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特開2024-142459モータードライバー及びモーター制御システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142459
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】モータードライバー及びモーター制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20241003BHJP
【FI】
H02P29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054601
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】安達 和広
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA22
5H501HB16
5H501JJ26
5H501JJ30
5H501LL07
5H501LL22
5H501LL37
(57)【要約】
【課題】送信信号を伝送するための新たなインターフェースを設けることなく送信信号をコントローラーへ送信できるモータードライバー等を提供すること。
【解決手段】モータードライバー300は、コントローラー200からの制御信号MCNTに基づいてモーター10を駆動する駆動回路320と、情報重畳回路330とを含む。情報重畳回路330には、モーター10の速度を検出するエンコーダー100からの速度検出信号ENCQが入力される。情報重畳回路330は、コントローラー200への送信情報の送信信号TSを速度検出信号ENCQに重畳し、重畳後の速度検出信号である重畳信号ENTSをコントローラー200へ送信する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラーからの制御信号に基づいてモーターを駆動する駆動回路と、
前記モーターの速度を検出するエンコーダーからの速度検出信号が入力され、前記コントローラーへの送信情報の送信信号を前記速度検出信号に重畳し、重畳後の前記速度検出信号である重畳信号を前記コントローラーへ送信する情報重畳回路と、
を含むことを特徴とするモータードライバー。
【請求項2】
請求項1に記載されたモータードライバーにおいて、
前記情報重畳回路は、
前記速度検出信号のパルス幅よりも短いパルス幅の前記送信信号を、前記速度検出信号に重畳することを特徴とするモータードライバー。
【請求項3】
請求項1に記載されたモータードライバーにおいて、
前記情報重畳回路は、
前記速度検出信号のローレベル区間に、ハイレベルのパルス信号を前記送信信号として重畳することを特徴とするモータードライバー。
【請求項4】
請求項1に記載されたモータードライバーにおいて、
前記情報重畳回路は、
前記速度検出信号のハイレベル区間に、ローレベルのパルス信号を前記送信信号として重畳することを特徴とするモータードライバー。
【請求項5】
請求項1に記載されたモータードライバーにおいて、
前記情報重畳回路は、
第1速度検出信号、及び前記第1速度検出信号とは位相が異なる第2速度検出信号が前記エンコーダーから入力され、前記第1速度検出信号及び前記第2速度検出信号に前記送信信号を重畳し、重畳後の前記第1速度検出信号である第1重畳信号及び重畳後の前記第2速度検出信号である第2重畳信号を前記コントローラーへ送信することを特徴とするモータードライバー。
【請求項6】
請求項5に記載されたモータードライバーにおいて、
前記情報重畳回路は、
前記第1速度検出信号に、前記送信信号のデータ信号を重畳し、
前記第2速度検出信号に、前記送信信号のクロック信号を重畳することを特徴とするモータードライバー。
【請求項7】
請求項1に記載されたモータードライバーにおいて、
前記速度検出信号から、前記モーターの駆動により発生するノイズを除去するノイズ除去回路を含み、
前記情報重畳回路は、
前記ノイズが除去された後の前記速度検出信号に前記送信信号を重畳することを特徴とするモータードライバー。
【請求項8】
請求項7に記載されたモータードライバーにおいて、
前記駆動回路は、
前記制御信号に基づく駆動信号を前記モーターへ出力し、
前記ノイズ除去回路は、
前記駆動信号のエッジタイミングにより規定される期間において前記速度検出信号から前記ノイズを除去することを特徴とするモータードライバー。
【請求項9】
コントローラーからの制御信号に基づいてモーターを駆動する駆動回路と、
前記モーターの速度を検出するエンコーダーからの第1速度検出信号、及び前記第1速度検出信号とは位相が異なる第2速度検出信号が入力され、前記コントローラーへの送信情報に応じて、前記第1速度検出信号及び前記第2速度検出信号のいずれかの信号を固定論理レベルに設定する情報重畳回路と、
を含むことを特徴とするモータードライバー。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載されたモータードライバーと、
前記コントローラーと、
を含むことを特徴とするモーター制御システム。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載されたモータードライバーと、
前記コントローラーと、
を含み、
前記コントローラーは、
前記重畳信号に対してローパスフィルター処理を行うことで、前記速度検出信号を抽出するフィルター回路を含むことを特徴とするモーター制御システム。
【請求項12】
請求項11に記載されたモーター制御システムにおいて、
前記コントローラーは、
