(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142513
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】室内機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
F24F1/0007 401E
F24F13/20 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054671
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 冬生
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BG07
3L051BJ03
(57)【要約】
【課題】拡張基板のケーブルに電磁ノイズが重畳するのを抑え、拡張基板の誤動作を防ぐ。
【解決手段】室内機は、空気調和機が備える室内機であって、室内機を制御する制御基板と、室内機の機能を拡張する拡張機能を有し、制御基板と通信する複数の拡張基板と、複数の拡張基板の各々と制御基板とを接続する複数のケーブルと、を備える。複数のケーブルは、各ケーブルが接続される各拡張基板のノイズ耐性が低いほど短い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機が備える室内機であって、
前記室内機を制御する制御基板と、
前記室内機の機能を拡張する拡張機能を有し、前記制御基板と通信する複数の拡張基板と、
前記複数の拡張基板の各々と前記制御基板とを接続する複数のケーブルと、を備え、
前記複数のケーブルは、各ケーブルが接続される各拡張基板のノイズ耐性が低いほど短い、室内機。
【請求項2】
前記複数の拡張基板は、前記ノイズ耐性が低いほど前記制御基板の近くに配置されている、
請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記複数の拡張基板の各々は、制御基板から入力された信号が、予め定められたHi電圧に対応するHi状態であるか、前記Hi電圧よりも低い予め定められたLo電圧に対応するLo状態であるかを判定する判定部を有し、
各々の前記判定部は、前記拡張基板毎に定められた、前記信号がHi状態であることを判定するための電圧値である第1の閾値と、前記信号がLo状態であることを判定するための前記第1の閾値より低い電圧値である第2の閾値に基づいて、前記信号の電圧値が前記第1の閾値以上であるときHi状態であると判定し、前記信号の電圧値が前記第2の閾値以下であるときLo状態であると判定し、
前記各々の拡張基板のノイズ耐性は、前記Lo電圧と前記第1の閾値との差である第1の値と、前記Hi電圧と前記第2の閾値との差である第2の値のうち、小さい方の値を許容誤差として、前記許容誤差に基づいて決定されている、
請求項1または2に記載の室内機。
【請求項4】
前記室内機の筐体と、
前記制御基板を有する電装品モジュールと、を更に備え、
前記電装品モジュールは、前記筐体の内部における前記室内機の左右方向の一端部に配置され、
前記複数の拡張基板は、前記筐体の内部における前記室内機の前面側の前記左右方向に沿って並んで配置されている、
請求項3に記載の室内機。
【請求項5】
前記複数のケーブルは、互いに近接して配置されて各拡張基板から前記制御基板まで延ばされている、
請求項1に記載の室内機。
【請求項6】
前記複数の拡張基板と前記複数のケーブルが収容される収容ケースを更に備える、
請求項1に記載の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機が備える室内機としては、例えば、筐体の内部における端部に、制御基板を有する電装品モジュールが収容される電装品箱が設けられており、筐体の内部の前面側に、ユーザの携帯端末と無線通信を行う通信アダプタが設けられたものが知られている。この種の通信アダプタは、電装品モジュールの制御基板とケーブルで接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した室内機では、通信アダプタに加えて、室内機の機能を拡張する拡張モジュールが有する拡張基板が、筐体の内部の前面側に複数配置される場合がある。この場合、拡張モジュールが有する拡張基板は、制御基板とケーブルで接続されることで、制御基板と通信を行う。このような拡張基板が増えると、制御基板と各拡張基板とを接続するケーブルの本数が増えるため、ケーブルや電装品モジュールの電源回路が発する電磁ノイズが重畳するケーブルが多くなる問題がある。また、拡張基板を配置するスペースが限られる場合、一部の拡張基板は制御基板から離れた位置に配置せざるを得ないことも考えられる。このような場合、制御基板と拡張基板とを接続するケーブルが長くなるため、ケーブルに電磁ノイズが重畳されやすくなる。
