(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142595
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ガスタービン燃焼器
(51)【国際特許分類】
F23R 3/28 20060101AFI20241003BHJP
F23R 3/34 20060101ALI20241003BHJP
F23R 3/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F23R3/28 B
F23R3/34
F23R3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054802
(22)【出願日】2023-03-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/機動性に優れる広負荷帯高効率ガスタービン複合発電の要素研究」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 智志
(72)【発明者】
【氏名】田村 一生
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真悟
(57)【要約】
【課題】フラッシュバックを抑制できるガスタービン燃焼器を提供する。
【解決手段】ガスタービン燃焼器は、燃焼室を規定する燃焼筒と、燃料を燃焼室に供給するための燃焼器と、燃焼器に対して、燃焼室における燃焼ガスの流れ方向の下流側に配置される2段燃焼ノズルとを備えるガスタービン燃焼器であって、2段燃焼ノズルは、燃焼筒の内周面に形成されるノズル噴射口を有するノズル流路を形成するノズル流路形成部と、2段燃焼ノズルの中心線であるノズル中心軸線に対して、燃焼ガスの流れ方向の上流側に少なくとも一部が配置されるシール空気噴射口を有するシール空気流路を形成するシール空気流路形成部とを含む。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室を規定する燃焼筒と、
燃料を前記燃焼室に供給するための燃焼器と、
前記燃焼器に対して、前記燃焼室における燃焼ガスの流れ方向の下流側に配置される2段燃焼ノズルと
を備えるガスタービン燃焼器であって、
前記2段燃焼ノズルは、
前記燃焼筒の内周面に形成されるノズル噴射口を有するノズル流路を形成するノズル流路形成部と、
前記2段燃焼ノズルの中心線であるノズル中心軸線に対して、前記燃焼ガスの前記流れ方向の上流側に少なくとも一部が配置されるシール空気噴射口を有するシール空気流路を形成するシール空気流路形成部と、
を含む、
ガスタービン燃焼器。
【請求項2】
前記ノズル流路形成部は、前記燃焼筒の前記内周面に連なるノズル流路壁を有し、
前記シール空気流路形成部は、
前記ノズル流路壁と、
前記ノズル流路壁の内側に配置され、前記燃料が流れる燃料流路を形成する内側流路壁と、
をさらに含む、
請求項1に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項3】
前記ノズル流路壁は、
前記ノズル中心軸線に対して、前記燃焼ガスの前記流れ方向の前記上流側に配置される上流側流路壁と、
前記ノズル中心軸線に対して、前記燃焼ガスの前記流れ方向の下流側に配置される下流側流路壁と、
を有し、
前記シール空気流路は、
前記上流側流路壁と前記内側流路壁とによって形成される上流側シール空気流路と、
前記下流側流路壁と前記内側流路壁とによって形成される下流側シール空気流路と、
を有する、
請求項2に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項4】
前記ノズル中心軸線と直交する前記シール空気流路の断面において、前記上流側シール空気流路の流路面積は、前記下流側シール空気流路の流路面積よりも大きい、
請求項3に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項5】
(実施例2と実施例4との中間概念:下流側シール空気流路が一部配置)
前記ノズル中心軸線の周方向であるノズル周方向における前記上流側シール空気流路の長さは、前記ノズル周方向における前記下流側シール空気流路の長さよりも長い、
請求項3または4に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項6】
前記シール空気流路は、前記ノズル中心軸線に対して、前記燃焼ガスの前記流れ方向の前記上流側にのみ形成される、
請求項2に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項7】
前記2段燃焼ノズルは、前記シール空気流路において前記ノズル流路壁と前記内側流路壁とに接続される仕切壁をさらに含む、
請求項2または3に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項8】
(実施例2の具体化:仕切板はシール空気流路の一部にのみ設けられる)
前記仕切壁は、前記シール空気流路におけるシール空気の流れ方向の下流側の端部である先端部を有し、
前記仕切壁の前記先端部は、前記シール空気の前記流れ方向において、前記シール空気噴射口に対して上流側に配置される、
請求項7に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項9】
前記仕切壁は、
前記シール空気流路におけるシール空気の流れ方向の下流側の端部である先端部と、
前記先端部とは反対側の端部である後端部と、
を有し、
前記先端部または前記後端部の少なくとも一方は流線形を呈する、
請求項7に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項10】
前記ノズル流路壁は、前記内側流路壁と対向する内側面を有し、
前記内側流路壁は、前記ノズル流路壁と対向する外側面を有し、
前記2段燃焼ノズルは、前記内側面または前記外側面の少なくとも一方に設けられるタービュレータをさらに含む、
請求項2または3に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項11】
前記タービュレータは、前記燃焼ガスの流れ方向において、前記ノズル中心軸線に対して少なくとも上流側に配置される、
請求項10に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項12】
前記タービュレータは、前記燃焼ガスの流れ方向において、前記ノズル中心軸線に対して下流側にのみ配置される、
請求項10に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項13】
前記内側流路壁は、前記燃料を噴射するための燃料噴射口を形成する内側流路壁一端部を有し、
前記ノズル流路壁は、前記ノズル噴射口を形成するノズル流路壁一端部を有し、
前記内側流路壁一端部または前記ノズル流路壁一端部の少なくとも一方は、前記ノズル中心軸線の周方向であるノズル周方向に沿ってジグザグ状に延在する、
請求項2または3に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項14】
前記内側流路壁は、燃料噴射口を形成する内側流路壁一端部を有し、
前記内側流路壁一端部は、前記シール空気流路におけるシール空気の流れ方向において、前記ノズル噴射口に対して上流側に配置される、
