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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142598
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20241003BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/044
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054805
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 啓介
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減しつつ、自己容量方式と相互容量方式との切り替え速度を向上させることが可能な入力装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係る入力装置は、自己容量方式モードと相互容量方式モードとに対応可能に構成された静電容量方式のセンサマトリクスと、前記センサマトリクスを前記自己容量方式モード及び前記相互容量方式モードの何れかのモードで駆動する駆動部と、前記駆動部が前記自己容量方式モードで前記センサマトリクスを駆動しているときに、前記センサマトリクスに所定の態様でタッチがなされたことを検知するタッチ検出回路を含むモード信号送出部と、を有し、前記モード信号送出部は、前記タッチ検出回路が前記センサマトリクスに前記所定のタッチがなされたことを検知した場合に、前記モードを前記自己容量方式モードから前記相互容量方式モードに切り替えることを示す第1の切り替え信号を前記駆動部に送出することを特徴とする入力装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己容量方式モードと相互容量方式モードとに対応可能に構成された静電容量方式のセンサマトリクスと、
前記センサマトリクスを前記自己容量方式モード及び前記相互容量方式モードの何れかのモードで駆動する駆動部と、
前記駆動部が前記自己容量方式モードで前記センサマトリクスを駆動しているときに、前記センサマトリクスに所定の態様でタッチがなされたことを検知するタッチ検出回路を含むモード信号送出部と、を有し、
前記モード信号送出部は、前記タッチ検出回路が前記センサマトリクスに前記所定のタッチがなされたことを検知した場合に、前記モードを前記自己容量方式モードから前記相互容量方式モードに切り替えることを示す第1の切り替え信号を前記駆動部に送出することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記モードを前記自己容量方式モードから前記相互容量方式モードに切り替える第2の切り替え信号を送出可能な制御MCUをさらに含み、
前記モード信号送出部は、前記第1の切り替え信号及び前記第2の切り替え信号を入力とするOR回路を有し、
前記OR回路の出力が、前記駆動部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記タッチ検出回路は、前記駆動部が前記自己容量方式モードで前記センサマトリクスを駆動しているときに、前記センサマトリクスに同時に複数のタッチがなされたことを検知すると前記第1の切り替え信号を出力する同時タッチ検出回路を含むことを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記タッチ検出回路は、前記センサマトリクスが前記自己容量方式モード時において、所定の期間の間、同一の一点がタッチされ続けている場合、第3の切り替え信号を出力する長時間タッチ判定回路を有することを特徴とする請求項2または3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記OR回路は、前記第1の切り替え信号、前記第2の切り替え信号及び前記第3の切り替え信号を入力とすることを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スマートフォン等に採用されている入力装置としてのタッチパネルのタッチセンシング方式において、静電容量方式のタッチパネルが主流となっている。静電容量方式には、自己容量方式及び相互容量方式のタッチセンシング方式がある。例えば、自己容量方式は消費電力に優れるがマルチタッチやタッチパネルへの導電性異物の付着等の問題に対応できず、相互容量方式は上記問題に対応可能であるが自己容量方式よりも消費電力が大きい等、それぞれに一長一短の特性がある。
