特開 2024-142544 タイヤ部材の製造装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024142544

(43)【公開日】2024-10-11

(54)【発明の名称】タイヤ部材の製造装置

(51)【国際特許分類】

   B29D 30/30 20060101AFI20241003BHJP

【ＦＩ】

B29D30/30

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023054708

(22)【出願日】2023-03-30

(71)【出願人】

【識別番号】000003148

【氏名又は名称】ＴＯＹＯ ＴＩＲＥ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110003395

【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】出羽 大祐

【テーマコード（参考）】

4F215

4F501

【Ｆターム（参考）】

4F215AH20

4F215VA02

4F215VA11

4F215VD10

4F215VD16

4F215VL07

4F215VL09

4F215VP11

4F215VP20

4F501TA02

4F501TA11

4F501TC10

4F501TC16

4F501TE07

4F501TE09

4F501TL10

4F501TL19

4F501TV15

(57)【要約】

【課題】ゴム部材の端部同士の間隔が広い場合であっても、コム部材の端部同士を突き合わせて接合することができるタイヤ部材の製造装置を提供する。
【解決手段】本実施形態のタイヤ部材の製造装置は、シート状のゴム部材Ｐを支持する支持体１０と、互いに噛み合う一対の歯部を有する接合ローラ対２２ａ，２２ｂ、２４ａ，２４ｂとを備え、接合ローラ対２２ａ，２２ｂ、２４ａ，２４ｂが、ゴム部材Ｐの端部Ｐ１，Ｐ２に沿って移動することで、ゴム部材Ｐの端部Ｐ１，Ｐ２をたぐり寄せて接合するタイヤ部材の製造装置において、接合ローラ対２２ａ，２２ｂ、２４ａ，２４ｂの移動方向前方に設けられ接合ローラ対２２ａ，２２ｂ、２４ａ，２４ｂと同期して移動する寄せローラ対２６，２７を備え、寄せローラ対２６，２７がゴム部材Ｐを押圧しつつ接合ローラ対２２ａ，２２ｂ、２４ａ，２４ｂの前方を移動することで、ゴム部材Ｐの端部Ｐ１，Ｐ２同士の間隔を狭める。
【選択図】 図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

シート状のゴム部材を支持する支持体と、互いに噛み合う一対の歯部を有する接合ローラ対とを備え、前記接合ローラ対が、前記ゴム部材の端部に沿って移動することで、前記ゴム部材の端部をたぐり寄せて接合するタイヤ部材の製造装置において、
前記接合ローラ対の移動方向前方に設けられ前記接合ローラ対と同期して移動する寄せローラ対を備え、
前記寄せローラ対が前記ゴム部材を押圧しつつ前記接合ローラ対の前方を移動することで、前記ゴム部材の端部同士の間隔を狭める、タイヤ部材の製造装置。

【請求項2】

前記寄せローラ対の間に設けられ、前記ゴム部材の端部同士の間を移動する堰板を備える、請求項１に記載のタイヤ部材の製造装置。

【請求項3】

前記寄せローラ対の回転軸が、前記寄せローラ対の対向方向に対して前記対向方向の外側に行くほど前記接合ローラ対の移動方向前方へ向かうように傾斜する、請求項１に記載のタイヤ部材の製造装置。

【請求項4】

前記接合ローラ対は、移動方向の一方側へ移動することで前記ゴム部材の一方側端部を接合する第１接合ローラ対と、移動方向の他方側へ移動することで前記ゴム部材の他方側端部を接合する第２接合ローラ対とを備え、
前記寄せローラ対は、前記第１接合ローラ対の移動方向一方側に設けられた第１寄せローラ対と、前記第２接合ローラ対の移動方向他方側に設けられた第２寄せローラ対と、を備え、
前記ゴム部材を押圧する力が前記第１寄せローラ対と前記第２寄せローラ対とで異なる、請求項１に記載のタイヤ部材の製造装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、タイヤ部材の製造装置に関する。

【背景技術】

【0002】

シート状のゴム部材、例えば、カーカスプライは、成型ドラム上において巻き付けの始端部と終端部とが接合されて未加硫タイヤの成形に使用されるが、その際、端部同士を重ねて接合すると接合部が厚くなりその近傍の剛性や重量が局部的に大きくなる。そこで、従来、ジッパー装置と呼ばれる接合装置によって端部同士を突き合わせて接合する必要がある。（下記特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１１－２１２８５８号

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

このようなジッパー装置は、一対の接合ローラが、同期回転しながらゴム部材の端部に沿って移動することでゴム部材の端部をたぐり寄せてゴム部材の端部同士を接合するため、ゴム部材の端部同士の接合途中において、既に接合された部分を起点として、後に接合される部分のゴム部材の端部同士の間隔が広がりやすく、間隔が広いと接合ローラでゴム部材の端部同士を接合できなことがある。

