(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142521
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/12 20060101AFI20241003BHJP
E04H 6/14 20060101ALI20241003BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20241003BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E04H6/12 A
E04H6/14 601J
E04H6/18 601G
E04H6/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054679
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】難波 政浩
(72)【発明者】
【氏名】石田 学
(72)【発明者】
【氏名】田中 優
(72)【発明者】
【氏名】福田 祥也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 三樹矢
(57)【要約】
【課題】 出入口ドアの開放時間を短くできる機械式駐車装置を提供する。
【解決手段】 入出庫室と、駐車定位置が設定され前記入出庫室と格納部との間で車両を搬送する搬送手段と、前記入出庫室に前記車両が入出庫する出入口と、前記出入口を閉鎖・開放可能な出入口ドアと、前記出入口ドアの開閉を制御する出入口ドア開閉制御部と、前記車両が前記出入口ドアの部分を通過し終えたことを検知する車両通過検知手段と、制御装置と、を備え、前記入出庫室に前記車両を入庫させる際、前記制御装置は、前記車両通過検知手段により前記車両が前記出入口ドアの部分を通過し終えたことの検知を条件に、前記出入口ドアを閉鎖する指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力することで、前記車両が前記駐車定位置に位置付けられる前に前記出入口ドアの閉鎖動作を開始させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出庫室と、駐車定位置が設定され前記入出庫室と格納部との間で車両を搬送する搬送手段と、前記入出庫室に前記車両が入出庫する出入口と、前記出入口を閉鎖・開放可能な出入口ドアと、前記出入口ドアの開閉を制御する出入口ドア開閉制御部と、前記車両が前記出入口ドアの部分を通過し終えたことを検知する車両通過検知手段と、制御装置と、を備え、
前記入出庫室に前記車両を入庫させる際、前記制御装置は、前記車両通過検知手段により前記車両が前記出入口ドアの部分を通過し終えたことの検知を条件に、前記出入口ドアを閉鎖する指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力することで、前記車両が前記駐車定位置に位置付けられる前に前記出入口ドアの閉鎖動作を開始させる、機械式駐車装置。
【請求項2】
前記車両が自動運転車か否かを判定する自動運転車判定部と、前記自動運転車の車内が無人であるか否かを判定する車内無人判定部と、を更に備え、
前記制御装置は、前記車両が前記自動運転車であり、且つ車内が無人であると判定された場合に、前記出入口ドア開閉制御部に前記出入口ドアを閉鎖する前記指令を出力する、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記入出庫室の内部における前記車両の有無を検知する内部車両位置検知手段を更に備え、
前記車両を入庫させる際、前記制御装置は、前記車両通過検知手段で前記車両が前記出入口の部分を通過し終えたことを検知し、且つ前記内部車両位置検知手段で前記車両が前記入出庫室内に存在することを検知したことを条件に、前記出入口ドアを閉鎖する前記指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力することで、前記車両が前記駐車定位置に位置付けられる前に前記出入口ドアの閉鎖動作を開始させる、請求項2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記出入口ドアの前方の所定停車範囲に前記車両が存在しているか否かを検知するドア前車両検知手段を更に備え、
前記制御装置は、前記ドア前車両検知手段が前記車両を検知し、且つ前記搬送手段が前記入出庫室の内部で入庫可能な状態で待機している場合に、前記出入口ドアを開放する指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力する、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記車両が自動運転車か否かを判定する自動運転車判定部と、前記自動運転車の車内が無人であるか否かを判定する車内無人判定部と、を更に備え、
前記制御装置は、前記車両が前記自動運転車であり、且つ車内が無人であると判定された場合に、前記出入口ドアを開放する前記指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力する、請求項4に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記車両が前記自動運転車であると判定した場合に、前記出入口ドアの開口幅を前記自動運転車と所定距離を保つことができる小さい前記開口幅に制御する、請求項2、3、5のいずれか1項に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記出入口ドアの閉鎖動作が開始した後に、前記自動運転車から自動運転走行により前記駐車定位置に停車することが不可能であることを示す信号を受信した場合に、前記出入口ドアを開放する指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力する、
