(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142511
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】モバイルプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 3/36 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B41J3/36 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054669
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100143960
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 早百合
(72)【発明者】
【氏名】古山 敏行
【テーマコード(参考)】
2C055
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC03
2C055CC05
(57)【要約】
【課題】外部端子と接続するための接続口に液体又は粉塵が従来よりも入りにくくしたモバイルプリンタを提供すること。
【解決手段】モバイルプリンタ1は、筐体2、印刷部、及びプロテクタ5を備える。筐体2は、外部端子を接続可能な接続口20と、角部28、29とを有する。印刷部は、筐体2に収容される。プロテクタ5は、少なくとも角部28、29を覆う。プロテクタ5は、接続口20を塞ぐ閉鎖位置と、接続口20を解放する解放位置とに変位可能な蓋部54が一体に形成される。プリンタ1の蓋部54は、外部端子の接続口20に液体又は粉塵が従来よりも入りにくくすることに貢献する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子を接続可能な接続口と角部とを有する筐体と、
前記筐体に収容される印刷部と、
少なくとも前記角部を覆うプロテクタであって、
前記接続口を塞ぐ閉鎖位置と、前記接続口を解放する解放位置とに変位可能な蓋部が一体に形成された前記プロテクタを備えたことを特徴とするモバイルプリンタ。
【請求項2】
前記プロテクタは、前記角部を覆う部分である角部対応部分を有し、
前記蓋部は、前記角部対応部分と接続されていることを特徴とする請求項1に記載のモバイルプリンタ。
【請求項3】
前記蓋部は、前記角部対応部分のうちの、前記接続口に最も近い部分と接続されていることを特徴とする請求項2に記載のモバイルプリンタ。
【請求項4】
前記筐体は、前記角部と連続し、且つ、前記接続口が形成された接続口形成面を有し、
前記プロテクタは、
前記接続口形成面と対向する位置に配置された面対応部分を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のモバイルプリンタ。
【請求項5】
前記面対応部分には、前記接続口に対応する位置に孔が形成されており、前記蓋部が前記閉鎖位置に配置されている場合に前記孔が前記蓋部により塞がれることを特徴とする請求項4に記載のモバイルプリンタ。
【請求項6】
前記角部対応部分は、エラストマーと硬質樹脂との二層構造であり、
前記面対応部分は、前記硬質樹脂の一層構造であることを特徴とする請求項4又は5に記載のモバイルプリンタ。
【請求項7】
前記角部対応部分及び前記面対応部分は、エラストマーと硬質樹脂との二層構造であることを特徴とする請求項4又は5に記載のモバイルプリンタ。
【請求項8】
前記角部対応部分は、エラストマーと硬質樹脂との二層構造であり、
前記面対応部分は、前記エラストマーの一層構造であることを特徴とする請求項4又は5に記載のモバイルプリンタ。
【請求項9】
前記角部対応部分は、エラストマーの一層構造であり、
前記面対応部分は、硬質樹脂の一層構造であることを特徴とする請求項4又は5に記載のモバイルプリンタ。
【請求項10】
前記角部対応部分は、エラストマーの一層構造であり、
前記面対応部分は、硬質樹脂と前記エラストマーの二層構造であることを特徴とする請求項4又は5に記載のモバイルプリンタ。
【請求項11】
前記角部対応部分及び前記面対応部分は、エラストマーの一層構造であることを特徴とする請求項4又は5に記載のモバイルプリンタ。
【請求項12】