【0005】

本発明は、以上の問題に鑑み、ゴム部材の端部同士の間隔が広い場合であっても、コム部材の端部同士を突き合わせて接合することができるタイヤ部材の製造装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明のタイヤ部材の製造装置は、シート状のゴム部材を支持する支持体と、互いに噛み合う一対の歯部を有する接合ローラ対とを備え、前記接合ローラ対が、前記ゴム部材の端部に沿って移動することで、前記ゴム部材の端部をたぐり寄せて接合するタイヤ部材の製造装置において、前記接合ローラ対の移動方向前方に設けられ前記接合ローラ対と同期して移動する寄せローラ対を備え、前記寄せローラ対が前記ゴム部材を押圧しつつ前記接合ローラ対の前方を移動することで、前記ゴム部材の端部同士の間隔を狭める。

【発明の効果】

【0007】

本発明では、接合ローラ対と同期して移動する寄せローラ対が、ゴム部材を押圧しつつ接合ローラ対の前方を移動することで、ゴム部材の端部同士の間隔を狭めるため、ゴム部材の端部同士の間隔が広い場合であっても、コム部材の端部同士を突き合わせて接合することができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】本発明の一実施形態に係るタイヤ部材の製造装置の正面図。

【図2】図１の要部拡大図。

【図3】図１のＡ－Ａ断面図。

【図4】タイヤ部材の製造装置を第１接合ローラの移動方向前方から見た図。

【図5】ゴム部材の端部の接合工程を示す図であって、（ａ）はタイヤ部材の製造装置の正面図、（ｂ）はタイヤ部材の製造装置を第１接合ローラの移動方向前方から見た図。

【図6】ゴム部材の端部の接合工程を示す図であって、（ａ）はタイヤ部材の製造装置の正面図、（ｂ）はタイヤ部材の製造装置を第１接合ローラの移動方向前方から見た図。

【図7】ゴム部材の端部の接合工程を示す図であって、（ａ）はタイヤ部材の製造装置の正面図、（ｂ）はタイヤ部材の製造装置を第１接合ローラの移動方向前方から見た図。

【図8】ゴム部材の端部の接合工程を示すタイヤ部材の製造装置の正面図。

【図9】ゴム部材の端部の接合工程を示す図であって、（ａ）はタイヤ部材の製造装置の正面図、（ｂ）はタイヤ部材の製造装置を第１接合ローラの移動方向前方から見た図。

【図10】ゴム部材の端部の接合工程を示すタイヤ部材の製造装置の正面図。

【図11】ゴム部材の端部の接合工程を示すタイヤ部材の製造装置の正面図。

【図12】変更例１のタイヤ部材の製造装置における支持フレームの平面図

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。

【0010】

（１）タイヤ部材の製造装置の全体構成
図１～図４に示すように、本実施形態のタイヤ部材の製造装置は、カーカスプライ等のシート状のゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を突き合わせ状態で接合して未加硫タイヤの一部を構成するタイヤ部材を製造する装置であって、成型ドラム１０と接合装置２０と移動機構５０とを備える。

【0011】

（２）成型ドラム１０
成型ドラム１０は、水平な軸心回りに回転可能な回転支持体であり、軸方向Ｌに沿って延びるスリット状の開口部１２が外周面に設けられている。成型ドラム１０は、開口部１２を上方に位置させた状態で、ゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２が開口部１２に位置するように成型ドラム１０の外周面にゴム部材Ｐが巻き付けられ、これを支持する。

【0012】

なお、本実施形態の成型ドラム１０は、周方向に分割された不図示の複数のセグメントと、各セグメントを径方向に移動させる不図示の駆動機構とを備え、拡縮径可能に設けられている。

【0013】

（３）接合装置２０
接合装置２０は、押圧ローラ部２１と、第１接合ローラ部２２と、第１支持部２３と、第２接合ローラ部２４と、第２支持部２５と、第１寄せローラ対２６と、第２寄せローラ対２７とを備る。接合装置２０は、移動機構５０によって成型ドラム１０の開口部１２の内側をゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２に沿って、つまり、成型ドラム１０の軸方向Ｌに移動するようになっている。

【0014】

（３－１）押圧ローラ部２１
押圧ローラ部２１は、第１接合ローラ部２２と第２接合ローラ部２４との間に設けられた下押圧ローラ２１ａと上押圧ローラ２１ｂとを備る。下押圧ローラ２１ａと上押圧ローラ２１ｂは、成型ドラム１０の軸方向Ｌに回転自在に支持された円筒状のローラからなり、互いに上下に対向して設けられている。押圧ローラ部２１は、第１接合ローラ部２２と第２接合ローラ部２４との間で、第１接合ローラ部２２や第２接合ローラ部２４によって形成されたゴム部材Ｐの接合部分を押圧して、平坦化を図るとともに接合強度を高める。