【0003】
近年においては、自己容量方式及び相互容量方式のハイブリッド方式のタッチパネルが普及しつつあり、ユーザの操作に応じて自己容量方式と相互容量方式とを切り替える技術が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、複数の静電容量スイッチのうち、ユーザの操作(タッチ)が行われた静電容量スイッチ(入力装置における位置)を判定するために、処理部が自己容量方式と相互容量方式とを切り替えて、それぞれの自己容量値及び相互容量値を検出し、所定の閾値以上の自己容量値又は相互容量値が検出された静電容量スイッチを、ユーザの操作が行われた静電容量スイッチとして判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-10375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の入力装置においては、ユーザの操作が行われた静電容量スイッチとして判定するために、1のユーザの操作に対して自己容量方式と相互容量方式の両方を行うものであり、ユーザの操作に応じて自己容量方式と相互容量方式とを切り替えるものではない。そのため、特許文献1に記載の入力装置では、消費電力の増加が予想される。
【0007】
また、特許文献1に記載の入力装置における、自己容量方式と相互容量方式とを切り替える処理部は、CPU等のプロセッサである。当該処理部は、検出された自己容量値及び相互容量値に基づくユーザの操作が行われた静電容量スイッチの判定プログラム処理、又は他のアプリケーション等のプログラム処理等の負荷により、自己容量方式と相互容量方式との切り替えに遅延が生じ、ユーザの操作に対して誤検出が生じる又はレスポンスが遅くなる恐れがある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、消費電力を低減しつつ、自己容量方式と相互容量方式との切り替え速度を向上させることが可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る入力装置は、自己容量方式モードと相互容量方式モードとに対応可能に構成された静電容量方式のセンサマトリクスと、前記センサマトリクスを前記自己容量方式モード及び前記相互容量方式モードの何れかのモードで駆動する駆動部と、前記駆動部が前記自己容量方式モードで前記センサマトリクスを駆動しているときに、前記センサマトリクスに所定の態様でタッチがなされたことを検知するタッチ検出回路を含むモード信号送出部と、を有し、前記モード信号送出部は、前記タッチ検出回路が前記センサマトリクスに前記所定のタッチがなされたことを検知した場合に、前記モードを前記自己容量方式モードから前記相互容量方式モードに切り替えることを示す第1の切り替え信号を前記駆動部に送出することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係るタッチパネルの構成を示す図である。
図2】実施例1に係るタッチパネルの自己容量方式時の動作を示すブロック図である。
図3】実施例1に係るタッチパネルの相互容量方式時の動作を示すブロック図である。
図4】実施例2に係るタッチパネルの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0012】
図1は、実施例1に係る入力装置1の構成を示す図である。
【0013】
入力装置1は、例えば、スマートフォン等の電子機器のディスプレイパネル(図示せず)に重なるように搭載され、当該ディスプレイパネルに表示された画像に対応する位置(座標)にユーザの指等のタッチによって入力がなされたことを検知する入力装置である。また、入力装置1は、静電容量方式にて入力を検知する入力装置である。すなわち、入力装置1は、静電容量方式のタッチパネルディスプレイのタッチセンサ部である。