請求項1、2、3、4、5のいずれか1項に記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
前記車両通過検知手段は、前記出入口ドアの内方近傍における前記車両の存在の有無を検知し、前記車両が前記出入口ドアの内方近傍に存在することを検知した後に前記車両が前記出入口ドアの内方近傍に存在しないことを検知したことで前記車両が前記出入口ドアの部分を通過し終えたと判定する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、複数の車両を駐車させる機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車両を駐車させる機械式駐車装置として、エレベータ式、平面往復式、縦横パズル移動式、多段式などの種々の駐車装置があり、これらが設置条件等に応じて利用されている。
【0003】
近年、自動運転車(所定場所への駐車が自動運転で可能な車両)の開発が進められており、自動運転車の駐車が可能な機械式駐車装置に関する文献も公開されている。例えば、出入口ドアの解放後に、駐車車両の位置情報と駐車装置の駐車定位置の情報に基づき車両がルートを算出して、車両の自動運転で定位置に駐車するものがある(例えば、特許文献1参照)。この文献には、駐車装置のセンサが定位置駐車を検出すると、出入口ドアが自動閉鎖されることが記載されている。
【0004】
また、他の文献として、入庫時には、車両の入庫完了信号で出入口ドアを閉扉し、出庫時には、自動運転車/手動運転車ともに出入口通過を検知して出入口ドアを自動閉扉させるものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-031682号公報
【特許文献2】特開2020-026619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記いずれの文献に記載された機械式駐車装置も、車両が装置前に停車した後出入口ドアが開き、車両が入出庫室に進入した後、出入口ドアが閉鎖するまでの時間が長くなる。このため、出入口ドアが開いている間に人や小動物が入出庫室内に入る可能性がある状態が長く発生する。また、出入口ドアが閉まり始めるタイミングも車両が入庫室内の定位置に達した後であり、この点からも人や小動物が入出庫室へ進入する可能性がある状態が長く発生する。
【0007】
そこで、本出願は、出入口ドアの開放時間を短くできる機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願の一態様に係る機械式駐車装置は、入出庫室と、駐車定位置が設定され前記入出庫室と格納部との間で車両を搬送する搬送手段と、前記入出庫室に前記車両が入出庫する出入口と、前記出入口を閉鎖・開放可能な出入口ドアと、前記出入口ドアの開閉を制御する出入口ドア開閉制御部と、前記車両が前記出入口ドアの部分を通過し終えたことを検知する車両通過検知手段と、制御装置と、を備え、前記入出庫室に前記車両を入庫させる際、前記制御装置は、前記車両通過検知手段により前記車両が前記出入口ドアの部分を通過し終えたことの検知を条件に、前記出入口ドアを閉鎖する指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力することで、前記車両が前記駐車定位置に位置付けられる前に前記出入口ドアの閉鎖動作を開始させる。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「車両」は、自動運転車、手動運転車のいずれも含む。また、「車両通過検知手段」は、センサ、カメラなどにより車両の位置を検知する構成を含む。また、「出入口ドアの部分を通過」は、出入口ドアの部分を通過し終えた直後から多少の時間差を有する後も含む。
【0009】
この構成により、入出庫室に車両を入庫させる際に、開放した出入口ドアの部分を車両が通過し終えたことを検知したことを条件として、車両が駐車定位置に位置付けられる前に出入口ドア開閉制御部に出入口ドアを閉鎖する指令を出力して出入口ドアの閉鎖動作を開始させることができる。すなわち、入庫する車両が出入口ドアの部分を通過し終えたことをトリガとして、出入口ドアの閉鎖動作を開始させることができる。よって、車両の入庫時における出入口ドアの開放時間を最小限にできる。
【0010】
また、前記車両が自動運転車か否かを判定する自動運転車判定部と、前記自動運転車の車内が無人であるか否かを判定する車内無人判定部と、を更に備え、前記制御装置は、前記車両が前記自動運転車であり、且つ車内が無人であると判定された場合に、前記出入口ドア開閉制御部に前記出入口ドアを閉鎖する前記指令を出力するようにしてもよい。自動運転車判定部による自動運転車の判定、及び車内無人判定部による車内無人の判定は、自動運転車からの送信信号、自動運転車に示された表示読取、及び機械式駐車装置に備えられたカメラ、センサ等の情報から判定する構成を含む。
【0011】
このように構成すれば、入庫車両が自動運転車であって車内が無人であると判定された場合に、入庫する車両が出入口ドアの部分を通過し終えたことを条件に、出入口ドアの閉鎖指令を出入口ドア開閉制御部に出力して出入口ドアを閉鎖開始するようにできる。
【0012】
