(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142605
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ドライバ異常予兆検出方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B60K 28/06 20060101AFI20241003BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20241003BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B60K28/06 Z
A61B5/02 310B
A61B5/0245 100B
A61B5/0245 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054814
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】西野 颯真
【テーマコード(参考)】
3D037
4C017
【Fターム(参考)】
3D037FA01
4C017AA09
4C017AA10
4C017AB06
4C017AC28
4C017BC11
4C017BD06
4C017DD14
(57)【要約】
【課題】高応答性及び高信頼性を両立してドライバの異常予兆を検出することが可能な、ドライバ異常予兆検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】ドライバ異常予兆検出方法は、ドライバカメラにより検出された拍動に基づき、ドライバの拍動間隔BIを推定する工程Bと、ドライバの拍動間隔の所定時間の時系列データを取得する工程Cと、拍動間隔の時系列データを標準化する工程Dと、標準化した拍動間隔CG-BIzの時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲内(A領域)に標準化した拍動間隔が入る確率PAを算出する工程Eと、標準化した拍動間隔の時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲内(B領域)に標準化した拍動間隔が入る確率PBを算出する工程Fと、確率PAが異常予兆閾値TAより大きく、且つ、確率PBが異常予兆閾値TBより小さい場合に、ドライバの異常の予兆を検出したと判定する工程Gとを有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転するドライバの異常の予兆を検出するドライバ異常予兆検出方法であって、
拍動検出装置が、前記ドライバの拍動を検出する工程Aと、
プロセッサが、前記拍動検出装置により検出された拍動に基づき、前記ドライバの拍動間隔を推定する工程Bと、
前記プロセッサが、前記ドライバの拍動間隔の所定時間の時系列データを取得する工程Cと、
前記プロセッサが、前記拍動間隔の時系列データを標準化する工程Dと、
前記プロセッサが、前記標準化した拍動間隔の時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲内に前記標準化した拍動間隔が入る第1の確率を算出する工程Eと、
前記プロセッサが、前記標準化した拍動間隔の時系列データにおいて、前記0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲内に前記標準化した拍動間隔が入る第2の確率を算出する工程Fと、
前記プロセッサが、前記第1の確率が所定の第1の異常予兆閾値より大きく、且つ、前記第2の確率が所定の第2の異常予兆閾値より小さい場合に、前記ドライバの異常の予兆を検出したと判定する工程Gと、
を有する、ドライバ異常予兆検出方法。
【請求項2】
前記0を中心とする所定範囲は、自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布のピークが、自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布のピークよりも高く突出する中央領域に含まれ、
前記0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲は、前記中央領域の両側且つ外側において、前記自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布が、前記自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布よりも低い周辺領域に含まれている、
請求項1に記載のドライバ異常予兆検出方法。
【請求項3】
前記第1の異常予兆閾値は、前記自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布を、前記0を中心とする所定範囲で積分した値より大きく、前記自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布を、前記0を中心とする所定範囲で積分した値より小さく、
前記第2の異常予兆閾値は、前記自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布を、前記0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲で積分した値より小さく、前記自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布を、前記0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲で積分した値より大きい、
請求項2に記載のドライバ異常予兆検出方法。
【請求項4】
前記工程C、前記工程D、前記工程E、前記工程F、及び前記工程Gは、前記工程Bにおいて前記拍動間隔が推定される度に実行される、
請求項1から3の何れか1項に記載のドライバ異常予兆検出方法。
【請求項5】
車両を運転するドライバの異常の予兆を検出するドライバ異常予兆検出装置であって、
前記ドライバの拍動を検出する拍動検出装置と、
プログラムを格納するメモリと、
前記プログラムを実行するプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
前記拍動検出装置により検出された拍動に基づき、前記ドライバの拍動間隔を推定し、
前記ドライバの拍動間隔の所定時間の時系列データを取得し、
前記拍動間隔の時系列データを標準化し、
前記標準化した拍動間隔の時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲内に前記標準化した拍動間隔が入る第1の確率を算出し、
前記標準化した拍動間隔の時系列データにおいて、前記0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲内に前記標準化した拍動間隔が入る第2の確率を算出し、
前記第1の確率が所定の第1の異常予兆閾値より大きく、且つ、前記第2の確率が所定の第2の異常予兆閾値より小さい場合に、前記ドライバの異常の予兆を検出したと判定する、
ように構成されている、
ドライバ異常予兆検出装置。
【請求項6】
前記拍動検出装置は、前記ドライバの体表面を撮影するドライバカメラである、
請求項5に記載のドライバ異常予兆検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を運転するドライバの異常の予兆を検出するドライバ異常予兆検出方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバの運転行動の変化に基づきドライバの異常の予兆を検出する技術が知られている。しかしながら、運転行動の変化からドライバの異常予兆を検出するためには少なくとも数分程度の時間にわたって運転行動の変化を監視しなければならず、ドライバの運転能力が短時間で喪失するケース(例えば、てんかん、心臓発作、脳卒中など)には対応できない。