請求項2または3に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項15】
前記燃料噴射口は、前記燃料と燃焼用空気とを含む予混合ガスを噴射するように構成された予混合ガス噴射口であり、
前記内側流路壁一端部は、
前記ノズル中心軸線の径方向であるノズル径方向の外側を向いており、前記燃焼室に近づくに従い前記ノズル中心軸線に近づくように傾斜する外側テーパ面、
または、
前記ノズル径方向の内側を向いており、前記燃焼室に近づくに従い前記ノズル中心軸線から離れるように傾斜する内側テーパ面
の少なくとも一方を有する、
請求項14に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項16】
前記内側流路壁一端部は、前記外側テーパ面を有し、
前記ノズル流路壁は、前記外側テーパ面と対向する対向傾斜面であって、前記ノズル噴射口に近づくに従い前記ノズル中心軸線に近づくように傾斜する対向傾斜面を有する、
請求項15に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項17】
前記ノズル流路形成部は、前記燃焼筒の前記内周面に連なるノズル流路壁を有し、
前記シール空気流路形成部は、前記ノズル流路壁に対して前記ノズル中心軸線とは反対側に配置され、
前記シール空気噴射口は、前記ノズル流路壁において開口し、前記ノズル噴射口に向けてシール空気を噴射するように構成される、
請求項1に記載のガスタービン燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2段燃焼方式が採用されるガスタービン燃焼器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスタービンに組み込まれるガスタービン燃焼器が知られている。例えば、特許文献1に開示される2段燃焼方式を採用したガスタービン燃焼器は、2段目ノズルとしての燃料噴射器を備える。燃料噴射器は、予混合ガスを噴射する予混合ガス噴射口と、冷却空気としての圧縮空気を噴射する冷却空気噴射口とを備える。この燃料噴射器は、燃焼筒の燃焼室内において大きく突き出た構成を有するため、燃焼筒内で生じる燃焼ガスから燃料噴射器に伝わる熱量が大きい。冷却空気としての圧縮空気は燃料噴射器の過度な温度上昇を抑制する役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らの知見によれば、予混合ガス噴射口が燃焼筒の内周面の近くに配置される構成が上記の燃料噴射器に適用されると、内周面において発生する燃焼ガスの馬蹄渦が予混合ガス噴射口に流入するおそれがある。この場合、燃料噴射器の内部で火炎が生じるフラッシュバックが起こり、燃料噴射器が焼損する可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、フラッシュバックを抑制できるガスタービン燃焼器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン燃焼器は、
燃焼室を規定する燃焼筒と、
燃料を前記燃焼室に供給するための燃焼器と、
前記燃焼器に対して、前記燃焼室における燃焼ガスの流れ方向の下流側に配置される2段燃焼ノズルと
を備えるガスタービン燃焼器であって、
前記2段燃焼ノズルは、
前記燃焼筒の内周面に形成されるノズル噴射口を有するノズル流路を形成するノズル流路形成部と、
前記2段燃焼ノズルの中心線であるノズル中心軸線に対して、前記燃焼ガスの前記流れ方向の上流側に少なくとも一部が配置されるシール空気噴射口を有するシール空気流路を形成するシール空気流路形成部と、
を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、フラッシュバックを抑制できるガスタービン燃焼器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係るガスタービンを示す概略図。
【
図2】一実施形態に係るガスタービン燃焼器の概略図。
【
図3A】第1の実施形態に係る2段燃焼ノズルの概略図。
【
図3B】第2の実施形態に係る2段燃焼ノズルの概略図。
【
図3C】第3の実施形態に係る2段燃焼ノズルの概略図。
【
図4A】第1の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズルを示す概略図。
【
図4B】第1の例示に係る構成が適用された別の2段燃焼ノズルを示す概略図。
【
図4C】第1の例示に係る構成が適用されたさらに別の2段燃焼ノズルを示す概略図。
【
図5A】第2の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズルを示す概略図。
【
図5B】ノズル中心軸線Cの軸線方向視における
図5Aの2段燃焼ノズルを示す概略図。
【
図6A】第3の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズルを示す概略図。
【
図6B】第3の例示に係る構成が適用された別の2段燃焼ノズルを示す概略図。
【
図7A】第4の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズルを示す概略図(内側流路壁を省略)。
【
図7B】第4の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズルを示す概略図(ノズル流路壁一端部を部分的に省略)。
【
図8A】第5の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズルを示す概略図。
【
図8B】
図8Aの2段燃焼ノズルのさらに具体的な構成の一例を示す概略図。
【
図8C】
図8Bの2段燃焼ノズルのさらに具体的な構成の他の例を示す概略図。
【
図9】第6例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズルを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0010】
<1.ガスタービン100の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係るガスタービン100を示す概略図である。ガスタービン100は、圧縮空気を生成するための圧縮機2と、圧縮空気及び燃料を用いて燃焼ガスを発生させるためのガスタービン燃焼器4と、ガスタービン燃焼器4から排出された燃焼ガスにより駆動するように構成されたタービン6とを備える。例えば一軸式ガスタービンであってもよいガスタービン100では、圧縮機2とタービン6が回転軸9によって連結され、さらにこの回転軸9に発電機5が連結されている。
【0011】
ガスタービン燃焼器4では、圧縮機2から送出される圧縮空気と燃料供給ユニット(図示外)から供給される燃料とを含む混合ガスが燃焼し、タービン6を駆動させる作動流体としての燃焼ガスが発生する。タービン6に流入する燃焼ガスによってタービン6は駆動し、回転軸9が回転することによって発電機5は発電を行う。なお、ガスタービン燃焼器4に供給される燃料としては、水素、メタン、軽油、重油、ジェット燃料、天然ガス、ガス化した石炭、または、これら任意の2以上の組み合わせなどが挙げられる。以下、圧縮機2からガスタービン燃焼器4に送られる圧縮空気を「燃焼用空気」という場合がある。
【0012】
<2.ガスタービン燃焼器4の概要>
