(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142501
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 3/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H05B3/00 310C
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054657
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】320014857
【氏名又は名称】ハイリマレリジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】水島 基紀
(72)【発明者】
【氏名】井上 直己
(72)【発明者】
【氏名】中村 和政
(72)【発明者】
【氏名】岩下 秀暁
(72)【発明者】
【氏名】堀 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】堀口 昌紀
(72)【発明者】
【氏名】久保 俊彦
【テーマコード(参考)】
3K058
【Fターム(参考)】
3K058AA12
3K058CA05
3K058CA23
3K058CA28
3K058CA36
3K058CB34
(57)【要約】
【課題】温度変化に応じてオンオフを切り替えるスイッチがオン固着していることを判定する。
【解決手段】電源に対して発熱部と温度変化に応じてオンオフを切り替える第一スイッチとが直列に接続された発熱回路において、前記発熱部により生じた電力の積算値が所定の閾値以上であるときに、前記第一スイッチがオンに固着していると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に対して発熱部と温度変化に応じてオンオフを切り替える第一スイッチとが直列に接続された発熱回路において、前記発熱部により生じた電力の積算値が所定の閾値以上であるときに、前記第一スイッチがオンに固着していると判定する、
判定装置。
【請求項2】
前記発熱回路は、前記発熱部及び前記第一スイッチと直列に接続された第二スイッチをさらに備え、
前記第二スイッチがオンに固着されたと判定された後に前記発熱部により生じた電力の積算値が前記所定の閾値以上であるときに、前記第一スイッチがオンに固着していると判定する、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記第二スイッチがオンに固着されたと判定され、前記第一スイッチがオンに固着していると判定されたときに前記電源より前記発熱回路に供給される電力を遮断するコンタクタ切替部と、
をさらに備える請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記所定の閾値は、正常な前記第一スイッチがオフになるときの電力値の積算値よりも大きい値である、
請求項1又は2に記載の判定装置。
【請求項5】
前記所定の閾値は、前記発熱回路を覆うカバーが溶融するときの電力値の積算値よりも小さい値である、
請求項1又は2に記載の判定装置。
【請求項6】
前記所定の閾値は、前記発熱回路が発熱前の温度に基づいて決定される、
請求項1又は2に記載の判定装置。
【請求項7】
電源に対して発熱部と第一スイッチとが直列に接続された発熱回路において、前記発熱部により生じた電力の積算値が所定の閾値以上であるときに、前記第一スイッチがオンに固着していると判定する、
判定方法。
【請求項8】
コンピュータに請求項7に記載の判定方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッドカーに使用される水加熱電気ヒータ(Electric Coolant Heater)には過熱を防ぐスイッチが備えられている。
過熱を防ぐスイッチとしては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を冗長化することで、1つのIGBTがオン固着した場合に他のIGBTがオフに切り替わり電流を遮断することで過熱を防ぐスイッチがある。また、IGBTと温度変化によりオンオフを切り替えるバイメタルスイッチなどのスイッチを備えるスイッチが使用されることもある。バイメタルスイッチなどのスイッチは、所定の温度以上になるとオフ状態となるスイッチである(特許文献1)。このスイッチは加熱するとバイメタルスイッチなどのスイッチがオフに切り替わることで過熱を防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記スイッチにおいては、温度変化に応じてオンオフを切り替えるスイッチがオン固着するなど故障した場合に過熱を防ぐことができない可能性がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、温度変化に応じてオンオフを切り替えるスイッチがオン固着していることを判定することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る判定装置、判定方法及びプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る判定装置は、電源に対して発熱部温度変化に応じてオンオフが切り替える第一スイッチとが直列に接続された発熱回路において、前記発熱部により生じた電力の積算値が所定の閾値以上であるときに、前記第一スイッチがオンに固着していると判定する。
