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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014249
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240125BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H01L21/304 643D
H01L21/304 643Z
H01L21/304 651L
H01L21/306 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116934
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠太
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043DD13
5F043DD19
5F043EE05
5F043EE06
5F043EE07
5F043EE08
5F157AA12
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC04
5F157AC23
5F157BB22
5F157BB45
5F157BB53
5F157BB73
5F157CB17
5F157CC03
5F157CC41
5F157CE61
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF60
5F157CF70
5F157CF74
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB32
5F157DB55
(57)【要約】
【課題】パターンを損傷することなく必要な領域には超音波を作用させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供する。
【解決手段】加圧バルブ36を開放して超音波ノズル30の吐出口32から処理液を押し出して処理液の液滴D1を形成する。形成された処理液の液滴D1を基板Wの端縁部の一部である処理領域P1に接触させる。処理領域P1に接触した液滴D1に超音波振動子33から超音波を付与する。処理領域P1に対しては超音波を作用させて超音波洗浄を行うことができる一方、処理領域P1以外の領域には、処理液が接触することはなく、超音波が作用することもない。パターンは端縁部の一部である処理領域P1以外の領域に形成されている。パターンに超音波が作用することはなく、パターンの損傷を防止しつつ、必要な領域には超音波を作用させることができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一部の処理領域に対して所定の基板処理を行う基板処理方法であって、
基板を保持する保持工程と、
超音波ノズルの吐出口から処理液を押し出して液滴を形成し、前記基板の前記処理領域に前記液滴を接触させる液滴形成工程と、
前記処理領域に接触させた前記液滴に超音波を付与する超音波付与工程と、
前記処理領域に接触させた前記液滴を吸引する吸引工程と、
を備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の基板処理方法において、
前記液滴が前記基板に接触しているときに前記処理領域に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス噴出工程をさらに備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項3】
請求項2記載の基板処理方法において、
前記不活性ガス噴出工程では、前記基板の中心から外周端に向けて不活性ガスを吹き付けることを特徴とする基板処理方法。
【請求項4】
請求項1記載の基板処理方法において、
ノズル洗浄槽にて前記超音波ノズルを洗浄するノズル洗浄工程をさらに備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記吐出口の内径は0.5mm以上1.0mm以下であることを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】
基板の一部の処理領域に対して所定の基板処理を行う基板処理装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
吐出口から処理液を押し出して液滴を形成するとともに、前記液滴に超音波を付与する超音波ノズルと、
前記超音波ノズルを移動させるノズル駆動機構と、
を備え、
前記超音波ノズルの前記吐出口に形成された処理液の液滴を前記基板保持部に保持された前記基板の前記処理領域に接触させ、前記液滴に超音波を付与した後、前記液滴を吸引することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の基板処理装置において、
前記液滴が前記基板に接触しているときに前記処理領域に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス噴出部をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の基板処理装置において、
