(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142518
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】乗用芝刈機の管理システム
(51)【国際特許分類】
A01D 34/84 20060101AFI20241003BHJP
A01D 43/063 20060101ALI20241003BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241003BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20241003BHJP
【FI】
A01D34/84
A01D43/063
G06T7/00 640
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054676
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕佑
(72)【発明者】
【氏名】栗田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】三宅 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大翔
(72)【発明者】
【氏名】増田 龍太郎
【テーマコード(参考)】
2B083
5L049
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA12
2B083BA15
2B083FA17
2B083FA18
5L049CC01
5L050CC01
5L096AA06
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA18
5L096DA02
(57)【要約】
【課題】作業計画の正確な立案が可能となる乗用芝刈機の管理システムを提供すること。
【解決手段】実施形態に係る乗用芝刈機の管理システムは、制御装置と、入力装置とを備える。制御装置は、乗用芝刈機の作業管理を行う。入力装置は、制御装置へ向けた入力操作を受け付ける。制御装置は、飛翔体によって撮像された撮像画像を取得し、取得した撮像画像から算出した芝草の生育状況から生成した芝草の密度・草丈データと、入力装置から入力された、乗用芝刈機の作業領域を示す作業領域データおよび乗用芝刈機による芝草の刈り高さを示す刈り高さデータと、予め記憶しているコレクタの容量を示すコレクタ容量データとを有し、密度・草丈データ、作業領域データ、刈り高さデータから作業領域の乗用芝刈機による芝草の刈り取り容量を算出し、刈り取り容量およびコレクタ容量データから乗用芝刈機が作業領域の作業中に行う芝草の排出回数を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行しながら芝草を刈り取り、刈り取った芝草をコレクタへと収容していく乗用芝刈機の作業管理を行う制御装置と、
前記制御装置へ向けた入力操作を受け付ける入力装置と
を備え、
前記制御装置は、
飛翔体によって撮像された撮像画像を取得し、取得した前記撮像画像から算出した芝草の生育状況から生成した芝草の密度・草丈データと、
前記入力装置から入力された、前記乗用芝刈機の作業領域を示す作業領域データおよび前記乗用芝刈機による芝草の刈り高さを示す刈り高さデータと、
予め記憶している前記コレクタの容量を示すコレクタ容量データと
を有し、
前記密度・草丈データ、前記作業領域データおよび前記刈り高さデータから前記作業領域における前記乗用芝刈機による芝草の刈り取り容量を算出し、
前記刈り取り容量および前記コレクタ容量データから前記乗用芝刈機が前記作業領域の作業中に行う芝草の排出回数を算出する
ことを特徴とする乗用芝刈機の管理システム。
【請求項2】
前記乗用芝刈機の位置情報を取得する位置情報取得装置
を備え、
前記制御装置は、
予め設定された、前記乗用芝刈機の単位時間当たりの刈り取り可能な容量を示す刈り取り可能容量データと、
前記撮像画像および前記位置情報を紐づけて前記作業領域を任意に分割し、分割した領域において算出した前記乗用芝刈機による単位時間当たりの刈り取り容量を示す単位時間当たりの刈り取り容量データと
を有し、
前記単位時間当たりの刈り取り容量データから前記乗用芝刈機が作業可能な走行速度を算出し、
算出した前記走行速度に基づいて前記乗用芝刈機が前記作業領域の作業に必要な作業時間を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の乗用芝刈機の管理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記入力装置から前記作業時間の上限値が入力されると、前記作業時間の上限値までに作業を終了することが可能な前記刈り高さの設定値を算出し、算出した前記設定値を提示する
