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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142566
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】切替専焼バーナ
(51)【国際特許分類】
   F23D 17/00 20060101AFI20241003BHJP
   F23C 99/00 20060101ALI20241003BHJP
   F23D 14/22 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F23D17/00 101
F23C99/00 323
F23D14/22 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054747
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000154668
【氏名又は名称】株式会社ヒラカワ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 正成
(72)【発明者】
【氏名】野村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】川端 朋子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】香川 晋一郎
【テーマコード(参考)】
3K019
3K065
【Fターム(参考)】
3K019AA01
3K019BA02
3K019BB02
3K019BD06
3K065QB03
3K065QB11
3K065QC04
3K065TA04
3K065TC01
3K065TD04
3K065TD05
3K065TE01
3K065TE02
(57)【要約】
【課題】切替専焼バーナにおいて、燃焼の不具合の発生を効果的に防止できるようにする。
【解決手段】インナーチューブ14の一端側に液体燃料37の燃焼用の一次空気17aの噴出口66が形成され、インナーチューブ14の他端側に燃焼用一次空気17aの流入口39が形成され、アウターチューブ15の一端側とブラストチューブ16の一端側との間に気体燃料47の燃焼用の二次空気17bの噴出口64、65が形成され、アウターチューブ15の他端側とブラストチューブ16の他端側との間に燃焼用二次空気17bの流入口22が形成されている。液体燃料37と気体燃料47とを切替専焼させる。燃焼用一次空気17aの流入口39と燃焼用二次空気17bの流入口22との少なくともいずれかの開口面積を調節することができる開度調節部材68が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラストチューブの内部にアウターチューブが配置されるとともに、アウターチューブの内部にインナーチューブが配置され、インナーチューブの一端側に、液体燃料の噴出ノズルが配置され、インナーチューブの一端側に燃焼用一次空気の噴出口が形成され、インナーチューブの内部は燃焼用一次空気の供給路とされ、インナーチューブの他端側に燃焼用一次空気の流入口が形成され、インナーチューブの一端側とアウターチューブの一端側との間に気体燃料の噴出口が形成され、インナーチューブとアウターチューブとの間は気体燃料の供給路とされ、アウターチューブの一端側とブラストチューブの一端側との間に燃焼用二次空気の噴出口が形成され、アウターチューブとブラストチューブとの間は燃焼用二次空気の供給路とされ、アウターチューブの他端側とブラストチューブの他端側との間に燃焼用二次空気の流入口が形成され、かつ
液体燃料と気体燃料とを切替専焼させるように構成され、さらに
前記燃焼用一次空気の流入口と前記燃焼用二次空気の流入口との少なくともいずれかの開口面積を調節することができる開度調節部材が設けられていることを特徴とする切替専焼バーナ。
【請求項2】
開度調節部材は、流入口を塞ぐ閉塞部材に、空気を通すための複数の空気孔が貫通状態で形成されていることを特徴とする請求項1記載の切替専焼バーナ。
【請求項3】
それぞれの空気孔を個別に塞ぐことができる単数または複数のプラグを有することを特徴とする請求項2記載の切替専焼バーナ。
【請求項4】
プラグと空気孔とがねじ結合されていることを特徴とする請求項3記載の切替専焼バーナ。
【請求項5】
開度調節部材は、横断面円形に形成されたチューブに内ばめ可能とされているとともに、外周面にテーパ面が形成され、さらに
開度調節部材は、前記チューブに対する軸心方向の位置を変更することで前記チューブとの間の流路断面積を調節可能、かつ前記軸心方向の位置を変更した状態に保持可能とされていることを特徴とする請求項1記載の切替専焼バーナ。
【請求項6】
開度調節部材は、インナーチューブの内部にはめ込まれるとともに、インナーチューブの内部に配置された、液体燃料の噴出ノズルへの燃料供給チューブに外ばめされ、かつ前記燃料供給チューブに沿って前記燃料供給チューブの軸心方向に移動可能とされ、さらに前記燃料供給チューブに対して固定されていることを特徴とする請求項5記載の切替専焼バーナ。
【請求項7】
開度調節部材は、流入口を塞ぐ閉塞部材と、この閉塞部材の端面に沿って配置された板状のカバー体とを有し、
前記閉塞部材に、空気を通すための複数の空気孔が貫通状態で形成され、
前記カバー体に、各空気孔を塞ぐことができる板片が一体に複数形成され、
