(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142491
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】課金処理システム、及び課金処理方法
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20241003BHJP
【FI】
G07B15/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054645
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】芝田 裕
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 利恵
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA03
3E127BA11
3E127CA13
3E127CA59
3E127EA03
3E127EA12
3E127EA21
3E127EA27
(57)【要約】
【課題】負荷を低減することができる課金処理システム、及び課金処理方法を提供する。
【解決手段】課金処理システムは、有料道路の入口と出口、経由地点を含む複数の処理地点の各々に設けられ、処理地点を通過した車両を検知する路側処理装置と、上層システムと、を備え、上層システムは、即時課金中央装置と情報配信装置とを備え、車両が入口を通過して有料道路に進入すると、車両が通過した入口の路側処理装置は、車両の車両情報を即時課金中央装置に配信し、即時課金中央装置は、車両情報から即時情報を生成し、即時課金中央装置は、情報配信装置に即時情報を配信し、情報配信装置は、必要な即時情報から路側処理装置ごとに即時課金テーブルを構築し、複数の路側処理装置の各々は、情報配信装置から必要な即時課金テーブルを取得し、車両が通過した処理地点の路側処理装置は、即時課金テーブルを参照して、車両に対して課金処理を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路を走行する車両に対して課金処理を行う課金処理システムであって、
前記有料道路の入口と出口を含むとともに、前記有料道路上で前記入口と前記出口との間に設けられた経由地点を含む複数の処理地点の各々に設けられ、前記処理地点を通過した前記車両を検知する路側処理装置と、
前記路側処理装置を制御する上層システムと、
を備え、
前記上層システムは、
前記路側処理装置と通信可能な即時課金中央装置と、
前記即時課金中央装置及び前記路側処理装置と通信可能な情報配信装置と、
を備え、
前記車両が前記入口を通過して前記有料道路に進入すると、前記車両が通過した前記入口の前記路側処理装置は、前記車両の車両情報を前記即時課金中央装置に配信し、
前記即時課金中央装置は、前記車両情報から即時情報を生成し、
前記即時課金中央装置は、前記情報配信装置に即時情報を配信し、
前記情報配信装置は、必要な即時情報から前記路側処理装置ごとに即時課金テーブルを構築し、
複数の前記路側処理装置の各々は、前記情報配信装置から必要な即時課金テーブルを取得し、
前記車両が通過した前記処理地点の前記路側処理装置は、前記即時課金テーブルを参照して、前記車両に対して課金処理を行う、
課金処理システム。
【請求項2】
前記情報配信装置は、複数設けられ、
前記即時課金中央装置は、複数の前記情報配信装置の各々に必要な即時情報を配信し、
複数の前記情報配信装置の各々は、必要な即時情報から前記路側処理装置ごとに前記即時課金テーブルを構築し、
複数の前記路側処理装置の各々は、複数の前記情報配信装置の各々から必要な前記即時課金テーブルを取得する、
請求項1に記載の課金処理システム。
【請求項3】
前記情報配信装置は、前記車両が享受するサービスに対応した即時情報に有効か無効かを規定する有効フラグを設定し、
複数の前記路側処理装置の各々は、前記即時課金テーブルを構成する即時情報のうち、前記有効フラグが有効な即時情報のみを更新する、
請求項1又は請求項2に記載の課金処理システム。
【請求項4】
前記有料道路は、エリアごとに、料金サービスの共通した異なる道路事業者によって管轄され、
前記上層システムは、料金サービスの共通した異なる前記エリアに配置された複数の前記路側処理装置を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の課金処理システム。
【請求項5】
前記有料道路は、エリアごとに、料金サービスの共通しない異なる道路事業者によって管轄され、
前記上層システムは、料金サービスの共通しない異なる前記エリアごとに複数設けられ、
複数の前記上層システムの各々は、対応する前記エリアに配置された複数の前記路側処理装置を制御し、
前記エリア同士の境界にバリア処理装置をさらに備え、
前記バリア処理装置は、前記エリア同士の境界を通過した前記車両について、前記上層システムの各々に通知し、
前記車両に退出された側の前記上層システムは、退出した前記車両についての前記即時情報を削除し、
前記車両に進入された側の前記上層システムは、進入した前記車両についての課金処理のフローを開始する、
請求項1又は請求項2に記載の課金処理システム。
【請求項6】
有料道路を走行する車両に対して課金処理を行う課金処理システムを用いた課金処理方法であって、
前記課金処理システムは、
前記有料道路の入口と出口を含むとともに、前記有料道路上で前記入口と前記出口との間に設けられた経由地点を含む複数の処理地点の各々に設けられ、前記処理地点を通過した前記車両を検知する路側処理装置と、
前記路側処理装置を制御する上層システムと、
を備え、
前記上層システムは、
前記路側処理装置と通信可能な即時課金中央装置と、
前記即時課金中央装置及び前記路側処理装置と通信可能な情報配信装置と、
を備え、
前記車両が前記入口を通過して前記有料道路に進入すると、前記車両が通過した前記入口の前記路側処理装置が、前記車両の車両情報を前記即時課金中央装置に配信するステップと、
前記即時課金中央装置が、前記車両情報から即時情報を生成するステップと、
前記即時課金中央装置が、前記情報配信装置に即時情報を配信するステップと、
前記情報配信装置が、必要な即時情報から前記路側処理装置ごとに即時課金テーブルを構築するステップと、
複数の前記路側処理装置の各々が、前記情報配信装置から必要な即時課金テーブルを取得するステップと、
前記車両が通過した前記処理地点の前記路側処理装置は、前記即時課金テーブルを参照して、前記車両に対して課金処理を行うステップと、