ことを特徴とする請求項2に記載の乗用芝刈機の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用芝刈機の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
農業管理において、人口衛星などの飛翔体に搭載されたレーダ装置で撮像された撮像画像の後方散乱係数から植生の生育値を算出する植生生育状況の解析技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行しながら芝草を刈り取り、刈り取った芝草(刈草)をコレクタへと収容していく乗用芝刈機では、芝草の生育状況によって面積当たりの刈り取り量が異なるため、コレクタ内の刈草の溜まり方や刈草の排出回数が変化する。
【0005】
このため、乗用芝刈機による作業に上記の解析技術を用いても、コレクタ内の刈草の溜まり方や刈草の排出回数を推測することは難しく、作業計画の正確な立案が困難であった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、作業計画の正確な立案が可能となる乗用芝刈機の管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る乗用芝刈機の管理システム(100)は、走行しながら芝草(G1)を刈り取り、刈り取った芝草(G2)をコレクタ(5)へと収容していく乗用芝刈機(1)の作業管理を行う制御装置(10)と、前記制御装置(10)へ向けた入力操作を受け付ける入力装置(80)とを備え、前記制御装置(10)は、飛翔体(90)によって撮像された撮像画像を取得し、取得した前記撮像画像から算出した芝草(G1)の生育状況から生成した芝草(G1)の密度・草丈データ(D1)と、前記入力装置(80)から入力された、前記乗用芝刈機(1)の作業領域(A)を示す作業領域データ(D2)および前記乗用芝刈機(1)による芝草(G1)の刈り高さ(HG)を示す刈り高さデータ(D3)と、予め記憶している前記コレクタ(D4)の容量を示すコレクタ容量データ(D5)とを有し、前記密度・草丈データ(D1)、前記作業領域データ(D2)および前記刈り高さデータ(D3)から前記作業領域(A)における前記乗用芝刈機(1)による芝草(G1)の刈り取り容量を算出し、前記刈り取り容量および前記コレクタ容量データ(D4)から前記乗用芝刈機(1)が前記作業領域(A)の作業中に行う芝草(G2)の排出回数を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態に係る乗用芝刈機の管理システムによれば、作業計画の正確な立案が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る乗用芝刈機の管理システムの構成例を示す図(その1)である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る乗用芝刈機の管理システムの構成例を示す図(その2)ある。
【
図3】
図3は、作業領域における芝草の生育状況を示す図である。
【
図4】
図4は、芝草の生育状況補正の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本願の開示する乗用芝刈機の管理システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<乗用芝刈機の管理システムの全体構成>
図1および2を参照して実施形態に係る乗用芝刈機の管理システム100の全体構成について説明する。
図1および2は、実施形態に係る乗用芝刈機の管理システム100の構成例を示す図である。なお、
図1は、乗用芝刈機1の概略側面(左側面)図を含む概要図である。また、
図2は、乗用芝刈機の管理システム100の制御装置10を中心とする機能ブロック図である。
【0012】
また、
図1には、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。以下では、説明の便宜上、X軸の正方向を左方、X軸の負方向を右方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方と規定し、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という場合がある。
【0013】
図1に示すように、乗用芝刈機の管理システム(以下、管理システムという)100は、乗用芝刈機1と、制御装置10と、位置情報取得装置70と、入力装置80と、を備える。乗用芝刈機1は、所定の作業領域A(