前記重畳信号と前記フィルター回路が抽出した前記速度検出信号とに基づいて、前記送信信号を抽出する抽出回路を含むことを特徴とするモーター制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータードライバー及びモーター制御システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、縦搬送モーターの回転数に応じた周波数を有するエンコーダー信号がエンコーダーにより発生され、センサーの論理状態に基づいてエンコーダー信号のデューティー比が変調され、変調後のエンコーダー信号が出力され、そのエンコーダー信号が復調されることにより、センサーの論理状態が取得される手法が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-244793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、エンコーダー信号を搬送波として、デューティー比の変調によりセンサーの論理状態を伝送する手法が開示されているが、モータードライバーからコントローラーへの送信信号をエンコーダーの速度検出信号に重畳することで送信信号を伝送する技術は開示も示唆もされていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、コントローラーからの制御信号に基づいてモーターを駆動する駆動回路と、前記モーターの速度を検出するエンコーダーからの速度検出信号が入力され、前記コントローラーへの送信情報の送信信号を前記速度検出信号に重畳し、重畳後の前記速度検出信号である重畳信号を前記コントローラーへ送信する情報重畳回路と、を含むモータードライバーに関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、コントローラーからの制御信号に基づいてモーターを駆動する駆動回路と、前記モーターの速度を検出するエンコーダーからの第1速度検出信号、及び前記第1速度検出信号とは位相が異なる第2速度検出信号が入力され、前記コントローラーへの送信情報に応じて、前記第1速度検出信号及び前記第2速度検出信号のいずれかの信号を固定論理レベルに設定する情報重畳回路と、を含むモータードライバーに関係する。
【0007】
また本開示の更に他の態様は、上記のいずれかのモータードライバーと、前記コントローラーと、を含むモーター制御システムに関係する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態を用いない場合のモーター制御システムの構成例
図2】ロボットシステムの構成例
図3】モーター制御システムの第1構成例
図4】速度検出信号、送信信号及び重畳信号の波形例
図5】モータードライバーの第1詳細構成例
図6】送信信号生成回路の詳細構成例
図7】タイミング生成回路の詳細構成例
図8】排他的論理和回路と論理積回路と遅延回路の動作を説明する信号波形例
図9】パターン生成回路の詳細構成例
図10】パターンジェネレーター及びパターン生成回路の動作を説明する信号波形例
図11】情報重畳回路の詳細構成例
図12】情報重畳回路の動作を説明する信号波形例
図13】コントローラーの第1構成例
図14】コントローラーの動作を説明する信号波形例
図15】コントローラーの第2構成例
図16】モータードライバーの第2詳細構成例
図17】モータードライバーの第2詳細構成例の動作を説明する信号波形例
図18】モータードライバーの第3詳細構成例
図19】モータードライバーの第3詳細構成例の動作を説明する信号波形例
図20】モーター制御システムの第2構成例
図21】モーター制御システムの第2構成例の動作を説明する信号波形例
図22】モーター制御システムの第3構成例の動作を説明する信号波形例
図23】モーター制御システムの第3構成例の動作を説明する信号波形例
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.モーター制御システム
図1は、本実施形態を用いない場合のモーター制御システムの構成例である。モーター制御システム5は、コントローラー201と駆動部401とを含む。駆動部401は、モータードライバー301とモーター11とセンサー21とエンコーダー101とを含む。
【0011】
センサー21は、モーター11の回転等を検出する。エンコーダー101は、センサー21からの検出信号SENQ1を受けて、モーター11の回転速度を示す速度検出信号ENCQ1を出力する。コントローラー201は、センス抵抗によるモーター駆動電流の検出結果ISEN1と速度検出信号ENCQに基づいてモータードライバー301に制御信号MCNT1を出力する。モータードライバー301は、制御信号MCNT1に基づいてモーター11に駆動信号SDRV1を出力する。
【0012】
モータードライバー301は、送信信号TS1をコントローラー201へ送信することで、コントローラー201への情報伝達を行う。送信信号TS1に含まれる情報は、一例として、モーター又はモータードライバーの温度を検出した結果、駆動電流の異常を検出した結果、ウォッチドッグタイマー等による動作異常検出の結果、或いはモータードライバーの自己診断結果である。
【0013】
図2は、モーター制御システムを適用可能なロボットシステムの構成例である。ロボットシステム2は、ロボット500とコントローラー200とケーブル250とを含む。なお、モーター制御システムの適用対象はロボットシステムに限らず、印刷装置等の、モーターを用いて機械的動作を制御するシステムであればよい。図2には、コントローラー200が、筐体に収容された1つの装置である例を示すが、コントローラー200は、互いに通信接続された複数の装置又はクラウドシステムであってもよい。
【0014】
ロボット500は、ベースとアームの間又はアームとアームの間を接続する関節510と、コントローラー200との通信を行う通信回路550とを含む。図2には1腕型のロボットの例を示すが2腕型のロボットであってもよい。また関節数は1以上であればよい。関節510の各々には駆動部400が設けられ、駆動部400のモーターが関節を回転させることでアームが動作する。
【0015】
