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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142600
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】巻取機及び巻取方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/28 20060101AFI20241003BHJP
   B65H 19/26 20060101ALI20241003BHJP
   B65H 18/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65H19/28 A
B65H19/26
B65H18/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054807
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】前川 昂仁
(72)【発明者】
【氏名】豊辻 孝一
【テーマコード(参考)】
3F055
3F064
【Fターム(参考)】
3F055AA05
3F055DA01
3F064AA03
3F064CA03
3F064CB10
3F064DA02
(57)【要約】
【課題】膜材の巻き取りを第1の巻芯から第2の巻芯に移行させるために膜材を切断した際に、膜材を第2の巻芯に良好に巻き付けることが可能な巻取機を実現する。
【解決手段】本開示の巻取機(1)は、第1の巻芯(3)を支持し、送りローラ(41)に対して近接及び離間するように第1の巻芯(3)を移動可能に支持する第1の支持部(21)と、第2の巻芯(4)を支持し、第1の巻芯(3)と送りローラ(41)との間の膜材(2)に接触するように第2の巻芯(4)を移動可能に支持する第2の支持部(31)と、第2の巻芯(4)が第1の巻芯(3)と送りローラ(41)との間の膜材(2)に接触した状態で、第2の巻芯(4)が自転する方向に膜材(2)が第2の巻芯(4)を巻き込むように、膜材(2)を第2の巻芯(4)の側に引き込む引き込み機構(51)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜材を巻き取る第1の巻芯を自転可能に支持し、前記膜材の送り方向の上流側に配置された送りローラに対して近接及び離間するように前記第1の巻芯を移動可能に支持する第1の支持部と、
前記第1の巻芯と平行に配置され、且つ前記膜材を巻き取る第2の巻芯を自転可能に支持し、前記第1の巻芯が前記送りローラに対して離間した状態で、前記第1の巻芯と前記送りローラとの間の膜材に接触するように前記第2の巻芯を移動可能に支持する第2の支持部と、
前記第2の巻芯が前記第1の巻芯と前記送りローラとの間の膜材に接触した状態で、前記第2の巻芯が自転する方向に前記膜材が当該第2の巻芯を巻き込むように、前記膜材を前記第2の巻芯の側に引き込む引き込み機構と、
を備える、巻取機。
【請求項2】
前記引き込み機構の先端部は、前記膜材を前記第2の巻芯の側に引き込んだ状態で、前記第2の巻芯の中心軸に対して前記膜材の送り方向の上流側に配置される、請求項1に記載の巻取機。
【請求項3】
前記引き込み機構の先端部は、前記膜材を前記第2の巻芯の側に引き込んだ状態で、前記第2の巻芯に対して上側に配置される、請求項1又は2に記載の巻取機。
【請求項4】
前記第1の巻芯が自転する方向と、前記第2の巻芯が自転する方向と、は等しい、請求項1又は2に記載の巻取機。
【請求項5】
前記引き込み機構は、
前記膜材と接触する接触部と、
前記接触部を前記第2の巻芯が自転する方向に移動させるアーム機構と、
前記接触部及び前記アーム機構を前記膜材の送り方向の上流側及び下流側に移動させるスライド機構と、
を備える、請求項1又は2に記載の巻取機。
【請求項6】
前記アーム機構は、第1のアーム部と、第2のアーム部と、を備え、前記第1のアーム部が前記第2のアーム部の一方の端部を中心に回転可能であって、前記第2のアーム部が当該第2のアーム部の他方の端部を中心に回転可能であり、
前記接触部は、前記第2の巻芯と平行に配置され、且つ前記第1のアーム部における前記第2のアーム部との連結部の側に対して逆側の部分に自転可能に設けられた第1のローラと、前記第1のローラと平行に配置され、且つ前記第1のアーム部における前記第2のアーム部との連結部の側の部分に自転可能に設けられた第2のローラと、前記第1のローラと平行に配置され、且つ前記第1のアーム部における前記第1のローラと前記第2のローラとの間の部分に自転可能に設けられた第3のローラと、を備え、
前記引き込み機構が前記膜材を前記第2の巻芯の側に引き込んだ状態で、前記第3のローラは、前記膜材が前記第2の巻芯に接触するように、前記膜材を前記第2の巻芯に押し付ける、請求項5に記載の巻取機。
【請求項7】
前記引き込み機構が前記膜材を前記第2の巻芯の側に引き込んだ状態で、前記引き込み機構と前記第2の巻芯との間に配置された膜材を切断する切断機構を備える、請求項1又は2に記載の巻取機。
【請求項8】
前記切断機構は、前記膜材の送り方向に向かって見て前記第1の支持部及び前記第2の支持部の外側から加速させたカッタによって前記膜材を横断するように切断する、請求項7に記載の巻取機。
【請求項9】
前記第1の支持部は、予め設定された回転軸を中心に前記第1の巻芯を公転可能に支持し、
前記第2の支持部は、前記回転軸を中心に前記第2の巻芯を公転可能に支持し、
前記回転軸と前記第1の巻芯の中心軸との距離と、前記回転軸と前記第2の巻芯の中心軸との距離と、は等しい、請求項1又は2に記載の巻取機。
【請求項10】
前記膜材は、長尺の樹脂フィルムである、請求項1又は2に記載の巻取機。
【請求項11】