を含む課金処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、課金処理システム、及び課金処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路に利用されている電子式料金収受システム(Electronic Toll Collection System;ETC(登録商標))は、料金所の各車線(レーン)に設置された無線通信装置と、車両に搭載された車載器とが無線通信を行うことで、走行中の車両に対し自動的に料金収受処理(決済処理)を行うことを可能とする。
【0003】
上記の技術に関連する技術として、特許文献1には、料金所に車両が進入するたびに、DBセンターから当該車両の課金に関する情報を入手して課金処理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、料金所やフリーフロー(FF)の数や、有料道路を通行する車両の数が増えるほど、ETCの中央装置及びネットワークへの負荷が大きくなり、パフォーマンスが低下してしまう。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、負荷を低減することができる課金処理システム、及び課金処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る課金処理システムは、有料道路を走行する車両に対して課金処理を行う課金処理システムであって、前記有料道路の入口と出口を含むとともに、前記有料道路上で前記入口と前記出口との間に設けられた経由地点を含む複数の処理地点の各々に設けられ、前記処理地点を通過した前記車両を検知する路側処理装置と、前記路側処理装置を制御する上層システムと、を備え、前記上層システムは、前記路側処理装置と通信可能な即時課金中央装置と、前記即時課金中央装置及び前記路側処理装置と通信可能な情報配信装置と、を備え、前記車両が前記入口を通過して前記有料道路に進入すると、前記車両が通過した前記入口の前記路側処理装置は、前記車両の車両情報を前記即時課金中央装置に配信し、前記即時課金中央装置は、前記車両情報から即時情報を生成し、前記即時課金中央装置は、前記情報配信装置に即時情報を配信し、前記情報配信装置は、必要な即時情報から前記路側処理装置ごとに即時課金テーブルを構築し、複数の前記路側処理装置の各々は、前記情報配信装置から必要な即時課金テーブルを取得し、前記車両が通過した前記処理地点の前記路側処理装置は、前記即時課金テーブルを参照して、前記車両に対して課金処理を行う。
【0008】
本開示に係る課金処理方法は、有料道路を走行する車両に対して課金処理を行う課金処理システムを用いた課金処理方法であって、前記課金処理システムは、前記有料道路の入口と出口を含むとともに、前記有料道路上で前記入口と前記出口との間に設けられた経由地点を含む複数の処理地点の各々に設けられ、前記処理地点を通過した前記車両を検知する路側処理装置と、前記路側処理装置を制御する上層システムと、を備え、前記上層システムは、前記路側処理装置と通信可能な即時課金中央装置と、前記即時課金中央装置及び前記路側処理装置と通信可能な情報配信装置と、を備え、前記車両が前記入口を通過して前記有料道路に進入すると、前記車両が通過した前記入口の前記路側処理装置が、前記車両の車両情報を前記即時課金中央装置に配信するステップと、前記即時課金中央装置が、前記車両情報から即時情報を生成するステップと、前記即時課金中央装置が、前記情報配信装置に即時情報を配信するステップと、前記情報配信装置が、必要な即時情報から前記路側処理装置ごとに即時課金テーブルを構築するステップと、複数の前記路側処理装置の各々が、前記情報配信装置から必要な即時課金テーブルを取得するステップと、前記車両が通過した前記処理地点の前記路側処理装置は、前記即時課金テーブルを参照して、前記車両に対して課金処理を行うステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の課金処理システム、及び課金処理方法によれば、負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る課金処理システムが導入される有料道路の一例を示す図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る課金処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る路側処理装置の機能構成を示す図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る料金計算情報配信装置の機能構成を示す図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る即時課金中央装置の機能構成を示す図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る即時課金中央装置に入力される第1のプリセット情報のテーブルの一例である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る即時課金中央装置に入力される第2のプリセット情報のテーブルの一例である。
【
図8】本開示の実施形態に係る即時課金中央装置に入力される第2のプリセット情報のテーブルの別の一例である。
【
図9】本開示の第1実施形態に係る即時課金中央装置に入力される第3のプリセット情報のテーブルの一例である。
【
図10】本開示の第1実施形態に係る情報配信装置の機能構成を示す図である。
【
図11】本開示の第1実施形態に係る課金処理手順の処理フローを示す図である。
【
図12】本開示の第1実施形態に係る即時課金中央装置が構築する即時課金テーブルの一例である。
【
図13】本開示の第1実施形態に係る即時課金中央装置が構築する即時課金テーブルの一例である。
【
図14】本開示の第1実施形態に係る差分の即時課金テーブルを説明するために用いるテーブルである。
【
図15】本開示の第1実施形態に係る差分の即時課金テーブルを説明するために用いるテーブルである。
【
図16】本開示の第1実施形態に係る即時課金中央装置が構築する差分の即時課金テーブルの一例である。
【
図17】本開示の第1実施形態に係る情報配信装置で、複数の即時課金テーブルが頭語することによって構築された即時課金テーブルの一例である。
【
図18】本開示の第2実施形態に係る課金処理システムの構成例を示す図である。
【
図19】本開示の第2実施形態に係る即時課金中央装置に入力される第2のプリセット情報のテーブルの一例である。
【
図20】本開示の第3実施形態に係る課金処理システムの構成例を示す図である。
【
図21】本開示の第3実施形態に係るバリア処理装置の機能構成を示す図である。
【
