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特開2024-142508ディスクユニット、共焦点スキャナ、及び共焦点顕微鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142508
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ディスクユニット、共焦点スキャナ、及び共焦点顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20241003BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20241003BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G02B21/06
G01N21/17 A
G01N21/64 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054666
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】景 虹之
(72)【発明者】
【氏名】小石原 奈央
(72)【発明者】
【氏名】安藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】東 拓哉
【テーマコード(参考)】
2G043
2G059
2H052
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043DA06
2G043EA01
2G043EA14
2G043HA01
2G043HA02
2G043HA07
2G043HA09
2G043KA09
2G043LA03
2G059AA05
2G059BB14
2G059DD13
2G059FF03
2G059GG01
2G059JJ03
2G059JJ11
2G059JJ13
2G059JJ19
2G059JJ20
2G059JJ22
2G059KK04
2G059LL01
2H052AA08
2H052AC15
2H052AC34
2H052AF14
(57)【要約】
【課題】従来よりも少ない部品点数で、より明るさが均一な高画質の共焦点像を得ることができるディスクユニット、共焦点スキャナ、及び共焦点顕微鏡を提供する。
【解決手段】共焦点顕微鏡1のディスクユニット24は、インナーゾーンZ11とアウターゾーンZ12とを有するマイクロレンズアレイディスク24aと、インナーゾーンZ21とアウターゾーンZ22とを有し、マイクロレンズアレイディスク24aとともに回転するピンホールアレイディスク24bとを備え、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11及びアウターゾーンZ12にはマイクロレンズML1,ML2がそれぞれ設けられ、ピンホールアレイディスク24bのインナーゾーンZ21には反射ミラーRMが設けられ、アウターゾーンZ22にはマイクロレンズML2に対応する複数のピンホールPHが設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に区分された第1領域と第2領域とを有する第1ディスクと、
前記第1ディスクに対応して径方向に区分された第1領域と第2領域とを有し、前記第1ディスクの一方の面に他方の面が対向配置されて前記第1ディスクとともに回転する第2ディスクと、
を備え、
前記第1ディスクの第1領域及び第2領域には、複数のマイクロレンズが設けられ、
前記第2ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方には、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方に設けられた前記マイクロレンズを透過した光を、当該マイクロレンズに向けて反射する反射ミラーが設けられ、
前記第2ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方には、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方に設けられた前記マイクロレンズに対応する複数のピンホールが設けられている、
ディスクユニット。
【請求項2】
前記第1ディスクの第1領域に設けられる前記マイクロレンズと、前記第1ディスクの第2領域に設けられる前記マイクロレンズとは、互いに種類が異なる請求項1記載のディスクユニット。
【請求項3】
前記第1ディスクの第2領域に設けられる前記マイクロレンズは、螺旋状に配置されている、請求項1記載のディスクユニット。
【請求項4】
前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方に設けられた前記マイクロレンズの焦点距離は、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方に設けられた前記マイクロレンズの焦点距離の2倍である、請求項1記載のディスクユニット。
【請求項5】
前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の少なくとも一方に設けられた前記マイクロレンズの平面視形状は、円形又は矩形形状である、請求項1記載のディスクユニット。
【請求項6】
前記第1ディスクと前記第2ディスクとを接続する連結軸と、
前記連結軸を回転駆動する駆動部と、
を備える請求項1記載のディスクユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか一項に記載のディスクユニットと、
前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方に設定された第1照明領域内の前記マイクロレンズとともにケーラー照明系を形成し、前記第1照明領域内の前記マイクロレンズで分割された複数の分割光を、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方に設定された第2照明領域に導く導光部と、
前記第1ディスクの一方の面と前記第2ディスクの他方の面との間に配置され、前記第2照明領域内の前記マイクロレンズを介した光を透過し、前記第2ディスク側から入射される光を前記第1ディスク及び前記第2ディスクの径方向外側に向けて反射するビームスプリッタと、
を備える共焦点スキャナ。
【請求項8】
前記導光部は、
第1偏光状態の光を透過させるとともに、第2偏光状態の光を反射する偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタと前記第1ディスクとの間に配置され、前記ビームスプリッタを透過した第1偏光状態の光を第3偏光状態に変換し、前記第3偏光状態の前記分割光を前記第2偏光状態に変換する1/4波長板と、
前記偏光ビームスプリッタで反射された前記分割光を前記第2照明領域に案内する分割光案内部と、
前記分割光の光路に配置され、前記ケーラー照明系の一部を形成するフーリエレンズと、
を備える請求項7記載の共焦点スキャナ。
【請求項9】
試料を走査するための照明光を射出する請求項7記載の共焦点スキャナと、
前記照明光を生成するための光を出力する光源部と、
前記試料の共焦点像を撮影する撮影装置と、