【0006】
(2):上記(1)の態様において、前記発熱回路は、前記発熱部及び前記第一スイッチと直列に接続された第二スイッチをさらに備え、判定装置は、前記第二スイッチがオンに固着されたと判定された後に前記発熱部により生じた電力の積算値が前記所定の閾値以上であるときに、前記第一スイッチがオンに固着していると判定するものである。
【0007】
(3):上記(2)の態様において、判定装置は、前記第ニスイッチがオンに固着されたと判定され、前記第一スイッチがオンに固着していると判定されたときに前記電源より前記発熱回路に供給される電力を遮断するコンタクタ切替部と、をさらに備える。
【0008】
(4):上記(1)又は(2)の態様において、前記所定の閾値は、正常な前記第一スイッチがオフになるときの電力値の積算値よりも大きい値である。
【0009】
(5):上記(1)又は(2)の態様において、前記所定の閾値は、前記発熱回路を覆うカバーが溶融するときの電力値の積算値よりも小さい値である。
【0010】
(6):上記(1)又は(2)の態様において、前記所定の閾値は、前記発熱回路が発熱前の温度に基づいて決定される。
【0011】
(7):この発明の一態様に係る判定方法は、電源に対して発熱部と第一スイッチとが直列に接続された発熱回路において、前記発熱部により生じた電力の積算値が所定の閾値以上であるときに、前記第一スイッチがオンに固着していると判定する。
【0012】
(8):コンピュータに(7)の判定方法を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
(1)、(7)、(8)の態様によれば、第一スイッチがオフに切り替わっていないため発熱部により生じた電力の積算値が所定の閾値以上となっており、第一スイッチがオン固着していると判定することができる。
【0014】
(2)の態様によれば、第二スイッチがオンに固着されたと判定された後に発熱部により生じた電力の積算値が前記所定の閾値以上であるときに、前記第一スイッチがオンに固着しているか否かを判定することで、第二スイッチが正常であるときに加熱回路が故障していると判定することを防ぐことができる。
【0015】
(3)の態様によれば、コンタクタ切替部が発熱回路に供給される電力を遮断することで、加熱回路が過熱するのを防ぐことができる。
【0016】
(4)の態様によれば、所定の閾値を、正常な前記第一スイッチがオフになるときの電力値の積算値よりも大きい値にすることで、第一スイッチが正常であるときに加熱回路が故障していると判定するのを防ぐことができる。
【0017】
(5)の態様によれば、所定の閾値を、前記発熱回路を覆うカバーが溶融するときの電力値の積算値よりも小さい値にすることで、加熱回路の発煙・発火を防ぐことができる。
【0018】
(6)の態様によれば、所定の閾値を、前記発熱回路が発熱前の温度に基づいて決定することで、温度の違いによる加熱の程度の変化を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る加熱システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る判定装置30の動作を示すフローチャートである。
【
図3】第2実施形態に係る加熱システム1の構成の一例を示す図である。
【
図4】第2実施形態に係る判定装置30の動作を示すフローチャートである。
【
図5】第3実施形態に係る加熱システム1の構成の一例を示す図である。
【
図6】第3実施形態に係る判定装置30の動作を示すフローチャートである。
【
図7】第3実施形態において、第二スイッチ15とバイメタルスイッチ11の状態とコンタクタ40のオンオフの切り替えを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、図面を参照し、本発明の判定装置の実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る加熱システム1の構成の一例を示す図である。第1実施形態に係る加熱システム1は、発熱回路10、電源20及び判定装置30を備える。発熱回路10は、バイメタルスイッチ11、電圧検出回路12、発熱部13、電流検出回路14を備える。
【0021】
