(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142623
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241003BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20241003BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06F3/12 329
B41J2/165 201
B41J29/38 201
B41J29/38 350
G06F3/12 360
G06F3/12 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054843
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】菅野 茂則
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA20
2C056EB38
2C056EC23
2C056EC24
2C056EC53
2C056JB01
2C056JC20
2C056JC23
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061HK05
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN05
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】メンテナンスのために印刷を開始することができず、ユーザーの予定通りに印刷物を生産することができないことがあった。
【解決手段】印刷装置と、前記印刷装置を制御する制御装置と、を備える印刷システムであって、前記制御装置は、ユーザーから印刷の日時の予約を受け付けて、前記予約を所定の記憶部に登録し、前記予約に従って前記印刷装置に印刷を実行させることが可能であり、前記印刷装置の所定動作の日時に基づいて次回のメンテナンスの日時であるメンテナンス日時を決定し、前記メンテナンス日時が前記予約の日時と重ならない場合には、前記メンテナンス日時に前記印刷装置に前記メンテナンスを実行させ、前記メンテナンス日時が前記予約の日時と重なる場合には、前記予約の日時よりも前の日時に前記印刷装置に前記メンテナンスを実行させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と、前記印刷装置を制御する制御装置と、を備える印刷システムであって、
前記制御装置は、
ユーザーから印刷の日時の予約を受け付けて、前記予約を所定の記憶部に登録し、
前記予約に従って前記印刷装置に印刷を実行させることが可能であり、
前記印刷装置の所定動作の日時に基づいて次回のメンテナンスの日時であるメンテナンス日時を決定し、
前記メンテナンス日時が前記予約の日時と重ならない場合には、前記メンテナンス日時に前記印刷装置に前記メンテナンスを実行させ、
前記メンテナンス日時が前記予約の日時と重なる場合には、前記予約の日時よりも前の日時に前記印刷装置に前記メンテナンスを実行させる、ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記予約の日時と前記印刷装置に前記メンテナンスを実行させる日時とを記入した、前記印刷装置の動作のスケジュール表を、所定の表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記予約にかかる印刷によるインクの消費量と、前記印刷装置におけるインクの残量とを比較し、前記残量が前記消費量に満たない場合に、前記残量が無くなる日時を推測し、推測した前記日時を前記スケジュール表に表示する、ことを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷装置として第1印刷装置および第2印刷装置を有し、
前記制御装置は、
ユーザーからの指示に従って前記予約をいずれかの前記印刷装置に対応付けて前記記憶部に登録し、
前記第1印刷装置に対応付けて登録した前記予約の日時と重なる日時に、前記第2印刷装置に対応付けられた前記予約が無く、かつ、前記第2印刷装置が直近に実行した前記メンテナンスの日時が、前記第1印刷装置が直近に実行した前記メンテナンスの日時よりも後であれば、前記第1印刷装置に対応付けて登録した前記予約にかかる印刷を前記第2印刷装置に実行させることをユーザーに促す報知処理をする、ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2印刷装置におけるインクの残量に応じて、前記報知処理を実行するか否かを決める、ことを特徴とする請求項4に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置は、自身の印刷機能の低下を防ぐために、メンテナンスを実行可能である。ここで言うメンテナンスとは、インクを吐出する印刷ヘッドのクリーニング、通称ヘッドクリーニング等である。