図3参照)に生えている芝草など(以下、芝草という)を刈り取り、刈り取った芝草(刈草ともいう)を後述するコレクタ5へと収容し、収容した刈草を所定の排出場所へ排出する。なお、以下では、乗用芝刈機1または後述する走行車体2を指して「機体」という場合がある。
【0014】
また、乗用芝刈機1は、運転者(作業者ともいう)の手動運転によるものであってもよいし、位置情報取得装置50によって取得した機体の位置情報に基づいて制御装置10が各部を制御する自動運転によるものであってもよい。
【0015】
乗用芝刈機1は、走行車体2と、モア3と、モア昇降機構4と、コレクタ5とを備える。走行車体2は、車体フレーム21と、左右一対の前輪22と、左右一対の後輪23とを備える。車体フレーム21は、走行車体2の車体骨格を形成する。車体フレーム21には、原動機61が搭載される。車体フレーム21は、フロントアクスルケースを介して、左右一対の前輪22を支持する。
【0016】
原動機61は、前輪22および後輪23の他、回転動力によってモア3の刈刃32を駆動する。原動機71として、たとえば、エンジン(たとえば、ディーゼルエンジン)や電動モータがある。
【0017】
また、車体フレーム21は、変速装置である、たとえば、HST(Hydro Static Transmission)を収納するミッションケース24を支持する。また、車体フレーム21は、ミッションケース24から後方へと延設されたチェーンケースを介して、左右一対の後輪23を支持する。
【0018】
乗用芝刈機1では、原動機61の回転動力を、HSTを介して適宜変速し、ミッションケース24およびチェーンケースに収納された伝動機構を介して左右の後輪23へと伝達するとともに、ミッションケース24から動力を取り出し、取り出した動力を左右の前輪22へと伝達する。
【0019】
走行車体2は、フロアステップ25と、運転席26と、ステアリングコラム271と、ステアリングホイール272と、各種操作レバー281と、各種操作ペダル282と、安全フレーム29とを備える。
【0020】
フロアステップ25は、走行車体2の前部に設けられる。運転席26は、運転者が座る座席であり、フロアステップ25の後部に設けられる。ステアリングコラム271は、フロアステップ25の前部に設けられる。すなわち、ステアリングコラム271は、運転席26の前方に設けられる。ステアリングコラム271の上部にはメータパネル62やモニタ63が設けられる。モニタ63は、たとえば、液晶モニタである。モニタ63は、乗用芝刈機1や乗用芝刈機1による作業に関する各種情報を表示する。ステアリングホイール272は、機体操向のための操作具であり、ステアリングコラム271の上部に設けられる。
【0021】
各種操作レバー281は、モア昇降レバー、コレクタ昇降レバー、ダンプレバーなどであり、運転席26の左右側方に設けられる。各種操作ペダル282は、アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダルなどであり、フロアステップ25の上方、かつ、ステアリングコラム271の左右側方に設けられる。
【0022】
安全フレーム(ロプスともいう)29は、機体の転倒時などに運転者の安全を確保するための部材であり、運転席26の後方に設けられる。安全フレーム29は、機体を前方(または後方)から見て、機体の左右方向に架け渡されたアーチ状となるように設けられる。
【0023】
モア3は、走行車体2の前方に設けられる。乗用芝刈機1は、機体の前部にモア3を備えた、いわゆるフロントモア型である。なお、乗用芝刈機1は、たとえば、機体の中央部にモア3を備えた、いわゆるミッドモア型であってもよい。
【0024】
モア3は、作業領域AWに生えている芝草G1を刈り取る装置であり、モアデッキ31と、刈刃(図示せず)とを備える。乗用芝刈機1は、刈刃で刈り取った芝草(刈草)G2を、ダクト33およびシュータ34を介して、後述するコレクタ5へと搬送する。この場合、乗用芝刈機1は、ブロワ35で刈草G2を送風搬送する。
【0025】
モア昇降機構4は、モア昇降シリンダ41と、リフトアーム42とを備える。モア昇降シリンダ41は、たとえば、油圧シリンダであり、モア3を昇降駆動する。リフトアーム42は、モア昇降シリンダ41とモアデッキ31との間に設けられる。モア昇降機構4は、モア昇降シリンダ41の駆動力をリフトアーム42へと伝達して、リフトアーム42を駆動する。モア昇降機構4は、リフトアーム42を駆動することで、モア3(モアデッキ31)を昇降する。
【0026】
コレクタ5は、走行車体2の後部に設けられる。コレクタ5は、モア3が刈り取った芝草(刈草)G2を収容する容器である。コレクタ5は、たとえば、直方体状のフレーム枠で構成され、フレーム枠の前後、左右および上面が、通気穴を有するプレート部材で構成される。コレクタ5の前面には、シュータ34と連通された、刈草G2の取入口(図示せず)が形成される。