前記カバー体とそれぞれ一体に形成された各板片は、塑性変形することによって各空気孔との距離を調節可能とされていることを特徴とする請求項1記載の切替専焼バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料と気体燃料とを切り替えてそれぞれ専焼させるための、切替専焼バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス・油切替専焼バーナとして、特許文献1には、内筒と中間筒と外筒とを備えた三重構造の筒状体にて構成されたバーナが記載されている。内筒の内部には油のための燃焼部を構成する油ノズルが配置され、油ノズルと内筒との間は燃焼用一次空気の流路とされている。内筒と中間筒との間は燃料ガスの流路とされ、中間筒と外筒との間は燃焼用二次空気の流路とされている。中間筒の開口端の部分によって、燃料ガスのための燃焼部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-280716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、ガス・油切替専焼バーナは、油用の燃焼部と燃料ガス用の燃焼部との2種類の燃焼部を備えている。しかしながら、燃焼用空気の供給の仕方や空気の流速が変化すると、それぞれの燃焼部の燃焼性が変化する。
【0005】
たとえば、油燃焼の際には、一次空気の流速が高すぎると燃焼振動が発生しやすく、また、スモークや一酸化炭素(CO)の発生が顕著になりやすい。また、二次空気の流速が高すぎると、燃焼振動が発生しやすい。
【0006】
同じ空気量のもとで油燃焼からガス燃焼へ切り替える際において、一次空気の流速が低い場合には、低負荷時に振動燃焼が発生しやすい。
【0007】
その対策として、バーナ各部の寸法を調整することが行われている。しかし、バーナ各部の寸法を調整だけでは上記の問題点が解消しない場合がある。
【0008】
そこで本発明は、切替専焼バーナにおいて、燃焼の不具合の発生を効果的に防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明の切替専焼バーナは、
【0010】
ブラストチューブの内部にアウターチューブが配置されるとともに、アウターチューブの内部にインナーチューブが配置され、インナーチューブの一端側に、液体燃料の噴出ノズルが配置され、インナーチューブの一端側に燃焼用一次空気の噴出口が形成され、インナーチューブの内部は燃焼用一次空気の供給路とされ、インナーチューブの他端側に燃焼用一次空気の流入口が形成され、インナーチューブの一端側とアウターチューブの一端側との間に気体燃料の噴出口が形成され、インナーチューブとアウターチューブとの間は気体燃料の供給路とされ、アウターチューブの一端側とブラストチューブの一端側との間に燃焼用二次空気の噴出口が形成され、アウターチューブとブラストチューブとの間は燃焼用二次空気の供給路とされ、アウターチューブの他端側とブラストチューブの他端側との間に燃焼用二次空気の流入口が形成され、かつ
液体燃料と気体燃料とを切替専焼させるように構成され、さらに
前記燃焼用一次空気の流入口と前記燃焼用二次空気の流入口との少なくともいずれかの開口面積を調節することができる開度調節部材が設けられていることを特徴とする。
【0011】
このような構成であると、燃焼用一次空気の流入口と燃焼用二次空気の流入口との少なくともいずれかの開口面積を調節することができる開度調節部材によって、一次空気の流れと二次空気の流れとを、液体燃料の燃焼と気体燃料の燃焼とのいずれにも適したものとなるように調節することができる。
【0012】
本発明の切替専焼バーナの一態様によると、開度調節部材は、流入口を塞ぐ閉塞部材に、空気を通すための複数の空気孔が貫通状態で形成されていることが好ましく、それぞれの空気孔を個別に塞ぐことができる単数または複数のプラグを有することがさらに好ましく、プラグと空気孔とがねじ結合されていることがいっそう好ましい。
【0013】
本発明の切替専焼バーナの他の態様によると、開度調節部材は、横断面円形に形成されたチューブに内ばめ可能とされているとともに、外周面にテーパ面が形成され、さらに開度調節部材は、チューブに対する軸心方向の位置を変更することでチューブとの間の流路断面積を調節可能、かつ軸心方向の位置を変更した状態に保持可能とされていることが好ましい。
【0014】
この場合において、開度調節部材は、インナーチューブの内部にはめ込まれるとともに、インナーチューブの内部に配置された、液体燃料の噴出ノズルへの燃料供給チューブに外ばめされ、かつ燃料供給チューブに沿って燃料供給チューブの軸心方向に移動可能とされ、さらに燃料供給チューブに対して固定されていることが、より好ましい。
【0015】
本発明の切替専焼バーナのさらに他の態様によると、開度調節部材は、流入口を塞ぐ閉塞部材と、この閉塞部材の端面に沿って配置された板状のカバー体とを有し、閉塞部材に、空気を通すための複数の空気孔が貫通状態で形成され、カバー体に、各空気孔を塞ぐことができる板片が一体に複数形成され、カバー体とそれぞれ一体に形成された各板片は、塑性変形することによって各空気孔との距離を調節可能とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、空気の流入口の開口面積を調節することができる開度調節部材によって、一次空気の流れと二次空気の流れとを、液体燃料の燃焼と気体燃料の燃焼とのいずれにも適したものとなるように調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態の切替専焼バーナの断面図である。