【0005】
ケーブルに電磁ノイズが重畳されると、通信信号に電圧ノイズが混入し、拡張モジュールが誤動作するおそれがある。また、ケーブルへの電磁ノイズの重畳を防ぐためにケーブルに電磁シールドを行う場合には、シールド部材を追加する必要が生じ、室内機の製造コストが増加する不都合がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、拡張基板のケーブルに電磁ノイズが重畳するのを抑え、拡張基板の誤動作を防ぐことができる室内機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する室内機の一態様は、空気調和機が備える室内機であって、室内機を制御する制御基板と、室内機の機能を拡張する拡張機能を有し、制御基板と通信する複数の拡張基板と、複数の拡張基板の各々と制御基板とを接続する複数のケーブルと、を備える。複数のケーブルは、各ケーブルが接続される各拡張基板のノイズ耐性が低いほど短い。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する室内機の一態様によれば、拡張基板のケーブルに電磁ノイズが重畳するのを抑え、拡張基板の誤動作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1の室内機の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1の室内機の内部を透視して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例1の室内機の要部を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施例2の室内機の要部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する室内機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する室内機が限定されるものではない。
【実施例0011】
図1は、実施例1の室内機の外観を示す斜視図である。
図2は、実施例1の室内機の内部を透視して示す斜視図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、室内機1は、熱交換器5、送風ファン(図示せず)、送風ファンを回転させるファンモータ(図示せず)、風向板(図示せず)、風向板を動作させるステッピングモータ(図示せず)と、ファンモータやステッピングモータ等を制御する電装品モジュール6と、熱交換器5、送風ファン、ファンモータ、風向板、ステッピングモータ及び電装品モジュール6を内部に収容する筐体7と、を備える。
【0013】
電装品モジュール6は、筐体7の内部における室内機1の左右方向Xの一端部、すなわち右端部に配置されている。ここでの左右方向Xは、室内機1の前面1Fに向かって見たときの方向を指す。電装品モジュール6は、室内機1のファンモータ等を制御する制御基板8を有する。制御基板8は、外部電源から電力が供給される電源回路9を有しており、制御基板8の実装面が室内機1の右側面1Sに沿うように配置されている。筐体7には、室内機1の上面側に、室内から空気を取り込む取込み口7aが設けられ、室内機1の下面側に、室内に風を送る送風口7bが設けられている。
【0014】
図3は、実施例1の室内機1の要部を示す模式図である。
図2及び
図3に示すように、筐体7の内部における室内機1の前面1F側に、室内機1の機能、すなわち電装品モジュール6の機能を拡張する拡張機能を有する複数の拡張モジュール10が設けられている。実施例の室内機1は一例として、第1の拡張モジュール10A、第2の拡張モジュール10B及び第3の拡張モジュール10C(以下、拡張モジュール10とも称する。)を備える。
【0015】
第1の拡張モジュール10Aは、電装品モジュール6の制御基板8と通信する第1の拡張基板11Aと、第1の拡張基板11Aと制御基板8とを接続する第1のケーブル12Aと、第1の拡張基板11Aを内部に収容するモジュールケース(図示せず)と、を有する。第1の拡張モジュール10Aと同様に、第2の拡張モジュール10Bは、制御基板8と通信する第2の拡張基板11Bと、第2の拡張基板11Bと制御基板8とを接続する第2のケーブル12Bと、第2の拡張基板11Bを内部に収容するモジュールケース(図示せず)と、を有する。また、第1の拡張モジュール10Aと同様に、第3の拡張モジュール10Cは、制御基板8と通信する第3の拡張基板11Cと、第3の拡張基板11Cと制御基板8とを接続する第3のケーブル12Cと、第3の拡張基板11Cを内部に収容するモジュールケース(図示せず)と、を有する。以下、第1の拡張基板11A、第2の拡張基板11B及び第3の拡張基板11Cを拡張基板11とも称し、第1のケーブル12A、第2のケーブル12B及び第3のケーブル12Cをケーブル12とも称する。