図1のモーター制御システム5を図2のロボットシステム2に適用した場合、図1のコントローラー201と駆動部401は、それぞれ、図2のコントローラー200と駆動部400に適用される。このとき、制御信号MCNT1、モーター駆動電流の検出結果ISEN1及び速度検出信号ENCQに加えて、送信信号TS1が、コントローラー201と駆動部401の間でケーブル250を介してやり取りされることになる。このため、送信信号TS1を伝送するためにケーブル250内の信号線を増やす、或いはコントローラー201及び通信回路550のインターフェースを送信信号TS1に対応させる必要がある。
【0016】
図3は、本実施形態におけるモーター制御システムの第1構成例である。モーター制御システム1は、コントローラー200と駆動部400とを含む。駆動部400は、モータードライバー300とモーター10とセンサー20とエンコーダー100とを含む。図3にはモーター制御システム1が1つの駆動部を含む例を示すが、モーター制御システム1が複数の駆動部を含んでもよい。
【0017】
モーター10は、モータードライバー300により駆動されることで回転し、その回転により駆動対象を動かす。駆動対象の動作は様々であってよく、回転又は直進等である。モーター10は、例えば直流モーター、交流モーター又はステッピングモーター等である。
【0018】
モータードライバー300は、コントローラー200からの制御信号MCNTに基づいて駆動信号SDRVをモーター10へ出力する。またモータードライバー300は、モーター10を駆動する電流をセンス抵抗等により検出する。その電流検出結果ISENはコントローラー200へ入力される。モータードライバー300は、例えば、複数の回路素子が半導体基板に集積された集積回路装置である。但し、センス抵抗が集積回路装置の外部に設けられてもよい。
【0019】
センサー20はエンコーダー用のセンサーであり、モーター10の速度を検出する。センサー20は、モーター10自体、又はモーター10の駆動対象のいずれに設置されてもよいが、いずれの場合にもモーター10の速度に応じた検出信号SENQが得られる。センサー20は、光学式又は磁気式の速度センサーである。光学式のセンサーは、例えば、光源と、検出対象に固定されるスリット板と、光源からスリット板を通過した光を検出する受光センサーとを含む。磁気式のセンサーは、例えば、検出対象に固定される磁石と、磁石から受ける磁界を検出するホールセンサーとを含む。センサー20が出力する検出信号SENQは正弦波等の周期的な信号であり、モーター10の速度が速いほど検出信号SENQの周期が短くなる。
【0020】
エンコーダー100は、センサー20からの検出信号SENQを受けて、速度検出信号ENCQをモータードライバー300へ出力する。速度検出信号ENCQは、センサー20からのアナログの検出信号SENQが2値化された信号であり、周期的なパルス信号である。モーター10の速度が速いほど速度検出信号ENCQの周期が短くなる。エンコーダー100は、例えば、複数の回路素子が半導体基板に集積された集積回路装置、或いは、複数の回路部品がプリント基板等に実装された回路基板等である。
【0021】
モータードライバー300は、速度検出信号ENCQに送信信号を重畳し、重畳後の信号を重畳信号ENTSとしてコントローラー200へ送信する。コントローラー200は、重畳信号ENTSを速度検出信号と送信信号に分離する。そして、コントローラー200は、重畳信号ENTSから分離した速度検出信号と電流の検出結果ISENとに基づいて、モーター10が所与のトルク又は回転速度等を発生するように、制御信号MCNTをモータードライバー300へ出力する。所与のトルク又は回転速度等は、ロボットアーム等の駆動対象が所与の動作を行うように、設定されている。即ち、コントローラー200は、速度検出信号ENCQが示す速度、又は、その速度を積分して得られる位置等に基づいて、所望の駆動対象の動作が得られるようにモーター10を制御する。また、コントローラー200は、重畳信号ENTSから分離した送信信号に基づく処理を行う。例えば、コントローラー200は、モータードライバー300から温度異常、駆動電流の異常、又は動作異常を示す送信信号を受け取ったとき、モーター10を停止させる、異常の報知処理を行う、或いはモータードライバー300を再起動させる。
【0022】
図4は、速度検出信号、送信信号及び重畳信号の波形例である。
送信信号TSは、送信情報を表すビット又はデータをパルス信号にしたものである。1つのパルスは、ビット、又はデータの中の1ビットを表しており、図4の例ではハイパルスは、そのビットが「1」であることを表す。ビットが「0」の場合にはパルスが発生しない。図4には、速度検出信号ENCQの1周期に1パルスの送信信号TSが示されているが、送信信号TSは、速度検出信号ENCQの1周期に複数のパルスを含んでもよい。速度検出信号ENCQの1周期で全ての情報が送信され、各周期に同じ情報が送信されてもよい。或いは、複数の周期にわたって情報が送信されてもよく、その場合には、複数の周期の各周期において異なる情報が送信される。
【0023】
送信信号TSの1パルスのパルス幅は、速度検出信号ENCQのパルス幅よりも十分に短い。速度検出信号ENCQのパルス幅は、速度検出信号ENCQの周期により決まる。速度検出信号ENCQの周期はモーター10の回転速度に応じて変化するので、その最小の周期に対応したパルス幅よりも、送信信号TSのパルス幅は短い。速度検出信号ENCQの最小の周期は、エンコーダーの仕様により規定される。例えば、エンコーダーの仕様に最大検出可能速度が規定される場合、その最大検出可能速度を表す速度検出信号ENCQの周期が、最小の周期となる。
【0024】
