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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142502
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】排出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20241003BHJP
   B26D 7/00 20060101ALI20241003BHJP
   B26D 7/22 20060101ALI20241003BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20241003BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20241003BHJP
   B65H 5/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
B41J11/70
B26D7/00 Z
B26D7/22 A
B26D7/18 E
B26D1/08
B65H5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054659
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】星 和行
【テーマコード(参考)】
2C058
3C021
3C027
3F101
【Fターム(参考)】
2C058AB06
2C058AB12
2C058AC06
2C058AE04
2C058AF37
2C058AF51
2C058LA39
3C021AA01
3C021AA04
3C021FC02
3C021FC03
3C021HA08
3C027JJ05
3C027JJ18
3F101AB01
3F101AB19
3F101LA07
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】媒体の搬送方向下流側に切断部及び排出部が設けられている状態で排出部の媒体との接触面を清掃する場合において、清掃作業の安全性を向上させること
【解決手段】排出装置は、切断部で切断された媒体を通過させる排出口を有する排出部を備える。排出部は、排出口を通過する媒体と対向するように設けられた固定部と、固定部と接触する第1の位置と第1の位置とは異なる第2の位置との間で揺動可能な揺動部と、をさらに有し、固定部は櫛状部を有する。揺動部は、第1の位置にあるときに櫛状部と相補的に配置される櫛状部を有し、櫛状部は、揺動部が第1の位置にあるときに媒体と接触して排出口に案内する接触面を有しており、揺動部が第2の位置にあるときに接触面を露出させるように構成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送装置よりも搬送方向下流側に配置され、媒体を排出する排出装置であって、
前記搬送装置よりも前記媒体の搬送方向下流側で媒体を切断する切断部と、
前記切断部で切断された媒体を前記搬送方向下流側に通過させて排出する排出口を有する排出部と、
を備え、
前記排出部は、
前記排出口を通過する媒体と対向するように設けられた固定部と、
前記固定部と接触する第1の位置と、前記第1の位置とは異なる第2の位置との間で揺動可能な揺動部と、
をさらに有し、
前記固定部は、媒体の幅方向に並ぶ複数の第1の突出部からなる第1の櫛状部であって、媒体の搬送経路から離間している第1の櫛状部を有し、
前記揺動部は、前記幅方向に並ぶ複数の第2の突出部からなる第2の櫛状部であって、前記揺動部が前記第1の位置にあるときに複数の前記第1の突出部と前記幅方向において相補的に並ぶように配置される第2の櫛状部を有し、
前記第2の櫛状部は、前記揺動部が前記第1の位置にあるときに媒体と接触して前記排出口に案内する接触面を有し、
前記第2の櫛状部は、前記揺動部が前記第2の位置にあるときに前記接触面を前記排出部の前記搬送方向下流側に露出させるように構成されている、排出装置。
【請求項2】
前記接触面は、前記揺動部が前記第2の位置にあるときに上方を向いている、請求項1に記載の排出装置。
【請求項3】
前記揺動部は、前記第2の櫛状部が設けられている基部であって、前記揺動部が前記第1の位置にあるときに複数の前記第1の突出部よりも搬送方向下流側に配置される基部をさらに有し、
前記基部は、前記揺動部が前記第1の位置にあるときに複数の前記第1の突出部を外側から覆うように前記第1の突出部と接触する面を有し、
前記基部は、前記第1の突出部と接触する側の面から前記第2の櫛状部を突出させている、請求項1に記載の排出装置。
【請求項4】
複数の前記第2の突出部が前記第2の位置にあるとき、前記接触面と複数の前記第1の突出部の先端部との間に前記幅方向に延びる隙間が形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の排出装置。
【請求項5】
前記第1の位置にある前記揺動部と接触して前記揺動部の揺動をロックするロック機構をさらに備え、
前記ロック機構は、前記第1の位置にある前記揺動部に対する所定の操作によって、前記揺動部の揺動に対するロックを解除する、請求項1~3のいずれか1項に記載の排出装置。
【請求項6】
前記揺動部を前記第2の位置から前記第1の位置に揺動する方向に付勢するばね部材をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の排出装置。
【請求項7】
媒体は、粘着剤を塗布されている粘着面を有しており、
前記接触面は、非粘着処理をされている、請求項1~3のいずれか1項に記載の排出装置。
【請求項8】