【0027】
また、コレクタ5は、蓋部51を備える。蓋部51は、コレクタ5の後面および上面が一体となって構成される。蓋部51は、コレクタ5のダンプと連動して、コレクタ5の本体から離れてコレクタ5の後部を広く開放するように構成される。コレクタ5は、ダンプによって溜まった芝草(刈草)G2を排出する。乗用芝刈機1では、基本的には、コレクタ5が刈草G2で満杯になった場合に刈草G2を排出する。乗用芝刈機1は、刈草G2を排出する場合、所定の排出場所まで移動して、所定の排出場所で刈草G2を排出する。
【0028】
また、コレクタ5における刈草G2の収容空間には、満杯センサ64が設けられる。満杯センサ64は、コレクタ5が刈草G2で満杯になったことを検知する。満杯センサ64は、たとえば、赤外線センサや重量センサである。
【0029】
制御装置10は、電子制御によって各部を制御することが可能であり、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部(図示せず)をはじめ、各種プログラムや必要なデータ類が記憶される、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される記憶部などを備える。
【0030】
制御装置10は、各種情報の算出や、算出した情報の作業者W(
図3参照)への提示などを行う。制御装置10は、作業者Wへ情報を提示する場合には、モニタ63に情報を表示させることで提示する。なお、制御装置10は、機体側に設けられてもよいし、乗用芝刈機1が自動運転される場合には、後述する入力装置80側に設けられてもよい。
【0031】
位置情報取得装置70は、走行車体2の上部に設けられ、走行車体2(すなわち、乗用芝刈機1)の現在の自己位置P(
図3参照)を所定の周期で測定し、乗用芝刈機1の位置情報(たとえば、緯度および経度)を取得する。位置情報取得装置70は、たとえば、GNSS(Global Navigation Satellite System)であり、上空を周回している航法衛星(人工衛星)からの電波を受信して、乗用芝刈機1の自己位置Pを測定可能、かつ、計時可能である。
【0032】
入力装置80は、作業者Wによる制御装置10へ向けた入力操作を受け付ける。入力装置は、たとえば、作業者Wが携行可能なタブレット端末である。入力装置80は、表示画面を備える。入力装置80の表示画面は、機体側のモニタ63に表示される情報が表示可能に構成されてもよい。
【0033】
このように構成された管理システム100は、たとえば、クラウドコンピューティング(Cloud Computing)が可能なシステムである。
【0034】
図2に示すように、制御装置10には、位置情報取得装置70、入力装置80、モニタ63などが接続される。
【0035】
制御装置10は、取得部11と、記憶部12と、処理部13と、出力部14とを備える。取得部11は、人工衛星などの飛翔体90、位置情報取得装置70、入力装置80などから各種情報を取得する。取得部11は、飛翔体90によって撮像された撮像画像(衛星画像)を取得する。なお、飛翔体90が人工衛星の場合は、たとえば、人工衛星がレーダ装置を搭載しており、レーダによって地表面を撮像する。
【0036】
また、取得部11は、位置情報取得装置70によって測定された自己位置P(
図3参照)を取得する。また、取得部11は、入力装置80から入力された各種情報(数値など)を取得する。この場合、取得部11は、乗用芝刈機1(
図1参照)の作業領域A(
図3参照)を示す作業領域データD2と、乗用芝刈機1による芝草G1(
図1参照)の刈り高さH
G(
図1参照)を示す刈り高さデータD3とを取得する。なお、取得部11は、乗用芝刈機1による芝草G1の刈り幅を示す刈り幅データをさらに取得する。刈り幅データは、入力装置80からモア3の型式などが入力されることで取得可能である。
【0037】
記憶部12は、各種情報を記憶する。記憶部12は、乗用芝刈機1や乗用芝刈機1による作業に関する各種情報を予め記憶する。記憶部12は、コレクタ5の容量を示すコレクタ容量データD4、乗用芝刈機1の単位時間当たりの刈り取り可能な容量を示す刈り取り可能容量データD5、後述する演算部131によって算出された、乗用芝刈機1による単位時間当たりの刈り取り容量を示す単位時間当たりの刈り取り容量データD6などを記憶する。なお、刈り取り可能容量データD5は、作業領域Aの面積や作業速度などに応じて予め設定された値が記憶される。
【0038】