図22】本開示の第3実施形態に係る車両がエリア同士の境界を通過する際に実行される処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態に係る課金処理システム100、及び課金処理方法について説明する。
【0012】
本実施形態の課金処理システム100は、例えば電子式料金収受システム(ETC)であって、
図1に示す有料道路Lに導入されている。課金処理システム100は、有料道路Lを走行する車両90に対して課金処理を行う。課金処理システム100を利用する各車両90には、車載器91が搭載されている。また、各車載器91には、電子式料金収受システム(ETC)を利用可能なICカードが挿入されている。
【0013】
図1に示すように、有料道路Lには、通行した車両90に対して課金処理が行われる複数の処理地点Pが存在する。複数の処理地点Pは、有料道路Lの入口P1と出口P2を含むとともに、有料道路L上で入口P1と出口P2との間に設けられた経由地点P3を含む。
【0014】
図示の例では、出口P2は複数設けられている。
図1には、これら複数の出口P2のうち、第1出口A1と、第2出口A2と、第3出口A3とが図示されている。
また、図示の例では、入口P1は複数設けられている。
図1には、これら複数の入口P1のうち、第1入口B1と、第2入口B2と、第3入口B3とが図示されている。
また、図示の例では、経由地点P3は複数設けられている。
図1には、これら複数の経由地点P3のうち、第1経由地点C1と、第2経由地点D1とが図示されている。
【0015】
例えば
図1には、有料道路Lのうち、第1道路L1、第2道路L2と、第3道路L3とが図示されている。例えば、第1入口B1と第1出口A1とは、第1道路L1と第2道路L2によって接続されている。さらに、第2道路L2には、第1入口B1と第1出口A1との間に、第1経由地点C1が設けられている。また、第1経由地点C1と第1出口A1とは、第2道路L2の他に第3道路L3によって接続されている。さらに、第3道路L3には、第2経由地点D1が設けられている。
【0016】
各処理地点Pには、処理地点Pの各々には、料金所(入口料金所、集約料金所、出口料金所)やフリーフロー(FF)(入口フリーフロー(入口FF)、集約フリーフロー(集約FF)、出口フリーフロー(出口FF))等の料金収受設備が設けられている。これら料金所やFFごとに、路側処理装置1が設置されている。路側処理装置1の詳細な機能については、後述する。
【0017】
以下では、説明を簡略化するため、有料道路Lは一車線で一方通行であり、全ての処理地点Pは、異なる地点に配置されているものとする。しかしながら、有料道路L、及び処理地点Pは、この例に限られない。有料道路L、及び課金処理点の配置、設置数は、適宜変更可能である。例えば、有料道路L上の同じ地点に、入口P1料金所と出口P2料金所が設けられてもよい。
また、以下では、有料道路Lの全域が1つの道路事業者によって管轄されている場合を例に実施形態を説明する。
【0018】
(課金処理システムの全体構成)
続いて、課金処理システム100の構成について説明する。
図2に示すように、課金処理システム100は、路側処理装置1と、上層システム101とを備える。
【0019】
路側処理装置1は、複数の処理地点Pの各々に設けられている。路側処理装置1は、処理地点Pを通過した車両90を検知する。
【0020】
上層システム101は、路側処理装置1を制御する。上層システム101は、料金情報配信装置2と、即時課金中央装置3と、情報配信装置4とを備える。料金情報配信装置2は、各路側処理装置1で課金額を計算するための情報を配信する。即時課金中央装置3は、路側処理装置1と通信可能とされ、情報配信装置4は、即時課金中央装置3及び路側処理装置1と通信可能とされている。本実施形態では、情報配信装置4は、複数設けられている。
以下、課金処理システム100を構成する各装置の機能構成について説明する。
【0021】
(路側処理装置)
図3に示すように、路側処理装置1は、CPU10と、メモリ11と、通信インタフェース12と、記録媒体13とを備える。
【0022】
CPU10は、予め用意されたプログラムに従って動作することで種々の機能を発揮するプロセッサである。
メモリ11は、いわゆる主記憶装置であって、CPU10の動作に必要な記憶領域を有する。
通信インタフェース12は、広域通信網を介して、即時課金中央装置3及び情報配信装置4と通信可能に接続するための接続インタフェースである。
記録媒体13は、いわゆる補助記憶装置であって、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの大容量記憶デバイスである。
【0023】
次に、路側処理装置1の機能について説明する。
CPU10が予め用意されたプログラムに従って動作することで、路側処理装置1は、各機能を発揮する。
【0024】
例えば、路側処理装置1は、処理地点Pを通過した車両90を検知する。路側処理装置1は、検知した当該車両90から車両情報を取得する。車両情報は、車載器ID等の車両特定情報や、確定車種情報等を含む。また、路側処理装置1は、車載器91に挿入されたICカードに、確定車種等、課金処理に必要な情報を書き込むことができる。また、逆に、路側処理装置1は、ICカードから情報を読み出すこともでき、ICカード内の情報を書き換えることもできる。さらに、路側処理装置1は、取得した車両情報を、自身が配置された処理地点Pの番号(入口P1の入口番号や、出口P2の出口番号、経由地点P3の経由地点番号)とともに即時課金中央装置3に配信する。車両90が通過した処理地点Pの路側処理装置1は、当該処理地点Pを通過した車両90に対して課金処理を行う。
【0025】
(料金情報配信装置)
図4に示すように、料金情報配信装置2は、CPU20と、メモリ21と、通信インタフェース22と、記録媒体23とを備える。
【0026】
CPU20は、予め用意されたプログラムに従って動作することで種々の機能を発揮するプロセッサである。
メモリ21は、いわゆる主記憶装置であって、CPU20の動作に必要な記憶領域を有する。
通信インタフェース22は、広域通信網を介して、即時課金中央装置3と通信可能に接続するための接続インタフェースである。
記録媒体23は、いわゆる補助記憶装置であって、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの大容量記憶デバイスである。
【0027】
次に、料金情報配信装置2の機能について説明する。
CPU20が予め用意されたプログラムに従って動作することで、料金情報配信装置2は、各機能を発揮する。
【0028】
例えば、料金情報配信装置2は、作業者の手入力によって料金計算に必要な情報を取得する。料金情報配信装置2は、取得した料金計算に必要な情報を即時課金中央装置3に配信する。
