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特開2024-142495塩化ビニル系樹脂層-ポリカーボネート系樹脂層積層体及びその製造方法
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  • 特開-塩化ビニル系樹脂層-ポリカーボネート系樹脂層積層体及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142495
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】塩化ビニル系樹脂層-ポリカーボネート系樹脂層積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20241003BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B32B27/30 101
B32B27/36 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054649
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】坂東 信雄
(72)【発明者】
【氏名】三方 健
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK15A
4F100AK45B
4F100AK45C
4F100AL05B
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA15
4F100EH202
4F100EH20B
4F100EH20C
4F100EJ172
4F100EJ422
4F100GB32
4F100GB33
(57)【要約】
【課題】塩化ビニル樹脂組成物中の可塑剤がポリカーボネート樹脂に移行することによるクラック、機械強度や透明性の低下等の発生が起こりにくく、また、塩化ビニル樹脂組成物に含まれる可塑剤の種類に特段の制約を受けることなく、かつ、ポリカーボネート層とポリ塩化ビニル層間の十分な接合強度を得ることができ、用途設計の自由度の高い、塩化ビニル樹脂を含む層と、ポリカーボネート樹脂を含む層とを積層してなる積層体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂を含む層2が、塩化ビニル樹脂を含む層1と接するバイオポリカーボネート樹脂を含む層21と、バイオポリカーボネート樹脂を含む層21と接するバイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層22とからなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル樹脂を含む層と、ポリカーボネート樹脂を含む層とを積層してなる積層体であって、前記ポリカーボネート樹脂を含む層が、塩化ビニル樹脂を含む層と接するバイオポリカーボネート樹脂を含む層と、該バイオポリカーボネート樹脂を含む層と接するバイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層とを備えることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記バイオポリカーボネート樹脂が、イソソルバイドに由来する構造単位を有するポリカーボネート樹脂(ISB/CHDM=70/30)及びイソソルバイドに由来する構造単位を有するポリカーボネート樹脂(ISB/CHDM=50/50)の混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
以下の(1)~(2)の工程を含む請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
(1)共押出成形により、バイオポリカーボネート樹脂を含む層と、バイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層とが積層したポリカーボネート樹脂を含む層を得る工程。
(2)工程(1)により得たポリカーボネート樹脂を含む層と、塩化ビニル樹脂を含む層とを、ポリカーボネート樹脂を含む層のバイオポリカーボネート樹脂を含む層が塩化ビニル樹脂を含む層に接するように配置し、加熱、押圧することにより積層体を得る工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル樹脂を含む層と、ポリカーボネート樹脂を含む層とを積層してなる積層体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、自動車の軽量化やデザイン性向上を目的に、自動車の内装部材や外装部材に、コスト、成形性、意匠性、耐傷付き性、耐候性等に優れた塩化ビニル層と、耐衝撃性、断熱性等に優れたポリカーボネート樹脂層とを積層してなる積層体が用いられるようになってきた。
【0003】
