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特開2024-142592情報表示装置、情報を表示するための方法、および、当該方法をコンピューターに実行させるためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142592
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】情報表示装置、情報を表示するための方法、および、当該方法をコンピューターに実行させるためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241003BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241003BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20241003BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
G03G21/00 386
G03G21/00 510
B41J29/42 F
B41J29/38 301
B41J29/38 202
B41J29/38 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054799
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中根 良樹
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 正安
(72)【発明者】
【氏名】森田 さや香
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061CQ41
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2H270QA43
2H270QB07
2H270QB08
2H270QB09
2H270QB21
2H270RB09
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC38
5C062AC65
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】技術的な知識を有さないユーザーも様々な不具合の原因を特定できる情報提供装置を提供する。
【解決手段】情報提供装置の一例である画像形成装置が備える制御装置が実行する処理は、操作パネル203に表示される画面(A)において、不具合解消モードへの切り換えに対応するアイコン310を選択するタッチ操作を受け付けることと、当該タッチ操作に応答して不具合の種類を問い合せるために操作パネル203に表示される画面(B)において、各不具合にそれぞれ対応する複数のアイコンから、該当する不具合に対応するアイコン320を選択するタッチ操作を受け付けることと、当該操作に応じて不具合の内容を問い合せるために操作パネル203に表示される画面(C)において、各不具合の内容にそれぞれ対応する複数のアイコンから、該当する不具合の内容に対応するアイコン330を選択するタッチ操作を受け付けることとを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供装置であって、
前記情報提供装置に対する入力を受け付ける入力装置と、
画面を表示するための表示装置と、
前記情報提供装置の動作を制御する制御装置と、
前記情報提供装置に発生する可能性のある複数の不具合候補の各々を記憶するための記憶装置とを備え、前記複数の不具合候補の各々は、前記情報提供装置における複数の現象に関連付けられており、前記複数の現象の各々は、一つ以上の原因に関連付けられており、
前記制御装置は、前記入力に基づいて、前記複数の不具合候補を前記表示装置に表示し、
前記制御装置は、前記複数の不具合候補のいずれかが選択されたことに基づいて、当該選択された不具合候補に関連付けられた一つ以上の現象を表示し、
前記制御装置は、前記一つ以上の現象のいずれかが選択されたことに基づいて、当該選択された現象に関連付けられている一つ以上の原因を前記表示装置に表示する、情報提供装置。
【請求項2】
前記複数の現象の各々は、予め定められた階層を有し複数の原因から構成される原因分析ツリーに関連付けられており、
前記一つ以上の現象を表示することは、前記原因分析ツリーの下の階層にある、当該選択された不具合候補に関連付けられた一つ以上の現象を表示することを含み、
前記制御装置は、最下層の原因を前記表示装置に表示するまで、前記入力を受け付ける、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
各原因はそれぞれ、とり得る対策に関連付けられており、
前記制御装置は、いずれかの前記とり得る対策が前記表示装置に表示されるまで前記現象の選択を受け付ける、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記情報提供装置の状態を表わす状態情報を収集し、
前記制御装置は、前記状態情報に基づいて、前記複数の原因から、選択された不具合候補に対応する原因に絞り込む、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記最下層の原因に基づいて、前記情報提供装置における画像形成の条件を変更する、請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記画像形成の条件が変更される場合に画像品質に変化が生じることに基づいて、前記制御装置は、前記画像品質の変化を例示する複数のサンプル画像を前記表示装置に表示し、
前記入力装置は、前記複数のサンプル画像のいずれかの選択を受け付け、
前記制御装置は、前記情報提供装置の画像形成条件の設定を、選択されたサンプル画像を形成する条件に変更する、請求項5に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記情報提供装置は、交換可能な画像形成ユニットをさらに備え、
前記記憶装置は、前記画像形成ユニットが交換される前の前記情報提供装置の画像形成条件を記憶しており、
前記制御装置は、前記画像形成ユニットが交換されたことに基づいて、前記画像形成条件を、前記画像形成ユニットが交換される前の画像形成条件に戻す、請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記入力装置は、前記情報提供装置のユーザーを識別する識別情報の入力を受け付け、
前記記憶装置は、前記原因分析ツリーの各原因を選択する前記ユーザーによる入力の履歴を保持しており、