また、前記入出庫室の内部における前記車両の有無を検知する内部車両位置検知手段を更に備え、前記車両を入庫させる際、前記制御装置は、前記車両通過検知手段で前記車両が前記出入口の部分を通過し終えたことを検知し、且つ前記内部車両位置検知手段で前記車両が前記入出庫室内に存在することを検知したことを条件に、前記車両が前記駐車定位置に位置付けられる前に前記出入口ドアを閉鎖する前記指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力することで、前記車両が前記駐車定位置に位置付けられる前に前記出入口ドアの閉鎖動作を開始させるようにしてもよい。車両通過検知手段及び内部車両位置検知手段は、エリアセンサや画像処理によって車両を検知できるものであってもよい。内部車両位置検知手段は、自動運転車の車載センサからの信号を駐車装置側で受信して検知する手段であってもよい。
【0013】
このように構成すれば、入庫車両が出入口の部分を通過し終えたことを車両通過検知手段で検知し、且つ入出庫室内に車両が存在することを内部車両位置検知手段で検知したことを条件に、車両が駐車定位置に位置付けられる前に出入口ドア閉鎖動作を開始するようにできる。
【0014】
また、前記出入口ドアの前方の所定停車範囲に前記車両が存在しているか否かを検知するドア前車両検知手段を更に備え、前記制御装置は、前記ドア前車両検知手段が前記車両を検知し、且つ前記搬送手段が前記入出庫室の内部で入庫可能な状態で待機している場合に、前記出入口ドアを開放する指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力するようにしてもよい。ドア前車両検知手段は、センサの他、カメラで撮影された画像で車両を検知するもの含む。また、車両が存在しているとは、存在し且つ動いていない停止の状態も含む。
【0015】
このように構成すれば、出入口ドアの前方の所定停車範囲に入庫車両が存在していることの検知と、入出庫室の内部で搬送手段が入庫可能な状態で待機していることを条件に、出入口ドアを開放して車両を入庫させるようにできる。
【0016】
また、前記車両が自動運転車か否かを判定する自動運転車判定部と、前記自動運転車の車内が無人であるか否かを判定する車内無人判定部と、を更に備え、前記制御装置は、前記車両が前記自動運転車であり、且つ車内が無人であると判定された場合に、前記出入口ドアを開放する前記指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力するようにしてもよい。自動運転車判定部による自動運転車の判定、及び車内無人判定部による車内無人の判定は、自動運転車からの送信信号、自動運転車に示された表示読取、及び機械式駐車装置に備えられたカメラ、センサ等の情報から判定する構成を含む。
【0017】
このように構成すれば、所定停車範囲に停車している車両が自動運転車か否かの判定と、車内無人判定とを行い、自動運転車であって車内無人が確認された場合に、出入口ドアを開放して入庫させるようにできる。
【0018】
また、前記制御装置は、前記車両が前記自動運転車であると判定した場合に、前記出入口ドアの開口幅を前記自動運転車と所定距離を保つことができる小さい前記開口幅に制御するようにしてもよい。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「所定距離」は、車両が入出庫中に出入口ドアと接触しない距離をいう。
【0019】
このように構成すれば、自動運転車の入出庫時には出入口ドアの開口幅が小さいため、より人や小動物の入出庫室への進入を難しくできる。
【0020】
また、前記制御装置は、前記出入口ドアの閉鎖動作が開始した後に、前記自動運転車から自動運転走行により前記駐車定位置に停車することが不可能であることを示す信号を受信した場合に、前記出入口ドアを開放する指令を前記出入口ドア開閉制御部に出力するようにしてもよい。
【0021】
このように構成すれば、自動運転車が、入出庫室に入った後に駐車定位置に停車することができないと判断した場合、出入口ドアを開放することで自動運転車が後進して姿勢を変更することができ、自動運転車を駐車定位置に自動で停車させるようにできる。
【0022】
また、前記車両通過検知手段は、前記出入口ドアの内方近傍における前記車両の存在の有無を検知し、前記車両が前記出入口ドアの内方近傍に存在することを検知した後に前記車両が前記出入口ドアの内方近傍に存在しないことを検知したことで前記車両が前記出入口ドアの部分を通過し終えたと判定するようにしてもよい。
【0023】
このように構成すれば、車両通過検知手段により、出入口ドアの内方近傍で車両を検知した後、その車両が存在しないことを検知したことで、車両が出入口ドアの部分を通過したと判定するようにできる。
【発明の効果】
【0024】
本出願によれば、出入口ドアに対する車両の通過位置を適切に把握して、出入口ドアの開放時間を最小限にできるので、より人や小動物が入出庫室に進入し難い機械式駐車装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本出願の一実施形態に係る機械式駐車装置の一例であるエレベータ式駐車装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すエレベータ式駐車装置における入出庫室の平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すエレベータ式駐車装置における制御装置と主要な制御構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す入出庫室に車両を入庫させる場合の平面図と各センサの状態を示す説明図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す状態から入庫が進んだ状態の平面図と各センサの状態を示す説明図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す状態から入庫が進んだ状態の平面図と各センサの状態を示す説明図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す状態から入庫が進んだ状態の平面図と各センサの状態を示す説明図である。