図2は、本開示の一実施形態に係るガスタービン燃焼器4の概略図である。ガスタービン燃焼器4は、燃焼室47を規定する燃焼筒40と、燃焼筒40の一方側の端部に設けられる燃焼器8と、燃焼筒40の筒壁に設けられる2段燃焼ノズル20とを備える。燃焼器8は、燃焼筒40の軸方向に沿って、燃料と燃焼用空気を噴射するように構成される。燃焼器8から噴射される燃料と燃焼用空気が混ざることで生成される混合ガスが着火して、火炎が燃焼室47の内部で発生する。燃焼室47内で生成される主流高温ガスとしての燃焼ガスは、下流側(
図2の例では右側)に向かって流れる。以下、燃焼室47における燃焼ガスの流れ方向を「燃焼ガス流れ方向」という場合がある。2段燃焼ノズル20は、燃焼器8に対して燃焼ガス流れ方向の下流側に配置されており、燃焼筒40の径方向に沿って燃料と燃焼用空気を噴射するように構成される。2段燃焼ノズル20から噴射される燃料と燃焼用空気が燃焼室47内に噴射されることにより、燃焼室47内で2段目の燃焼が起こる。本例では、複数の2段燃焼ノズル20が燃焼筒40の周方向に沿って等間隔に配置される。
【0013】
燃焼器8の構成の一例は、特開2013-096303号公報に開示される。本稿ではその構成の詳説を省略するが、概要は以下の通りである。燃焼器8は、燃焼筒40の中心位置に配置されたパイロットバーナと、パイロットバーナの周囲を取り囲むように等間隔に配置された複数のメインバーナとを含む。パイロットバーナは、パイロット燃料を供給するパイロットノズルと、パイロットノズルの先端部を取り囲むように設けられた筒状部材とを有する。筒状部材は、パイロットノズルとの間にパイロット空気流路を形成しており、パイロット空気流路には燃焼用空気(パイロット空気)が流れるようになっている。メインバーナは、メイン燃料を供給するメインノズルと、メインノズルの周囲に形成されてメイン空気を供給するメイン空気流路とを備える。メインノズルから噴射されるメイン燃料は、メイン空気流路を通って供給されたメイン空気と混合されて予混合ガスとなる。
【0014】
<3.2段燃焼ノズル20の概要>
図3A、
図3B、
図3Cは、それぞれ、第1の実施形態に係る2段燃焼ノズル21(20)、第2の実施形態に係る2段燃焼ノズル22(20)、第3の実施形態に係る2段燃焼ノズル23(20)を示す概略図である。2段燃焼ノズル20から噴射される流体には、燃料と燃焼用空気を含む予混合ガスと、圧縮機2から供給される圧縮空気(燃焼用空気)の一部であるシール空気(詳細は後述する)とが含まれる。予混合ガスとシール空気は、燃焼室47内で混合されてもよいし、2段燃焼ノズル20の内部で混合されてもよいし、双方において混合されてもよい。
【0015】
2段燃焼ノズル21~23(20)は、燃焼筒40に設置される本体部11~13と、本体部11~13に設けられるノズル流路形成部31~33とを含む。ノズル流路形成部31~33は、ノズル噴射口201~203を有するノズル流路121~123を形成する。ノズル流路121~123には予混合ガスとシール空気とが流れ、ノズル噴射口201~203は、予混合ガスとシール空気とを噴射する。以下、2段燃焼ノズル20の中心軸線を「ノズル中心軸線C」という場合があり、ノズル中心軸線Cの周方向を「ノズル周方向」という場合があり、ノズル中心軸線Cの径方向を「ノズル径方向」という場合がある。ノズル中心軸線Cは、本体部11~13の中心線でもある。また、燃焼筒40の径方向を「燃焼筒径方向」という場合がある。ノズル中心軸線Cは燃焼筒径方向に延在する。
【0016】
ノズル流路形成部31~33は、燃焼筒40の内周面48に連なるノズル流路壁71~73を有する。ノズル流路壁71~73は、燃焼筒径方向に沿って延在する部位を含み、当該部位が内周面48に連なる。燃焼筒径方向におけるノズル流路壁71~73の一端部であるノズル流路壁一端部711~713は、ノズル噴射口201~203を形成する。
【0017】
ノズル噴射口201~203は、燃焼筒40の内周面48において形成される。本稿において、「内周面48に形成されるノズル噴射口201~203」は、燃焼筒径方向において内周面48と同じ径方向位置に配置されるノズル噴射口201~203を含む概念である。
また、「内周面48に形成されるノズル噴射口201~203」は、内周面48よりも燃焼筒径方向の外側に配置されるノズル噴射口201~203を含む概念であり、この場合、ノズル噴射口201~203から内周面48までの燃焼筒径方向における距離は、円形状に形成されたノズル噴射口201~203の直径の20%以下である。
また、「内周面48に形成されるノズル噴射口201~203」は、内周面48よりも燃焼筒径方向の内側に配置されるノズル噴射口201~203を含む概念であり、この場合、ノズル噴射口201~203から内周面48までの燃焼筒径方向における距離は、円形状に形成されたノズル噴射口201~203の直径の5%以下である。
【0018】
2段燃焼ノズル21~23は、本体部11~13に設けられるシール空気流路形成部51~53をさらに含む。シール空気流路形成部51~53は、シール空気噴射口41~43を有するシール空気流路141~143を形成する。シール空気流路141~143には、シール空気が流れる。
【0019】
図3A,
図3Bで示されるシール空気流路141,142は、ノズル流路121,122に含まれる流路である。具体的構成は以下の通りである。シール空気流路形成部51,52は、ノズル流路壁71の内側に配置される内側流路壁81,82を含む。さらに、上述のノズル流路壁71,72はシール空気流路形成部51,52の構成要素でもあり、ノズル流路壁71,72と内側流路壁81,82の間にシール空気流路141,142が形成される。
【0020】
図3Aで例示される内側流路壁81は、ノズル中心軸線Cを取り囲むようにして燃焼筒径方向に沿って延在する。内側流路壁81の内側には、予混合ガスが流れる予混合ガス流路91が形成され、内側流路壁81の一端部である内側流路壁一端部811は、予混合ガスを噴射するための予混合ガス噴射口813を形成する。予混合ガス流路91はノズル流路121の一部を構成する。
図3Bで例示される内側流路壁82は、燃焼筒径方向に沿って延在する。内側流路壁82とノズル流路壁72との間には、予混合ガスが流れる予混合ガス流路92が形成される。予混合ガス流路92はノズル流路122の一部を構成する。内側流路壁82の一端部である内側流路壁一端部812と、上述のノズル流路壁一端部712は、予混合ガスを噴射するための予混合ガス噴射口823を形成する。
図3A,
図3Bで例示される予混合ガス噴射口813,823は、ノズル噴射口201,202の一部を構成する。本構成が採用されることで、予混合ガスとシール空気は、2段燃焼ノズル20から噴射された後に燃焼室47内で混合される。但し、本開示はこれに限定されず、例えば2段燃焼ノズル21において、予混合ガスとシール空気とがノズル噴射口201の通過前に混合される構成が採用されてもよい(詳細は後述する)。2段燃焼ノズル22についても同様である。なお、予混合ガス噴射口813,823は、燃料を噴射するための燃料噴射口の一例である。
【0021】
予混合ガス流路91,92は、予混合ガス噴射口813,823とは反対側に配置される複数の空気供給口95と、予混合ガス噴射口813,823と複数の空気供給口95との間に配置される複数の燃料供給口96とを有する。複数の空気供給口95から供給される燃焼用空気と複数の燃料供給口96から供給される燃料とが混ざることで、予混合ガスは生成される。予混合ガス流路91,92は燃料が流れる燃料流路の一例である。