前記接触面は、帯電防止処理をされている、請求項1~3のいずれか1項に記載の排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体を切断する切断部を有するプリンタとして、特許文献1に記載されるように、切断部であるギロチン式カッタの可動刃及び固定刃よりも媒体の搬送方向下流側に設けられた排出口から媒体を繰り出すプリンタが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-119838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリンタのメンテナンス作業のひとつに、排出口まわりの部材の清掃がある。特に、台紙無しラベル等の粘着面を有するラベル紙を媒体として使用する場合、ラベル紙が排出口まわりの部材に接触したときに粘着面の粘着剤が該部材に付着してしまうことがあるため、メンテナンスとして該部材を清掃する必要がある。
排出口まわりの部材を清掃するにあたっては、プリンタの稼働効率の観点から、切断部の取り外しや筐体の開放をされていない稼働スタンバイ状態で清掃作業を実施する場合がある。しかしながら、特許文献1に記載されるようなプリンタは、切断部が排出口よりも搬送方向上流側に設けられているため、稼働スタンバイ状態で該部材の清掃作業を実施すると、作業者が切断部に誤ってアクセスしてしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、搬送装置よりも搬送方向下流側に切断部及び排出部が設けられている状態で排出部の媒体との接触面を清掃する場合において、清掃作業の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、
媒体を搬送する搬送装置よりも搬送方向下流側に配置され、媒体を排出する排出装置であって、
前記搬送装置よりも前記媒体の搬送方向下流側で媒体を切断する切断部と、
前記切断部で切断された媒体を前記搬送方向下流側に通過させて排出する排出口を有する排出部と、
を備え、
前記排出部は、
前記排出口を通過する媒体と対向するように設けられた固定部と、
前記固定部と接触する第1の位置と、前記第1の位置とは異なる第2の位置との間で揺動可能な揺動部と、
をさらに有し、
前記固定部は、媒体の幅方向に並ぶ複数の第1の突出部からなる第1の櫛状部であって、媒体の搬送経路から離間している第1の櫛状部を有し、
前記揺動部は、前記幅方向に並ぶ複数の第2の突出部からなる第2の櫛状部であって、前記揺動部が前記第1の位置にあるときに複数の前記第1の突出部と前記幅方向において相補的に並ぶように配置される第2の櫛状部を有し、
前記第2の櫛状部は、前記揺動部が前記第1の位置にあるときに媒体と接触して前記排出口に案内する接触面を有し、
前記第2の櫛状部は、前記揺動部が前記第2の位置にあるときに前記接触面を前記排出部の前記搬送方向下流側に露出させるように構成されている、排出装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、搬送装置よりも搬送方向下流側に切断部及び排出部が設けられている状態で排出部の媒体との接触面を清掃する場合において、清掃作業の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るプリンタの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るプリンタの内部構造を示す概略配置図である。
図3】本発明の実施形態に係る排出装置の斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る排出装置の排出部まわりの部分の正面図である。
図5】本発明の実施形態に係る排出装置の排出部まわりの部分の背面図である。
図6】本発明の実施形態に係るプリンタの、排出部まわりの部分の側面断面図である。
図7】本発明の実施形態に係るプリンタの、揺動部のロックを解除したときにおける、排出部まわりの部分の側面断面図である。
図8】本発明の実施形態に係るプリンタの、揺動部の接触面が露出しているときにおける、排出部まわりの部分の側面断面図である。
図9】本発明の実施形態に係る排出装置の、揺動部の接触面が露出しているときにおける、排出部まわりの部分の斜視図である。
図10】本発明の実施形態に係る排出装置の、揺動部の接触面が露出しているときにおける、排出部まわりの部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
【0010】
本発明のある態様の第1の態様は、媒体を搬送する搬送装置よりも搬送方向下流側に配置され、媒体を排出する排出装置であって、
前記搬送装置よりも前記媒体の搬送方向下流側で媒体を切断する切断部と、
前記切断部で切断された媒体を前記搬送方向下流側に通過させて排出する排出口を有する排出部と、
を備え、
前記排出部は、
前記排出口を通過する媒体と対向するように設けられた固定部と、
前記固定部と接触する第1の位置と、前記第1の位置とは異なる第2の位置との間で揺動可能な揺動部と、
をさらに有し、
前記固定部は、媒体の幅方向に並ぶ複数の第1の突出部からなる第1の櫛状部であって、媒体の搬送経路から離間している第1の櫛状部を有し、
前記揺動部は、前記幅方向に並ぶ複数の第2の突出部からなる第2の櫛状部であって、前記揺動部が前記第1の位置にあるときに複数の前記第1の突出部と前記幅方向において相補的に並ぶように配置される第2の櫛状部を有し、
前記第2の櫛状部は、前記揺動部が前記第1の位置にあるときに媒体と接触して前記排出口に案内する接触面を有し、
前記第2の櫛状部は、前記揺動部が前記第2の位置にあるときに前記接触面を前記排出部の前記搬送方向下流側に露出させるように構成されている、排出装置である。
【0011】
本発明のある態様の第1の態様によれば、搬送装置よりも搬送方向下流側に切断部及び排出部が設けられている状態で排出部の媒体との接触面を清掃する場合において、清掃作業の安全性を向上させることができる。
【0012】
本発明のある態様の第2の態様は、前記接触面は、前記揺動部が前記第2の位置にあるときに上方を向いている、前記第1の態様に記載の排出装置である。
【0013】
本発明のある態様の第2の態様によれば、揺動部が第2の位置にあるときに接触面が下方を向く場合と比して、接触面に対する上方からの清掃作業の容易性を向上させることができる。
【0014】