発熱回路10に電流が流れることで発熱する。発熱回路10は、例えば、電気自動車などで使用される流体加熱ヒータである。第一スイッチの一例であるバイメタルスイッチ11は、バイメタルが温度変化に応じて湾曲することを利用して温度が高くなるとオンからオフに切り替えるスイッチである。このバイメタルスイッチ11は流体加熱ヒータの流体又は後述する発熱部13の温度変化に応じて湾曲することが出来る位置に設置される。電圧検出回路12は、発熱部13に印加される電圧を測定する。発熱部13は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換して発熱する。発熱部13は例えば電熱線である。電流検出回路14は、発熱部13に流れる電流を測定する。電圧検出回路12及び電流検出回路14はそれぞれ電圧及び電流を検出することで発熱部13の電力を検出することができる。
電源20は、発熱回路10に電力を供給する。
【0022】
バイメタルスイッチ11は、温度が高くなるとオンからオフに切り替えることで発熱部13が高温になったときに発熱部13へ供給される電力を遮断することができる。バイメタルスイッチ11が故障などによりオンに固着してしまった場合には、発熱部13が高温になったときに発熱部13へ供給される電力を遮断することができない。
バイメタルスイッチ11は、発熱部13の温度管理用にオンオフするスイッチとして使用される。
【0023】
判定装置30は、発熱部13により生じたエネルギーの積算値に基づいて、バイメタルスイッチ11がオンに固着しているか否かを判定する、判定装置30は、電圧値取得部31、電流値取得部32、電力値算出部33、電力積算値算出部34、バイメタルスイッチオン固着判定部35、判定結果出力部36を備える。
【0024】
電圧値取得部31は、電圧検出回路12から検出された電圧値を取得する。電流値取得部32は、電流検出回路14から検出された電流値を取得する。電力値算出部33は、取得された電流値及び電圧値から電力値を算出する。電力値算出部33は、例えば一定期間ごとに電力値を算出する。電力積算値算出部34は、算出された電力値の積算値を算出する。電力積算値算出部34は、例えば前回算出した電力積算値に電力値算出部33により算出される電力値を足すことで電力積算値を算出する。
【0025】
電力積算値算出部34は、所定時間ごとに電力積算値をリセットし、0にしてもよい。また、電力積算値算出部34は、電圧検出回路12から検出された電圧値が0であるとき、電力積算値をリセットし、0にしてもよい。電圧検出回路12から検出された電圧値が0であることは、バイメタルスイッチ11が開き、オフであることを示す。
電力積算値算出部34は、発熱部13がオフである、つまり、発熱部13へ供給される電力が0であるとき、電力積算値を減少させてもよい。
【0026】
バイメタルスイッチオン固着判定部35は、算出された電力値の積算値に基づいて、バイメタルスイッチ11がオンに固着しているか否かを判定する。バイメタルスイッチオン固着判定部35は、算出された電力値の積算値が、予め決定した閾値以上であるときに、バイメタルスイッチ11がオンに固着していると判定する。閾値は例えば正常なバイメタルスイッチ11がオフになるときの電力値の積算値よりも大きい値かつ発熱回路10を覆うカバーが溶融するときの電力値の積算値よりも小さい値に設定される。また、閾値は発熱回路10が発熱前の温度に基づいて決定されてもよい。
【0027】
判定結果出力部36は、バイメタルスイッチオン固着判定部35による判定結果を出力する。当該判定結果により、バイメタルスイッチ11がオン固着しているか否かを判断することができる。
閾値が正常なバイメタルスイッチ11がオフになるときの電力値の積算値よりも大きい値かつ発熱回路10を覆うカバーが溶融するときの電力値の積算値よりも小さい値に設定された場合に、バイメタルスイッチ11が正常であるとき、電力値の積算値が閾値に達する前にバイメタルスイッチ11がオフに切り替わるため、電力値の積算値は閾値以下となり、バイメタルスイッチオン固着判定部35は、バイメタルスイッチ11がオンに固着していないと判定する。バイメタルスイッチ11がオンに固着しているときは、電力値の積算値が閾値に達するとバイメタルスイッチオン固着判定部35は、バイメタルスイッチ11がオンに固着していると判定し、判定結果出力部36が判定結果を出力する。判定結果をうけて発熱回路10を交換するなどの処置を行うことができる。
【0028】
発熱部13は、温度センサを含んでもよい。発熱部13に含まれる温度センサは、例えば発熱部13により加熱される温水の温度を検知し設定された温度になるよう発熱部13における温度調節機能を有することが出来る。
発熱部13が温度調節機能を有する場合、電力積算値算出部34は、発熱部13における異常(デューティ異常など)が検知された後に電力積算値の算出を開始してもよい。
【0029】
図2は、第1実施形態に係る判定装置30の動作を示すフローチャートである。電力積算値算出部34は、電力積算値を算出する(ステップS101)。その後、バイメタルスイッチオン固着判定部35は、電力積算値に基づいてバイメタルスイッチ11が固着しているか否かを判定する(ステップS102)。判定結果出力部36は判定結果を出力する。