【0003】
また、画像形成装置によるプリントのスケジュールを管理する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷装置は、印刷実行やメンテナンスの実行に基づいて自動的に次回のメンテナンスの日時を決定し、定期的あるいは不定期にメンテナンスを実行することができる。メンテナンスは、その内容にもよるが数十分を要することもある。このような状況において、印刷装置による印刷のスケジュールを管理していても、メンテナンスを実行するタイミングが印刷のスケジュールと重なると、メンテナンス実行中のために印刷を開始することができず、ユーザーの予定通りに印刷物を生産することができないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
印刷装置と、前記印刷装置を制御する制御装置と、を備える印刷システムであって、前記制御装置は、ユーザーから印刷の日時の予約を受け付けて、前記予約を所定の記憶部に登録し、前記予約に従って前記印刷装置に印刷を実行させることが可能であり、前記印刷装置の所定動作の日時に基づいて次回のメンテナンスの日時であるメンテナンス日時を決定し、前記メンテナンス日時が前記予約の日時と重ならない場合には、前記メンテナンス日時に前記印刷装置に前記メンテナンスを実行させ、前記メンテナンス日時が前記予約の日時と重なる場合には、前記予約の日時よりも前の日時に前記印刷装置に前記メンテナンスを実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】スケジュール調整処理を示すフローチャート。
【
図3】表示部に表示されるスケジュール表の一例を示す図。
【
図4】報知処理によるメッセージを含んだ表示の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状やデザインが正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0009】
1.システム構成:
図1は、本実施形態にかかる印刷システム40の構成を簡易的に示している。印刷システム40は、印刷装置と、印刷装置を制御する制御装置10と、を含んでいる。制御装置10が制御対象とする印刷装置は、一台であってもよいし複数台であってもよい。
図1の例では、印刷装置として第1印刷装置20および第2印刷装置30を示している。むろん、印刷装置は3台以上であってもよい。制御装置10は、端末や、ネットワーク上のサーバー等である。端末とは、PC、スマートフォン、タブレット型端末等の通信機器である。PCは、パーソナルコンピューターの略である。
【0010】
制御装置10は、制御部11、表示部13、操作受付部14、通信IF15、記憶部16を含んでいる。IFは、インターフェイスの略である。制御部11は、プロセッサーやメモリーを有し、プロセッサーがメモリーに保存された一つ以上のプログラム12に従った演算処理を実行することにより、印刷システム40を制御する。
【0011】
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部14は、ユーザーによる操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の一機能として実現されるとしてもよい。表示部13や操作受付部14は、制御装置10の構成であってもよいし、制御装置10に接続された周辺機器であってもよい。
【0012】
通信IF15は、制御装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で外部装置と接続するための一つまたは複数のIFの総称である。
図1の例では、制御装置10は、通信IF15や有線又は無線のネットワークNWを介して第1印刷装置20、第2印刷装置30のそれぞれと通信可能に接続している。
【0013】
記憶部16は、例えば、ハードディスクドライブや、ソリッドステートドライブといった記憶装置により構成される。記憶部16は、制御部11が有するメモリーの一部であってもよい。また、記憶部16を制御部11の一部と解してもよい。記憶部16には、印刷システム40の制御に必要な各種情報が記憶される。
【0014】
印刷装置は、いわゆるインクジェットプリンターである。
図1では、第1印刷装置20、第2印刷装置30のそれぞれをごく簡単に示している。第1印刷装置20は、制御部21、印刷ヘッド22、搬送部23を含んでいる。第2印刷装置30は、同様に、制御部31、印刷ヘッド32、搬送部33を含んでいる。印刷装置の基本的な構成は同じであるため、ここでは各印刷装置を代表して第1印刷装置20を簡単に説明する。