【0016】
各拡張基板11は、例えば、IC(集積回路)、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)等のトランジスタが搭載されてなる通信回路を有する。一例として実施例において、第1の拡張モジュール10Aは、有線方式の室内機1のリモートコントローラであり、室内の壁等に取り付けられる操作パネル(図示せず)を有する。第1の拡張モジュール10Aの第1の拡張基板11Aは、例えば、無極性2線式の配線によって操作パネルと接続されており、76880[bps]程度の通信速度で通信を行う。
【0017】
第2の拡張モジュール10Bは、室内機1を備える空気調和機における消費電力を制御するための外部通信モジュールである。第2の拡張モジュール10Bは、電装品モジュール6の制御基板8に接続される第2のケーブル12Bを経由して外部ネットワークと接続されて、電力デマンド監視のためのデマンド信号を送受信する。第2の拡張モジュール10Bは、例えば、9600[bps]程度の通信速度で通信を行う。
【0018】
第3の拡張モジュール10Cは、Wi-Fi(登録商標)を用いて利用者の携帯端末等と無線通信する通信モジュールであり、例えば、9600[bps]程度の通信速度で通信を行う。
【0019】
第1の拡張基板11A、第2の拡張基板11B及び第3の拡張基板11Cの各々は、制御基板8から入力された信号が、予め定められたHi電圧VHに対応するHi状態であるか、Hi電圧VHよりも低い予め定められたLo電圧VLに対応するLo状態であるかを判定する判定部14を有する。
【0020】
各々の判定部14は、拡張基板11毎に定められた、信号がHi状態であることを判定するための電圧値である第1の閾値V1と、信号がLo状態であることを判定するための第1の閾値V1より低い電圧値である第2の閾値V2に基づいて、信号の電圧値が第1の閾値V1以上であるときHi状態であると判定し、信号の電圧値が第2の閾値V2以下であるときLo状態であると判定する。ここで第1の閾値V1と第2の閾値V2の大小関係は、V1>V2である。
【0021】
実施例の室内機1では、各ケーブル12や、電装品モジュール6の制御基板8の電源回路9が発する電磁ノイズによって、各拡張基板11の判定部14の判定に誤りが生じることを抑制するため、各拡張基板11におけるケーブル12の長さが設定されている。
【0022】
第1のケーブル12A、第2のケーブル12B及び第3のケーブル12Cの各々は、図示しないが、制御基板8と信号を送受信する通信線と、各拡張基板11(11A、11B、11C)に電力を供給する電源線と、を含んでいる。
【0023】
そして、第1のケーブル12A、第2のケーブル12B及び第3のケーブル12Cは、各ケーブル12が接続される各拡張基板11のノイズ耐性が低いほど短い。つまり、複数の拡張基板11のうち、ノイズ耐性が最も低い拡張基板11は、その拡張基板11のケーブル12の長さが最短であり、拡張基板11のノイズ耐性が高くなるほどケーブル12の長さが長くされている。
【0024】
本実施例では、第1の拡張基板11A、第2の拡張基板11B、第3の拡張基板11Cの順にノイズ耐性が低くなっていき、第3の拡張基板11Cが最も電磁ノイズの影響を受けやすい。
【0025】
このため、各ケーブル12のうち、第3の拡張基板11Cから制御基板8まで延びる第3のケーブル12Cの長さL3が最も短くされており、第2の拡張基板11Bから制御基板8まで延びる第2のケーブル12Bの長さL2、第1の拡張基板11Aから制御基板8まで延びる第1のケーブル12Aの長さL1の順に長くなっていく。すなわち、各ケーブル12の長さL1、L2、L3は、L3<L2<L1の関係にある。
【0026】
また、第1の拡張基板11A、第2の拡張基板11B及び第3の拡張基板11Cは、筐体7の内部における室内機1の前面1F側の左右方向Xに沿って並んで配置されている。これにより、筐体7の前面1F側の内部空間を有効利用すると共に制御基板8に対して各拡張基板11を適切な位置に容易に配置することが可能になる。このような各拡張基板11の配置に伴い、実施例1のように各ケーブル12が前面1Fに沿って並んで配線される場合であっても、上述のように各ケーブル12の長さL1、L2、L3を異ならせると共にノイズ耐性が低い各拡張基板11ほど制御基板8の近くに配置されることにより、各ケーブル12に重畳する電磁ノイズが抑えられている。