【0029】
(即時課金中央装置)
図5に示すように、即時課金中央装置3は、CPU30と、メモリ31と、通信インタフェース32と、記録媒体33とを備えている。
【0030】
CPU30は、予め用意されたプログラムに従って動作することで種々の機能を発揮するプロセッサである。
メモリ31は、いわゆる主記憶装置であって、CPU30の動作に必要な記憶領域を有する。
通信インタフェース32は、広域通信網を介して、各路側処理装置1と料金情報配信装置2と各情報配信装置4と通信可能に接続するための接続インタフェースである。
記録媒体33は、いわゆる補助記憶装置であって、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの大容量記憶デバイスである。
【0031】
次に、即時課金中央装置3の機能について説明する。
CPU30が予め用意されたプログラムに従って動作することで、即時課金中央装置3は、各機能を発揮する。
【0032】
例えば、即時課金中央装置3は、各路側処理装置1から配信される車両情報を取得する。即時課金中央装置3は、車両情報から即時情報を生成する。即時情報は、車両90に対して即時に課金処理を行う(即時課金を行う)ために必要な情報である。即時課金中央装置3は、これらの即時情報を情報配信装置4に配信し、情報配信装置4が即時課金情報を取得する。なお、上述したように、本実施形態では、情報配信装置4は、複数設けられており、複数の情報配信装置4の各々が必要な即時情報を取得する。
【0033】
即時情報には、例えば第3のプリセット情報と、確定車種情報とがある。第3のプリセット情報は、各路側処理装置1が必要とする即時情報と、各路側処理装置1が複数の情報配信装置4のうちどの情報配信装置4から該当する即時情報を取得するかを規定した情報である。第3のプリセット情報の詳細については後述する。確定車種情報は、各路側処理装置1から取得される。
【0034】
また、即時情報には、例えば車両90が享受するサービスに対応しているサービス情報がある。このサービス情報には、例えば通常料金情報、割引情報N(N=1、2…)等がある。通常料金情報は、有料道路Lの利用にかかる割引前の料金を規定する情報である。この通常料金情報は、車両90が通行する経路によって変動する。割引情報Nは、所定の条件を満たす車両90に対し、有料道路Lの利用にかかる料金を割り引く情報である。
【0035】
また、即時課金中央装置3は、例えば料金情報配信装置2等からプリセット情報を取得する。なお、プリセット情報は、他のシステムから取得されてもよく、作業者の手入力によって即時課金中央装置3に直接入力されてもよい。
以下、プリセット情報の例について
図6から
図9を参照する。
【0036】
(第1のプリセット情報)
まずは、第1のプリセット情報について説明する。
図6に示すように、第1のプリセット情報のテーブルには、即時情報を取り扱う路側処理装置1がまとめられている。
【0037】
図6の例では、No.1の情報配信装置4が、後述する第3のプリセット情報を取扱い、No.2の情報配信装置4が確定車種情報と通常料金情報とを取り扱い、No.3の情報配信装置4が、割引情報1を取り扱い、No.4の情報配信装置4が、確定車種情報と割引情報2とを取り扱う。
【0038】
(第2のプリセット情報)
続いて、第2のプリセット情報について説明する。第2のプリセット情報は、通常料金や割引率、車両90が享受するサービスを算出するための情報や設定情報である。
【0039】
例えば、
図7に示すように、第2のプリセット情報として、通常料金情報(均一/距離料金計算用情報)がまとめられている。
図7の例では、各経路の料金が、車種ごとに設定されている。例えば、
図7の1段目には、第1入口B1から第1出口A1までの料金のうち、経由地点P3を通過することのない経路の料金が、車種ごとに設定されている。また、
図7の2段目には、第1入口B1から第1出口A1までの料金のうち、第1経由地点C1を通過してかつ第2経由地点D1を通過することのない経路の料金が車種ごとに設定されている。
【0040】
また例えば、
図8に示すように、第2のプリセット情報として、割引情報1がまとめられている。
図8の例では、各経路の割引率(%)が、設定されている。
図8の例では、各経路の割引率が、車種ごとに設定されている。例えば、
図8の1段目には、第1入口B1から第1出口A1までの料金のうち、経由地点P3を通過することのない経路の割引率が、車種ごとに設定されている。また、
図8の2段目には、第1入口B1から第1出口A1までの料金のうち、第1経由地点C1を通過してかつ第2経由地点D1を通過することのない経路の割引率が車種ごとに設定されている。
これらは、第2のプリセット情報の一例であり、他の第2のプリセット情報として、例えば他の割引情報2、3、…等が即時課金中央装置3に入力されてもよい。
【0041】
(第3のプリセット情報)
続いて、第3のプリセット情報について説明する。第3のプリセット情報は、各路側処理装置1が複数の情報配信装置4のうちどの情報配信装置4から該当する即時情報を取得するかを規定した情報である。
【0042】
図9の例では、処理地点Pごとに、料金収受設備と、路側処理装置1の接続対象の情報配信装置4の数と、路側処理装置1の接続対象の情報配信装置4の番号と、各即時情報を取り扱う情報配信装置4の番号とが規定されている。
【0043】
例えば、
図9の1段目には、第1出口A1についての情報が規定されており、以下のようになる。第1出口A1には出口FFが設けられる。また、第1出口A1の路側処理装置1の接続対象の情報配信装置4の数は、3つである。第1出口A1の路側処理装置1の接続対象の情報配信装置4の番号は、No.1とNo.2とNo.3である。第1出口A1の路側処理装置1は、No.1の情報配信装置4から第3のプリセット情報を取得し、No.2の情報配信装置4から確定車種と通常料金情報を取得し、No.3の情報配信装置4から割引情報1を取得する。
【0044】
(情報配信装置)
図10に示すように、情報配信装置4は、CPU40と、メモリ41と、通信インタフェース42と、記録媒体43とを備えている。
【0045】
CPU40は、予め用意されたプログラムに従って動作することで種々の機能を発揮するプロセッサである。
メモリ41は、いわゆる主記憶装置であって、CPU40の動作に必要な記憶領域を有する。
通信インタフェース42は、広域通信網を介して、各路側処理装置1及び即時課金中央装置3と通信可能に接続するための接続インタフェースである。
記録媒体43は、いわゆる補助記憶装置であって、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの大容量記憶デバイスである。
【0046】