【0022】
図3Cで示されるシール空気流路143は、ノズル流路壁73に対してノズル中心軸線Cとは反対側に配置される流路であり、ノズル流路123とは別個の流路である。そして、シール空気噴射口43はノズル流路壁73において開口する。本構成が採用されることで、予混合ガスとシール空気は、2段燃焼ノズル20の噴射前に2段燃焼ノズル20の内部で混合される。
本例では、複数のシール空気噴射口43がノズル周方向に等間隔に配置される。シール空気噴射口43は、ノズル噴射口203に向けてシール空気を噴射するように構成される。シール空気流路143のうちでシール空気噴射口43を含む出口側流路143Aの中心線Pとノズル中心軸線Cとのなす鋭角θは、30度未満であることが好ましい。
【0023】
図3Cで例示されるノズル流路123では、複数のシール空気噴射口43に対してノズル噴射口203とは反対側に、
図3A、
図3Bと同様の複数の空気供給口95が設けられ、複数のシール空気噴射口43と複数の空気供給口95との間には、
図3A、
図3Bと同様の複数の燃料供給口96が設けられる。燃焼用空気と燃料とが混ざることで生成される予混合ガスは、複数の空気供給口95から供給されるシール空気の少なくとも一部と混ざった後、ノズル噴射口203から噴射される。
【0024】
図3A~
図3Cで示されるシール空気噴射口41~43の各々の少なくとも一部は、ノズル中心軸線Cに対して、燃焼ガス流れ方向の上流側に配置される。より詳細には、シール空気噴射口41,43は、ノズル中心軸線Cに対して燃焼ガス流れ方向の上流側および下流側に配置され、シール空気噴射口42は、ノズル中心軸線Cに対して燃焼ガス流れ方向の上流側のみに配置される。
【0025】
発明者らの知見によれば、燃焼室47の内部で生成される主流高温ガスとしての燃焼ガスが下流側に向かって流れる過程で、内周面48には燃焼ガスの馬蹄渦Sが形成される。馬蹄渦Sがノズル噴射口201~203に流入すると、2段燃焼ノズル20の内部で着火するフラッシュバックが生じる虞がある。この点、シール空気噴射口41~43の少なくとも一部が、ノズル中心軸線Cに対して燃焼ガス流れ方向の上流側に配置されることで、シール空気がノズル噴射口201~203のうちでノズル中心軸線Cよりも燃焼ガス流れ方向の上流側の領域を通過する。ノズル噴射口201~203におけるシール空気の流れによって、馬蹄渦Sがノズル噴射口201~203に流入することが抑制される。つまり、シール空気は、主流高温ガスとしての燃焼ガスがノズル噴射口201~203に流入するのを阻止するシール機能の役割を果たす。これにより、フラッシュバックを抑制できるガスタービン燃焼器4が実現される。
【0026】
図3A、
図3Bで例示される実施形態では、ノズル流路壁71,72は、シール空気流路形成部51,52の構成要素でもあり、ノズル流路壁71,72と内側流路壁81,82の間にシール空気流路141,142が形成される。上記構成によれば、内側流路壁81,82は、予混合ガス流路91,92を形成するのみならず、シール空気流路141,142も形成する。これにより、シール空気流路143を形成する専用の流路壁をノズル流路壁71,72の外側に配置する場合に比べ、ガスタービン燃焼器4は構成を簡素化できる。
【0027】
また、
図3Bで示されるシール空気流路142は、ノズル中心軸線Cに対して燃焼ガス流れ方向の上流側のみ配置される。上記構成によれば、圧縮機2から送出される圧縮空気(燃焼用空気)のうちで、シール空気として利用される空気の総流量を抑えつつ、フラッシュバックを効果的に抑制できる。
【0028】
また、
図3Cで例示される実施形態では既述の通り、シール空気流路形成部53はノズル流路壁73に対してノズル中心軸線Cとは反対側に配置され、シール空気噴射口43はノズル流路壁73において開口する。上記構成によれば、2段燃焼ノズル20の設計段階で、ノズル中心軸線Cの軸線方向におけるシール空気噴射口43の配置位置を自在に調整することが可能になる。これにより、シール空気が馬蹄渦Sの流入を阻止することと、シール空気が燃焼室47の内部において予混合ガスと良好に混ざることとを両立させることが可能になる。
【0029】
<4.2段燃焼ノズル21(20)で追加的に採用されうる構成の詳細>
図4A~
図9を参照し、2段燃焼ノズル21に追加的に適用可能な構成を説明する。以下では、第1の例示に係る構成から第7の例示に係る構成を順に説明する。なお、第1の例示に係る構成から第7の例示に係る構成のいずれか1つのみが2段燃焼ノズル21に適用されてもよいし、これらの構成の任意の2以上の組み合わせが2段燃焼ノズル21に適用されてもよい。
【0030】
<4-1.第1の例示に係る構成>
図4A~
図4Cを参照し、第1の例示に係る構成を説明する。
図4A~
図4Cは、第1の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズル21である2段燃焼ノズル21A,21B,21C(21)を示す概略図であり、ノズル中心軸線Cの軸線方向視における2段燃焼ノズル21を示す。
図4A~
図4Cは、第1の例示に係る互いに異なる種類の構成を示す。
【0031】
2段燃焼ノズル21A,21B,21C(21)のノズル流路壁71A,71B,71C(71)は、ノズル中心軸線Cに対して燃焼ガス流れ方向の上流側に配置される上流側流路壁76A,76B,76C(76)と、ノズル中心軸線Cに対して燃焼ガス流れ方向の下流側に配置される下流側流路壁79A,79B,79C(79)とを有する。そして、シール空気流路141A,141B,141C(141)は、上流側流路壁76と内側流路壁81とによって形成される上流側シール空気流路146A,146B,146C(146)と、下流側流路壁79と内側流路壁81とによって形成される下流側シール空気流路149A,149B,149C(149)とを有する。
【0032】
図4A,
図4Bで例示される内側流路壁81は、ノズル周方向に亘って、上流側流路壁76A,76Bおよび下流側流路壁79A,79Bによって囲まれている。ノズル流路壁71A,71Bは、ノズル中心軸線Cの軸線方向視において、円形状である。他方で、
図4Cで示される例では、上流側流路壁76Cは上流側流路壁76A,76Bと同一の半円形状であるものの、下流側流路壁79Cは上流側流路壁76Cよりも周長の短い円弧状である。ノズル流路壁71Cは、ノズル中心軸線Cの軸線方向視においてC字状であり、ノズル周方向において内側流路壁81の一部のみを囲むように配置される。
【0033】
図4A~
図4Cで示される第1の例示に係る構成によれば、シール空気流路141A~141C(141)が、上流側シール空気流路146A,146B,146C(146)と、下流側シール空気流路149A,149B,149C(149)とを有する。これにより、シール空気噴射口41から噴射されるシール空気は、ノズル噴射口201A~201C(201)においてノズル中心軸線Cに対して上流側の領域を通過するのみならず、ノズル中心軸線Cに対して下流側の領域をも通過するので、ノズル噴射口201から噴射される燃料を含む予混合ガスをシール空気と均等に混ぜることが可能になる。
【0034】
また、
図4Bで示されるように、ノズル中心軸線Cの軸線方向視において、上流側シール空気流路146Bの流路面積は、下流側シール空気流路149Bの流路面積よりも大きい。つまり、ノズル中心軸線Cと直交する断面において、上流側シール空気流路146Bの流路面積は下流側シール空気流路149Bの流路面積よりも大きい。流路面積のこのような大小関係は、円筒状に形成される内側流路壁81の軸心が、ノズル中心軸線Cよりも燃焼ガス流れ方向の下流側に位置するよう、内側流路壁81をノズル流路壁71に対して偏心させることで実現される。燃焼筒40の内周面48において発生する馬蹄渦Sは、燃焼ガス流れ方向においてノズル中心軸線Cよりも上流側でノズル噴射口201に流入する傾向がある(これは、