膜材を巻き取る第1の巻芯を前記膜材の送り方向の上流側に配置された送りローラに対して離間するように移動させて、前記第1の巻芯と平行に配置された第2の巻芯を前記第1の巻芯と前記送りローラとの間の膜材に接触させる工程と、
前記第2の巻芯が自転する方向に前記膜材が当該第2の巻芯を巻き込むように、引き込み機構によって前記膜材を前記第2の巻芯の側に引き込む工程と、
前記膜材を切断し、前記膜材の巻き取りを前記第1の巻芯から前記第2の巻芯に移行する工程と、
を備える、巻取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、巻取機及び巻取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に巻取機は、長尺の樹脂フィルムなどの膜材をロール状に巻き取る際に用いられている。例えば、特許文献1の巻取機は、第1の巻芯が膜材を巻き取っている状態で、第1の巻芯に対して膜材の送り方向の上流側に配置された送りローラと当該第1の巻芯との間に配置された膜材に第2の巻芯を接触させ、その状態で第1の巻芯と第2の巻芯との間で膜材を切断することで、膜材の巻き取りを第1の巻芯から第2の巻芯に移行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-59587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、以下の課題を見出した。特許文献1の巻取機は、第1の巻芯と第2の巻芯との間で膜材を切断する際に、膜材が第2の巻芯に接触している長さが短いため、膜材が第2の巻芯から剥がれて当該第2の巻芯に良好に巻き付けられない可能性がある。
【0005】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、膜材の巻き取りを第1の巻芯から第2の巻芯に移行させるために膜材を切断した際に、膜材を第2の巻芯に良好に巻き付けることが可能な、巻取機及び巻取方法を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る巻取機は、
膜材を巻き取る第1の巻芯を自転可能に支持し、前記膜材の送り方向の上流側に配置された送りローラに対して近接及び離間するように前記第1の巻芯を移動可能に支持する第1の支持部と、
前記第1の巻芯と平行に配置され、且つ前記膜材を巻き取る第2の巻芯を自転可能に支持し、前記第1の巻芯が前記送りローラに対して離間した状態で、前記第1の巻芯と前記送りローラとの間の膜材に接触するように前記第2の巻芯を移動可能に支持する第2の支持部と、
前記第2の巻芯が前記第1の巻芯と前記送りローラとの間の膜材に接触した状態で、前記第2の巻芯が自転する方向に前記膜材が当該第2の巻芯を巻き込むように、前記膜材を前記第2の巻芯の側に引き込む引き込み機構と、
を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る巻取方法は、
膜材を巻き取る第1の巻芯を前記膜材の送り方向の上流側に配置された送りローラに対して離間するように移動させて、前記第1の巻芯と平行に配置された第2の巻芯を前記第1の巻芯と前記送りローラとの間の膜材に接触させる工程と、
前記第2の巻芯が自転する方向に前記膜材が当該第2の巻芯を巻き込むように、引き込み機構によって前記膜材を前記第2の巻芯の側に引き込む工程と、
前記膜材を切断し、前記膜材の巻き取りを前記第1の巻芯から前記第2の巻芯に移行する工程と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、膜材の巻き取りを第1の巻芯から第2の巻芯に移行させるために膜材を切断した際に、膜材を第2の巻芯に良好に巻き付けることが可能な、巻取機及び巻取方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の巻取機を側方から見た構成を示す図である。
図2】実施の形態の巻取機における切断機構の第1の駆動機構の構成を示す図である。
図3】実施の形態の巻取機における切断機構の保持機構などを示す図である。
図4】実施の形態の巻取機を用いて膜材の巻き取りを第1の巻芯から第2の巻芯に移行する流れを説明するための図である。
図5】実施の形態の巻取機を用いて膜材の巻き取りを第1の巻芯から第2の巻芯に移行する流れを説明するための図である。
図6】実施の形態の巻取機を用いて膜材の巻き取りを第1の巻芯から第2の巻芯に移行する流れを説明するための図である。
図7】実施の形態の巻取機を用いて膜材の巻き取りを第1の巻芯から第2の巻芯に移行する流れを説明するための図である。
図8】実施の形態の巻取機の引き込み機構を用いて第2の巻芯に膜材を引き込んだ状態を示す図である。
図9】巻取機における保持機構を備えていない場合のカッタの停止位置を説明するための図である。
図10】実施の形態の巻取機におけるカッタの停止位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0011】
先ず、本実施の形態の巻取機の構成を説明する。図1は、本実施の形態の巻取機を側方から見た構成を示す図である。なお、図1では、図を明確にするために簡略化すると共に、部分的に透視図として示している。
【0012】
ここで、以下の説明では、説明を明確にするために、三次元(XYZ)座標系を用いて説明する。このとき、X軸+側が巻取機の右側であり、X軸-側が巻取機の左側である。Y軸+側が巻取機の前側であって、且つ膜材の送り方向の下流側であり、Y軸-側が巻取機の後側であって、且つ膜材の送り方向の上流側である。Z軸+側が巻取機の上側であり、Z軸-側が巻取機の下側である。
【0013】
本実施の形態の巻取機1は、図1に示すように、長尺の樹脂フィルムなどの膜材2をロール状に巻き取るために好適である。巻取機1は、図1に示すように、第1の支持部21、第2の支持部31、送りローラ41、引き込み機構51及び切断機構61を備えている。
【0014】