前記不活性ガス噴出部は、前記基板の中心から外周端に向けて不活性ガスを吹き付けることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項6記載の基板処理装置において、
前記超音波ノズルを洗浄するノズル洗浄槽をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記吐出口の内径は0.5mm以上1.0mm以下であることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の一部の処理領域に対して洗浄またはエッチング等の基板処理を行う基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、例えば、半導体基板、液晶表示装置用基板、flat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体装置の製造工程では、半導体基板(以下、単に「基板」と称する)に対して種々の処理を行う基板処理装置が用いられている。そのような基板処理装置の1つに、超音波を付与した洗浄液を基板に供給してパーティクルを除去する超音波洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような超音波洗浄(一例としてメガソニック洗浄)を行う基板洗浄装置は、基板の被洗浄面に超音波を印加した洗浄液を吐出し、洗浄液中に発生したキャビテーションによって被洗浄面に付着したパーティクル等の汚染物質を除去する。キャビテーションとは、液体に作用する圧力変化によって短時間のうちに液中に泡の発生と消滅とが起きる現象である。超音波洗浄は、泡が消滅するときに発生する大きな衝撃によってパーティクル等を除去するものであり、単に洗浄液を供給するだけの洗浄に比較して大きなパーティクル除去性能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-133626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波洗浄の大きな課題の一つは、基板に形成されているパターンがキャビテーションによって破壊されることである。すなわち、キャビテーションによる衝撃はパーティクルだけでなくパターンにも作用してダメージを与えるのである。キャビテーション強度が大きくなるほどパーティクル除去性能が高まる一方でパターンに与えるダメージも大きくなる。特に、近年はアスペクト比の大きな脆弱なパターンの開発も進んでおり、そのような脆弱なパターンは超音波洗浄によって容易に破壊される。
【0006】
また、従来の超音波洗浄では基板の全面に洗浄液を供給しているため、洗浄液の使用量も多くならざるを得なかった。SDGs(持続可能な開発目標)の観点からは、消費する液量が多いことも問題となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、パターンを損傷することなく必要な領域には超音波を作用させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板の一部の処理領域に対して所定の基板処理を行う基板処理方法において、基板を保持する保持工程と、超音波ノズルの吐出口から処理液を押し出して液滴を形成し、前記基板の前記処理領域に前記液滴を接触させる液滴形成工程と、前記処理領域に接触させた前記液滴に超音波を付与する超音波付与工程と、前記処理領域に接触させた前記液滴を吸引する吸引工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理方法において、前記液滴が前記基板に接触しているときに前記処理領域に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス噴出工程をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る基板処理方法において、前記不活性ガス噴出工程では、前記基板の中心から外周端に向けて不活性ガスを吹き付けることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る基板処理方法において、ノズル洗浄槽にて前記超音波ノズルを洗浄するノズル洗浄工程をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る基板処理方法において、前記吐出口の内径は0.5mm以上1.0mm以下であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、基板の一部の処理領域に対して所定の基板処理を行う基板処理装置において、基板を保持する基板保持部と、吐出口から処理液を押し出して液滴を形成するとともに、前記液滴に超音波を付与する超音波ノズルと、前記超音波ノズルを移動させるノズル駆動機構と、を備え、前記超音波ノズルの前記吐出口に形成された処理液の液滴を前記基板保持部に保持された前記基板の前記処理領域に接触させ、前記液滴に超音波を付与した後、前記液滴を吸引することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