【
図8】
図8は、入庫車両の位置と出入口ドアの開閉動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本出願の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、機械式駐車装置としてエレベータ式駐車装置1を例に説明する。以下に説明するエレベータ式駐車装置1は、自動運転車と手動運転車のいずれも駐車可能な駐車装置である。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後左右方向の概念は、
図1に示すように駐車塔10の外部から出入口ドア12に向かった状態における前後左右方向の概念と一致するものとする。車両Vは、自動運転車、手動運転車のいずれも含み、全ての車両を同じ符号で説明する。
【0027】
<機械式駐車装置の構成>
図1は、一実施形態に係る機械式駐車装置の一例であるエレベータ式駐車装置1を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すエレベータ式駐車装置1における入出庫室14の平面図である。
【0028】
図1に示すように、この実施形態のエレベータ式駐車装置1は、鉛直方向に複数の格納部を有する駐車塔10を有し、駐車塔10の地上1階に出入口11が設けられている。出入口11は、出入口11を閉鎖・開放可能な開閉式の出入口ドア12を有している。出入口ドア12の近傍には、運転盤13が備えられている。この実施形態では、運転盤13の上部に、自動運転車Vと通信するアンテナ36が設けられている。駐車塔10は、出入口11の内方が入出庫室14となっており、車両Vは出入口ドア12を介して入出庫室14との間で入出庫する。この実施形態では、入出庫室14に制御装置20が設けられている。また、出入口11の外部上方には庇15が設けられており、出入口11の斜め上方位置に、利用者や車両Vを撮影するカメラ16が設けられている。
【0029】
また、出入口11の外方には、車両Vを検知するドア前車両検知手段たる第1センサ30が設けられている。この実施形態の第1センサ30は、出入口11の幅方向に光を照射する一対の光電センサとなっている。第1センサ30は、一方の投光部から光を出して他方の受光部で光を受けるようになっている。第1センサ30は、投光部からの光が遮られている遮光状態が物体を検知している状態で、投光部からの光を受光部で受けている通光状態が物体を非検知の状態である。
【0030】
また、制御装置20は、カメラ16と接続されており、制御装置20はカメラ16で撮影した画像から車両Vが自動運転車か否か、自動運転車Vの車内が無人であるか否かを判定することができる。
【0031】
図2に示すように、入出庫室14は、出入口11の内方に、車両通過検知手段たる第2センサ31と、内部車両位置検知手段たる第3センサ32とを有している。第2センサ31及び第3センサ32は、上記第1センサ30と同様に出入口11の幅方向に光を照射する一対の光電センサとなっている。第2センサ31は、出入口ドア12の内方近傍に設けられており、出入口ドア12の内方近傍において車両Vの有無を検知する。第2センサ31は、自動運転車Vが入庫する際、第2センサ31が遮光状態から通光状態に変化すれば、出入口ドア12の閉鎖動作を開始しても自動運転車Vとの干渉が起こらない位置とされている。第3センサ32は、パレット17の近傍に設けられており、入出庫室14において車両Vの有無を検知する。第3センサ32は、第2センサ31と車両Vの駐車定位置50との間に設けられており、第3センサ32が車両Vを検知している間は、車両Vは駐車定位置50には停車していない位置関係で設けられている。第3センサ32の位置は、駐車定位置50に対し出入口11の方向に例えば10mm程度以上離間した第2センサ31との間とすれば、これが遮光状態である間は車両Vは駐車定位置50には停車していないと判定することができる。車両通過検知手段たる第2センサ31、内部車両位置検知手段たる第3センサ32は、エリアセンサや画像処理によって車両Vを検知できるものであってもよいし、更にこれらのセンサが両方の機能を兼ねる一体のものであってもよい。また、内部車両位置検知手段は、自動運転車Vの場合は車載センサによって車両Vから送られる信号をエレベータ式駐車装置1側で受信して制御装置20が自動運転車Vの位置を判定するような構成でもよい。なお、この実施形態では、入出庫室14の後方中央部にもエリアセンサ35が設けられている。エリアセンサ35は、入出庫室14の全体における物体を検知する。
【0032】
駐車塔10は、搬送手段たる搬器18が昇降する昇降路が左右方向の中央部に設けられており、昇降路の左右の鉛直方向に二点鎖線で示す複数の格納部19が設けられている。搬器18は、鉛直方向に昇降し、パレット17を入出庫室14と格納部19との間で搬送する。この実施形態では、パレット17の中央部分が駐車定位置50(一点鎖線)となっており、入出庫室14にパレット17を搭載した搬器18が待機している状態を図示している。
【0033】
<制御装置と主要構成>
図3は、