前記プロテクタは、前記筐体に対して取り外し可能に装着されることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のモバイルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモバイルプリンタは、上側装置本体、下側装置本体、及びカバー部材を有し、第一プロテクタ部材及び第二プロテクタ部材が装着される。第一プロテクタ部材は、上側装置本体、下側装置本体及びカバー部材の一端部を被覆する。第二プロテクタ部材は、一端部と反対側に位置する上側装置本体、下側装置本体及びカバー部材の他端部を被覆する。第一プロテクタ部材及び第二プロテクタ部材は、上側装置本体及び下側装置本体とカバー部材との間で二分割されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のモバイルプリンタでは、筐体の外面に設けられた、外部機器又は電源等の外部端子と接続するための接続口に、液体又は粉塵が容易に侵入しやすい。
【0005】
本発明の目的は、外部端子と接続するための接続口に液体又は粉塵が従来よりも入りにくくしたモバイルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るモバイルプリンタは、外部端子を接続可能な接続口と角部とを有する筐体と、前記筐体に収容される印刷部と、少なくとも前記角部を覆うプロテクタであって、前記接続口を塞ぐ閉鎖位置と、前記接続口を解放する解放位置とに変位可能な蓋部が一体に形成された前記プロテクタを備える。本態様のモバイルプリンタは、蓋部が一体になったプロテクタが筐体に装着されるので、接続口が外部端子と接続されていない場合には、蓋部により接続口を塞ぐことができる。故に、モバイルプリンタの蓋部は、外部端子の接続口に液体又は粉塵が従来よりも入りにくくすることに貢献する。モバイルプリンタの蓋部は、プロテクタと一体に形成されているので、蓋部が紛失することを回避することに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A)は、プロテクタ5の蓋部54が閉鎖位置にある場合のモバイルプリンタ1の斜視図であり、(B)は、プロテクタ5の蓋部54が開放位置にある場合のモバイルプリンタ1の斜視図である。
【
図3】プロテクタ5を筐体2から取り外した状態のモバイルプリンタ1の斜視図である。
【
図4】(A)は、プロテクタ5の蓋部54が閉鎖位置にある場合のモバイルプリンタ1の断面図であり、(B)は、プロテクタ5の蓋部54が開放位置にある場合のモバイルプリンタ1の断面図である。
【
図5】プロテクタ5の蓋部54が閉鎖位置にある場合のモバイルプリンタ1の下部を拡大した断面図である。
【
図6】
図5に対応する、第一変形例のプロテクタ5の蓋部54が閉鎖位置にある場合のモバイルプリンタ1の下部を拡大した断面図である。
【
図7】
図5に対応する、第二変形例のプロテクタ5の蓋部54が閉鎖位置にある場合のモバイルプリンタ1の下部を拡大した断面図である。
【
図8】
図5に対応する、第三変形例のプロテクタ5の蓋部54が閉鎖位置にある場合のモバイルプリンタ1の下部を拡大した断面図である。
【
図9】
図5に対応する、第四変形例のプロテクタ5の蓋部54が閉鎖位置にある場合のモバイルプリンタ1の下部を拡大した断面図である。
【
図10】
図5に対応する、第五変形例のプロテクタ5の蓋部54が閉鎖位置にある場合のモバイルプリンタ1の下部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1の左上側、右下側、左下側、右上側が、夫々、モバイルプリンタ(以下、「プリンタ」という。)1の左側、右側、下側、上側である。
図1の上下方向が、プリンタ1の前後方向である。但し、プリンタ1の上下左右方向は、便宜上定義されたものであり、プリンタ1は、必ずしも、
図1に示すように前側が上方を向いた姿勢にあるとは限らない。
【0009】
図1から
図5を参照して、本実施形態のプリンタ1の構成を説明する。
図1に示すように、プリンタ1は、テープカセット11(
図4参照)から引き出されたテープに印刷を行うことが可能な携帯型のテーププリンタである。プリンタ1は、筐体2、印刷部12(
図2及び
図4参照)、及びプロテクタ5を備える。
【0010】