る基板処理装置において、前記液滴が前記基板に接触しているときに前記処理領域に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス噴出部をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明に係る基板処理装置において、前記不活性ガス噴出部は、前記基板の中心から外周端に向けて不活性ガスを吹き付けることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項6から請求項8のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記超音波ノズルを洗浄するノズル洗浄槽をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項6から請求項9のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記吐出口の内径は0.5mm以上1.0mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1から請求項5の発明によれば、超音波ノズルの吐出口から処理液を押し出して液滴を形成し、基板の処理領域にその液滴を接触させ、接触させた液滴に超音波を付与するため、当該処理領域以外には処理液が接触することはなく超音波も作用せず、パターンを損傷することなく必要な領域には超音波を作用させることができる。
【0019】
特に、請求項2の発明によれば、液滴が基板に接触しているときに処理領域に不活性ガスを吹き付けるため、処理領域を酸素から遮断して処理領域にウォーターマークが付くことを防止することができる。
【0020】
特に、請求項3の発明によれば、基板の中心から外周端に向けて不活性ガスを吹き付けるため、パターンが形成されている基板の内側領域に向けて処理液が流れるのを防止することができる。
【0021】
請求項6から請求項10の発明によれば、超音波ノズルの吐出口に形成された処理液の液滴を基板の処理領域に接触させ、その液滴に超音波を付与するため、当該処理領域以外には処理液が接触することはなく超音波も作用せず、パターンを損傷することなく必要な領域には超音波を作用させることができる。
【0022】
特に、請求項7の発明によれば、液滴が基板に接触しているときに処理領域に不活性ガスを吹き付けるため、処理領域を酸素から遮断して処理領域にウォーターマークが付くことを防止することができる。
【0023】
特に、請求項8の発明によれば、基板の中心から外周端に向けて不活性ガスを吹き付けるため、パターンが形成されている基板の内側領域に向けて処理液が流れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る基板処理装置の平面図である。
図2】基板処理装置の要部構成を示す側面図である。
図3】超音波ノズルの構成を示す図である。
図4】ノズル洗浄槽の構成を示す図である。
図5】基板処理装置における動作手順を示すフローチャートである。
図6】超音波ノズルが基板の処理領域の直上に位置した状態を示す図である。
図7】超音波ノズルの吐出口に処理液の液滴が形成された状態を示す図である。
図8】処理液の液滴が基板の処理領域に接触した状態を示す図である。
図9】処理領域に接触させた液滴を超音波ノズルが吸引した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下において、相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」、「同軸」、など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。また、等しい状態であることを示す表現(例えば、「同一」、「等しい」、「均質」、など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。また、形状を示す表現(例えば、「円形状」、「四角形状」、「円筒形状」、など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲の形状を表すものとし、例えば凹凸または面取りなどを有していてもよい。また、構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、「有する」、といった各表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。また、「A、BおよびCのうちの少なくとも一つ」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「Cのみ」、「A、BおよびCのうち任意の2つ」、「A、BおよびCの全て」が含まれる。
【0026】
図1は、本発明に係る基板処理装置1の平面図である。また、図2は、基板処理装置1の要部構成を示す側面図である。基板処理装置1は、1枚の基板Wに対して超音波を使用した洗浄処理またはエッチング処理を行う枚葉式の基板処理装置である。処理対象となる基板Wはシリコンの円板形状の半導体基板である。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0027】