【0003】
そこで、ドライバの運転能力を低下させるような生体機能の変化を検出することにより、運転行動の変化が現れるよりも早くドライバの異常予兆を判断することが検討されている。例えば、交感神経系及び副交感神経系から構成される自律神経系は、人間の意識とは無関係に不随意の生体機能を調整しており、何らかの疾患に起因して自律神経系に異常が生じると、自律神経系の制御を受ける生体機能、例えば循環、発汗、瞳孔等にその影響が現れる。したがって、それらの生体機能の状態を表す生体情報、例えば心拍、発汗量、瞳孔径等の変化を測定することにより、自律神経系の異常を検出し、ドライバの異常予兆の推定に利用することができると考えられる。
【0004】
特に心拍は、生体情報の中でも非接触で測定可能であることや車両に搭載されている車内カメラをセンサとして活用できること等の観点から、ドライバの心拍に基づき自律神経系の異常を検出することが検討されている。
【0005】
ドライバに限定しなければ、心拍データを用いて生体の異常を検出する技術も従来検討されている。例えば、心電図データを時間領域で解析した心拍変動指標(SDNN等)及び周波数領域で解析した心拍変動指標(HF、LF、LF/HF等)を用いててんかん性発作の兆候を検知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、周波数領域で解析した心拍変動指標として、VLF帯域やULF帯域の生体信号を用いて体調の急変を判定する技術や(例えば、特許文献2参照)、心拍変動信号のゆらぎを非線形解析して心臓の状態を検知する技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、非線形解析による他の心拍変動指標として、確率密度分布(PDF)の非ガウス性のパラメータλ(非ガウス指標)を用いることも提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この手法では、24時間連続記録したホルター心電図を用いて慢性心不全患者の心拍変動の確率密度関数及びその非ガウス指標λを求めている。データ取得後の観察期間中における生存者と非生存者に対して、取得データから得られた非ガウス指標λに有意な差が生じたことが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-112423号公報
【特許文献2】特開2020-130264号公報
【特許文献3】特開2010-184041号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】清野 健,「間欠性ゆらぎの非ガウス統計とその心拍変動解析への応用」,精密工学会誌,Vol.77,No.2,2011,153-157頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されているような従来の方法では、応答性は良いが、ノイズに弱いという問題がある。すなわち、比較的短時間の心拍データに基づき異常の判定は可能であるが、信頼性は低い。また、特許文献2に記載されているような従来の方法では、VLF帯域やULF帯域の生体信号を得るためにより長いデータが必要となるので、応答性が悪いという問題がある。さらに、特許文献3に記載されているような従来の方法では、短時間スケールを用いた場合には結果が安定せず信頼性が低くなり、信頼性を高めるには長時間スケールを用いるか、短時間スケールのデータを長期にわたって複数回取得しなければならず、いずれにしても時間がかかってしまうという問題がある。また、非特許文献1に記載されているような従来の方法では、例えば24時間など長時間のデータを取得することが必要なため、やはり応答性が悪いという問題がある。
【0010】
したがって、高応答性及び高信頼性の両立が要求されるドライバの異常予兆の検出に対して、上述したような従来技術を用いることは困難である。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、高応答性及び高信頼性を両立してドライバの異常予兆を検出することが可能な、ドライバ異常予兆検出方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明は、車両を運転するドライバの異常の予兆を検出するドライバ異常予兆検出方法であって、拍動検出装置が、ドライバの拍動を検出する工程Aと、プロセッサが、拍動検出装置により検出された拍動に基づき、ドライバの拍動間隔を推定する工程Bと、プロセッサが、ドライバの拍動間隔の所定時間の時系列データを取得する工程Cと、プロセッサが、拍動間隔の時系列データを標準化する工程Dと、プロセッサが、標準化した拍動間隔の時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲内に標準化した拍動間隔が入る第1の確率を算出する工程Eと、プロセッサが、標準化した拍動間隔の時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲内に標準化した拍動間隔が入る第2の確率を算出する工程Fと、プロセッサが、第1の確率が所定の第1の異常予兆閾値より大きく、且つ、第2の確率が所定の第2の異常予兆閾値より小さい場合に、ドライバの異常の予兆を検出したと判定する工程Gと、を有する。
【0013】
このように構成された本発明によれば、プロセッサは、拍動検出装置により検出された拍動に基づき、ドライバの拍動間隔を推定し、ドライバの拍動間隔の所定時間の時系列データを取得し、拍動間隔の時系列データを標準化し、標準化した拍動間隔の時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲内に標準化した拍動間隔が入る第1の確率が所定の第1の異常予兆閾値より大きく、且つ、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲内に標準化した拍動間隔が入る第2の確率が所定の第2の異常予兆閾値より小さい場合に、ドライバの異常の予兆を検出したと判定するので、数十秒程度の短時間の拍動間隔の時系列データからでも、標準化した拍動間隔の時系列データを取得して0を中心とする所定範囲内に標準化した拍動間隔が入る第1の確率及び0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲内に標準化した拍動間隔が入る第2の確率を算出し、異常予兆の検出を行うことができる。これにより、高応答性及び高信頼性を両立してドライバの異常予兆を検出することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、0を中心とする所定範囲は、自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布のピークが、自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布のピークよりも高く突出する中央領域に含まれ、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲は、中央領域の両側且つ外側において、自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布が、自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布よりも低い周辺領域に含まれている。
【0015】