本発明のある態様の第3の態様は、前記揺動部は、前記第2の櫛状部が設けられている基部であって、前記揺動部が前記第1の位置にあるときに複数の前記第1の突出部よりも搬送方向下流側に配置される基部をさらに有し、
前記基部は、前記揺動部が前記第1の位置にあるときに複数の前記第1の突出部を外側から覆うように前記第1の突出部と接触する面を有し、
前記基部は、前記第1の突出部と接触する側の面から前記第2の櫛状部を突出させている、前記第1の態様または前記第2の態様に記載の排出装置である。
【0015】
本発明のある態様の第3の態様によれば、揺動部が第1の位置にあるときに第1の突出部を外部に露出させる構成と比して、揺動部が第1の位置にあるときにおける排出装置の見映えを向上させることができる。
【0016】
本発明のある態様の第4の態様は、複数の前記第2の突出部が前記第2の位置にあるとき、前記接触面と複数の前記第1の突出部の先端部との間に前記幅方向に延びる隙間が形成される、前記第1態様から前記第3の態様のいずれか一態様に記載の排出装置である。
【0017】
本発明のある態様の第4の態様によれば、揺動部が第2の位置にあるときに幅方向に延びる隙間が第1の突出部と第2の突出部との間に形成されない場合と比して、接触面の清掃作業の容易性を向上させることができる。
【0018】
本発明のある態様の第5の態様は、前記第1の位置にある前記揺動部と接触して前記揺動部の揺動をロックするロック機構をさらに備え、
前記ロック機構は、前記第1の位置にある前記揺動部に対する所定の操作によって、前記揺動部の揺動に対するロックを解除する、前記第1態様から前記第4の態様のいずれか一態様に記載の排出装置である。
【0019】
本発明のある態様の第5の態様によれば、揺動部が第1の位置と第2の位置との間で揺動可能である場合において、第1の位置にある揺動部を誤って第2の位置に揺動させてしまう誤操作を抑制させることができる。
【0020】
本発明のある態様の第6の態様は、前記揺動部を前記第2の位置から前記第1の位置に揺動する方向に付勢するばね部材をさらに備える、前記第1態様から前記第5の態様のいずれか一態様に記載の排出装置である。
【0021】
本発明のある態様の第6の態様によれば、揺動部が第1の位置と第2の位置との間で揺動可能である場合において、簡易な構成で揺動部を自動的に第2の位置から第1の位置に揺動させることができる。
【0022】
本発明のある態様の第7の態様は、媒体は、粘着剤を塗布されている粘着面を有しており、
前記接触面は、非粘着処理をされている、前記第1態様から前記第6の態様のいずれか一態様に記載の排出装置である。
【0023】
本発明のある態様の第7の態様によれば、媒体が粘着面を有する場合における接触面の清掃作業の容易性を向上させることができる。
【0024】
本発明のある態様の第8の態様は、前記接触面は、帯電防止処理をされている、前記第1態様から前記第7の態様のいずれか一態様に記載の排出装置である。
【0025】
本発明のある態様の第8の態様によれば、接触面の清掃作業の容易性を向上させることができる。
【0026】
以下、本発明の一例としての実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0027】
本発明に係る排出装置は、媒体Pを搬送する搬送装置よりも媒体の搬送方向下流側に配置される排出装置である。
本発明に係る排出装置は、例えば、媒体の搬送装置を含むプリンタと一体的に構成される。この場合、プリンタは、ロール状に巻かれた媒体の印字面に文字、記号、図形またはバーコード等のような印字情報を印字した後、該媒体を筐体に設けられた搬送口から筐体の外側に搬送する。プリンタに含まれる搬送装置は、例えば、搬送ローラを含む搬送機構である。しかし、本発明に係る排出装置は、媒体を搬送しながら媒体に印字を行うプリンタではなく、媒体に印字を行わずに単に媒体を搬送する搬送装置と一体的に構成されてもよい。
以下に示す説明では、排出口(排出装置)が設けられている筐体の面を正面として、プリンタを正面視したときの幅方向(横方向)、奥行方向(前後方向)、上下方向(高さ方向)を夫々、X方向、Y方向、Z方向と記載する。また、幅方向、奥行方向、上下方向のそれぞれ一方側と他方側を区別する必要がある場合は、プリンタを正面視したときの右側を-X側、左側を+X側、奥側を-Y側、手前側を+Y側、上側を+Z側、下側を-Z側と記載する。
【0028】
媒体Pは、帯状の連続紙である。媒体Pは、例えば一方向に延びる長尺状の台紙と、該台紙の一方の面に長手方向に沿って所定の間隔で複数設けられたラベルと、を含んで構成された台紙付きラベルであってもよい。媒体Pは、例えば一方向に延びる長尺状のラベルで構成された台紙無しラベルであってもよい。
【0029】
プリンタ10は、図1及び図2に示されるように、筐体20と、供給部30と、印字部40と、インクリボン部32と、排出装置50と、を備える。プリンタ10は、プリンタ10の各部を制御する制御部(図示省略)をさらに備える。
筐体20は、プリンタ10の内部を覆う機能を有する矩形状の筐体である。筐体20の手前側の正面には、図1に示されるように、操作パネル21が設けられている。操作パネル21は、ユーザの操作入力を受け付ける表示パネルを含む。筐体20の手前側の正面には、図2に示されるように、媒体Pの搬送口22が設けられている。
供給部30は、図2に示されるように、筐体20の内側の奥側に配置されており、ロール状に巻かれた媒体Pを保持して印字部40に供給する機能を有する。供給部30は、媒体Pを保持する保持軸30aを含んで構成されている。
印字部40は、筐体20の内側であって供給部30の前方に配置されており、供給部30から供給された媒体Pに印字して、筐体20の搬送口22に向けて搬送する機能を有する。印字部40は、後述する印字ヘッド47及び搬送ローラ42で媒体Pを挟持して搬送する。印字部40については詳細を後述する。
インクリボン部32は、筐体20の内側であって印字部40の上方に配置されており、インクリボン(図示省略)を保持して印字ヘッド47に向けて供給する機能を有する。インクリボン部32は、印字ヘッド47に向けて供給されるインクリボン(図示省略)を保持するリボン保持部32aと、リボン保持部32aから供給されたインクリボン(図示省略)を印字ヘッド47から巻き取って回収するリボン回収部32bと、を有する。