重畳信号ENTSは、速度検出信号ENCQに送信信号TSのパルス信号が重畳された信号である。即ち、本実施形態における「重畳」は、速度検出信号ENCQに対して、送信信号TSに含まれるパルスを付加することである。図4のように、速度検出信号ENCQのローレベル区間にハイパルスが付加される場合には、重畳信号ENTSは、例えば速度検出信号ENCQと送信信号TSとの論理和である。或いは、速度検出信号ENCQのハイレベル区間にローパルスが付加されてもよい。その場合、重畳信号ENTSは、例えば速度検出信号ENCQと送信信号TSの反転信号との論理積である。或いは、速度検出信号ENCQのローレベル区間及びハイレベル区間にパルスが付加されてもよい。その場合、重畳信号ENTSは、例えば速度検出信号ENCQと送信信号TSとの排他的論理和である。
【0025】
2.モータードライバー
図5は、モータードライバーの第1詳細構成例である。モータードライバー300は、制御信号処理回路310と駆動回路320と情報重畳回路330と送信信号生成回路340とを含む。
【0026】
制御信号処理回路310は、コントローラー200からの制御信号MCNTを受けて、駆動回路320を制御する。駆動回路320は、モーター10を駆動するインバーター回路又はブリッジ回路等である。一例として、制御信号MCNTはPWM信号であり、制御信号処理回路310は、そのPWM信号を変換又はバッファーリングすることで、インバーター回路又はブリッジ回路を制御する信号を生成する。駆動回路320は、制御信号処理回路310からの信号により動作することで、駆動信号SDRVをモーター10へ出力する。
【0027】
送信信号生成回路340は、コントローラー200へ送信するための送信情報から送信信号TSを生成する。送信信号生成回路340は、速度検出信号ENCQを用いて、送信信号TSにおけるパルス信号の発生タイミングを制御する。以下では、送信信号生成回路340が速度検出信号ENCQのローレベル区間に送信信号TSのパルス信号を発生させる例を説明するが、上述のように速度検出信号ENCQのハイレベル区間に送信信号TSのパルス信号を発生させてもよい。
【0028】
情報重畳回路330は、速度検出信号ENCQに送信信号TSを重畳し、重畳後の信号を重畳信号ENTSとしてコントローラー200へ送信する。
【0029】
図6は、送信信号生成回路の詳細構成例である。送信信号生成回路340は、タイミング生成回路348とパターン生成回路349とを含む。また、送信信号生成回路340は、送信情報を取得する回路の一例として、温度検出回路341と駆動電流検出回路342とウォッチドッグタイマー343と自己診断情報取得回路344とを含む。
【0030】
温度検出回路341は、モータードライバー300の温度を検出する温度センサーである。或いは、温度検出回路341は、モーター10又はモータードライバー300に設けられた温度センサーからセンサー信号が入力され、そのセンサー信号から温度を検出する回路であってもよい。温度検出回路341は、例えば、温度と閾値とを比較し、温度が閾値を超えた場合に温度異常と判定する。温度検出回路341は、検出結果を信号DSC1として出力する。
【0031】
駆動電流検出回路342は、駆動回路320がモーター10を駆動する電流を検出する。駆動電流検出回路342は、例えば、センス抵抗の一端の電圧に基づいて駆動電流を検出する。駆動電流検出回路342は、例えば、駆動電流と所与の電流範囲とを比較し、駆動電流が所与の電流範囲外である場合に駆動電流異常と判定する。駆動電流検出回路342は、検出結果を信号DSC2として出力する。
【0032】
ウォッチドッグタイマー343は、モータードライバー300が正常に動作しているか監視する。例えば、モータードライバー300内のロジック部が定期的にパルス信号を発生させてウォッチドッグタイマー343へ入力する。ウォッチドッグタイマー343は、そのパルス信号が定期的に入力されているかを確認し、パルス信号の入力が一定時間以上ない場合に異常と判定する。ウォッチドッグタイマー343は、検出結果を信号DSC3として出力する。
【0033】
自己診断情報取得回路344は、モータードライバー300の自己診断を行う。例えば、自己診断情報取得回路344は、モータードライバー300の各部の故障診断を行う。診断回路は送信信号生成回路340の外部に設けられてもよく、その場合には、自己診断情報取得回路344は、診断回路から診断結果を取得する。自己診断情報取得回路344は、検出結果を信号DSC4として出力する。
【0034】
タイミング生成回路348は、速度検出信号ENCQのエッジタイミングに基づいて、送信信号TSのパルス発生タイミングを制御するためのタイミング制御信号を、生成する。
【0035】
パターン生成回路349は、信号DSC1~DSC4とタイミング制御信号に基づいて送信信号TSを生成する。即ち、パターン生成回路349は、タイミング制御信号により制御されるタイミングで、信号DSC1~DSC4の各信号に対応したパルス信号を、生成する。
【0036】
なお以下では、信号DSC1~DSC4の各信号が1ビットの信号である例を説明する。但し、信号DSC1~DSC4の各信号は、複数ビットの信号であってもよい。
【0037】
図7は、タイミング生成回路の詳細構成例である。タイミング生成回路348は、排他的論理和回路361と論理積回路362と遅延回路363とパターンジェネレーター364とを含む。
【0038】
パターンジェネレーター364は、クロック信号CLK及びイネーブル信号EN1~EN4を生成し、それらの信号をパターン生成回路349へ出力する。イネーブル信号EN1~EN4は、信号DSC1~DSC4に対応したパルス信号の出力イネーブル信号、つまりパルス信号の出力タイミングを規定する信号である。クロック信号CLK及びイネーブル信号EN1~EN4の波形例は図10で後述する。
【0039】
図8は、排他的論理和回路と論理積回路と遅延回路の動作を説明する信号波形例である。
【0040】
遅延回路363は、直列に接続された複数のバッファー回路である。遅延回路363には速度検出信号ENCQが入力され、遅延回路363は、速度検出信号ENCQのエッジタイミングを遅延させた信号S1を出力する。排他的論理和回路361は、速度検出信号ENCQと信号S1の排他的論理和の信号S2を出力する。論理積回路362は、信号S1と信号S2の論理積の信号を、リセット信号RSTとしてパターン生成回路349へ出力する。リセット信号RSTは、速度検出信号ENCQの立ち下がりエッジから、遅延回路363の遅延時間だけハイレベルになるパルス信号である。