図2図1における要部の拡大図である。
図3】開度調節部材の第1の形態を示す図である。
図4図3の開度調節部材の拡大側面図である。
図5】開度調節部材の第2の形態を示す図である。
図6図5の開度調節部材の一部を断面表示した側面図である。
図7図6の開度調節部材の一部を断面表示した正面図である。
図8】開度調節部材の第3の形態を示す図である。
図9図8の開度調節部材の要部の断面構造を拡大して示す図である。
図10】第2の形態の開度調節部材を用いたときの低負荷での油燃焼時の燃焼特性を示すグラフである。
図11】第2の形態の開度調節部材を用いたときの低負荷でのガス燃焼時の燃焼特性を示すグラフである。
図12】第2の形態の開度調節部材を用いたときの高負荷での油燃焼時の燃焼特性を示すグラフである。
図13】第2の形態の開度調節部材を用いたときの高負荷でのガス燃焼時の燃焼特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本発明の実施の形態の包括概念]
図1に示される本発明の実施の形態の切替専焼バーナ10は、ボイラ1において使用される。切替専焼バーナ10は、炉壁2を有したボイラ1に取り付けられることで、ボイラ1の燃焼室3において必要な燃焼を行う。
【0019】
ボイラ1の炉壁2には風箱11が取り付けられている。燃料と燃焼用空気との供給装置12が、ボイラ1の外部から、風箱11と炉壁2とを経由して、燃焼室3へ導かれている。燃焼室3に面した位置における供給装置12の先端には、燃焼部13が形成されている。
【0020】
燃料と燃焼用空気との供給装置12は、同心状の三重管の構成とされ、径方向に沿った最も内側のインナーチューブ14と、インナーチューブ14よりも径方向に沿った外側に配置されたアウターチューブ15と、アウターチューブ15よりもさらに径方向に沿った外側に配置されたブラストチューブ16とを備える。ブラストチューブ16は風箱11を構成する部材によって支持されており、アウターチューブ15はブラストチューブ16によって支持されており、インナーチューブ14はアウターチューブ15によって支持されている。
【0021】
風箱11には、この風箱11に燃焼用空気17を供給するためのダクト18が接続されている。ダクト18は、風箱11における炉壁2から供給装置12の軸心方向に沿って距離をおいた位置に接続されている。
【0022】
図示は省略するが、ダクト18には、風箱11へ供給する燃焼用空気の量を調節するためのダンパが設けられている。ダンパは、図外のモータなどのアクチュエータによって、その開度が調節される。
【0023】
風箱11における炉壁2とは反対側の部分には、マニホールドチャンバ20が取り付けられている。インナーチューブ14とアウターチューブ15とは、炉壁2と風箱11とを貫通した状態でマニホールドチャンバ20の内部に到達する長さで形成されている。これに対し、ブラストチューブ16は、炉壁2から風箱11の内部まで形成されているにとどまり、マニホールドチャンバ20の内部には到達していない。風箱11の内部におけるブラストチューブ16の端部には、ベルマウス21が設けられている。ベルマウス21は、ブラストチューブ16よりも径方向に沿った外側の位置において、風箱11の内部へ開口している。換言すると、ベルマウス21は、その開口端22において、ブラストチューブ16よりも大径に形成されている。
【0024】
ベルマウス21とマニホールドチャンバ20との間における風箱11の内部には、両端が開口した整流管23が設けられている。整流管23は、ブラストチューブ16と同軸上に配置されている。整流管23の口径は、ブラストチューブ16の口径と同等に形成されている。これにより、整流管23は、一端でマニホールドチャンバ20と連通し、他端でベルマウス18に向かい合っている。
【0025】
風箱11へのマニホールドチャンバ20の取付け部、すなわち風箱11とマニホールドチャンバ20との接続部において、整流管23よりも外周側の位置には、風箱11とマニホールドチャンバ20とを連通させるための連通口24が開口している。このため、ダクト18から風箱11へ送り込まれた燃焼用空気17の一部はベルマウス21へ導かれ、燃焼用空気17の残部はマニホールドチャンバ20へ導かれる。
【0026】
燃焼用空気17は、ダクト18から風箱11へ向けて、供給装置12の軸心と交差する方向に沿って送り込まれる。これに対し風箱11の内部では、燃焼用空気17は、その一部がベルマウス21へ導かれるとともに残部が連通口24を通ってマニホールドチャンバ20へ導かれる。このため、燃焼用空気17は、風箱11の内部では、供給装置12の軸心に沿った方向に流れる。つまり、燃焼用空気17は、風箱11の内部において、その流れの方向が転換される。風箱11の内部には、燃焼用空気17の流れの方向の転換を円滑に行わせるための整流部材25が設けられている。
【0027】
整流部材25は、整流管26と、この整流管26の内部に設けられた多数の整流板27とを有する。整流管26は、ブラストチューブ16よりも径方向に沿った外側の位置において、ブラストチューブ16と同心状に配置されている。整流管26は、その一端28が、風箱11における炉壁2から離れた場所に位置する壁体29に、すなわち風箱11におけるマニホールドチャンバ20が取り付けられた壁体29に、接続されている。整流管26の他端30は、風箱11の内部における炉壁2に近い位置において開口している。各整流板27は、長方形状に形成され、その長さが整流管26の長さと同等になるようにされている。各整流板27は、その板面が整流管26の径方向に向くように配置されて、整流管26の内面から径方向の内向きに配置されている。整流管26の径方向に沿った整流板の内縁31は、ベルマウス21の開口端22の外周縁よりも径方向に沿った外側に位置するようにされている。
