラベルPLの粘着面が接触する面(表面)には、シリコーン等のような剥離剤がコーティングされており、ラベルPLを容易に剥離することが可能になっている。また、台紙PMにおいてラベルPLが貼られていない面(裏面)には、長手方向に沿って予め決められた間隔毎にラベルの位置を示す位置検出マークIMが形成されていてもよい。ラベルPLは、感熱紙を使用する場合と普通紙を使用する場合とがある。感熱紙の場合は、その表面に、予め決められた温度領域に達すると特定の色(黒や赤等)に発色する感熱発色層が形成されている。図示しないが、用紙供給部10には、印字面の裏側に粘着剤が塗布された粘着面が形成された台紙無しラベルをロール状に巻回されたロール紙を装填することもできる。
【0025】
用紙供給部10は、支持軸10aとロールガイド10bを備え、ロール紙Rを保持するとともにロール紙Rから繰り出される連続紙CPを印字部11に供給する。支持軸10aは、ロール紙Rを回転自在の状態で支持する。ロールガイド10bは、ロール紙Rの幅に応じて位置を変えられるように支持軸10aの軸方向に沿って移動自在の状態で設置されている。
【0026】
印字部11は、印字ヘッドユニット13(印字ユニットの一例)と、印字ヘッドユニット13の下方に配置された支持台14と、ダンパ15とを備え、連続紙CPのラベルPLに印字を行う。
印字ヘッドユニット13は、後述するように開閉自在の状態でプリンタ1の内部に設置されている。印字ヘッドユニット13が閉止状態の場合に、印字ヘッドユニット13と支持台14との間に通紙ルートが形成される。通紙ルートは、発行口5(図1参照)に繋がっている。
支持台14には、印字ヘッドユニット13の閉止状態を維持するヘッドロックレバー16が設置されている。ヘッドロックレバー16を操作すると印字ヘッドユニット13の閉止状態が解除され、印字ヘッドユニット13の前方部が持ち上がり、印字ヘッドユニット13が開く(プラテンローラ23に対して離間する)ようになっている。
ダンパ15は、連続紙CPに張力を付与可能なように揺動自在の状態で設置されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、連続紙CPは、ダンパ15からラベル支持機構部70を通って搬送され、印字後に発行口5(図1)から排出される。ラベル支持機構部70は、連続紙CPの搬送経路において、サーマルヘッド18(印字ヘッドの一例)及びプラテンローラ23(搬送ローラの一例)よりも上流側に設置されている。
ラベル支持機構部70には、ラベル位置検出センサ74が内蔵されている。ラベル位置検出センサ74は、連続紙CPの搬送経路の上側及び下側の一方に配置される発光素子と、搬送経路の上側及び下側の他方に配置される受光素子と、を有する。ラベル位置検出センサ74(第2センサの一例)は、サーマルヘッド18の上流側に配置されてラベルPLを検出可能である。ラベル位置検出センサ74は、発光素子から出射した光を受光素子で受光する際に、ラベルPLと台紙PMを透過した光と、台紙PMのみを透過した光とで受光強度に差があることに基づき、連続紙CPの搬送方向における各ラベルPLの端部を検出する。ラベル位置検出センサ74の検出結果(出力信号)は、連続紙CPの搬送制御に利用される。
【0028】
インクリボン部12は、リボン供給部12a(インクリボン供給軸の一例)とリボン巻き取り部12b(インクリボン巻取り軸の一例)とを備え、印字用インクを塗布したインクリボンRBを供給し、巻き取る。リボン供給部12aは、ロール状に巻き取られたインクリボンRBを回転自在の状態で支持する。リボン巻き取り部12bは、印字済みのインクリボンRBを巻き取り回収する。インクリボンRBを使用する場合は、リボン供給部12aから引き出されたインクリボンRBを印字ヘッドユニット13の下に通してリボン巻き取り部12bで巻き取る。
リボン供給部12a及びリボン巻き取り部12bは、プリンタ1の筐体の内壁102に連結されている(取り付けられている)。
【0029】
一実施形態では、リボン供給部12aとリボン巻き取り部12bの各軸には、各軸回りの回転トルクを規制するトルクリミッタが設けられる。トルクリミッタを設けることで、インクリボンRBを必要以上に強く巻き取ることに伴うリボン皺の発生やリボン断裂が生じないため、印字品質の悪化が避けられる。