【0041】
図9は、パターン生成回路の詳細構成例である。パターン生成回路349は、第1パターン出力回路371と第2パターン出力回路372と第3パターン出力回路373と第4パターン出力回路374と論理和回路379とを含む。
【0042】
第1パターン出力回路371は、イネーブル信号EN1、信号DSC1、クロック信号CLK及びリセット信号RSTに基づいて、信号DSC1に対応したパルス信号であるパターン信号PT1を生成する。第1パターン出力回路371は、論理積回路381と論理和回路382とラッチ回路383とラッチ回路384とを含む。論理積回路381は、イネーブル信号EN1と信号DSC1の論理積を出力する。論理和回路382は、リセット信号RSTとラッチ回路384の正転出力信号との論理和を出力する。ラッチ回路383及びラッチ回路384のクロック端子にクロック信号CLKが入力され、リセット端子に論理和回路382の出力信号が入力される。ラッチ回路383のデータ端子に論理積回路381の出力信号が入力される。ラッチ回路384のデータ端子にラッチ回路383の正転出力信号が入力される。ラッチ回路383の正転出力信号がパターン信号PT1となる。
【0043】
第2パターン出力回路372は、イネーブル信号EN2、信号DSC2、クロック信号CLK及びリセット信号RSTに基づいて、信号DSC2に対応したパルス信号であるパターン信号PT2を生成する。第3パターン出力回路373は、イネーブル信号EN3、信号DSC3、クロック信号CLK及びリセット信号RSTに基づいて、信号DSC3に対応したパルス信号であるパターン信号PT3を生成する。第4パターン出力回路374は、イネーブル信号EN4、信号DSC4、クロック信号CLK及びリセット信号RSTに基づいて、信号DSC4に対応したパルス信号であるパターン信号PT4を生成する。これらのパターン出力回路の構成は、第1パターン出力回路371の構成と同様である。
【0044】
論理和回路379は、パターン信号PT1~PT4の論理和を、送信信号TSとして出力する。
【0045】
図10は、パターンジェネレーター及びパターン生成回路の動作を説明する信号波形例である。図10には、信号DSC1がハイレベルであり、信号DSC2~DSC4がローレベルであるときの信号波形例を示す。
【0046】
iが1以上4以下の整数であるとする。パターンジェネレーター364は、リセット信号RSTが立ち下がった後、イネーブル信号ENiを、2i-1個目のクロック信号CLKの立ち上がりでローレベルからハイレベルにし、2i個目のクロック信号CLKの立ち上がりでハイレベルからローレベルにする。
【0047】
第1パターン出力回路371は、イネーブル信号EN1がローレベルのとき、ローレベルのパターン信号PT1を出力し、イネーブル信号EN1がハイレベルのとき、信号DSC1と同じ論理レベルのパターン信号PT1を出力する。第2パターン出力回路372は、イネーブル信号EN2がローレベルのとき、ローレベルのパターン信号PT2を出力し、イネーブル信号EN2がハイレベルのとき、信号DSC2と同じ論理レベルのパターン信号PT2を出力する。第3パターン出力回路373は、イネーブル信号EN3がローレベルのとき、ローレベルのパターン信号PT3を出力し、イネーブル信号EN3がハイレベルのとき、信号DSC3と同じ論理レベルのパターン信号PT3を出力する。第4パターン出力回路374は、イネーブル信号EN4がローレベルのとき、ローレベルのパターン信号PT4を出力し、イネーブル信号EN4がハイレベルのとき、信号DSC4と同じ論理レベルのパターン信号PT4を出力する。論理和回路379は、パターン信号PT1~PT4の論理和を、送信信号TSとして出力する。
【0048】
図11は、情報重畳回路の詳細構成例である。情報重畳回路330は、論理和回路331を含む。図12は、情報重畳回路の動作を説明する信号波形例である。なお、情報重畳回路330においてリセット信号RSTは用いられないが、説明のために図示する。
【0049】
論理和回路331は、速度検出信号ENCQと送信信号TSとの論理和を、重畳信号ENTSとして出力する。この論理和により、速度検出信号ENCQのローレベル区間に送信信号TSのハイパルスが重畳される。タイミング生成回路348がリセット信号RSTを起点として送信信号TSのパルスタイミングを決めている。このため、情報重畳回路330はタイミング制御を行う必要がなく、簡素な回路で速度検出信号ENCQに送信信号TSを重畳できる。
【0050】
なお、図12では速度検出信号ENCQの立ち下がりを起点としてリセット信号RSTが生成されることで、速度検出信号ENCQのローレベル区間に送信信号TSのハイパルスが重畳されている。但し、速度検出信号ENCQのハイレベル区間に送信信号TSのローパルスが重畳されてもよい。例えば、図7において、速度検出信号ENCQの反転信号をタイミング生成回路348に入力することで、速度検出信号ENCQの立ち上がりを起点としてリセット信号RSTが生成される。これにより、速度検出信号ENCQのハイレベル区間に送信信号TSのパルス信号が生成される。そして、情報重畳回路330が、速度検出信号ENCQと送信信号TSの反転信号との論理積を出力することで、速度検出信号ENCQのハイレベル区間に送信信号TSのローパルスが重畳される。
【0051】
以上に説明した本実施形態において、モータードライバー300は、コントローラー200からの制御信号MCNTに基づいてモーター10を駆動する駆動回路320と、情報重畳回路330とを含む。情報重畳回路330には、モーター10の速度を検出するエンコーダー100からの速度検出信号ENCQが入力される。情報重畳回路330は、コントローラー200への送信情報の送信信号TSを速度検出信号ENCQに重畳し、重畳後の速度検出信号である重畳信号ENTSをコントローラー200へ送信する。
【0052】