【0014】
センサマトリクス10は、格子状にYライン電極Y1、Y2、Y3、・・・、Yn-1、Yn及びXライン電極X1、X2、X3、・・・、Xn-1、Xnが形成されている。Yライン電極Y1、Y2、Y3、・・・、Yn-1、Yn及びXライン電極X1、X2、X3、・・・、Xn-1、Xnは、それぞれ互いに離間されて形成されている。これにより、Yライン電極Y1、Y2、Y3、・・・、Yn-1、Yn及びXライン電極X1、X2、X3、・・・、Xn-1、Xnは、互いに隣接するYライン電極及びXライン電極によって、センサマトリクス10上に座標(Y1,X1)~(Yn,Xn)までのセンサ座標を形成する。
【0015】
駆動部20は、Yライン電極Y1、Y2、Y3・・・、Yn-1、Yn及びXライン電極X1、X2、X3・・・、Xn-1、Xnと接続され、センサマトリクス10を駆動する。
【0016】
駆動部20は、センサマトリクス10を自己容量方式モードで駆動させる自己容量方式制御回路21、センサマトリクス10を相互容量方式モードで駆動させる相互容量方式制御回路22、及びセンサマトリクス10を自己容量方式モード又は相互容量方式モードのいずれかの駆動モードで駆動させるように自己容量方式制御回路21又は相互容量方式制御回路22を切り替える切替回路23を含む。
【0017】
自己容量方式制御回路21及び相互容量方式制御回路22は、センサマトリクス10の自己容量方式モード及び相互容量方式モード時におけるYライン電極Y1、Y2、Y3・・・、Yn-1、Yn及びXライン電極X1、X2、X3・・・、Xn-1、Xn電極駆動及び静電容量値の変化を測定する。また、自己容量方式制御回路21及び相互容量方式制御回路22は、測定した静電容量値の変化をアナログ-デジタル変換して結果格納レジスタ30に出力する。
【0018】
切替回路23は、後述する切り替え信号に基づいて、自己容量方式制御回路21と相互容量方式制御回路22とのいずれか一方を駆動させるように切り替えを行う。具体的には、切替回路23は、供給される切り替え信号の論理レベルが0の場合に自己容量方式制御回路21によってセンサマトリクス10を駆動させ、切り替え信号の論理レベルが1の場合に相互容量方式制御回路22によってセンサマトリクス10を駆動させる。
【0019】
すなわち、本実施例1の入力装置は、通常時(切り替え信号の論理レベルが0)では自己容量方式制御回路21によってセンサマトリクス10が駆動され、後述する所定の条件下(切り替え信号の論理レベルが0)では切替回路23が自己容量方式制御回路21から相互容量方式制御回路22への切り替えを行う。
【0020】
このように、本実施例1の入力装置は、センサマトリクス10が相互容量方式モードである必要がある場合にのみ、自己容量方式モードから相互容量方式モードに切り替えることによって、消費電力を低減することができる。
【0021】
結果格納レジスタ30は、駆動部20から出力された、センサマトリクス10の各座標(Y1,X1)~(Yn,Xn)の入力結果を格納するレジスタである。
【0022】
例えば、結果格納レジスタ30は、駆動部20の自己容量方式制御回路21又は相互容量方式制御回路22の1の走査ごとに入力結果を保持、出力する。
【0023】
MCU40は、例えば、入力装置1が搭載される電子機器を統括制御するプロセッサである。MCU40は、例えば、結果格納レジスタ30から供給されるYライン電極及びXライン電極の各々の入力結果から、ユーザが入力を行ったセンサマトリクス10の座標を特定する。また、MCU40は、電子機器のディスプレイパネル(図示せず)に表示された画像、及びユーザが入力を行ったセンサマトリクス10の座標に基づいて、連動するアプリケーションのプログラムを実行する。また、MCU40は、当該アプリケーションの指示又は結果格納レジスタ30から供給されるセンサマトリクス10の各座標における入力結果に基づいて、入力装置1のセンサマトリクス10の容量方式モードを切り替える制御を行う。
【0024】
ここで、図2及び図3を用いて、静電容量型のタッチパネルにおける自己容量方式モード及び相互容量方式モードの説明、及び各々のモードで駆動している際の駆動部20の動作を説明する。
【0025】