なお、トルクリミッタの具体的な構成例については、例えばワンウェイクラッチを使用することが可能であり、特開2007-230028号公報などを参照されたい。
【0030】
このようなプリンタ1においては、用紙供給部10にあるロール紙Rから繰り出された連続紙CPは、ダンパ15を介して印字ヘッドユニット13と支持台14との間の通紙ルートに搬送され、その途中において連続紙CPのラベルPLに印字処理がなされる。印字処理の後、連続紙CPは、発行口5からプリンタ1の外部に排出されるようになっている。
図2に示すように、プリンタ1の発行口5付近にはラベル有無検出センサ64が設置されている。ラベル有無検出センサ64は、サーマルヘッド18の下流側に配置され、発行口5から発行(排出)されたラベルPLを検出可能である。ラベル有無検出センサ64は、光反射型のセンサであるが、光透過型センサとして構成することもできる。ラベル有無検出センサ64の検出結果(出力信号)は、連続紙CPの搬送制御に利用される。
【0031】
次に、上記した印字部11の構成について図3を参照して説明する。
図3は、印字ヘッドユニット13が開放状態のときの印字部11の斜視図である。
【0032】
図3に示すように、印字ヘッドユニット13が後方に設けられる揺動軸S1を中心にX軸回りに揺動(すなわち、開閉)自在となるように、揺動軸S1がプリンタ1のメインフレーム(図示せず)に支持されている。
【0033】
印字ヘッドユニット13の下面(通紙ルートを向く面)には、サーマルヘッド18が発熱部18Lを通紙ルートに向けた状態で設置されている。サーマルヘッド18の発熱部18Lは、サーマルヘッド18の基板に対して所定量(例えば数10μm)突出したグレーズ層によって構成され、通電により発熱する複数の発熱抵抗体(発熱素子)を含み、連続紙CPのラベルPLに印字を行う。この複数の発熱抵抗体は、連続紙CPの幅方向(連続紙CPの搬送方向に対し直交する方向)に沿って並んで配置されている。
【0034】
印字ヘッドユニット13の前方側の下面にはサーマルヘッド18を挟むように一対の係合爪19が設けられている。印字ヘッドユニット13において係合爪19の後方には、印字ヘッドユニット13の両側面から外方に突出するピン20が設けられている。
【0035】
印字ヘッドユニット13は、揺動軸S1に装着された捩りばね(図示せず)により開方向に付勢されているが、印字ヘッドユニット13の下部の一対のピン20に、支持台14の一対のロック爪22がそれぞれ引っ掛かることにより閉止状態が維持されている。ロック爪22は、ヘッドロックレバー16を後方に操作すると、それに連動して後方に移動し、ピン20から外れるようになっている。ロック爪22がピン20から外れると、図3に示すように、印字ヘッドユニット13は、捩りばねの付勢力により自動的に開くようになっている。
【0036】
印字ヘッドユニット13の閉止状態時には、印字ヘッドユニット13の一対の係合爪19(図3参照)がプラテンローラ23の回転軸の両端部に嵌められるようになっている。
【0037】
プラテンローラ23は、用紙供給部10から繰り出された連続紙CPを通紙ルートに沿って発行口5(図1参照)へ搬送する。プラテンローラ23は、正逆方向に回転可能な状態で支持台14の上部に設置され、印字時にはサーマルヘッド18とともに連続紙CPを挟持しながら回転する。プラテンローラ23の回転軸の軸方向一端には、平歯車G1が接続されている。この平歯車G1は、モータ(図示せず)の回転軸に係合されている。
連続紙CPが普通紙である場合、プラテンローラ23は、印字時にはサーマルヘッド18とともに連続紙CPとインクリボンRBを挟持しながら回転する。この場合、インクリボンRBは、リボン供給部12aから、印字ヘッドユニット13に設けられているリボンローラ121,122(図3参照)を介して搬送されて、リボン巻き取り部12bに巻き取られる。
【0038】