筐体2は、全体としては、上方に向けて僅かに前後左右に大きくなる略直方体形状である。筐体2は、樹脂で形成され、前面部14、本体部15、及び背面カバー16により構成される。前面部14は、本体部15の前端に連結する、上下方向に長い板状である。背面カバー16は、本体部15の後端に連結する、上下方向に長い板状である。
【0011】
図1及び
図3に示すように、筐体2は、前面21、右面23、左面24、背面26、上面25、接続口形成面27、及び角部28、29を備える。前面21は、前面部14によって形成される。プリンタ1は、筐体2の前面21に、表示部4及び複数のキーを含む操作部3を備える。ユーザは、操作部3を用いてテープに印刷されるキャラクタ(文字、数字、記号、及び図形等)、及び各種動作の指示等を入力できる。表示部4は、左右方向に長い矩形状の液晶ディスプレイであり、印刷対象のキャラクタ、及びメッセージ等を表示できる。
【0012】
右面23、左面24、及び上面25は、前面部14、本体部15、及び背面カバー16によって形成される。右面23及び左面24は各々、上面25及び接続口形成面27の各々から連続する面である。右面23には、左方に凹む凹部33及び35が設けられる。凹部33は、右面23の下端部に形成され、凹部33は、右面23の左右方向の中心よりもやや上方に形成される。凹部33には、前後方向に延びる軸部34が設けられる。凹部35には、前後方向に延びる軸部36が設けられる。軸部34、36は各々、右面23よりも左方に位置する。
図1及び
図2に示すように、右面23と同様に、左面24には、右方に凹む凹部31、39が設けられる。凹部31は、左面24の下端部に設けられる。凹部31には、前後方向に延びる軸部32が設けられる。凹部39は、左面24の左右方向の中心よりもやや上方に設けられる。凹部39には、前後方向に延びる軸部40が設けられる。軸部32、40は各々、左面24よりも右方に位置する。軸部32、34、36、40には、ユーザによるプリンタ1の把持を補助するベルトを掛けることができる。背面26は、下側ほど前方に湾曲している。
【0013】
図3に示すように、筐体2の下端部22は、本体部15と、前面部14とで構成された、操作部3よりも下方の部分である。接続口形成面27、及び角部28、29は、前面部14、及び本体部15によって形成される。接続口形成面27は、筐体2の下面である。底面視において、接続口形成面27の外周の凸包の形状は、角が丸みを帯びた矩形状である。接続口形成面27には、外部端子を接続可能な接続口20、ネジ孔37、38が形成される。接続口20は、接続口形成面27のうちの左右方向の中心部、且つ、前後方向の中心よりもやや前方に位置する。接続口20は、左右方向に長い矩形状であり、前面部14の下面に設けられる。接続口20には、電源ジャック30が配置される。電源ジャック30は、電池の他、ACアダプタを介した電源供給を可能とするために、ACアダプタのコネクタを接続可能である。ネジ孔37、38は、本体部15の下面に設けられる。左右方向において、ネジ孔37は、接続口20の左方に位置し、ネジ孔38は、接続口20の右方に位置する。前後方向において、ネジ孔37、38は、接続口20よりも後方に位置する。接続口形成面27の左端部には、右方に凹む凹部31が形成され、接続口形成面27の左端部は、右方に切り欠かれている。接続口形成面27の右端部には、左方に凹む凹部33が形成され、接続口形成面27の右端部は、左方に切り欠かれている。
【0014】
角部28、29は各々、接続口形成面27と連続する。
図3に示すように、角部28は、前後左右方向に延びる接続口形成面27と、筐体2の下端部22の前面とを接続する、屈曲した部分である。角部28は、接続口形成面27の前端部から、上方に向けて屈曲した部分である。底面視において、角部28は、接続口形成面27の外周の凸包のうち、凹部31、33との間、且つ、前側の辺を含む。角部29は、前後左右方向に延びる接続口形成面27と、筐体2の下端部22の背面とを接続する、屈曲した部分である。角部29は、接続口形成面27の下端部から、上方に向けて屈曲した部分である。底面視において、角部29は、接続口形成面27の外周の凸包のうち、凹部31、33との間、且つ、後ろ側の辺を含む。
【0015】