図3Aの矢印によって例示される馬蹄渦Sの流れ方向から明らかである)。この点、上記構成によれば、上流側シール空気流路146Bを流れるシール空気の流量が増大するので、シール空気の流れが馬蹄渦Sの流入をより効果的に抑制できる。これにより、ガスタービン燃焼器4はフラッシュバックをより確実に抑制できる。
【0035】
図4Cで示されるように、ノズル周方向における上流側流路壁76Cの長さは、ノズル周方向における下流側流路壁79Cの長さよりも長い(下流側流路壁79Cのノズル周方向における長さは寸法L1,L2の合計値である。)。上記構成によれば、上流側シール空気流路146Cを流れるシール空気の流量が増大するので、シール空気の流れが馬蹄渦Sの流入をより効果的に抑制できる。これにより、ガスタービン燃焼器4はフラッシュバックをより確実に抑制できる。また、ノズル中心軸線Cよりも燃焼ガス流れ方向の下流側においてシール空気が不要となる実施形態においては、ノズル中心軸線Cよりも燃焼ガス流れ方向の上流側にシール空気を集約できるので、フラッシュバックをより効果的に抑制できる。
【0036】
<4-2.第2の例示に係る構成>
図5A~
図5Cを参照し、第2の例示に係る構成を説明する。
図5A、
図5Bは、第2の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズル21である2段燃焼ノズル21Dを示す概略図である。
図5Cは、
図5AのA-A線矢視方向における仕切壁55の断面図である。
【0037】
図5Aで示される2段燃焼ノズル21D(21)は、
図3Aで例示した2段燃焼ノズル21A(21)の構成に加えて、少なくとも1つの仕切壁55をさらに含む。仕切壁55は、シール空気流路141において、ノズル流路壁71Aと内側流路壁81とに接続される。また、仕切壁55はノズル中心軸線Cに沿って延在する。
図5Bで示されるように、複数の仕切壁55がノズル周方向に沿って等間隔に配置されてもよい。各仕切壁55は、ノズル周方向に互いに隣接する2つの空間を規定し、2つの空間の間におけるシール空気の流れは仕切壁55によって規制される。なお、仕切壁55の個数は1個であってもよい。
【0038】
シール空気噴射口41におけるシール空気は、馬蹄渦Sの流れの影響により、ノズル周方向に沿って燃焼ガス流れ方向の下流側に押し流される場合がある。この点、2段燃焼ノズル21Dが少なくとも1つの仕切壁55を含むことで、ノズル周方向におけるシール空気の流れを仕切壁55が規制できる。従って、シール空気噴射口41におけるシール空気の圧力分布がノズル周方向において偏ることが抑制され、シール空気噴射口41におけるシール空気の流れをスムーズにすることができる。
【0039】
図5Aで例示されるように、仕切壁55は先端部55Aと後端部55Bを有する。先端部55Aは、シール空気流れ方向(即ち、シール空気流路141でのシール空気の流れ方向)における仕切壁55の下流側の端部である。また、後端部55Bは、先端部55Aとは反対側の仕切壁55の端部である。先端部55Aは、シール空気流れ方向においてシール空気噴射口41に対して上流側に配置される。先端部55Aからシール空気噴射口41までの最短距離(燃焼筒径方向における距離として示す寸法M)は、円形状に形成されるノズル噴射口201の内径の50%以下であることが好ましい。また、仕切壁55の軸方向長さは、ノズル噴射口201の直径の50%以上であることが好ましい。
【0040】
上記構成によれば、仕切壁55が設けられることで、噴射されるシール空気の周方向における偏在を抑制できる。これにより、シール空気が必要となるガス流れ方向の上流側における燃焼室47の圧力が高い場合であっても、シール空気を十分に供給できる。
【0041】
図5Cで例示されるように、先端部55Aまたは後端部55Bの少なくとも一方は、流線形を呈してもよい。同図の例では、先端部55Aと後端部55Bがいずれも流線形を呈する。より具体的には、シール空気流れ方向の下流側に向かうほど先端部55Aのノズル周方向における長さは短く、シール空気流れ方向の上流側に向かうほど後端部55Bのノズル周方向における長さは短い。なお、先端部55Aと後端部55Bはいずれも、ノズル流路壁71Aと内側流路壁81とに接続されている。
【0042】
上記構成によれば、シール空気噴射口41に向かって流れるシール空気が滞留するのを抑制できる。
【0043】
<4-3.第3の例示に係る構成>
図6A、
図6Bを参照し、第3の例示に係る構成を説明する。
図6A、
図6Bは、第3の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズル21E、21F(21)を示す概略図である。
図6A、
図6Bは、第3の例示に係る互いに異なる種類の構成を示す。
【0044】
図6A,
図6Bで示される2段燃焼ノズル21E,21F(21)は、
図3Aで例示した2段燃焼ノズル21A(21)の構成に加えて、タービュレータ57を含む。より具体的には、ノズル流路壁71A(71)は内側流路壁81と対向する内側面77を有し、内側流路壁81はノズル流路壁71Aと対向する外側面88を有し、タービュレータ57は内側面77または外側面88の少なくとも一方に設けられる。
図6A,
図6Bで例示されるタービュレータ57は、内側面77と外側面88の双方に設けられるが、内側面77または外側面88のいずれか一方のみに設けられてもよい。
タービュレータ57は、ノズル周方向における内側面77の全長に亘って内側面77に設けられてもよいし、ノズル周方向における内側面77の一部にのみ設けられてもよい。内側面77の一部にのみ設けられる複数のタービュレータ57は、ノズル周方向に沿って等間隔に内側面77に配置されてもよい。
同様に、タービュレータ57は、ノズル周方向における外側面88の全長に亘って外側面88に設けられてもよいし、ノズル周方向における外側面88の一部にのみ設けられてもよい。外側面88の一部にのみ設けられるタービュレータ57は、ノズル周方向に沿って等間隔に外側面88に配置されてもよい。
【0045】
上記構成によれば、シール空気流路141にタービュレータ57が設けられることで、シール空気流路141においてシール空気の2次流れが発生する。シール空気噴射口41から噴射されるシール空気の流れが乱されるため、馬蹄渦Sの流入を阻止するシール機能を果たし終えて燃焼室47の中心側に向かって流れるシール空気は、燃料を含む予混合ガスと混ざりやすい。これにより、燃焼室47の内部にて、高温燃焼ガスとシール空気とが速やかに混合され、周囲の燃焼ガス温度を低減させることができる。よって、NOxの発生を抑制できる。
【0046】
図6Aで示されるように、本開示の一実施形態に係るタービュレータ57は、燃焼ガス流れ方向においてノズル中心軸線Cに対して少なくとも上流側に配置されることが好ましい。本構成によれば、馬蹄渦Sの流入を阻止するシール機能を果たし終えたシール空気が燃料を含む予混合ガスと混ざるのを促進できる。当該混合空気が燃焼室47の内部において燃焼ガス流れ方向の上流側にある既燃ガスと混ざり、既燃ガスの温度が低下するので、NOxの発生を抑制できる。
【0047】