前記制御装置は、入力された識別情報に基づいて、前記入力の履歴に応じて前記複数のサンプル画像の各々を表示する順序を変更する、請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記不具合候補の原因に応じて、前記不具合候補に関係する複数の部位のうち、不具合が顕著になる部位として予め指定されている部位が作動するように、前記情報提供装置を作動させる、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記不具合候補の原因が特定された場合に前記情報提供装置の画像形成条件の変更によって不具合が解消しないと判定したことに基づいて、前記情報提供装置の部品交換を必要とする不具合を予め登録された連絡先に通知する、請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項11】
装置の情報を提供するコンピューターによって実行される方法であって、
前記コンピューターに対する入力を受け付けるステップと、
画面を表示するステップと、
前記装置の動作を制御するステップと、
前記装置に発生する可能性のある複数の不具合候補の各々を表わすデータにアクセスするステップとを備え、前記複数の不具合候補の各々は、前記装置における複数の現象に関連付けられており、前記複数の現象の各々は、一つ以上の原因に関連付けられており、前記方法はさらに、
前記入力に基づいて、前記複数の不具合候補を表示するステップと、
前記複数の不具合候補のいずれかが選択されたことに基づいて、当該選択された不具合候補に関連付けられた一つ以上の現象を表示するステップと、
前記一つ以上の現象のいずれかが選択されたことに基づいて、当該選択された現象に関連付けられている一つ以上の原因を表示するステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記複数の現象の各々は、予め定められた階層を有し複数の原因から構成される原因分析ツリーに関連付けられており、
前記一つ以上の現象を表示することは、前記原因分析ツリーの下の階層にある、当該選択された不具合候補に関連付けられた一つ以上の現象を表示することを含み、前記方法はさらに、
最下層の原因を表示するまで、前記入力を受け付けるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記原因分析ツリーにおける最下層の各原因はそれぞれ、とり得る対策に関連付けられており、前記方法は、
いずれかの前記とり得る対策が表示されるまで前記現象の選択を受け付けるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記装置の状態を表わす状態情報を収集するステップと、
前記状態情報に基づいて、前記複数の原因から、選択された不具合候補に対応する原因に絞り込むステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記最下層の原因に基づいて、前記装置における画像形成の条件を変更するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記画像形成の条件が変更される場合に画像品質に変化が生じることに基づいて、前記画像品質の変化を例示する複数のサンプル画像を表示するステップと、
前記複数のサンプル画像のいずれかの選択を受け付けるステップと、
前記装置の画像形成条件の設定を、選択されたサンプル画像を形成する条件に変更するステップとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記装置は画像形成ユニットを含み、
前記画像形成ユニットが交換される前に前記装置の画像形成条件を保存するステップと、
前記画像形成条件にアクセスするステップと、
前記画像形成ユニットが交換されたことに基づいて、前記画像形成条件を、前記画像形成ユニットが交換される前の画像形成条件に戻すステップとをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記装置のユーザーを識別する識別情報の入力を受け付けるステップと、
各原因を選択する前記ユーザーによる入力の履歴にアクセスするステップと、
入力された識別情報に基づいて、前記入力の履歴に応じて前記複数のサンプル画像の各々を表示する順序を変更するステップとをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記不具合候補の原因に応じて、前記不具合候補に関係する複数の部位のうち、不具合が顕著になる部位として予め指定されている部位が作動するように、前記装置を作動させるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記不具合候補の原因が特定された場合に前記装置の画像形成条件の変更によって不具合が解消しないと判定したことに基づいて、前記装置の部品交換を必要とする不具合を予め登録された連絡先に通知するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
請求項11~20のいずれかに記載の方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は情報の表示に関し、より特定的には装置が不具合を発生した場合に情報を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置、制御装置あるいは加工装置その他の各種装置は、複数の処理を実行する。たとえば、画像形成装置による画像形成プロセスは多くの工程を経る。そのため、画像不良が発生した場合に、どのプロセスで画像不良が発生しているかを特定するためには、画像形成装置に関する技術的知見が必要となる。
【0003】
たとえば、特開2019-102843号公報(特許文献1)は、「画像不良が発生した場合に、ユーザーに画像不良に対する知識がなくても、画像不良の種別を精度良く特定する」技術を開示している([要約]参照)。特開2017-083544号公報(特許文献2)は、「故障発生時のサービスマンの対応時間やメディア、トナーの使用を削減し、コストを抑制することができる画像処理装置」を開示している([要約]参照)。特開2007-325194号公報(特許文献3)は、「マニュアル等を見て調べる等の自己診断の手間をできるだけかけずにユーザ自らが装置の故障を正確に診断でき、故障復旧に迅速に対応可能にする」技術を開示している([要約]参照)。特開2019-116007号公報(特許文献4)は、「故障部品の検知精度が良好かつダウンタイムを削減し得る故障診断システムおよび故障診断方法」を開示している([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-102843号公報
【特許文献2】特開2017-083544号公報
【特許文献3】特開2007-325194号公報
【特許文献4】特開2019-116007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像形成装置で発生する不具合は、画像品質に関するものに限られず、異音、異臭、紙詰まりなど多岐に渡る。そのため、上述のような従来技術では、画像形成装置に発生する全ての不具合の原因を特定することができなかった。したがって、様々な不具合の原因を特定する技術が必要とされている。