【0030】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態に係る加熱システム1の構成の一例を示す図である。第2実施形態に係る加熱システム1は、第1実施形態に係る加熱システム1と同様に、発熱回路10、電源20、判定装置30を備える。第2実施形態に係る発熱回路10は、第1実施形態に係る発熱回路10に加え第二スイッチ15を備える。第2実施形態に係る判定装置30は、第1実施形態に係る判定装置30に加え第二スイッチ切替部37及び第二スイッチオン固着判定部38を備える。尚、第2実施形態に係る加熱システム1におけるバイメタルスイッチ11は、第1実施形態に係る加熱システム1のバイメタルスイッチ11と同様に温度に応じてオンオフを繰り返すことが可能なタイプのスイッチであってもよく、温度が高くなるとオンからオフへ一方向に変化するタイプのスイッチであってもよい。
【0031】
第二スイッチ15は、オンオフを切り替えることで発熱部13に流れる電流を制御する。第二スイッチ15は例えばIGBTなどの半導体スイッチである。
【0032】
第二スイッチ切替部37は、第二スイッチ15のオンオフを切り替えることで、発熱部13に流れる電流を制御し、発熱の有無を切り替える。第二スイッチオン固着判定部38は、第二スイッチ15がオン固着されているか否かを判定する。第二スイッチオン固着判定部38は、例えば制御(例えばDuty制御など)により設定された最大出力と発熱部13による出力との差(例えばDuty差)を検知することで、第二スイッチ15がオン固着されているか否かを判定する。第二スイッチオン固着判定部38は、定期的に第二スイッチ15がオン固着されているか否かを判定してもよく、判定装置30への入力に応じて第二スイッチ15がオン固着されているか否かを判定してもよい。
【0033】
第2実施形態に係る電力積算値算出部34は、第二スイッチオン固着判定部38により第二スイッチ15がオン固着されているとされた後に算出された電力値の積算値を算出する。第二スイッチ15が正常であり、バイメタルスイッチ11がオン固着されているとき、発熱回路10は正常に作動する。電力積算値算出部34は、第二スイッチオン固着判定部38により第二スイッチ15がオン固着されているとされた後に算出された電力値の積算値を算出することで、第二スイッチ15が正常であるときにバイメタルスイッチ11がオン固着していると判定し、発熱回路10が交換されることを防ぐことができる。
【0034】
図4は、第2実施形態に係る判定装置30の動作を示すフローチャートである。第二スイッチオン固着判定部38が第二スイッチがオン固着しているか否かを判定する(ステップS111)。第二スイッチがオン固着していると判定されたとき、電力積算値算出部34は、電力値の積算値の算出を開始し(ステップS112)、電力値の積算値を算出する(ステップS113)。第二スイッチがオン固着していないと判定されたとき、特に動作を行わず、例えば所定の時間経過後に再度ステップS111を行う。
【0035】
電力値の積算値が算出された後、バイメタルスイッチオン固着判定部35は積算値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS114)。積算値が所定の閾値以上であると判定されたとき、バイメタルスイッチオン固着判定部35はバイメタルスイッチ11がオン固着であると判定し(ステップS115)、判定結果出力部36は判定結果を出力する(ステップS116)。判定結果をうけて発熱回路10を交換するなどの処置を行うことができる。
【0036】
積算値が所定の閾値以上であると判定されなかったとき、電力積算値算出部34は例えば所定の時間経過後に再度ステップS113の動作を行い、電力値の積算値を算出する。なお、ステップS114において電力値の積算値が所定回数以上、所定の閾値未満であると判定されたとき、バイメタルスイッチオン固着判定部35は、バイメタルスイッチ11が固着されていないと判定してもよい。電力値の積算値が所定回数以上、所定の閾値未満であると判定されるとき、バイメタルスイッチ11が既にオフになり、電力値の積算値が上昇しない場合があるためである。電力値の積算値が所定回数以上、同じ値であるときにバイメタルスイッチオン固着判定部35は、バイメタルスイッチ11が固着されていないと判定してもよい。
【0037】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態に係る加熱システム1の構成の一例を示す図である。第3実施形態に係る加熱システム1は、第2実施形態に係る加熱システム1と同様に、発熱回路10、電源20、判定装置30を備える。第3実施形態に係る加熱システム1は、発熱回路10と電源20との間にコンタクタ40を備える。第3実施形態に係る判定装置30は、第2実施形態に係る判定装置30に加えコンタクタ切替部39を備える。
【0038】
コンタクタ40はオンオフを切り替えることで、電源20が発熱回路10に電力を供給するか否かを切り替える。コンタクタ切替部39は、バイメタルスイッチオン固着判定部35による判定及び第二スイッチオン固着判定部38による判定に基づいてコンタクタ40のオンオフを切り替える。コンタクタ切替部39は、第二スイッチオン固着判定部38により第二スイッチ15がオン固着したと判定され、バイメタルスイッチオン固着判定部35によりバイメタルスイッチ11がオン固着したと判定されたとき、コンタクタ40をオフに切り替える。