このように構成された本発明によれば、自律神経系に異常がある場合と正常な場合とで明確な差異が存在する領域で異常予兆の判定を行うことができる。これにより、ドライバの異常予兆検出の信頼性を高めることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、第1の異常予兆閾値は、自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布を、0を中心とする所定範囲で積分した値より大きく、自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布を、0を中心とする所定範囲で積分した値より小さく、第2の異常予兆閾値は、自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布を、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲で積分した値より小さく、自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した拍動間隔の出現確率分布を、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲で積分した値より大きい。
【0017】
このように構成された本発明によれば、0を中心とする所定範囲における自律神経系に異常がある場合と正常な場合との境界を第1の異常予兆閾値とし、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲における自律神経系に異常がある場合と正常な場合との境界を第2の異常予兆閾値として、異常予兆の判定を行うことができる。これにより、ドライバの異常予兆検出の信頼性を高めることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、工程C、工程D、工程E、工程F、及び工程Gは、工程Bにおいて拍動間隔が推定される度に実行される。
【0019】
このように構成された本発明によれば、ドライバの自律神経系の異常の予兆が生じた場合に速やかに検出することができる。これにより、高応答性及び高信頼性を両立してドライバの異常予兆を検出することができる。
【0020】
他の観点では、本発明は、車両を運転するドライバの異常の予兆を検出するドライバ異常予兆検出装置であって、ドライバの拍動を検出する拍動検出装置と、プログラムを格納するメモリと、プログラムを実行するプロセッサと、を有し、プロセッサは、拍動検出装置により検出された拍動に基づき、ドライバの拍動間隔を推定し、ドライバの拍動間隔の所定時間の時系列データを取得し、拍動間隔の時系列データを標準化し、標準化した拍動間隔の時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲内に標準化した拍動間隔が入る第1の確率を算出し、標準化した拍動間隔の時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲内に標準化した拍動間隔が入る第2の確率を算出し、第1の確率が所定の第1の異常予兆閾値より大きく、且つ、第2の確率が所定の第2の異常予兆閾値より小さい場合に、ドライバの異常の予兆を検出したと判定する、ように構成されている。
【0021】
このように構成された本発明によっても、数十秒程度の短時間の拍動間隔の時系列データからでも、標準化した拍動間隔の時系列データを取得して0を中心とする所定範囲内に標準化した拍動間隔が入る第1の確率及び0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲内に標準化した拍動間隔が入る第2の確率を算出し、異常予兆の検出を行うことができる。これにより、高応答性及び高信頼性を両立してドライバの異常予兆を検出することができる。
【0022】
本発明において、好ましくは、拍動検出装置は、ドライバの体表面を撮影するドライバカメラである。
【0023】
このように構成された本発明によれば、拍動検出のための特殊な装置を用いることなく、低コスト且つドライバの負担なしにドライバの異常予兆検出を行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のドライバ異常予兆検出方法及び装置によれば、高応答性及び高信頼性を両立してドライバの異常予兆を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態によるドライバ異常予兆検出装置が搭載された車両の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態によるドライバ状態推定装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態によるドライバ状態推定処理のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態による第1パラメータ学習処理のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態による第2パラメータ学習処理のフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態による拍動間隔に対する粗視化処理のフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態による異常予兆判定処理のフローチャートである。
【
図8】自律神経系が正常な被験者群と異常がある被験者群とのそれぞれにおける、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布を表したグラフである。
【
図9】本発明の第2実施形態による異常予兆判定処理のフローチャートである。
【
図10】てんかんの発作が生じる前の拍動間隔、粗視化拍動間隔、及び粗視化拍動間隔がA領域及びB領域のそれぞれに入る確率の時間変化を示すタイムチャートである。
【
図11】交感神経系不全の状態における拍動間隔、粗視化拍動間隔、及び粗視化拍動間隔がA領域及びB領域のそれぞれに入る確率の時間変化を示すタイムチャートである。
【
図12】副交感神経系不全の状態における拍動間隔、粗視化拍動間隔、及び粗視化拍動間隔がA領域及びB領域のそれぞれに入る確率の時間変化を示すタイムチャートである。
【
図13】健常者の拍動間隔、粗視化拍動間隔、及び粗視化拍動間隔がA領域及びB領域のそれぞれに入る確率の時間変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるドライバ異常予兆検出方法及び装置を説明する。
【0027】
[構成]
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態によるドライバ異常予兆検出装置の構成について説明する。
図1はドライバ異常予兆検出装置が搭載された車両の概略構成を示すブロック図、
図2はドライバ状態推定装置の機能的構成を示すブロック図である。
【0028】
図1に示すように、車両1は、車両1のドライバの状態を推定するように構成されたドライバ状態推定装置10と、ドライバを撮影するドライバカメラ20と、ドライバ状態推定装置10から出力された情報に基づき車両1の制御を行うように構成された車両制御装置30と、ドライバ状態推定装置10による制御に応じて情報を出力するディスプレイ31及び警報装置32と、車両制御装置30による制御に応じて車両1の駆動力源、ブレーキ、操舵装置等を動作させる車両アクチュエータ40と、車両制御装置30による制御に応じて動作する灯火器41(ヘッドライト、ブレーキランプ、方向指示器を含む)と及びホーン42とを備えている。ドライバカメラ20は、ドライバの体表面(より具体的には顔表面)を撮影し、得られた映像における可視光や近赤外光の輝度変化から体表面近くの血管における脈波(拍動)を検出することができる。