図6Bに示されるように、本開示の他の実施形態に係るタービュレータ57は、燃焼ガス流れ方向においてノズル中心軸線Cに対して下流側にのみ配置されてもよい。燃焼ガス流れ方向においてノズル噴射口201よりも下流側では、馬蹄渦Sがノズル噴射口201に流入する傾向が低い。つまり、ノズル中心軸線Cに対して下流側を流れるシール空気は、馬蹄渦Sの流入を阻止する必要がない場合もある。この点、上記構成によれば、当該シール空気の流れを積極的に乱すことが可能になり、燃料を含む予混合ガスにシール空気が混ざるのを促進できる。
【0048】
<4-4.第4の例示に係る構成>
図7A、
図7Bを参照し、第4の例示に係る構成を説明する。
図7A、
図7Bは、第4の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズル21G(21)を示す概略図である。なお、図面を見やすくする都合、
図7Aでは内側流路壁81G(
図7B参照)の図示を省略し、
図7Bではノズル流路壁一端部711G(
図7A参照)の図示を部分的に省略する。
【0049】
図7Aで示される2段燃焼ノズル21G(21)のノズル流路壁71G(71)は、ノズル噴射口201G(201)を形成するノズル流路壁一端部711G(711)を有する。そして、ノズル流路壁一端部711Gは、ノズル周方向に沿ってジグザグ状に延在する。
図7Bで示される2段燃焼ノズル21G(21)の内側流路壁81G(81)は、予混合ガス噴射口813G(813)を形成する内側流路壁一端部811G(811)を有する。そして、内側流路壁一端部811Gは、ノズル周方向に沿ってジグザグ状に延在する。
なお、本開示はノズル流路壁一端部711G(711)と内側流路壁一端部811G(811)の双方がジグザグ状に延在することに限定されず、ノズル流路壁一端部711G(711)または内側流路壁一端部811G(811)のいずれか一方のみがジグザグ状に延在してもよい。この場合、いずれか他方はノズル周方向に沿って直線状に延在してもよい。
【0050】
上記の構成によれば、内側流路壁一端部811Gとノズル流路壁一端部711Gとによって形成されるシール空気噴射口41G(41)において、シール空気の2次流れが発生する。シール空気噴射口41G(41)から噴射されるシール空気の流れが乱されるので、馬蹄渦Sの流入を阻止するシール機能を果たし終えて燃焼室47の中心側に向かって流れるシール空気は燃料と混ざりやすい。これにより、燃焼室47内部にて、周辺の高温燃焼ガスとシール空気を速やかに混合することで、周囲の燃焼ガス温度を低減させることができ、NOxの発生を抑制できる。
【0051】
<4-5.第5の例示に係る構成>
図8A~
図8Dを参照し、第5の例示に係る構成を説明する。
図8Aは、第5の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズル21である2段燃焼ノズル21H(21)を示す概略図である。
図8B、
図8Cは、
図8Aの2段燃焼ノズル21Hがより具体化された2段燃焼ノズル21I,21J(21H)を示す概略図である。
【0052】
図8Aで示されるように、2段燃焼ノズル21H(21)の内側流路壁81H(81)は、予混合ガス噴射口813H(813)を形成する内側流路壁一端部811H(811)を有する。同図で示す2段燃焼ノズル21Hのノズル流路壁71H(71)は、ノズル中心軸線Cと平行に延在するが、後述するようにノズル流路壁71Hの一部はノズル中心軸線Cと非平行であってもよい(
図8C参照)。内側流路壁一端部811Hは、シール空気流れ方向において、ノズル噴射口201H(201)に対して上流側に配置される。上記構成によれば、燃焼室47を流れる高温の主流ガスとしての燃焼ガスから内側流路壁一端部811Hを遠ざけることができるので、内側流路壁一端部811Hの焼損を抑制できる。
なお、本構成が採用される場合、内側流路壁一端部811Hとノズル流路壁71Hとによって形成されるシール空気噴射口41H(41)は、シール空気流れ方向においてノズル噴射口201Hよりも上流側に配置される。従って、シール空気の少なくとも一部は、予混合ガスと混ざったあとにノズル噴射口201Hから噴射される。
【0053】
図8Bで例示される2段燃焼ノズル21I(21H)は内側流路壁81I(81H)を有し、内側流路壁81Hの内側流路壁一端部811I(811H)は、内側テーパ面815を有する。内側テーパ面815は、ノズル径方向の内側(即ち、ノズル中心軸線C側)を向いており、燃焼室47に近づくに従いノズル中心軸線Cから離れるように傾斜する。
図8Cで例示される2段燃焼ノズル21J(21H)は内側流路壁81J(81H)を有し、内側流路壁81Jの内側流路壁一端部811J(811H)は、外側テーパ面818を有する。外側テーパ面818は、ノズル径方向の外側(即ち、ノズル中心軸線Cとは反対側)を向いており、燃焼室47に近づくに従いノズル中心軸線Cに近づくように傾斜する。
内側流路壁一端部811Hが、外側テーパ面818または内側テーパ面815を有する構成によれば、内側流路壁一端部811Hの形状が先細る形状となるので、内側流路壁一端部811Hの近く(例えば、内側流路壁一端部811Hに対してシール空気流れ方向の下流側にある2段燃焼ノズル20H内の領域R)で予混合ガスが滞留するのを抑制できる。これにより、ノズル噴射口201Hは予混合ガスを勢いよく噴射できる。なお、本開示の内側流路壁一端部811Hは、内側テーパ面815または外側テーパ面818のいずれか一方のみを有することに限定されず、内側テーパ面815と外側テーパ面818の双方を有してもよい。この場合も、予混合ガスの滞留が抑制される上記の利点は得られる。
【0054】
図8Cで例示されるように、2段燃焼ノズル21J(21H)のノズル流路壁71J(71H)は、対向傾斜面75を有してもよい。対向傾斜面75は、外側面88と対向すると共に、ノズル噴射口201J(201H)に近づくに従いノズル中心軸線Cに近づくよう傾斜する。同図では一例として、対向傾斜面75は外側面88と平行である。
【0055】
上記構成によれば、2段燃焼ノズル21Jのシール空気流路141J(141H)の流路面積がシール空気噴射口41J(41H)に近づくにつれて大きくなることが抑制されるので、シール空気噴射口41Jにおけるシール空気の勢いが弱まるのを回避できる。これにより、ノズル噴射口201J(201H)から予混合ガスを勢いよく噴射できると共に、馬蹄渦Sのノズル噴射口201Jへの流入を抑制できる。
【0056】
<4-6.第6の例示に係る構成>
図9を参照し、第6の例示に係る構成を説明する。
図9は、第6の例示に係る構成が適用された2段燃焼ノズル21K(21)を示す概略図である。2段燃焼ノズル21K(21)のノズル噴射口201K(201)と予混合ガス噴射口813K(813)は、ノズル中心軸線Cの軸線方向視において、燃焼ガス流れ方向に長い長円状を呈する。
【0057】
ノズル噴射口201K(201)が長円状となる実施形態において、「燃焼筒40の内周面48に形成されるノズル噴射口201」が、燃焼筒径方向において内周面48よりも外側に配置されるのであれば、内周面48とノズル噴射口201との燃焼筒径方向における距離は、ノズル噴射口201Kの水力直径の20%以下である。
また、ノズル噴射口201K(201)が長円状となる実施形態において、「燃焼筒40の内周面48に形成されるノズル噴射口201」が、燃焼筒径方向において内周面48よりも内側に配置されるのであれば、内周面48とノズル噴射口201との燃焼筒径方向における距離は、ノズル噴射口201Kの水力直径の5%以下である。