再度図2を参照すると、プリンタ1の筐体にはトルク付与部材65が連結されている。また、図3に示すように、印字ヘッドユニット13には、リボンローラ122の回転に連動して回転する平歯車Gr(第2歯車の一例)が設けられている。図2では見えないが、トルク付与部材65には、印字ヘッドユニット13が開放位置から閉止位置に移動する場合に平歯車Grと噛み合う(係合する)内歯車の一部が形成されており、リボンローラ122を図2の時計方向(インクリボンRBがリボン巻き取り部12bに巻き取られる方向)に回転させるトルクを付与する。
【0039】
トルク付与部材65及び平歯車Grついてさらに詳しく説明する前に、仮に、プリンタ1に対してトルク付与部材65及び平歯車Grがないとした場合のプリンタ(以下、「比較用プリンタ」という。)について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、比較用プリンタの印字ヘッドユニット13の開放時と閉止時の各々において、インクリボンRB(使用開始時点)の状態を説明する図である。図5は、比較用プリンタの印字ヘッドユニット13の開放時と閉止時の各々において、インクリボンRB(使用終了時点)の状態を説明する図である。図4及び図5の各図では、各部の輪郭を概略的に示した側面図となっている。
【0040】
インクリボンRBのリボン供給部12a及びリボン巻き取り部12bの各軸回りのインクリボンの径は、インクリボンの使用状態に応じて変動する。すなわち、図4に示すようにインクリボンの使用開始時点においてはリボン供給部12aの軸回りのインクリボンRBの径が最大であり、かつリボン巻き取り部12bの軸回りのインクリボンRBの径が小さい。その後、インクリボンRBの使用に応じて各軸回りの径が変動していく。図5に示すようにインクリボンRBの使用終了時点では、リボン供給部12aの軸回りのインクリボンRBの径が小さく、かつリボン巻き取り部12bの軸回りのインクリボンRBの径が最大となる。
【0041】
リボン供給部12aから供給されてリボン巻き取り部12bに巻き取られるまでのインクリボン(帯状に露出したインクリボン)の全長は、インクリボンの使用状態に関わらず、印字ヘッドユニット13が閉止時より開放時の方が短い。そのため、印字ヘッドユニット13を開放位置から閉止位置まで移動させる際には、リボン供給部12a及びリボン巻き取り部12bにおいて抗力(インクリボンの張力に対して抗する力)が発生する。図4及び図5において、リボン供給部12aで発生する抗力の最大値を抗力F2とし、リボン巻き取り部12bで発生する抗力の最大値を抗力F1とする。リボン供給部12a及びリボン巻き取り部12bで発生する抗力の最大値は、各部に設定されるトルクリミッタの設定値によって決定される。
ここで、リボン供給部12a及びリボン巻き取り部12bに設定されるトルクリミッタの設定値次第では、特にインクリボンの使用後期においてF2>F1の関係になるため、印字ヘッドユニット13を閉じたときにインクリボンRBがリボン供給部12aに巻き戻される。
例えば、リボン供給部12aに巻かれているインクリボンの半径をraとし、リボン供給部12aの軸回りのトルクリミッタの設定値をTaとする。リボン巻き取り部12bに巻かれているインクリボンの半径をrbとし、リボン巻き取り部12bの軸回りのトルクリミッタの設定値をTbとする。この場合、抗力F1=Tb/rbであり、抗力F2=Ta/raである。インクリボンの使用後期ではrb>raとなっているため、設定値Ta,Tb次第ではF2>F1が成立し易くなっている。逆に、インクリボンの使用初期ではrb<raとなっているため、F2>F1が成立し難い。
【0042】
インクリボンRBの巻き戻しは、例えば、利用者が印字ヘッドユニット13を開放状態にする必要があるラベル交換時に発生する。ラベル交換とは、連続紙CP上のラベルを使い切ったために、あるいはラベルの種類を変更するために、プリンタ1内のラベルを交換することである。ラベル交換において利用者は、先ず印字ヘッドユニット13を開放状態にし、次いで、新たに収容したロール紙Rから連続紙CPの先頭を引き出して、サーマルヘッド18とプラテンローラ23の間にラベルをセットする。