基板処理装置1は、主として、処理チャンバー10と、回転保持部20と、超音波ノズル30と、ノズル洗浄槽50と、制御部90とを備える。
【0028】
処理チャンバー10は中空の筐体である。処理チャンバー10の内側に、上記の回転保持部20および超音波ノズル30等が設けられる。基板処理時には、処理チャンバー10は処理対象となる基板Wを収容する。
【0029】
処理チャンバー10の天井部にはファンフィルタユニット(FFU)12が設置される。ファンフィルタユニット12は、送風用のファンとフィルタ(例えば、HEPAフィルタ)とを備えており、処理チャンバー10の天井部から下方に向けて清浄な空気を供給する。すなわち、ファンフィルタユニット12は、処理チャンバー10の内部に清浄な空気を供給する。
【0030】
処理チャンバー10の底部には排気管18が接続されている。排気管18は、図示省略の排気機構(例えば、排気ポンプ)と接続されている。ファンフィルタユニット12から供給された空気が排気管18から排出されることによって、処理チャンバー10の内部に清浄な空気のダウンフローが形成される。
【0031】
また、処理チャンバー10には図示省略の搬出入口が設けられている。その搬出入口はシャッターによって開閉される。搬出入口が開放されている状態にて、処理チャンバー10に対する基板Wの搬入および搬出が行われる。基板Wの処理中は搬出入口は閉鎖される。
【0032】
回転保持部20は、スピンチャック22およびスピンモータ25を備える。スピンチャック22は、基板Wを水平姿勢(基板Wの主面の法線が鉛直方向に沿う姿勢)にて保持する基板保持部である。本実施形態におけるスピンチャック22は、真空吸着式のチャックである。スピンチャック22は、基板Wの下面の中央部を吸着保持する。なお、スピンチャックは、挟持式のメカニカルチャックなどの他の形態のチャックであってもよい。
【0033】
スピンチャック22は、基板Wの直径よりも小さな径の円板形状を有する。基板Wの下面がスピンチャック22に吸着保持された状態では、基板Wの周縁部が、スピンチャック22の外周端よりも外側にはみ出ている。
【0034】
スピンチャック22は、スピン軸27を介してスピンモータ25と連結される。すなわち、スピンモータ25のスピン軸27の上端がスピンチャック22の下面中央部に接続される。スピンチャック22に基板Wが吸着保持されている状態にてスピンモータ25がスピン軸27を回転させると、鉛直方向に沿った回転軸A1まわりで水平面内にて基板Wおよびスピンチャック22が回転する。
【0035】
スピンチャック22の周囲を囲むようにカップ40が設けられる。カップ40は円筒形状を有しており、カップ40の上部は上に向かうほどスピンチャック22に近付くように傾斜している。ただし、カップ40の上端部分の内径は基板Wの直径よりも大きい。カップ40の上端はスピンチャック22に保持された基板Wの高さ位置よりも高い。従って、スピンモータ25によって回転される基板Wから遠心力によって飛散した液体はカップ40によって受け止められて回収される。カップ40によって回収された液体はカップ40の底部に設けられた排液管から排出される。なお、カップ40は、回収口を目的別に複数設けた多段構造のものであっても良い。
【0036】
超音波ノズル30は、水平方向に延びる棒状のノズルアーム61の先端に取り付けられている。ノズルアーム61は、鉛直方向に延びるアーム支持軸62に支持されている。アーム支持軸62は、ノズル駆動部63に接続されている。ノズル駆動部63は、鉛直方向に沿った回転軸A2まわりでアーム支持軸62を回動させる。ノズル駆動部63がアーム支持軸62を回動させると、ノズルアーム61が旋回動作を行い、図1の矢印AR1にて示すように、超音波ノズル30がカップ40よりも外方の待機位置とスピンチャック22に保持された基板Wの上方の処理位置との間で円弧軌道に沿って移動する。
【0037】
また、ノズル駆動部63は、アーム支持軸62およびノズルアーム61を昇降移動させる。これにより、超音波ノズル30は鉛直方向に沿って上下にも移動する。
【0038】
図3は、超音波ノズル30の構成を示す図である。超音波ノズル30の本体部31は、中空の円筒形状の本体上部31aと円管形状の本体下部31bとによって構成される。本体上部31aの内径は本体下部31bの内径よりも大きい。本体上部31aと本体下部31bとの接続部分はテーパ面とされている。
【0039】
本体下部31bの下端は開放端とされており、その開放端が超音波ノズル30の吐出口32とされる。吐出口32の内径dは0.5mm以上1.0mm以下である。
【0040】
本体上部31aの内側空間の上部には超音波振動子33が設けられている。超音波振動子33には図示を省略する高周波電源から高周波電力が投入される。高周波電力が投入されることによって超音波振動子33は超音波を発生する。
【0041】
また、本体部31の本体上部31aには加圧管34および吸引管35が連通接続されている。加圧管34の先端は本体上部31aに接続されるともに、基端は処理液供給機構71に接続される。加圧管34の経路途中には加圧バルブ36が設けられている。
【0042】