次に、情報配信装置4のCPU40の機能について説明する。
CPU40が予め用意されたプログラムに従って動作することで、情報配信装置4は各機能を発揮する。
【0047】
情報配信装置4は、即時情報から即時課金テーブルを構築する。本実施形態では、情報配信装置4は、複数設けられている。情報配信装置4ごとに、必要な即時情報は異なり、構築される即時課金テーブルは、情報配信装置4ごとに異なる。
【0048】
(課金処理方法)
続いて、課金処理システム100を用いた課金処理方法について、
図11のフローを参照して説明する。
【0049】
まず、車両90が入口P1を通過して有料道路Lに進入すると、車両90が通過した入口P1の路側処理装置1が当該車両90を検知する。当該路側処理装置1は、当該入口P1の入口番号とともに当該車両90の車両情報を即時課金中央装置3に配信する(ステップS1)。
【0050】
ステップS1の後、即時課金中央装置3は、当該入口P1の入口番号と当該車両情報から、当該車両90が享受するサービスを算出し、即時情報を生成する(ステップS2)。ステップS2では、即時課金中央装置3が、第2のプリセット情報(
図7、
図8等参照)の設定情報に基づいて、当該入口P1の入口番号と当該車両情報から算出される確定車種情報、通常料金情報、割引情報1等の即時情報を抽出する。
【0051】
ステップS2の後、即時課金中央装置3は、予め入力された第1のプリセット情報(
図6参照)に従って、複数の情報配信装置4の各々に必要な即時情報を配信(通知)する(ステップS3)。
図6の例に従えば、即時情報のうち第3のプリセット情報は、No.1の情報配信装置4に配信され、即時情報のうち確定車種情報は、No.2とNo.4の情報配信装置4に配信され、即時情報のうち通常料金情報は、No.2の情報配信装置4に配信され、即時情報のうち割引情報1はNo.3の情報配信装置4に配信され、即時情報のうち割引情報2はNo.4の情報配信装置4に配信される。
【0052】
ステップS3の後、情報配信装置4が必要な即時情報を受信して取得する。情報配信装置4が、その取得した必要な即時情報から路側処理装置1ごとに即時課金テーブルを構築する(ステップS4)。本実施形態のステップS4では、複数の情報配信装置4の各々が、必要な即時情報から路側処理装置1ごとに即時課金テーブルを構築する。
【0053】
ステップS4では、例えば
図12や
図13に示すような即時課金テーブルを構築する。
図12、
図13は、ともに第1出口A1の路側処理装置1についての即時課金テーブルである。また、
図12は、No.2の情報配信装置4で構築される即時課金テーブルの一例であり、
図13は、No.3の情報配信装置4で構築される即時課金テーブルの一例である。
図12、
図13に示される即時課金テーブルは、所定の一時刻について、各車両90の即時情報がまとめられた即時課金テーブルである。以下では、このような即時課金テーブルを「全件の即時課金テーブル」と称して説明する場合がある。
【0054】
各情報配信装置4は、即時課金中央装置3から受信して取得した車両特定情報をキーにして、必要な情報を設定する。例えば、
図12、
図13に示すように、即時課金テーブルでは、車両特定情報ごとに即時情報がまとめられている。
【0055】
ステップS4では、情報配信装置4は、即時課金テーブルを構成する即時情報のうち、車両90が享受するサービスに対応した即時情報に有効か無効かを規定する有効フラグを設定する。例えば、
図12に示すNo.2の情報配信装置4の即時課金テーブルでは、通常料金情報の有効フラグが有効となり、割引情報1の有効フラグと割引情報2の有効フラグとが無効に設定されている。
図13に示すNo.3の情報配信装置4の即時課金テーブルでは、割引情報1の有効フラグが有効となり、通常料金の有効フラグと割引情報2の有効フラグとが無効に設定されている。
【0056】
なお、即時課金中央装置3は、車両90が各処理地点Pを通過する毎に、または一定の周期で、路側処理装置1から車両情報を取得し、一定の周期で即時情報を情報配信装置4に配信する。情報配信装置4は、即時課金中央装置3から一定の周期で配信される即時情報をもとに、差分の即時情報テーブルを作成することもできる。差分の即時情報テーブルとは、車両90が有料道路Lから退出して当該車両90の即時情報が削除された情報と、新たな車両90が有料道路Lに進入して当該車両90の即時情報が登録された情報とを示す即時課金テーブルである。
【0057】
例えば、1分毎に即時情報を更新する場合を例に説明する。例えば1分前には、
図14に示すように、車両特定情報「00001111」「00001199」の車両90について、即時情報が存在している。その1分後の現在時刻に、車両特定情報「00001111」の車両90が有料道路Lから退出して、新たな車両特定情報「00001222」の車両90が有料道路Lに進入すると、
図15に示すように、車両特定情報「00001111」の車両90の即時情報が即時課金テーブルから削除され、新たな車両特定情報「00001222」の車両90の即時情報が即時課金テーブルに登録される。例えば、これら1分前の全件の即時課金テーブル(
図14)と、現在時刻の全件の即時課金テーブル(
図15)との差分を取って、
図16に示すような、差分の即時課金テーブルが作成される。
図16の例では、車両特定情報「00001111」の車両90の即時情報が削除された情報と、車両特定情報「00001222」の車両90の即時情報が登録された情報とがまとめられている。
【0058】
ステップS4の後、複数の路側処理装置1の各々は、情報配信装置4から必要な即時課金テーブルを取得する(ステップS5)。本実施形態では、複数の路側処理装置1の各々は、複数の情報配信装置4の各々から必要な即時課金テーブルを取得する。
【0059】
ステップS5では、路側処理装置1は、中央課金装置、又はNo.1の情報配信装置4から第3のプリセット情報に接続する。そして、路側処理装置1が、第3のプリセット情報(
図9参照)で登録した各情報配信装置4に、周期的に即時課金テーブルを収集にいく。
各情報配信装置4は、自身の即時課金テーブルが更新されると、管轄する路側処理装置1に通知する。通知を受けた路側処理装置1は、情報配信装置4に収集にいく。
また、情報配信装置4が、各路側処理装置1に課金テーブルを配信するようにしてもよい。
【0060】
ステップS5では、取得した複数の即時課金テーブルを、車両特定情報をもとに1つの即時課金テーブルに統合する。即時課金テーブルを統合する際は、車両特定情報をキーに検索し、車両特定情報が同一の場合に即時課金テーブルを統合する。この時、複数の路側処理装置1の各々は、即時課金テーブルを構成する即時情報のうち、有効フラグが有効な即時情報のみを更新する。
【0061】
例えば、第1出口A1の路側処理装置1が、