背面カバー16は、筐体2の下端部22よりも上方において、本体部15に対し、取り外し可能に装着される。下端部22の上端部には、前面部14、本体部15、及び背面カバー16によって形成され、下端部22に対し、下端部22の厚み方向に突出した段部17が設けられる。背面26は、本体部15、及び背面カバー16によって形成される。背面カバー16は、筐体2にプロテクタ5が取り付けられた状態で、本体部15に対し開閉可能である。
図4に示すように、背面カバー16は、後方に突出する凸部73、74を有する。凸部73の後端は、凸部74の後端よりも後方に位置する。
【0016】
図4に示すように、プリンタ1は、筐体2の内部、より詳細には、本体部15の内部における背面カバー16の前側に、カセット収容部10、印刷部12、電池収容部13、駆動機構18、制御回路が搭載された基板、及びその他の電子部品等を備える。カセット収容部10は、テープカセット11を収容する。電池収容部13は、電池を収容する。カセット収容部10は、筐体2の下端部22よりも上方に設けられている。カセット収容部10は、筐体2の本体部15に設けられた、前面21側へ凹んだ凹部である。本体部15から、背面カバー16が取り外された場合、カセット収容部10及び電池収容部13は、プリンタ1の外部に露出する。ユーザは、本体部15から、背面カバー16が取り外された状態で、テープカセット11及び電池の各々を交換できる。
【0017】
カセット収容部10内には、テープカセット11からテープを引き出して搬送するローラ駆動軸、インクリボンを引き出して巻き取るリボン巻取り軸、及び印刷部12を搭載したヘッドホルダ等が設けられている。駆動機構18は、ローラ駆動軸及びリボン巻取り軸を回転させて、テープ及びインクリボンを搬送可能に構成される。印刷部12は、テープに印刷を行うよう構成されたサーマルヘッドである。プリンタ1は、テープ駆動軸の駆動により、カセット収容部10からテープを繰り出して搬送する。プリンタ1は、未使用のインクリボンを印刷部12により加熱し、テープへの印刷を行う。
【0018】
図1から
図4に示すように、プロテクタ5は、筐体2に対して取り外し可能に装着され、筐体2の下端部22、接続口形成面27、及び角部28、29を保護する。プロテクタ5は、上方が開口する箱状である。プロテクタ5は、角部対応部分51、52、蓋部54、面対応部分55、及び筒部56を有する。プロテクタ5には、プロテクタ5の厚み方向に貫通する孔57、58が形成されている。孔57は、筐体2の凹部31に対応する位置及び形状に形成され、孔58は、筐体2の凹部33に対応する位置及び形状に形成される。プロテクタ5が筐体2に装着された場合、凹部31は孔57を介してプリンタ1の外部に露出し、凹部33は孔58を介してプリンタ1の外部に露出する。
【0019】
角部対応部分51、52は、角部28、29に沿って屈曲する部分である。プロテクタ5が筐体2に装着された場合、角部対応部分51、52は、少なくとも角部28、29を覆う。角部対応部分51、52は、接続口形成面27の延設方向に対し、交差する方向に屈曲する部分である。本実施形態の接続口形成面27の延設方向は、水平方向であり、交差する方向は、上方である。角部対応部分51は、前側の角部28と対向し、角部28を覆う。角部対応部分52は、後側の角部29と対向し、角部29を覆う。
【0020】
蓋部54は、接続口20に対応する形状を有する。蓋部54は、
図1(A)及び
図4(A)に示す、接続口20を塞ぐ閉鎖位置と、
図1(B)及び
図4(B)に示す、接続口20を解放する解放位置とに変位可能である。蓋部54は、角部対応部分51、52と一体に形成される。蓋部54は、角部対応部分51、52のうちの、接続口20に最も近い角部対応部分51の左右方向の中心部分と接続されている。蓋部54は、
図1(B)の解放位置にある場合の後方に突出する凸部70を有する。凸部70は、
図1(A)の閉鎖位置にある場合に、接続口20に圧入され、電源ジャック30の下端に嵌る。凸部70が接続口20に圧入された場合、外部から蓋部54に力が加われない限り、蓋部54は、閉鎖位置から移動せず、閉鎖位置に留まる。蓋部54が閉鎖位置にある場合における、上下方向の長さを厚みとした場合、角部対応部分51とを接続する接続部69の厚みは、凸部70の厚みよりも薄い。
【0021】