ところで、通常のポリカーボネート樹脂を塩化ビニル樹脂と接触させた場合、ポリカーボネート樹脂の残存応力と塩化ビニル樹脂中の可塑剤の移行によりクラックが発生し、機械強度の低下や白化による透明性低下等の問題が起こることが指摘されている。そして、この問題を解決するため、特許文献1~3においては、軟質塩化ビニル樹脂に使用される可塑剤に比較的分子量が大きいトリメリット酸エステル、ビフェニルテトラカルボン酸アルキルエステルやポリエステル系可塑剤を用いることにより、移行の影響を少なくすることが、また、特許文献4~5においては、ポリカーボネート層とポリ塩化ビニル層の間にアクリル系樹脂層、ウレタン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層からなる可塑剤移行防止層を設けることにより可塑剤の移行によるクラックの抑制を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-230058号公報
【特許文献2】特開平7-246667号公報
【特許文献3】特開平11-199730号公報
【特許文献4】特開平6-218761号公報
【特許文献5】特開平10-030325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~3に開示された発明においては、比較的分子量が大きいことから可塑剤効率が低いという問題や、可塑剤として特定のものを用いなければならないことから、用途設計の自由度が限られるという問題がある。また、特許文献4~5に開示された発明においては、可塑剤移行防止層を別途積層させるために工程数の増加やコストが高くなってしまうことに加え、可塑剤移行防止層を設けることによって、用途設計の自由度が限られるという問題がある。
【0006】
本発明は上記のような問題点を解決することを目的とするものであり、塩化ビニル樹脂組成物中の可塑剤がポリカーボネート樹脂に移行することによるクラック、機械強度や透明性の低下等の発生が起こりにくく、また、塩化ビニル樹脂組成物に含まれる可塑剤の種類に特段の制約を受けることなく、かつ、ポリカーボネート層とポリ塩化ビニル層間の十分な接合強度を得ることができ、用途設計の自由度の高い、塩化ビニル樹脂を含む層と、ポリカーボネート樹脂を含む層とを積層してなる積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の積層体は、塩化ビニル樹脂を含む層と、ポリカーボ
ネート樹脂を含む層とを積層してなる積層体であって、前記ポリカーボネート樹脂を含む層が、塩化ビニル樹脂を含む層と接するバイオポリカーボネート樹脂を含む層と、該バイオポリカーボネート樹脂を含む層と接するバイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層とを備えることを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記バイオポリカーボネート樹脂が、イソソルバイドに由来する構造単位を有するポリカーボネート樹脂(ISB/CHDM=70/30)及びイソソルバイドに由来する構造単位を有するポリカーボネート樹脂(ISB/CHDM=50/50)の混合物からなることができる。
【0009】
また、本発明の積層体の製造方法は、以下の(1)~(2)の工程からなる上記積層体の製造方法である。
(1)共押出成形により、バイオポリカーボネート樹脂を含む層と、バイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層とが積層したポリカーボネート樹脂を含む層を得る工程。
(2)工程(1)により得たポリカーボネート樹脂を含む層と、塩化ビニル樹脂を含む層とを、ポリカーボネート樹脂を含む層のバイオポリカーボネート樹脂を含む層が塩化ビニル樹脂を含む層に接するように配置し、加熱、押圧することにより積層体を得る工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層体及びその製造方法は、塩化ビニル樹脂組成物中の可塑剤がポリカーボネート樹脂に移行することによるクラック、機械強度や透明性の低下等の発生が起こりにくく、また、塩化ビニル樹脂組成物に含まれる可塑剤の種類に特段の制約を受けることなく、かつ、ポリカーボネート層とポリ塩化ビニル層間の十分な接合強度を得ることができ、用途設計の自由度の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の積層体の一実施形態を示す積層構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の積層体及びその製造方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に、本発明の積層体の一実施形態の積層構造図を示す。
この積層体は、塩化ビニル樹脂を含む層1と、ポリカーボネート樹脂を含む層2とを積層してなる積層体であって、ポリカーボネート樹脂を含む層2が、塩化ビニル樹脂を含む層1と接するバイオポリカーボネート樹脂を含む層21と、バイオポリカーボネート樹脂を含む層21と接するバイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層22とからなる。
【0014】