ラベル交換において印字ヘッドユニット13を開放位置から閉止位置まで移動させる際にインクリボンRBがリボン供給部12aに巻き戻されると、その後にインクリボンRBを使用して印字する場合に、巻き戻されたインクリボンRBの部分は二重印字となり印字品質が低下する虞がある。
【0043】
図4及び図5を参照して説明した比較用プリンタとは異なり、プリンタ1では、リボンローラ122の回転に連動して回転する平歯車Grが設けられ、筐体にトルク付与部材65が連結されているため、比較用プリンタよりも二重印字を抑制することができる。以下、この点について、図6図9を参照して説明する。
図6は、プリンタ1においてトルク付与部材65の周辺を示す斜視図である。図7は、図2のプリンタ1の印字ヘッドユニット13の閉止時における概略的な部分断面である。図8は、図2のプリンタ1の印字ヘッドユニット13の開放時における概略的な部分断面である。
【0044】
図6では、印字ヘッドユニット13が閉止時である場合、及び移動(揺動)中である場合において、トルク付与部材65が示される。図7に示すように、トルク付与部材65には2箇所の取付孔651が形成され、取付孔651を介してねじ(図示せず)によりプリンタ1の筐体の内壁102において印字ヘッドユニット13よりも上方の位置に取り付けられる。また、トルク付与部材65は、平歯車Grと噛み合うための歯形が成形された内歯車の一部65g(以下、「内歯車部65g」と表記する。)を有する。図6に示すように、内歯車部65g(第1歯車の一例)は、カバー652で覆われており、オープンカバー6を開放した状態でも、利用者に見えず、また触れることがないように構成されている。
前述したように、平歯車G1は、プラテンローラ23の回転軸の軸方向一端に接続された平歯車である。図3では見えないが、図7及び図8に示すように、印字ヘッドユニット13は、平歯車G2,G3を有する。平歯車G2と平歯車G3が噛み合っており、平歯車G3と平歯車Grが噛み合っている。印字ヘッドユニット13が開放位置にあるときには、平歯車G2が平歯車G1と噛み合うように構成される。
なお、図7及び図8に示す構造は一例に過ぎず、平歯車G2,G3を設けなくてもよい。
【0045】
印字ヘッドユニット13の支持板17には、突起171が形成されている。また、プリンタ1の筐体には凹部60Aが形成されており、この凹部60A内にユニット開閉センサ60(第1センサの一例)が設置されている。図7及び図8に示すように、印字ヘッドユニット13が閉止位置にある場合に支持板17の突起171が凹部60Aに入り込むように、凹部60Aの位置が設定されている。凹部60A内のユニット開閉センサ60は、発光素子と受光素子を含む光反射型センサであり、凹部60A内に突起171があるか否かに応じて受光素子で受光する反射光の光強度に差が生ずることに基づき、印字ヘッドユニット13の位置(開放位置又は閉止位置)を検出する。
【0046】
印字ヘッドユニット13が開放位置(図8)からに閉止位置(図7)移動する間に、平歯車Grが内歯車部65gと噛み合うことで、平歯車Grが図7及び図8の時計回りに回転し、平歯車Grに連動してリボンローラ122(図3参照)を時計回りに回転させるトルクを生じさせる。このときのインクリボンRBに働く力を図9に示す。
図9は、実施形態のプリンタ1において、比較用プリンタに対する図5と同様の図である。図9に示すように、印字ヘッドユニット13を開放位置から閉止位置まで移動させる際に、リボン供給部12aで抗力F2が発生し、リボン巻き取り部12bで抗力F1が発生する点は比較用プリンタ(図5)と同じである。プリンタ1が比較用プリンタと異なるのは、リボンローラ122を時計回りに回転させるトルクにより、インクリボンRBを巻き取る方向にインクリボンRBに対して力F3が働く点である。この力F3は、印字ヘッドユニット13を開放位置から閉止位置まで移動させる際に、リボン巻き取り部12bに向かう方向にインクリボンRBに作用する。言い換えれば、力F3は、インクリボンRBがリボン供給部12aに巻き戻されることを抑制するように作用する。
【0047】
インクリボンRBに付与する力F3の大きさは、インクリボンRBがリボンローラ122に対して滑りがあるか否かによって影響を受ける。リボンローラ122に対して静摩擦係数が高い材質のインクリボンを選択することで、F1+F3>F2とすることもできる。この関係が成立する場合には、印字ヘッドユニット13を閉止位置まで移動させる際に、インクリボンRBのリボン供給部12a側への巻き戻しが生じないようになる。