図1に示すエレベータ式駐車装置1における制御装置20と主要な制御構成を示すブロック図である。制御装置20は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びI/Oインターフェース等を有する。これらの図示は省略する。この実施形態の制御装置20は、車両位置/車両通過判定部21、自動運転車判定部22、車内無人判定部23、及び出入口ドア12の開閉を制御する出入口ドア開閉制御部24を有する。各部は、制御装置20の不揮発性メモリに保存されたプログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算処理することで実現される。制御装置20は、エレベータ式駐車装置1のカメラ16、アンテナ36、エリアセンサ35、第1センサ30、第2センサ31、第3センサ32、及び出入口ドア12の開閉駆動部などと接続されている。制御装置20は、これらの構成及び図示しない搬送手段の動作制御部と信号授受を行ってエレベータ式駐車装置1の各種動作を制御する機能を有する。
【0034】
上記車両位置/車両通過判定部21としては、PLC(Programmable Logic Controller)、マイクロコントローラ(Microcontroller Unit、MCU)などが利用できる。また、出入口ドア開閉制御部24としては、PLC、マイクロコントローラなどが利用できる。出入口ドア12の開閉駆動部としては、モータ、シリンダなどが利用できる。自動運転車Vとエレベータ式駐車装置1との情報伝達としては、通信による情報伝達、光による情報伝達、表示による情報伝達などが利用できる。自動車の位置検出を行う第1センサ30、第2センサ31、第3センサ32は、光電センサの他、LiDARやカメラによる画像判定、自動車からの位置情報を通信で取得するなどの手段でもよい。
【0035】
また、この実施形態では、出入口ドア12の前方直近(所定停車範囲)に車両Vが停止または存在しているか否かを検知するドア前車両検知手段としての第1センサ30を備えている。この実施形態のドア前車両検知手段は、第1センサ30の遮光又は通光状態信号を制御装置20に入力して車両Vを検知する手段となっている。また、制御装置20は、ドア前車両検知手段が車両Vを検知し、且つ搬器18が入出庫室14の内部で入庫可能な状態で待機している場合に、出入口ドア12を開放する指令を出入口ドア開閉制御部24に出力するようになっている。
【0036】
また、この実施形態では、制御装置20が、車両Vが自動運転車か否かを取得する自動運転車判定部22と、自動運転車Vの車内が無人であるか否かを判定する車内無人判定部23とを備えている。自動運転車判定部22及び車内無人判定部23は、自動運転車Vからの送信信号の受信による判定、自動運転車Vに示された表示読取、エレベータ式駐車装置1に備えられたカメラ16で撮影した画像から判定する構成や、センサ等を利用する構成としてもよい。制御装置20は、車両が自動運転車Vであり且つ車内が無人である場合に、出入口ドア12を開放する指令を出入口ドア開閉制御部24に出力するようになっている。制御装置20は、ドア前車両検知手段が車両Vを検知し、且つ搬器18が入出庫室14の内部で入庫可能な状態で待機しているという条件に加えて、車両が自動運転車Vであること、車内が無人であること、の条件を組み合わせて出入口ドア12を開放する指令を出入口ドア開閉制御部24に出力するようにできる。
【0037】
また、制御装置20は、車両が自動運転車Vであり且つ車内が無人である場合、入出庫室14に無人の自動運転車Vが入ったことで、出入口ドア開閉制御部24に出入口ドア12を閉鎖する指令を出力して自動的に出入口ドア12を閉鎖するようにできる。また、制御装置20は、車両Vが自動運転車Vの場合、制御装置20から扉開信号を自動運転車Vに出力し、その後、自動運転車Vが出入口ドア12を通過し終えたことを検知した後、入出庫室14内で自動運転車Vを検知したことを条件に出入口ドア12の閉鎖を開始するようにしてもよい。
【0038】
<出入口ドアの開閉制御>
図4乃至
図7は、車両Vを入庫させる場合の出入口ドア12の開閉制御を具体的に示す図面であり、自動運転車Vの入庫についてこれらの図に基づいて説明する。
図4は、
図2に示す入出庫室14に車両を入庫させる場合の平面図と各センサの状態を示す説明図である。
図5は、
図4に示す状態から入庫が進んだ状態の平面図と各センサの状態を示す説明図である。
図6は、
図5に示す状態から入庫が進んだ状態の平面図と各センサの状態を示す説明図である。
図7は、
図6に示す状態から入庫が進んだ状態の平面図と各センサの状態を示す説明図である。これらの図では、自動運転車Vの状態と、エレベータ式駐車装置1の状態と、自動運転車Vと制御装置20の通信、及び各センサの検知状態について示している。各センサの検知状態は、未検知の状態を「○」、検知の状態を「×」で示している。
【0039】
図4に示す状態は、自動運転車Vの入庫前の状態を示している。入庫する自動運転車Vは、エレベータ式駐車装置1の制御装置20に対して入庫要求をする。この入庫要求には、自動運転車Vであることと、車内が無人であることを制御装置20に通信で知らせることができる。このような入庫要求により、制御装置20は、自動運転車Vに対して出入口11の前で待機するように信号を送信する。自動運転車Vは、制御装置20からの信号に基づいて出入口11の前に到着して待機している。また、制御装置20は、空のパレット17を載せた搬器18を入出庫室14に待機させるよう、図示しない搬器駆動装置に指令を出す。この入庫前の状態では、自動運転車Vが出入口11から離れて待機しているため、第1センサ30は未検知の状態である。なお、出入口ドア12が開放していないため、入出庫室14の内部に設けられた第2センサ31及び第3センサ32も物体を未検知の状態である。