【0015】

（３－２）第１接合ローラ部２２
第１接合ローラ部２２は、押圧ローラ部２１より成型ドラム１０の軸方向一方側Ｌ１に間隔を開けて設けられた第１下接合ローラ対２２ａと、第１下接合ローラ対２２ａの上方に設けられた第１上接合ローラ対２２ｂとを備える。

【0016】

図４に示すように、第１下接合ローラ対２２ａは、接合装置２０が成型ドラム１０の開口部１２の内側を移動する際にゴム部材Ｐの下側に位置する一対のローラからなる。第１下接合ローラ対２２ａを構成するローラは、ゴム部材Ｐの下面に接触する先細テーパー状の接触部２２ａ１と、接触部２２ａ１の下側に設けられた歯部２２ａ２とを備え、歯部２２ａ２が互いに噛み合うようにローラ支持台２８に回転自在に設けられている。

【0017】

第１上接合ローラ対２２ｂは、第１下接合ローラ対２２ａと同一形状のローラを上下対称に配置したもので、接合装置２０が成型ドラム１０の開口部１２の内側を移動する際にゴム部材Ｐの上側に位置する。第１上接合ローラ対２２ｂを構成するローラは、ゴム部材Ｐの上面に接触する先細テーパー状の接触部２２ｂ１と、接触部２２ｂ１の下側に設けられた歯部２２ｂ２とを備え、歯部２２ｂ２が互いに噛み合うようにローラ支持台２９に回転自在に設けられている。

【0018】

このような第１接合ローラ部２２は、第１下接合ローラ対２２ａと第１上接合ローラ対２２ｂとの間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を挟み込んだ状態で軸方向一方側（図１及び図２の図中右側）Ｌ１へ移動すると、ゴム部材Ｐとの摩擦力によって第１下接合ローラ対２２ａと第１上接合ローラ対２２ｂが回転しながらゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２をたぐり寄せて両端部Ｐ１，Ｐ２同士を突き合わせて接合する。

【0019】

なお、第１下接合ローラ対２２ａ及び第１上接合ローラ対２２ｂは、図１及び図２に示すような正面視においてその回転軸が、上下方向（鉛直方向）に対して第１接合ローラ部２２の移動方向前方、つまり、第１下接合ローラ対２２ａ及び一対の第１上接合ローラ対２２ｂがゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を突き合わせて接合する際に移動する方向（軸方向一方側Ｌ１）へ所定角度θ傾斜するようにローラ支持台２８、２９に設けられている（図２参照）。

【0020】

（３－３）第１支持部２３
第１支持部２３は、第１接合ローラ部２２より軸方向一方側Ｌ１に間隔を開けて設けられ、移動機構５０により第１接合ローラ部２２と間隔を保持したまま一緒に移動することで、第１接合ローラ部２２の移動方向前方においてゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２の下面を支持する。第１支持部２３の上面には、軸方向Ｌに沿って延びる堰板２３ａが突出している。

【0021】

堰板２３ａは、図３及び図４に示すように、第１寄せローラ対２６を構成する一対の第１寄せローラ２６ａ、２６ｂの間に設けられ、成型ドラム１０の軸方向Ｌから見て、第１下接合ローラ対２２ａの歯部２２ｂ２が互いに噛み合う位置に設けられている。移動機構５０によって第１支持部２３が軸方向Ｌへ移動すると、堰板２３ａが成型ドラム１０に設けられた開口部１２の内側を軸方向Ｌへ移動する。

【0022】

（３－４）第２接合ローラ部２４
第２接合ローラ部２４は、押圧ローラ部２１より成型ドラム１０の軸方向他方側Ｌ２に間隔を開けて設けられた第２下接合ローラ対２４ａと第２上接合ローラ対２４ｂとを備える。

【0023】

なお、第２接合ローラ部２４を構成する第２下接合ローラ対２４ａ及び第２上接合ローラ対２４ｂは、第１接合ローラ部２２を構成する第１下接合ローラ対２２ａ及び第１上接合ローラ対２２ｂと同一形状のローラからなるため、ここでは第２下接合ローラ対２４ａ及び第２上接合ローラ対２４ｂの形状について詳細な説明を省略する。