排出装置50は、筐体20の搬送口22を覆うように設けられており、媒体Pの排出口51bを有する装置である。すなわち、排出装置50は、プリンタ10の搬送口22よりも媒体Pの搬送方向下流側に配置されている。排出口51bは、図4に示されるように、正面から見て横方向(X方向)に延びる略矩形状であり、媒体Pを通過可能に構成されている。排出口51bは、図6に示されるように、筐体20の搬送口22と連通している。排出装置50は、搬送口22から搬送された媒体Pを排出口51bから排出させる機能を有する。排出装置50については詳細を後述する。
【0030】
印字部40は、図2に示されるように、搬送ローラ42と、媒体支持機構部44と、ヘッド部46と、ダンパ部48と、を備える。
【0031】
搬送ローラ42は、媒体支持機構部44に回転可能に支持されている円筒状の部材である。搬送ローラ42は、図示しないモータを含んで構成されている駆動手段と連結されており、該駆動手段の駆動によって回転駆動する。
搬送ローラ42は、ヘッド部46の後述する印字ヘッド47とで供給部30から印字部40に供給された媒体Pを挟持するニップ領域を形成する。該ニップ領域は上下方向(Z方向)において筐体20の搬送口22と重なる位置に形成される。
搬送ローラ42は、印字ヘッド47とで供給部30から印字部40に供給された媒体Pを挟持した状態で回転することで、媒体Pを搬送口22に向けて+Y方向に向けて搬送する。搬送ローラ42は、印字部40に供給された媒体Pの印字面とは反対側の面と接触する。搬送ローラ42は、本実施形態において、印字部40に供給された媒体Pに対する下側に設けられている。
【0032】
媒体支持機構部44は、図2に示されるように筐体20の底部パネル上に設けられており、搬送ローラ42を回転可能に支持している。媒体支持機構部44は、印字部40に供給された媒体Pの経路を規制するように媒体Pを支持する機能を有する。
【0033】
ヘッド部46は、図2に示されるように、搬送ローラ42及び媒体支持機構部44の上方に設けられている。ヘッド部46は、印字ヘッド47を含んで構成されている。
【0034】
印字ヘッド47は、図2に示されるように、搬送ローラ42よりも上側に配置されているサーマルヘッドであり、左右方向(つまり、媒体Pの幅方向)に複数並んで設けられている発熱体(図示省略)を含んで構成されている。印字ヘッド47は、媒体Pと、リボン保持部32aから媒体Pの印字面側に供給されたインクリボン(図示省略)とを、搬送ローラ42とで挟持する。印字ヘッド47は、複数の発熱体(図示省略)を発熱させることで媒体Pの印字面にインクリボン(図示省略)の印字用インクを熱転写させる。このとき、印字ヘッド47は、制御部(図示省略)によって複数の発熱体(図示省略)を印字情報に対応するように選択的に発熱させることで、該印字情報を印字用インクで媒体Pに熱転写して印字する。
【0035】
ダンパ部48は、図2に示されるように、搬送ローラ42よりも搬送方向上流側に設けられている。ダンパ部48は、供給部30から搬送ローラ42に向けて供給された媒体Pの、媒体支持機構部44よりも搬送方向上流側の部分と接触して張力を付与する機能を有する。
【0036】
排出装置50は、図3に示されるように、本体部50aと、排出部51と、を含んで構成されている。排出装置50は、図6に示されるように、切断部52と、非接触センサ53と、を備える。排出装置50は、ロック機構80を有する。排出装置50の排出口51bは、排出部51に含まれて構成されている。
【0037】
本体部50aは、図3に示されるように、排出装置50の外形を形成する部材である。本体部50aは、排出装置50に設けられた各部を収容する機能を有する。排出部51の排出口51bは、本体部50aの正面から目視可能に配置されている。
【0038】
非接触センサ53は、図6に示されるように、後述する排出パネル51aの上側の傾斜部51dの下方で、本体部50aに保持されるように配置されている。非接触センサ53は、プリンタ10の制御部(図示省略)と接続されており、排出パネル51aの傾斜部51dに形成された開口51cを通して、排出口51bにおける媒体Pの有無を検知する機能を有する。非接触センサ53は、例えば赤外線センサであり、媒体Pに対して非接触の状態で媒体Pの有無を検知する。
【0039】
切断部52は、図6に示されるように、筐体20の正面と排出口51bとの間に配置されており、搬送口22から搬送された媒体Pを切断する機能を有する。すなわち、切断部52は、搬送ローラ42よりも媒体Pの搬送方向下流側で媒体Pを切断する。
切断部52は、固定刃52aと、可動刃52bと、を含んで構成されているギロチン式カッタである。
【0040】
固定刃52aは、筐体20の外側であって媒体Pの搬送経路よりも上側の位置で、筐体20の外面に沿うように配置されている平刃状の部材である。固定刃52aは、固定刃52aの刃先を筐体20の搬送口22の上縁から下側に突出させるように配置されている。
【0041】
可動刃52bは、図6に示されるように、筐体20の外側であって媒体Pの搬送経路よりも下側に配置されている平刃状の部材である。可動刃52bは、可動刃52bの刃先を固定刃52aの刃先と対向させるように配置されている。可動刃52bは、図示しない昇降手段と連結されており、該昇降手段によって上下方向において移動可能に構成されている。
具体的には、可動刃52bは、図6に示される位置から該昇降手段によって上方に移動し、平刃状である固定刃52aの平面部分に沿うように上昇移動する。この上昇移動において、可動刃52bは、可動刃52bの刃先と固定刃52aの刃先とが接触するように接近する位置である切断位置を通過する。可動刃52bは、該切断位置において固定刃52aとで筐体20の搬送口22から搬送された媒体Pを挟持した後、さらに上昇することで、該媒体Pを切断する。
【0042】
排出部51は、図6に示されるように、搬送口22から搬送された媒体Pを排出口51bに案内してプリンタ10及び排出装置50の外側に排出させる機能を有する。排出部51は、切断部52よりも媒体Pの搬送方向下流側に配置されている。