ここで、第1の支持部21、第2の支持部31、送りローラ41、及び引き込み機構51は、大凡、後述するように第1の支持部21に支持された状態の第1の巻芯3のX軸方向の中央を通り、且つYZ平面と平行な面を対称面とする面対称の構成であるため、X軸-側の構成を代表して説明する場合がある。
【0015】
第1の支持部21は、図1に示すように、第1の巻芯3を支持する。詳細には、第1の支持部21は、第1の巻芯3のX軸+側の端部及びX軸-側の端部を夫々支持するために、X軸方向に間隔を開けて配置されており、例えば、X軸方向から見て一軸方向に長いアーム形状である。第1の巻芯3は、膜材2を巻き取るための芯材であり、例えば、円筒部材である。
【0016】
そして、第1の支持部21の一方の端部がX軸回りに回転可能に巻取機1のフレーム部11に連結されており、第1の支持部21は、図示を省略した第1の駆動機構の駆動力によって回転する。
【0017】
ここで、巻取機1のフレーム部11は、本開示の本質的部分ではないため、当該フレーム部11の説明を省略するが、巻取機1の他の部材を支持可能であって、且つ他の部材の動作を阻害しない形状とされているとよい。
【0018】
第1の支持部21の他方の端部には、第1の巻芯3を取り付け及び取り外しするためのチャック部が設けられている。第1の支持部21のチャック部に第1の巻芯3の端部が取り付けられた状態で、第1の巻芯3は、X軸方向に延在するように第1の支持部21に支持される。
【0019】
そして、第1の支持部21のチャック部に第1の巻芯3の端部が取り付けられた状態で、第1の支持部21は、第1の巻芯3がX軸回りに自転できるように、図示を省略した第2の駆動機構から当該チャック部を介して第1の巻芯3に駆動力を伝達可能な構成とされている。
【0020】
このとき、第1の巻芯3は、例えば、X軸+側から見て反時計回りに自転することができる。このような構成により、第1の支持部21は、第1の巻芯3をX軸回りに公転可能であって、且つ自転可能に支持することができる。
【0021】
第2の支持部31は、図1に示すように、第2の巻芯4を支持する。詳細には、第2の支持部31は、第2の巻芯4のX軸+側の端部及びX軸-側の端部を夫々支持するために、X軸方向に間隔を開けて配置されており、例えば、X軸方向から見て一軸方向に長いアーム形状である。第2の巻芯4は、膜材2を巻き取るための芯材であり、例えば、円筒部材である。
【0022】
そして、第2の支持部31の一方の端部がX軸回りに回転可能に巻取機1のフレーム部11に連結されており、第2の支持部31は、図示を省略した第3の駆動機構の駆動力によって回転する。このとき、第1の支持部21と第2の支持部31とは、図1に示すように、共通の回転軸AX1を中心に回転可能であり、相対的に回転した際に干渉しないように配置されている。
【0023】
第2の支持部31の他方の端部には、第2の巻芯4を取り付け及び取り外しするためのチャック部が設けられている。第2の支持部31のチャック部に第2の巻芯4の端部が取り付けられた状態で、第2の巻芯4は、X軸方向に延在するように第2の支持部31に支持される。
【0024】
このとき、図1に示すように、第1の支持部21に支持された状態の第1の巻芯3の中心軸AX2と回転軸AX1との間隔と、第2の支持部31に支持された状態の第2の巻芯4の中心軸AX3と回転軸AX1との間隔と、は略等しいとよい。
【0025】
第2の支持部31のチャック部に第2の巻芯4の端部が取り付けられた状態で、第2の支持部31は、第2の巻芯4がX軸回りに自転できるように、図示を省略した第4の駆動機構から当該チャック部を介して第2の巻芯4に駆動力を伝達可能な構成とされている。
【0026】
このとき、第2の巻芯4は、例えば、X軸+側から見て反時計回りに自転することができる。このような構成により、第2の支持部31は、第2の巻芯4をX軸回りに公転可能であって、且つ自転可能に支持することができる。
【0027】
送りローラ41は、図1に示すように、膜材2を第1の巻芯3又は第2の巻芯4に送るために、第1の支持部21及び第2の支持部31に対してY軸-側に配置されたフェードローラ又はガイドローラである。送りローラ41は、X軸方向に延在しており、X軸回りに自転可能に巻取機1のフレーム部11に支持されている。
【0028】
引き込み機構51は、詳細は後述するが、第1の巻芯3がX軸回りに公転して送りローラ41に対してY軸+側に離間し、第2の巻芯4がX軸回りに公転して第1の巻芯3と送りローラ41との間の膜材2に接触した状態で、第2の巻芯4が自転する方向に膜材2が当該第2の巻芯4を巻き込むように、膜材2を第2の巻芯4の側に引き込む。
【0029】
引き込み機構51は、例えば、図1に示すように、膜材2を第2の巻芯4の側に引き込んでいない状態で送りローラ41に対してZ軸-側に配置されている。そして、X軸方向において、引き込み機構51は、X軸+側の第1の支持部21及び第2の支持部31と、X軸-側の第1の支持部21及び第2の支持部31と、の間に配置されている。
【0030】
なお、第1の巻芯3を支持した状態の第1の支持部21と、第2の巻芯4を支持した状態の第2の支持部31と、引き込み機構51と、は相互に干渉しないように動作可能に配置されていればよい。
【0031】
引き込み機構51は、図1に示すように、接触部52、アーム機構53及びスライド機構54を備えている。接触部52は、膜材2を第2の巻芯4の側に引き込む際に当該膜材2に接触する。接触部52は、第1のローラ52a、第2のローラ52b及び第3のローラ52cを備えている。
【0032】
第1のローラ52a、第2のローラ52b及び第3のローラ52cは、図1に示すように、X軸方向に延在しており、X軸方向から見て、大凡、各々の中心軸が直線状に配置されている。これらの第1のローラ52a、第2のローラ52b及び第3のローラ52cは、フェードローラ若しくはガイドローラ、又はそれらの組み合わせであるとよい。
【0033】