【0029】
ドライバ状態推定装置10は、種々の処理を実行する1つ又は複数のCPUなどのプロセッサ10aと、プロセッサ10aに実行させるプログラムや、このプログラムの実行に必要な種々のデータなどを記憶する1つ又は複数のメモリ10b(ROMやRAMやハードディスクなど)とを主に有する。
【0030】
次に、
図2に示すように、ドライバ状態推定装置10のプロセッサ10aは、頭部姿勢推定部11、ドライバ異常姿勢判定部12、及び異常予兆検出装置100として機能する。異常予兆検出装置100には、拍動間隔推定部101、ドライバ個人認証部102、個人パラメータ選択部103、第1パラメータ学習部106、第2パラメータ学習部107、拍動間隔粗視化処理部108、バッファ109、ドライバ異常予兆判定部110が含まれる。また、ドライバ状態推定装置10のメモリ10bには、異常姿勢閾値13、ドライバ別第1パラメータ104、ドライバ別第2パラメータ105及び異常予兆閾値111が記憶されている。
【0031】
具体的には、頭部姿勢推定部11は、ドライバカメラ20によって撮影されたドライバの映像に基づき、ドライバの頭部の姿勢を推定する。ドライバ異常姿勢判定部12は、頭部姿勢推定部11により推定されたドライバの頭部の姿勢と、メモリ10bに記憶されている異常姿勢閾値13とに基づき、ドライバの姿勢が異常か否かを判定し、判定結果に基づき車両制御装置30により車両1の各部を制御すると共に、ディスプレイ31や警報装置32により警報等を出力させる。
【0032】
拍動間隔推定部101は、ドライバカメラ20によって撮影されたドライバの映像に基づき、ドライバの拍動間隔を推定する。ドライバ個人認証部102は、ドライバカメラ20によって撮影されたドライバの映像に基づき、顔認証技術を用いてドライバを特定する。
【0033】
個人パラメータ選択部103は、ドライバ個人認証部102により特定されたドライバに対応する第1パラメータ及び第2パラメータを、メモリ10bから取得する。拍動間隔粗視化処理部108は、個人パラメータ選択部103により取得された第1パラメータ及び第2パラメータを用いて、拍動間隔推定部101により推定されたドライバの拍動間隔の粗視化処理を行う。
【0034】
第1パラメータ学習部106は、拍動間隔推定部101により推定されたドライバの拍動間隔に基づき、ドライバ別の第1パラメータを学習し、メモリ10bに格納する。第2パラメータ学習部107は、拍動間隔粗視化処理部108により算出された粗視化拍動間隔に基づき、ドライバ別の第2パラメータを学習し、メモリ10bに格納する。
【0035】
ドライバ異常予兆判定部110は、拍動間隔粗視化処理部108により算出された粗視化拍動間隔と、メモリ10bに記憶されている異常予兆閾値111とに基づき、ドライバの異常の予兆が検出されたか否かを判定し、判定結果をドライバ異常姿勢判定部12に出力する。ドライバ異常予兆判定部110によりドライバの異常の予兆が検出された場合、ドライバ異常予兆判定部110は、ディスプレイ31や警報装置32により警報等を出力させ、ドライバ異常姿勢判定部12は、メモリ10bに記憶されている異常姿勢閾値13を、ドライバの姿勢が異常と判定されやすい方向に変更して、ドライバの姿勢が異常か否かを判定する。
【0036】
[処理]
次に、
図3から
図8を参照して、上記したドライバ状態推定装置10において行われる処理について説明する。
図3は、本実施形態によるドライバ状態推定処理のフローチャートである。
図4は、本実施形態による第1パラメータ学習処理のフローチャートである。
図5は、本実施形態による第2パラメータ学習処理のフローチャートである。
図6は、本実施形態による拍動間隔に対する粗視化処理のフローチャートである。
図7は、本実施形態による異常予兆判定処理のフローチャートである。
図8は、自律神経系が正常な被験者群と異常がある被験者群とのそれぞれにおける、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布を表したグラフである。なお、
図3から
図7のフローチャートを説明するに当たって、実際には、これらのフローチャートに含まれる処理は、ドライバ状態推定装置10のプロセッサ10aにより実行されるが、理解を容易にするため、
図2においてブロックにより示した各機能部により実行されるものとして説明する。
【0037】
図3に示すドライバ状態推定処理は、車両1の電源がONにされた場合に開始され、車両1の電源がOFFにされるか、最後のステップの処理が実行された後に終了する。
【0038】
まず、ステップS1において、ドライバ個人認証部102は、ドライバカメラ20から入力されたドライバの映像に基づき、既知の顔認証技術を用いてドライバを特定する。顔認証に用いられる各ドライバの顔データは、予めドライバカメラ20により取得されメモリ10bに格納されている。
【0039】
次に、ステップS2において、拍動間隔推定部101は、ドライバカメラ20から入力されたドライバの映像に基づき、ドライバの拍動間隔を推定する。具体的には、拍動間隔推定部101は、ドライバカメラ20によって撮影されたドライバの体表面の映像から脈波を検出し、脈波において隣接するピークの時間間隔を拍動間隔BI(Beat Interval)として推定する。
【0040】
次に、ステップS3において、拍動間隔粗視化処理部108は、拍動間隔粗視化処理に用いる第1パラメータ及び第2パラメータが学習済みか否か、より具体的にはステップS1において特定されたドライバの第1パラメータ及び第2パラメータがメモリ10bに格納されているか否かを判定する。
【0041】
その結果、第1パラメータ及び第2パラメータが学習済みではない場合(ステップS3:NO)、ステップS4において、第1パラメータ学習部106により第1パラメータ学習処理が実行され、第2パラメータ学習部107により第2パラメータ学習処理が実行される。
【0042】
ここで、
図4を参照して第1パラメータ学習処理を説明する。まず、ステップS21において、第1パラメータ学習部106は、ステップS2において推定された拍動間隔BIをメモリ10bに格納する。
【0043】
次に、ステップS22において、第1パラメータ学習部106は、拍動間隔BIの時系列データが所定時間W1(例えば45秒間)以上にわたってメモリ10bに蓄積されたか否かを判定する。その結果、拍動間隔BIの時系列データが所定時間W1以上にわたってメモリ10bに蓄積されていない場合(ステップS22:NO)、ステップS21に戻る。その後、拍動間隔BIの時系列データが所定時間W1以上にわたってメモリ10bに蓄積されるまでステップS21及びS22を繰り返す。
【0044】
一方、拍動間隔BIの時系列データが所定時間W1以上にわたってメモリ10bに蓄積された場合(ステップS22:YES)、ステップS23において、第1パラメータ学習部106は、メモリ10bに蓄積された拍動間隔BIの平均値を算出し、ステップS1において特定されたドライバの第1パラメータ、即ち平均拍動間隔L1としてメモリ10bに格納する。その後、ドライバ状態推定処理のメインルーチンに戻る。
【0045】
次に、
図5を参照して第2パラメータ学習処理を説明する。まず、ステップS31において、第2パラメータ学習部107は、拍動間隔粗視化処理部108により、後述する拍動間隔BIに対する粗視化処理のステップS41からS49までの処理を実行させ、粗視化された拍動間隔CG-BIをメモリ10bに格納する。
【0046】
次に、ステップS32において、第2パラメータ学習部107は、粗視化された拍動間隔CG-BIの時系列データが所定時間W2(例えば45秒間)以上にわたってメモリ10bに蓄積されたか否かを判定する。その結果、粗視化された拍動間隔CG-BIの時系列データが所定時間W2以上にわたってメモリ10bに蓄積されていない場合(ステップS32:NO)、ステップS31に戻る。その後、粗視化された拍動間隔CG-BIの時系列データが所定時間W2以上にわたってメモリ10bに蓄積されるまでステップS31及びS32を繰り返す。