排出部51は、排出パネル51aと、固定部60と、揺動部70と、を含んで構成されている。排出部51は、揺動部70を後述する軸部73まわりに揺動させることで、媒体Pを排出口51bに案内して通過させる案内状態(図6参照)と、媒体Pと接触する傾斜面74aを露出させる露出状態(図8及び図9参照)と、を切替可能に構成されている。換言すると、揺動部70は、第1の位置と、第1の位置とは異なる第2の位置との間で揺動可能に構成されている。排出部51は、図6に示されるように、揺動部70が第1の位置にあるとき、排出パネル51aと揺動部70との間に排出口51bを形成するように構成されている。
【0043】
排出パネル51aは、図4図6に示されるように、排出口51bの下側に配置され、排出装置50の正面(X-Z平面)に沿うように立っている、パネル状の部材である。排出パネル51aは、排出装置50の外面の一部として構成されている。排出パネル51aは、図6に示されるように、排出パネル51aの上側の端部として、排出装置50の外面に対して奥側(-Y側)であって上側(+Z側)に傾斜して拡がっているパネル状の傾斜部51dを有する。傾斜部51dは、揺動部70が第1の位置にあるとき、排出口51bの下辺を成すように構成されている。傾斜部51dは、非接触センサ53のための開口51cを有する。
【0044】
固定部60は、図6に示されるように、排出パネル51aの傾斜部51dの上方に配置されており、排出口51bを通過する媒体Pと対向するように排出装置50に対して相対的に固定されている状態で設けられている。固定部60は、揺動部70が第1の位置にあるとき、搬送口22及び排出口51bを通過する媒体Pに対して非接触となるように構成されている。
固定部60は、上壁部66と、第1の櫛状部62と、を含んで構成されている
【0045】
上壁部66は、図3に示されるように、排出装置50において排出口51bの上方に配置されている外壁の一部であり、排出口51bに沿って横方向(X方向)に延びている。上壁部66の横方向における両端部には、上壁部66の外面に対して奥側(-Y方向)に向かって凹んでいる凹部66aが形成されている。
【0046】
第1の櫛状部62は、図6に示されるように、上壁部66の下端から下方に突出して且つ媒体Pの搬送経路から離間するように形成されている。第1の櫛状部62は、図8及び図9に示されるように、第1の突出部64と、溝部65と、を有する。
【0047】
第1の突出部64は、図8図10に示されるように、上壁部66の下端の一部から下方に突出するように形成されている突起である。第1の突出部64は、上壁部66の下端において、横方向(X方向)に所定の間隔で並ぶように複数形成されている。すなわち、複数の第1の突出部64は、搬送ローラ42の軸方向と平行に並んでいる。なお、搬送ローラ42の軸方向は、媒体Pの幅方向(つまり、搬送方向に直交する方向)に等しい。
第1の突出部64は、図9に示されるように、壁面67と、傾斜面68と、先端部69と、を有する。壁面67は、第1の突出部64の手前側でX-Z平面に沿って拡がっている面である。先端部69は、第1の突出部64の下方の端部であり、壁面67の下方の辺縁を成している。傾斜面68は、図5及び図8に示されるように、先端部69から奥側(-Y側)で且つ上側(+Z側)に傾斜して延びる斜辺とX軸とに沿って拡がる面である。
第1の突出部64は、図8に示されるように、横方向(X方向)から見て、壁面67、傾斜面68、先端部69の夫々を台形における底、脚、先端とする略台形の形状をなしている。
横方向(X方向)に沿って並ぶ複数の第1の突出部64の壁面67は、互いに面一となっている。
第1の櫛状部62は、複数の第1の突出部64を有することで、図10に示されるように、揺動部70が第2の位置にあるとき、正面(Y方向)から見て上壁部66から下方に延びており複数の歯を有する櫛のような形状を有する。
【0048】
複数の第1の突出部64のうち、横方向における両端部に位置する第1の突出部64は、-X側から夫々突出部64a及び突出部64bという。
【0049】
図10に示されるように、横方向(X方向)に沿って複数並んでいる第1の突出部64どうしの間には、横方向における所定の長さを有する間隙s1が形成されている。間隙s1の該長さは、5.0mm未満であることが好ましい。このため、排出装置50は、作業者による、第1の櫛状部62よりも奥側(-Y側)に配置されているものに対する、間隙s1を通して第1の櫛状部62の手前側(+Y側)からのアクセスを抑制させる。
【0050】
第1の突出部64の横方向における長さw1は、後述する複数の第2の突出部74どうしの間に形成される間隙s2の横方向における長さよりも短い(図5参照)。なお、突出部64a、64bの横方向における長さは、第2の突出部74の間隙s2の横方向における長さより長くてもよい。
【0051】
突出部64a、64bには夫々、間隙s1とは反対側の部分に、揺動部70が第1の位置にあるときにおいて揺動部70の衝立部71a(詳細は後述)を収容可能な収容スリットが設けられている。
【0052】
溝部65は、図8図10に示されるように、複数の第1の突出部64の基端部に、突出部64aから突出部64bにかけて、横方向(X方向)に延びるように形成されている溝である。溝部65は、図8に示されるように、横方向から見て、手前側(+Y方向)に開口しているコの字状の断面を有する。溝部65の横方向における両側の端部は、図9に示されるように、上壁部66の凹部66aと接続されて上方(+Z側)に開口している。
【0053】
揺動部70は、図6に示されるように、排出パネル51aの傾斜部51dの上方に配置されている。揺動部70は、固定部60と接触する第1の位置(図6参照)と、第1の位置とは異なっており、排出パネル51aと接触する第2の位置(図8参照)と、の間で揺動可能に構成されている。
揺動部70は、パネル部71と、軸部73と、引張コイルばね73aと、第2の櫛状部72と、を含んで構成されている。
【0054】