処理部13は、演算部131と、生成部132とを備える。演算部131は、取得部11によって取得された各種情報から各種値の算出を行う。演算部131は、取得部11によって取得された撮像画像を解析して、作業領域Aにおける芝草G1の生育状況を算出する。生成部132は、演算部131によって算出された値からさらに各種情報を生成する。生成部132は、演算部131によって算出された芝草G1の生育状況から芝草G1の密度・草丈データD1を生成する。なお、密度・草丈データD1は、草密度データD11および草丈データD12を含む。
【0039】
出力部14は、処理部13によって算出あるいは生成された各種情報を出力する。出力部14は、モニタ63へ各種情報を出力する。モニタ63には、出力部14から出力された各種情報(数値など)が表示される。
【0040】
制御装置10では、乗用芝刈機1が作業領域Aの作業中に行う芝草(刈草)G2(
図1参照)の排出回数を割り出すことができる。この場合、演算部131は、密度・草丈データD1(草密度データD11、草丈データD12)、作業領域データD2および刈り高さデータD3から、作業領域Aにおける乗用芝刈機1による芝草G1の刈り取り容量を算出する。演算部131は、演算部131で算出した刈り取り容量および記憶部12に記憶されたコレクタ容量データD4から、乗用芝刈機1が作業領域Aの作業中に行う刈草G2の排出回数を算出する。算出された刈草G2の排出回数は、モニタ63に表示される。
【0041】
このような構成によれば、作業者W(
図3参照)が、乗用芝刈機1が作業を開始する前に、作業領域Aにおいて刈草G2の排出回数を把握することができるため、刈草G2の排出場所の設定などの計画を立てやすくなる。すなわち、作業者Wが正確な作業計画を立てやすくなる。これにより、作業計画の正確な立案が可能となる。
【0042】
図3は、作業領域Aにおける芝草G1の生育状況(生育状況マップ)を示す図である。制御装置10(
図2参照)は、
図3に示すように、作業領域Aを任意に分割する。制御装置10では、分割した各領域A1,A2・・・ごとに後述する作業時間などを割り出すことができる。なお、取得部11は、作業時間などを割り出すための情報として、分割した各領域A1,A2・・・ごとの草丈Hである平均草丈H1,H2,・・・(
図1参照)を取得する。
【0043】
また、制御装置10では、乗用芝刈機1が作業領域Aの作業に必要な作業時間を割り出すことができる。この場合、処理部13は、取得部11で取得された撮像画像および機体の位置情報(自己位置P)を紐づけて作業領域Aを任意に分割する。処理部13(演算部131)は、分割した領域A1,A2,・・・において乗用芝刈機による単位時間(たとえば、1時間)当たりの刈り取り容量を示す単位時間当たりの刈り取り容量データD6を算出する。
【0044】
また、演算部131は、単位時間当たりの刈り取り容量データD6から、各領域A1,A2,・・・における乗用芝刈機1が作業可能な走行速度を算出する。さらに、演算部131は、算出した各領域A1,A2,・・・における乗用芝刈機1の走行速度に基づいて、乗用芝刈機1が作業領域Aの作業に必要な作業時間を算出する。算出された走行速度や作業速度は、モニタ63に表示される。
【0045】
このような構成によれば、乗用芝刈機1における作業可能な走行速度の上限を設定できるため、作業に必要な作業時間を算出することができ、作業者Wが正確な作業計画を立てやすくなる。
【0046】
より詳細には、乗用芝刈機1には単位時間当たりの刈り取り可能な容量に制限があり、単位時間当たりの刈り取り可能な容量の上限を超えると、たとえば、芝草G1を刈り取るモア3(モアデッキ31)や、刈り取った芝草(刈草)G2をコレクタ5へと送るためのダクト33が詰まるおそれがあるが、乗用芝刈機1における作業可能な走行速度の上限を設定できるため、作業に必要な作業時間を算出することができ、作業者Wが正確な作業計画を立てやすくなる。
【0047】
また、入力装置80には、作業者Wによる作業時間の上限値の入力を受け付ける。制御装置10では、入力装置80から作業時間の上限値が入力されると、入力された上限値までに作業を終了することが可能な刈り高さH
G(
図1参照)の設定値を割り出すことができる。この場合、演算部131は、作業時間の上限値までに作業を終了することが可能な刈り高さH
Gの設定値を算出する。出力部14は、演算部131によって算出された設定値をモニタ63へ出力する。このように、制御装置10は、作業時間の上限値までに作業を終了することが可能な刈り高さH
Gの設定値をモニタに表示させることで、刈り高さのH
G設定値を提示する。
【0048】
このような乗用芝刈機の管理システム100によれば、芝草G1の最適な刈り高さHGを算出して提示することで、作業者Wが正確な作業計画を立てやすくなるとともに、作業時間を優先するような再計画の立案も正確かつ容易に行うことができる。
【0049】