【0048】
なお、印字ヘッドユニット13を閉止位置から開放位置まで移動させる際には、インクリボンRBが弛んでいるため、内歯車部65gと平歯車Grの噛み合いによりリボンローラ122が回転することでインクリボンRBの巻き取りに作用することはない。
【0049】
図7に示すように、トルク付与部材65の内歯車部65gは、印字ヘッドユニット13が閉止位置にある場合に平歯車Grと噛み合わない(係合しない)ように構成されている。この場合、閉止位置にある印字ヘッドユニット13が印字動作を行うときに内歯車部65gと平歯車Grが係合しないため、両者が係合することに伴う不要な負荷が生じない。
【0050】
以上説明したように、上述したプリンタ1は、筐体に連結されるトルク付与部材65と、リボンローラ122の回転に連動して回転する平歯車Grと、を有する。ラベル交換の際に印字ヘッドユニット13が開放位置から閉止位置に移動させる場合、トルク付与部材65の内歯車部65gと平歯車Grとが噛み合い(係合し)、インクリボンRBがリボン巻き取り部12bに巻き取られる方向にリボンローラ122を回転させるトルクを生じさせる。そのため、印字ヘッドユニット13の閉止動作によるインクリボンの巻き戻しが抑制され、ラベル交換後に印字動作を行うときに二重印字を発生し難くすることができる。
【0051】
一実施形態では、印字ヘッドユニット13が閉止位置から開放位置に移動する間にモータにより予めインクリボンRBが所定量巻き取られるように制御してもよい。予めインクリボンを所定量巻き取ることで、その後に印字ヘッドユニット13を開放位置から閉止位置に移動させたときにインクリボンが巻き戻されたとしても、事前の巻取りによって二重印字が発生しないようにすることができる。
【0052】
ラベル交換時において予めインクリボンを所定量巻き取る制御について、図10を参照して説明する。図10は、ラベル交換前後のインクリボンRBの状態を模式的に一次元で表した図である。
図10において、左側がリボン供給部12aの側であり、右側がリボン供給部12aの側である。
状態ST1は、ラベル交換前の状態を表している。状態ST1において、インクリボンRBの使用済み部分と未使用部分の境界位置PPは、ラベル交換前においてプラテンローラ23とサーマルヘッド18により挟持されている位置である。
【0053】
次いで、利用者がラベル交換を行うために印字ヘッドユニット13を開放位置にするタイミングで、予め、所定の巻取り量L1のインクリボンRBを巻き取るように制御が行われる(状態ST2)。印字ヘッドユニット13が閉止位置のときには、図4及び図5に示したように帯状に露出したインクリボンの全長が開放位置のときよりも長い。そのため、印字ヘッドユニット13を開放させた直後は、インクリボンRBが弛んでおり、モータ9の出力が大きくなくて済む。
その後、利用者が新たに収容したロール紙Rから連続紙CPの先頭を引き出して、サーマルヘッド18とプラテンローラ23の間にラベルをセットし(状態ST3)、印字ヘッドユニット13を閉止位置にする(状態ST4)。すると、図9に示した力F1~F3に応じて定まる巻き戻し量で、インクリボンRBがリボン供給部12a側に巻き戻される。この巻き戻し量は、前述したように、平歯車Grと内歯車部65gが係合することで比較用プリンタに対して大きく抑制される。
【0054】
状態ST4における巻き戻し量をL2とすると、L1-L2>αとなるように巻取り量L1を設定することで二重印字を生じないようにすることができる。ここで、αは、ラベルセットのために境界位置PPから突出させることが必要な量である。
【0055】
なお、前述したように、印字ヘッドユニット13を開放させた直後は、インクリボンRBが弛んでいるためにモータ9の出力が大きくなくて済むが、その後にある時点からリボン供給部12aの軸トルクに抗して巻き取ることになり、必要な出力が大きくなる。また、リボン巻き取り部12bのトルクリミッタが設定されている場合には、モータ9の出力を必要以上に大きくしても十分にインクリボンRBを巻き取ることができない。したがって、設定可能な巻取り量L1はある程度制限される。