【0028】
整流部材25は、整流管26と整流板27とが上記の構成であることによって、整流管26の一端において壁体29によって閉じられているとともに、整流管26の他端において開口している。整流部材25の開口33は、炉壁2に近い場所に位置している。
【0029】
整流部材25がこのような構成であることで、ダクト18から風箱11の内部へ向けて、供給装置12の軸心と交差する方向に沿って送り込まれた燃焼用空気17は、整流部材25の整流管26の外周面34に沿って炉壁2へ向かう方向へ転向され、整流部材25の開口33において反転されて、開口33から整流部材25の内部に入り込む方向へ転向される。そして燃焼用空気17は、整流部材25の内部において整流板27に案内されることで、供給装置12の軸心方向に沿った流れとなるように整流される。このようにした整流された燃焼用空気17は、上述のようにしてベルマウス21とマニホールドチャンバ20とに分配される。
【0030】
液体燃料37の供給管38が、マニホールドチャンバ20よりも炉壁2から遠い位置から、マニホールドチャンバ20に入り込むとともに、マニホールドチャンバ20におけるインナーチューブ14の開口39からインナーチューブ14の内部に入り込み、燃焼部13に到達するように設けられている。供給管38は、燃焼部13に近い位置において、支持部材40によってインナーチューブ14に支持されている。燃焼部13において、供給管38の先端には、液体燃料37の噴出ノズルである、液体燃料噴出ノズル41が設けられている。液体燃料噴出ノズル41は、供給管38によって供給された液体燃料37を燃焼部13において噴出する。
【0031】
液体燃料噴出ノズル41の近傍には、液体燃料噴出ノズル41から噴射され燃焼用空気と混合した液体燃料を点火させるための点火用電極42が設けられている。点火用電極42は、放電スパークを発生させることで、燃焼用空気と混合した液体燃料を点火させる。点火用電極42には、放電のための高圧電気を点火用電極42に供給するための導線43が接続されている。導線43は、マニホールドチャンバ20の外部からマニホールドチャンバ20の内部に挿入され、インナーチューブ14の内部において液体燃料の供給管38に沿って配置されたうえで、点火用電極42に電気的に接続されている。導線43は、導体が絶縁体でカバーされた構成である。導線43は、この導線43の途中からの放電を防止するために、絶縁用の円筒状の碍子44を介して支持部材40に支持されている。同様の目的で、導線43は、碍子44を介してマニホールドチャンバ20の壁部45に支持されている。
【0032】
風箱11からマニホールドチャンバ20に入り込んだ燃焼用空気17は、一次空気17aとして、燃焼用一次空気17aの流入口としての開口39からインナーチューブ14の内部に入り込み、インナーチューブ14の内部を通って燃焼部13へ供給される。
【0033】
アウターチューブ15は、マニホールドチャンバ20の内部において、インナーチューブ14の開口39よりも風箱11に近い位置で開口46が形成されている。開口46は、インナーチューブ14の外周面とアウターチューブ15の内周面との間において環状に形成されている。
【0034】
インナーチューブ14の開口39とアウターチューブ15の開口46との間におけるインナーチューブ14の部分は、気体燃料47を開口46に案内するための環状の案内部材48によって覆われている。案内部材48の一端49はアウターチューブ15に被さっており、案内部材48の他端50はインナーチューブ14に被さっている。このため、案内部材47は、その内部空間がアウターチューブ15の開口46に連通している。環状の案内部材47における周方向の1個所には、接続ポート51が形成されている。接続ポート51には連結管52が接続されている。連結管52は、マニホールドチャンバ20の外部からの気体燃料47を、この連結管52と案内部材48と開口46とを通して、インナーチューブ14の外周面とアウターチューブ15の内周面との間に形成される環状の気体燃料供給路53へ送り込むことができる。
【0035】
風箱11の内部におけるアウターチューブ15の外周面とブラストチューブ16の内周面との間には、ベルマウス21からの燃焼用空気17を二次空気17bとして燃焼部13へ供給するための環状の二次空気供給路54が形成されている。ベルマウス21の開口端22は、供給路54への燃焼用二次空気17bの流入口として機能する。アウターチューブ15の外周面と整流管23の内周面との間には、マニホールドチャンバ20の内部の燃焼用空気17を、二次空気供給路52に向かうように、供給装置12の軸心方向に整流させる整流路32が形成されている。
【0036】
燃焼部13における二次空気供給路53の一部分には、パイロットバーナ55が設置されている。パイロットバーナ55は、公知の構成を有する。
【0037】
図1および図2を参照して、燃焼部13の詳細構造を説明する。
【0038】
燃焼部13において、ブラストチューブ16の先端にはファンネル56が接続されている。ファンネル56の先端には、燃焼ガス57を燃焼室3に向けて噴出させるための噴出口58が形成されている。インナーチューブ14は、ファンネル56の内部において、燃焼用一次空気17aの噴出口としての開口66を有する。開口66よりもファンネル56の噴出口58に近い位置には、環状板の形状のフロントディフューザ59が設けられている。液体燃料噴出ノズル41から噴出された液体燃料37と、インナーチューブ14の開口66から噴出された一次空気17aとは、フロントディフューザ59を通過することによって良好に撹拌され、ファンネル56の内部および燃焼室3において燃焼に供される。