を備える共焦点顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクユニット、共焦点スキャナ、及び共焦点顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスク走査型の共焦点顕微鏡を用いて、生体の組織、器官、細胞等の試料を2次元画像又は3次元画像に画像化する技術が注目されている。この技術は、ディスクユニットを回転させて試料に対する照明光(励起光)の照射位置を変更する(照明光によって試料を走査する)ことで、試料の共焦点像を得るものである。この技術では、焦点面における情報のみが得られるため、解像度及びコントラストが優れた画像が得られるという利点がある。
【0003】
以下の特許文献1には、ディスクユニットを構成するマイクロレンズアレイディスクとピンホールアレイディスクとの間に反射ミラーを設けた共焦点顕微鏡が開示されている(図6参照)。この共焦点顕微鏡では、マイクロレンズアレイディスクを通過した照明光を反射ミラーで反射して再びマイクロレンズアレイディスクを通過させ、強度が均一化された照明光を、マイクロレンズアレイディスクに設けられた照射面に照射して共焦点像を得るようにしている。このように、以下の特許文献1の共焦点顕微鏡は、共焦点光学系の一部をなすマイクロレンズアレイディスクを、ホモジェナイザの一部をなすマイクロレンズアレイディスクとしても用いることで、明るさが均一な高画質の共焦点像を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7180707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に開示された共焦点顕微鏡では、上述の通り、ディスクユニットのマイクロレンズアレイディスクを、共焦点光学系の一部をなすマイクロレンズアレイディスクと、ホモジェナイザの一部をなすマイクロレンズアレイディスクとして用いている。このため、共焦点光学系の一部をなすマイクロレンズアレイディスクと、ホモジェナイザの一部をなすマイクロレンズアレイディスクとを個別に設計することはできない。仮に、共焦点光学系の一部をなす最適なマイクロレンズアレイディスクと、ホモジェナイザの一部をなす最適なマイクロレンズアレイディスクとを個別に設計することができれば、より明るさが均一な高画質の共焦点像を得ることができると考えられる。
【0006】
また、上述した特許文献1に開示された共焦点顕微鏡では、ディスクユニットを構成するマイクロレンズアレイディスクとピンホールアレイディスクとの中間の位置に反射ミラーを設ける必要がある。このため、反射ミラーの位置や反射角度を調整する機構が必要になり、部品点数の増加及びコストの上昇を招いてしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも少ない部品点数で、より明るさが均一な高画質の共焦点像を得ることができるディスクユニット、共焦点スキャナ、及び共焦点顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様によるディスクユニット(24)は、径方向に区分された第1領域(Z11)と第2領域(Z12)とを有する第1ディスク(24a)と、前記第1ディスクに対応して径方向に区分された第1領域(Z21)と第2領域(Z22)とを有し、前記第1ディスクの一方の面に他方の面が対向配置されて前記第1ディスクとともに回転する第2ディスク(24b)と、を備え、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域には、複数のマイクロレンズ(ML1,ML2)が設けられ、前記第2ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方には、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方に設けられた前記マイクロレンズを透過した光を、当該マイクロレンズに向けて反射する反射ミラー(RM)が設けられ、前記第2ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方には、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方に設けられた前記マイクロレンズに対応する複数のピンホール(PH)が設けられている。
【0009】
また、本発明の第2の態様によるディスクユニットは、本発明の第1の態様によるディスクユニットにおいて、前記第1ディスクの第1領域に設けられる前記マイクロレンズ(ML1)と、前記第1ディスクの第2領域に設けられる前記マイクロレンズ(ML2)とは、互いに種類が異なる。
【0010】
また、本発明の第3の態様によるディスクユニットは、本発明の第1又は第2の態様によるディスクユニットにおいて、前記第1ディスクの第2領域に設けられる前記マイクロレンズ(ML2)は、螺旋状に配置されている。
【0011】
また、本発明の第4の態様によるディスクユニットは、本発明の第1から第3の何れかの態様によるディスクユニットにおいて、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方に設けられた前記マイクロレンズの焦点距離は、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方に設けられた前記マイクロレンズの焦点距離の2倍である。
【0012】
また、本発明の第5の態様によるディスクユニットは、本発明の第1から第4の何れかの態様によるディスクユニットにおいて、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の少なくとも一方に設けられた前記マイクロレンズの平面視形状は、円形又は矩形形状である。
【0013】
また、本発明の第6の態様によるディスクユニットは、本発明の第1から第5の何れかの態様によるディスクユニットにおいて、前記第1ディスクと前記第2ディスクとを接続する連結軸(24c)と、前記連結軸を回転駆動する駆動部(24d)と、を備える。
【0014】
また、本発明の第1の態様による共焦点スキャナは、本発明の第1から第6の何れかの態様によるディスクユニット(24)と、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方に設定された第1照明領域(R11)内の前記マイクロレンズとともにケーラー照明系を形成し、前記第1照明領域内の前記マイクロレンズで分割された複数の分割光(L3)を、前記第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方に設定された第2照明領域(R12)に導く導光部(22、23、25、26)と、前記第1ディスクの一方の面と前記第2ディスクの他方の面との間に配置され、前記第2照明領域内の前記マイクロレンズを介した光を透過し、前記第2ディスク側から入射される光を前記第1ディスク及び前記第2ディスクの径方向外側に向けて反射するビームスプリッタ(27)と、を備える。
【0015】
また、本発明の第2の態様による共焦点スキャナは、本発明の第1の態様による共焦点スキャナにおいて、前記導光部が、第1偏光状態の光を透過させるとともに、第2偏光状態の光を反射する偏光ビームスプリッタ(22)と、前記偏光ビームスプリッタと前記第1ディスクとの間に配置され、前記ビームスプリッタを透過した第1偏光状態の光を第3偏光状態に変換し、前記第3偏光状態の前記分割光を前記第2偏光状態に変換する1/4波長板(23)と、前記偏光ビームスプリッタで反射された前記分割光を前記第2照明領域に案内する分割光案内部(26)と、前記分割光の光路に配置され、前記ケーラー照明系の一部を形成するフーリエレンズ(25)と、を備える。