【0056】
以下、モータにより予めインクリボンRBを巻き取るように制御する実施形態についてさらに説明する。
図11に、印字ヘッドユニット13が閉止位置から開放位置に移動する間にモータにより予めインクリボンを巻き取るように構成した場合のプリンタ1のブロック図を示す。
図11に示すように、プリンタ1の制御部8は、CPU81、ROM82、RAM83、入力インタフェース(I/F)84、表示制御部85、モータコントローラ86、ヘッドコントローラ87、センサインタフェース(I/F)88、及び、通信バス89を備える。
CPU81は、ROM82に格納されているファームウェアをRAM83にロードして実行し、プリンタ1の各種の機能を実現する。入力インタフェース84は、入力ボタン3(図1参照)に対する操作入力を受け付け、CPU81に送信するインタフェースである。表示制御部85は、CPU81から受信する表示データを基に表示パネル4(図1参照)に画像を表示させる。
モータコントローラ86は、ファームウェアから送られる制御信号に基づいてモータ9を駆動する駆動回路を含む。制御信号には、例えば連続紙CPの搬送量に関する情報が含まれる。
ヘッドコントローラ87は、イメージバッファを含み、ファームウェアから送られる制御信号(例えばストローブ信号等)を基に、印字データに応じてサーマルヘッド18の発熱部18Lに含まれる複数の発熱素子に選択的に電流が流れるように制御する。
センサインタフェース88は、ラベル位置検出センサ74、ラベル有無検出センサ64、及び、ユニット開閉センサ60の各センサの検出値を受信し、デジタル値に変換してCPU81に送信する。
【0057】
図11に示す実施形態では、プラテンローラ23の軸とリボン巻き取り部12bの軸が共通のモータ9に接続されている場合を示しているが、その限りではない。プラテンローラ23とリボン巻き取り部12bをそれぞれ別々のモータで駆動制御してもよい。
なお、図7に示すように、印字の際にプラテンローラ23がモータ9によって回転駆動されると、平歯車G1~G3,Grが噛み合って回転することで、平歯車Grに連動してリボンローラ122が回転する。図7において、プラテンローラ23が順方向回転すると平歯車G1が反時計回りに回転し、平歯車Grが時計回りに回転するため、平歯車Grに連動してインクリボンが巻き取られる方向にリボンローラ122が回転する。
【0058】
図11に示す構成において、制御部8(巻取り制御部の一例)は、ユニット開閉センサ60の出力信号を基に印字ヘッドユニット13が閉止位置から移動したことを検出すると、所定の巻取り量L1のインクリボンが巻き取られるようにモータコントローラ86を制御してモータ9を動作させる。
【0059】
ユニット開閉センサ60は、印字ヘッドユニット13が閉止位置から移動直後(すなわち、図7において支持板17の突起171が凹部60Aから離脱した直後)に出力信号を切り替えるが、モータ9を動作させるタイミングは任意に設定できる。モータ9を動作させるタイミングは、印字ヘッドユニット13が閉止位置から開放位置に向けて移動(揺動)し始めたタイミングでもよいし、閉止位置から開放位置に達するまでの間の任意のタイミングでもよい。
なお、図11に示す構成では、プラテンローラ23とリボン巻き取り部12bとで共通のモータ9に接続されているため、インクリボンの巻取りのためにリボン巻き取り部12bの軸をモータ9により回転させるとプラテンローラ23も回転する。そのため、印字ヘッドユニット13が十分に開いた状態でモータ9を動作させると利用者の手などがプラテンローラ23に触れる可能性がある。そこで、安全性の観点からモータ9を動作させるタイミングは、印字ヘッドユニット13が閉止位置から開放位置に向けて移動(揺動)し始めたタイミングであることが好ましい。
【0060】
印字ヘッドユニット13が閉止位置から開放位置に移動する間に予めインクリボンRBを巻き取る場合の巻取り量L1(図10参照)は、様々な観点から設定することができる。