また、2段燃焼ノズル21Kは仕切壁55(
図5A参照)を含んでもよい。この場合、仕切壁55の先端部55Aからシール空気噴射口41K(41)までの最短距離(燃焼筒径方向における距離)は、燃焼ガス流れ方向におけるノズル噴射口201Kの長さ25%以下であることが好ましい。
【0058】
<4-7.補足説明>
上記の第1の例示~第7の例示に係る構成が2段燃焼ノズル21に適用されることに本開示は限定されない。これらの構成の少なくとも1つは、2段燃焼ノズル22,23に適用されてもよい。説明の重複を避けるために詳説は割愛する。
【0059】
<5.まとめ>
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0060】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン燃焼器(4)は、
燃焼室(47)を規定する燃焼筒(40)と、
燃料を前記燃焼室に供給するための燃焼器(8)と、
前記燃焼器に対して、前記燃焼室における燃焼ガスの流れ方向の下流側に配置される2段燃焼ノズル(20)と
を備えるガスタービン燃焼器であって、
前記2段燃焼ノズルは、
前記燃焼筒の内周面に形成されるノズル噴射口(201~203)を有するノズル流路(121~123)を形成するノズル流路形成部(31~33)と、
前記2段燃焼ノズルの中心線であるノズル中心軸線(C)に対して、前記燃焼ガスの前記流れ方向の上流側に少なくとも一部が配置されるシール空気噴射口(41~43)を有するシール空気流路(141~143)を形成するシール空気流路形成部(51~53)と、
を含む。
【0061】
上記1)の構成によれば、シール空気噴射口から噴射されるシール空気がノズル噴射口のうちでノズル中心軸線よりも上流側の領域を通過する。ノズル噴射口におけるシール空気の流れによって、燃焼筒の内周面において発生する高温の燃焼ガスの馬蹄渦(S)がノズル噴射口に流入することが抑制される。これにより、フラッシュバックを抑制できるガスタービン燃焼器が実現される。
【0062】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記ノズル流路形成部は、前記燃焼筒の前記内周面に連なるノズル流路壁(71~73)を有し、
前記シール空気流路形成部は、
前記ノズル流路壁と、
前記ノズル流路壁の内側に配置され、前記燃料が流れる燃料流路(予混合ガス流路91,92)を形成する内側流路壁(81,82)と、
をさらに含む。
【0063】
上記2)の構成によれば、内側流路壁が燃料流路を形成するのみならず、シール空気流路も形成する。これにより、シール空気流路を形成するための専用の流路壁をノズル流路壁の外側に配置する場合に比べて、ガスタービン燃焼器は構成を簡素化できる。
【0064】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記ノズル流路壁は、
前記ノズル中心軸線に対して、前記燃焼ガスの前記流れ方向の前記上流側に配置される上流側流路壁(76)と、
前記ノズル中心軸線に対して、前記燃焼ガスの前記流れ方向の下流側に配置される下流側流路壁(79)と、
を有し、
前記シール空気流路は、
前記上流側流路壁と前記内側流路壁とによって形成される上流側シール空気流路(146)と、
前記下流側流路壁と前記内側流路壁とによって形成される下流側シール空気流路(149)と、
を有する。
【0065】
上記3)の構成によれば、シール空気噴射口から噴射されるシール空気は、ノズル噴射口においてノズル中心軸線に対して上流側の領域を通過するのみならず、ノズル中心軸線に対して下流側の領域をも通過する。これによりノズル噴射口から噴射される燃料をシール空気と均等に混ぜることが可能になる。
【0066】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記ノズル中心軸線と直交する前記シール空気流路の断面において、前記上流側シール空気流路の流路面積は、前記下流側シール空気流路の流路面積よりも大きい。
【0067】
燃焼筒の内周面において発生する馬蹄渦は、燃焼ガスの流れ方向においてノズル中心軸線よりも上流側でノズル噴射口に流入する傾向がある。この点、上記4)の構成によれば、上流側シール空気流路を流れるシール空気の流量が増大するので、シール空気の流れが馬蹄渦の流入をより効果的に抑制できる。これにより、ガスタービン燃焼器はフラッシュバックをより確実に抑制できる。
【0068】
5)幾つかの実施形態では、上記3)または4)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記ノズル中心軸線の周方向であるノズル周方向における前記上流側シール空気流路の長さは、前記ノズル周方向における前記下流側シール空気流路の長さよりも長い。
【0069】
上記5)の構成によれば、上流側シール空気流路を流れるシール空気の流量が増大するので、上記4)と同様の理由によって、ガスタービン燃焼器はフラッシュバックをより確実に抑制できる。また、ノズル中心軸線Cよりも燃焼ガス流れ方向の上流側にシール空気を集約できるので、フラッシュバックをより効果的に抑制できる。
【0070】
6)幾つかの実施形態では、上記2)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記シール空気流路は、前記ノズル中心軸線に対して、前記燃焼ガスの前記流れ方向の前記上流側にのみ形成される。
【0071】
上記6)の構成によれば、ノズル中心軸線に対して上流側にのみノズル空気流路が形成されるので、ガスタービン燃焼器はフィルム空気の総流量を抑えつつ、フラッシュバックを効果的に抑制できる。
【0072】
7)幾つかの実施形態では、上記2)から6)のいずれかに記載のガスタービン燃焼器であって、
前記2段燃焼ノズルは、前記シール空気流路において前記ノズル流路壁と前記内側流路壁とに接続される仕切壁(55)をさらに含む。
【0073】
シール空気噴射口におけるシール空気は、馬蹄渦の流れの影響により、ノズル周方向に沿って燃焼ガスの流れ方向の下流側に押し流される場合がある。この点、上記7)の構成によれば、この場合であっても、仕切壁がノズル周方向におけるシール空気の流れを規制できる。従って、シール空気噴射口におけるシール空気の圧力分布がノズル周方向において偏ることが抑制され、シール空気噴射口におけるシール空気の流れをスムーズにすることができる。
【0074】
8)幾つかの実施形態では、上記7)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記仕切壁は、前記シール空気流路におけるシール空気の流れ方向の下流側の端部である先端部(55A)を有し、
前記仕切壁の前記先端部は、前記シール空気の前記流れ方向において、前記シール空気噴射口に対して上流側に配置される。
【0075】
上記8)の構成によれば、仕切壁が設けられることで、噴射されるシール空気の周方向における偏在を抑制できる。これにより、シール空気が必要となるガス流れ方向の上流側における燃焼室47の圧力が高い場合であっても、シール空気を十分に供給できる。
【0076】
9)幾つかの実施形態では、上記7)または8)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記仕切壁は、
前記シール空気流路におけるシール空気の流れ方向の下流側の端部である先端部(55A)と、
前記先端部とは反対側の端部である後端部(55B)と、