【0027】
各々の拡張基板11のノイズ耐性は、Lo電圧VLと第1の閾値V1との差(V1-VL)である第1の値D1と、Hi電圧VHと第2の閾値V2との差(VH-V2)である第2の値D2のうち、小さい方の値VD(許容誤差VDとも称する。)を許容誤差として、この許容誤差に基づいて決定されている。なお、第1の値D1と第2の値D2とが等しい場合には、第1の値D1及び第2の値D2を小さい方の値VDとする。
【0028】
【0029】
第1の拡張モジュール10A、第2の拡張モジュール10B、第3の拡張モジュール10Cにおける各電圧の数値の一例を表1に示す。
【0030】
表1に示すように、第1の拡張モジュール10Aの場合、第1の値D1(=V1-VL)が、4.0(=4.0-0.0)[V]となり、第2の値D2(=VH-V2)が、4.0(=5.0-1.0)[V]となる。したがって、第1の拡張モジュール10Aの場合、第1の値D1と第2の値D2が等しくなり、許容誤差である小さい方の値VDが4.0[V]となる。よって、第1の拡張モジュール10Aのノイズ耐性は、許容誤差である4.0[V]が指標となる。
【0031】
第2の拡張モジュール10Bの場合、第1の値D1(=V1-VL)が、4.5(=4.5-0.0)[V]となり、第2の値D2(=VH-V2)が、3.0(=5.0-2.0)[V]となる。したがって、第2の拡張モジュール10Bの場合、第2の値D2が第1の値D1よりも小さくなり、許容誤差である小さい方の値VDが3.0[V]となる。よって、第2の拡張モジュール10Bのノイズ耐性は、許容誤差である3.0[V]が指標となる。
【0032】
第3の拡張モジュール10Cの場合、第1の値D1(=V1-VL)が、1.5(=1.5-0.0)[V]となり、第2の値D2(=VH-V2)が、4.2(=5.0-0.8)[V]となる。したがって、第3の拡張モジュール10Cの場合、第1の値D1が第2の値D2よりも小さくなり、許容誤差である小さい方の値VDが1.5[V]となる。よって、第3の拡張モジュール10Cのノイズ耐性は、許容誤差である1.5[V]が指標となる。
【0033】
第1の拡張モジュール10A、第2の拡張モジュール10B及び第3の拡張モジュール10Cの各々のノイズ耐性の指標とする各電圧値を比較したとき、第1の拡張モジュール10A、第2の拡張モジュール10B、第3の拡張モジュール10Cの順に小さくなっていくので、第3の拡張モジュール10Cのノイズ耐性が最も低いことになる。
【0034】
例えば、第3の拡張モジュール10Cにおいて、制御基板8からLo電圧VLである0.0[V]の信号が出力された場合に、第3のケーブル12Cに電磁ノイズが重畳されなかった場合は、第3の拡張基板11Cは0.0[V]の信号が入力される。この信号は、第3の拡張基板11Cの第2の閾値V2の0.8[V]よりも低いため、第3の拡張基板11Cの判定部14は信号がLo状態であると判定する。一方で、例えば第3のケーブル12Cに、第3拡張基板11Cの許容誤差を超える1.6[V]の電磁ノイズが重畳された場合は、第3の拡張基板11Cは1.6[V]の信号が入力される。この信号は、第3の拡張基板11Cの第1の閾値V1の1.5[V]以上であるため、第3の拡張基板11Cの判定部14は入力された信号がHi状態であると判定する。つまり、制御基板8から出力された信号がLo電圧VLであるにも関わらず判定部14は信号がHi状態であると誤判定する。
【0035】
一方で、第1の拡張基板11Aの許容誤差は4.0[V]であるため、第1のケーブル12Aに1.6[V]の電磁ノイズが重畳した場合であっても、判定部14が誤判定することがない。具体的には、制御基板8からLo電圧VLである0.0[V]の信号が出力された場合に、1.6[V]の電磁ノイズが重畳して1.6[V]の信号になっても、第1の拡張基板11Aの第1の閾値V1である4.0[V]以上ではないので、判定部14は信号がHi状態であると誤判定することはない。同様に、制御基板8からHi電圧VHである5.0[V]の信号が出力された場合に、-1.6[V]の電磁ノイズが重畳して3.4[V]の信号になっても、第1の拡張基板11Aの第2の閾値V2である1.0[V]以下ではないので、判定部14は信号がLo状態であると誤判定することはない。
【0036】
このように、許容誤差が第3の拡張基板11Cでは誤判定してしまうような電磁ノイズがケーブル12に重畳した場合でも、許容誤差が第1の拡張基板11Aでは誤判定しない。つまり、許容誤差が高いほどノイズ耐性が高いと言える。
【0037】