パネル部71は、図4に示されるように、揺動部70が第1の位置にあるとき、正面(Y方向)から見て横方向(X方向)に延びており、X-Z平面に沿って拡がっている略矩形状のパネル材である。このとき、パネル部71は、図6に示されるように、第1の突出部64の壁面67と接触する。このとき、複数の第1の突出部64は、パネル部71によって外部に対して露出していない状態となっている。すなわち、パネル部71は、揺動部70が第1の位置にあるとき、複数の第1の突出部64を外側から覆っている。パネル部71は、基部の一例である。
パネル部71の面のうち、壁面67と接触する側の面を裏面という。パネル部71の裏面とは反対側の面を表面という。
パネル部71は、図8に示されるように、揺動部70が第2の位置にあるとき、表面を排出パネル51aに接触させる。このとき、排出口51bは、排出パネル51aと接触するパネル部71によって閉止されている状態となる。仮に、揺動部70が第2の位置にあるときに搬送ローラ42で媒体Pを搬送させた場合、プリンタ10は媒体Pを排出口51bから排出させられず、媒体Pの詰まりを引き起こす虞がある。
パネル部71は、図4に示されるように、揺動部70が第1の位置にあるとき、パネル部71の下側の辺縁71bで排出口51bの上辺を成すように構成されている。
パネル部71の横方向における両側の辺縁には、図9に示されるように、該辺縁から裏面側に立つパネル状の衝立部71aが対となって形成されている。揺動部70は、第1の位置にあるとき、衝立部71aを第1の櫛状部62の突出部64a,64bに設けられた収容スリット(図示省略)に収容させるように構成されている。
【0055】
図6に示されるように、揺動部70が第1の位置にあるときにおけるパネル部71の上側(+Z側)の辺縁には、該辺縁から裏面側に立つパネル状の衝立部75が形成されている。すなわち、衝立部75を有するパネル部71の辺縁は、横方向(X方向)から見てL字状の断面を有する。
揺動部70は、第1の位置にあるとき、衝立部75を第1の櫛状部62の溝部65の内側に収容させるように構成されている。
衝立部75の横方向(X方向)における両側の端部75aは、揺動部70が第1の位置にあるとき、上壁部66の凹部66aから露出している。衝立部75及び上壁部66は、凹部66aから露出している端部75aへのアクセスによって作業者による操作を可能とするように構成されている。
【0056】
軸部73は、図9に示されるように、一対の衝立部71aの夫々に対応して、該衝立部71aと一体的に設けられた、横方向(X方向)に延びる軸材である。一対の軸部73は、夫々に対応する衝立部71aに対してパネル部71側とは反対側に延びている。一対の軸部73は、回転可能となるように排出装置50の本体部50aで支持されている。これにより、揺動部70は、第1の位置と第2の位置との間を軸部73まわりに揺動可能となっている。
【0057】
さらに、一対の軸部73は、上下方向(Z方向)に移動可能となるように本体部50aで支持されている。
【0058】
引張コイルばね73aは、図9に示されるように、一対の軸部73の夫々に設けられている。引張コイルばね73aの一端は、軸部73と接続されている。引張コイルばね73aは、軸部73に対して奥側(-Y側)で且つ上側(+Z側)に傾斜する方向における伸縮が可能となるように、軸部73とは反対側である他端を本体部50aに支持されている。これにより、揺動部70は、軸部73に設けられた引張コイルばね73aによって+Z方向に付勢されている。また、揺動部70は、図3に示される第1の位置から図9に示される第2の位置に揺動したとき、軸部73に設けられた引張コイルばね73aによって第2の位置から第1の位置に揺動する方向に付勢される。引張コイルばね73aは、ばね部材の一例である。
【0059】
第2の櫛状部72は、図9に示されるように、パネル部71の裏面から、該裏面の法線方向に突出するように形成されている。第2の櫛状部72は、第2の突出部74を有する。
【0060】
第2の突出部74は、図7に示されるように、パネル部71の衝立部75とは反対側の辺縁71bの一部から延びるパネル状の部材が、パネル部71の裏面に向けて複数回屈曲されて形成されている。第2の突出部74は、図8に示されるように、横方向(X方向)から見て、パネル部71の衝立部75とは反対側の辺縁71bを先端として該裏面上に立つ略直角三角形状の断面を有する。第2の突出部74は、該裏面において、横方向(X方向)に所定の間隔で並ぶように複数形成されている。すなわち、複数の第2の突出部74は、搬送ローラ42の軸方向に並んでいる。
第2の櫛状部72は、複数の第2の突出部74を有することで、図10に示されるように、揺動部70が第2の位置にあるとき、正面(Y方向)から見てパネル部71の裏面から上方に延びており複数の歯を有する櫛のような形状を有する。
【0061】
第2の突出部74は、図7に示されるように、該裏面に対して傾斜している傾斜面74aを有する。横方向(X方向)に沿って並ぶ複数の第2の突出部74の傾斜面74aは、互いに面一となっている。
【0062】
図6に示されるように、揺動部70が第1の位置にあるとき、傾斜面74aは、固定部60の傾斜面68よりも筐体20に近い位置であって、上下方向(Z方向)において筐体20の搬送口22と重なる位置に配置されている。このとき、傾斜面74aは、搬送ローラ42によって搬送口22から+Y方向に向けて搬送された媒体Pと接触して、該媒体Pをパネル部71の辺縁71bに向けて案内する。すなわち、第2の櫛状部72の傾斜面74aは、揺動部70が第1の位置にあるとき、搬送ローラ42によって搬送される媒体Pと接触して排出口51bに案内する。傾斜面74aは、接触面の一例である。また、傾斜面74aを有する揺動部70は、排出口51bまわりの部材の一例である。
【0063】
図8及び図9に示されるように、揺動部70が第2の位置にあるとき、第2の突出部74は、傾斜面74aを排出パネル51aよりも+Y側に突出する状態で外部に露出させるように構成されている。すなわち、第2の櫛状部72は、揺動部70が第2の位置にあるとき、傾斜面74aを排出部51よりも媒体Pの搬送方向下流側に露出させる。本実施形態において、傾斜面74aは、揺動部70が第2の位置にあるとき、上方(+Z側)を向くように構成されている。
【0064】