【0006】
本開示は上述のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的の一つは、装置に発生する様々な不具合の原因を特定する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施の形態に従うと、情報表示装置が提供される。この情報表示装置は、上記情報表示装置に対する入力を受け付ける入力装置と、画面を表示するための表示装置と、上記情報表示装置の動作を制御する制御装置と、上記情報表示装置に発生する可能性のある複数の不具合候補の各々を記憶するための記憶装置とを備える。上記複数の不具合候補の各々は、上記情報表示装置における複数の現象に関連付けられている。上記複数の現象の各々は、一つ以上の原因に関連付けられている。上記制御装置は、上記入力に基づいて、上記複数の不具合候補を上記表示装置に表示する。上記制御装置は、上記複数の不具合候補のいずれかが選択されたことに基づいて、当該選択された不具合候補に関連付けられた一つ以上の現象を表示する。上記制御装置は、一つ以上の現象のいずれかが選択されたことに基づいて、選択された現象に関連付けられている一つ以上の原因を表示装置に表示する。
【0008】
他の実施の形態に従うと、装置の情報を提供するコンピューターによって実行される方法が提供される。この方法は、コンピューターに対する入力を受け付けるステップと、画面を表示するステップと、上記装置の動作を制御するステップと、上記装置に発生する可能性のある複数の不具合候補の各々を表わすデータにアクセスするステップとを備える。上記複数の不具合候補の各々は、上記装置における複数の現象に関連付けられている。上記複数の現象の各々は、一つ以上の原因に関連付けられている。上記方法はさらに、上記入力に基づいて、上記複数の不具合候補を表示するステップと、上記複数の不具合候補のいずれかが選択されたことに基づいて、当該選択された不具合候補に関連付けられた一つ以上の現象を表示するステップと、上記一つ以上の現象のいずれかが選択されたことに基づいて、当該選択された現象に関連付けられている一つ以上の原因を表示するステップとを含む。
【0009】
さらに他の実施の形態に従うと、上記の方法をコンピューターに実行させるためのプログラムが提供される。
【0010】
ある局面において、装置に発生する様々な不具合の原因が特定され得る。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に従う画像形成装置100の一構成例を示す図である。
図2】画像形成装置100の一部の回路構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施の形態に従う操作パネル203における画面の推移を表わす図である。
図4】第2の実施の形態に従う画像形成装置400の一部の構成を表わすブロック図である。
図5】第2の実施の形態に従う画像形成装置400が備える記憶装置51におけるデータの格納の一態様を概念的に例示する図である。
図6】第2の実施の形態に従う画像形成装置400の制御装置50が実行する処理の一部を表わすフローチャート(その1)である。
図7】第2の実施の形態に従う画像形成装置400の制御装置50が実行する処理の一部を表わすフローチャート(その2)である。
図8】操作パネル203の表示領域に示されるモニター画面の変化を表わす図である。
図9】第3の実施の形態に従う画像形成装置900の構成の一部を例示する図である。
図10】第7の実施の形態に従う画像形成装置1000の構成の一部の概略を表わす図である。
図11】第8の実施の形態に従う画像形成装置が異音判定のために実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図12】第9の実施の形態に従う画像形成装置1200の構成の一部の概略を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
本明細書で開示される画像形成装置は、発生する不具合に対して、問診画面を表示する。ユーザーが当該問診画面から情報を入力すると、画像形成装置は、入力された情報から不具合の原因を絞り込み、問診画面に当該原因を表示する。ある局面において、画像形成装置は、当該不具合の絞り込みと当該原因の表示とを繰り返して、その内部で発生する不具合を特定する。画像形成装置は、画像形成条件その他画像形成装置の駆動条件を変更することにより、不具合を解消し又は軽減する。また、画像形成装置が当該駆動条件を変更する場合には、ユーザーは、画像の出力品質の変化の好みに応じて、当該駆動条件を選択できる。
【0014】
これにより、画像形成装置の技術に不案内なユーザーも、様々な不具合の原因を特定しやすくなる。また、ユーザーは、画像形成装置の故障に対して速やかに対策できる。さらに、駆動条件が変更された場合でも、各ユーザーは、自らが好む画質が出力される設定で画像形成装置を作動させることができる。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1および図2を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置100の構成について説明する。図1は、本実施の形態に従う画像形成装置100の一構成例を示す図である。
【0016】
以下では、一例として、MFP(Multi-Function Peripheral)として実装される画像形成装置100について説明する。画像形成装置100は、例えばカラー画像形成装置であるが、本実施の形態に係る技術思想の適用対象は、カラー画像形成装置に限定されるわけではなく、当該技術思想は、モノクロ画像形成装置にも適用可能である。さらに、当該技術思想を実現するコンピュータープログラムを、携帯端末、タブレット端末その他の情報処理端末、あるいは、クラウドに設けられたサーバーにインストールすることにより、当該術思想は、当該携帯端末、タブレット端末その他の情報処理端末、当該サーバーに対しても適用可能である。
【0017】
画像形成装置100は、プリントエンジン110と、原稿読取部120と、排出トレイ130とを備える。プリントエンジン110は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、キー・プレート(K)のそれぞれのトナー像を生成するイメージングユニット10C,10M,10Y,10K(以下、「イメージングユニット10」と総称することもある)と、中間転写ベルト12と、中間転写体駆動ローラー14,16と、ベルトクリーニング部18と、転写ローラー20,21と、定着部22と、給紙部30と、送出ローラー32と、搬送ローラー34,36と、制御装置50と、記憶装置51とを含む。イメージングユニット10は、感光体1と、帯電部2と、露光部3と、現像部4(対応するイメージングユニット10が生成するトナー像の色に対応させて、4C、4M、4Y、4Kとそれぞれ記載する)と、クリーニング部5と、中間転写体接触ローラー6とを含む。原稿読取部120は、イメージスキャナー122と、原稿給紙台124と、自動原稿送り装置126と、原稿排紙台128とを含む。