このように実施例1では、各拡張基板11の許容誤差VDを指標として、拡張基板11のノイズ耐性を定量的に容易に取り扱うことができる。そして、実施例の室内機1では、上述したように、各ケーブル12の長さL1、L2、L3が、L3<L2<L1の関係を満たしている。これにより、電装品モジュール6の制御基板8の電源回路9が発する電磁ノイズによって、各拡張基板11の判定部14の判定に誤りが生じることを抑制できる。
【0038】
また、第1のケーブル12A、第2のケーブル12B及び第3のケーブル12Cは、互いに近接して配置されており、各拡張基板11から制御基板8まで延ばされている。例えば、各ケーブル12は、室内機1の前面1Fにおける下端側に、左右方向Xに沿って延ばされており、互いに重ねて配置されている。
【0039】
各ケーブル12同士における電磁ノイズの影響を抑える観点では、各拡張基板11から制御基板8まで延びる各ケーブル12の配線経路を互いに遠ざけて配置することが望ましい。一方、拡張基板11の取付け作業やケーブル12の配線作業を容易に行う観点では、各ケーブル12が同じ配線経路に沿って配置されることが望ましい。本実施例では、拡張基板11の取付け作業、ケーブル12の配線作業を容易に行うことを優先することで各ケーブル12同士における電磁ノイズの影響を抑える観点では悪条件となっている。この場合であっても、上述のようにノイズ耐性に基づいて各ケーブル12の長さL1、L2、L3が設定されることで、各ケーブル12同士における電磁ノイズの重畳を抑えられる。
【0040】
また、室内機1は、
図2に示すように、空気清浄ユニット20と、空気清浄ユニット20を制御するユニット基板21と、を備える。空気清浄ユニット20及びユニット基板21は、筐体7の内部における取込み口7a近傍に設けられており、室内機1の左右方向Xにおいて、電装品モジュール6が配置された右端部とは反対側の左端部に配置されている。このため、ノイズ源となる、空気清浄ユニット20が有する電極部(図示せず)やユニット基板21が有する電源回路(図示せず)から、ノイズ耐性が最も低い第3の拡張基板11Cが、各拡張基板11のうちで、左右方向Xに対して最も離れて配置されている。これにより、各拡張基板11は、ノイズ耐性が低い拡張基板11ほど空気清浄ユニット20及びユニット基板21が発する電磁ノイズの影響を受けにくくなり、各拡張基板11の誤動作を防ぐことができる。
【0041】
なお、
図3に示すように、室内機1は、第1の拡張基板11A、第2の拡張基板11B及び第3の拡張基板11Cと、第1のケーブル12A、第2のケーブル12B及び第3のケーブル12Cの長さ方向における一部または全てが収容される収容ケース23を備えてもよい。これにより、収容ケース23によって各ケーブル12をまとめることで筐体7に対する組付け作業の容易化を図れる。
【0042】
また、収容ケース23は、導電性を有するものであってもよい。これにより、導電性を有する収容ケース23によって電磁波が遮られるので、各拡張基板11各ケーブル12が、例えば、制御基板8の電源回路9が発する電磁ノイズや室内機1の外部からの電磁ノイズの影響を受けることを抑制できる。
【0043】
(実施例1の効果)
上述したように実施例1の室内機1は、室内機1を制御する制御基板8と、制御基板8と通信する複数の拡張基板11と、複数の拡張基板11の各々と制御基板8とを接続する複数のケーブル12と、を備える。複数のケーブル12は、各ケーブル12が接続される各拡張基板11のノイズ耐性が低いほど短い。このように複数のケーブル12を備えることで、電磁ノイズの影響を受けるケーブル12が増え、ケーブル12に重畳した電磁ノイズの影響で誤動作する拡張基板11が増えるおそれが高くなる場合であっても、各拡張基板11のノイズ耐性に基づいて各ケーブル12の長さL1、L2、L3が設定されることで、ノイズ耐性が低い拡張基板11ほど、ケーブル12に電磁ノイズが重畳するのを抑えることができる。これにより、各ケーブル12や、電装品モジュール6の制御基板8の電源回路9が発する電磁ノイズによって、各拡張基板11の判定部14の判定に誤りが生じることを抑制でき、拡張基板11の誤動作を防ぐことができる。
【0044】
また、実施例1の室内機1における複数の拡張基板11は、ノイズ耐性が低いほど制御基板8の近くに配置されている。これにより、ノイズ耐性に基づいて各ケーブル12の長さL1、L2、L3が設定された各拡張基板11を制御基板8に対して適切な位置に配置できると共に、ノイズ耐性が低い拡張基板11のケーブル12に電磁ノイズが重畳するのを抑え、拡張基板11の誤動作を防ぐことができる。
【0045】