【0016】
本発明の一態様による共焦点顕微鏡(1)は、試料(SP)を走査するための照明光(L4)を射出する本発明の第1又は第2の態様による共焦点スキャナと、前記照明光を生成するための光(L1)を出力する光源部(10)と、前記試料の共焦点像を撮影する撮影装置(40)と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来よりも少ない部品点数で、より明るさが均一な高画質の共焦点像を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による共焦点顕微鏡の要部構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるディスクユニットのマイクロレンズアレイディスク及びピンホールアレイディスクの構成を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態において、光源から第2照射面までの光路を直線状にして示す展開図である。
図4】ディスクユニットに設けられるマイクロレンズアレイディスク及びピンホールアレイディスクの第1変形例を示す平面図である。
図5】ディスクユニットに設けられるマイクロレンズアレイディスクの第2変形例を示す平面図である。
図6】ディスクユニットに設けられるマイクロレンズアレイディスクの第3変形例を示す平面図である。
図7】ディスクユニットに設けられるマイクロレンズアレイディスクの第4変形例を示す平面図である。
図8】ディスクユニットに設けられるマイクロレンズアレイディスクの第5変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるディスクユニット、共焦点スキャナ、及び共焦点顕微鏡について詳細に説明する。以下では、まず、本発明の実施形態の概要について説明し、続いて本発明の各実施形態の詳細について説明する。
【0020】
〔概要〕
本発明の実施形態は、従来よりも少ない部品点数で、より明るさが均一な高画質の共焦点像を得ることができるディスクユニット、共焦点スキャナ、及び共焦点顕微鏡を提供するものである。本発明の実施形態は、共焦点レーザ顕微鏡システムの他、共焦点レーザ顕微鏡法を利用した創薬支援装置等の製品にも応用することができる。
【0021】
上記の製品では、例えば、点光源と見なせるレーザ光源をコリメートレンズ等で広げ、2次元の面光源にしてから、共焦点レーザ顕微鏡の光学系(対物レンズ等)を介して細胞等の試料に当て、試料を励起する。細胞には予め蛍光物質を融合しておき、励起光を受けた時、細胞から蛍光を発する。これらの蛍光を顕微鏡光学系で画像として撮影し、細胞の観察や細胞の挙動の解析を行う。このような共焦点顕微鏡は、生物の基礎研究から創薬の応用開発の分野で利用されている。
【0022】
細胞画像を撮影する際、ボケの無い高画質を得るため、光学系にはピンホールアレイディスクによる共焦点方式が利用される。また、照明光の利用効率を上げるため、ピンホールアレイ上のピンホールに一対一に対応したマイクロレンズが設けられたマイクロレンズアレイディスクを設ける。このようなマイクロレンズアレイディスクとピンホールアレイディスクを用いる共焦点スキャナは、生細胞の画像を撮影する際に用いられる基本的なツールである。更に、画像が全面に亘って明るさが均一となるように、照明光(励起光)の強度を全面に亘って均一にするホモジェナイザが用いることが好ましい。
【0023】
上記特許文献1に開示された従来の共焦点顕微鏡及び本発明の実施形態による共焦点顕微鏡は何れも、共焦点顕微方式を実現する共焦点スキャナ技術と、照明光を均一にするホモジェナイザ技術の2つの技術が含まれる。共焦点スキャナ技術については、従来の共焦点顕微鏡と本発明の実施形態による共焦点顕微鏡との両共焦点顕微鏡において同じである。このため、以下では、両共焦点顕微鏡において異なるホモジェナイザ技術について説明する。
【0024】
上記特許文献1には、共焦点光学系の一部をなすマイクロレンズアレイディスクを、ホモジェナイザの一部をなすマイクロレンズアレイディスクとしても用いることで、明るさが均一な高画質の共焦点像を得ている共焦点顕微鏡が開示されている。この共焦点顕微鏡は、ディスクユニットを構成するマイクロレンズアレイディスクとピンホールアレイディスクとの間に反射ミラーを備える。そして、マイクロレンズアレイディスクを通過した照明光を反射ミラーで反射して再びマイクロレンズアレイディスクを通過させ、強度が均一化された照明光を、マイクロレンズアレイディスクに設けられた照射面に照射して共焦点像を得るようにしている。
【0025】
ここで、上記特許文献1に開示された共焦点顕微鏡では、上述の通り、ディスクユニットの一部をなすマイクロレンズアレイディスクを、共焦点光学系の一部をなすマイクロレンズアレイディスクと、ホモジェナイザの一部をなすマイクロレンズアレイディスクとして用いている。このため、共焦点光学系の一部をなすマイクロレンズアレイディスクと、ホモジェナイザの一部をなすマイクロレンズアレイディスクとを個別に設計することはできない。
【0026】
このため、共焦点光学系の光学特性が最良となるようマイクロレンズアレイディスクを設計するとホモジェナイザの光学特性が最良とはならない場合がある。逆に、ホモジェナイザの光学特性が最良となるようマイクロレンズアレイディスクを設計すると共焦点光学系の光学特性が最良とはならない場合がある。このような場合において、仮に、共焦点光学系の一部をなす最適なマイクロレンズアレイディスクと、ホモジェナイザの一部をなす最適なマイクロレンズアレイディスクとを個別に設計することができれば、より明るさが均一な高画質の共焦点像を得ることができると考えられる。
【0027】
また、上記特許文献1に開示された共焦点顕微鏡では、ディスクユニットを構成するマイクロレンズアレイディスクとピンホールアレイディスクとの中間の位置に反射ミラーを設ける必要がある。このため、反射ミラーの位置や反射角度を調整する機構が必要になり、部品点数の増加及びコストの上昇を招いてしまう。
【0028】
本発明の実施形態によるディスクユニットは、径方向に区分された第1領域と第2領域とを有する第1ディスクを備える。また、第1ディスクに対応して径方向に区分された第1領域と第2領域とを有し、第1ディスクの一方の面に他方の面が対向配置されて第1ディスクとともに回転する第2ディスク備える。
【0029】
第1ディスクの第1領域及び第2領域には、複数のマイクロレンズが設けられている。また、第2ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方には、第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方に設けられたマイクロレンズを透過した光を、当該マイクロレンズに向けて反射する反射ミラーが設けられている。そして、第2ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方には、第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方に設けられたマイクロレンズに対応する複数のピンホールが設けられている。
【0030】