より具体的には、塩化ビニル樹脂を含む層1は、例えば、表層から順に、塩化ビニル樹脂層(透明層)11、印刷インキ層(加飾層)12及び塩化ビニル樹脂層(着色隠蔽層)13の3層構成からなる。
塩化ビニル樹脂を含む層1の厚みは、取扱い性や意匠性の理由から、50~500μmであることが好ましく、100~300μmであることがより好ましい。
【0015】
ポリカーボネート樹脂を含む層2は、塩化ビニル樹脂を含む層1の塩化ビニル樹脂層13と接するバイオポリカーボネート樹脂を含む層21と、このバイオポリカーボネート樹脂を含む層21と接するバイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層22の2層構成からなる。
【0016】
バイオポリカーボネート樹脂を含む層21を構成するバイオポリカーボネートは、イソソルバイドに由来する構造単位を有するポリカーボネート樹脂(ISB/CHDM=70/30)(三菱ケミカル社製の植物由来のイソソルバイドを主原料とするバイオエンジニアリングプラスチック「デュラビオ(登録商標)D7340R」)及びイソソルバイドに由来する構造単位を有するポリカーボネート樹脂(ISB/CHDM=50/50)(三菱ケミカル社製の植物由来のイソソルバイドを主原料とするバイオエンジニアリングプラスチック「デュラビオ(登録商標)D5380IR」)の混合物からなる。
このバイオポリカーボネート樹脂は、高い透明性、優れた光学特性、耐傷付き性に優れ、ビスフェノールAを原料とする汎用のポリカーボネート樹脂に匹敵する耐衝撃特性、さらに、汎用のポリカーボネート樹脂と比較して高い耐薬品性を示す。
バイオポリカーボネート樹脂を含む層21の厚みは、性能、コスト、生産性等の理由から、30~200μmであることが好ましく、50~100μmであることがより好ましい。
【0017】
バイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層22を構成するバイオポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAを原料とする汎用のポリカーボネート樹脂からなる。
バイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層22の厚みは、耐衝撃性や二次加工性、軽量化等の理由から、500~3000μmであることが好ましく、1000~2000μmであることがより好ましい。
バイオポリカーボネート樹脂を含む層21とバイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層22との厚み比は、性能、コスト、生産性等の理由から、1:2.5~1:99であることが好ましく、1:9~1:39であることがより好ましい。
【0018】
この積層体は、以下の工程により製造することができる。
(1)共押出成形により、バイオポリカーボネート樹脂を含む層21と、バイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層22とが積層したポリカーボネート樹脂を含む層2を得る工程(図1(1))。
(2)工程(1)により得たポリカーボネート樹脂を含む層2と、塩化ビニル樹脂を含む層1とを、ポリカーボネート樹脂を含む層2のバイオポリカーボネート樹脂を含む層21が塩化ビニル樹脂を含む層1に接するように配置し、加熱、押圧(例えば、熱プレス成形。)することにより積層体を得る工程(図1(2)~(3))。
【0019】
次に、この積層体の具体的な実施例(試験例)を表1(試験例1)及び表1(試験例2)に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
試験例1及び試験例2の諸元値等は、以下のとおりである。
【0023】
1.積層体を構成する材料
1.1 表層(厚み:150μm)
・塩化ビニルシート1:化粧シート (糊なし)ベルビアン(登録商標)PR291(タキロンシーアイ社製の塩化ビニル樹脂製シート)
・塩化ビニルシート2:化粧シート (糊なし)ベルビアン(登録商標)WR2180(タキロンシーアイ社製の塩化ビニル樹脂製シート)
1.2 中間層(厚み:70μm)
・バイオPC1:デュラビオ(登録商標)D5380R(三菱ケミカル社製の植物由来のイソソルバイドを主原料とするバイオエンジニアリングプラスチック(バイオポリカーボネート樹脂))
・バイオPC2:デュラビオ(登録商標)D7340IR(三菱ケミカル社製の植物由来のイソソルバイドを主原料とする含むバイオエンジニアリングプラスチック(バイオポリカーボネート樹脂))
バイオPC1及びバイオPC2を所定の割合で混合して用いる。
バイオPC1、バイオPC2及びこれらの混合物は、PCと共押出成形されるためPCと溶融流動特性が近い方が生産性が高くなり、溶融粘度(240℃)は700から1200(Pa・s)の範囲であることが好ましい。溶融粘度は、例えば、キャピログラフ1B(東洋精機製作所)(キャピラリーL=10mm、D=1mm、せん断速度=122/sec)で測定することができる。