アーム機構53は、図1に示すように、第1のアーム部53a、第2のアーム部53b、第1のシリンダ53c及び第2のシリンダ53dを備えている。第1のアーム部53aは、YZ平面と略平行な板状部材であり、例えば、X軸方向から見て一軸方向に長い。第1のアーム部53aは、第1のローラ52a、第2のローラ52b及び第3のローラ52cのX軸+側の端部及びX軸-側の端部を夫々支持するために、X軸方向に間隔を開けて配置されている。
【0034】
そして、図1に示すように、第1のアーム部53aの一方の端部には、第1のローラ52aが自転可能に設けられている。第1のアーム部53aの他方の端部には、第2のローラ52bが自転可能に設けられている。また、第1のアーム部53aにおける一方の端部と他方の端部との間の部分には、第3のローラ52cが自転可能に設けられている。
【0035】
第2のアーム部53bは、図1に示すように、YZ平面と略平行な板状部材であり、例えば、X軸+側から見て反時計回りに屈曲している。第2のアーム部53bは、X軸方向に間隔を開けて配置されている。そして、第2のアーム部53bの一方の端部は、X軸回りに回転可能に第1のアーム部53aの他方の端部に連結されている。また、第2のアーム部53bの他方の端部は、X軸回りに回転可能にスライド機構54に連結されている。
【0036】
第1のシリンダ53cは、第1のアーム部53aを第2のアーム部53bに対してX軸回りに回転させるための駆動源である。第1のシリンダ53cの一方の端部は、X軸回りに回転可能に第1のアーム部53aの他方の端部に連結されている。また、第1のシリンダ53cの他方の端部は、X軸回りに回転可能に第2のアーム部53bに連結されている。但し、第1のアーム部53aを第2のアーム部53bに対してX軸回りに回転させることができれば、駆動手段は限定されない。
【0037】
第2のシリンダ53dは、第2のアーム部53bをスライド機構54に対してX軸回りに回転させるための駆動源である。第2のシリンダ53dの一方の端部は、X軸回りに回転可能に第2のアーム部53bに連結されている。また、第2のシリンダ53dの他方の端部は、X軸回りに回転可能にスライド機構54に連結されている。但し、第2のアーム部53bをスライド機構54に対してX軸回りに回転させることができれば、駆動手段は限定されない。
【0038】
スライド機構54は、接触部52及びアーム機構53をY軸方向に移動させる。スライド機構54は、図1に示すように、スライドプレート54a、リニアレール54b及び駆動機構54cを備えている。スライドプレート54aは、YZ平面と略平行な板状部材であり、X軸方向に間隔を開けて配置されている。そして、スライドプレート54aにおける巻取機1の内方側の面には、第2のアーム部53bの他方の端部が連結されている。
【0039】
リニアレール54bは、一般的なリニアレールと同様に、図1に示すように、ガイドレール54d及び当該ガイドレール54dに沿って摺動するスライダ(図示を省略)を備えている。ガイドレール54dは、Y軸方向に延在しており、巻取機1のフレーム部11における当該巻取機1の内方側の面に固定されている。スライダは、スライドプレート54aにおける巻取機1の外方側の面に固定されている。
【0040】
駆動機構54cは、スライダをガイドレール54dに沿って摺動させる。駆動機構54cは、例えば、ボールネジなどを用いた直動機構で構成することができ、スライダに直線運動が伝達可能に連結されている。
【0041】
駆動機構54cは、巻取機1のフレーム部11における当該巻取機1の内方側の面に固定されている。このような構成により、駆動機構54cを動作させることで、スライドプレート54aを介して接触部52及びアーム機構53がY軸方向に移動可能である。但し、接触部52及びアーム機構53をY軸方向に移動させることができれば、駆動手段は限定されない。
【0042】
図2は、本実施の形態の巻取機における切断機構の第1の駆動機構の構成を示す図である。図3は、本実施の形態の巻取機における切断機構の保持機構などを示す図である。切断機構61は、例えば、図1に示すように、第1の支持部21及び第2の支持部31に対してY軸-側に配置され、且つ引き込み機構51のスライド機構54に対してZ軸+側に配置されている。
【0043】
切断機構61は、図1から図3に示すように、第1のガイド機構62、第1の駆動機構63、受け止め機構64、保持機構65、カッタ66、第2のガイド機構67及び第2の駆動機構68を備えている。
【0044】
第1のガイド機構62は、図3に示すように、ガイドレール62a及びホルダ62bを備えている。ガイドレール62aは、X軸方向に延在しており、例えば、X軸方向に延在し、且つ巻取機1のX軸+側のフレーム部11とX軸-側のフレーム部11とに掛け渡された梁材62cのY軸+側の面に固定されている。ここで、梁材62cは、例えば、角材である。
【0045】
ホルダ62bは、ガイドレール62aに沿って摺動可能に当該ガイドレール62aに係合されている。ホルダ62bは、例えば、X軸方向から見て倒立L字形状であり、梁材62cのZ軸+側の面を覆う水平部、及び水平部のY軸+側の端部からZ軸-側に延在し、且つ梁材62cのY軸+側の面を覆う鉛直部を備えており、当該鉛直部に形成された溝部にガイドレール62aが係合されている。
【0046】
第1の駆動機構63は、ホルダ62bをガイドレール62aに沿って移動させる。第1の駆動機構63は、図2に示すように、モータ63a、第1のプーリ63b、クラッチ63c、第2のプーリ63d、第1のベルト63e、第3のプーリ63f、第4のプーリ63g、及び第2のベルト63hを備えている。
【0047】
モータ63aは、例えば、第1のガイド機構62における梁材62cのX軸-側の端部に第1のブラケット(図示を省略)を介して固定されており、モータ63aの駆動軸がY軸-側に突出している。第1のプーリ63bは、図2に示すように、モータ63aの駆動軸に固定されている。
【0048】