【0040】
なお、自動運転車Vに対して事前に駐車許可が出ている場合、自動運転車Vが自動運転でエレベータ式駐車装置1の付近に近づいた際に、自動運転車Vが通信手段によりエレベータ式駐車装置1に対して入庫要求を行うようにしてもよい。入庫要求は例えば、入庫予約車であることや契約車であることを示す認証情報とすることができる。この場合、自動運転車Vから自動運転での入庫と車内の無人を通知すると、エレベータ式駐車装置1の制御装置20は、駐車許可済が確認されると入庫要求を出した自動運転車Vに待機指示を出し、搬送手段たる搬器18を動作させてパレット17を入出庫室14に呼び出し、入庫準備を整える。制御装置20は、入庫準備が整った段階で出入口ドア12を開放してもよい。
【0041】
図5に示すように、制御装置20は、空のパレット17を載せた搬器18が入出庫室14に到着すると、出入口11の前に到着している自動運転車Vに対して出入口ドア12の前方直近(所定停車範囲)まで前進を指示する前進指示信号が送信される。制御装置20からの前進指示信号としては、自動運転車Vが認識可能な信号又は自動運転車Vが車載カメラで認識可能な表示などを含む。なお、制御装置20は、自動運転車Vに対して前進指示信号を送信する前に、入出庫室14内の無人などを確認することもできる。自動運転車Vは、前進指示信号を認識することで、出入口ドア12の方へと前進して入庫を開始する。制御装置20は、出入口ドア12の方に前進した自動運転車Vをドア前車両検知手段たる第1センサ30が検知することで自動運転車Vが出入口ドア12の前方直近(所定停車範囲)に存在すると判定し、出入口ドア12の開放信号を出入口ドア開閉制御部24に出し、出入口ドア12の開放が開始される。第1センサ30の検知が所定時間継続したことで自動運転車Vが停止していると判定して出入口ドア12の開放が開始されるようにしてもよい。自動運転車Vが第1センサ30で検知されたことで、制御装置20は自動運転車Vに対して出入口ドア12が開放されるまで待機するように信号を送信する。制御装置20は、出入口ドア12の開放が終了することで、自動運転車Vに対して入庫を開始することの許可信号を送信する。制御装置20は、この入庫許可の信号と同時に後退禁止の信号を送信してもよい。なお、この状態では、入出庫室14の内部に設けられた第2センサ31及び第3センサ32は自動運転車Vを非検知の状態である。
【0042】
図6に示すように、この実施形態では、制御装置20は、上記出入口ドア12の開放時に、入庫車両が自動運転車Vであると判定しているので、出入口ドア12の開口幅を自動運転車Vと所定距離を保つ小さい開口幅に制御している。小さい開口幅は、出入口ドア12が自動運転車Vと接触しない距離とできる開口幅であり、例えば、10cm~20cm程度の所定距離Wを保つことができる開口幅であってもよい。開口幅の制御は、例えば、駐車場契約時に登録した自動運転車Vの車幅情報や、入庫予約時に入力されて制御装置に記憶された入庫する自動運転車Vの車幅情報に基づく制御、入庫する自動運転車Vの車幅を検出して調整する制御、エレベータ式駐車装置1に入庫可能な最大車幅に対して予め設定する制御などが含まれる。自動運転車Vの入庫時に出入口ドア12の開口幅を小さくすることで、より人や小動物の入出庫室への進入が難しくなるようにできる。
【0043】
また、自動運転車Vが入庫を継続することで第2センサ31及び第3センサ32でも自動運転車Vが検知される。これにより、第1センサ30乃至第3センサ32の全てのセンサが自動運転車Vを検知した状態となる。この状態では、自動運転車Vから制御装置20に対して入庫中の信号が送信されるようにすれば、センサ情報と併せて自動運転車Vの入庫状況をより正確に検知するようにできる。
【0044】
図7に示すように、自動運転車Vが入庫を継続することで、第1センサ30、第2センサ31、第3センサ32の全てで検知された状態から、第1センサ30が非検知の状態になった後、第2センサ31が非検知の状態になる。制御装置20は、第2センサ31(車両通過検知手段)が非検知になったことで自動運転車Vが出入口ドア12の部分を通過し終えたことを検知し、この検知を条件に、自動運転車Vが駐車定位置50に位置付けられるより早く出入口ドア12を閉鎖する指令を出入口ドア開閉制御部24に出力して出入口ドア12の閉鎖動作を開始する。なお、出入口ドア12の閉鎖動作を開始する前に、出入口ドア12付近のセンサなどで安全確認を行うことを条件に加えることもできる。
【0045】
このように、自動運転車Vが出入口ドア12の部分を通過し終えたことを第2センサ31の非検知によって検知したことを条件に、自動運転車Vが駐車定位置50に位置付けられるより早く出入口ドア12を閉鎖する指令を出入口ドア開閉制御部24に出力して出入口ドア12の閉鎖動作を開始する。つまり、車両Vが車両有無検知手段たる第2センサ31で非検知となったことをトリガに、制御装置20は、出入口ドア開閉制御部24の出入口ドア12を閉鎖する指令を出す。これにより、出入口ドア12は、車両Vが駐車定位置50に到達する前に閉鎖が開始される。この実施形態では、エレベータ式駐車装置1に備えられた制御装置20などの構成により、人の操作や車両Vからの指令によらずに出入口ドア12の閉鎖指令を出力することができる。
【0046】