【0024】

また、第２下接合ローラ対２４ａは第１下接合ローラ対２２ａと押圧ローラ部２１を挟んで対称に配置され、第２上接合ローラ対２４ｂは第１上接合ローラ対２２ｂと押圧ローラ部２１を挟んで対称に配置されている。つまり、第２下接合ローラ対２４ａ及び第２上接合ローラ対２４ｂは、図１及び図２に示すような正面視においてその回転軸が、上下方向（鉛直方向）に対して第２接合ローラ部２４の移動方向前方、つまり、第２下接合ローラ対２４ａ及び第２上接合ローラ対２４ｂがゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を突き合わせて接合する際に移動する方向（軸方向他方側Ｌ２）へ所定角度θ傾斜するようにローラ支持台３０、３１に設けられている。

【0025】

このような第２接合ローラ部２４は、第２下接合ローラ対２４ａと第２上接合ローラ対２４ｂとの間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を挟み込んだ状態で、軸方向他方側（図１及び図２の図中左側）Ｌ２へ移動すると、ゴム部材Ｐとの摩擦力によって第２下接合ローラ対２４ａと第２上接合ローラ対２４ｂが回転することで、ゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２をたぐり寄せて両端部Ｐ１，Ｐ２同士を突き合わせて接合する。

【0026】

（３－５）第２支持部２５
第２支持部２５は、第２接合ローラ部２４の軸方向他方側Ｌ２に間隔Ｄ２を開けて設けられ、移動機構５０により第２接合ローラ部２４と間隔を保持したまま一緒に移動することで、第２接合ローラ部２４の移動方向前方においてゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２の下面を支持する。第２支持部２５の上面には、軸方向Ｌに沿って延びる堰板２５ａが突出している。

【0027】

堰板２５ａは、図３に示すように、第２寄せローラ対２７を構成する一対の第２寄せローラ２７ａ、２７ｂの間に設けられ、成型ドラム１０の軸方向Ｌから見て、第２下接合ローラ対２４ａを構成する一対のローラが互いに噛み合う位置に設けられている。移動機構５０によって第２支持部２５が軸方向Ｌへ移動すると、堰板２５ａが成型ドラム１０に設けられた開口部１２の内側を軸方向Ｌへ移動する。

【0028】

なお、第１支持部２３及び第２支持部２５の上面は、第１下接合ローラ対２２ａ、及び第２下接合ローラ対２４ａの上端（頂部）と同じ高さに位置することが好ましく、更に、下押圧ローラ２１ａの上端（頂部）と同じ高さに位置することが好ましい。

【0029】

（３－６）第１寄せローラ対２６
第１寄せローラ対２６は、図３及び図４に示すように、第１接合ローラ部２２より成型ドラム１０の軸方向一方側Ｌ１に間隔を開けて設けられ、第１支持部２３の上方に配置されている。

【0030】

第１寄せローラ対２６は、接合装置２０が成型ドラム１０の開口部１２の内側を移動する際にゴム部材Ｐの上側に位置する一対のローラ２６ａ、２６ｂを備える。一対の第１寄せローラ２６ａ、２６ｂは、成型ドラム１０の開口部１２の幅方向（成型ドラム１０の接線方向）に間隔をあけ開口部１２の両側に配置されている。

【0031】

一方のローラ２６ａは回転軸Ｒａの周りに回転可能に支持されている。回転軸Ｒａは、成型ドラム１０の軸方向Ｌに対して垂直であって、かつ、成型ドラム１０の開口部１２に近づくほど（他方のローラ２６ｂに近づくほど）成型ドラム１０の外周面から離れるように成型ドラム１０の外周面の接線方向に対して傾斜している。

【0032】

また、他方のローラ２６ｂは回転軸Ｒｂの周りに回転可能に支持されている。回転軸Ｒｂは、成型ドラム１０の軸方向Ｌに対して垂直であって、かつ、成型ドラム１０の開口部１２に近づくほど（一方のローラ２６ａに近づくほど）成型ドラム１０の外周面から離れるように成型ドラム１０の外周面の接線方向に対して傾斜している。つまり、回転軸Ｒｂは成型ドラム１０の外周面の接線方向を挟んで回転軸Ｒａと反対側に傾斜している。

【0033】

このような一対のローラ２６ａ、２６ｂは、ゴム部材Ｐの端部Ｐ１，Ｐ２を成型ドラム１０の軸方向Ｌへ転動すると、ゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２の間隔を狭めるようにゴム部材Ｐをたぐり寄せる。

【0034】

（３－７）第２寄せローラ対２７
第２寄せローラ対２７は、第２接合ローラ部２４より成型ドラム１０の軸方向他方側Ｌ２に間隔を開けて設けられ、第２支持部２５の上方に配置されている。