図12示すNo.2の情報配信装置4の即時課金テーブルと、
図13に示すNo.3の情報配信装置4の即時課金テーブルとを統合する場合を例に説明する。この場合、
図12からは有効フラグが有効な通常料金情報が抽出され、
図13からは有効フラグが有効な割引情報1が抽出される。これらの抽出された即時情報を抽出することにより、第1出口A1の路側処理装置1には、
図17に示すような即時課金テーブルが構築される。
【0062】
ステップS5の後、車両90が通過した処理地点Pの路側処理装置1は、即時課金テーブルを参照して、当該車両90に対して課金処理を行う(ステップS6)。この時、当該車両90には、課金額が通知される。
【0063】
ステップS6の後、車両90が出口P2を通過して有料道路Lから退出すると、出口P2の路側処理装置1が、当該車両90を検知して、当該車両90の車両情報を即時課金中央装置3に配信(通知)する。そして、即時課金中央装置3が、全情報配信装置4に通知する。すると、各情報配信装置4が自身の即時課金テーブルを、退出する車両90の車両特定情報をキーに検索し、当該車両90の即時情報を削除する(ステップS7)。
以上の手順を経て、課金処理方法の一連の流れが完了する。課金処理システム100の稼動中には、ステップS1からステップS7までのフローが繰り返し実行される。
【0064】
(作用効果)
上述した課金処理システム100、及び課金処理方法によれば、以下に示す作用効果を奏することができる。
【0065】
本実施形態では、車両90が入口P1を通過して有料道路Lに進入すると、車両90が通過した入口P1の路側処理装置1は、車両90の車両情報を即時課金中央装置3に配信する。即時課金中央装置3は、車両情報から即時情報を生成する。即時課金中央装置3は、情報配信装置4に即時情報を配信する。情報配信装置4は、必要な即時情報から路側処理装置1ごとに即時課金テーブルを構築する。複数の路側処理装置1の各々は、情報配信装置4から必要な即時課金テーブルを取得する。車両90が通過した処理地点Pの路側処理装置1は、即時課金テーブルを参照して、車両90に対して課金処理を行う。
【0066】
本実施形態によれば、即時課金中央装置3が各路側処理装置1からの情報をもとに即時情報の生成を行い、情報配信装置4が即時情報をもとに各路側処理装置1で参照される即時課金テーブルを構成する。このため、即時課金中央装置3が即時情報の生成と、即時課金テーブルの構築の両方を行う場合と比較して、即時課金中央装置3の負荷を低減することができる。
【0067】
本実施形態では、情報配信装置4は、複数設けられている。即時課金中央装置3は、複数の情報配信装置4の各々に必要な即時情報を配信する。複数の情報配信装置4の各々は、必要な即時情報から路側処理装置1ごとに即時課金テーブルを構築する。複数の路側処理装置1の各々は、複数の情報配信装置4の各々から必要な即時課金テーブルを取得する。
【0068】
本実施形態によれば、複数の情報配信装置4が即時課金テーブルの構築を分担して行う。これにより、各情報配信装置4の負荷を低減することができる。
【0069】
本実施形態では、 情報配信装置4は、車両90が享受するサービスに対応した即時情報に有効か無効かを規定する有効フラグを設定する。複数の路側処理装置1の各々は、即時課金テーブルを構成する即時情報のうち、有効フラグが有効な即時情報のみを更新する。
【0070】
本実施形態によれば、路側処理装置1は、即時課金テーブルを構成する即時情報のうち、更新が必要な即時情報のみを効率良く更新することができる。
【0071】
本実施形態の課金処理システム100が上記のように構成されることで、即時課金中央装置3よりも下層(下位)の情報配信装置4に、各処理地点Pに設けられた全て料金収受設備(料金所やFF)に対しての通信インタフェースや、配信データの生成・配信の責任を持たせることができるので、即時課金中央装置3の負荷が低減し、課金処理のパフォーマンスを向上させることができる。
また、どの料金収受設備がどのサービスを享受すべきかを予め定めたプリセット情報自体も、情報配信装置4から各料金収受設備の路側処理装置1に配信されることで、より柔軟なサービス移行が可能となる。
【0072】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態のうち上述した実施形態と共通する構成については、同一の名称や同一の符号を用いる等して、説明を適宜省略する。
【0073】
本実施形態では、
図18に示すように、有料道路LがエリアRごとに、料金サービスの共通した異なる道路事業者によって管轄される場合を例に説明する。
本実施形態の課金処理システム200では、上層システム101は、料金サービスの共通した異なるエリアRに配置された複数の前記路側処理装置1を制御する。
【0074】
本実施形態のように、異なる道路事業者によって、有料道路LがエリアRごとに管轄される場合、即時課金中央装置3には、第2のプリセット情報として、
図19に示すような割引情報2が予め入力されてもよい。
図19に示す例では、割引情報1のテーブル(
図8参照)に、他事業者に係る同種の追加情報が追加されている。
【0075】
(作用効果)
本実施形態によれば、即時課金システムは、1つの上層システム101で、異なる道路事業者によって管轄されるエリアRに配置された複数の即時課金装置を制御することができる。よって、道路事業者毎に上層システム101を設ける場合と比較して、即時課金システムの導入や稼働にかかるコストを削減することができる。
【0076】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態について説明する。第3実施形態のうち上述した実施形態と共通する構成については、同一の名称や同一の符号を用いる等して、説明を適宜省略する。
【0077】
本実施形態では、
図20に示すように、有料道路LがエリアRごとに、料金サービスの共通しない異なる道路事業者によって管轄される場合を例に説明する。
本実施形態の課金処理システム300では、上層システム101は、料金サービスの共通しない異なるエリアRごとに複数設けられている。複数の上層システム101の各々は、対応するエリアRに配置された複数の路側処理装置1を制御する。
また、課金処理システム300は、エリアR同士の境界P4にバリア処理装置5をさらに備える。このエリアR同士の境界P4は、処理地点Pの1つであり、例えばバリア料金所やバリアFF等の料金収受設備が配置されている。
【0078】
(バリア処理装置)
図21に示すように、バリア処理装置5は、CPU50と、メモリ51と、通信インタフェース52と、記録媒体53とを備える。
【0079】
CPU50は、予め用意されたプログラムに従って動作することで種々の機能を発揮するプロセッサである。