クラッチ63cは、例えば、一般的な駆動力の伝達と遮断とを切り換えることができるクラッチ機構であればよい。クラッチ63cは、例えば、第1のガイド機構62における梁材62cのX軸-側の端部であって、且つモータ63aの近傍に第2のブラケット(図示を省略)を介して固定されている。但し、クラッチ63cは省略されてもよい。
【0049】
第2のプーリ63dは、例えば、図2に示すように、クラッチ63cからY軸-側に突出する入力軸に固定されている。第1のベルト63eは、無端ベルトであり、第1のプーリ63bと第2のプーリ63dとに掛け渡されている。これらの第1のプーリ63bと第2のプーリ63dと第1のベルト63eとは、第1の駆動機構63の入力側伝達部を構成する。
【0050】
第3のプーリ63fは、クラッチ63cからY軸+側に突出する出力軸に固定されている。第4のプーリ63gは、例えば、第1のガイド機構62における梁材62cのX軸+側の端部に第3のブラケット63i(図3を参照)を介してY軸回りに回転可能に固定されている。
【0051】
第2のベルト63hは、無端ベルトであり、図2に示すように、第3のプーリ63fと第4のプーリ63gとに掛け渡されている。これらの第3のプーリ63fと第4のプーリ63gと第2のベルト63hとは、第1の駆動機構63の出力側伝達部を構成する。
【0052】
第2のベルト63hには、第1のガイド機構62のホルダ62bが固定されている。これにより、モータ63aの駆動力が、第1のプーリ63b、第1のベルト63e、第2のプーリ63d、クラッチ63c、第3のプーリ63fを介して第2のベルト63hに伝達され、第3のプーリ63fと第4のプーリ63gとの間で回転する第2のベルト63hのX軸方向の移動に応じて、ホルダ62bがX軸方向に移動する。
【0053】
つまり、第1のプーリ63b、クラッチ63c、第2のプーリ63d、第1のベルト63e、第3のプーリ63f、第4のプーリ63g、及び第2のベルト63hは、モータ63aの駆動力を第1のガイド機構62のホルダ62bに伝達する駆動伝達部を構成する。
【0054】
ここで、第2のプーリ63dの重量は、第1のプーリ63b、第3のプーリ63f及び第4のプーリ63gの重量に比べて重たいことが好ましい。これにより、第2のプーリ63dが回転することで蓄えられた大きな回転エネルギを、クラッチ63cを介してホルダ62bに伝達することができる。つまり、第2のプーリ63dは、モータ63aの駆動力を増幅させる増幅部として機能する。
【0055】
受け止め機構64は、上述のようにX軸方向に移動するホルダ62bに初期位置で接触して当該ホルダ62bを受け止める。例えば、ホルダ62bの初期位置が第1のガイド機構62の梁材62cのX軸+側の端部に設定されている場合、受け止め機構64は、図3に示すように、梁材62cのX軸+側の端部に固定されている。
【0056】
これにより、受け止め機構64は、X軸-側に移動するホルダ62bを初期位置で受け止めることができる。但し、受け止め機構64の配置は、ホルダ62bの初期位置に応じて、適宜、変更することができる。
【0057】
保持機構65は、第1のガイド機構62のホルダ62bを初期位置に一時的に保持する。保持機構65は、図3に示すように、磁気接続可能な第1の磁石65a及び第2の磁石65bを備えている。
【0058】
このとき、第1の磁石65aと第2の磁石65bとの磁気接続力は、第1の駆動機構63のモータ63aの駆動力がホルダ62bに伝達された際に、第1の磁石65aと第2の磁石65bとの磁気接続が解除される程度の磁気接続力である。
【0059】
但し、第1の磁石65a及び第2の磁石65bを電磁石で構成した場合、第1の磁石65a及び第2の磁石65bに供給する電流を制御することで、磁気接続力を制御することができる。
【0060】
第1の磁石65aは、例えば、図3に示すように、ホルダ62bに固定されている。第1の磁石65aは、例えば、ホルダ62bにおける水平部のZ軸+側の面に固定されている。第2の磁石65bは、第1のガイド機構62のホルダ62bが初期位置に配置された状態で、第1の磁石65aと磁気接続されるように、ホルダ62bが移動する際に停止している部分に固定されている。
【0061】
第2の磁石65bは、例えば、図3に示すように、ブラケット65cを介して第4のプーリ63gを第1のガイド機構62の梁材62cに固定するための第3のブラケット63iに固定されている。ここで、ブラケット65cは、例えば、Y軸方向から見て逆T字形状であり、Z軸方向に延在する鉛直部、及び鉛直部のZ軸-側の端部からY軸+側及びY軸-側に突出する水平部を備えている。
【0062】
そして、ブラケット65cは、例えば、図3に示すように、第1の駆動機構63における第2のベルト63hのZ軸+側の部分とZ軸-側の部分との間において、第4のプーリ63gを第1のガイド機構62の梁材62cに固定するための第3のブラケット63iからY軸+側に突出している。第2の磁石65bは、例えば、ブラケット65cにおける水平部のZ軸-側の面に固定されている。
【0063】
これにより、例えば、第1のガイド機構62のホルダ62bが初期位置に配置された状態で、第1の磁石65aと第2の磁石65bとがZ軸方向に重なって磁気接続され、ホルダ62bを一時的に初期位置で保持することができる。なお、第1の磁石65aと第2の磁石65bとの配置は、上述の限りではなく、ホルダ62bを初期位置に一時的に保持可能な配置であればよい。
【0064】
カッタ66は、第1のガイド機構62のホルダ62bからY軸+側に突出している。第2のガイド機構67は、後述するように、引き込み機構51が膜材2を第2の巻芯4の側に引き込んだ状態で、引き込み機構51の第1のローラ52aと第2の巻芯4との間に配置された膜材2にカッタ66が接触するように、カッタ66を案内する。
【0065】
第2のガイド機構67は、一般的なリニアレールで構成することができ、X軸方向に間隔を開けて配置されている。そして、第2のガイド機構67のガイドレールが巻取機1のフレーム部11に固定され、当該ガイドレールに沿って摺動するスライダが第1のガイド機構62の梁材62cに固定されている。