【0035】

第２寄せローラ対２７を構成する一対のローラ２７ａ、２７ｂは、第１寄せローラ対２６を構成する一対のローラ２６ａ、２６ｂと同一形状のローラからなり、一対のローラ２６ａ、２６ｂと押圧ローラ部２１を挟んで対称に配置されている。つまり、一対のローラ２７ａ、２７ｂは、回転軸が成型ドラム１０の外周面の接線方向に対して互いに反対側に傾斜するように成型ドラム１０の開口部１２の両側に配置されている。

【0036】

このような一対のローラ２７ａ、２７ｂは、ゴム部材Ｐの端部Ｐ１，Ｐ２を成型ドラム１０の軸方向Ｌへ転動すると、ゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２の間隔を狭めるようにゴム部材Ｐをたぐり寄せる。

【0037】

（４）移動機構５０
移動機構５０は、成型ドラム１０の軸方向Ｌに沿って設けられたガイドレール５１と、ガイドレール５１に平行に配置されたネジ軸５８と、ネジ軸５８と螺合するネジ穴を有する取付ブラケット５２と、ネジ軸５８を軸回りに回転させる駆動部５３と、取付ブラケット５２に固定されるとともにガイドレール５１に対して摺動自在に設けられた支持フレーム５４とを備える。

【0038】

移動機構５０は、駆動部５３がネジ軸５８を軸回りに回転させることで、取付ブラケット５２を軸方向Ｌに沿って移動させるとともに、取付ブラケット５２に固定された支持フレーム５４を軸方向Ｌに沿って摺動移動させる。

【0039】

支持フレーム５４は、成型ドラム１０の軸方向Ｌに延びる下アーム５４ａと上アーム５４ｂとを備え、下アーム５４ａの上方に間隔をあけて上アーム５４ｂが配置されている。

【0040】

下アーム５４ａの上面には、下押圧ローラ２１ａ、第１下接合ローラ対２２ａ、第１支持部２３、第２下接合ローラ対２４ａ、及び第２支持部２５が設けられている。

【0041】

上アーム５４ｂの下面には、上押圧ローラ２１ｂ、第１上接合ローラ対２２ｂ、第１寄せローラ対２６、第２上接合ローラ対２４ｂ及び第２寄せローラ対２７が設けられている。上押圧ローラ２１ｂ、第１上接合ローラ対２２ｂ、第１寄せローラ対２６、第２上接合ローラ対２４ｂ及び第２寄せローラ対２７は、それぞれ下押圧ローラ２１ａ、第１下接合ローラ対２２ａ、第１支持部２３、第２下接合ローラ対２４ａ及び第２支持部２５と上下に対向するように設けられている。

【0042】

上押圧ローラ２１ｂ、第１上接合ローラ対２２ｂ及び第２上接合ローラ対２４ｂは、それぞれシリンダ６０，６１，６２を介して上アーム５４ｂに上下動可能に取り付けられている。シリンダ６０，６１，６２は、上押圧ローラ２１ｂ、第１上接合ローラ対２２ｂ及び第２上接合ローラ対２４ｂを上下動させることで下押圧ローラ２１ａ、第１下接合ローラ対２２ａ及び第２下接合ローラ対２４ａに近接離隔移動させる。

【0043】

第１寄せローラ対２６を構成する一対の第１寄せローラ２６ａ，２６ｂは、それぞれシリンダ６３ａ、６３ｂを介して上アーム５４ｂに取り付けられている。

【0044】

シリンダ６３ａは、成型ドラム１０の軸方向Ｌに対して垂直であって、かつ、一方の第１寄せローラ２６ａの回転軸Ｒａに対して垂直な方向へ第１寄せローラ２６ａを移動させることで、第１寄せローラ２６ａを第１支持部２３に近接離隔移動させる。シリンダ６３ａの動作によって第１寄せローラ２６ａがゴム部材Ｐの端部Ｐ１を押圧すると、ゴム部材Ｐの端部Ｐ１を成型ドラム１０の開口部１２の幅方向中央へ向けて押圧する。

【0045】

シリンダ６３ｂは、成型ドラム１０の軸方向Ｌに対して垂直であって、かつ、他方の第１寄せローラ２６ｂの回転軸Ｒｂに対して垂直な方向へ第１寄せローラ２６ｂを移動させることで、第１寄せローラ２６ｂを第１支持部２３に近接離隔移動させる。シリンダ６３ｂの動作によって第１寄せローラ２６ｂがゴム部材Ｐの端部Ｐ２を押圧すると、ゴム部材Ｐの端部Ｐ２を成型ドラム１０の開口部１２の幅方向中央へ向けて押圧する。