制御装置20による「自動運転車Vが出入口ドア12の部分を通過し終えた」ことの検知は、自動運転車Vが出入口ドア12の部分を通過し終えた直後から多少の時間差を有する後も含む。例えば、第2センサ31の非検知から1~3秒程度の数秒経過後も含まれる。「駐車定位置50に位置付けられる前に」は、自動運転車Vが一般的な進入速度(例えば、時速5~10km)で進入した場合に、駐車定位置50に位置付けられるより早いタイミングをいう。「出入口ドア12を閉鎖する指令」は、この早いタイミングで出されて、自動運転車Vが駐車定位置50に位置付けられる前に出入口ドア12の閉鎖動作が開始されることをいう。上記車両有無検知手段である第2センサ31の位置と駐車定位置50の位置とは、このような関係で各部が動作する位置関係(距離)となっている。また、制御装置20は、出入口ドア12の閉鎖を開始する際、自動運転車Vに対して後退禁止を通知する。
【0047】
また、このように自動運転車Vを入庫させる際、制御装置20は、第2センサ31で自動運転車Vが出入口11の部分を通過し終えたことを検知し、且つ第3センサ32で自動運転車Vが入出庫室14内に存在することを検知したことを条件に、自動運転車Vが駐車定位置50に位置付けられる前に出入口ドア12を閉鎖する指令を出入口ドア開閉制御部24に出力して出入口ドア12の閉鎖動作を開始するようにしてもよいし、他のセンサによる検知信号を条件に加えることもできる。
【0048】
その後、自動運転車Vは、所定の駐車定位置50まで前進して、駐車定位置50に到達したと判断すると駐車する。駐車定位置50に到達したとの判断は、自動運転車Vの制御装置により判定しても、エレベータ式駐車装置1の制御装置20が発する無線信号や表示装置の表示を読み取ることで行なってもよい。自動運転車Vは、駐車後、駐車完了をエレベータ式駐車装置1の制御装置20へ通知してもよい。制御装置20は、自動運転車Vの駐車位置に問題がないかを判断し、問題が無ければ入庫完了でパレット17を所定の格納部19へ移動させる。この判断はエリアセンサ35や図示しない公知のセンサなどを用いて行なうことができる。
【0049】
一方、制御装置20は、自動運転車Vの駐車位置が適切でないと判断した場合は自動運転車Vに前進又は後退を無線信号や表示装置の表示などにより通知して駐車定位置50に移動させる。そして、自動運転車Vは、制御装置20からの指令に基づき前進又は後退を行う。自動運転車Vの移動量は、エレベータ式駐車装置1のパレット17上の位置検出装置で行ってもよいし、一定の移動量として例えば50mm程度を移動させ、その都度、エレベータ式駐車装置1の位置検出装置で駐車位置の判定を行うなどしてもよい。
【0050】
また、制御装置20は、出入口ドア12の閉鎖動作が開始した後に、自動運転車Vから自動運転走行により駐車定位置50に停車することが不可能であることを示す信号を受信した場合や上述の前進又は後退を通知する際に、出入口ドア12を開放する指令を出入口ドア開閉制御部24に出力するようにしてもよい。このようにすれば、例えば、自動運転車Vが駐車定位置50に停車するために大きな切り返しが必要な場合、自動運転車Vが後退して出入口ドア12から出て、再度、入庫するようにできる。
【0051】
なお、上記
図4乃至
図7では自動運転車Vの入庫を例に説明したが、車両Vは手動運転車でも可能である。手動運転車を入庫させる場合、自動運転車判定部22による車両Vが自動運転車か否かの取得や、車内無人判定部23による自動運転車Vの車内が無人であるか否かの判定を行う必要は無く、認証や車両Vが出入口ドア12の前方直近(
図1に示す所定停車範囲40)に停車したことなどに基づいて出入口ドア12を開放するようにできる。手動運転車の場合、制御装置20は運転者に向けてメッセージなどを表示することで運転者が手動運転車を移動させ、第2センサ31によって出入口ドア12の部分を通過し終えたことの検知で出入口ドア12の閉鎖動作を開始させることができる。この場合も、出入口ドア12の開放時間を短くすることができる。そして、駐車定位置50に車両Vを停車させた運転者が図示しない乗員退出専用出入口から退出した後、搬送手段が格納動作を開始するように構成することができる。
【0052】
<他の実施形態>
上記した実施形態では、出入口ドア12の前方直近(所定停車範囲)に車両Vが停止または存在しているか否かを検知するドア前車両検知手段として第1センサ30を用いたが、他の実施形態として、ドア前車両検知手段にカメラ16を用いて、カメラ16で撮影した画像を制御装置20において画像処理して所定停車範囲40に車両Vが存在することを検知することもできる。この実施形態では、車両Vの停車を判定するものとして説明する。また、車両Vが自動運転車か否か、自動運転車Vの車内が無人であるか否かを判定する際に、カメラ16で撮影した画像を利用することもできる。また、この実施形態では、カメラ16と制御装置20とがドア前車両検知手段として機能する。
【0053】
この実施形態の場合、出入口ドア12の前方には、車両Vを停車させる所定停車範囲40を設定することができる。所定停車範囲40は、カメラ16で車両Vを認識できる位置に設定されている。制御装置20は、カメラ16と接続されており、制御装置20はカメラ16で撮影した画像から所定停車範囲40に車両Vが存在しているか否かを判定することができる。また、好ましくは、所定停車範囲40で車両Vが所定時間動かないことに基づいて停車しているか否かを判定することができるようにするのがよい。これにより、単に通過するだけの車両に対して出入口ドア12が動作することを防止できる。
【0054】
この実施形態では、出入口ドア12の前方の所定停車範囲40に車両Vが停止または存在しているか否かを検知するドア前車両検知手段として、カメラ16で撮影した画像を制御装置20において画像処理して車両Vを検知する。この場合も、制御装置20は、ドア前車両検知手段が車両Vを検知し、且つ搬器18が入出庫室14の内部で入庫可能な状態で待機している場合に、出入口ドア12を開放する指令を出入口ドア開閉制御部24に出力する。なお、ドア前車両検知手段としての上述した実施形態の第1センサ30及びこの実施形態のカメラ16は一例である。