このような本発明の実施形態によるディスクユニットによれば、第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方(例えば、第1領域)に設けられたマイクロレンズを透過した光が、第2ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方(例えば、第1領域)に設けられた反射ミラーで反射される。反射ミラーで反射された光は、第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方(例えば、第1領域)に設けられたマイクロレンズを再び透過する。これにより、ホモジェナイザの一部が構成されている。このように、本実施形態では、第2ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方に反射ミラーが設けられており、従来必要であった反射ミラーが不要になるため、従来よりも少ない部品点数を実現することができる。
【0031】
また、本発明の実施形態によるディスクユニットによれば、第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方(例えば、第2領域)にマイクロレンズが設けられている。また、第2ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方(例えば、第2領域)に、第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方(例えば、第2領域)に設けられたマイクロレンズに対応する複数のピンホールが設けられている。これにより、共焦点光学系の一部が構成されている。
【0032】
ここで、第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか一方(例えば、第1領域)に設けられたマイクロレンズと、第1ディスクの第1領域及び第2領域の何れか他方(例えば、第2領域)に設けられたマイクロレンズとは、個別に設計することができる。このため、ホモジェナイザに最適なマイクロレンズアレイディスクと、共焦点光学系に最適なマイクロレンズアレイディスクとを個別に設計することができる。これにより、より明るさが均一な高画質の共焦点像を得ることができる。
【0033】
〔実施形態〕
〈焦点顕微鏡の構成〉
図1は、本発明の一実施形態による共焦点顕微鏡の要部構成を示す図である。図1に示す通り、本実施形態の共焦点顕微鏡1は、光源部10、共焦点スキャナ20、顕微鏡30、及びカメラ40(撮影装置)を備える。このような共焦点顕微鏡1は、光源部10から出力される光L1から試料SPを走査するための照明光(励起光)L4を共焦点スキャナ20で生成し、照明光L4が照射される試料SPの共焦点像をカメラ40で得るものである。
【0034】
光源部10は、試料SPを照明するために必要となる光L1を共焦点スキャナ20に向けて出力する。本実施形態において、光源部10から出力される光L1は、P偏光であるとする。光源部10から出力される光L1は、コヒーレント光(レーザ光)であってもよく、インコヒーレント光であっても良い。尚、本実施形態では、理解を容易にするために、光源部10から出力される光がレーザ光であるとする。光源部10は、例えば400~800[nm]の波長範囲の光L1を出力する。尚、光源部10から出力される光L1の波長範囲は、上記の波長範囲(400~800[nm])に制限される訳ではなく、試料SPの光学的な特性に応じた任意の波長範囲にすることができる。
【0035】
共焦点スキャナ20は、光源部10から出力される光L1から試料SPを走査するための照明光L4を生成し、照明光L4を試料SPに照射して得られる反射光や蛍光等(以下、これらを総称する場合には、単に「戻り光L5」という)をカメラ40に導くものである。共焦点スキャナ20は、コリメートレンズ21、偏光ビームスプリッタ22(導光部)、1/4波長板23(導光部)、ディスクユニット24、フーリエレンズ25(導光部)、反射ミラー26(導光部、分割光案内部)、ダイクロイックミラー27(ビームスプリッタ)、光学フィルタ28、及びリレーレンズ29を備える。
【0036】
コリメートレンズ21は、光源部10から出力される光L1を平行光L2に変換する。光源部10から出力される光L1がP偏光であることから、平行光L2もP偏光である。本実施形態においては、光源部10から出力される光L1は、一定の拡がり角を有する。コリメートレンズ21は、このような一定の拡がり角を有する光L1を平行光L2に変換する。尚、光源部10から出力される光L1が平行光である場合には、コリメートレンズ21を省略することが可能である。
【0037】
偏光ビームスプリッタ22は、平行光L2の光路上に配置されており、P偏光(第1偏光状態の光)を透過させる共にS偏光(第2偏光状態の光)をフーリエレンズ25に向けて反射する。本実施形態においては光源部10から出力される光L1がP偏光であり、平行光L2もP偏光であることから、偏光ビームスプリッタ22は、平行光L2を透過させる。一方、後述する通り、偏光ビームスプリッタ22に入力される分割光L3はS偏光である。このため、偏光ビームスプリッタ22は、入力される分割光L3を反射する。
【0038】
1/4波長板23は、偏光ビームスプリッタ22とディスクユニット24との間に配置されている。1/4波長板23は、入力される光の位相を1/4波長変化させて出力する光学素子である。1/4波長板23は、偏光ビームスプリッタ22から出力されるP偏光の平行光L2を円偏光(第3偏光状態光)に変換して出力する。また、1/4波長板23は、ディスクユニット24から出力される円偏光の分割光L3をS偏光に変換して出力する。
【0039】
ディスクユニット24は、1/4波長板23から出力される円偏光の平行光L2から、試料SPを走査するための照明光L4を生成する。ディスクユニット24は、マイクロレンズアレイディスク24a(第1ディスク)、ピンホールアレイディスク24b(第2ディスク)、回転軸24c(連結軸)、及びモータ24d(駆動部)等を備える。
【0040】
図2は、本発明の一実施形態によるディスクユニットのマイクロレンズアレイディスク及びピンホールアレイディスクの構成を示す平面図である。尚、図2(a)が、ディスクユニット24に設けられるマイクロレンズアレイディスク24aの平面図であり、図2(b)が、ディスクユニット24に設けられるピンホールアレイディスク24bの平面図である。
【0041】
図2(a)に示す通り、マイクロレンズアレイディスク24aは、径方向に区分されたインナーゾーンZ11(第1領域)と、アウターゾーンZ12(第2領域)とを有する円板状のディスクである。マイクロレンズアレイディスク24aは、図1に示す軸芯Oを中心とする周方向に回転される。
【0042】
マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11には複数のマイクロレンズML1が設けられており、アウターゾーンZ12には複数のマイクロレンズML2が設けられている。インナーゾーンZ11に設けられるマイクロレンズML1と、アウターゾーンZ12に設けられるマイクロレンズML2とは、互いに種類が異なる。例えば、マイクロレンズML1とマイクロレンズML2とは、大きさが異なっていてもよく、平面形状が異なっていてもよく、光学特性が異なっていてもよい。図2(a)に例示するマイクロレンズML1,ML2は、平面視形状が円形である。詳細は後述するが、インナーゾーンZ11に設けられるマイクロレンズML1の焦点距離は、アウターゾーンZ12に設けられるマイクロレンズML2の焦点距離の2倍に設定されている。