【0046】

また、第２寄せローラ対２７を構成する一対の第２寄せローラ２７ａ，２７ｂは、それぞれシリンダ６４ａ、６４ｂを介して上アーム５４ｂに取り付けられている。シリンダ６４ａ、６４ｂは、第１寄せローラ２６ａに取り付けられたシリンダ６３ａ、６３ｂと同一構成のシリンダからなり、上押圧ローラ２１ｂに取り付けられたシリンダ６０を挟んで対称に配置されている。このようなシリンダ６４ａ、６４ｂの動作によって第２寄せローラ２７ａ、２７ｂがゴム部材Ｐの端部Ｐ１、Ｐ２を押圧すると、ゴム部材Ｐの端部Ｐ１、Ｐ２を成型ドラム１０の開口部１２の幅方向中央へ向けて押圧する。

【0047】

また、第１支持部２３及び第２支持部２５は、それぞれシリンダ６５，６６を介して下アーム５４ａに取り付けられており、堰板２３ａ、２５ａが開口部１２を通って成型ドラム１０の外周面の外側へ突出する位置（図４参照）と、堰板２３ａ、２５ａが成型ドラム１０の内部に収納される位置（図５（ｂ）参照）との間を移動する。

【0048】

このような移動機構５０は、駆動部５３の動作によって支持フレーム５４に設けられた接合装置２０を、成型ドラム１０の外側（図１及び図３では成型ドラム１０の左側）の待機位置から成型ドラム１０の開口部１２の内側を通って成型ドラム１０の軸方向Ｌへ移動させる。その際、接合装置２０を構成する押圧ローラ部２１、第１接合ローラ部２２、第１支持部２３、第２接合ローラ部２４、第２支持部２５、第１寄せローラ対２６及び第２寄せローラ対２７は、支持フレーム５４に取り付けられているため、成型ドラム１０の軸方向Ｌの間隔を保って移動する。

【0049】

（５）タイヤ部材の製造装置の動作
次に、本実施形態のタイヤ部材の製造装置の動作について図面に基づいて説明する。

【0050】

図１に示すように、接合装置２０が待機位置に位置した状態で、ゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２が開口部１２に位置するように成型ドラム１０の外周面にゴム部材Ｐを巻き付ける。

【0051】

その後、図５（ａ）に示すように、移動機構５０は、接合装置２０を待機位置から成型ドラム１０の開口部１２の内側を通って成型ドラム１０の軸方向Ｌへ移動させ、第１寄せローラ対２６がゴム部材Ｐの軸方向Ｌの中央部（以下、この位置を「開始位置」ということがある）に達するまで接合装置２０を移動させる。ここで接合装置２０を移動させる際には、図５（ａ）、（ｂ）に示すように、上押圧ローラ２１ｂ、第１上接合ローラ対２２ｂ、第２上接合ローラ対２４ｂ、第１寄せローラ対２６、及び第２寄せローラ対２７は、成型ドラム１０に巻き付けられたゴム部材Ｐより上方に離れた位置にあり、第１支持部２３及び第２支持部２５は成型ドラム１０の内部に収納される位置にある。

【0052】

第１寄せローラ対２６が開始位置まで移動すると、図６（ａ）、（ｂ）に示すように、シリンダ６３ａ，６３ｂが一対の第１寄せローラ２６ａ，２６ｂを下方へ移動させて第１寄せローラ２６ａと成型ドラム１０の周面との間で端部Ｐ１を挟み込み、第１寄せローラ２６ｂと成型ドラム１０の周面との間で端部Ｐ２を挟み込む。また、シリンダ６５は、堰板２３ａが成型ドラム１０の開口部１２を通って成型ドラム１０の外周面より外側へ突出するように第１支持部２３を上方へ移動させる。この時、第１支持部２３はゴム部材Ｐの端部Ｐ１，Ｐ２を下方から支持してもよい。

【0053】

そして、一対の第１寄せローラ２６ａ，２６ｂが成型ドラム１０の外周面との間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を挟み込んだ状態で、移動機構５０は接合装置２０を軸方向一方側Ｌ１へ移動させる。これにより、第１寄せローラ２６ａ，２６ｂがゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を軸方向Ｌに転動して、両端部Ｐ１，Ｐ２の間隔を狭めるようにゴム部材Ｐをたぐり寄せる。また、第１支持部２３に設けられた堰板２３ａが第１寄せローラ対２６と同期して軸方向一方側Ｌ１へ移動する。これにより、ゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２が、第１寄せローラ２６ａ，２６ｂに強く押圧されても、重なり合わないように堰板２３ａによって堰き止められる。

【0054】

そして、第１接合ローラ部２２が開始位置に達すると、図７（ａ）、（ｂ）に示すように、シリンダ６１が第１上接合ローラ対２２ｂを下方へ移動させて、第１下接合ローラ対２２ａと第１上接合ローラ対２２ｂとの間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２を挟み込む。この時、シリンダ６０が上押圧ローラ２１ｂを下方へ移動させて、下押圧ローラ２１ａと上押圧ローラ２１ｂとの間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を挟み込む。