【0039】
インナーチューブ14とアウターチューブ15との間に形成された気体燃料供給路53において、フロントディフューザ59よりもファンネル56の噴出口58から距離をおいた位置には、ガス噴出ノズル60が設けられている。ガス噴出ノズル60は、気体燃料供給路53を塞ぐ環状板61と、環状板61の周方向に沿った複数の位置において貫通状態で形成された気体燃料噴出口62とを有する。
【0040】
ファンネル56の内部における気体燃料供給路53の開口端とファンネル56の内周面との間には、リアディフューザ63が設けられている。リアディフューザ63は、環状板の形態であり、その内周縁がアウターチューブ15に接続されている。リアディフューザ63は、供給装置12の軸心方向に沿った、フロントディフューザ59と環状板61との間の位置に設置されている。リアディフューザ63の外周縁とファンネル56の内周面との間には、二次空気供給路54に連通する環状の燃焼用空気噴出口64が形成されている。リアディフューザ63自体にも、ファンネル56の内部へ燃焼用の二次空気を噴出させるための噴出口65が貫通状態で複数形成されている。
【0041】
このような構成の切替専焼バーナ10において、油などの液体燃料37を専焼させる場合には、供給装置12に外部から液体燃料37を供給するとともに、気体燃料47は供給せずに、かつダクト18から風箱11へ燃焼用空気17を供給しながら、燃焼を行わせる。この場合には、燃焼部13において。気体燃料供給路53からの気体燃料47の供給は行われないが、液体燃料噴出ノズル41からの液体燃料37の噴出が行われる。
【0042】
図1に示すダクト18から風箱11へ供給された燃焼用空気17は、整流部材25の整流管26に当たったうえで、整流管26の外周面34に沿って炉壁2側へ転向され、整流部材25の開口33で方向転換して整流部材25内部に入り込む。整流部材25の内部に入り込んだ燃焼用空気17は、その大部分が整流板27に沿って流れることで、供給装置12の軸心方向に沿った流れとなるように整流される。
【0043】
整流された燃焼用空気17の一部は、二次空気17bとして、流入口としてのベルマウス21の開口端22から、二次空気供給路54へ送り込まれる。供給路54へ送り込まれた二次空気17bは、燃焼用空気噴出口64および噴出口65からファンネル56の内部へ噴出される。
【0044】
整流部材25に入り込んだ燃焼用空気17の残部、すなわち、燃焼用空気17のうち、二次空気17bとして供給路54へ送り込まれなかった部分は、風箱11から連通口24を通ってマニホールドチャンバ20へ送り込まれる。このマニホールドチャンバ20へ送り込まれた燃焼用空気は、一次空気17aとして、開口39からインナーチューブ14の内部へ入り込み、開口66と燃焼部13におけるフロントディフューザ59とを通って、液体燃料噴出ノズル41からの液体燃料37とともにファンネル56の内部へ噴出されることで、燃焼に供される。このとき、燃焼用空気噴出口64および噴出口65から二次空気17bがファンネル56の内部に噴出される。
【0045】
切替専焼バーナ10において、液体燃料37に代えて気体燃料47を燃焼させるときには、供給管38による液体燃料噴出ノズル41への液体燃料37の供給を停止するとともに、図外からの気体燃料47を、接続管52および案内部材48を通して気体燃料供給路53へ送り込む。供給路53へ送り込まれた気体燃料47は、燃焼部13のガス噴出ノズル60からファンネル56の内部へ噴出される。噴出ノズル60から噴出された気体燃料47は、リアディフューザ63の位置における燃焼用空気噴出口64および噴出口65からファンネル56の内部に噴出された二次空気17bと混合されたうえで、燃焼に供される。このとき、フロントディフューザ59からは、液体燃料37を含まない一次空気17aのみが、ファンネル56の内部に噴出される。
【0046】
このようにして、液体燃料37と気体燃料47との切替専焼が行われる。
【0047】
マニホールドチャンバ20の内部におけるインナーチューブ14の開口39の部分には、開口39におけるインナーチューブ14の開口面積を調節するための開度調節部材68が設けられている。
【0048】
[開度調節部材の第1の形態]
図3および図4は、開度調節部材68の第1の形態を示す。ここでは、開度調節部材68は、円盤体70を有し、この円盤体70は、インナーチューブ14への流入口としての開口39にはまり込んで、開口39を塞ぐことができる閉塞部材を構成する。図示の例では、液体燃料37の噴出ノズルである液体燃料噴出ノズル41および供給管38は、図示は省略するが、それぞれ一対が横方向に並んで配置された構成となっている。このため、図4に示すように、円盤体70には、これら一対の供給管38を通すための一対の供給管挿通孔71が貫通状態で形成されている。点火用電極42も、同様に図示は省略するが一対の液体燃料噴出ノズル41に対応して一対が設けられており、それに対応した導線43も一対が横に並んで配置されている。円盤体70の位置では、導線43は円筒状の碍子44を介して円盤体70に通されている。図4に示すように、円盤体70には、そのための一対の碍子挿通孔72が貫通状態で形成されている。
【0049】