本実施形態によれば、速度検出信号ENCQと送信信号TSが重畳信号ENTSとしてモータードライバー300からコントローラー200へ送信できる。これにより、送信信号TSを伝送するための新たなインターフェースを設ける必要がなくなる。例えば図2のロボットシステム2にモータードライバー300を適用した場合には、ケーブル250内の信号線を増やす必要がない、或いはコントローラー200及び通信回路550のインターフェースを送信信号TSに対応させる必要がない。また、速度検出信号ENCQに送信信号TSが重畳されるので、上述した特許文献1におけるデューティー変調のような速度検出信号ENCQの特性に変更を加えるような信号処理を行う必要がない。
【0053】
また本実施形態では、情報重畳回路330は、速度検出信号ENCQのパルス幅よりも短いパルス幅の送信信号TSを、速度検出信号ENCQに重畳する。
【0054】
本実施形態によれば、情報重畳回路330が速度検出信号ENCQにパルス信号を重畳することで、速度検出信号ENCQに送信信号TSを重畳できる。そして、送信信号TSのパルス幅が速度検出信号ENCQのパルス幅よりも短いことで、コントローラー200がフィルター回路等を用いて重畳信号ENTSから速度検出信号ENCQと送信信号TSを分離できる。分離の手法については、図13等で後述する。
【0055】
また本実施形態では、情報重畳回路330は、速度検出信号ENCQのローレベル区間に、ハイレベルのパルス信号を送信信号TSとして重畳する。情報重畳回路330は、速度検出信号ENCQのハイレベル区間に、ローレベルのパルス信号を送信信号TSとして重畳してもよい。
【0056】
本実施形態によれば、情報重畳回路330が速度検出信号ENCQのローレベル区間にハイレベルのパルス信号を重畳することで、速度検出信号ENCQに送信信号TSを重畳できる。或いは、情報重畳回路330が速度検出信号ENCQのハイレベル区間にローレベルのパルス信号を重畳することで、速度検出信号ENCQに送信信号TSを重畳できる。速度検出信号ENCQのローレベル区間又はハイレベル区間におけるパルス信号のパルス幅は、速度検出信号ENCQのパルス幅より短い。これにより、コントローラー200がフィルター回路等を用いて重畳信号ENTSから速度検出信号ENCQと送信信号TSを分離できる。
【0057】
3.コントローラー
図13は、コントローラーの第1構成例である。コントローラー200は、フィルター回路210と抽出回路220と処理回路230とを含む。図14は、コントローラーの動作を説明する信号波形例である。
【0058】
フィルター回路210は、重畳信号ENTSに対してローパスフィルター処理を行うことで、重畳信号ENTSから速度検出信号を抽出する。抽出された速度検出信号をENCQ_EXとする。ローパスフィルター処理のカットオフ周波数は、送信信号TSのパルス幅に対応した周波数よりも低く、速度検出信号ENCQの最大周波数よりも高い。これにより、重畳信号ENTSから送信信号TSのパルスが除去され、速度検出信号ENCQ_EXが抽出される。フィルター回路210は、抵抗とキャパシターによるパッシブローパスフィルター、又はオペアンプを用いたアクティブローパスフィルターである。或いは、フィルター回路210は、重畳信号ENTSをデジタル信号化した後にデジタルローパスフィルター処理を行ってもよい。
【0059】
抽出回路220は、排他的論理和回路221を含む。排他的論理和回路221は、重畳信号ENTSと速度検出信号ENCQ_EXとの論理和により、重畳信号ENTSから送信信号を抽出する。抽出された送信信号をTS_EXとする。
【0060】
処理回路230は、抽出された速度検出信号ENCQ_EX及び送信信号TS_EXを用いた処理を行う。処理回路230は、例えば速度検出信号ENCQ_EXに基づいて、モータードライバー300への制御信号MCNTを生成する。或いは、処理回路230は、送信信号TS_EXに基づいて、モーター10を停止させる処理、異常の報知処理を行う処理、又はモータードライバー300を再起動させる処理を行う。
【0061】
図15は、コントローラーの第2構成例である。コントローラー200は、フィルター回路210と処理回路230とを含む。本構成例は、コントローラー200が送信信号TS_EXを用いない場合の構成例であり、抽出回路220が省略されている。
【0062】
以上に説明した本実施形態において、モーター制御システム1は、モータードライバー300とコントローラー200とを含む。コントローラー200は、フィルター回路210を含む。フィルター回路210は、重畳信号ENTSに対してローパスフィルター処理を行うことで、速度検出信号ENCQ_EXを抽出する。
【0063】
本実施形態によれば、フィルター回路210が重畳信号ENTSに対してローパスフィルター処理を行うことで、重畳信号ENTSから送信信号TSが除去される。これにより、重畳信号ENTSから速度検出信号ENCQ_EXが抽出される。
【0064】
また本実施形態では、コントローラー200は、抽出回路220を含んでもよい。抽出回路220は、重畳信号ENTSとフィルター回路210が抽出した速度検出信号ENCQ_EXとに基づいて、送信信号TS_EXを抽出する。
【0065】
重畳信号ENTSには速度検出信号ENCQと送信信号TSが含まれており、フィルター回路210が抽出した速度検出信号ENCQ_EXにより、重畳信号ENTSに含まれる速度検出信号ENCQが分かっている。これにより、抽出回路220は、重畳信号ENTSから送信信号TS_EXを抽出できる。
【0066】
4.モータードライバーの他の構成例
図16は、モータードライバーの第2詳細構成例である。モータードライバー300は、制御信号処理回路310と駆動回路320と情報重畳回路330と送信信号生成回路340とコンパレーター350とを含む。図5と同様の構成要素には図5と同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
【0067】