【0018】
プリントエンジン110は、給紙部30内の媒体40に印刷する。媒体40は、送出ローラー32により、給紙部30から搬送される。さらに、媒体40は、搬送ローラー34,36により、転写ローラー20,21に搬送される。転写ローラー20,21が、媒体40にトナー像を転写すると、定着部22は定着処理を実行する。媒体40は、排出トレイ130に排出される。
【0019】
各イメージングユニット10及び中間転写ベルト12は、媒体40に転写するトナー像を生成する。帯電部2は、像担持体である感光体1の表面を一様に帯電する。露光部3は、レーザー書き込み等により、指定された画像パターンに従って感光体1の表面を露光することで、感光体1の表面上に静電潜像を形成する。現像部4は、感光体1上に形成された静電潜像をトナー像として現像する。
【0020】
感光体1の表面に形成されたトナー像は、中間転写体接触ローラー6によって中間転写ベルト12に転写される。それぞれの感光体1からのトナー像は、中間転写ベルト12上に順次転写され、4色のトナー像が重ね合わされることになる。重ね合わされたトナー像は、転写ローラー20及び21によって、中間転写ベルト12から媒体40へ転写される。
【0021】
感光体1から中間転写ベルト12へのトナー像の転写いわゆる2次転写の後に、クリーニング部5は、感光体1を清掃するために、感光体1の表面に残留したトナーおよび外添剤を除去する。クリーニング部5は、当該クリーニング部5と感光体1との間に滞留するトナーによって形成される静止層により、感光体1の表面のトナーおよび外添剤を除去する。静止層は、感光体1の表面の清掃だけではなく、クリーニング部5と感光体1との間の摩擦を低減させて、クリーニング部5および感光体1を保護する。
【0022】
原稿読取部120は、原稿を読み取る。原稿読取部120は、その読み取り結果をプリントエンジン110に対する入力画像として出力する。イメージスキャナー122は、プラテンガラス上に配置された原稿をスキャンする。自動原稿送り装置126は、原稿給紙台124に配置された原稿を連続的に送る。原稿給紙台124上に配置された原稿は、送出ローラー(図示しない)により1枚ずつ送られる。送られた原稿は、イメージスキャナー122によって、または自動原稿送り装置126内に配置されたイメージセンサーによって、順次スキャンされる。その後、原稿は、原稿排紙台128へ排出される。
【0023】
制御装置50は、画像形成装置100の動作を制御する。記憶装置51は、画像形成装置100のファームウェアその他のプログラム、および、各種設定その他のデータを保持している。当該データは、画像形成装置100の型番、製造番号その他画像形成装置を特定するためのデータを含む。制御装置50は、記憶装置51から必要なデータやプログラムを参照する。
【0024】
図2は、画像形成装置100の一部の回路構成の一例を示す図である。図2に示されるように、制御装置50は、記憶装置51と、各イメージングユニット10と、複数のアクチュエーター204と、操作制御部200と、センサー210とに電気的に接続されている。操作制御部200は、通信部201と、スキャナー部202と、操作パネル203とに電気的に接続されている。
【0025】
通信部201は、外部のコンピュータ等の端末から画像や印刷ジョブを受信する。また、通信部201は、端末に対してデータを送信する。送信されるデータは、画像形成後のデータ、画像形成装置100の状態を表わすデータ、画像形成装置100のメンテナンスを要求するメッセージ等を含み得る。当該メッセージは、テキストおよび音声のいずれであってもよい。通信部201は、ある局面において、電話機能により、あるいは、電子メール機能により実現される。
【0026】
スキャナー部202は、原稿読取部120に送られた原稿をスキャンして、当該原稿に対応する画像データを取得する。
【0027】
操作パネル203は、画像形成装置100の筐体に設けられたタッチパネルやボタン(図示しない)からの入力を受け付ける。操作パネル203は、出力装置として、画像形成装置100の筐体に設けられたモニター(図示しない)に情報を表示する。表示される情報は、画像形成装置100のユーザーによって与えられた印刷指示の内容を表わす情報と、画像形成装置100の異常時における状態を表わす情報とを含む。
【0028】
操作制御部200は、通信部201、スキャナー部202および操作パネル203のいずれかから受信した画像データや印刷ジョブに基づいて、制御装置50に印刷指示を送信する。また、操作制御部200は、ドットカウントや画像データ等を制御装置50に送信する。
【0029】
制御装置50は、操作制御部200からの印刷指示を受信したことに基づいて、各アクチュエーター204を制御することにより、画像データに基づき画像を形成し、媒体に画像を印刷する。制御装置50は、必要なデータやプログラムを記憶装置51または制御装置50に内蔵されるメモリから取得し得る。
【0030】
各アクチュエーター204は、例えば、イメージングユニット10や各種ローラーを駆動させるためのモーター、定着部46のハロゲンヒーター、帯電部2、露光部3および現像部4等の任意のアクチュエーターであり得る。
【0031】
[画面推移]
図3を参照して、画像形成装置100の画面推移について説明する。図3は、第1の実施の形態に従う操作パネル203における画面の推移を表わす図である。
【0032】
画面(A)は、画像形成装置100が操作を受け付け可能な待機状態にある場合における操作パネル203のデフォルトメニューの一例を表わす図である。
【0033】
操作パネル203は、タッチパネルとして実現されている。操作パネル203は、画像形成装置100が実行する通常の処理を受け付けるアイコンに加えて、アイコン310を表示している。アイコン310は、画像形成装置100の動作モードを通常のモードから不具合解消モードに切り換える命令を受け付ける。
【0034】
ある局面において、ユーザーは、画像形成装置100の品質異常あるいは動作異常を認識する場合がある。たとえば、ユーザーは、印刷された媒体(用紙)における印刷異常、あるいは、画像形成装置100の運転中の異音などを認識し得る。このような場合、ユーザーが、アイコン310を押下すると、制御装置50は、画像形成装置100の動作モードを通常の運転モードから不具合解消モードに切り換える。さらに、制御装置50は、操作パネル203の画面を、画面(A)から画面(B)に切り換える。
【0035】
画面(B)は、画像形成装置100のユーザーに対して不具合の種類を問いかける。ある局面において、制御装置50は、操作パネル203に、予め想定された一つ以上の不具合の種類の選択を受け付けるアイコンを表示する。ユーザーが、不具合の種類としてアイコン320を選択すると、制御装置50は、操作パネル203の画面を、画面(B)から画面(C)に切り換える。