図2は、入力装置1において、切替回路23が自己容量方式制御回路21を選択し、センサマトリクス10を自己容量方式モードにて駆動させている場合のブロック図である。
【0026】
自己容量方式制御回路21は、Yライン電極Y1、Y2、Y3、・・・、Yn-1、Yn及びXライン電極X1、X2、X3、・・・、Xn-1、Xnの各々に電圧を印加し、それぞれの電極直上に電界を発生させる。
【0027】
また、自己容量方式制御回路21は、例えば、Yライン電極、Xライン電極の順に順次各ライン電極の静電容量値の変化を測定する。
【0028】
例えば、自己容量方式制御回路21は、第1の走査として、Yライン電極Y1~YnのそれぞれのYライン電極の静電容量値の変化を順次測定する。次に、第2の走査として、Xライン電極Y1~YnのそれぞれのYライン電極の静電容量値の変化を順次測定する。駆動部20の自己容量方式制御回路21は、この走査を繰り返し、センサマトリクス10の各座標における静電容量値の変化を測定し続ける。
【0029】
例えば、ユーザが指でセンサマトリクス10に入力(タッチ)を行った際、当該入力した点において、Yライン電極及びXライン電極とユーザの指の間に疑似コンデンサが形成される。これにより、当該入力した点のYライン電極及びXライン電極の静電容量値が増加する。
【0030】
また、自己容量方式制御回路21は、測定したYライン電極及びXライン電極の静電容量値の変化を順次アナログ-デジタル変換器24に出力する。
【0031】
アナログ-デジタル変換器24は、例えば、静電容量値が増加したYライン電極及びXライン電極の番号を論理レベル1の信号とし、静電容量値が変化しなかったYライン電極及びXライン電極の番号を論理レベル0の信号として変換し、これを入力結果として結果格納レジスタ30に出力する。
【0032】
結果格納レジスタ30は、自己容量方式制御回路21の1の走査ごとに入力結果を保持、出力する。
【0033】
MCU40は、結果格納レジスタ30から出力された入力結果に基づき、論理レベルが1であるYライン電極及びXライン電極から、ユーザが入力を行ったセンサマトリクス10の座標を判定する。
【0034】
図3は、入力装置1において、切替回路23が相互容量方式制御回路22を選択し、センサマトリクス10を相互容量方式モードにて駆動させている場合のブロック図である。
【0035】
相互容量方式制御回路22は、Xライン電極X1、X2、X3、・・・、Xn-1、XnにXライン電極の駆動制御を行う相互容量方式駆動回路22Aと、Xライン電極の各々に相互容量方式駆動回路に応じたパルス電圧を印加する駆動ドライバ22Bを含む。また、相互容量方式制御回路22は、Yライン電極Y1、Y2、Y3、・・・、Yn-1、Ynの各々において、互いに隣接するXライン電極X1、X2、X3、・・・、Xn-1、Xnとの間の静電容量を測定する相互容量方式検出回路22Cを含む。
【0036】
相互容量方式駆動回路22Aは、例えば、駆動ドライバ22Bを介して、Xライン電極X1、X2、X3、・・・、Xn-1、Xnに順次パルス電圧を印加し、パルス電圧が印加されたXライン電極とそれに隣接するYライン電極との間に電界を発生させる。
【0037】
相互容量方式検出回路22Cは、例えば、Yライン電極とパルス電圧が印加されたXライン電極との間の静電容量値の変化を順次測定する。
【0038】
例えば、相互容量方式検出回路22Cは、第1の走査として、Yライン電極Y1において、Xライン電極X1との間の相互容量値、Xライン電極X2との間の相互容量値、・・・、Xライン電極Xnとの間の相互容量値を順次測定する。次に、相互容量方式検出回路22Cは、第2の走査として、同様にYライン電極Y2におけるX1~Xnとの間の相互容量値を順次測定する。相互容量方式検出回路22Cは、この走査を、第nの走査としてYライン電極Ynまで繰り返し、センサマトリクス10の各座標の相互容量値を測定する。相互容量方式検出回路22Cは、さらにこれを繰り返し、センサマトリクス10の各座標における相互容量値を測定し続ける。
【0039】
例えば、ユーザが指でセンサマトリクス10に入力(タッチ)を行った際、当該入力した点において、パルス電圧が印加されたXライン電極とユーザの指の間に疑似コンデンサが形成される。これにより、当該入力した点のパルス電圧が印加されたXライン電極とそれに隣接するYライン電極との間の静電容量値が減少する。