プロテクタ5が筐体2に装着された場合、面対応部分55は、接続口形成面27と対向する位置に配置される。面対応部分55は、プロテクタ5の下面を構成する。角部対応部分51、52の下端は、接続部69の厚み分、面対応部分55の下端よりも下方に位置する。故に、蓋部54が閉鎖位置にある場合、接続部69は、面対応部分55に当接して前後方向に延び、蓋部54の下端は、上下方向において、面対応部分の下端よりも下方、且つ、角部対応部分51、52の下端と略同じ位置にある。面対応部分55には、孔61、62、65、及び凸部59、60が形成されている。孔61、62は各々、接続口形成面27に形成されたネジ孔37、38に対応する位置に形成される。左右方向において、孔61は、接続口20の左方に形成され、孔62は、接続口20の右方に形成される。孔61及びネジ孔37に挿通されたネジ63と、孔62及びネジ孔38に挿通されたネジ64とにより、プロテクタ5は、筐体2の接続口形成面27に、取り外し可能に固定される。孔65は、接続口20に対応する位置に形成されており、蓋部54が閉鎖位置に配置されている場合に蓋部54により塞がれる。蓋部54が解放位置に配置されている場合に、接続口20は、孔65を介してプリンタ1の外部に露出する。凸部59、60は、下方に突出する半円状の凸部である。左右方向において、凸部59は、孔57と、孔61の間に形成され、凸部60は、孔58と、孔62の間に形成される。凸部59、60の下端は、上下方向において、角部対応部分51、52の下端よりも下方に位置する。凸部59、60は、プリンタ1の接続口形成面27が下方となる姿勢で、机上に置かれることを阻害するために設けられる。
【0022】
筒部56は、角部対応部分51、52及び孔57、58の上端から上方に延びる、平面視環状の部分である。筒部56は、プロテクタ5が、筐体2に装着された場合に、筐体2の下端部22に対応する部分である。筒部56の前面及び背面は下方に凹んでおり、筒部56の前面上端67及び下面上端68は、左側上端66及び右側上端71よりも下方に位置する。下面上端68、左側上端66及び右側上端71は、筐体2の段部17と当接する。
図5に示すように、プロテクタ5は、筒部56の背面に、後方に突出する凸部72を有する。プリンタ1の背面26を下方にした姿勢で、プリンタ1が机上に置かれた場合、凸部72は、凸部73、74とともに、プリンタ1を支持する支持部として機能する。
【0023】
プロテクタ5は、二種類の樹脂を用いた二色成型により形成される。
図5に示すように、角部対応部分51、52、及び筒部56は、エラストマーと硬質樹脂との二層構造である。角部対応部分51、52のうち、筐体2と対向する側の第一層81が硬質樹脂で形成され、第一層81の外側の第二層82が、エラストマーで形成される。エラストマーは、常温付近でゴム弾性を示す高分子物質であればよく、ゴム等の熱硬化性エラストマーでもよいし、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、及び塩化ビニル樹脂系エラストマー等の熱可塑性エラストマーでもよい。硬質樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、及びポリアセタールの中から選択された樹脂である。第一層81の厚みと、第二層82の厚みとは、適宜設定されればよい。蓋部54は、可撓性を有するエラストマーで形成され、角部対応部分51の第二層82と連結する。蓋部54は、接続部69が変形されることで、閉鎖位置と、解放位置とに変位できる。面対応部分55は、硬質樹脂の一層構造である。面対応部分55は、角部対応部分51の第一層81と連続する。
【0024】
上記実施形態において、プリンタ1、筐体2、プロテクタ5、印刷部12、接続口20、接続口形成面27、蓋部54、面対応部分55、及び孔65は、本発明のモバイルプリンタ、筐体、プロテクタ、印刷部、接続口、接続口形成面、蓋部、面対応部分、及び孔の一例である。角部28、29は各々、本発明の角部の一例である。角部対応部分51、52は各々、本発明の角部対応部分の一例である。
【0025】
上記実施形態のプリンタ1は、筐体2、印刷部12、及びプロテクタ5を備える。筐体2は、外部端子を接続可能な接続口20と、角部28、29とを有する。印刷部12は、筐体2に収容される。プロテクタ5は、少なくとも角部28、29を覆う。プロテクタ5は、接続口20を塞ぐ閉鎖位置と、接続口20を解放する解放位置とに変位可能な蓋部54が一体に形成される。プリンタ1は、蓋部54が一体になったプロテクタ5が筐体2に装着されるので、接続口20が外部端子と接続されていない場合には、蓋部54により接続口20を塞ぐことができる。故に、プリンタ1の蓋部54は、外部端子の接続口20に液体又は粉塵が従来よりも入りにくくすることに貢献する。プリンタ1の蓋部54は、プロテクタ5と一体に形成されているので、蓋部54が紛失することを回避することに貢献する。