処理液供給機構71は、処理液を貯留するタンクおよびポンプ等を備えている。処理液供給機構71は、所定の圧力にて処理液を加圧管34に送給する。本明細書において、「処理液」とは各種の薬液および純水を含む概念の用語である。薬液としては、例えば、エッチング処理を行うための液、または、パーティクルを除去するための液などが含まれ、具体的には、SC-1液(水酸化アンモニウムと過酸化水素水と純水との混合溶液)、SC-2液(塩酸と過酸化水素水と純水との混合溶液)、または、フッ酸(HF)などが用いられる。薬液は、純水によって希釈されたものも含む。本実施形態においては、処理液供給機構71は処理液として純水を本体部31に供給する。
【0043】
加圧バルブ36は加圧管34の流路を開閉する。処理液供給機構71から加圧管34に処理液を供給しつつ、加圧バルブ36が加圧管34の流路を開放すると所定の圧力(陽圧)にて本体部31内に処理液が供給される。加圧バルブ36が加圧管34の流路を閉鎖すると本体部31への処理液の供給が停止される。なお、加圧バルブ36が加圧管34の流路を開放または閉鎖することを、加圧バルブ36が開放または閉止されるとも称する。
【0044】
一方、吸引管35の先端は本体上部31aに接続されるともに、基端は吸引機構72に接続される。吸引管35の経路途中には吸引バルブ37が設けられている。
【0045】
吸引機構72は、液体を吸引するポンプを備えている。吸引機構72は、所定の圧力にて吸引管35から処理液を吸引する。
【0046】
吸引バルブ37は吸引管35の流路を開閉する。吸引機構72が吸引管35から液体を吸引しつつ、吸引バルブ37が吸引管35の流路を開放すると所定の圧力(負圧)にて本体部31から処理液が吸引される。吸引バルブ37が吸引管35の流路を閉鎖すると本体部31からの処理液の吸引は停止される。なお、吸引バルブ37が吸引管35の流路を開放または閉鎖することを、吸引バルブ37が開放または閉止されるとも称する。
【0047】
また、図1,2に示すように、ノズルアーム61には支持部材81が取り付けられ、その支持部材81によって不活性ガスノズル82が支持されている。超音波ノズル30および不活性ガスノズル82はともに共通のノズルアーム61に取り付けられているため、双方は一定の相対的位置関係を維持したまま同じ移動動作を行う。例えば、超音波ノズル30が図1の矢印AR1にて示すように円弧軌道に沿って移動すると不活性ガスノズル82も同じように円弧軌道に沿って移動する。
【0048】
図3に示すように、不活性ガスノズル82は配管85を介して不活性ガス供給源83に接続されている。配管85にはバルブ84が設けられている。バルブ84が開放されると、不活性ガス供給源83から不活性ガスノズル82に不活性ガス(本実施形態では窒素(N))が送給され、不活性ガスノズル82が不活性ガスを噴出する。不活性ガスノズル82は、超音波ノズル30の吐出口32を含む吐出口32の直下に不活性ガスを吹き付ける。なお、不活性ガスノズル82が噴出する不活性ガスはヘリウム(He)またはアルゴン(Ar)であっても良い。
【0049】
制御部90は、基板処理装置1に設けられた種々の動作機構を制御する。制御部90のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部90は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく記憶部(例えば、磁気ディスクまたはSSD)を備えている。制御部90は、加圧バルブ36や吸引バルブ37等と電気的に接続されており、これらの動作を制御する。
【0050】
ノズル洗浄槽50は、カップ40よりも外方の超音波ノズル30の待機位置近傍に設けられる。図4は、ノズル洗浄槽50の構成を示す図である。ノズル洗浄槽50には洗浄液が貯留されている。この洗浄液は、超音波ノズル30が使用する処理液と同じであっても良い。超音波ノズル30の洗浄を行うときには、本体下部31bの吐出口32の近傍を洗浄液中に浸漬させる。
【0051】
ノズル洗浄槽50には乾燥ノズル55が付設されている。乾燥ノズル55は図外の空気供給源から供給された空気をノズル洗浄槽50から引き上げられる超音波ノズル30に吹き付ける。これによって、超音波ノズル30の外装表面が乾燥される。
【0052】
次に、基板処理装置1における動作について説明する。図5は、基板処理装置1における動作手順を示すフローチャートである。まず、基板Wの処理を開始する前には、超音波ノズル30の洗浄が行われている(ステップS1)。基板Wが処理チャンバー10内に存在していないときには、超音波ノズル30はカップ40よりも外方の待機位置に待機している。当該待機位置にはノズル洗浄槽50が設けられている。超音波ノズル30が待機位置に待機しているときには、ノズル洗浄槽50において超音波ノズル30の洗浄が行われる。待機位置にて超音波ノズル30の洗浄が行われている状態を超音波ノズル30の待機状態とする。
【0053】