より詳細には、たとえば、作業時間を優先する場合、芝草G1の刈り高さを高くすることで乗用芝刈機1の作業可能な走行速度の上限を引き上げることができるため、芝草G1の最適な刈り高さHGを算出して提示することで、作業者Wが正確な作業計画を立てやすくなるとともに、作業時間を優先するような再計画の立案も正確かつ容易に行うことができる。
【0050】
図4は、芝草G1の生育状況補正の説明図である。
図4は、芝草G1の草丈Hと生育状況との関係を示す概略的なグラフである。制御装置10では、処理部13による各種情報に基づいて立案した作業計画と実際の作業とにずれが生じた場合(たとえば、作業計画よりも先にコレクタ5が刈草G2で満杯になった場合)には、
図4に示すように、草丈Hと生育状況との関係を修正し、修正した草丈Hと生育状況との関係に基づいて生育状況マップを補正する。
【0051】
なお、管理システム100では、パソコンなどの情報処理装置やクラウドに、制御装置10によって算出あるいは生成したデータを含む各種情報の蓄積が可能である。蓄積した各種情報は、次年度以降の作業精度の向上に利用することができる。
【0052】
また、管理システム100では、作業の終了目標を、たとえば、「時間優先」、「仕上がり(芝草G1の長さ)優先」から選択することができる。この場合、制御装置10は、たとえば、「時間優先」が選択された場合には乗用芝刈機1の最適な走行速度を提示する。
【0053】
管理システム100では、飛翔体90によって撮像された撮像画像から芝草G1の育成状況を色で判断する。なお、たとえば、実際の芝草G1の育成状況(たとえば、草丈H)を作業者Wが入力していくことで、AIの精度向上を学習させることも可能である。
【0054】
また、乗用芝刈機1が自動運転の場合には、たとえば、機体前方の芝草G1の草丈Hを測定可能なカメラを設置し、所望の刈り高さHGとなるように草丈Hをそろえるための工程を認識するように構成してもよい。たとえば、所望の刈り高さHGが30mmの場合、草丈Hが長ければ、100mmに刈りそろえた後に30mmに刈りそろえるなどの工程を自動認識する。
【0055】
また、管理システム100では、作業者Wによって、入力装置80から乗用芝刈機1の走行速度、刈り取り容量、作業時間、コレクタ5の容量などの情報が手動でも入力可能である。
【0056】
図5は、メータパネル62を示す平面図である。
図5に示すように、メータパネル62には、充電スイッチ65が設けられる。充電スイッチ65は、メータパネル62の右部におけるカバーダッシュ62aの上面部に配置される。
【0057】
充電スイッチ65では、たとえば、所定時間(たとえば、1秒間)長押しされることで、バッテリの充電開始の準備が始まり、長押しされた5秒後に充電を開始する。この場合、充電開始時に1度のブザー音が吹鳴される。充電スイッチ65は、充電開始準備および充電中には点灯し、充電が完了する(充電率が100%になる)と消灯する。また、充電スイッチ65は、たとえば、停電やコンセント抜けなどの不具合によって充電が中断されると、充電状態を解除するとともに、点灯から点滅に切り替わる。
【0058】
また、充電スイッチ65では、たとえば、所定時間(たとえば、5秒間)長押しされることで、バッテリの長期保管用の充電開始の準備が始まり、長押しされた5秒後に充電を開始する。この場合、充電開始時に2度のブザー音が吹鳴される。充電スイッチ65は、長期保管用の充電の場合には、充電率が50%になると、充電が終了して消灯する。
【0059】
また、モニタ63は、乗用芝刈機1(
図1参照)の作業走行距離を表示する。このように、作業走行距離が表示されることで、作業者W(
図3参照)は、作業した日のバッテリの消費電力から1日に作業可能な面積を概算することができる。作業者Wは、たとえば、刈草G2(
図1参照)を排出する場合には、前回の作業走行距離からコレクタ5(
図1参照)の満杯を推測することができる。このように、作業走行距離から刈草G2の排出判断が可能となり、作業効率を向上させることができる。
【0060】
また、モニタ63は、モア3(
図1参照)の刈り幅や作業面積を表示する。このように、モア3の刈り幅や作業面積が表示されることでも、作業者Wは、作業した日のバッテリの消費電力から1日に作業可能な面積を概算することができる。この場合の作業可能な面積は、たとえば、作業走行距離および刈り幅と、走行車体2(
図1参照)およびモア3が共に駆動している時間とから算出する。
【0061】
また、モニタ63には、表示された値(作業面積)をリセットするための操作部が設けられてもよい。なお、この場合、表示された値は、リセットされるまでに消費した電力とセットで記憶される。表示された値とリセットされるまでに消費した電力とは、最大30セット程度まで記憶される。
【0062】
また、モニタ63は、乗用芝刈機1の作業中における現在の刈り高さH