【0043】
マイクロレンズML1は、インナーゾーンZ11において、所定のパターンに配置(例えば等ピッチ螺旋配置)されている。マイクロレンズML2は、アウターゾーンZ12において、所定のパターンに配置(例えば等ピッチ螺旋配置)されている。尚、マイクロレンズML2は、例えば、等ピッチ螺旋配置されているのが望ましいが、マイクロレンズML1は、必ずしも等ピッチ螺旋配置されていなくてもよい。
【0044】
マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11には、1/4波長板23から出力される円偏光の平行光L2が照射される第1照明領域R11が設定されている。第1照明領域R11の平面視形状は、任意の形状であってよいが、例えば、円形である。マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12には、反射ミラー26で反射されたS偏光の分割光L3が照射される第2照明領域R12が設定されている。第2照明領域R12の平面視形状は、円形である。これは、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に形成されたマイクロレンズML1の平面視形状が円形だからである。
【0045】
図2(b)に示す通り、ピンホールアレイディスク24bは、マイクロレンズアレイディスク24aに対応して径方向に区分されたインナーゾーンZ21(第1領域)と、アウターゾーンZ22(第2領域)とを有する円板状のディスクである。マイクロレンズアレイディスク24aとピンホールアレイディスク24bとは、回転軸24cにそれぞれ接続されており、一定の隙間を介して互いに対向配置されている。また、ピンホールアレイディスク24bは、図1に示す軸芯Oを中心とする周方向にマイクロレンズアレイディスク24aとともに回転される。
【0046】
ピンホールアレイディスク24bのインナーゾーンZ21には、反射ミラーRMが設けられている。この反射ミラーRMは、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1を透過した分割光L3を、マイクロレンズML1に向けて反射させるものである。反射ミラーRMは、例えば、ピンホールアレイディスク24bの母材であるガラス基板上に誘電体多層膜を形成することで実現される。アウターゾーンZ22には、マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設けられたマイクロレンズML2に対応する複数のピンホールPHが設けられている。ピンホールPHは、マイクロレンズML2と同様に、アウターゾーンZ22において、所定のパターンに配置(例えば等ピッチ螺旋配置)されている。
【0047】
図2(b)に示すインナーゾーンZ21内の領域R21は、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設定された第1照明領域R11内のマイクロレンズML1を透過した分割光L3が照射される領域である。図2(b)に示すアウターゾーンZ22内の領域R22は、マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設定された第2照明領域R12内のマイクロレンズML2を透過した光が照射される領域である。
【0048】
マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1及びピンホールアレイディスク24bのインナーゾーンZ21に設けられた反射ミラーRMは、ホモジェナイザの一部をなす。マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設けられたマイクロレンズML2及びピンホールアレイディスク24bのアウターゾーンZ22に設けられたピンホールPHは、共焦点光学系の一部をなす。
【0049】
尚、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11とアウターゾーンZ12との径方向の幅は、同じであっても、異なっていてもよい。同様に、ピンホールアレイディスク24bのインナーゾーンZ21とアウターゾーンZ22との径方向の幅は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0050】
ここで、マイクロレンズアレイディスク24aとピンホールアレイディスク24bとの間隔は、マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設けられたマイクロレンズML2の焦点距離に設定される。前述の通り、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられるマイクロレンズML1の焦点距離は、アウターゾーンZ12に設けられるマイクロレンズML2の焦点距離の2倍に設定されている。このため、マイクロレンズアレイディスク24aとピンホールアレイディスク24bとの間隔は、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1の焦点距離の1/2に設定されるということもできる。
【0051】
回転軸24cは、マイクロレンズアレイディスク24a及びピンホールアレイディスク24bがそれぞれ固定された軸部材であり、マイクロレンズアレイディスク24aとピンホールアレイディスク24bとを接続する。回転軸24cの先端部にはマイクロレンズアレイディスク24aの中央部が固定されている。また、回転軸24cの途中部位にはピンホールアレイディスク24bが固定されている。また、回転軸24cの根本部にはモータ24dが接続されている。
【0052】
モータ24dは、回転軸24cに接続されており、軸芯Oを中心として回転軸24cを回転させる動力を生成する。モータ24dは、回転軸24cを回転させることにより、マイクロレンズアレイディスク24a及びピンホールアレイディスク24bを、回転軸24cを中心とする周方向に回転駆動する。つまり、モータ24dによって回転軸24cを回転駆動させることにより、マイクロレンズアレイディスク24a及びピンホールアレイディスク24bは、回転軸24cの周りに一体的に回転可能である。
【0053】
尚、本実施形態において、モータ24dは、図1に示す通り、ピンホールアレイディスク24bのマイクロレンズアレイディスク24aとは反対側にモータ24dが配置されている。しかしながら、モータ24dは、マイクロレンズアレイディスク24aのピンホールアレイディスク24bとは反対側に配置されても良い。
【0054】
フーリエレンズ25は、偏光ビームスプリッタ22と反射ミラー26との間に配置されており、偏光ビームスプリッタ22で反射されたS偏光の分割光L3が入力されるレンズである。ここで、分割光L3は、平行光L2がマイクロレンズアレイディスク24aによって複数の光束に分割された光である。フーリエレンズ25は、マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設けられた第2照明領域R12に、これらの複数の光束を集光して空間的に重畳させる。つまり、フーリエレンズ25は、分割光L3の光路上に配置されると共にマイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1とともにケーラー照明系を形成している。
【0055】