【0055】
<車両の入庫フロー>
図8は、入庫車両の位置と出入口ドアの開閉動作の流れを示すフローチャートである。このフローチャートでは、車両Vに対して入庫指令が出された後の基本的な動作のみを説明している。
【0056】
図示するように、まず入庫する車両Vが出入口ドア12の外方において、ドア前車両検知手段たる第1センサ30で検知されたか否かが判定される(S1)。自動運転車であることと車内が無人であることの判定や、車両Vが契約車又は入庫予約車であることの無線通信や画像処理などによる認証はこの段階で行うことができる。車両Vが第1センサ30で検知された場合、出入口ドア12が開放される(S2)。出入口ドア12が開放された後、車両Vに対して入庫誘導がなされる(S3)。入庫誘導は、自動運転車Vに対しては通信などで行われ、手動運転車に対しては運転者に対する表示、音声などで行われる。
【0057】
その後、車両Vが入出庫室14に進入することで、第1センサ30で検知された状態で、出入口ドア12の内方近傍に設けられた第2センサ31及び出入口11の内方に設けられた第3センサ32を含む3つの検知手段の全てで検知された否かが判定される(S4)。制御装置20は、3つの検知手段全てで車両Vを検知することで、車両Vが出入口11から入庫中であると判定できる。
【0058】
その後、車両Vが入出庫室14に入ることで、第1センサ30から順に非検知の状態となり、車両Vが出入口ドア12の部分を通過し終えた後に第2センサ31が非検知の状態となる。そして、第2センサ31が非検知となって、第3センサ32は検知されている状態であることを条件に(S5)、出入口ドア12の閉鎖が開始される(S6)。すなわち、第2センサ31で車両Vが非検知となったことをトリガに、車両Vが駐車定位置50に到達する前に出入口ドア12の閉鎖が開始される。
【0059】
第3センサ32は、パレット17の近傍に設けられており、入出庫室14において車両Vの有無を検知することができる。第3センサ32が非検知となることで、車両Vがパレット17に載ったと判定され、出入口ドア12は閉鎖動作が継続されて完全に閉鎖される。車両Vは、パレット17に載った後、パレット17の駐車定位置50に駐車した状態で、搬器18によって所定の格納部19に格納される。
【0060】
<その他の変形例>
機械式駐車装置は、上記した実施形態のエレベータ式駐車装置1に限定されない。機械式駐車装置は、例えば、箱型循環式、水平循環式、平面往復式、縦横移動パズル式、その他の形式であってもよい。また、エレベータ式駐車装置1の構成も、上記した実施形態に限定されない。エレベータ式駐車装置1は、自動運転車のみが駐車可能な構成であっても、自動運転車と手動運転車とが駐車可能な構成であってもよい。
【0061】
また、上記した実施形態では、第1センサ(ドア前車両検知手段)30、第3センサ(内部車両位置検知手段)32、及び第2センサ(車両通過検知手段)31として光電センサの例を説明したが、これらのセンサは他の形式のセンサでもよい。また、これらの検知手段は、画像認識による判定、LiDARなど、他の形式の検知手段であってもよくセンサに限定されない。また、これらのセンサに代えて、自動運転車Vの車載センサによって車両Vから送られる信号をエレベータ式駐車装置1側で受信して制御装置20が車両Vの位置を判定するような構成でもよい。
【0062】
また、上記制御装置20は、出入口ドア12の閉鎖開始前に、出入口11の付近に設けられた検知センサで安全確認を行うようにしてもよい。また、自動運転車Vに対して入庫誘導を行う前に、入出庫室14の内部に車両が無いことを判定するようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、自動運転車Vの入庫について説明したが、出庫の場合は車両Vが出入口ドア12を通過し、第1センサ30で非検知となったことで出入口ドア12を閉鎖開始するようにすればよい。この場合も、出入口ドア12の開放時間を短くして人や小動物の進入を難しくできる。なお、出庫時は、入出庫室14から空となるため、複数の検知手段による非検知を条件に出入口ドア12を閉鎖することができる。
【0064】
また、上記した実施形態は一例を示しており、本出願の要旨を損なわない範囲で種々の変更は可能であり、本出願は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0065】
<総括>
以上のように、上記エレベータ式駐車装置1(機械式駐車装置)によれば、入出庫室14の出入口11の内方近傍における車両Vの有無を検知する車両検知手段で車両Vが出入口11を通過し終えたことを検知したことを条件に出入口ドア12の閉鎖を開始する。よって、出入口ドア12が開いている時間を最小限にすることが可能となる。これにより、より人や小動物が入出庫室14に進入し難い機械式駐車装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1 エレベータ式駐車装置
10 駐車塔
11 出入口
12 出入口ドア
13 運転盤
14 入出庫室
15 庇
16 カメラ
17 パレット
18 搬器
19 格納部
20 制御装置
21 車両位置/車両通過判定部
22 自動運転車判定部
23 車内無人判定部
24 出入口ドア開閉制御部
30 第1センサ(ドア前車両検知手段)
31 第2センサ(車両通過検知手段)
32 第3センサ(内部車両位置検知手段)
35 エリアセンサ
36 アンテナ
40 所定停車範囲
50 駐車定位置
V 車両(自動運転車)