円盤体70には、供給管挿通孔71および碍子挿通孔72のほかに、燃焼用空気を通すための空気孔73が、厚み方向への貫通状態で形成されている。空気孔73の口径およびその数は、所要の開口面積に応じて適宜に設定することができる。空気孔73が1つだけの場合は、所要の開口面積となる大きさの空気孔73を備えた円盤体70を複数種類準備しておいて、適宜交換することもできる。複数の空気孔73が形成される場合には、すべての空気孔73の口径をそろえることも可能であるし、あるいは図4に示すように口径の異なる複数種類の空気孔73をそれぞれ複数設けることもできる。さらに、口径の異なる複数種類の空気孔73を単数または複数織り交ぜて形成することもできる。
【0050】
円盤体70は、適宜の手段によってインナーチューブ14に固定することができる。図4に示す例では、案内部材48およびインナーチューブ14に貫通状態でねじ込まれる押しねじ74によって円盤体70を押圧することで、円盤体70をインナーチューブ14に固定している。インナーチューブ14の周方向に沿った押しねじ74の数は、任意である。
【0051】
図4に示すように円盤体70に複数の空気孔73が形成されている場合には、任意の空気孔73を塞ぐことによって、円盤体70における開口面積、すなわちインナーチューブ14の開口面積を調節することができる。図示は省略するが、空気孔73を塞ぐための部材としては、機械要素としてのプラグを好適に用いることができる。図4に示される例では、ねじ込み式のプラグを用いることのできる円盤体70が示されている。ねじ込み式のプラグに対応して、円盤体70の空気孔70には内ねじ75が形成されている。
【0052】
円盤体70における開口面積を調節することで、燃焼用空気の量を調節することができて、液体燃料37の燃焼時と気体燃料47の燃焼時とのいずれにおいても、安定した燃焼状態を達成することができる。
【0053】
[開度調節部材の第2の形態]
図5図7は、開度調節部材68の第2の形態を示す。ここでは、開度調節部材68は、閉塞部材として機能する栓体77を有し、この栓体77における軸心方向に沿った一部分が、横断面円形に形成されたインナーチューブ14の外側から、流入口としての開口39にはめ込まれている。
【0054】
図7に示すように、栓体77の外周には、傾斜角φを有するテーパ面78が形成されている。テーパ面78は、栓体77の一部分がインナーチューブ14の開口39にはめ込まれたときに同様にインナーチューブ14にはめ込まれ、インナーチューブ14の奥側ほど外径が小さくなる先細り形状になるようにされている。
【0055】
栓体77には、第1の形態の円盤体70と同様の供給管挿通孔71と碍子挿通孔72とが形成されている。栓体77は、挿通孔71に通される供給管38および挿通孔72に通される碍子44に沿って、これら供給管38および碍子44の長さ方向に移動できるようにされている。栓体77には、図6に示すように栓体77の外周面79から各挿通孔71、72に達する内ねじ80がそれぞれ形成されている。内ねじ80に押しねじをねじ込んで、押しねじの先端を供給管38および碍子44に押圧することで、栓体77を、供給管38および碍子44の長さ方向に沿った任意の位置に固定し保持することができる。なお、栓体77を固定、保持するための構成は、図示のものに限られず、任意である。
【0056】
このようにして、栓体77を、インナーチューブ14の開口39の軸心方向に沿った任意の位置に移動させてその位置で固定することにより、栓体78の外周のテーパ面78とインナーチューブ14における横断面円形の開口39の内周面との間に形成される隙間81(図5参照)の断面積の大きさを調節することができる。隙間81は、燃焼用空気を通すための流路を形成する。これによって、インナーチューブ14の開口面積を調節することができる。
【0057】
テーパ面78を有した栓体77を用いることで、インナーチューブ14の開口面積の調節により、一次空気17aの流量を容易に調節することができる。特に、液体燃料37の燃焼時において、一次空気17aの流量を増やすことにより、燃料と燃焼用空気との混合を良好に行うことができる。気体燃料47の燃焼側の燃焼調整でうまくいかない場合には、バーナ10の各部の設定寸法を微調整したうえで、テーパ面78を有した栓体77を移動させて、一次空気17aの流量を絞れば、液体燃料37の燃焼時において目標とするCO値、スモーク値を達成することができる。
【0058】
[開度調節部材の第3の形態]
図8および図9は、開度調節部材68の第3の形態を示す。この第3の形態の開度調節部材68も円盤体84を有し、この円盤体84も、インナーチューブ14の流入口としての開口39にはまり込んで、開口39を塞ぐことができる閉塞部材を構成するようにされている。円盤体84は、第1の形態の円盤体70と同様に、押しねじ74によってインナーチューブ14に固定される構造などとすることができる。円盤体84には、単数または複数の、厚み方向への空気孔85が貫通状態で形成されている。空気孔85は、燃焼用空気を通すための流路を形成する。
【0059】
円盤体84の一方の端面86に沿って、板状のカバー体87が配置されている。カバー体87は、適宜の手段によって、円盤体84の一方の端面86に固定されている。カバー体87には、各貫通孔85を塞ぐことができる板片88が一体に形成されている。板片88は長方形状に形成され、この長方形はその3辺において板片88から切り離されるとともに、残りの一辺の連続部89において板片88と一体に形成されている。
【0060】
円盤体84とカバー体87とには、第1の形態の円盤体70と同様の供給管挿通孔71と碍子挿通孔72とが形成されている。
【0061】