メモリ51は、いわゆる主記憶装置であって、CPU50の動作に必要な記憶領域を有する。
通信インタフェース52は、広域通信網を介して、各上層システム101と通信可能に接続するための接続インタフェースである。通信インタフェース52は、例えば、各上層システム101の即時課金中央装置3と通信可能に接続する。
記録媒体53は、いわゆる補助記憶装置であって、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの大容量記憶デバイスである。
【0080】
次に、バリア処理装置5の機能について説明する。
CPU50が予め用意されたプログラムに従って動作することで、路側処理装置1は、各機能を発揮する。
【0081】
例えば、バリア処理装置5は、路側処理装置1と同様に、エリアR同士の境界P4を通過した車両90を検知する。バリア処理装置5は、検知した当該車両90から車両情報を取得する。また、バリア処理装置5は、路側処理装置1と同様に、ICカードへの書き込みと読み出し、書き換えを行うこともできる。バリア処理装置5は、境界P4を通過した車両90に対して課金処理を行う。
【0082】
上述した課金処理システム300では、車両90がエリアR同士の境界P4を通過する際に、
図22に示す処理フローが実行される。
【0083】
図22に示すように、まず、バリア処理装置5がエリアR同士の境界P4を通過した車両90について、上層システム101の各々に通知する(ステップS301)。境界P4は、一方のエリアRの出口P2であるとともに、他方のエリアRの入口P1でもある。ステップS301では、例えばバリア処理装置5が、各上層システム101の課金処理中央装置に車両情報等を含む情報を配信する。
【0084】
ステップS301の後、車両90に退出された側の上層システム101が、退出した車両90についての即時情報を削除する(ステップS302)。
【0085】
ステップS302の後、車両90に進入された側の上層システム101が、進入した車両90についての課金処理のフロー(
図11に示す第1実施形態で説明したステップS1からステップS7までのフロー)を開始する(ステップS303)。バリア処理装置5から配信される情報には、道路事業者間を跨ぐ情報が含まれている。課金処理中央装置は、この道路事業者間を跨ぐ情報から即時情報を生成する。このように、バリア処理装置5からの情報に基づいて生成された即時情報は、車両90に進入された側の情報配信装置4のいずれかに配信される。なお、バリア処理装置5からの情報に基づいて生成された即時情報の取扱いについては、他の通常料金情報と同様に、即時課金中央装置3に予め入力(プリセット)されている。
【0086】
以上の手順を経て、車両90がエリアR同士の境界P4を通過する際の処理フローが完了する。このステップS301からステップS303までのフローは、車両90が境界P4を通過してエリアR間を移動する度に繰り返し実行される。
【0087】
(作用効果)
本実施形態では、有料道路Lは、エリアRごとに、料金サービスの共通しない異なる道路事業者によって管轄されている。上層システム101は、料金サービスの共通しない異なるエリアRごとに複数設けられている。複数の上層システム101の各々は、対応するエリアRに配置された複数の路側処理装置1を制御する。課金処理システム300は、エリアR同士の境界P4にバリア処理装置5をさらに備える。バリア処理装置5は、エリアR同士の境界P4を通過した車両90について、上層システム101の各々に通知する。車両90に退出された側の上層システム101は、退出した車両90についての即時情報を削除する。車両90に進入された側の上層システム101は、進入した車両90についての課金処理のフローを開始する。
【0088】
本実施形態によれば、車両90が料金サービスの共通しない異なるエリアR同士の境界P4を通過した際、バリア処理装置5が、各上層システム101に通知する。すると、車両90に退出された側の上層システム101は、退出した車両90についての即時情報を削除し、車両90に進入された側の上層システム101は、進入した車両90についての課金処理フローを介する。これにより、料金サービスの異なるエリアR同士の境界P4を移動する車両90に対しても、課金処理をスムーズに行うことができる。これにより、近年普及しつつある道路事業間を跨ぐシームレスな料金サービスに適応することが容易となる。
【0089】
(その他の実施形態)
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0090】
上述した実施形態では、1つの上層システム101において、情報配信装置4が複数設けられている場合について説明したが、これに限られない。1つの上層システム101に、情報配信装置4は1つのみ設けられてもよい。
【0091】
また、車両90が有料道路Lから一時的に退出し、有料道路Lの外の路外施設(例えば、有料道路Lの外のPA(Parking Area))(不図示)を利用した後、再び有料道路Lに再入する場合に、上述した課金処理システム100、200、300を利用してもよい。この場合、有料道路Lから一時的に退出する路外用出口(不図示)と、路外施設と、有料道路Lから有料施設に再入する路外用入口(不図示)と、に路側処理装置1を配置する。課金処理中央装置が、路外用出口、路外施設及び路外用入口に設けられた路側処理装置1からの車両情報を取得することにより、車両90が路外施設から有料道路Lに再入する可能性がある情報(再入情報)を即時情報として生成する。生成された再入情報は、課金処理中央装置に予め入力されたプリセット情報に基づいて、特定の情報配信装置4が取得できるようにされる。これにより、車両90が路外施設を一時利用したとしても、有料道路Lを退出したものとみなさずに、課金処理を行うこともできる。車両90が路外施設から有料道路Lに再入した場合には、再入情報を削除するようにプリセット情報として課金処理中央装置に予め入力しておく。また、一定の時間が経過した場合には、再入情報を削除するようにプリセット情報として課金処理中央装置に入力しておく。このようにすることで、不要な再入情報が蓄積されてしまうことを防ぎ、負荷を軽減することができる。
【0092】
<付記>
各実施形態に記載の課金処理システム100、200、300、及び課金処理方法は、例えば以下のように把握される。
【0093】