図8に示されるように、揺動部70が第2の位置にあるとき、第2の突出部74の傾斜面74aは、横方向(X方向)から見て第1の突出部64の先端部69と離間しており、先端部69との間に間隙h(図10参照)を形成している。このとき、間隙hは、図10に示されるように、複数の傾斜面74aと複数の先端部69との間で、横方向に延びる形状を有するスリット状の隙間として見なすことができる。間隙hは、搬送ローラ42の軸方向に伸びる隙間(スリット)の一例である。
【0065】
間隙hの、傾斜面74aの法線方向における長さは、5.0mm未満であることが好ましい。このため、排出装置50は、作業者による、第1の櫛状部62よりも奥側(-Y側)に配置されているものに対する、間隙hを通して第1の櫛状部62の手前側(+Y側)からのアクセスを抑制させる。
【0066】
図10に示されるように、揺動部70が第2の位置にあるとき、横方向(X方向)に沿って複数並んでいる第2の突出部74どうしの間には、横方向における所定の長さを有する間隙s2が形成されている。間隙s2の該長さは、5.0mm未満であることが好ましい。このため、排出装置50は、作業者による、第2の櫛状部72よりも奥側(-Y側)に配置されているものに対する、間隙s1を通して第2の櫛状部72の手前側(+Y側)からのアクセスを抑制させる。
【0067】
第2の突出部74の横方向における長さw2は、複数の第1の突出部64どうしの間に形成される間隙s1の横方向における長さよりも短い(図5参照)。
【0068】
第2の突出部74は、図10に示されるように、突出部64aから突出部64bに亘って、複数の第1の突出部64の間の間隙s1と対向するように形成されている。これにより、複数の第2の突出部74及び複数の第1の突出部64は、図5に示されるように、揺動部70が第1の位置にあるときに、横方向(X方向)において交互に並ぶように配置される。すなわち、第2の櫛状部72は、揺動部70が第1の位置にあるときに、複数の第1の突出部64と搬送ローラ42の軸方向において相補的に並ぶように配置される。また、揺動部70は、媒体Pを通過させる第1の位置から第2の位置に向けた揺動のみによって、傾斜面74aを露出させて且つ、切断部52の搬送方向下流側に間隙s1,s2を有する櫛状部62,72を配置することができる。
【0069】
第2の突出部74の傾斜面74aは、非粘着処理をされていることが好ましい。また、傾斜面74aは、帯電防止処理をされていることが好ましい。具体的には、傾斜面74aは、非粘着処理及び/または帯電防止処理の一例として、テフロン(登録商標)加工をされていることが好ましい。
【0070】
ロック機構80は、揺動部70が第1の位置にあるとき、揺動部70をロックする機能を有する。ロック機構80は、固定部60の溝部65と、揺動部70の衝立部75と、軸部73と、引張コイルばね73aと、を含んで構成されている。
【0071】
図4及び図6に示されるように、揺動部70が第1の位置にあるとき、揺動部70は軸部73に設けられた引張コイルばね73aによって上壁部66側に付勢されている。このとき、溝部65内に収容されている衝立部75は、引張コイルばね73aの付勢力によって、溝部65の上壁部66側の側壁に押し付けられるように接触している。この状態において、例えば搬送される媒体Pとの接触に伴って揺動部70に対して第1の位置から第2の位置への揺動に向けた回転トルクが作用したとき、該回転トルクは衝立部75を溝部65にさらに押し付けるように作用する。すなわち、ロック機構80は、溝部65と、引張コイルばね73aによって付勢されている衝立部75とを有することで、第1の位置にある揺動部70の第1の位置から第2の位置に向けた揺動を規制する機能を有する。このロック機構80によるロック機能は、第1の位置にある揺動部70に対して、作業者による誤操作によって該回転トルクが付与された場合においても同様に作用する。
【0072】
また、揺動部70が第1の位置にある場合、パネル部71は、軸部73に対して奥側(-Y側)で且つ上側(+Z側)に傾斜する方向に伸縮可能に支持されている引張コイルばね73aによって、第1の突出部64に接触させる方向に付勢されている。すなわち、ロック機構80は、第1の位置にある揺動部70の第1の位置から第2の位置に向けた揺動を引張コイルばね73aの付勢力によって規制する機能を有する。
【0073】
揺動部70が第1の位置にあるとき、作業者が上壁部66の凹部66aから露出している端部75aを操作して端部75aを排出パネル51aに向けて押圧する。このとき、揺動部70の軸部73が上下方向(Z方向)に移動可能となるように本体部50aで支持されているため、端部75aは排出パネル51aに向けて押圧されることで、図7に示されるように溝部65から離間している状態になる。この後、作業者が端部75aをさらに操作して第2の位置に向けた回転トルクを付与することで、図8図10に示されるように、揺動部70を第2の位置に揺動させて傾斜面74aを露出させた状態にすることができる。すなわち、ロック機構80は、第1の位置にある揺動部70に対する所定の操作によって、揺動部70の揺動に対する規制を解除するように構成されている。
【0074】
非接触センサ53は、例えば図8に示されるように、揺動部70が第2の位置にあるとき、開口51cを通してパネル部71を感知することで、パネル部71による排出口51bの閉止状態を検知する機能を有する。このとき、非接触センサ53は、排出口51bの閉止状態を示す信号をプリンタ10の制御部(図示省略)に送信する。該制御部は、該信号を受信したとき、プリンタ10による媒体Pの搬送動作を実行されないように、プリンタ10の各部の動作を制御する。
【0075】
なお、非接触センサ53は、揺動部70が第1の位置にあるとき、開口51cを通してパネル部71を感知しないように構成されている。すなわち、非接触センサ53が開口51cを通してパネル部71を感知しないときに、揺動部70が第1の位置にあると判断される。換言すると、非接触センサ53が開口51cを通してパネル部71を感知しないときに、排出口51bを媒体Pの通過を可能とする開放状態であると判断される。このとき、非接触センサ53と電気的に接続されるプリンタ10の制御部(図示省略)は、プリンタ10による媒体Pの搬送動作を可能とするように、プリンタ10の各部の動作を制御する。
【0076】