図9に示すように、板片88は、連続部89を中心として任意の角度θで折り曲げ形成することができる。板状のカバー体87が金属材料で形成されることにより、板片88は、塑性変形することで、連続部89を中心として折り曲げ形成された任意の角度θを保持することができる。所要の貫通孔85においては、角度θを実質的にゼロにして、空気孔85を塞ぐこともできる。これにより、各空気孔85と各板片88との距離を調節することができて、各空気孔85を通る燃焼用空気の流速や流量を任意に調節することができる。その結果、開度調節部材68によりインナーチューブ14の開口面積を調節することができ、しかもその調節を空気孔85ごとに微妙に行うことができる。
【0062】
板片88の形状は任意である。すなわち、上記においては板片88を長方形状としたものを説明したが、これに代えてU字状やその他の適宜の形状とすることもできる。
【0063】
[技術思想のまとめ]
本発明の実施の形態の切替専焼バーナ10によれば、インナーチューブ14への燃焼用空気の流入口の開口面積を調節できることで燃焼用空気17の流れを、液体燃料37の燃焼と気体燃料47の燃焼とのいずれにも適したものとなるように調節することができる。
【0064】
上記においては、液体燃料37の燃焼に用いる一次空気17aのためのインナーチューブ14の開口39の開口面積を調節することができる開度調節部材38について説明した。これに対し、必要に応じて、同様の構成を、気体燃料47の燃焼に用いる二次空気17bのための流入口、すなわちベルマウス21やその他の部材における燃焼用空気17の流入口に適用することもできる。あるいは、一次空気17aの流入口と二次空気17bの流入口との両方に開度調節部材を設けることもできる。
【0065】
上述のように、切替専焼バーナにおいては、液体燃料の燃焼用の一次空気の供給の仕方や流速が変化すると、二次空気の供給の仕方や流速が変化する場合に比べて、バーナの燃焼状態に与える影響が大きい。このため、本発明においては、上記した実施の形態のように、液体燃料37の燃焼に用いる一次空気17aのためのインナーチューブ14の開口39の開口面積を調節するように構成する方が、より効果的である。
【0066】
[実験例]
熱出力1250kW、メタンガス流量117m(N)/時、A重油流量129.4L(N)/時、空気流量1627m(N)/時の切替専焼バーナを使用し、かつ図5に示される構成の開度調節部材68を使用して燃焼を行ったときの、同バーナの燃焼特性の測定結果について説明する。対比のために、同切替専焼バーナにおいて開度調節部材を用いなかったときの測定結果についても併せて説明する。
【0067】
図10
図10は、液体燃料としてのA重油を用いて油燃焼を行ったときの、低負荷時のスモークNo.と排ガスCO濃度(ppm)とを示すグラフである。ここにいう低負荷時とは、燃焼量40%の負荷のときをいう。図10のグラフにおいて、横軸は排ガスO濃度(体積%)である。排ガスO濃度は、バーナに供給される燃焼用空気量を管理するための指標である。図10において、「振動域」とは、燃焼振動が発生しやすい領域を意味する。
【0068】
図10にプロットされている黒丸は、バーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときのスモークの測定結果である。白丸は、バーナ各部の設定寸法を調節することなしに、上述の図5に示される第2の形態の開度調節部材68を用いてインナーチューブの開口の開度を調節したときの、同じ低負荷時の測定結果である。開度調節部材68の開度は、案内部材48の他端50の端面からの隙間81の長さが0~15mmとなる範囲で調節した。
【0069】
図10にプロットされている黒三角は、上記のスモーク測定時にあわせて測定した、同様にバーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときの、排ガスCO濃度の測定結果である。白三角は、同様にバーナ各部の設定寸法を調節することなしに、上述の第2の形態の開度調節部材68を用いてインナーチューブの開口の開度を調節したときの、排ガスCO濃度の測定結果である。
【0070】
図10から、バーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときに比べて、開度調節部材68を用いてインナーチューブの開口の開度を調節したときの方が、液体燃料を燃焼させたときのスモークNo.、排ガスCO濃度(ppm)とも改善されていることを理解できる。なお、排ガス排ガスO濃度が低い場合には、開度調節部材68を用いてインナーチューブの開口の開度を調節することで、スモークNo.および排ガスCO濃度(ppm)を改善しすぎると燃焼振動が生じやすくなることを理解できる。このことから、スモークNo.および排ガスCO濃度(ppm)の改善の観点と、燃焼振動の発生防止の観点とのバランスをうまくとるべきであることも、図10から知ることができる。
【0071】
図11
図11は、気体燃料としてのメタンガスを燃料としてガス燃焼を行ったときの、図10の場合と同様の低負荷時の、排ガスCO濃度(ppm)を示すグラフである。同様に、横軸は排ガスO濃度(体積%)である。図11にも、同様に「振動域」が示されている。
【0072】
図11にプロットされている黒三角は、バーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときの排ガスCO濃度の測定結果である。白三角は、バーナ各部の設定寸法を調節することなしに、図10の場合と同じ開度調節部材を用いてインナーチューブの開口の開度を調節したときの、同じ低負荷時の測定結果である。