【0055】

なお、本実施形態では、第１接合ローラ部２２が開始位置に達すると第１上接合ローラ対２２ｂとともに上押圧ローラ２１ｂを下方へ移動させたが、第１接合ローラ部２２が開始位置に達した時に第１上接合ローラ対２２ｂのみを下方へ移動させ、第１下接合ローラ対２２ａと第１上接合ローラ対２２ｂとの間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２を挟み込み、その後、移動機構５０が接合装置２０を軸方向一方側Ｌ１へ移動させ、押圧ローラ部２１が開始位置に達するとシリンダ６０が上押圧ローラ２１ｂを下方へ移動させて、下押圧ローラ２１ａと上押圧ローラ２１ｂとの間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を挟み込んでもよい。

【0056】

そして、移動機構５０は、第１寄せローラ対２６、押圧ローラ部２１及び第１接合ローラ部２２がゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を上下に挟み込んだ状態で、図８に示すように押圧ローラ部２１がゴム部材Ｐの端縁に達するまで、接合装置２０を軸方向一方側（図８の図中右側）Ｌ１へ移動させる。

【0057】

このように接合装置２０を軸方向一方側Ｌ１へ移動させることで、第１接合ローラ部２２よりも接合装置２０の移動方向前方において、第１寄せローラ対２６はゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２の間隔を狭めるようにゴム部材Ｐをたぐり寄せる。第１接合ローラ部２２は第１寄せローラ対２６によってたぐり寄せられたゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２同士を突き合わせて接合し、押圧ローラ部２１が第１接合ローラ部２２で接合した箇所を押圧する。

【0058】

そして、第１接合ローラ部２２が開始位置から軸方向一方側の端部までゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を接合すると、シリンダ６０，６１，６３ａ、６３ｂが上押圧ローラ２１ｂ、第１上接合ローラ対２２ｂ、第１寄せローラ２６ａ，２６ｂを上方へ移動させてゴム部材Ｐから離隔するとともに、シリンダ６５が第１支持部２３を下方へ移動させて堰板２３ａを成型ドラム１０の内部に収納する。そして、第２接合ローラ部２４が開始位置に達するまで、移動機構５０は接合装置２０を軸方向他方側Ｌ２へ移動させる（図９（ａ）、（ｂ）参照）。

【0059】

そして、第２接合ローラ部２４が開始位置に達すると、図１０に示すように、シリンダ６２が第２上接合ローラ対２４ｂを下方へ移動させて、第２下接合ローラ対２４ａと第２上接合ローラ対２４ｂとの間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２を挟み込む。この時、シリンダ６０が上押圧ローラ２１ｂを下方へ移動させて、下押圧ローラ２１ａと上押圧ローラ２１ｂとの間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を挟み込む。

【0060】

なお、本実施形態では、第２接合ローラ部２４が開始位置に達すると、第２上接合ローラ対２４ｂとともに上押圧ローラ２１ｂを下方へ移動させたが、第２接合ローラ部２４が開始位置に達した時に第２上接合ローラ対２４ｂのみを下方へ移動させ、第２下接合ローラ対２４ａと第２上接合ローラ対２４ｂとの間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１、Ｐ２を挟み込み、その後、押圧ローラ部２１が開始位置に達するとシリンダ６０が上押圧ローラ２１ｂを下方へ移動させて、下押圧ローラ２１ａと上押圧ローラ２１ｂとの間でゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を挟み込んでもよい。

【0061】

また、シリンダ６４ａ，６４ｂが一対の第２寄せローラ２７ａ，２７ｂを下方へ移動させて第２寄せローラ２７ａと成型ドラム１０の周面との間で端部Ｐ１を挟み込み、第２寄せローラ２７ｂと成型ドラム１０の周面との間で端部Ｐ２を挟み込む。また、シリンダ６６は、堰板２５ａが成型ドラム１０の開口部１２を通って成型ドラム１０の外周面より外側へ突出するように第２支持部２５を上方へ移動させる。

【0062】

そして、図１１に示すように、移動機構５０は、第２寄せローラ対２７、押圧ローラ部２１及び第２接合ローラ部２４がゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を上下に挟み込んだ状態で、接合装置２０を軸方向他方側（図１及び図２の図中左側）Ｌ２へ移動させる。

【0063】

これにより、第２接合ローラ部２４よりも接合装置２０の移動方向前方において、第２寄せローラ２７ａ，２７ｂがゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を軸方向Ｌに転動して、両端部Ｐ１，Ｐ２の間隔を狭めるようにゴム部材Ｐをたぐり寄せる。