次に、排出装置50の作用及び効果について説明する。
【0077】
プリンタ10よりも搬送方向下流側に配置される排出装置50は、揺動部70を有することで、揺動部70を第2の位置に揺動させて、排出部51の搬送方向下流側に傾斜面74aを露出させることで傾斜面74aを清掃することができる。また、排出装置50は、揺動部70が第2の位置にあるときに間隙s1,s2を形成している第1の櫛状部62及び第2の櫛状部72をさらに有することで、排出装置50の外側から切断部52に向けた作業者によるアクセスを抑制させることができる。よって、排出装置50は、プリンタ10よりも搬送方向下流側に切断部52及び排出部51が設けられている状態で傾斜面74aを清掃する場合において、清掃作業の安全性を向上させることができる。
換言すると、排出装置50は、切断部52で切断された媒体Pと接触して案内する傾斜面74aを有する排出部51を備える場合において、傾斜面74aの清掃作業の容易性及び/又は安全性を向上させることができる。
【0078】
傾斜面74aは、揺動部70が第2の位置にあるとき、上方を向いている。よって、排出装置50は、揺動部70が第2の位置にあるときに傾斜面74aが下方を向くように構成されている場合と比して、傾斜面74aに対する上方からの清掃作業の容易性を向上させることができる。
【0079】
パネル部71は、揺動部70が第1の位置にあるとき、第1の突出部64を外側から覆うように第1の接触部64と接触する。よって、排出装置50は、揺動部70が第1の位置にあるときに第1の突出部64を外部に露出させる構成と比して、揺動部70が第1の位置にあるときにおける排出装置50の見映えを向上させることができる。
【0080】
揺動部70の複数の第2の突出部74が第2の位置にあるとき、傾斜面74aと先端部69との間に間隙hが形成される。このとき、作業者は、清掃用のツールを間隙hに沿って横方向(X方向)に移動させることで複数の傾斜面74aを清掃することができる。特に、揺動部70が第2の位置にあるときに、傾斜面74aの一部が第1の突出部64よりも奥側(-Y側)に配置されている場合、該ツールは、間隙hを通して第1の突出部64よりも奥側に差し込まれた状態で横方向に移動可能となる。よって、排出装置50は、揺動部70が第2の位置にあるときに間隙hが第1の突出部64と第2の突出部74との間に形成されない場合と比して、傾斜面74aの清掃作業の容易性を向上させることができる。
【0081】
排出装置50は、ロック機構80をさらに備える。よって、排出装置50は、揺動部70が第1の位置と第2の位置との間で揺動可能である場合において、第1の位置にある揺動部70を誤って第2の位置に揺動させてしまう誤操作を抑制させることができる。
【0082】
排出装置50は、引張コイルばね73aをさらに備える。よって、排出装置50は、揺動部70が第1の位置と第2の位置との間で揺動可能である場合において、簡易な構成で揺動部70を自動的に第2の位置から第1の位置に揺動させることができる。
【0083】
傾斜面74aは、非粘着処理としてのテフロン(登録商標)加工をされている。よって、プリンタ10において、媒体Pとして粘着剤を塗布されている粘着面を有するラベル紙を使用するとき、媒体Pの傾斜面74aへの接触に伴う粘着剤の傾斜面74aへの付着が抑制される。すなわち、排出装置50は、媒体Pが粘着面を有する場合における傾斜面74aの清掃作業の容易性を向上させることができる。
【0084】
傾斜面74aは、帯電防止処理としてのテフロン(登録商標)加工をされている。よって、傾斜面74aを有する揺動部70は、搬送ローラ42で搬送される媒体Pとの接触に伴って発生する静電気によって帯電されにくくなる。よって、プリンタ10においては、媒体Pの、静電気による揺動部70への付着が抑制される。特に、プリンタ10において、媒体Pとしてラベル紙を使用するとき、ラベル紙の粘着剤の、静電気による揺動部70への付着が抑制される。また、プリンタ10においては、媒体Pの印字面に印字されたインクの、静電気による揺動部70への付着が抑制される。すなわち、排出装置50は、傾斜面74aの清掃作業の容易性を向上させることができる。
【0085】
以上のとおり、本発明の一例としての実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内にて種々の変形、変更、改良が可能である。
【0086】
例えば、排出装置50において、揺動部70が第2の位置にあるとき、傾斜面74aと先端部69との間に搬送ローラ42の軸方向に延びる間隙hが形成されるものとした。しかしながら、一実施形態では、揺動部が第2の位置にあるとき、揺動部の接触面と固定部の先端部との間に搬送ローラの軸方向に延びる隙間は形成されなくてもよい。
【0087】
また、排出装置50は、揺動部70を第2の位置から第1の位置に揺動する方向に付勢するばね部材の一例として、引張コイルばね73aを備えるものとした。しかしながら、一実施形態に係るばね部材は、引張コイルばねに限定されない。一実施形態に係るばね部材は、例えば軸部73に設けられたトーションばねであってもよい。
【0088】
排出装置50は、ギロチン式カッタである切断部70を備えるものとした。しかしながら、一実施形態に係る切断部は、ギロチン式カッタに限定されない。一実施形態に係る切断部は、手前側(+Y側)に搬送される媒体Pに対して円盤状の可動刃を横方向(X方向)にスライド移動させることで媒体Pを切断するロータリー式カッタであってもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 :プリンタ
42 :搬送ローラ
50 :排出装置
51 :排出部
51b :排出口
52 :切断部
60 :固定部
62 :第1の櫛状部
64 :第1の突出部
69 :先端部
70 :揺動部
71 :パネル部(基部の一例)
72 :第2の櫛状部
73 :軸部
73a :引張コイルばね(ばね部材の一例)
74 :第2の突出部
74a :傾斜面(接触面の一例)
80 :ロック機構
h :間隙
P :媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10