G(
図1参照)や草丈H(
図1参照)なども表示する。なお、モニタ63において、刈り幅、刈り高さH
G、草丈Hなどは作業者Wによる選択が可能である。
【0063】
また、モニタ63は、芝草G1の刈り取り量を表示する。このように、芝草G1の刈り取り量が表示されることでも、作業者Wは、バッテリの現在の充電量で可能な仕事量を概算することができる。この場合の仕事量は、たとえば、作業面積と芝草G1の刈り高さHGとから算出する。この場合も、表示された値は、リセットされるまでに消費した電力とセットで記憶される。表示された値とリセットされるまでに消費した電力とは、最大30セット程度まで記憶される。
【0064】
上述してきた実施形態により、以下の乗用芝刈機の管理システム100が実現される。
【0065】
(1)走行しながら芝草G1を刈り取り、刈り取った芝草(刈草)G2をコレクタ5へと収容していく乗用芝刈機1の作業管理を行う制御装置10と、制御装置10へ向けた入力操作を受け付ける入力装置80とを備え、制御装置10は、飛翔体90によって撮像された撮像画像を取得し、取得した撮像画像から算出した芝草G1の生育状況から生成した芝草G1の密度・草丈データD1と、入力装置80から入力された、乗用芝刈機1の作業領域Aを示す作業領域データD2および乗用芝刈機1による芝草G1の刈り高さHGを示す刈り高さデータD3と、予め記憶しているコレクタ5の容量を示すコレクタ容量データD4とを有し、密度・草丈データD1、作業領域データD2および刈り高さデータD3から作業領域Aにおける乗用芝刈機1による芝草G1の刈り取り容量を算出し、刈り取り容量およびコレクタ容量データD4から乗用芝刈機1が作業領域Aの作業中に行う芝草(刈草)G2の排出回数を算出する、乗用芝刈機の管理システム100。
【0066】
このような乗用芝刈機の管理システム100によれば、作業者Wが、乗用芝刈機1が作業を開始する前に作業する領域(作業領域A)において刈り取った芝草(刈草)G2の排出回数を把握することができるため、刈草G2の排出場所の設定などの計画を立てやすくなる。すなわち、作業者Wが正確な作業計画を立てやすくなる。これにより、作業計画の正確な立案が可能となる。
【0067】
(2)上記(1)において、乗用芝刈機1の位置情報(自己位置P)を取得する位置情報取得装置70を備え、制御装置10は、予め設定された、乗用芝刈機1の単位時間当たりの刈り取り可能な容量を示す刈り取り可能容量データD5と、撮像画像および位置情報(自己位置P)を紐づけて作業領域Aを任意に分割し、分割した領域A1,A2,・・・において算出した乗用芝刈機1による単位時間当たりの刈り取り容量を示す単位時間当たりの刈り取り容量データD6とを有し、単位時間当たりの刈り取り容量データD6から乗用芝刈機1が作業可能な走行速度を算出し、算出した走行速度に基づいて乗用芝刈機1が作業領域Aの作業に必要な作業時間を算出する、乗用芝刈機の管理システム100。
【0068】
乗用芝刈機1には単位時間当たりの刈り取り可能な容量に制限があり、単位時間当たりの刈り取り可能な容量の上限を超えると、たとえば、芝草G1を刈り取るモア3(モアデッキ31)や、刈り取った芝草(刈草)G2をコレクタ5へと送るためのダクト33が詰まるおそれがあるが、このような乗用芝刈機の管理システム100によれば、乗用芝刈機1における作業可能な走行速度の上限を設定できるため、作業に必要な作業時間を算出することができ、作業者Wが正確な作業計画を立てやすくなる。
【0069】
(3)上記(2)において、制御装置10は、入力装置80から作業時間の上限値が入力されると、作業時間の上限値までに作業を終了することが可能な刈り高さHGの設定値を算出し、算出した設定値を提示する、乗用芝刈機の管理システム100。
【0070】
たとえば、作業時間を優先する場合、芝草G1の刈り高さを高くすることで乗用芝刈機1の作業可能な走行速度の上限を引き上げることができる。このため、このような乗用芝刈機の管理システム100によれば、芝草G1の最適な刈り高さHGを算出して提示することで、作業者Wが正確な作業計画を立てやすくなるとともに、作業時間を優先するような再計画の立案も正確かつ容易に行うことができる。
【0071】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 乗用芝刈機
5 コレクタ
10 制御装置
70 位置情報取得装置
80 入力装置
90 飛翔体
100 乗用芝刈機の管理システム
A 作業領域
A1 領域
A2 領域
D1 密度・草丈データ
D2 作業領域データ
D3 刈り高さデータ
D4 コレクタ容量データ
D5 刈り取り可能容量データ
D6 単位時間当たりの刈り取り容量データ
G1 芝草
G2 芝草(刈草)
HG 刈り高さ
P 位置情報(自己位置)