反射ミラー26は、フーリエレンズ25を間に挟んで偏光ビームスプリッタ22に対向配置されている。軸芯Oに沿った方向から見て、反射ミラー26は、偏光ビームスプリッタ22に対して軸芯Oを間に挟んだ位置に配置されている。この反射ミラー26は、偏光ビームスプリッタ22で反射されたS偏光の分割光L3を、マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設定された第2照明領域R12に向けて反射する。
【0056】
図3は、本発明の一実施形態において、光源から第2照射面までの光路を直線状にして示す展開図である。尚、図3においては、偏光ビームスプリッタ22、1/4波長板23、及び反射ミラー26の図示を省略している。また、ピンホールアレイディスク24bについては、反射ミラーRMのみを図示している。
【0057】
上述の通り、フーリエレンズ25は、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1とともにケーラー照明系を形成している。具体的に、フーリエレンズ25は、その前側焦点面がマイクロレンズML1の後側焦点面と一致するように配置されている。尚、図3に示す通り、マイクロレンズML1の後側焦点面は、反射ミラーRMによって、マイクロレンズML1の主面と一致するようにされている。このため、フーリエレンズ25は、その前側焦点面がマイクロレンズML1の主面と一致するように配置されているということもできる。
【0058】
例えば、マイクロレンズML1の主点から後焦点面までの距離(焦点距離)fMLを距離d1とし、フーリエレンズ25の主点から前焦点面までの距離(焦点距離)fFLを距離d2とした場合には、マイクロレンズML1の主点からフーリエレンズ25の主点までの距離は、d1+d2となる。また、フーリエレンズ25の主点から後焦点面までの距離(焦点距離)fFLを距離d3とした場合には、フーリエレンズ25の主点からマイクロレンズML1の主点から第2照明領域R12までの距離は、d1+d2+d3となる。つまり、本実施形態の共焦点スキャナ20は、分割光L3が射出されるマイクロレンズML1の主点から第2照明領域R12までの分割光L3の光路長は、d1+d2+d3となる。
【0059】
このようなマイクロレンズML1とフーリエレンズ25で形成されたケーラー照明系では、平行光L2がマイクロレンズML1で複数の光束に分割されることにより分割光L3に変換される。分割光L3のそれぞれの光束は、個々のマイクロレンズML1の焦点で収束した後に再び広がり、反射ミラーRMで反射されてフーリエレンズ25に向かう。フーリエレンズ25を通過したそれぞれの光束は、再び平行光線となり、反射ミラー26に反射されてフーリエレンズ25の焦点面(即ち、第2照明領域R12)に重畳して照射される。
【0060】
図1に戻り、ダイクロイックミラー27は、マイクロレンズアレイディスク24aとピンホールアレイディスク24bとの間に配置されている。ダイクロイックミラー27は、第2照明領域R12内のマイクロレンズML2で分割・収束された複数の光束を透過させる。尚、ダイクロイックミラー27を透過した光束は、ピンホールアレイディスク24bに設けられたピンホールPHに集光され、ピンホールPHを通過してディスクユニット24の外部に射出される。このとき、第2照明領域R12に照射される光は均一な強度分布且つ平行光となっているため、ピンホールPHを通過してディスクユニット24の外部に射出される照明光L4も均一な強度分布となる。
【0061】
また、ダイクロイックミラー27は、試料SPに照明光L4を照射して得られる戻り光L5のうち、ピンホールアレイディスク24bに設けられたピンホールPHを透過した戻り光L5を、軸芯Oを中心とする径方向外側に配置された光学フィルタ28に向けて反射する。
【0062】
光学フィルタ28は、ダイクロイックミラー27で反射された戻り光L5を、フィルタリングする。この光学フィルタ28としては、偏光フィルタ、吸収フィルタ(エミッションフィルタ)、ダイクロイックミラー等を用いることができる。リレーレンズ29は、光学フィルタ28とカメラ40との間に配置されており、光学フィルタ28から射出された戻り光L5をカメラ40に導く。
【0063】
顕微鏡30は、ディスクユニット24で生成された照明光を試料SPに照射するとともに、試料SPに照明光L4を照射して得られる戻り光L5をディスクユニット24に導く。顕微鏡30は、例えば対物レンズ31を備える無限遠補正光学系である。尚、図1では、便宜的に、試料SPを顕微鏡30の内部に図示しているが、試料SPは顕微鏡30を構成するものではない点、及び試料SPは交換可能である点に注意されたい。
【0064】
カメラ40は、照明光L4が照射される試料SPの共焦点像を撮影するものである。このカメラ40は、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)等の固体撮像素子を備えており、二次元の静止画像又は動画を撮影可能なカメラである。尚、カメラ40で得られた試料SPの共焦点像を、例えば不図示の表示装置に表示するようにしても良い。
【0065】
〈焦点顕微鏡の動作〉
共焦点顕微鏡1の動作が開始されると、光源部10からP偏光の光が出力されるとともに、ディスクユニット24の回転(回転軸24cの周りの回転)が開始される。光源部10から出力された光L1は、共焦点スキャナ20に入力される。尚、光源部10から出力される光は、強度分布を有する光(例えば、ガウシアン分布を有する光)であるとする。
【0066】
共焦点スキャナ20に入力された光L1は、まず、コリメートレンズ21に入射し、コリメートレンズ21によってP偏光の平行光L2に変換される。P偏光に変換された平行光L2は、偏光ビームスプリッタ22を透過した後に、1/4波長板23で円偏光に変換される。円偏光に変換された平行光L2は、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設定された第1照明領域R11に照射され、第1照明領域R11内のマイクロレンズML1で分割光L3に変換される。
【0067】
変換された分割光L3は、ピンホールアレイディスク24bのインナーゾーンZ21に向かって進み、インナーゾーンZ21に設けられた反射ミラーRMによって反射される。反射ミラーRMで反射された分割光L3は、再びマイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設定された第1照明領域R11内のマイクロレンズML1を透過する。マイクロレンズML1を透過した分割光L3は、1/4波長板23に入射し、S偏光に変換される。S偏光に変換された分割光L3は、偏光ビームスプリッタ22で反射され、フーリエレンズ25及び反射ミラー26を介して、マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設定された第2照明領域R12に照射される。
【0068】
ここで、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1とフーリエレンズ25とは、前述の通り、ケーラー照明系を形成している。このため、分割光L3のそれぞれの光束は、個々のマイクロレンズML1の焦点で収束した後に再び広がり、フーリエレンズ25で再び平行光線となり、第2照明領域R12に重畳して照射される。これにより、第2照明領域R12には、均一な強度分布を有する平行光が照射されることになる。
【0069】