(1)第1の態様に係る課金処理システム100、200、300は、有料道路Lを走行する車両90に対して課金処理を行う課金処理システム100、200、300であって、前記有料道路Lの入口P1と出口P2を含むとともに、前記有料道路L上で前記入口P1と前記出口P2との間に設けられた経由地点P3を含む複数の処理地点Pの各々に設けられ、前記処理地点Pを通過した前記車両90を検知する路側処理装置1と、前記路側処理装置1を制御する上層システム101と、を備え、前記上層システム101は、前記路側処理装置1と通信可能な即時課金中央装置3と、前記即時課金中央装置3及び前記路側処理装置1と通信可能な情報配信装置4とを備え、前記車両90が前記入口P1を通過して前記有料道路Lに進入すると、前記車両90が通過した前記入口P1の前記路側処理装置1は、前記車両90の車両情報を前記即時課金中央装置3に配信し、前記即時課金中央装置3は、前記車両情報から即時情報を生成し、前記即時課金中央装置3は、前記情報配信装置4に即時情報を配信し、前記情報配信装置4は、必要な即時情報から前記路側処理装置1ごとに即時課金テーブルを構築し、複数の前記路側処理装置1の各々は、前記情報配信装置4から必要な即時課金テーブルを取得し、前記車両90が通過した前記処理地点Pの前記路側処理装置1は、前記即時課金テーブルを参照して、前記車両90に対して課金処理を行う。
【0094】
本態様によれば、即時課金中央装置3が各路側処理装置1からの情報をもとに即時情報の生成を行い、情報配信装置4が即時情報をもとに各路側処理装置1で参照される即時課金テーブルを構成する。このため、即時課金中央装置3が即時情報の生成と、即時課金テーブルの構築の両方を行う場合と比較して、即時課金中央値の負荷を低減することができる。
【0095】
(2)第2の態様の課金処理システム100、200、300は、第1の態様の課金処理システム100、200、300であって、前記情報配信装置4は、複数設けられ、前記即時課金中央装置3は、複数の前記情報配信装置4の各々に必要な即時情報を配信し、複数の前記情報配信装置4の各々は、必要な即時情報から前記路側処理装置1ごとに前記即時課金テーブルを構築し、複数の前記路側処理装置1の各々は、複数の前記情報配信装置4の各々から必要な前記即時課金テーブルを取得してもよい。
【0096】
本態様によれば、複数の情報配信装置4が即時課金テーブルの構築を分担して行う。これにより、各情報配信装置4の負荷を低減することができる。
【0097】
(3)第3の態様の課金処理システム100、200、300は、第1又は第2の態様の課金処理システム100、200、300であって、前記情報配信装置4は、前記車両90が享受するサービスに対応した即時情報に有効か無効かを規定する有効フラグを設定し、複数の前記路側処理装置1の各々は、前記即時課金テーブルを構成する即時情報のうち、前記有効フラグが有効な即時情報のみを更新してもよい。
【0098】
本態様によれば、路側処理装置1は、即時課金テーブルを構成する即時情報のうち、更新が必要な即時情報のみを効率良く更新することができる。
【0099】
(4)第4の態様の課金処理システム200は、第1から第3の態様のいずれか1つの課金処理システム200であって、前記有料道路Lは、エリアRごとに、料金サービスの共通した異なる道路事業者によって管轄され、前記上層システム101は、料金サービスの共通した異なる前記エリアRに配置された複数の前記路側処理装置1を制御してもよい。
【0100】
本態様によれば、即時課金システムは、1つの上層システム101で、異なる道路事業者によって管轄されるエリアRに配置された複数の即時課金装置を制御することができる。よって、道路事業者毎に上層システム101を設ける場合と比較して、即時課金システムの導入や稼働にかかるコストを削減することができる。
【0101】
(5)第5の態様の課金処理システム300は、第1から第3の態様のいずれか1つの課金処理システム300であって、前記有料道路Lは、エリアRごとに、料金サービスの共通しない異なる道路事業者によって管轄され、前記上層システム101は、料金サービスの共通しない異なる前記エリアRごとに複数設けられ、複数の前記上層システム101の各々は、対応する前記エリアRに配置された複数の前記路側処理装置1を制御し、前記エリアR同士の境界P4にバリア処理装置5をさらに備え、前記バリア処理装置5は、前記エリアR同士の境界P4を通過した前記車両90について、前記上層システム101の各々に通知し、前記車両90に退出された側の前記上層システム101は、退出した前記車両90についての前記即時情報を削除し、前記車両90に進入された側の前記上層システム101は、進入した前記車両90についての課金処理のフローを開始してもよい。
【0102】
本態様によれば、車両90が料金サービスの共通しない異なるエリアR同士の境界P4を通過した際、バリア処理装置5が、各上層システム101に通知する。すると、車両90に退出された側の上層システム101は、退出した車両90についての即時情報を削除し、車両90に進入された側の上層システム101は、進入した車両90についての課金処理フローを介する。これにより、料金サービスの異なるエリアR同士の境界P4を移動する車両90に対しても、課金処理をスムーズに行うことができる。
【0103】
(6)第6の態様の課金処理方法は、有料道路Lを走行する車両90に対して課金処理を行う課金処理システム100、200、300を用いた課金処理方法であって、前記課金処理システム100、200、300は、前記有料道路Lの入口P1と出口P2を含むとともに、前記有料道路L上で前記入口P1と前記出口P2との間に設けられた経由地点P3を含む複数の処理地点Pの各々に設けられ、前記処理地点Pを通過した前記車両90を検知する路側処理装置1と、前記路側処理装置1を制御する上層システム101と、を備え、前記上層システム101は、前記路側処理装置1と通信可能な即時課金中央装置3と、前記即時課金中央装置3及び前記路側処理装置1と通信可能な情報配信装置4とを備え、前記車両90が前記入口P1を通過して前記有料道路Lに進入すると、前記車両90が通過した前記入口P1の前記路側処理装置1が、前記車両90の車両情報を前記即時課金中央装置3に配信するステップと、前記即時課金中央装置3が、前記車両情報から即時情報を生成するステップと、前記即時課金中央装置3が、前記情報配信装置4に即時情報を配信するステップと、前記情報配信装置4が、必要な即時情報から前記路側処理装置1ごとに即時課金テーブルを構築するステップと、複数の前記路側処理装置1の各々が、前記情報配信装置4から必要な即時課金テーブルを取得するステップと、前記車両90が通過した前記処理地点Pの前記路側処理装置1は、前記即時課金テーブルを参照して、前記車両90に対して課金処理を行うステップと、を含む。
【符号の説明】
【0104】
1 路側処理装置
2 料金情報配信装置
3 即時課金中央装置
4 情報配信装置
5 バリア処理装置
90 車両
91 車載器
100 課金処理システム
101 上層システム
200 課金処理システム
300 課金処理システム
L 有料道路
P 処理地点
P1 入口
P2 出口
P3 経由地点
P4 境界
R エリア