図17は、モータードライバーの第2詳細構成例の動作を説明する信号波形例である。本構成例では、エンコーダー100は、正弦波の速度検出信号ENCQを出力する。コンパレーター350は、速度検出信号ENCQと基準電圧とを比較することで、速度検出信号ENCQを2値化する。2値化後の速度検出信号をENCQ_CMPとする。基準電圧は、例えば速度検出信号ENCQの中心電圧である。
【0068】
送信信号生成回路340は、速度検出信号ENCQ_CMPに基づいて送信信号TSを生成する。情報重畳回路330は、速度検出信号ENCQ_CMPに送信信号TSを重畳し、重畳後の信号を重畳信号ENTSとしてコントローラー200へ送信する。
【0069】
図18は、モータードライバーの第3詳細構成例である。モータードライバー300は、制御信号処理回路310と駆動回路320と情報重畳回路330と送信信号生成回路340とノイズ除去回路355とを含む。図5と同様の構成要素には図5と同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
【0070】
図19は、モータードライバーの第3詳細構成例の動作を説明する信号波形例である。モータードライバー300がモーター10を駆動することで、駆動電流IDRVが発生する。この駆動電流IDRVは駆動信号SDRVのエッジで急激に変化するため、その急激に変化するタイミングでエンコーダー100の速度検出信号ENCQにスパイク状のノイズが発生する。例えば、モータードライバー300がモーター10を駆動するための信号線から、或いは、センス抵抗からコントローラー200への信号線からノイズが発生し、そのノイズが速度検出信号ENCQの信号線に伝播する。
【0071】
ノイズ除去回路355は、モーター駆動に起因した速度検出信号ENCQのノイズを除去し、ノイズ除去後の速度検出信号ENCQ_NRを出力する。ノイズ除去回路355は、駆動信号SDRVに基づいて速度検出信号ENCQからノイズを除去する。例えば、ノイズ除去回路355は、駆動信号SDRVのエッジタイミングから所定幅のマスク信号により速度検出信号ENCQをマスク処理することで、速度検出信号ENCQからノイズを除去する。或いは、ノイズ除去回路355は、駆動信号SDRVを用いずに、速度検出信号ENCQをローパスフィルター処理することで、速度検出信号ENCQからノイズを除去してもよい。
【0072】
送信信号生成回路340は、速度検出信号ENCQ_NRに基づいて送信信号TSを生成する。情報重畳回路330は、速度検出信号ENCQ_NRに送信信号TSを重畳し、重畳後の信号を重畳信号ENTSとしてコントローラー200へ送信する。
【0073】
以上に説明した本実施形態において、情報重畳回路330は、ノイズ除去回路355を含む。ノイズ除去回路355は、速度検出信号ENCQから、モーター10の駆動により発生するノイズを除去する。情報重畳回路330は、ノイズが除去された後の速度検出信号ENCQ_NRに送信信号TSを重畳する。
【0074】
モーター10を駆動する際には大きな電流が流れることから、速度検出信号ENCQにノイズが発生するおそれがある。本実施形態によれば、ノイズ除去回路355がノイズを除去することで、情報重畳回路330が、モーター10の駆動に起因するノイズが除去された速度検出信号ENCQ_NRに対して送信信号TSを重畳できる。
【0075】
また本実施形態では、駆動回路320は、制御信号MCNTに基づく駆動信号SDRVをモーター10へ出力する。ノイズ除去回路355は、駆動信号SDRVのエッジタイミングにより規定される期間において速度検出信号ENCQからノイズを除去する。
【0076】
モーター10の駆動に起因するノイズは、駆動信号SDRVのエッジタイミングにおいて発生する。本実施形態によれば、ノイズ除去回路355が、駆動信号SDRVのエッジタイミングにより規定される期間においてノイズ除去を行うことで、速度検出信号ENCQからノイズを除去できる。
【0077】
図20は、モーター制御システムの第2構成例である。なお、図3と同様の構成要素には図3と同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
【0078】
本構成例では、エンコーダー100が2相の第1速度検出信号ENCQA及び第2速度検出信号ENCQBを出力する。第2速度検出信号ENCQBの位相は、第1速度検出信号ENCQAの位相に対して90度進んでいる又は遅れている。
【0079】
図21は、モーター制御システムの第2構成例の動作を説明する信号波形例である。ここでは、第2速度検出信号ENCQBの位相が、第1速度検出信号ENCQAの位相に対して90度進んでいる例を示す。
【0080】
送信信号生成回路340は、位相が遅れている方の第1速度検出信号ENCQAに基づいて送信信号TSを生成する。情報重畳回路330は、第1速度検出信号ENCQAに送信信号TSを重畳することで、第1重畳信号ENTSAを出力し、第2速度検出信号ENCQBに送信信号TSを重畳することで、第2重畳信号ENTSBを出力する。具体的には、情報重畳回路330は、第1速度検出信号ENCQAと送信信号TSの論理和を、第1重畳信号ENTSAとして出力し、第2速度検出信号ENCQBと送信信号TSの論理和を、第2重畳信号ENTSBとして出力する。
【0081】
以上に説明した本実施形態において、情報重畳回路330には、第1速度検出信号ENCQA、及び第1速度検出信号ENCQAとは位相が異なる第2速度検出信号ENCQBがエンコーダー100から入力される。情報重畳回路330は、第1速度検出信号ENCQA及び第2速度検出信号ENCQBに送信信号TSを重畳し、重畳後の第1速度検出信号である第1重畳信号ENTSA及び重畳後の第2速度検出信号である第2重畳信号ENTSBをコントローラー200へ送信する。
【0082】
本実施形態によれば、2相の速度検出信号が用いられる場合において、各相の速度検出信号に送信信号TSを重畳できる。例えば、各相の速度検出信号に同一の送信信号TSが重畳される場合には、送信信号TSの送信が二重化されるので、ノイズ耐性等が高くなる。