【0036】
画面(C)は、画像形成装置100のユーザーに対して不具合の内容を問いかける。ある局面において、操作パネル203は、予め想定された一つ以上の不具合の内容の選択を受け付けるアイコンを表示する。印刷された用紙に色がついている場合、ユーザーは、不具合の種類としてアイコン330を選択することができる。
【0037】
このようにして、ユーザーは、不具合の原因を絞り込むことができる。
<第2の実施の形態>
図4図8を参照して、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に従う画像形成装置は、不具合の絞り込み動作を繰り返す機能を有する点で前述の実施の形態に従う画像形成装置と異なる。なお、本実施の形態に従う画像形成装置のハードウェア構成は、前述の実施の形態に従う画像形成装置100のハードウェア構成と同じである。したがって、ハードウェア構成の説明は繰り返さない。
【0038】
[機能構成]
図4を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置400の構成の一例について説明する。図4は、第2の実施の形態に従う画像形成装置400の一部の構成を表わすブロック図である。
【0039】
画像形成装置400は、操作パネル203と、制御装置50と、記憶装置51とを備える。操作パネル203は、表示部410と、入力部420とを含む。制御装置50は、不具合絞り込みモジュール430と、不具合箇所判定モジュール440とを含む。
【0040】
表示部410は、液晶モニター、有機EL(Electro Luminescence)モニター等により構成される。入力部420は、タッチパネル、物理スイッチ等により構成される。
【0041】
不具合絞り込みモジュール430は、ユーザーによる入力(選択操作)に基づいて、画像形成装置400で生じている不具合の候補を絞り込む。絞り込みの処理の詳細は後述する。
【0042】
不具合箇所判定モジュール440は、ユーザーによる入力に基づいて、画像形成装置400で生じている不具合を特定する。
【0043】
記憶装置51は、画像形成装置400の動作を制御するプログラム、および、画像形成装置400のユーザーによって設定されて画像形成条件その他のデータを保持している。
【0044】
[データ構造]
図5を参照して、画像形成装置400のデータ構造について説明する。図5は、第2の実施の形態に従う画像形成装置400が備える記憶装置51におけるデータの格納の一態様を概念的に例示する図である。記憶装置51は、ツリー510と、テーブル520,530とを保持している。
【0045】
ツリー510は、不具合候補に関するロジックツリーを保持している。本実施の形態において、不具合候補とは、画像形成装置100において生じ得ることが想定される一または複数の異常(不具合)をいう。ツリー510は、当該不具合候補の詳細データを含む。ツリー510は、原因分析のツリー形式のデータである。なお、不具合候補のデータを保持する形式は、ツリー形式に限られない。
【0046】
より具体的には、不具合候補は、一つ以上の原因を含む。ある原因は一つ以上のサブ原因に分けられ得る。他の原因は一つ以上の根本の原因に分けられ得る。あるサブ原因は、さらに一つ以上の原因に分けられ得る。他のサブ原因は、根本の原因に分けられ得る。各根本の原因は、一つ以上の対策に関連付けられている。
【0047】
テーブル520は、画像形成装置400のユーザーによって設定された画像形成条件の内容を含む。画像形成条件が変更された場合でも、ユーザーは、テーブル520に保持されている画像形成条件を読み出すことで、希望する画像形成条件を容易に設定できる。また、当該画像形成条件は、画像形成装置400のスペックと同じスペックを有する他の画像形成装置に伝送され得る。これにより、当該他の画像形成装置も同一の画像形成条件で作動し得る。たとえば、同じスペックの複数の画像形成装置がイントラネットワークに接続されている場合に、各画像形成装置は、同一の画像形成条件で媒体に画像を印刷できる。
【0048】
テーブル530は、画像形成装置400のユーザー毎に、画像品質の好みの変化の順序を保持している。画像品質の好みは、ユーザー毎に異なる。本実施の形態に従う画像形成装置100は、各ユーザーが選択した画像品質の好みを保持することができる。
【0049】
[制御構造]
図6および図7を参照して、画像形成装置400の制御構造について説明する。図6および図7は、第2の実施の形態に従う画像形成装置400の制御装置50が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0050】
ステップS610にて、制御装置50は、操作パネル203に対する入力に基づいて、不具合候補の表示の指示が入力されたことを検知する。
【0051】
ステップS620にて、制御装置50は、記憶装置51に格納されているデータ(ツリー510)に基づいて、複数の不具合候補をモニター(図示しない)に表示する。
【0052】
ステップS630にて、制御装置50は、操作パネル203に対する入力に基づいて、いずれかの不具合候補がユーザーによって選択されたことを検知する。たとえば、ユーザーがモニターに表示されたいずれかのアイコンを選択すると、当該アイコンに関連付けられた不具合候補が選択される。
【0053】
ステップS640にて、制御装置50は、記憶装置51に格納されているデータ(ツリー510)に基づいて、選択された不具合候補の考えられる一つ以上の原因をモニターに表示する。
【0054】
ステップS650にて、制御装置50は、操作パネル203に対する入力に基づいて、当該一つ以上の原因からいずれかの原因が選択されたことを検知する。この場合も、たとえば、ユーザーがモニターに表示されたいずれかのアイコンを選択すると、当該アイコンに関連付けられた原因が選択される。
【0055】
ステップS660にて、制御装置50は、選択された原因が根本の原因であるか否かを判断する。この判断は、ツリー510を構成する各ノードに関連付けられている属性が根本の原因であるか否かに基づいて行なわれる。制御装置50は、選択された原因が根本の原因であると判断すると(ステップS660にてYES)、制御をステップS670に切り換える。そうでない場合には(ステップS660にてNO)、制御装置50は、制御をステップS640に戻す。
【0056】
ステップS670にて、制御装置50は、後述する対策処理を実行する。対策処理は、当該根本の原因に関連付けられている。
【0057】
図7を参照して、制御装置50は、対策処理(ステップS670)を実行する。まず、ステップS710にて、制御装置50は、対策の候補をモニターに表示する。ステップS720にて、制御装置50は、操作パネル203に対する入力に基づいて、対策の候補からいずれかの対策を指定する入力を検知する。たとえば、ユーザーが対策が表示されたアイコンにタッチすると、いずれかの対策が選択される。