【0039】
図6は、第3実施形態に係る判定装置30の動作を示すフローチャートである。ステップS121からステップS125までの動作は、第2実施形態におけるステップS111からステップS11までの動作と同じである。コンタクタ切替部39は、バイメタルスイッチ11がオン固着であると判定すると、コンタクタ40をオフに切り替える。
【0040】
図7は、第3実施形態において、第二スイッチ15とバイメタルスイッチ11の状態とコンタクタ40のオンオフの切り替えを示す図である。以下、バイメタルスイッチオン固着判定部35による判定基準となる閾値は正常なバイメタルスイッチ11がオフになるときの電力値の積算値よりも大きい値である。
ケース#1において、第二スイッチ15がオン固着し、バイメタルスイッチ11が正常である。ケース#1においては、バイメタルスイッチ11が正常であるから、発熱部13による発熱によりバイメタルスイッチ11がオフに切り替わることで発熱部13への電流供給を遮断することができる。そのため、コンタクタ40はオフに切り替える必要がない。
【0041】
ケース#2においては、第二スイッチ15が正常であり、バイメタルスイッチ11がオン固着する。ケース#2においては、第二スイッチ15が正常であるから発熱部13への電流供給を制御することが可能である。そのため、コンタクタ40はオフに切り替える必要がない。
【0042】
ケース#3においては、第二スイッチ15がオン固着し、バイメタルスイッチ11もオン固着する。このとき、発熱部13による発熱によりバイメタルスイッチ11がオフに切り替わることができない。そのため、コンタクタ40をオフに切り替えることで、発熱回路10への電流供給を遮断する必要がある。
【0043】
以上により判定装置30は、コンタクタ切替部39は状況に応じてコンタクタ40をオフに切り替えて、発熱回路10の過熱を防ぐことができる。また、バイメタルスイッチオン固着判定部35による判定基準となる閾値が正常なバイメタルスイッチ11がオフになるときの電力値の積算値よりも大きい値であることで、バイメタルスイッチ11が正常であるときにコンタクタ40がオフになることを防ぐことができる。
【0044】
また、第3実施形態においても第1実施形態と同様に、バイメタルスイッチオン固着判定部35による判定基準となる閾値は発熱回路10を覆うカバーが溶融するときの電力値の積算値よりも小さい値に設定されてもよい。このとき、コンタクタ切替部39が発熱回路10を覆うカバーが溶融する前にコンタクタ40をオフに切り替えることができ、発熱回路10の発煙又は発火を防ぐことができる。
【0045】
第3実施形態に係る加熱システム1は、例えば電気自動車又はハイブリッドカーに搭載される。
【0046】
バイメタルスイッチオン固着判定部35は、発熱回路10から検知される内部電圧に基づいてバイメタルスイッチ11のオン固着を判定してもよい。バイメタルスイッチ11が正常にオフになっている場合には、内部電圧は0Vである。バイメタルスイッチオン固着判定部35は、発熱回路10から検知される内部電圧が基準値以上であるとき、バイメタルスイッチがオン固着していると判定してもよい。基準値は例えば内部電圧の検知のばらつきを考慮して設定される。
バイメタルスイッチオン固着判定部35は、本実施形態の電力値の積算値に基づく判定方法と、内部電圧に基づく判定方法とを組み合わせて、バイメタルスイッチのオン固着を判定してもよい。
【0047】
発熱回路10において発熱部13が高温になった際の電力遮断に使用されるバイメタルスイッチ11は、バイメタルスイッチでないスイッチ(第一スイッチ)であってもよい。例えば、第一スイッチは、温度変化に応じてオンオフを切り替えることができればよく、例えばサーモスタットであってもよい。
【0048】
判定装置30の構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0049】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
電源に対して発熱部とバイメタルスイッチとが直列に接続された発熱回路において、前記発熱部により生じたエネルギーの積算値が所定の閾値以上であるときに、前記バイメタルスイッチがオンに固着していると判定する、
ように構成されている、判定装置。
【0050】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 加熱システム
10 発熱回路
11 バイメタルスイッチ(第一スイッチ)
12 電圧検出回路
13 発熱部
14 電流検出回路
15 第二スイッチ
20 電源
30 判定装置
31 電圧値取得部
32 電流値取得部
33 電力値算出部
34 電力積算値算出部
35 バイメタルスイッチオン固着判定部
36 判定結果出力部
37 第二スイッチ切替部
38 第二スイッチオン固着判定部
39 コンタクタ切替部
40 コンタクタ