第2照明領域R12に照射される光は、複数のマイクロレンズML2によって複数の光束に分割される。各々の光束は、マイクロレンズML2で収束され、ピンホールアレイディスク24bのアウターゾーンZ22に設けられたピンホールPHを通過する。このとき、マイクロレンズML1から射出された照明光L4は、ダイクロイックミラー27を透過してピンホールアレイディスク24bに入射する。ピンホールPHから射出された照明光L4は、ディスクユニット24の外部に射出される。
【0070】
ディスクユニット24の外部に射出された照明光L4は、顕微鏡30に設けられた対物レンズ31を介して試料SPに照射される。ここで、ディスクユニット24の外部に射出される照明光L4は、強度分布が均一化された光を分割して得られるものである。このため、試料SPには、強度分布が均一化された照明光が照射されることとなる。
【0071】
試料SPからの戻り光L5(照明光を試料SPに照射して得られた戻り光)は、顕微鏡30に設けられた対物レンズ31を介して、ディスクユニット24のピンホールアレイディスク24bに入射する。そして、ピンホールアレイディスク24bのアウターゾーンZ22に設けられたピンホールPHを介した後に、ダイクロイックミラー27によって光学フィルタ28に向けて反射される。
【0072】
ダイクロイックミラー27で反射された戻り光L5は、光学フィルタ28及びリレーレンズ29の順に介してカメラ40に入射し結像する。ここで、ディスクユニット24は回転軸24cの周りで回転していることから、試料SPに照射される照明光L4はディスクユニット24の回転に応じて走査される。これにより、カメラ40には、照明光L4の走査位置に応じた戻り光L5が順次入力される。このようにして、試料SPの共焦点像がカメラ40で得られる。
【0073】
以上の通り、本実施形態の共焦点顕微鏡1は、マイクロレンズアレイディスク24aとピンホールアレイディスク24bとを有するディスクユニット24を備える。マイクロレンズアレイディスク24aは、径方向に区分されたインナーゾーンZ11とアウターゾーンZ12とを有する。ピンホールアレイディスク24bは、マイクロレンズアレイディスク24aに対応して径方向に区分されたインナーゾーンZ21とアウターゾーンZ22とを有し、マイクロレンズアレイディスク24aとともに回転する。
【0074】
マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11には複数のマイクロレンズML1が設けられており、アウターゾーンZ12には複数のマイクロレンズML2が設けられている。ピンホールアレイディスク24bのインナーゾーンZ21には、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1を透過した光を、マイクロレンズML1向けて反射する反射ミラーRMが設けられている。ピンホールアレイディスク24bのアウターゾーンZ22には、マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設けられたマイクロレンズML2に対応する複数のピンホールPHが設けられている。
【0075】
マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1を透過した光は、ピンホールアレイディスク24bのインナーゾーンZ21に設けられた反射ミラーRMで反射される。反射ミラーRMで反射された光は、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1を再び透過する。これにより、ホモジェナイザの一部が構成されている。このように、本実施形態では、ピンホールアレイディスク24bのインナーゾーンZ21に反射ミラーRMが設けられており、従来必要であった反射ミラーが不要になるため、従来よりも少ない部品点数を実現することができる。
【0076】
また、本実施形態では、マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に複数のマイクロレンズML2が設けられている。ピンホールアレイディスク24bのアウターゾーンZ22には、マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設けられたマイクロレンズML2に対応する複数のピンホールPHが設けられている。これにより、共焦点光学系の一部が構成されている。
【0077】
ここで、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1と、アウターゾーンZ12に設けられたマイクロレンズML2とは、個別に設計することができる。このため、ホモジェナイザに最適なマイクロレンズアレイディスクと、共焦点光学系に最適なマイクロレンズアレイディスクとを個別に設計することができる。これにより、より明るさが均一な高画質の共焦点像を得ることができる。
【0078】
〈変形例〉
《第1変形例》
図4は、ディスクユニットに設けられるマイクロレンズアレイディスク及びピンホールアレイディスクの第1変形例を示す平面図である。尚、図4(a)が、マイクロレンズアレイディスク24aの第1変形例を示す平面図であり、図4(b)が、ピンホールアレイディスク24bの第1変形例を示す平面図である。
【0079】
図4(a)に示すマイクロレンズアレイディスク24aは、図2(a)に示すマイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11の機能とアウターゾーンZ12の機能とを逆にしたものである。つまり、図4(a)に示すマイクロレンズアレイディスク24aでは、マイクロレンズML1がアウターゾーンZ12に設けられており、マイクロレンズML2がインナーゾーンZ11に設けられている。そして、第1照明領域R11がアウターゾーンZ12に設定されており、第2照明領域R12がインナーゾーンZ11に設定されている。
【0080】
図4(b)に示すピンホールアレイディスク24bは、図2(b)に示すピンホールアレイディスク24bのインナーゾーンZ21の機能とアウターゾーンZ22の機能とを逆にしたものである。つまり、図4(b)に示すピンホールアレイディスク24bでは、反射ミラーRMがアウターゾーンZ22に設けられており、ピンホールPHがインナーゾーンZ21に設けられている。
【0081】
尚、図4(a)に示す通り、マイクロレンズアレイディスク24aにおいて、第1照明領域R11がアウターゾーンZ12に設定されており、第2照明領域R12がインナーゾーンZ11に設定されている。このため、図4(b)示す通り、領域R21(第1照明領域R11内のマイクロレンズML1を透過した分割光L3が照射される領域)がアウターゾーンZ22に配置され、領域R22(第2照明領域R12内のマイクロレンズML2を透過した光が照射される領域)がインナーゾーンZ21に配置される。
【0082】
本変形例では、マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設けられたマイクロレンズML1と、ピンホールアレイディスク24bのアウターゾーンZ22に設けられた反射ミラーRMとによって、ホモジェナイザの一部が構成されている。また、マイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML2と、ピンホールアレイディスク24bのインナーゾーンZ21に設けられたピンホールPHとによって、共焦点光学系の一部が構成されている。
【0083】
《第2変形例》