また、バイオPC1、バイオPC2及びこれらの混合物は、積層体を製造する過程で加熱、押圧され表層の塩化ビニルシートと密着されるが、バイオPC1、バイオPC2及びこれらの混合物のガラス転移温度が加熱温度より十分に低いことが積層体の層間の密着強度を高めるために重要であり、ガラス転移温度は90℃から120℃の範囲であることが好ましい。
またさらに、積層体の表層の塩化ビニルシートに含まれる可塑剤によるクラック、機械強度や透明性の低下等の発生が起こりにくいことが、積層体の長期間使用のために重要であり、バイオPCは塩化ビニル樹脂の可塑剤に対して耐溶解性を有することが好ましい。なお、バイオPC1、バイオPC2及びこれらの所定の割合の混合物(実施例1~3のバイオPC)は、塩化ビニル樹脂の可塑剤として一般的に使用されるフタル酸ジイソノリルを材料表面に付着させた試験(付着後70℃で24時間静置後に、表面外観の変化を目視評価)に対して安定であり溶解が見られなかった。
1.3 コア層(厚み:1430μm)
・PC:カリバー(商品名)300-8(住化ポリカーボネート社製のビスフェノールAを原料とする汎用のポリカーボネート樹脂)
PCは、バイオPC1、バイオPC2及びこれらの混合物と共押出成形されるため、バイオPC1、バイオPC2及びこれらの混合物と溶融流動特性が近い方が生産性が高くなり、溶融粘度(260℃)は1400から2500(Pa・s)の範囲であることが好ましい。例えば、溶融粘度はキャピログラフ1B(東洋精機製作所)(キャピラリーL=10mm、D=1mm、せん断速度=122/sec)で測定することができる。
【0024】
2.積層体の成形
2.1 中間層とコア層とが積層されたポリカーボネート積層体を共押出成形する。
2.2 ポリカーボネート積層体と塩化ビニルシートとを熱プレス成形により積層する。
【0025】
3.密着性評価
3.1 剥離試験(表1(試験例1))
積層体の表面にカッター刃で×印(交差角度は30°、表層の厚み以上の深さ)の切り込みを入れ、クロス部分からカッター刃を差し込み、塩化ビニルシートと中間層(及びコア層)との密着性を評価する。
◎:塩化ビニルシートを剥がそうとすると剥離せずに破れる
○:塩化ビニルシートを剥がそうとすると剥離するが、強い力が必要
×:塩化ビニルシートを剥がそうとすると弱い力で剥離する
【0026】
3.2 剥離試験(表2(試験例2))
積層体の表面にカッター刃で×印(交差角度は30°、表層の厚み以上の深さ)の切り込みを入れ、クロス部分に粘着テープ(ニチバン社製「セロテープ(登録商標)No.405(品番)」)を貼り付け、粘着テープの端を30°の角度で持ち上げ、一気に手前に引っ張り剥がすことで、塩化ビニルシートと中間層(及びコア層)との密着性を評価する。
○:剥離なし
×:剥離する
【0027】
3.3 恒温恒湿試験(表1(試験例1)、表2(試験例2))
・恒温恒湿試験機:エスペック社製 PR-4KPH
・試験条件:温度85℃、湿度85%、試験時間263h又は500h
【0028】
上記試験例等から、以下の作用効果を確認することができた。
・コストと耐衝撃性のバランスの取れた、塩化ビニル系樹脂層-ポリカーボネート系樹脂層積層体を得ることができる。
・ポリカーボネート樹脂を含む層を、バイオポリカーボネート樹脂を含む層と、バイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層とを積層して得ることにより、バイオポリカーボネート樹脂を含む層のみの場合と比較して、耐衝撃性を高めることができるとともに、コストを低廉にできる。
・ポリカーボネート樹脂を含む層を、バイオポリカーボネート樹脂を含む層と、バイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層とを積層して得ることにより、バイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層のみの場合と比較して、高い耐薬品性を示すバイオポリカーボネート樹脂を介在することによって塩化ビニル樹脂に含まれる可塑剤によるポリカーボネート樹脂を含む層の劣化を抑制できる。
【0029】
以上、本発明の積層体及びその製造方法について、その一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の積層体及びその製造方法は、塩化ビニル樹脂組成物中の可塑剤がポリカーボネート樹脂に移行することによるクラック、機械強度や透明性の低下等の発生が起こりにくく、また、塩化ビニル樹脂組成物に含まれる可塑剤の種類に特段の制約を受けることなく、かつ、ポリカーボネート層とポリ塩化ビニル層間の十分な接合強度を得ることができ、用途設計の自由度の高いものであることから、例えば、自動車の軽量化やデザイン性向上を目的として自動車の内装部材や外装部材に用いられる、塩化ビニル樹脂を含む層と、ポリカーボネート樹脂を含む層とを積層してなる積層体及びその製造方法に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 塩化ビニル樹脂を含む層
11 塩化ビニル樹脂層
12 印刷インキ層
13 塩化ビニル樹脂層
2 ポリカーボネート樹脂を含む層
21 バイオポリカーボネート樹脂を含む層
22 バイオポリカーボネート樹脂を含まないポリカーボネート樹脂を含む層
図1