【0047】
一方、粗視化された拍動間隔CG-BIの時系列データが所定時間W2以上にわたってメモリ10bに蓄積された場合(ステップS32:YES)、ステップS33において、第2パラメータ学習部107は、メモリ10bに蓄積された粗視化された拍動間隔CG-BIの標準偏差を算出し、ステップS1において特定されたドライバの第2パラメータL2としてメモリ10bに格納する。その後、ドライバ状態推定処理のメインルーチンに戻る。
【0048】
図3に戻り、ステップS3において第1パラメータ及び第2パラメータが学習済みである場合(ステップS3:YES)、又は、ステップS4において第1パラメータ学習処理及び第2パラメータ学習処理を実行した後、ステップS5において、拍動間隔粗視化処理部108は拍動間隔に対する粗視化処理を実行する。
【0049】
ここで、
図6を参照して拍動間隔に対する粗視化処理を説明する。まず、ステップS41において、拍動間隔粗視化処理部108は、ステップS2において推定された拍動間隔BIと、拍動間隔BIの取得時刻(例えば、拍動間隔BIの推定に用いた脈波の隣接するピークの内、後のピークが検出された時刻)とを、相互に関連付けてメモリ10bに格納する。
【0050】
次に、ステップS42において、拍動間隔粗視化処理部108は、拍動間隔BIの時系列データが所定時間2×S以上にわたってメモリ10bに蓄積されたか否かを判定する。ここで、Sは拍動間隔粗視化処理部108が拍動間隔BIの時系列データを粗視化する際に用いる粗視化時間スケールであり、予め決定されメモリ10bに記憶されている。本実施形態では、例えばS=25秒であり、この場合、2×S=50秒間となる。
【0051】
ステップS42の判定の結果、拍動間隔BIの時系列データが所定時間2×S以上にわたってメモリ10bに蓄積されていない場合(ステップS42:NO)、ステップS41に戻る。その後、拍動間隔BIの時系列データが所定時間2×S以上にわたってメモリ10bに蓄積されるまでステップS41及びS42を繰り返す。
【0052】
一方、拍動間隔BIの時系列データが所定時間2×S以上にわたってメモリ10bに蓄積された場合(ステップS42:YES)、ステップS43において、拍動間隔粗視化処理部108は、メモリ10bに蓄積されている直近の所定時間2×S(例えば50秒間)の拍動間隔BIとその取得時刻とを用いて、拍動間隔BIの時系列データのスプライン補完を行う。ここで、メモリ10bに蓄積された最新の拍動間隔BIの取得時刻(つまり拍動の最新の検出時刻)をUとすると、時刻U-2×Sから時刻Uまでの拍動間隔BIの時系列データに対してスプライン補完が行われることになる。
【0053】
次に、ステップS44において、拍動間隔粗視化処理部108は、ステップS43でスプライン補完した拍動間隔BIの時系列データを等時間間隔でリサンプリングすることにより、リサンプリング後の拍動間隔BIrの時系列データ(時刻U-2×Sから時刻Uまで)を取得する。
【0054】
次に、ステップS45において、拍動間隔粗視化処理部108は、リサンプリング後の拍動間隔BIrから、第1パラメータ学習処理において学習されメモリ10bに格納された平均拍動間隔L1(ドライバの第1パラメータ)を減算することにより、リサンプリング後の拍動間隔BIrの平均値を0にシフトした拍動間隔BIr0の時系列データ(時刻U-2×Sから時刻Uまで)を算出する。
【0055】
次に、ステップS46において、拍動間隔粗視化処理部108は、平均値を0にシフトした拍動間隔BIr0の時系列データを時刻U-2×Sから時刻i(U-2×S≦i≦U)まで積分した値の時系列データ、即ち積分時系列データISを算出する。
【0056】
次に、ステップS47において、拍動間隔粗視化処理部108は、ステップS46で算出した積分時系列データIS(時刻U-2×Sから時刻Uまで)を、最小二乗法により3次曲線にフィッティングすることによって、積分時系列データISのトレンド成分IStを算出する。
【0057】
次に、ステップS48において、拍動間隔粗視化処理部108は、積分時系列データISからステップS47で算出したトレンド成分IStを減算することにより、トレンド成分を除去した積分時系列データIS0(時刻U-2×Sから時刻Uまで)を算出する。
【0058】
次に、ステップS49において、拍動間隔粗視化処理部108は、ステップS48で算出した積分時系列データIS0における直近の所定時間Sの最後の値(即ち時刻Uの値IS0(U))と最初の値(即ち時刻U-Sの値IS0(U-S))との差CG-BIを算出し、メモリ10bに格納する。
【0059】
このステップS49において算出されたCG-BIが、時刻U-Sから時刻Uまでの拍動間隔BIの時系列データを時間スケールSで粗視化した拍動間隔CG-BIである。時間スケールSを適切に設定することにより(本実施形態では例えばS=25秒)、運動や緊張等の外的要因による局所的な平均心拍数の変化といったトレンド成分を除去し、ドライバの自律神経系の異常を反映した拍動間隔の変動の特徴を検出することが可能となる。
【0060】
次に、ステップS50において、拍動間隔粗視化処理部108は、ステップS49で算出した粗視化された拍動間隔CG-BIを、第2パラメータ学習処理において学習されメモリ10bに格納された粗視化された拍動間隔CG-BIの標準偏差L2(ドライバの第2パラメータ)で除することにより、粗視化された拍動間隔CG-BIを標準化した拍動間隔CG-BIzを算出し、メモリ10bに格納する。その後、ドライバ状態推定処理のメインルーチンに戻る。
【0061】
図3に戻り、ステップS5において拍動間隔粗視化処理部108が拍動間隔に対する粗視化処理を実行した後、ステップS6において、ドライバ異常予兆判定部110は、異常予兆判定処理を実行する。
【0062】
ここで、
図7を参照して異常予兆判定処理を説明する。まず、ステップS51において、ドライバ異常予兆判定部110は、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データが所定時間W以上にわたってメモリ10bに蓄積されたか否かを判定する。ここで、Wはドライバ異常予兆判定部110がドライバの異常予兆の判定を行う際に参照する粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データの時間窓であり、予め決定されメモリ10bに記憶されている。本実施形態では、例えばW=50秒である。
【0063】
その結果、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データが所定時間W以上にわたってメモリ10bに蓄積されていない場合(ステップS51:NO)、ステップS52において、拍動間隔粗視化処理部108により拍動間隔に対する粗視化処理を実行させる。このステップS52における拍動間隔に対する粗視化処理は、ドライバ状態推定処理のメインルーチンにおけるステップS5の拍動間隔に対する粗視化処理と同じである。その後、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データが所定時間W以上にわたってメモリ10bに蓄積されるまでステップS51及びS52を繰り返す。
【0064】
一方、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データが所定時間W以上にわたってメモリ10bに蓄積された場合(ステップS51:YES)、ステップS53において、ドライバ異常予兆判定部110は、メモリ10bから直近の所定時間Wの標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データを取り出す。