【0026】
プロテクタ5は、角部28、29を覆う部分である角部対応部分51、52を有する。蓋部54は、角部対応部分51と接続されている。プリンタ1の蓋部54は角部対応部分51と接続されているので、蓋部54が、角部対応部分51以外の部分と接続する場合に比べ、蓋部54の取り回しが容易である。
【0027】
蓋部54は、角部対応部分51、52のうちの、接続口20に最も近い部分と接続されている。プリンタ1は、蓋部54と角部対応部分51との接続部69の長さを比較的短くできる。
【0028】
筐体2は、角部28、29と連続し、且つ、接続口20が形成された接続口形成面27を有する。プロテクタ5は、接続口形成面27と対向する位置に配置された面対応部分55を備える。プリンタ1は、接続口形成面27を面対応部分55により被覆できる。プリンタ1は、接続口形成面27を衝撃等から保護できる。
【0029】
面対応部分55には、接続口20に対応する位置に孔65が形成されており、蓋部54が閉鎖位置に配置されている場合に孔65が蓋部54により塞がれる。プリンタ1は、接続口20に対応する孔が形成されていない場合に比べ、接続口形成面27の保護性能と、蓋部54により接続口20の解放、閉鎖する操作の操作性とを向上できる。
【0030】
角部対応部分51、52は、エラストマーと硬質樹脂との二層構造である。面対応部分55は、硬質樹脂の一層構造である。プリンタ1は、角部対応部分51、52をエラストマーと硬質樹脂との二層構造とすることで、角部対応部分51、52に剛性を付与しつつ、角部対応部分51、52に加わった衝撃を吸収できる。プリンタ1は、面対応部分55を硬質樹脂の一層構造とすることで、面対応部分55に加わった衝撃を吸収できる。本実施形態のプリンタ1は、凸部72の表面がエラストマーにより形成される。故に、プリンタ1の凸部72は、プリンタ1の背面26を下方にした姿勢で、プリンタ1が机上に置かれた場合、凸部72が、硬質樹脂で形成された場合に比べ、机を傷つけにくい。
【0031】
プロテクタ5は、筐体2に対して取り外し可能に装着される。プリンタ1は、プロテクタ5が破損した場合に、プロテクタ5だけを取り替えることができる。本実施形態のプリンタ1は、ネジ63、64により、プロテクタ5を筐体2に取り外し可能に固定するため、プリンタ1のユーザが意図しないタイミングで、プロテクタ5が筐体2から外れにくい。
【0032】
本発明のモバイルプリンタは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。
【0033】
印刷部12の構成、配置は適宜変更されてよく、サーマルヘッド以外でもよい。筐体2の形状、構成は変更されてよい。筐体2は、凹部31、33、35、39の少なくとも何れかを備えてなくてもよい。筐体2が、凹部31、33を備えない場合、プロテクタ5は、凹部31、33に対応する孔57、58が形成されなくてよい。接続口形成面27の接続口20に設けられたジャックの種類、形状は適宜変更されてよい。接続口形成面27は、筐体2の下面以外の面であってもよい。接続口形成面27は、蓋部54が接続された角部対応部分51によって覆われる角部28と連続していなくてもよい。
【0034】
プロテクタ5の面対応部分55は、省略されてもよい。プロテクタ5が面対応部分55を備える場合、接続口20に対応する部分は、孔65に替えて、切欠きが設けられてもよい。面対応部分55は、角部対応部分51、52よりも、接続口20から離れる側(上記実施形態では、下方)まで延設されてもよい。
【0035】
プロテクタ5の形状、筐体2に対する取り付け部位等は、適宜変更されてもよい。プロテクタ5は、筒部56を備えなくてもよい。プロテクタ5が筒部56を備える場合、筒部56の延設範囲及び形状は適宜変更されてよい。プロテクタ5は、筐体2に対し取り外し不能であってもよい。プロテクタ5は、筐体2に対し、取り外し可能に装着する構成は適宜変更されてよく、例えば、プロテクタ5に設けた嵌合部と、筐体2に設けた被嵌合部とを嵌合させることで、プロテクタ5を筐体2に対し、取り外し可能に装着可能な構成としてもよい。プロテクタ5は、角部対応部分51、52の少なくとも何れかを覆えばよく、接続口形成面27に装着されなくてもよい。蓋部54は、角部対応部分51、52の任意の部分に接続されてもよい。したがって例えば、プロテクタ5は、角部対応部分52と、背面26とを覆う構成であってもよく、蓋部54は、角部対応部分52と接続されてもよい。