例えば、新たに収容したロール紙Rの先頭のラベルから無駄無く印字を行う搬送制御(以下、「用紙無駄無し搬送制御」という。)を行う場合には、逆搬送(バックフィード)を伴うためにインクリボンRBの巻取り量L1を大きく設定する必要がある。
以下、用紙無駄無し搬送制御について、図12を参照して説明する。図12は、連続紙CPの状態ST11~ST13の順に、連続紙CPの先頭部分と各センサの検出位置の位置関係を示している。
【0061】
ラベル交換では、利用者は印字ヘッドユニット13を開け、ロール紙Rから連続紙CPの先頭部分を引き出し、状態ST11に示すように、印字開始位置(プラテンローラ23とサーマルヘッド18の挟持点)よりも少し下流側に当該先端部分をセットして、印字ヘッドユニット13を閉じる。
ユニット開閉センサ60の出力信号により印字ヘッドユニット13が閉止位置であることを検出すると、制御部8は、モータ9を制御してプラテンローラ23の回転(順方向回転)を開始する。すると、連続紙CPは、サーマルヘッド18とプラテンローラ23の間で挟持された状態で、ラベル有無検出センサ64の方向に搬送されていく。
【0062】
次いで、ラベル有無検出センサ64が連続紙CPの先端Tcpを検出すると(図11の状態ST12)、制御部8は、プラテンローラ23を逆回転させて連続紙CPを上流側に逆搬送することにより、連続紙CPを印字開始位置にセットする(図12の状態ST13)。
【0063】
すなわち、制御部8(搬送制御部の一例)は、印字ヘッドユニット13が開放位置から閉止位置に移動したことをユニット開閉センサ60が検出した場合には、プラテンローラ23を正転駆動させ、ラベル有無検出センサ64が連続紙CPの先端Tcpを検出するとプラテンローラ23を逆転駆動させ、ラベルPLを印字が可能となる位置にする。それによって、新たなロール紙Rの1枚目のラベルPLから印字を行うことが可能となり、1枚のラベルPLも無駄にすることがない。
上述したように、用紙無駄無し搬送制御を適用した場合、ラベル交換を行う際に、連続紙CPの逆搬送が行われる。そのため、確実にインクリボンRBの二重印字が生じないようにするためには、用紙無駄無し搬送制御を適用しない場合と比較して、印字ヘッドユニット13が閉止位置から開放位置に移動する間に予めインクリボンRBを巻き取る場合の巻取り量L1を逆搬送量だけ大きく設定する。それによって、用紙無駄無し機能と二重印字防止の両立が図られる。
【0064】
以上、本発明のプリンタの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。図6図8では、内歯車の一部である内歯車部65gが平歯車Grと噛み合う場合について説明したが、その限りではなく、平歯車Grと噛み合う内歯車(一部でない)を配置してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…プリンタ
2…フロントカバー
3…入力ボタン
4…表示パネル
5…発行口
6…オープンカバー
7…ヒンジ
8…制御部
81…CPU、82…ROM、83…RAM、84…入力インタフェース、85…表示制御部、86…モータコントローラ、87…ヘッドコントローラ、88…センサインタフェース
9…モータ
10…用紙供給部
10a…支持軸、10b…ロールガイド
11…印字部
12…インクリボン部
12a…リボン供給部、12b…リボン巻き取り部、121,122…リボンローラ
13…印字ヘッドユニット
14…支持台
15…ダンパ
16…ヘッドロックレバー
17…支持板
171…突起
18…サーマルヘッド、18L…発熱部
19…係合爪
20…ピン
22…ロック爪
23…プラテンローラ
39…ヘッドカバー
42…操作部
60…ユニット開閉センサ、60A…凹部
64…ラベル有無検出センサ
65…トルク付与部材
651…取付孔、652…カバー、65g…内歯車部
70…ラベル支持機構部
74…ラベル位置検出センサ
102…内壁
CP…連続紙、PM…台紙、PL…ラベル、IM…位置検出マーク、RB…インクリボン、R…ロール紙
G1,G2,G3,Gr…平歯車
S1…揺動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12