また、実施例1の室内機1における複数の拡張基板11の各々は、制御基板8から入力された信号がHi電圧VHに対応するHi状態であるか、Lo電圧VLに対応するLo状態であるかを判定する判定部14を有する。各々の判定部14は、信号がHi状態であることを判定するための第1の閾値V1と、信号がLo状態であることを判定するための第2の閾値V2に基づいて、信号の電圧値が第1の閾値V1以上であるときHi状態であると判定し、信号の電圧値が第2の閾値V2以下であるときLo状態であると判定する。各々の拡張基板11のノイズ耐性は、Lo電圧VLと第1の閾値V1との差である第1の値D1と、Hi電圧VHと第2の閾値V2との差である第2の値D2のうち、小さい方の値VDを許容誤差として、許容誤差に基づいて決定されている。これにより、各拡張基板11の判定部14の許容誤差を指標として、拡張基板11のノイズ耐性を定量的に容易に取り扱うことができる。このため、ノイズ耐性に基づいて各ケーブル12の長さL1、L2、L3を適切に設定できる。
【0046】
また、実施例1の室内機1において、電装品モジュール6が、筐体7の内部における室内機1の左右方向Xの一端部に配置され、複数の拡張基板11が、筐体7の内部における室内機1の前面1F側の左右方向Xに沿って並んで配置されている。これにより、筐体7の前面1F側の内部空間を有効利用すると共に電装品モジュール6の制御基板8に対して各拡張基板11を適切な位置に容易に配置することが可能になる。このような各拡張基板11の配置に伴い、各ケーブル12が前面1Fに沿って並んで配線された場合であっても、各ケーブル12の長さL1、L2、L3を異ならせることにより、各ケーブル12に重畳する電磁ノイズを抑えられる。
【0047】
また、実施例1の室内機1において、複数のケーブル12は、互いに近接して配置されて各拡張基板11から制御基板8まで延ばされている。このように実施例1は、拡張基板11の取付け作業、ケーブル12の配線作業を容易に行うことを優先することで各ケーブル12同士における電磁ノイズの影響を抑える観点では悪条件となっている。この場合であっても、ノイズ耐性に基づいて各ケーブル12の長さL1、L2、L3が設定されることで、各ケーブル12同士における電磁ノイズの重畳を抑えられる。
【0048】
また、実施例1の室内機1は、複数の拡張基板11と複数のケーブル12が収容される収容ケース23を備えてもよい。これにより、収容ケース23によって各ケーブル12をまとめることで筐体7に対する組付け作業の容易化を図れる。
【0049】
以下、実施例2について図面を参照して説明する。実施例2において、実施例1と同一の構成部材には、実施例1と同一の符号を付けて説明を省略する。実施例2は、電装品モジュール6、拡張基板11(11A、11B、11C)の各配置が実施例1と異なる。
実施例2においても、実施例1と同様に、判定部14における許容誤差を指標したノイズ耐性が、第1の拡張基板11A、第2の拡張基板11B、第3の拡張基板11Cの順に低くなり、ノイズ耐性に基づいて各拡張基板11の各ケーブル12の長さL1、L2、L3が、L1>L2>L3を満たすように設定されている。
一例として実施例2では、制御基板8の左側に隣り合って第3の拡張基板11Cが配置され、第3の拡張基板11Cの左側に第1の拡張基板11Aが配置されている。また、第2の拡張基板11Bは、制御基板8の右側に隣り合って配置されており、室内機2の左右方向Xにおける制御基板8の両側に、第2の拡張基板11Bと第3の拡張基板11Cが配置されている。
したがって、室内機2の左右方向Xにおいて、第3の拡張基板11C及び第2の拡張基板11Bが制御基板8の近くに配置されると共に、第1の拡張基板11Aが制御基板8から離れて配置されている。実施例2においても実施例1と同様に、第3のケーブル12Cの長さL3が、第2のケーブル12Bの長さL2よりも短くされるが、第2のケーブル12Bの長さL2は第3のケーブル12Cの長さL3と等しくされてもよい。
なお、上述した実施例1、2では、複数の拡張基板11の全てが室内機2に標準搭載される標準基板ではなく、選択的に追加されるオプション基板であるが、複数の拡張基板11に、標準基板とオプション基板が含まれていてもよい。この場合、複数の拡張基板11のうち、準備基板としての拡張基板11は、オプション基板としての拡張基板11よりも制御基板8の近くに配置されてもよい。これにより、標準基板が電磁ノイズの影響を受けることを抑制できる。また、複数の拡張基板11に複数の標準基板が含まれる場合には、各標準基板のノイズ耐性が低いものほど、すなわち許容誤差VDが小さいものほど、制御基板8の近くに配置されることが望ましい。このことは複数のオプション基板の配置についても同様である。また、拡張基板11が2つの場合においても、上述のように配置することで実施例1、2と同様の効果が得られる。