具体的には、図4に示すように、超音波ノズル30の本体下部31bの下端部分がノズル洗浄槽50に貯留された洗浄液中に浸漬され、吐出口32近傍の外壁面が洗浄される。また、加圧バルブ36が開放されて超音波ノズル30の本体部31の内部に洗浄液(本実施形態では純水)が供給される。超音波ノズル30の洗浄を行うときには、加圧バルブ36が継続して開放されて本体部31内に洗浄液が供給され続ける。本体部31に供給された洗浄液は吐出口32からノズル洗浄槽50に貯留された洗浄液中に放出される。よって、超音波ノズル30の洗浄中は、超音波ノズル30の本体部31内は洗浄液によって満たされ、その洗浄液は吐出口32に向けて流れている。そして、本体部31内を満たす洗浄液に対して超音波振動子33から超音波が印加される。これより、超音波ノズル30の本体部31の内壁面が超音波洗浄される。超音波洗浄によって本体部31の内壁面から剥離した汚染物質は洗浄液とともに本体部31下端の吐出口32からノズル洗浄槽50内に放出される。このようにして、超音波ノズル30の本体部31の内壁面および外壁面の双方が洗浄される。
【0054】
次に、基板Wの処理を開始するときには、装置外部の搬送ロボットが処理対象となる基板Wを処理チャンバー10内に搬入してスピンチャック22に保持させる(ステップS2)。スピンチャック22は、搬入された基板Wの下面中央部を吸着して基板Wを水平姿勢で保持する。
【0055】
基板Wがスピンチャック22に保持された後、超音波ノズル30が所定の処理位置に移動する(ステップS3)。待機状態の超音波ノズル30が移動を開始するに際しては、ノズル駆動部63が超音波ノズル30を上昇させてノズル洗浄槽50から上方に引き上げる。超音波ノズル30を引き上げつつ乾燥ノズル55から超音波ノズル30の本体部31の外壁面に乾燥空気を吹き付ける(図4参照)。これにより、超音波ノズル30の外壁面が乾燥され、処理中に超音波ノズル30の外壁面から基板W上に液体が滴下するのを防止することができる。また、超音波ノズル30が移動を開始するに際しては、加圧バルブ36が閉止されて超音波ノズル30への洗浄液供給が停止される。なお、吸引バルブ37は閉止され続けているため、超音波ノズル30の本体部31内は純水によって満たされるものの、吐出口32から純水が吐出されることはない。さらに、超音波振動子33も動作を停止する。
【0056】
本実施形態においては、基板Wの外周の端縁部に付着しているパーティクルを除去する洗浄処理を行う(ベベル洗浄)。ステップS3では、制御部90の制御により、スピンモータ25が基板Wを回転させて洗浄処理の対象となる処理領域(端縁部の一部)を超音波ノズル30が移動する円弧軌道と基板Wの外周円とが交わる位置(図1参照)に移動させる。また、制御部90の制御により、ノズル駆動部63が超音波ノズル30を回動させて基板Wの外周の端縁部上方に移動させる。これにより、図6に示すように、超音波ノズル30の吐出口32が基板Wの処理領域P1の直上に位置することとなる。この状態では、加圧バルブ36および吸引バルブ37の双方が停止されて超音波ノズル30の本体部31内は処理液(純水)で静かに満たされるとともに、超音波振動子33から処理液への超音波の付与も停止されている。また、基板Wの回転も超音波ノズル30の移動も停止されて、超音波ノズル30が処理領域P1の直上に位置する状態が維持される。
【0057】
次に、超音波ノズル30の吐出口32から処理液を押し出して処理液の液滴を形成する(ステップS4)。このときには、制御部90の制御下にて、吸引バルブ37を閉止したまま加圧バルブ36を一定時間開放する。吸引バルブ37が閉止された状態で加圧バルブ36が開放されると、加圧管34から所定の圧力で処理液が供給されて本体部31の処理液が加圧され、吐出口32から処理液が押し出されることとなる。そのまま加圧バルブ36を開放し続けた場合には、吐出口32から処理液が吐出(流出)されることになるのであるが、加圧バルブ36を一定時間だけ開放して閉止したときには、吐出口32から一定量だけ処理液が押し出され、その押し出された処理液が表面張力によって液滴を形成する。
【0058】
図7は、超音波ノズル30の吐出口32に処理液の液滴が形成された状態を示す図である。超音波ノズル30の吐出口32から一定量の処理液が押し出され、基板Wの処理領域P1の直上に処理液の液滴D1が形成される。液滴D1は、処理液の表面張力と重力とのバランスによって吐出口32から基板Wに落下することなく形状が維持されている。処理液の表面張力は、超音波ノズル30の表面状態、処理液の粘性、処理液の温度等によって規定される。換言すれば、吐出口32から液滴D1が落下しない程度の液量の処理液を押し出すように加圧バルブ36の開放時間を制御すれば良い。
【0059】
超音波ノズル30の吐出口32に処理液の液滴D1が形成された後、その液滴D1を基板Wに接触させる(ステップS5)。具体的には、ノズル駆動部63が超音波ノズル30を緩やかに下降させて吐出口32に形成された処理液の液滴D1を基板Wの処理領域P1に静かに接触させる。
【0060】
図8は、処理液の液滴D1が基板Wの処理領域P1に接触した状態を示す図である。超音波ノズル30の吐出口32に形成されていた処理液の液滴D1が基板Wの処理領域P1に接触することにより、吐出口32と基板Wとの間に処理液の液柱が形成される。このときに、液滴D1の液量はそれ程多くないため、処理液が基板Wの表面に拡がっていくことはない。なお、処理領域P1は基板Wの端縁部の一部であり、端縁部の幅は1mm~数mmであるが、超音波ノズル30の吐出口32の内径dは0.5mm以上1.0mm以下であるため、液滴D1が処理領域P1からはみ出すことはない。
【0061】