【0083】
図22は、モーター制御システムの第3構成例の動作を説明する信号波形例である。
本構成例では、送信信号生成回路340は、データ信号TS_DT及びクロック信号TS_CKを送信信号TSとして生成する。例えば、図10の送信信号TSを、本構成例におけるデータ信号TS_DTとすればよい。また、図10のイネーブル信号EN1~EN4の論理和とクロック信号CLKとの論理積を、本構成例におけるクロック信号TS_CKとすればよい。
【0084】
情報重畳回路330は、第1速度検出信号ENCQAにデータ信号TS_DTを重畳することで、第1重畳信号ENTSAを出力し、第2速度検出信号ENCQBにクロック信号TS_CKを重畳することで、第2重畳信号ENTSBを出力する。具体的には、情報重畳回路330は、第1速度検出信号ENCQAとデータ信号TS_DTの論理和を、第1重畳信号ENTSAとして出力し、第2速度検出信号ENCQBとクロック信号TS_CKの論理和を、第2重畳信号ENTSBとして出力する。
【0085】
以上に説明した本実施形態において、情報重畳回路330は、第1速度検出信号ENCQAに、送信信号TSのデータ信号TS_DTを重畳し、第2速度検出信号ENCQBに、送信信号TSのクロック信号TS_CKを重畳する。
【0086】
本実施形態によれば、コントローラー200が、第2重畳信号ENTSBから抽出したクロック信号TS_CKを用いて、第1重畳信号ENTSAから抽出したデータ信号TS_DTをサンプリングすることで、送信信号TSに含まれる送信情報を取得できる。クロック信号TS_CKによりデータ信号TS_DTのタイミングが示されるので、コントローラー200がサンプリングタイミングを制御しなくてよい。
【0087】
図23は、モーター制御システムの第4構成例の動作を説明する信号波形例である。
本構成例では、情報重畳回路330は、送信信号TSの論理レベルに応じて第2重畳信号ENTSBの論理レベルを固定にする。例えば、送信信号生成回路340は、信号DSC1~DSC4の論理和を送信信号TSとして出力する。情報重畳回路330は、送信信号TSがローレベルであるとき、第2速度検出信号ENCQBを第2重畳信号ENTSBとして出力し、送信信号TSがハイレベルであるとき、第2重畳信号ENTSBをハイレベルに固定する。
【0088】
なお、情報重畳回路330は、送信信号TSがローレベルであるとき、第1速度検出信号ENCQAを第1重畳信号ENTSAとして出力し、送信信号TSがハイレベルであるとき、第1重畳信号ENTSAをハイレベルに固定してもよい。
【0089】
情報重畳回路330は、送信信号TSがハイレベルであるとき、第1重畳信号ENTSA又は第2重畳信号ENTSBをローレベルに固定してもよい。
【0090】
送信信号TSが複数ビットであるとき、情報重畳回路330は、第1速度検出信号ENCQAの1又は複数の周期毎に、各ビットに応じて第1速度検出信号ENCQA又は固定論理レベルを第1重畳信号ENTSAとして出力してもよい。或いは、情報重畳回路330は、第2速度検出信号ENCQBの1又は複数の周期毎に、各ビットに応じて第2速度検出信号ENCQB又は固定論理レベルを第2重畳信号ENTSBとして出力してもよい。
【0091】
以上に説明した本実施形態において、モータードライバー300は、コントローラー200からの制御信号MCNTに基づいてモーター10を駆動する駆動回路320と、情報重畳回路330とを含む。情報重畳回路330には、モーター10の速度を検出するエンコーダー100からの第1速度検出信号ENCQA、及び第1速度検出信号ENCQAとは位相が異なる第2速度検出信号ENCQBが入力される。情報重畳回路330は、コントローラー200への送信情報に応じて、第1速度検出信号ENCQA及び第2速度検出信号ENCQBのいずれかの信号を固定論理レベルに設定する。
【0092】
本実施形態によれば、情報重畳回路330が第1速度検出信号ENCQA及び第2速度検出信号ENCQBのいずれかの信号を固定論理レベルに設定することで、送信情報をコントローラー200へ送信できる。コントローラー200は、第1速度検出信号ENCQA及び第2速度検出信号ENCQBのいずれかの信号が、周期的な信号でなく固定論理レベルであることを検出することで、送信情報を取得できる。
【0093】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。またモーター、モータードライバー、センサー、エンコーダー、駆動部、コントローラー、モーター制御システム及びロボットシステム等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…モーター制御システム、2…ロボットシステム、10…モーター、20…センサー、100…エンコーダー、200…コントローラー、210…フィルター回路、220…抽出回路、230…処理回路、250…ケーブル、300…モータードライバー、310…制御信号処理回路、320…駆動回路、330…情報重畳回路、340…送信信号生成回路、341…温度検出回路、342…駆動電流検出回路、343…ウォッチドッグタイマー、344…自己診断情報取得回路、348…タイミング生成回路、349…パターン生成回路、350…コンパレーター、355…ノイズ除去回路、364…パターンジェネレーター、371…第1パターン出力回路、372…第2パターン出力回路、373…第3パターン出力回路、374…第4パターン出力回路、400…駆動部、500…ロボット、510…関節、550…通信回路、ENCQ…速度検出信号、ENCQA…第1速度検出信号、ENCQB…第2速度検出信号、ENTS…重畳信号、ENTSA…第1重畳信号、ENTSB…第2重畳信号、MCNT…制御信号、SDRV…駆動信号、TS…送信信号、TS_CK…クロック信号、TS_DT…データ信号
図1
図2
図3
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