を有し、
前記先端部または前記後端部の少なくとも一方は流線形を呈する。
【0077】
上記9)の構成によれば、シール空気噴射口に向かって流れるシール空気が滞留するのが抑制されるので、シール空気噴射口からシール空気が勢いよく噴射される。よって、馬蹄渦がノズル噴射口に流入するのをさらに抑制できる。
【0078】
10)幾つかの実施形態では、上記2)から9)のいずれかに記載のガスタービン燃焼器であって、
前記ノズル流路壁は、前記内側流路壁と対向する内側面(77)を有し、
前記内側流路壁は、前記ノズル流路壁と対向する外側面(88)を有し、
前記2段燃焼ノズルは、前記内側面または前記外側面の少なくとも一方に設けられるタービュレータ(57)をさらに含む。
【0079】
上記10)の構成によれば、シール空気流路にタービュレータが設けられることで、シール空気流路においてシール空気の2次流れが発生する。シール空気噴射口から噴射されるシール空気の流れが乱されるため、馬蹄渦の流入を阻止するシール機能を果たし終えて燃焼室の中心側に向かって流れるシール空気は、燃料と混ざりやすい。これにより、燃焼室の内部にて、高温燃焼ガスとシール空気とが速やかに混合され、周囲の燃焼ガス温度を低減させることができる。よって、NOxの発生を抑制できる。
【0080】
11)幾つかの実施形態では、上記10)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記タービュレータは、前記燃焼ガスの流れ方向において、前記ノズル中心軸線に対して少なくとも上流側に配置される。
【0081】
上記11)の構成によれば、馬蹄渦の流入を阻止するシール機能を果たし終えたシール空気が燃料と混ざるのを促進できる。当該混合空気が燃焼室の内部において燃焼ガス流れ方向の上流側にある既燃ガスと混ざり、既燃ガスの温度が低下するので、NOxの発生を抑制できる。
【0082】
12)幾つかの実施形態では、上記10)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記タービュレータは、前記燃焼ガスの流れ方向において、前記ノズル中心軸線に対して下流側にのみ配置される。
【0083】
燃焼ガスの流れ方向においてノズル噴射口よりも下流側では、馬蹄渦がノズル噴射口に流入する傾向が低い。つまり、ノズル中心軸線に対して下流側を流れるシール空気は、馬蹄渦の流入を阻止する必要がない場合もある。この点、上記12)の構成によれば、当該シール空気の流れを積極的に乱すことが可能になり、シール空気が燃料と混ざるのを促進できる。
【0084】
13)幾つかの実施形態では、上記2)から11)のいずれかに記載のガスタービン燃焼器であって、
前記内側流路壁は、前記燃料を噴射するための燃料噴射口(813,823)を形成する内側流路壁一端部(811,812)を有し、
前記ノズル流路壁は、前記ノズル噴射口を形成するノズル流路壁一端部(711~713)を有し、
前記内側流路壁一端部または前記ノズル流路壁一端部の少なくとも一方は、前記ノズル中心軸線の周方向であるノズル周方向に沿ってジグザグ状に延在する。
【0085】
上記13)の構成によれば、内側流路壁一端部とノズル流路壁一端部とによって形成されるシール空気噴射口において、シール空気の2次流れが発生する。シール空気噴射口から噴射されるシール空気の流れが乱されるので、馬蹄渦の流入を阻止するシール機能を果たし終えて燃焼室の中心側に向かって流れるシール空気は燃料と混ざりやすい。これにより、燃焼室における燃焼不良を抑制できる。
【0086】
14)幾つかの実施形態では、上記2)から13)のいずれかに記載のガスタービン燃焼器であって、
前記内側流路壁は、燃料噴射口(813,823)を形成する内側流路壁一端部(811,812)を有し、
前記内側流路壁一端部は、前記シール空気流路におけるシール空気の流れ方向において、前記ノズル噴射口に対して上流側に配置される。
【0087】
上記14)の構成によれば、燃焼室を流れる燃焼ガスから内側流路壁一端部を遠ざけることができるので、内側流路壁一端部の損傷を抑制できる。
【0088】
15)幾つかの実施形態では、上記14)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記燃料噴射口は、前記燃料と燃焼用空気とを含む予混合ガスを噴射するように構成された予混合ガス噴射口であり、
前記内側流路壁一端部は、
前記ノズル中心軸線の径方向であるノズル径方向の外側を向いており、前記燃焼室に近づくに従い前記ノズル中心軸線に近づくように傾斜する外側テーパ面(818)、
または、
前記ノズル径方向の内側を向いており、前記燃焼室に近づくに従い前記ノズル中心軸線から離れるように傾斜する内側テーパ面(815)
の少なくとも一方を有する。
【0089】
上記15)の構成によれば、内側流路壁一端部が先細るので、内側流路壁一端部の近くにおいて予混合ガスが滞留するのを抑制できる。これにより、ノズル噴射口は予混合ガスを勢いよく噴射できる。
【0090】
16)幾つかの実施形態では、上記15)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記内側流路壁一端部は、前記外側テーパ面を有し、
前記ノズル流路壁は、前記外側テーパ面と対向する対向傾斜面であって、前記ノズル噴射口に近づくに従い前記ノズル中心軸線に近づくように傾斜する対向傾斜面(75)を有する。
【0091】
上記16)の構成によれば、シール空気流路の流路面積がシール空気噴射口に近づくにつれて大きくなることが抑制されるので、シール空気噴射口におけるシール空気の勢いが弱まるのを回避できる。これにより、ガスタービン燃焼器は、ノズル噴射口から予混合ガスを勢いよく噴射できると共に、馬蹄渦のノズル噴射口への流入を抑制できる。
【0092】
17)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記ノズル流路形成部は、前記燃焼筒の前記内周面に連なるノズル流路壁(711~713)を有し、
前記シール空気流路形成部は、前記ノズル流路壁に対して前記ノズル中心軸線とは反対側に配置され、
前記シール空気噴射口は、前記ノズル流路壁において開口し、前記ノズル噴射口に向けてシール用空気を噴射するように構成される。
【0093】
上記17)の構成によれば、シール空気噴射口の配置位置を自在に設計することが可能になる。これにより、シール空気が馬蹄渦の流入を阻止することと、シール空気が燃焼室の内部において燃料と良好に混ざることとを両立させることが可能になる。
【符号の説明】
【0094】
4 :ガスタービン燃焼器
6 :タービン
8 :燃焼器
20 :段燃焼ノズル
31~33 :ノズル流路形成部
40 :燃焼筒
41~43 :シール空気噴射口
47 :燃焼室
48 :内周面
55 :仕切壁
55A :先端部
55B :後端部
57 :タービュレータ
71~73 :ノズル流路壁
75 :対向傾斜面
76 :上流側流路壁
77 :内側面
79 :下流側流路壁
81,82 :内側流路壁
88 :外側面
100 :ガスタービン
121~123 :ノズル流路
141~143 :シール空気流路
146 :上流側シール空気流路
149 :下流側シール空気流路
201~203 :ノズル噴射口
711~713 :ノズル流路壁一端部
811,812 :内側流路壁一端部
813 :予混合ガス噴射口
815 :内側テーパ面
818 :外側テーパ面
823 :予混合ガス噴射口
C :ノズル中心軸線
P :中心線