また、基板Wの処理領域P1に処理液の液滴D1が接触するとほぼ同時に、超音波振動子33が動作を開始して超音波を発生する。超音波振動子33から発生した超音波は本体部31を満たす処理液中を伝播して処理領域P1に接触している液滴D1に付与される(ステップS6)。
【0062】
処理液の液滴D1に超音波が付与されることによって、処理領域P1に対する超音波洗浄が行われる。具体的には、液滴D1に超音波が付与されることによって、液滴D1にキャビテーションが発生する。既述したように、キャビテーションとは、液体に作用する圧力変化によって短時間のうちに液中に泡の発生と消滅とが起きる現象である。そして、その泡が消滅するときに発生する大きな衝撃によって処理領域P1に付着していたパーティクル等の汚染物質が剥離される。このようにして基板Wの処理領域P1に対する超音波洗浄が進行する。
【0063】
また、超音波ノズル30が超音波洗浄を行うときには、不活性ガスノズル82から液滴D1が接触している処理領域P1の近傍に窒素ガスを吹き付ける(ステップS7)。液滴D1が基板Wに接触しているときに、不活性ガスノズル82から液滴D1が接触している処理領域P1に窒素ガスを吹き付けることにより、処理領域P1の周辺は窒素雰囲気となって酸素から遮断され、その結果処理領域P1にウォーターマークが付くことを防止することができる。ウォーターマークとは、基板Wの表面に水分と酸素とが作用することによって生じるシミである。不活性ガスノズル82から窒素ガスを吹き付けて処理領域P1の周辺から酸素を遮断することにより、処理領域P1における酸化を防止してウォーターマークの発生を防ぐのである。
【0064】
上述のように、ステップS4で形成される処理液の液滴D1の液量はそれ程多くないため、基本的には液滴D1が処理領域P1に接触したときにも処理液が基板Wの表面に拡がっていくことはない。但し、基板Wの表面のぬれ性(接触角)によっては、液滴D1が処理領域P1に接触したときに処理液が基板Wの表面に拡がるおそれがある。具体的には、基板Wの表面が親水性(接触角が小さい)であると処理液が基板Wの表面に拡がりやすい。このため、基板Wの表面は撥水性(接触角が大きい)であることが好ましい。
【0065】
本実施形態においては、スピンチャック22から見て超音波ノズル30よりも内側に不活性ガスノズル82が設けられており、不活性ガスノズル82が基板Wの中心から外周端に向けて窒素ガスを吹き付ける。このため、仮に基板Wの表面が親水性であって液滴D1を構成する処理液が基板Wの表面に拡がる場合にも、その処理液を基板Wの外周端方向に向かわせることができる。その結果、パターンが形成されている基板Wの内側領域(端縁部よりも内側の領域)に処理液が拡がってその内側領域が汚染されることは防がれる。
【0066】
液滴D1を処理領域P1に接触させての超音波洗浄が開始されてから所定時間が経過した後、処理領域P1に接触させた液滴D1を超音波ノズル30が吸引する(ステップS8)。図9は、処理領域P1に接触させた液滴D1を超音波ノズル30が吸引した状態を示す図である。このときには、制御部90の制御下にて、加圧バルブ36を閉止したまま吸引バルブ37を開放する。加圧バルブ36が閉止された状態で吸引バルブ37が開放されると、本体部31内の処理液が吸引管35に吸引され、吐出口32の処理液も吸引されて液滴D1に負圧が作用する。これにより、処理領域P1に接触していた処理液の液滴D1が処理領域P1から離間して吐出口32を経て本体部31内に吸引される。このときに、超音波洗浄によって処理領域P1から剥離したパーティクルも液滴D1とともに吐出口32を経て本体部31内に吸引される。すなわち、基板Wの処理領域P1からはパーティクルが除去されたこととなる。なお、後にノズル洗浄槽50にて超音波ノズル30の内部の洗浄を行うため、本体部31内の処理液を全て完全に吸引管35から吸引する必要はなく、液滴D1を本体下部31bに吸引できる程度の時間だけ吸引バルブ37を開放すれば足りる。
【0067】
液滴D1が超音波ノズル30に吸引された後、超音波ノズル30が再び待機位置に移動する(ステップS9)。すなわち、制御部90がノズル駆動部63を制御して超音波ノズル30を回動させて待機位置に移動させる。
【0068】
待機位置に帰還した超音波ノズル30に対してはステップS1と同様の洗浄処理が行われる。このときに、ステップS8で液滴D1とともに吸引したパーティクルは超音波ノズル30の吐出口32からノズル洗浄槽50内に放出される。
【0069】
本実施形態においては、超音波ノズル30の吐出口32から処理液を押し出して処理液の液滴D1を形成し、その液滴D1を基板Wの処理領域P1に接触させ、接触した液滴D1に超音波を付与している。これにより、処理領域P1に対しては超音波を作用させて超音波洗浄を行うことができ、処理領域P1に付着したパーティクルを除去することができる。その一方、処理領域P1以外の領域(パターンが形成された基板Wの内側領域を含む)には、処理液が接触することはなく、超音波が作用することもない。従って、パターンに超音波が作用することはなく、超音波に起因したキャビテーションによってパターンがダメージを受けるのを防止することができる。その結果、洗浄が必要な領域のみに超音波を作用させることができ、当該領域に対しては適切な超音波洗浄を行いつつもパターンが形成された領域に対しては超音波を作用させることなくパターンの損傷を防ぐことができる。すなわち、パターンを損傷することなく必要な領域には超音波を作用させることができる。なお、処理領域P1は基板Wの端縁部の一部であるため、処理領域P1にはパターンは形成されていない。処理領域P1として、前工程で何らかの部材が基板Wの端縁部に接触することによって汚染が生じやすい箇所を設定すれば好適である。