【0036】
プロテクタ5の材料は、適宜変更されてよく、角部対応部分51、52及び面対応部分55は、硬質樹脂で形成されてもよいし、金属等の樹脂以外の材料で形成されてもよい。上記実施形態において筒部56は、硬質樹脂、又はエラストマーの一層構造であってもよい。プロテクタ5は、以下の第一から第五変形例のように、角部対応部分51、52と、面対応部分55との材料が、上記実施形態とは互いに異なる態様の二種類の樹脂を用いた二色成型又は一種類の樹脂により形成されてもよい。第一から第五変形例では、上記実施形態同様の構成を有するプリンタ1において、プロテクタ5の材料のみが異なる場合を、上記実施形態と同様の符号を用いて示す。
【0037】
図6に示すように、第一変形例の角部対応部分51、52及び面対応部分55は、エラストマーと硬質樹脂との二層構造である。この場合角部対応部分51、52及び面対応部分55を構成する二層のうち、筐体2と対向する側の第一層83が硬質樹脂で形成され、第一層83の外側の第二層84が、エラストマーで形成されるのが好ましい。第一変形例のプリンタ1は、角部対応部分51、52及び面対応部分55をエラストマーと硬質樹脂との二層構造とすることで、プロテクタ5に剛性を付与しつつ、プロテクタ5に加わった衝撃を吸収できる。
【0038】
図7に示す第二変形例のように、角部対応部分51、52は、エラストマーと硬質樹脂との二層構造であり、面対応部分55は、エラストマーの一層構造である。この場合、角部対応部分51、52を構成する二層のうち、筐体2と対向する側の第一層85が硬質樹脂で形成され、第一層85の外側の第二層86が、エラストマーで形成されるのが好ましい。面対応部分55は、角部対応部分51、52の第二層86と連続する。第二変形例のプリンタ1は、角部対応部分51、52をエラストマーと硬質樹脂との二層構造とすることで、角部対応部分51、52に剛性を付与しつつ、角部対応部分51、52に加わった衝撃を吸収できる。プリンタ1は、面対応部分55をエラストマーの一層構造とすることで、面対応部分55に加わった衝撃を吸収できる。
【0039】
図8に示す第三変形例のように、角部対応部分51、52は、エラストマーの一層構造である。面対応部分55は、硬質樹脂の一層構造であってもよい。第三変形例のプリンタ1は、角部対応部分51、52をエラストマーの層88の一層構造とすることで、角部対応部分51、52に衝撃を吸収できる。プリンタ1は、面対応部分55を硬質樹脂の層87の一層構造とすることで、面対応部分55に剛性を付与できる。
【0040】
図9に示す第四変形例のように、角部対応部分51、52は、エラストマーの一層構造である。面対応部分55は、硬質樹脂とエラストマーの二層構造であってもよい。この場合、面対応部分55を構成する二層のうち、筐体2と対向する側の第一層89が硬質樹脂で形成され、第一層89の外側の第二層90が、エラストマーで形成されるのが好ましい。第四変形例のプリンタ1は、角部対応部分51、52をエラストマーの一層構造とすることで、角部対応部分51、52に加わった衝撃を吸収できる。プリンタ1は、面対応部分55をエラストマーと硬質樹脂との二層構造とすることで、面対応部分55に剛性を付与しつつ、面対応部分55に加わった衝撃を吸収できる。
【0041】
図10に示す第五変形例のように、角部対応部分51、52及び面対応部分55は、エラストマーの一層構造であってもよい。第五変形例のプリンタ1は、角部対応部分51、52及び面対応部分55をエラストマーの層91の一層構造とすることで、プロテクタ5に加わった衝撃を吸収できる。
【0042】
上記変形例は、矛盾がない範囲で適宜組み合わされてよい。本願出願人は、特許請求の範囲において例示された組み合わせに加え、本発明の要旨を逸脱しない範囲、且つ、矛盾が生じない範囲で互いに組み合わされた態様についても特許権を取得する意思を有する。
【符号の説明】
【0043】
1:プリンタ、2:筐体、5:プロテクタ、12:印刷部、27:接続口形成面、28:角部、29:接続口、51、52:角部対応部分、54:蓋部、55:面対応部分、65:孔