【0058】
ステップS730にて、制御装置50は、指定された対策を実行する。一例として、対策は、画像形成装置100の運転モードを確認モードに変更すること、予め規定されたガイダンスメニューをモニターに表示すること、予め登録された連絡先に通知すること等を含み得る。連絡先への通知は、メール送信、ファクシミリの送信、電話の発信を含む。
【0059】
[表示態様]
図8を参照して、画面の表示態様について説明する。図8は、操作パネル203の表示領域に示されるモニター画面の変化を表わす図である。
【0060】
画面(A)は、モニター画面の初期状態を表わす。操作パネル203は、通常の操作メニュー(コピー、スキャン等)に加えて、不具合解消モードの開始指示を受け付けるアイコン810を表示する。ある局面において、ユーザーがアイコン810にタッチすると、制御装置50は、操作パネル203に画面(B)を表示させる。
【0061】
画面(B)は、不具合の種類をユーザーに尋ねる画面である。画面(B)は、予め想定された不具合候補のアイコンを表示する。不具合候補の数が多い場合には、画面(B)は、画面を切り換える指示の入力に応答して、次の画面に他の不具合の候補を表示する。ある局面において、ユーザーがアイコン820にタッチすると、制御装置50は、操作パネル203に画面(C)を表示させる。
【0062】
画面(C)は、ユーザーによって選択された不具合「画像にノイズが発生する」の原因をユーザーに尋ねる画面である。画面(C)は、ツリー510(図5)のように予め準備されたデータ構造に従って、選択された不具合の一つ以上の原因を表示する。当該原因の数が多い場合には、画面(C)は、画面を切り換える指示の入力に応答して、次の画面に他の不具合の候補を表示する。ある局面において、ユーザーがアイコン830にタッチすると、制御装置50は、操作パネル203に画面(D)を表示させる。
【0063】
画面(D)は、ユーザーによって選択された原因「画像全体に色がつく」の対策を表わす画面である。画面(D)は、採取的に特定された原因(根本の原因)に関連付けられている一つ以上の対策を表示している。ユーザーは、一つ以上のアイコンを選択することができる。選択されたアイコンに関連付けられた対策が実行される。実行される対策は、画像形成条件をテストモードの条件に変更してテスト印刷すること、予め指定された駆動系統のみを運転させること等を含み得る。
【0064】
<第3の実施の形態>
図9を参照して、第3の実施の形態について説明する。図9は、第3の実施の形態に従う画像形成装置900の構成の一部を例示する図である。
【0065】
本実施の形態に従う画像形成装置900は、自らの状態情報を活用して不具合箇所を判定する機能を有する点で、前述の実施の形態に従う画像形成装置100と異なる。本実施の形態に従う画像形成装置900のハードウェアは、前述の画像形成装置100のハードウェア構成と同じである。したがって、当該ハードウェア構成の説明は繰り返さない。
【0066】
図9に示されるように、画像形成装置900は、図4に示される画像形成装置400の構成に加えて、記憶装置51に状態情報450を保持している。ある局面において、画像形成装置900の制御装置50は、記憶装置51にアクセスして状態情報450を読み出す。
【0067】
状態情報450は、画像形成装置900の内部の温度、湿度などの外乱、画像形成装置900を構成する現像ユニット、定着ユニット、像担持体保持ユニット、紙送りユニットの使用量、または、像担持体と現像ユニットとの間に形成される隙間の大きさ、トナー濃度などの内乱等である。これによって、例えば、ユーザーが選択した不具合情報が「画像全体に色がつく」であり、画像形成装置900の状態情報450として「画像形成装置900の湿度が高い」、「トナー濃度が高い」場合には、不具合箇所判定モジュール440は、カブリが発生しているという不具合を判定することができる。
【0068】
<第4の実施の形態>
以下、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態に従う画像形成装置は、前述の画像形成装置100,400の構成を用いて実現される。したがって、本実施の形態に従う画像形成装置のハードウェア構成の説明は繰り返さない。また、適宜、第1~第3の実施の形態に従う画像形成装置の構成を用いて、本実施の形態に従う画像形成装置を説明する。
【0069】
本実施の形態に従う画像形成装置は、第3の実施の形態に従う画像形成装置900の不具合箇所判定モジュール440によって不具合を判定した結果に基づいて画像形成条件を変更する。画像形成装置900は、変更後の画像形成条件で作動するので、不具合が解消され、また、再発が防止され得る。例えば、不具合箇所判定モジュール440は、カブリが発生しているという不具合を判定する。この場合、制御装置50は、画像形成条件を変更するために、トナー濃度を低くする。これにより、カブリの発生が解消される。
【0070】
<第5の実施の形態>
以下、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態に従う画像形成装置は、前述の画像形成装置900の構成を用いて実現される。したがって、本実施の形態に従う画像形成装置のハードウェア構成の説明は繰り返さない。また、適宜、第1~第3の実施の形態に従う画像形成装置の構成を用いて、本実施の形態に従う画像形成装置を説明する。
【0071】
ある局面において画像形成条件が変更されると、出力品質が変化する場合がある。その変化はユーザーが所望しない変化の場合もあり得る。そこで、本実施の形態に従う画像形成装置は、出力品質の変化の複数の例を表示する。ユーザーは、表示された複数の例から好みの例を選択できる。これにより、画像形成装置が画像形成条件を変更することで副作用が生じる場合に、ユーザーは、好まざる変化を避けられる。
【0072】
例えば、制御装置50が、不具合箇所判定モジュール440として、所謂カブリが発生していることを検知する場合がある。この場合、カブリを解消するためには、トナー濃度を低くする方法が有効である。しかし、トナー濃度を低くすると、画像濃度がわずかに低下するという副作用が発生する。
【0073】
また、カブリを解消するための他の方法として、画像形成前における、現像ユニット内でのトナーの撹拌時間を長くすることも有効である。しかしながら、撹拌時間が長くなると、ユーザーが画像形成の指示を画像形成装置に与えてから画像が形成された媒体(用紙)が出力されるまでに要する時間が長くなるという副作用がある。
【0074】
本実施の形態に従う画像形成装置は、画像形成条件の変更に応じて、画像品質が変更された複数の例を表示し、ユーザーは、いずれかの例を選択できる。これにより、ユーザーは、自分の好みが反映された画像形成条件を維持しつつ、上記のような副作用を回避しながら、不具合を解消できる。
【0075】
<第6の実施の形態>