【0040】
また、相互容量方式検出回路22Cは、測定したパルス電圧が印加されたXライン電極とそれに隣接するYライン電極との間の静電容量値の変化を順次アナログ-デジタル変換器25に出力する。
【0041】
アナログ-デジタル変換器25は、例えば、静電容量値が減少したYライン電極及びXライン電極の番号(センサマトリクス10の座標)を論理レベル1の信号とし、静電容量値が変化しなかったYライン電極及びXライン電極の番号を論理レベル0の信号として変換し、これを入力結果として結果格納レジスタ30に出力する。
【0042】
結果格納レジスタ30は、相互容量方式検出回路22Cの1の走査ごとに入力結果を保持、出力する。
【0043】
MCU40は、結果格納レジスタ30から出力された入力結果に基づき、論理レベルが1であるYライン電極及びXライン電極から、ユーザが入力を行ったセンサマトリクス10の座標を判定する。
【0044】
図1に戻り、本実施例1の入力装置1におけるセンサマトリクス10の自己容量方式モードから相互容量方式モードへの切り替え動作について説明する。
【0045】
同時タッチ検出回路50は、センサマトリクス10が自己容量方式制御回路21によって駆動されているときに、センサマトリクス10の複数の座標が同時に入力されていること(マルチタッチ)を検知する回路である。具体的には、結果格納レジスタ30から1の走査ごとに供給される入力結果に基づいて、センサマトリクス10の複数の座標が同時に入力されていることを検知する。
【0046】
上述の通り、センサマトリクス10は、通常時、自己容量方式制御回路21によって自己容量方式モードにて駆動されている。この時、ユーザがセンサマトリクス10に対してマルチタッチを行うと、結果格納レジスタ30からゴーストポイントを含む複数の座標の論理レベルが1となるデジタル入力結果の情報が供給される。
【0047】
同時タッチ検出回路50は、複数の座標の論理レベルが1となる入力結果の情報が供給されたことに応じて、センサマトリクス10の駆動モードを自己容量方式モードから相互容量方式モードへと切り替えることを示す論理レベル1の第1の切り替え信号を出力する。
【0048】
同時タッチ検出回路50は、例えば、単純な加算器回路等によって実現可能である。例えば、同時タッチ検出回路50は、自己容量方式モード時において、上記した第1の走査であるYライン電極Y1~Ynまでの入力結果が結果格納レジスタ30から供給された際に、Yライン電極Y1~Ynまでの入力結果を加算する。この時、Yライン電極Y1~Ynまでの入力結果を加算結果が2以上であれば、第1の切り替え信号を出力する。すなわち、少なくともYライン電極Y1~Ynのうちの2つ以上のラインがユーザによってタッチ(入力)されていれば、同時タッチ検出回路50である加算器回路は、センサマトリクス10の複数の座標が同時に入力されていることを検知可能である。
【0049】
制御方式切り替えレジスタ60は、MCU40から供給される切り替え指示情報に基づいて、センサマトリクス10の駆動モードを自己容量方式モードから相互容量方式モードへと切り替えることを示す論理レベル1の第2の切り替え信号を出力する。
【0050】
MCU40は、アプリケーションの指示又はユーザのマルチタッチとは異なる状況下にて、センサマトリクス10を自己容量方式モードから相互容量方式モードへと切り替える必要がある場合に、第2の切り替え信号を論理レベル0から1に変更させるように制御方式切り替えレジスタ60の書き換えを行う。
【0051】
OR回路70は、同時タッチ検出回路50から出力される第1の切り替え信号と制御方式切り替えレジスタ60から出力される第2の切り替え信号の論理和を、駆動部20の切替回路23に供給する。すなわち、駆動部20の切替回路23は、第1の切り替え信号又は第2の切り替え信号のどちらか一方の論理レベルが1となった際に、自己容量方式制御回路21から相互容量方式制御回路22への切り替えを行う。同時タッチ検出回路50とOR回路70とで本発明のモード信号送出部が構成され得る。
【0052】