図5は、ディスクユニットに設けられるマイクロレンズアレイディスクの第2変形例を示す平面図である。尚、本変形例において、ディスクユニットに設けられるピンホールアレイディスク24bとしては、図2(b)に示すもの(反射ミラーRMがインナーゾーンZ21に設けられ、ピンホールPHがアウターゾーンZ22に設けられたもの)が用いられる。
【0084】
図5に示すマイクロレンズアレイディスク24aは、図2(a)に示すマイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1の形状を変えたものである。具体的には、マイクロレンズML1の平面視形状を、円形から矩形形状に変えたものである。このように、平面視形状が矩形形状のマイクロレンズML1を用いるのは、照明光の利用効率を向上させるためである。
【0085】
マイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設定された第2照明領域R12の平面視形状は、マイクロレンズML1の平面視形状と相似になる。このため、マイクロレンズML1の平面視形状を矩形形状にすると、図5に示す通り、第2照明領域R12の平面視形状を矩形形状にすることができる。また、カメラ40の固体撮像素子には、第2照明領域R12に照射された光が入射することになる。カメラ40の固体撮像素子の撮像面は矩形形状であるため、第2照明領域R12の平面視形状が矩形形状であれば、第2照明領域R12に照射された光を余すことなくカメラ40の固体撮像素子に入射させることができる。これにより、照明光の利用効率を向上させることができる。尚、マイクロレンズML1の平面視形状は、カメラ40の固体撮像素子の撮像面の形状と相似(アスペクト比が同じ)であることが望ましい。
【0086】
《第3変形例》
図6は、ディスクユニットに設けられるマイクロレンズアレイディスクの第3変形例を示す平面図である。尚、本変形例において、ディスクユニットに設けられるピンホールアレイディスク24bとしては、図4(b)に示すもの(反射ミラーRMがアウターゾーンZ22に設けられ、ピンホールPHがインナーゾーンZ21に設けられたもの)が用いられる。
【0087】
図6に示すマイクロレンズアレイディスク24aは、図5に示すマイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11の機能とアウターゾーンZ12の機能とを逆にしたものである。つまり、図6に示すマイクロレンズアレイディスク24aでは、平面視形状が矩形形状のマイクロレンズML1がアウターゾーンZ12に設けられており、マイクロレンズML2がインナーゾーンZ11に設けられている。そして、第1照明領域R11がアウターゾーンZ12に設定されており、第2照明領域R12がインナーゾーンZ11に設定されている。本変形例においても、第2変形例と同様に、照明光の利用効率を向上させることができる。
【0088】
《第4変形例》
図7は、ディスクユニットに設けられるマイクロレンズアレイディスクの第4変形例を示す平面図である。尚、本変形例において、ディスクユニットに設けられるピンホールアレイディスク24bとしては、図2(b)に示すもの(反射ミラーRMがインナーゾーンZ21に設けられ、ピンホールPHがアウターゾーンZ22に設けられたもの)が用いられる。
【0089】
図7に示すマイクロレンズアレイディスク24aは、図5に示すマイクロレンズアレイディスク24aのアウターゾーンZ12に設けられたマイクロレンズML2の形状を変えたものである。具体的には、マイクロレンズML2の平面視形状を、円形から矩形形状に変えたものである。つまり、図7に示すマイクロレンズアレイディスク24aは、インナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML1及びアウターゾーンZ12に設けられたマイクロレンズML2の平面視形状が矩形形状である。
【0090】
このように、平面視形状が矩形形状のマイクロレンズML1,ML2を用いるのは、照明光の利用効率を更に向上させるためである。つまり、マイクロレンズML2の平面視形状が矩形の場合には、平面視形状が円形の場合に比べて開口率を高めることができるため、照明光の利用効率を向上させることができる。マイクロレンズML1,ML2の双方の平面視形状を矩形形状とすることで、ホモジェナイザと共焦点光学系との双方で照明光の利用効率を向上させることができることから、より明るい試料SPの共焦点像を撮影することができる。
【0091】
《第5変形例》
図8は、ディスクユニットに設けられるマイクロレンズアレイディスクの第5変形例を示す平面図である。尚、本変形例において、ディスクユニットに設けられるピンホールアレイディスク24bとしては、図4(b)に示すもの(反射ミラーRMがアウターゾーンZ22に設けられ、ピンホールPHがインナーゾーンZ21に設けられたもの)が用いられる。
【0092】
図8に示すマイクロレンズアレイディスク24aは、図6に示すマイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML2の形状を変えたものである。具体的には、マイクロレンズML2の平面視形状を、円形から矩形形状に変えたものである。つまり、図8に示すマイクロレンズアレイディスク24aは、アウターゾーンZ12に設けられたマイクロレンズML1及びインナーゾーンZ11に設けられたマイクロレンズML2の平面視形状が矩形形状である。
【0093】
図8に示すマイクロレンズアレイディスク24aは、図7に示すマイクロレンズアレイディスク24aのインナーゾーンZ11の機能とアウターゾーンZ12の機能とを逆にしたものである。つまり、図8に示すマイクロレンズアレイディスク24aでは、平面視形状が矩形形状のマイクロレンズML1がアウターゾーンZ12に設けられており、平面視形状が矩形形状のマイクロレンズML2がインナーゾーンZ11に設けられている。そして、第1照明領域R11がアウターゾーンZ12に設定されており、第2照明領域R12がインナーゾーンZ11に設定されている。本変形例においても、第4変形例と同様に、ホモジェナイザと共焦点光学系との双方で照明光の利用効率を向上させることができることから、より明るい試料SPの共焦点像を撮影することができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態によるディスクユニット、共焦点スキャナ、及び共焦点顕微鏡について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、光源部10から射出される光L1がP偏光である例について説明した。しかしながら、光源部10から出される光L1はS偏光であっても良い。このような場合には、偏光ビームスプリッタ22は、S偏光を透過しP偏光を反射するものを用いればよい。
【符号の説明】
【0095】
1 共焦点顕微鏡
10 光源部
22 偏光ビームスプリッタ
23 1/4波長板
24 ディスクユニット
24a マイクロレンズアレイディスク
24b ピンホールアレイディスク
24c 回転軸
24d モータ
25 フーリエレンズ
26 反射ミラー
27 ダイクロイックミラー
40 カメラ
L1 光
L3 分割光
L4 照明光
ML1,ML2 マイクロレンズ
PH ピンホール
R11 第1照明領域
R12 第2照明領域
RM 反射ミラー
SP 試料
Z11,Z21 インナーゾーン
Z12,Z22 アウターゾーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8