【0066】
このとき、上述のように引き込み機構51の第1のローラ52aと第2の巻芯4との間に配置された膜材2に向かってカッタ66を第1のガイド機構62を介して案内することができるように、第2のガイド機構67のガイドレールは、例えば、Y軸+側に向かうのに従ってZ軸-側に向かって傾斜するように配置されている。
【0067】
第2の駆動機構68は、第2のガイド機構67のスライダを移動させる。第2の駆動機構68は、例えば、図1に示すように、シリンダであるとよく、第2の駆動機構68の一方の端部が第2のガイド機構67のスライダに連結され、第2の駆動機構68の他方の端部が巻取機1のフレーム部11に連結されている。
【0068】
これにより、第2の駆動機構68が伸縮することで、第2のガイド機構67のスライダ及び第1のガイド機構62を介してカッタ66を当該第2のガイド機構67のガイドレールに沿って移動させることができる。
【0069】
次に、本実施の形態の巻取機1を用いて膜材2の巻き取りを第1の巻芯3から第2の巻芯4に移行する流れを説明する。図4から図7は、本実施の形態の巻取機を用いて膜材の巻き取りを第1の巻芯から第2の巻芯に移行する流れを説明するための図である。図8は、本実施の形態の巻取機の引き込み機構を用いて第2の巻芯に膜材を引き込んだ状態を示す図である。なお、図4から図7では、図を明確にするために簡略化すると共に、部分的に透視図として示している。また、図8も、図を明確にするために簡略化して示している。
【0070】
先ず、図1に示すように、第1の巻芯3が自転して送りローラ41を介して送られた膜材2を巻き取る。そして、第1の巻芯3による膜材2の巻き取りが進むのに従って、X軸+側から見て、図4及び図5に示すように、第1の支持部21を介して第1の巻芯3が反時計回りに公転する。
【0071】
このとき、第2の巻芯4は、例えば、第1の巻芯3に対してZ軸+側に配置されている。そして、X軸+側から見て、例えば、引き込み機構51の第1のアーム部53aは、第2のアーム部53bに対して最も反時計回りに回転した状態とされ、第2のアーム部53bは、引き込み機構51のスライドプレート54aに対して最も時計回りに回転した状態とされている。
【0072】
また、例えば、引き込み機構51のスライドプレート54aが最もY軸-側に配置されている。そして、例えば、切断機構61の第1のガイド機構62が最もY軸-側に配置された状態で、第1のガイド機構62のホルダ62bは、初期位置(例えば、第1のガイド機構62のガイドレール62aのX軸+側の端部)に配置されている。
【0073】
第1の巻芯3による膜材2の巻き取りが所定の巻き取り量に近づくと、図6に示すように、X軸+側から見て第1の支持部21を介して第1の巻芯3が反時計回りに公転すると共に、第2の支持部31を介して第2の巻芯4が反時計回りに公転し、第2の巻芯4が第1の巻芯3と送りローラ41との間の膜材2にZ軸+側から接触する。このとき、第2の巻芯4は、自転している。
【0074】
次に、引き込み機構51の駆動機構54cが動作して、スライドプレート54aを介して接触部52及びアーム機構53がY軸+側に移動する。そして、引き込み機構51の第1のシリンダ53cが収縮し、X軸+側から見て第1のアーム部53aが時計回りに回転して第1のローラ52aが第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2にZ軸-側から接触する。このとき、X軸+側から見て第1のアーム部53aが第2のアーム部53bに対して反時計回りに屈曲した状態である。
【0075】
次に、引き込み機構51の第2のシリンダ53dが伸張して、X軸+側から見て第2のアーム部53bが反時計回りに回転し、第2の巻芯4が自転する方向に、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2における第1のローラ52aを間にしてY軸-側の部分が第2の巻芯4を巻き込むように、第1のローラ52aが第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2を第2の巻芯4の側に引き込む。
【0076】
次に、切断機構61の第2の駆動機構68が伸張して、第1のガイド機構62などが第2のガイド機構67のガイドレールに沿ってY軸+側に移動する。このとき、切断機構61のカッタ66は、Y軸方向から見て、X軸方向において第1の支持部21及び第2の支持部31の外側に配置され、例えば、Y軸方向から見て膜材2に対してX軸+側に配置される。
【0077】
次に、引き込み機構51の第1のシリンダ53cが伸張して、図7に示すように、X軸+側から見て第1のアーム部53aが反時計回りに回転し、第2の巻芯4が自転する方向に、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2における第1のローラ52aを間にしてY軸-側の部分がさらに第2の巻芯4を巻き込むように、第1のローラ52aが第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2を第2の巻芯4の側に引き込む。
【0078】
つまり、引き込み機構51は、第2の巻芯4が自転する方向に倣うように、第1のローラ52aを移動させて第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2を第2の巻芯4に巻き付かせる。このとき、X軸方向から見て、カッタ66のY軸+側の端部が第2の巻芯4と第1のローラ52aとの間に配置された膜材2と重なるように配置される。
【0079】
ここで、図8に示すように、引き込み機構51の第1のローラ52aのY軸-側の端部は、第1のローラ52aが第2の巻芯4に対してZ軸+側に配置された状態で、第2の巻芯4の中心軸AX3に対して当該第2の巻芯4が自転する方向の側であるY軸-側に配置されているとよい。
【0080】