以上のように、本実施例1の入力装置1においては、MCU40のソフトウェアによるプログラム処理を介さずに、加算器回路等の同時タッチ検出回路50によるハードウェアによってユーザのマルチタッチを検出する。これにより、MCU40のプログラム処理等の負荷によるセンサマトリクス10の駆動モードの切り替え遅延を抑制することができ、自己容量方式モードから相互容量方式モードへの切り替え速度を向上させることが可能となる。また、これにより、本実施例1の入力装置1は、ユーザの操作に対して誤検出及びレスポンス遅延を抑制することが可能となる。
【0053】
また、MCU40において、マルチタッチ検出プログラム処理、及びマルチタッチ検出プログラム処理に基づく自己容量方式モードから相互容量方式モードへの切り替えプログラム処理を除外することができ、MCU40の負荷低減及び消費電力の低減をすることが可能となる。
【0054】
図4は、実施例2に係る入力装置2の構成を示す図である。
【0055】
実施例2の入力装置2は、実施例1の入力装置1と基本的に同様の構成である。実施例2の入力装置2は、長時間タッチ判定回路80を有する点で異なる。また、実施例2の入力装置2は、OR回路90が同時タッチ検出回路50、制御方式切り替えレジスタ60及び長時間タッチ判定回路80のそれぞれの出力の論理和を出力する点で異なる。
【0056】
長時間タッチ判定回路80は、例えば、結果格納レジスタ30から供給されるセンサマトリクス10の入力結果の情報に基づいて、センサマトリクス10上に水滴等の導電性異物が付着しているか否かを判定する。
【0057】
自己容量方式モードにおいては、センサマトリクス10上に導電性異物が付着した場合、ユーザの入力と判別することが難しい。そのため、自己容量方式モードでは、導電性異物が付着した座標でユーザが意図しない誤入力が検出されることがある。
【0058】
長時間タッチ判定回路80は、センサマトリクス10の所定の座標にて、所定の期間の間入力がなされていると判定した場合に、自己容量方式モードから相互容量方式モードに切り替えることを示す第3の切り替え信号を出力する。
【0059】
具体的には、ユーザの操作による入力時間に対して、導電性異物の付着による誤入力時間の方が長いことが推測される。そこで、長時間タッチ判定回路80は、センサマトリクス10の各座標において、例えば、1秒以上入力が継続している場合に、当該座標に導電性異物が付着しているとして、論理レベル1の第3の切り替え信号を出力する。
【0060】
長時間タッチ判定回路80は、例えば、単純なカウンタ回路等によって実現可能である。例えば、長時間タッチ判定回路80は、自己容量方式モード時において、センサマトリクス10の入力結果が結果格納レジスタ30から供給された際に、複数の走査回数の間、同一のYライン電極又はXライン電極の番号の入力結果が1であることをカウンタ回路でカウントする。長時間タッチ判定回路80は、当該カウンタ回路のカウント数が所定の回数以上となった時に第3の切り替え信号を出力する。
【0061】
すなわち、少なくともYライン電極又はXライン電極のうち、一方のライン電極の同一の番号において所定の時間の間入力が継続されていれば、長時間タッチ判定回路80であるカウンタ回路は、センサマトリクス10上に導電性異物が付着していることを検知可能である。同時タッチ検出回路50、長時間タッチ判定回路80及びOR回路70とで本発明のモード信号送出部が構成され得る。
【0062】
以上にように、本実施例2の入力装置2は、実施例1の入力装置1の効果に加え、センサマトリクス10上に付着した導電性異物による誤検出、及び導電性異物付着時のユーザの入力に対するレスポンス遅延を抑制することが可能となる。
【0063】
また、MCU40において、センサマトリクス10上の導電性異物付着の判定プログラム処理、及び導電性異物付着の判定プログラム処理に基づく自己容量方式モードから相互容量方式モードへの切り替えプログラム処理を除外することができ、MCU40の負荷低減及び消費電力の低減をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
1,2 入力装置
20 駆動部
21 自己容量方式制御回路
22 相互容量方式制御回路
23 切替回路
30 結果格納レジスタ
40 MCU
50 同時タッチ検出回路
60 制御方式切り替えレジスタ
70、90 OR回路
80 長時間タッチ判定回路
図1
図2
図3
図4