以下、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態に従う画像形成装置は、画像形成ユニットが交換された場合に、画像形成条件を元の値に戻す機能を有する点で前述の実施の形態に従う画像形成装置と異なる。
【0076】
なお、本実施の形態に従う画像形成装置は、前述の画像形成装置900の構成を用いて実現される。したがって、本実施の形態に従う画像形成装置のハードウェア構成の説明は繰り返さない。また、適宜、第1~第3の実施の形態に従う画像形成装置の構成を用いて、本実施の形態に従う画像形成装置を説明する。
【0077】
ある局面において、画像形成装置を構成する画像形成ユニットは、故障や寿命のために交換される場合がある。当該画像形成装置の画像形成条件は、画像形成ユニットが交換される前に変更されていることがある。そこで、本実施の形態に従う画像形成装置は、画像形成ユニットが変更されると、当該画像形成条件を変更前の画像形成条件(あるいは、初期の画像形成条件)に戻す。これにより、新たな画像形成ユニットが画像形成装置に装着された場合には、当該画像形成装置は、元の画像形成条件で画像を形成できる。
【0078】
例えば、ある局面において、制御装置50は、カブリが発生していると判定することがある。この場合、トナー濃度が低くなるように、制御装置50は、画像形成条件を変更する場合がある。カブリが発生する原因の一つは、画像形成装置の像担持体と現像ユニットとの間に形成される隙間の大きさが小さいことである。このような場合、画像形成ユニットが、像担持体と現像ユニットとの間に形成される隙間の大きさが大きい画像形成ユニットに交換されると、形成される画像の濃度が低くなるという不具合が発生し得る。
【0079】
そこで、画像形成ユニットが交換された場合には、制御装置50は、条件変更モジュールとして、画像形成条件を、交換された画像形成ユニットに対応する画像形成条件に変更する。すなわち、画像形成装置は、これまでに変更された画像形成条件を、変更前の画像形成条件に戻す。これにより、画像の濃度が低くなるという不具合の発生が回避され得る。なお、画像形成ユニットは、現像ユニット以外に、像担持体保持ユニット、定着ユニット、紙送りユニット等手段等を含み得る。
【0080】
以上のようにして、本実施の形態に従う画像形成装置は、画像形成ユニットが交換された場合には、画像形成条件を変更前の画像形成条件あるいは初期の画像形成条件に戻す。これにより、画像形成条件の変更に起因する不具合が発生することが防止され得る。
【0081】
<第7の実施の形態>
図10を参照して、第7の実施の形態について説明する。図10は、第7の実施の形態に従う画像形成装置1000の構成の一部の概略を表わす図である。本実施の形態に従う画像形成装置1000は、ユーザー毎に画像形成条件を保持する機能を有する点で、前述の各実施の形態に従う画像形成装置と異なる。
【0082】
なお、本実施の形態に従う画像形成装置1000のハードウェア構成は、第1の実施の形態に従う画像形成装置100のハードウェア構成と同じである。したがって、本実施の形態に従う画像形成装置1000のハードウェア構成の説明は繰り返さない。
【0083】
図10に示されるように、画像形成装置1000は、記憶装置51にテーブル1010を格納している。テーブル1010は、画像形成装置1000のユーザーとして登録された一人以上のユーザーの識別情報を格納している。当該識別情報は、そのユーザーによって設定された画像形成条件に関連付けられている。したがって、制御装置50は、登録されたユーザーに固有の画像形成条件に応じて画像を形成できる。
【0084】
また、記憶装置51は、ユーザーが好みの画像の出力品質を入力した情報を保存する。制御装置50は、ユーザーによって入力された情報を分析する。たとえば、制御装置50は、画像形成装置1000の各ユーザーに選択された設定をそれぞれ記憶装置51に格納する。制御装置50は、各設定の内容を記憶装置51から読み出して、頻繁に選択される設定、最後に選択された設定等を分析結果として抽出する。制御装置50は、分析結果に応じて、表示部410に表示される複数の画像の各々の品質の変化を表わすサンプル画像を生成し、生成したサンプル画像の表示順序を変更する。
【0085】
画像形成装置の各ユーザーは、異なる価値観や状況を有するため、出力品質の変化についても同様に異なる価値観や状況を有し得る。例えば、カブリが発生した場合に、画像濃度の低下を選択しないユーザーは、画像出力の時間が長くなってもよいから画質を優先したいと考えることがあり得る。
【0086】
一例として、他の不具合として、像担持体が停止時に周方向で対向位置が異なる湿度環境にさらされることがある。例えば、クリーニング部の対向位置の湿度は、他の位置の湿度よりも高くなることがある。そうすると、像担持体の対向位置ごとに当該像担持体の光に対するVi減衰感度が異なることになり、画像濃度のムラが発生する。この場合、画像形成装置1000は、画像形成していない間にも像担持体を僅かに回転させる。これにより、像担持体が周方向でさらされることで生じる湿度のムラが小さくなるので、画像濃度のムラも小さくなる。
【0087】
そこで、このような不具合が発生した場合には、画像形成装置1000は、表示部410に表示されるサンプル画像の表示順序を、画質を優先することを推奨するサンプル画像を先に表示する等の順序に変更する。ユーザーは、当該サンプル画像に対応する画像形成条件を速やかに選択できるので、不具合を解消するための手数が削減され得る。
【0088】
<第8の実施の形態>
図11を参照して、第8の実施の形態について説明する。本実施の形態に従う画像形成装置は、異音が発生した場合に原因を特定する機能を有する点で、前述の各実施の形態に従う画像形成装置と異なる。
【0089】
なお、本実施の形態に従う画像形成装置のハードウェア構成は、第1の実施の形態に従う画像形成装置100のハードウェア構成と同じである。したがって、本実施の形態に従う画像形成装置のハードウェア構成の説明は繰り返さない。
【0090】
制御装置50は、ユーザーが選択した不具合情報に基づいて画像形成装置100の不具合箇所を判定する。画像形成時には画像形成装置のほぼ全てのユニットが作動している。そのため、不具合が異音である場合、音の発生源が不明確になる。
【0091】
そこで、本実施の形に従う画像形成装置は、予め定められた駆動順序に従って、当該画像形成装置の駆動部を作動させ、当該駆動部における異音の発生の有無の入力を受け付ける。ユーザーが、異音は当該駆動部からは発生していない旨を画像形成装置に入力した場合には、画像形成装置は、当該予め定められた駆動順序に従って、他の駆動部を作動させる。この繰り返しによって、ユーザーは、異音の発生源を特定できる。
【0092】