【0064】

第２支持部２５に設けられた堰板２５ａは、第２寄せローラ対２７と同期して軸方向他方側Ｌ２へ移動し、ゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２が第２寄せローラ２７ａ，２７ｂに強く押圧されても両端部Ｐ１，Ｐ２が重なり合わないように、ゴム部材Ｐを堰き止める。

【0065】

第２接合ローラ部２４は第２寄せローラ対２７によってたぐり寄せられたゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２同士を突き合わせて接合し、押圧ローラ部２１が第１接合ローラ部２２で接合した箇所を押圧する。

【0066】

そして、第２接合ローラ部２４がゴム部材Ｐの軸方向他方側の端部までゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を接合し、ゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２全体の接合が終了すると、移動機構５０は、接合装置２０を図１に示す待機位置まで移動させて、ゴム部材Ｐの接合を終了する。

【0067】

（６）効果
以上のような本実施形態では、接合ローラ部２２、２４よりも接合装置２０の移動方向前方において、寄せローラ対２６、２７がゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２の間隔を狭めるようにゴム部材Ｐをたぐり寄せるため、両端部Ｐ１，Ｐ２の間隔が広い場合であっても、接合ローラ部２２、２４によって両端部Ｐ１，Ｐ２同士を突き合わせて接合することができる。

【0068】

また、本実施形態では、第１寄せローラ２６ａ，２６ｂの間に設けられた堰板２３ａや第２寄せローラ２７ａ，２７ｂの間に設けられた堰板２５ａが、寄せローラ対２６，２７と同期してゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２の間を移動するため、ゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２が、寄せローラ対２６，２７に強く押圧されても重なるのを防ぐことができる。

【0069】

（７）変更例
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲は以上の実施形態に限定されない。以上の実施形態に対し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々な変更を行うことができる。以下では複数の変更例について説明するが、上記実施形態に対して、複数の変更例のうちいずれか１つを適用しても良いし、複数の変更例のうちいずれか２つ以上を組み合わせて適用しても良い。

【0070】

（７－１）変更例１
図１２に示すように、平面視において、第１寄せローラ対１２６の回転軸Ｍａ，Ｍｂが第１寄せローラ対１２６の対向方向Ｋに対して、対向方向Ｋの外側に行くほど（第１堰板２３ａから離れるほど）第１接合ローラ部２２の移動方向前方（第１接合ローラ部２２がゴム部材Ｐの端部Ｐ１，Ｐ２を接合する時に移動する移動方向前方）へ向かって所定角度φだけ傾斜するように、第１寄せローラ対１２６がシリンダ６３ａ、６３ｂに設けられても良い。

【0071】

また、第２寄せローラ対１２７についても第１寄せローラ対１２６と同様、第２寄せローラ対１２７の回転軸Ｍａ，Ｍｂが、第２寄せローラ対１２７の対向方向Ｋに対して、対向方向Ｋの外側に行くほど（第２堰板２５ａから離れるほど）第２接合ローラ部２４の移動方向前方（第２接合ローラ部２４がゴム部材Ｐの端部Ｐ１，Ｐ２を接合する時に移動する移動方向前方）へ向かって所定角度φ傾斜するように、第２寄せローラ対１２７がシリンダ６４ａ、６４ｂに設けられても良い。

【0072】

（７－２）変更例２
上記した実施形態においてシリンダ６３ａ，６３ｂ及びシリンダ６４ａ，６４ｂの推力を調整することで、ゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を押圧する押圧力が、第１寄せローラ対２６と第２寄せローラ対２７とで同じ大きさになるように設定してもよく、また、第１寄せローラ対２６と第２寄せローラ対２７とで異なるように設定してもよい。

【0073】

（７－３）変更例３
上記した実施形態では、ゴム部材Ｐを水平な軸心回りに回転可能な円筒状の回転支持体に支持されたゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を突き合わせて接合する場合について説明したが、コンベア等の平面状の支持体に支持されたゴム部材Ｐの両端部Ｐ１，Ｐ２を突き合わせて接合する場合にも本発明を適用することができる。

【符号の説明】

【0074】

１０…成型ドラム、１２…開口部、２０…接合装置、２１…押圧ローラ部、２１ａ…下押圧ローラ、２２ｂ…上押圧ローラ、２２…第１接合ローラ部、２２ａ…第１下接合ローラ対、２２ｂ…第１上接合ローラ対、２３…第１支持部、２３ａ…堰板、２４…第２接合ローラ部、２４ａ…第２下接合ローラ対、２４ｂ…第２上接合ローラ対、２５…第２支持部、２５ａ…堰板、２６…第１寄せローラ部、２７…第２寄せローラ部、５０…移動機構、５１…ガイドレール、５２…取付ブラケット、５３…駆動部、Ｐ…カーカスプライ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】