【0070】
また、本実施形態においては、基板Wの端縁部の一部である処理領域P1のみに対して処理液の液滴D1を接触させ、その他の領域には処理液を供給していない。すなわち、本実施形態の洗浄は、基板W上のほとんどの領域が処理液に接触しない疑似ドライ洗浄と捉えることができる。このため、従来の超音波洗浄と比較して消費する処理液の液量を顕著に低減することが可能である。
【0071】
また、本実施形態においては、処理液の液滴D1が基板Wに接触しているときに、不活性ガスノズル82から処理領域P1の近傍に窒素ガスを吹き付けている。これにより、処理領域P1を酸素から遮断して処理領域P1にウォーターマークが付くことを防止することができる。
【0072】
特に、不活性ガスノズル82は基板Wの中心から外周端に向けて窒素ガスを吹き付けている。このため、基板Wの処理領域P1に接触している液滴D1からパターンが形成されている基板Wの内側領域に向けて処理液が流れるのを防止することができる。
【0073】
また、本実施形態においては、超音波ノズル30の吐出口32の内径dが0.5mm以上1.0mm以下である。基板Wの端縁部の幅は1mm~数mmである。このため、基板Wの内側領域に液滴を接触させることなく、端縁部のみに液滴を接触させることができ、パターンにダメージを与えることなく端縁部を良好に洗浄することができる。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、基板Wを静止状態で保持しつつ端縁部の一部である処理領域P1に対する洗浄を行っていたが、これに代えて、スピンモータ25によって基板Wを回転させつつ端縁部全体の超音波洗浄を行うようにしても良い。
【0075】
また、上記実施形態においては、基板Wの端縁部の一部である処理領域P1に対して洗浄処理を行っていたが、これに限定されるものではなく、内側領域の一部に対して洗浄処理を行うようにしても良い。基板Wの内側領域であってもその全域にパターンが形成されているわけではなく、内側領域にもパターンが形成されていない部位が存在する。そのような内側領域のパターンが存在しない部位に処理液の液滴D1を接触させ、その液滴D1に超音波を付与して当該部位の洗浄を行うようにしても良い。このようにしても、上記実施形態と同様に、パターンを損傷することなく必要な領域には超音波を作用させることができる。すなわち、本発明に係る技術は、基板Wの端縁部のみならず、基板Wの面内の任意の箇所を限定的に処理する局所処理技術である。
【0076】
また、上記実施形態においては、処理液として純水を用いていたが、これに代えて、処理液として例えばSC-1液等の洗浄液を用いるようにしても良い。SC-1液等の洗浄液を用いて超音波洗浄を行えば、基板Wに強固に付着しているパーティクルをより効果的に除去することができる。
【0077】
また、本発明に係る基板処理技術は洗浄処理に限定されるものではなく、エッチング処理であっても良い。具体的には、処理液として例えばフッ酸等のエッチング液を用い、エッチング液の液滴を基板Wの一部領域に接触させて当該一部領域のエッチング処理を行うようにしても良い。基板Wの表面には所定の薄膜が成膜されている。薄膜が形成された基板Wの一部領域にエッチング液の液滴を接触させ、その液滴に超音波を付与することによって当該一部領域の薄膜のエッチング処理を行う。このようにすれば、超音波によってエッチング液が加熱されるため、エッチングレートを向上させることができる。それに加えて、キャビテーションの作用によって薄膜を効果的にエッチングすることができる。
【0078】
また、基板処理装置1に、洗浄液を吐出する洗浄ノズルを設け、上記実施形態の超音波洗浄の前または後に、基板Wの表面に対して当該洗浄ノズルから洗浄液を吐出して洗浄処理を行うようにしても良い。特に、基板Wの端縁部に強固に付着していたパーティクルを上記実施形態の超音波洗浄によって剥離した後に、基板Wの表面に洗浄液を吐出して洗浄処理を行うようにすれば効果的である。
【0079】
また、上記実施形態においては、超音波ノズル30の本体部31に加圧管34および吸引管35の双方を接続していたが、これに代えて、本体部31の側方に吸引部を設け液滴を吐出口32とは異なる吸引専用の経路から吸引するようにしても良い。このようにすれば、本体部31内にパーティクル等の汚染物質が引き込まれることがないため、本体部31内の汚染をより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 基板処理装置
10 処理チャンバー
20 回転保持部
22 スピンチャック
25 スピンモータ
30 超音波ノズル
31 本体部
32 吐出口
33 超音波振動子
34 加圧管
35 吸引管
36 加圧バルブ
37 吸引バルブ
40 カップ
50 ノズル洗浄槽
55 乾燥ノズル
63 ノズル駆動部
82 不活性ガスノズル
90 制御部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9