例えば、ユーザーは、異音が定着ユニットから発生していると推定した場合には、その旨を画像形成装置に入力する。画像形成装置は、画像形成ユニットを構成する他の駆動部を作動させずに当該定着ユニットのみを作動させる。駆動部は、モーター、アクチュエーターを含む。定着ユニットが作動している間に、画像形成装置は、異音の発生の有無の判定結果の入力をユーザーから受け付ける。ユーザーは、異音が定着ユニットから発生していると判断した場合には、当該判断の結果を画像形成装置に入力する。他方、ユーザーは、異音が定着ユニットから発生していないと判断した場合には、当該判断の結果を画像形成装置に入力する。画像形成装置は、予め定められた駆動順序に従って、定着ユニット以外の駆動部を作動させる。このようにして、画像形成装置は、異音に基づいて不具合の箇所を特定できる。
【0093】
図11を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置の制御構造について説明する。図11は、第8の実施の形態に従う画像形成装置が異音判定のために実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0094】
ステップS1110にて、制御装置50は、画像形成装置100が画像形成しているか否かを判断する。この判断は、たとえば、画像形成装置100が画像形成を指示する命令(ジョブ)を受信しているか否かに基づいて行なわれる。制御装置50は、画像形成装置100が画像形成していると判断すると(ステップS1110にてYES)、制御をステップS1120に切り換える。そうでない場合には(ステップS1110にてNO)、制御装置50は、制御をステップS1140に切り替える。
【0095】
ステップS1120にて、制御装置50は、異音発生リストに従って、イメージングユニット10、アクチュエーター204その他の画像形成ユニットのモーターを個別に駆動する。当該異音発生リストは、画像形成装置100の製造事業者によって予め作成されたものである。他の局面において、異音発生リストは、画像形成装置100の管理者によって作成されてもよい。操作パネル203は、異音の発生を確認したことを示す入力を促すメッセージを表示する。
【0096】
ステップS1130にて、制御装置50は、異音発生が確認されたことを表わす入力があったか否かを判断する。この判断は、操作パネル203が当該入力を受け付けたか否かに基づいて行なわれる。制御装置50は、当該入力があったと判断すると(ステップS1130にてYES)、制御をステップS1160に切り換える。そうでない場合には(ステップS1130にてNO)、制御装置50は、制御をステップS1120に戻す。制御装置50は、当該異音発生リストに従って、次のモーターを駆動する。
【0097】
ステップS1140にて、制御装置50は、発生原因リストに従って、画像形成ユニット以外のモーターを個別に駆動する。当該発生原因リストは、画像形成装置100の製造事業者によって予め作成されたものである。
【0098】
ステップS1150にて、制御装置50は、異音発生が確認されたことの入力があったか否かを判断する。制御装置50は、当該入力があったと判断すると(ステップS1150にてYES)、制御をステップS1160に切り換える。そうでない場合には(ステップS1150にてNO)、制御装置50は、制御をステップS1140に戻す。制御装置50は、当該発生原因リストに従って、次のモーターを駆動する。
【0099】
ステップS1160にて、制御装置50は、抽出した異音の発生箇所を操作パネル203の表示領域に出力する。これにより、ユーザーは、異音がどこで発生したかを知ることができる。
【0100】
以上のようにして、本実施の形態に従う画像形成装置は、異音が発生した原因の特定を支援することができる。
【0101】
<第9の実施の形態>
図12を参照して、第9の実施の形態について説明する。図12は、第9の実施の形態に従う画像形成装置1200の構成の一部の概略を表わす図である。
【0102】
本実施の形態に従う画像形成装置は、不具合を検知した場合に、登録されている連絡先に当該不具合を通知する機能を有する点で、前述の各実施の形態に従う画像形成装置と異なる。
【0103】
図12に示されるように、画像形成装置1200の制御装置50は、不具合絞り込みモジュール430および不具合箇所判定モジュール440に加えて、不具合通知モジュール1210をさらに備える。記憶装置51は、サービスセンターの連絡先1220を含む。
【0104】
不具合通知モジュール1210は、画像形成装置1200に発生した不具合を予め登録された連絡先1220に通知する。連絡先1220は、電話番号、メールアドレス、担当者の氏名等を含む。不具合を通知するときに送信されるメッセージは、画像形成装置1200の識別情報(たとえば、型番、製造番号)と、当該メッセージが送信される日時と、当該メッセージの発信者の識別情報と、不具合の識別情報とを含む。不具合の識別情報は、画像形成装置1200の製造事業者によって不具合毎に予め定められた番号である。
【0105】
ある局面において、画像形成装置1200が不具合の発生を検知した場合に、当該不具合が画像形成条件の変更で解消されないことがあり得る。この場合、画像形成装置1200は、自らの判断で、あるいは、画像形成装置1200のユーザー(管理者)の指示に基づき、予め登録されたサービスセンターの連絡先に当該不具合を知らせるメッセージを送信する。メッセージは、SMS(Short Message Service)、電子メール、自動音声電話、一般の電話発呼、ファクシミリなどである。これにより、画像形成条件の変更が不具合を解消できない場合でも、不具合を解消するための部品交換その他の修理を要請し易くなる。
【0106】
<実施の形態の効果>
上述の各実施の形態に従う画像形成装置は、当該画像形成装置で発生し得る全ての故障(不具合)を特定できる。ユーザーは、当該画像形成装置の技術に関する知識を有さなくとも、故障を特定し、当該故障に対応することができる。
【0107】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
1 感光体、2 帯電部、3 露光部、4 現像部、5 クリーニング部、6 中間転写体接触ローラー、10C,10K,10M,10Y イメージングユニット、12 中間転写ベルト、14,16 中間転写体駆動ローラー、18 ベルトクリーニング部、20,21 転写ローラー、22,46 定着部、30 給紙部、32 送出ローラー、34,36 搬送ローラー、40 媒体、50 制御装置、51 記憶装置、100,400,900,1000,1200 画像形成装置、110 プリントエンジン、120 原稿読取部、122 イメージスキャナー、124 原稿給紙台、126 自動原稿送り装置、128 原稿排紙台、130 排出トレイ、200 操作制御部、201 通信部、202 スキャナー部、203 操作パネル、204 アクチュエーター、210 センサー、310,320,330,810,820,830 アイコン、410 表示部、420 入力部、430 不具合絞り込みモジュール、440 不具合箇所判定モジュール、450 状態情報、510 ツリー、520,530,1010 テーブル、1210 不具合通知モジュール、1220 連絡先。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12