これにより、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2における第1のローラ52aを間にしてY軸-側の部分のZ軸+側の端部を第2の巻芯4の中心軸AX3に対してY軸-側に配置することができ、後述するように、第2の巻芯4と第1のローラ52aとの間に配置された膜材2を切断した際に、膜材2の先端部が第2の巻芯4の自転に引き込まれるように当該膜材2の先端部を自重によって落下させることができる。
【0081】
また、図8に示すように、引き込み機構51の第3のローラ52cが膜材2を第2の巻芯4の側に押し付けているとよい。これにより、膜材2が第2の巻芯4を巻き込んだ状態を確実に維持することができる。
【0082】
このとき、X軸方向から見て、第2の巻芯4と引き込み機構51の第1のローラ52aとの間の膜材2に沿って形成される直線が当該第2の巻芯4に接触する接点近傍で、第3のローラ52cが膜材2を第2の巻芯4の側に押し付けるとよい。これにより、膜材2が第2の巻芯4に巻き取られる際の気泡の侵入や膜材2へのストレスを軽減することができる。
【0083】
また、図8に示すように、X軸方向から見て、引き込み機構51の第2のアーム部53bの一方の端部は、第2のアーム部53bの屈曲形状によって、第2の巻芯4の中心軸AX3に対してZ軸+側に配置されるとよい。これにより、第1のアーム部53aを第2の巻芯4の側に回転させた際に、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2における第1のローラ52aを間にしてY軸-側の部分を第2の巻芯4により広い範囲で巻き付かせることができる。
【0084】
次に、切断機構61のクラッチ63cを予め切った状態で、モータ63aが回転し、モータ63aの回転数が予め設定された回転数以上になると、クラッチ63cを繋げる。これにより、モータ63aの駆動力が、第1のプーリ63b、第1のベルト63e、第2のプーリ63d、クラッチ63c、第3のプーリ63f、第2のベルト63h及びホルダ62bを介してカッタ66に伝達される。
【0085】
そして、保持機構65の第1の磁石65aと第2の磁石65bとの磁気接続が解除され、カッタ66がX軸-側に移動して第2の巻芯4と引き込み機構51の第1のローラ52aとの間に配置された膜材2を切断する。このとき、第2のプーリ63dが増幅部として機能する場合、大きな回転エネルギをカッタ66に伝達することができ、第1の支持部21及び第2の支持部31の外側から加速させたカッタ66によって膜材2を横断するように切断する。これにより、膜材2を良好に切断することができる。
【0086】
その後、第2の巻芯4による膜材2の巻き取りが開始され、膜材2の巻き取りが第1の巻芯3から第2の巻芯4に移行される。このとき、第2の巻芯4と引き込み機構51の第1のローラ52aとの間に配置された膜材2は、第2の巻芯4の近傍で切断するとよい。
【0087】
このように膜材2の巻き取りを第1の巻芯3から第2の巻芯4に移行する際に、第2の巻芯4が自転する方向に、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2における第1のローラ52aを間にしてY軸-側の部分が第2の巻芯4を巻き込むように、引き込み機構51によって第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2を第2の巻芯4の側に引き込む。
【0088】
そのため、一般的な巻取機に比べて、膜材2の巻き取りを第1の巻芯3から第2の巻芯4に移行する際に膜材2が第2の巻芯4に接触する面積が広く、第2の巻芯4に膜材2を良好に巻き取らせることができる。その後、図1及び図4から図7の状態を、第1の巻芯3と第2の巻芯4とを入れ替えつつ繰り返すことで、膜材2を連続して巻き取ることができる。
【0089】
ここで、図9は、巻取機における保持機構を備えていない場合のカッタの停止位置を説明するための図である。図10は、本実施の形態の巻取機におけるカッタの停止位置を説明するための図である。例えば、切断機構61のカッタ66を初期位置に戻す場合、カッタ66が膜材2を切断後にホルダ62bをX軸+側に移動させつつクラッチ63cを切り、惰性によってホルダ62bをX軸-側に移動させて初期位置で受け止め機構64に接触させる。
【0090】
このとき、保持機構65を備えていない場合、ホルダ62bが受け止め機構64から反力を受けて、図9に示すように、ホルダ62b、ひいてはカッタ66を初期位置に精度良く停止させることができない。つまり、カッタ66の停止位置が膜材2の切断毎に異なる可能性がある。
【0091】
そのため、膜材2を切断するためにカッタ66がX軸-側に移動を開始する位置が膜材2を切断する毎に異なり、それに伴い、カッタ66の加速距離が異なって、膜材2の切断速度にバラツキが生じ、膜材2の切断面に影響を及ぼす可能性がある。
【0092】
それに対して、本実施の形態の巻取機1は、保持機構65を備えているため、図10に示すように、切断機構61のカッタ66が膜材2を切断後にホルダ62bがX軸-側に移動して初期位置に戻される際に、ホルダ62bが受け止め機構64に接触して当該受け止め機構64から反力を受けても、保持機構65の磁気接続力によってホルダ62bを初期位置に精度良く保持することができる。
【0093】
そのため、膜材2を切断する毎のカッタ66がX軸-側に移動を開始する位置を略等しくすることができる。これにより、膜材2を切断する毎のカッタ66の加速距離を略等しく確保して、膜材2の切断速度のバラツキを抑制し、膜材2の切断性能を向上させることができる。
【0094】
しかも、保持機構が接触式でホルダ62bを初期位置に保持する構成の場合、保持部材が接触する際に当該保持部材の破片などの異物が発生する可能性があるが、本実施の形態の保持機構65は、磁気接続力を用いて非接触でホルダ62bを初期位置に保持する構成であるため、異物の発生を抑制できる。そのため、本実施の形態の巻取機1は、膜材2を巻き取る際の異物の混入を抑制することができる。