【0073】
図11から、バーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときに比べて、開度調節部材68を用いてインナーチューブの開口の開度を調節したときの方が、特に排ガスO濃度が6体積%以下の領域と8体積%以上の領域において、気体燃料を燃焼させたときの排ガスCO濃度(ppm)が改善されていることを理解できる。なお、同様に排ガスO濃度が低い場合には、開度調節部材68を用いてインナーチューブの開口の開度を調節することで、排ガスCO濃度(ppm)を改善しすぎると燃焼振動が生じやすくなることを理解できる。このことから、同様に、排ガスCO濃度(ppm)の改善の観点と、燃焼振動の発生防止の観点とのバランスをうまくとるべきであることも、図11から知ることができる。
【0074】
図12
図12は、図10の場合と同様に液体燃料としてのA重油を用いて油燃焼を行ったときの、高負荷時のスモークNo.と排ガスCO濃度(ppm)とを示すグラフである。ここにいう高負荷時とは、燃焼量100%の負荷のときをいう。図12のグラフにおける縦軸と横軸は、図10のものと同じである。
【0075】
図12にプロットされている各記号は、図10の場合と同じものを意味し、黒丸は、バーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときのスモークNo.の測定結果である。白丸は、バーナ各部の設定寸法を調節することなしに、開度調節部材68を用いてインナーチューブの開口の開度を調節したときの、同じ高負荷時の測定結果である。開度調節部材68の開度の調節は、図10の場合と同様とした。黒三角はバーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときの排ガスCO濃度の測定結果、白三角はバーナ各部の設定寸法を調節することなしに開度調節部材68を用いてインナーチューブの開口の開度を調節したときの排ガスCO濃度の測定結果である。
【0076】
図12において、黒三角で示される排ガスCO濃度を制御するためにバーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときにおいて、排ガスO濃度が6体積%を超える領域については、燃焼状態を調整するためにバーナ各部の設定寸法を調節することが、もはや不可能であった。つまり調節可能領域を超えていた。白三角で示される排ガスCO濃度を制御するために開度調節部材による調節を行った場合と、黒丸で示されるスモークNo.を制御するためにバーナ各部の設定寸法を調節した場合と、白丸で示されるスモークNo.を制御するために開度調節部材による調節を行った場合とにおいては、排ガスO濃度が7体積%を超える領域については、燃焼状態を調整するためにバーナ各部の設定寸法を調節したり開度調節部材による調節を行ったりすることが、もはや不可能であった。つまり調節可能領域を超えていた。
【0077】
図12から、特に排ガスCO濃度については、排ガスO濃度が6体積%以下の領域において、バーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときに比べて、開度調節部材68を用いてインナーチューブの開口の開度を調節したときの方が改善されていることを理解できる。
【0078】
図13
図13は、図11の場合と同様に気体燃料としてのメタンガスを燃料としてガス燃焼を行ったときの、図12の場合と同様の高負荷時の、排ガスCO濃度(ppm)を示すグラフである。図13のグラフにおける縦軸と横軸は、図11のものと同じである。
【0079】
図13にプロットされている記号は、図11の場合と同じものを示す。つまり、黒三角は、バーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときの排ガスCO濃度の測定結果である。白三角は、バーナ各部の設定寸法を調節することなしに、図12の場合と同じ開度調節部材を用いてインナーチューブの開口の開度を調節したときの、同じ高負荷時の測定結果である。
【0080】
図13において、図12の場合と同様に、排ガスO濃度が7体積%を超える領域については、燃焼状態を調整するためにバーナ各部の設定寸法を調節することや、開度調節部材による調節を行うことが、もはや不可能であった。つまり調節可能領域を超えていた。
【0081】
図13から、排ガスO濃度が7体積%以下の領域において、バーナ各部の設定寸法を調節することで燃焼状態を調整したときに比べて、開度調節部材68を用いてインナーチューブの開口の開度を調節したときの方が、排ガスCO濃度改善されていることを理解できる。
【符号の説明】
【0082】
14 インナーチューブ
15 アウターチューブ
16 ブラストチューブ
17 燃焼用空気
17a 燃焼用一次空気
17b 燃焼用二次空気
22 開口端(燃焼用二次空気の流入口)
37 液体燃料
39 開口(燃焼用一次空気の流入口)
41 液体燃料噴出ノズル
47 気体燃料
53 気体燃料供給路
54 二次空気供給路
60 ガス噴出ノズル
62 気体燃料噴出口
64 燃焼用空気噴出口(燃焼用二次空気の噴出口)
65 噴出口(燃焼用二次空気の噴出口)
66 開口(燃焼用一次空気の噴出口)
68 開度調節部材
70 円盤体(閉塞部材)
73 空気孔
74 押しねじ
77 栓体(閉塞部材)
78 テーパ面
84 円盤体(閉塞部材)
85 空気孔
87 カバー体
88 板片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13