【0065】
次に、ステップS54において、ドライバ異常予兆判定部110は、ステップS53で取り出した標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzが、平均値0を中心とする所定範囲(A領域、あるいは中央領域)内に入る確率PAを算出する。
【0066】
ここで、
図8を参照して、A領域の設定方法について説明する。
図8は、自律神経系が正常な被験者群と異常がある被験者群とのそれぞれにおける、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布を表したグラフである。
図8において、横軸はCG-BIzの値を示し、縦軸はCG-BIzの各値の出現確率密度を示している。
【0067】
図8において、破線は、自律神経系が正常な被験者群(正常群)の各被験者の心拍データに対して、
図6を参照して説明したのと同様の拍動間隔に対する粗視化処理を実行して得られたCG-BIzの出現確率分布の代表値を表し、この破線に沿って延びる右上がり斜線の帯は正常群の1σ区間を表している。また、
図8において、実線は、自律神経系に異常のある被験者群(異常群)の各被験者の心拍データに対して、
図6を参照して説明したのと同様の拍動間隔に対する粗視化処理を実行して得られたCG-BIzの出現確率分布の代表値を表し、この実線に沿って延びるドットの帯は異常群の1σ区間を表している。
【0068】
正常群と異常群とのそれぞれにおけるCG-BIzの出現確率分布を比較すると、
図8に示すように、異常群におけるCG-BIzの出現確率分布の尖度は、正常群におけるCG-BIzの出現確率分布の尖度より大きい。即ち、異常群のCG-BIzの出現確率密度のピークは、CG-BIzの平均値0を含む中央近傍の領域において正常群のCG-BIzの出現確率密度よりも高く突出し、その中央近傍の領域の両側且つ外側の周辺領域において正常群のCG-BIzの出現確率密度よりも低い。これは、正常群においては交感神経と副交感神経とが互いにバランスを取るように働くことにより拍動間隔が揺らいでいるのに対し、異常群においては交感神経又は副交感神経の一方に異常が生じてバランスが偏ったり、交感神経及び副交感神経の両方に異常が生じて生体機能の変化が消失したりすることにより、拍動間隔の揺らぎが小さくなるからと考えられる。そこで、本願発明者らは、CG-BIzの平均値0を含む中央近傍の領域における、正常群と異常群のCG-BIzの出現確率分布の差異に基づいて、自律神経系の不全によるドライバの異常予兆を検出できると考えた。
【0069】
具体的には、CG-BIzの平均値0を含む中央近傍の範囲において、正常群のCG-BIzの出現確率分布の1σ区間(右上がり斜線の帯)と、異常群のCG-BIzの出現確率分布の1σ区間(ドットの帯)とが重ならない範囲(例えばCG-BIzが-0.03以上0.03以下の範囲)をA領域(中央領域)とする。そして、ドライバ異常予兆判定部110は、ドライバの拍動間隔から算出したCG-BIzがA領域内に入る確率PAが、異常予兆閾値TAより高い場合に、ドライバの異常予兆が検出されたものと判定する。異常予兆閾値TAは、正常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値+1σがA領域内に入る確率より高く、異常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値-1σがA領域内に入る確率より低い値に設定されている。
【0070】
即ち、異常予兆閾値TAは、正常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値+1σを表す曲線(右上がり斜線の帯の上側を確定する曲線)を、A領域(即ちCG-BIzが-0.03以上0.03以下の範囲)で積分した値より大きく、異常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値-1σを表す曲線(ドットの帯の下側を画定する曲線)を、A領域で積分した値より小さい値に設定され、例えばTA=0.09である。A領域を規定するCG-BIzの数値範囲及び異常予兆閾値TAは、正常群及び異常群の心拍データに基づいて予め設定されメモリ10bに記憶されている。
【0071】
図7に戻り、ドライバ異常予兆判定部110は、ステップS55において、ステップS54で算出した確率PAが、メモリ10bに記憶されている異常予兆閾値TA(即ち、異常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値-1σがA領域内に入る確率TA)より大きいか否かを判定する。
【0072】
その結果、PAがTAより大きい場合(ステップS55:YES)、ドライバ異常予兆判定部110は、ステップS56においてドライバの異常予兆を検出したと判定する。一方、PAがTA以下の場合(ステップS55:NO)、ドライバ異常予兆判定部110は、ステップS57においてドライバの異常予兆は検出されないと判定する。ステップS56又はS57の後、ドライバ状態推定処理のメインルーチンに戻る。
【0073】
図3に戻り、ステップS6で異常予兆判定処理を実行した後、ステップS7において、ドライバ異常姿勢判定部12は、異常予兆判定処理においてドライバの異常予兆が検出されたか否かを判定する。その結果、ドライバの異常予兆が検出された場合(ステップS7:YES)、ステップS8において、ドライバ異常姿勢判定部12は、メモリ10bに記憶されている異常姿勢閾値を、ドライバの姿勢が異常と判定されやすい方向に変更する。例えば、ドライバの頭部の角度が第1の異常姿勢閾値以上であり、且つ、その状態の継続時間が第2の異常姿勢閾値以上であるときに異常と判定される場合には、ドライバ異常姿勢判定部12は、第1の異常姿勢閾値及び第2の異常姿勢閾値の一方又は両方を下げる。
【0074】
次に、ステップS9において、ドライバ異常姿勢判定部12は、ドライバの異常予兆が検出されたことを報知する警報を、ディスプレイ31や警報装置32によって出力させる。
【0075】
ステップS9の後、又は、ステップS7においてドライバの異常予兆が検出されなかった場合(ステップS7:NO)、ステップS10において、ドライバ異常姿勢判定部12は、頭部姿勢推定部11により推定されたドライバの頭部の姿勢と、第1の異常姿勢閾値とを比較することにより、ドライバの姿勢が異常か否かを判定する。
【0076】
次に、ステップS11において、ドライバ異常姿勢判定部12は、ステップS10においてドライバの姿勢が異常であると判定された場合に、その異常姿勢の継続時間がメモリ10bに記憶されている第2の異常姿勢閾値以上か否かを判定する。その結果、異常姿勢の継続時間が第2の異常姿勢閾値未満の場合(ステップS11:NO)、ステップS2に戻る。その後、異常姿勢の継続時間が第2の異常姿勢閾値未満の間は、ステップS2からS11の処理を繰り返す。即ち、ドライバの拍動間隔BIが推定される度に、拍動間隔に対する粗視化処理及び異常予兆判定処理が実行される。
【0077】
一方、異常姿勢の継続時間が第2の異常姿勢閾値以上の場合(ステップS11:YES)、ステップS12において、ドライバ異常姿勢判定部12は、ドライバに異常が発生していることを報知する警報を、ディスプレイ31や警報装置32によって出力させる。さらに、ステップS13において、ドライバ異常姿勢判定部12は、車両制御装置30により車両1の各部を制御し、道路の路肩等へ車両1を退避させる緊急退避を開始する。その後、ドライバ状態推定処理を終了する。
【0078】
[第2実施形態]
次に、
図9を参照して、第2実施形態による異常予兆判定処理について説明する。
図9は、第2実施形態による異常予兆判定処理のフローチャートである。この