【0095】
以上より、本実施の形態の巻取機1及び巻取方法は、膜材2の巻き取りを第1の巻芯3から第2の巻芯4に移行する際に、第2の巻芯4が自転する方向に、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2における第1のローラ52aを間にしてY軸-側の部分が第2の巻芯4を巻き込むように、引き込み機構51によって第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2を第2の巻芯4の側に引き込む。
【0096】
そのため、一般的な巻取機に比べて、膜材2の巻き取りを第1の巻芯3から第2の巻芯4に移行する際に膜材2が第2の巻芯4に接触する面積が広く、第2の巻芯4に膜材2を良好に巻き取らせることができる。
【0097】
しかも、引き込み機構51は、第2の巻芯4が自転する方向に倣うように、第1のローラ52aを移動させて第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2を第2の巻芯4に巻き付かせる。そして、第1のローラ52aが第2の巻芯4に対してZ軸+側に配置された状態で、第1のローラ52aのY軸-側の端部は、第2の巻芯4の中心軸AX3に対してY軸-側に配置される。
【0098】
これにより、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2における第1のローラ52aを間にしてY軸-側の部分のZ軸+側の端部を第2の巻芯4の中心軸AX3に対してY軸-側に配置することができ、第2の巻芯4と第1のローラ52aとの間に配置された膜材2を切断した際に、膜材2の先端部が第2の巻芯4の自転に引き込まれるように当該膜材2の先端部を重力によって落下させることができる。
【0099】
また、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2における第1のローラ52aを間にしてY軸-側の部分が第2の巻芯4を巻き込んだ状態で、膜材2が第2の巻芯4に接触するように、引き込み機構51の第3のローラ52cが膜材2を第2の巻芯4の側に押し付ける。これにより、膜材2が第2の巻芯4を巻き込んだ状態を確実に維持することができる。
【0100】
本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0101】
例えば、上記実施の形態では、第1の支持部21の回転によって第1の巻芯3が公転し、第2の支持部31の回転によって第2の巻芯4が公転する構成とされているが、第1の支持部21が第1の巻芯3をZ軸方向及びY軸方向に移動可能に支持でき、第2の支持部31が第2の巻芯4をZ軸方向及びY軸方向に移動可能に支持できる構成であればよい。
【0102】
例えば、上記実施の形態の引き込み機構51は、代表例であり、膜材2の巻き取りを第1の巻芯3から第2の巻芯4に移行する際に、第2の巻芯4が自転する方向に、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2が第2の巻芯4を巻き込むように、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2を第2の巻芯4の側に引き込むことができる構成であればよい。
【0103】
そのため、例えば、接触部52は、ローラを備えている必要はなく、膜材2と接触した際に膜材2を損傷させない樹脂部材などを備えていてもよい。また、引き込み機構51の配置や動作方向は、第1の巻芯3が自転並びに公転する方向及び第2の巻芯4が自転並びに公転する方向に応じて、適宜、変更することができる。
【0104】
例えば、上記実施の形態の切断機構61は、代表例であり、第2の巻芯4と引き込み機構51の第1のローラ52aとの間に配置された膜材2を切断する際に、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2における第1のローラ52aを間にしてY軸-側の部分を切断できる構成であればよい。
【0105】
例えば、上記実施の形態の巻取機1を用いて膜材2の巻き取りを第1の巻芯3から第2の巻芯4に移行する流れは、例示であり、切断機構61のカッタ66によって膜材2を切断する際に、第2の巻芯4が自転する方向に、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2が第2の巻芯4を巻き込むように、第1の巻芯3と第2の巻芯4との間の膜材2が第2の巻芯4の側に引き込まれていればよい。
【符号の説明】
【0106】
1 巻取機
2 膜材
3 第1の巻芯
4 第2の巻芯
11 巻取機のフレーム部
21 第1の支持部
31 第2の支持部
41 送りローラ
51 引き込み機構
52 接触部、52a 第1のローラ、52b 第2のローラ、52c 第3のローラ
53 アーム機構、53a 第1のアーム部、53b 第2のアーム部、53c 第1のシリンダ、53d 第2のシリンダ
54 スライド機構、54a スライドプレート、54b リニアレール、54c 駆動機構、54d ガイドレール
61 切断機構
62 第1のガイド機構、62a ガイドレール、62b ホルダ、62c 梁材
63 第1の駆動機構、63a モータ、63b 第1のプーリ、63c クラッチ、63d 第2のプーリ、63e 第1のベルト、63f 第3のプーリ、63g 第4のプーリ、63h 第2のベルト、63i 第3のブラケット
64 受け止め機構
65 保持機構、65a 第1の磁石、65b 第2の磁石、65c ブラケット
66 カッタ
67 ガイド機構
68 駆動機構
AX1 第1の支持部及び第2の支持部の回転軸
AX2 第1の巻芯の中心軸
AX3 第2の巻芯の中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10