図9に示す異常予兆判定処理におけるステップS61からS64の各処理は、
図7を参照して説明した実施形態の異常予兆判定処理におけるステップS51からS54の各処理と同様であるので、具体的な説明は省略する。
【0079】
図8を参照して説明したように、CG-BIzの平均値0を含む中央近傍の領域における、正常群と異常群のCG-BIzの出現確率分布の差異に基づいて、自律神経系の不全によるドライバの異常予兆を検出することができる。第2実施形態では、異常群のCG-BIzの出現確率密度が、CG-BIzの平均値0を含む中央近傍の領域に隣接する周辺の領域において正常群のCG-BIzの出現確率密度よりも低いことに着目し、ドライバの異常予兆を検出する条件に加えることで、異常予兆検出の精度をより高めようとするものである。
【0080】
具体的には、CG-BIzの平均値0を含む中央近傍の範囲よりもCG-BIzの絶対値が大きい裾の範囲(平均値0を含む中央近傍の範囲の両側且つ外側の範囲)において、正常群のCG-BIzの出現確率分布の1σ区間(右上がり斜線の帯)と、異常群のCG-BIzの出現確率分布の1σ区間(ドットの帯)とが重ならない範囲(例えばCG-BIzが-0.9以上-0.35以下、及び0.35以上0.9以下の範囲)をB領域(周辺領域)とする。そして、ドライバ異常予兆判定部110は、ドライバの拍動間隔から算出したCG-BIzがA領域内に入る確率PAが、異常予兆閾値TAより高く、且つ、ドライバの拍動間隔から算出したCG-BIzがB領域内に入る確率PBが、異常予兆閾値TBより低い場合に、ドライバの異常予兆が検出されたものと判定する。異常予兆閾値TBは、正常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値-1σがB領域内に入る確率より低く、異常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値+1σがB領域内に入る確率より高い値に設定されている。
【0081】
即ち、異常予兆閾値TBは、正常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値-1σを表す曲線(右上がり斜線の帯の下側を確定する曲線)を、B領域(即ちCG-BIzが-0.9以上-0.35以下、及び0.35以上0.9以下の範囲)で積分した値より小さく、異常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値+1σを表す曲線(ドットの帯の上側を画定する曲線)を、B領域で積分した値より大きい値に設定され、例えばTB=0.5である。B領域を規定するCG-BIzの数値範囲及び異常予兆閾値TBは、正常群及び異常群の心拍データに基づいて予め設定されメモリ10bに記憶されている。
【0082】
図9のステップS64において、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzがA領域内に入る確率PAを算出した後、ステップS65において、ドライバ異常予兆判定部110は、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzがB領域内に入る確率PBを算出する。
【0083】
次に、ステップS66において、ドライバ異常予兆判定部110は、ステップS64で算出した確率PAが、メモリ10bに記憶されている異常予兆閾値TA(即ち、異常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値-1σがA領域内に入る確率TA)より大きく、且つ、ステップS65で算出した確率PBが、メモリ10bに記憶されている異常予兆閾値TB(即ち、異常群のCG-BIzの出現確率分布の代表値+1σがB領域内に入る確率TB)より小さいか否かを判定する。
【0084】
その結果、PAがTAより大きく且つPBがTBより小さい場合(ステップS66:YES)、ドライバ異常予兆判定部110は、ステップS67においてドライバの異常予兆を検出したと判定する。一方、PAがTA以下又はPBがTB以上の場合(ステップS66:NO)、ドライバ異常予兆判定部110は、ステップS68においてドライバの異常予兆は検出されないと判定する。ステップS67又はS68の後、ドライバ状態推定処理のメインルーチンに戻る。
【0085】
なお、ステップS66におけるPAがTAより大きく且つPBがTBより小さいという条件に、確率PBが異常予兆閾値TBより小さいという判定が継続している時間PB2が、予め設定されメモリ10bに記憶されている異常予兆閾値TB2(例えば25秒)より長いという条件を加えて、ドライバの異常予兆を検出するようにしてもよい。
【0086】
[実施例]
次に、
図10から
図13を参照して、本実施形態の異常予兆検出装置100によるドライバの異常予兆検出の実施例を説明する。
図10から
図13は、拍動間隔BI、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIz、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzがA領域に入る確率PA及びB領域に入る確率PBの、それぞれの時間変化を示すタイムチャートである。特に、
図10はてんかんの発作が生じる前の状態を示し、
図11は交感神経系不全の状態を示し、
図12は副交感神経系不全の状態を示し、
図13は自律神経系の異常がない状態を示している。
【0087】
図10に示すてんかんの例では、拍動間隔BIが急激に低下する約600秒の時点においててんかんの発作が生じているが、この発作前から副交感神経系の不全が生じている。副交感神経系の不全に伴い拍動間隔BIの揺らぎが減少することにより、約20秒の時点から、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzがA領域に入る確率PAが上昇し始め、約30秒から約80秒の時点まで確率PAが異常予兆閾値TA(
図10では0.09)を超えている。また、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzがB領域に入る確率PBは、0秒から約120秒、約160秒から約320秒、約350秒から約670秒の時点において、それぞれ異常予兆閾値TB(
図10では0.8)より小さくなっている。したがって、
図10の例では、上述した実施形態又は第2実施形態によるドライバ異常予兆判定部110は、確率PAが異常予兆閾値TAを超えている約30秒から約80秒の時点において、ドライバの異常予兆を検出する。
【0088】
また、
図11に示す交感神経系不全の例では、交感神経による拍動間隔BIへの影響が消失し、副交感神経による抑制が支配的となることにより、拍動間隔BIの揺らぎが小さくなる。その結果、約18秒から約68秒の時点まで、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzがA領域に入る確率PAが異常予兆閾値TA(
図11では0.09)を超えている。また、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzがB領域に入る確率PBは、約20秒から約68秒の時点において、異常予兆閾値TB(
図11では0.8)より小さくなっている。したがって、
図11の例では、上述した実施形態によるドライバ異常予兆判定部110は、確率PAが異常予兆閾値TAを超えている約18秒から約68秒の時点においてドライバの異常予兆を検出する。また、第2実施形態によるドライバ異常予兆判定部110は、確率PAが異常予兆閾値TAを超え、且つ、確率PBが異常予兆閾値TBより小さくなっている約20秒から約68秒の時点において、ドライバの異常予兆を検出する。
【0089】
また、
図12に示す副交感神経系不全(具体的には心不全)の例では、副交感神経による拍動間隔BIへの影響が消失し、交感神経による促進が支配的となることにより、拍動間隔BIは相対的に大きな変動と小さな変動とに分かれ、中間的な揺らぎが小さくなる。その結果、0秒から100秒の時点まで、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzがA領域に入る確率PAが異常予兆閾値TA(
図12では0.09)を超えている。また、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzがB領域に入る確率PBは、約35秒から約95秒の時点において、異常予兆閾値TB(
図12では0.8)より小さくなっている。したがって、
図12の例では、上述した実施形態によるドライバ異常予兆判定部110は、確率PAが異常予兆閾値TAを超えている0秒から100秒の時点においてドライバの異常予兆を検出する。また、第2実施形態によるドライバ異常予兆判定部110は、確率PAが異常予兆閾値TAを超え、且つ、確率PBが異常予兆閾値TBより小さくなっている約35秒から約95秒の時点において、ドライバの異常予兆を検出する。
【0090】
一方、
図13に示す自律神経系の異常がない例では、交感神経と副交感神経とが互いにバランスを取るように働くことにより拍動間隔BIが揺らいでいる。その結果、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データに含まれるCG-BIzがA領域に入る確率PAは異常予兆閾値TA(
図13では0.09)を超えず、CG-BIzがB領域に入る確率PBは異常予兆閾値TB(
図13では0.8)より大きい。したがって、
図13の例では、上述した実施形態又は第2実施形態によるドライバ異常予兆判定部110は、ドライバの異常予兆を検出しない。
【0091】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、拍動間隔推定部101は、ドライバカメラ20によって撮影されたドライバの体表面の映像から脈波を検出し、脈波において隣接するピークの時間間隔を拍動間隔BIとして推定すると説明したが、ドライバカメラ20とは異なるデバイス(例えば、電波式センサ、静電容量センサ、心拍検出機能を備えたスマートウォッチ、心電計など)を用いて脈波(拍動)を検出し、拍動間隔BIを推定するようにしてもよい。
【0092】
[作用・効果]
次に、上述した本実施形態のドライバ異常予兆検出方法及び装置の作用効果を説明する。
【0093】
異常予兆検出装置100は、ドライバカメラ20により検出された拍動に基づき、ドライバの拍動間隔BIを推定し、ドライバの拍動間隔BIの所定時間2×Sの時系列データを取得し、拍動間隔BIの時系列データを標準化し、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲内(A領域)に標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzが入る確率PAを算出し、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データにおいて、0を中心とする所定範囲(A領域)の両側且つ外側の範囲内(B領域)に標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzが入る確率PBを算出し、確率PAが所定の異常予兆閾値TAより大きく、且つ、確率PBが所定の異常予兆閾値TBより小さい場合に、ドライバの異常の予兆を検出したと判定するので、数十秒程度の短時間の拍動間隔BIの時系列データからでも、標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの時系列データを取得してA領域にCG-BIzが入る確率PA及びB領域にCG-BIzが入る確率PBを算出し、異常予兆の検出を行うことができる。これにより、高応答性及び高信頼性を両立してドライバの異常予兆を検出することができる。
【0094】
また、0を中心とする所定範囲(A領域)は、自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布のピークが、自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布のピークよりも高く突出する中央領域に含まれ、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲(B領域)は、中央領域の両側且つ外側において、自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布が、自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布よりも低い周辺領域に含まれているので、自律神経系に異常がある場合と正常な場合とで明確な差異が存在する領域で異常予兆の判定を行うことができる。これにより、ドライバの異常予兆検出の信頼性を高めることができる。
【0095】
また、異常予兆閾値TAは、自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布を、0を中心とする所定範囲(A領域)で積分した値より大きく、自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布を、0を中心とする所定範囲(A領域)で積分した値より小さく、異常予兆閾値TBは、自律神経系が正常な被験者群から取得された標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布を、0を中心とする所定範囲(A領域)の両側且つ外側の範囲(B領域)で積分した値より小さく、自律神経系に異常のある被験者群から取得された標準化した粗視化拍動間隔CG-BIzの出現確率分布を、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲(B領域)で積分した値より大きいので、0を中心とする所定範囲(A領域)における自律神経系に異常がある場合と正常な場合との境界を異常予兆閾値TAとし、0を中心とする所定範囲の両側且つ外側の範囲(B領域)における自律神経系に異常がある場合と正常な場合との境界を異常予兆閾値TBとして、異常予兆の判定を行うことができる。これにより、ドライバの異常予兆検出の信頼性を高めることができる。
【0096】
また、拍動間隔に対する粗視化処理及び異常予兆判定処理は、ドライバの拍動間隔BIが推定される度に実行されるので、ドライバの自律神経系の異常の予兆が生じた場合に速やかに検出することができる。これにより、高応答性及び高信頼性を両立してドライバの異常予兆を検出することができる。
【0097】
また、ドライバの体表面を撮影するドライバカメラ20によりドライバの拍動を検出するので、拍動検出のための特殊な装置を用いることなく、低コスト且つドライバの負担なしにドライバの異常予兆検出を行うことができる。
【符号の説明】
【0098】
1 車両
10 ドライバ状態推定装置
10a プロセッサ
10b メモリ
11 頭部姿勢推定部
12 ドライバ異常姿勢判定部
13 異常姿勢閾値
20 ドライバカメラ
30 車両制御装置
31 ディスプレイ
32 警報装置
40 車両アクチュエータ
41 灯火器
42 ホーン
100 異常予兆検出装置
101 拍動間隔推定部
102 ドライバ個人認証部
103 個人パラメータ選択部
104 ドライバ別第1パラメータ
105 ドライバ別第2パラメータ
106 第1パラメータ学習部
107 第2パラメータ学習部
108 拍動間隔粗視化処理部
109 バッファ
110 ドライバ異常予兆判定部
111 異常予兆閾値