【0015】
制御部21は、ネットワークNWを介して制御装置10と通信し、制御装置10からの指示に応じて印刷ヘッド22等を制御して印刷やメンテナンスを実行可能である。印刷ヘッド22は、知られているように、インクを吐出可能な複数のノズルを有し、インクジェット方式により各ノズルから媒体へインクを吐出して印刷を行う。媒体は、代表的には紙であるが、インクにより印刷可能な素材の媒体であればよい。印刷ヘッド22は、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)といった各色のインクを吐出する。むろん、印刷ヘッド22が吐出するインクの色は、CMYKに限られない。搬送部23は、印刷ヘッド22によるインクの吐出を受ける媒体を所定の副走査方向へ搬送する手段である。
【0016】
第1印刷装置20は、図示する構成以外にも、印刷ヘッド22を副走査方向と交差する主走査方向や副走査方向に沿って移動させるキャリッジ、ユーザーからの操作を受けたり視覚情報を表示したりする操作パネル等、インクジェットプリンターが一般に有する各構成を適宜有する。また、第1印刷装置20は、搬送部23を有さない製品であってもよいし、原稿のスキャン、ファクシミリ通信、電子メール通信等の複数の機能を兼ね備えた複合機であってもよい。
【0017】
制御装置10が制御対象とする印刷装置が一台のみ、例えば、第1印刷装置20のみであれば、制御装置10および第1印刷装置20を併せた構成を、一台のプリンターとして見ることも可能である。
【0018】
2.予約印刷:
本実施形態では「予約」という言葉を、印刷に関して用いる。
制御装置10は、ユーザーから印刷の日時の予約を受け付けて、当該予約を所定の記憶部16に登録し、当該予約に従って印刷装置に印刷を実行させることが可能である。ユーザーは操作受付部14を操作することにより、予約として、印刷装置、印刷日時、印刷ジョブを指定する。印刷ジョブとは、印刷対象の画像を表現した画像データの他、印刷装置に対して印刷設定を指定する情報を含んだデータである。印刷設定とは、例えば、印刷枚数、媒体のサイズ、カラー印刷又はモノクロ印刷の選択、印刷解像度、両面印刷又は片面印刷の選択等の各種設定である。
【0019】
制御部11は、ユーザーにより指定された印刷日時および印刷ジョブを、指定された印刷装置に対応付けて、予約として記憶部16に登録する。この結果、例えば「印刷装置=第1印刷装置20、印刷日時=2023年3月1日の午前10時00分、印刷ジョブ=印刷ジョブA」といった予約が登録される。制御部11は、このように登録した予約の通り、第1印刷装置20に、印刷ジョブAの印刷設定に従った画像の印刷を、2023年3月1日の午前10時00分に開始させ、その後、完了させる。印刷ジョブに従った印刷そのものに関する説明は公知であるため省略する。なお、制御装置10が制御対象とする印刷装置が一台のみであれば、ユーザーは、印刷装置を指定する必要はない。
【0020】
3.スケジュール調整処理:
図2は、制御部11がプログラム12に従って実行するスケジュール調整処理をフローチャートにより示している。制御部11は、制御対象の印刷装置それぞれに対して個別にスケジュール調整処理を実行する。ここでは、第1印刷装置20を対象としたスケジュール調整処理を説明する。以下のスケジュール調整処理の説明において、第1印刷装置20を第2印刷装置30と言い換えれば、第2印刷装置30を対象としたスケジュール調整処理の説明となる。
【0021】
ステップS100では、制御部11は、第1印刷装置20の所定動作の日時に基づいて次回のメンテナンスの日時である「メンテナンス日時」を決定する。所定動作とは、印刷やメンテナンスである。例えば、制御部11は、第1印刷装置20が印刷を実行した日時を記憶しており、印刷終了後から所定の第1時間経過後の日時を、第1印刷装置20のメンテナンス日時に決定する。制御部11は、第1印刷装置20がメンテナンスを実行した日時を記憶しており、メンテナンス終了後から所定の第2時間経過後の日時を、第1印刷装置20のメンテナンス日時に決定してもよい。
【0022】
ステップS110では、制御部11は、ステップS100で決定したメンテナンス日時が第1印刷装置20の予約の日時と重なるか否かを判定する。上述したように、予約は記憶部16に登録されているため、制御部11は、登録された予約状況を参照してステップS110の判定をする。重なるとは、互いの日時あるいは日時に応じた期間の少なくとも一部が重なるという意味である。
【0023】
例えば、1回のメンテナンスに最大30分を要するものとし、ステップS100で決定した第1印刷装置20のメンテナンス日時が2023年3月1日の午前9時50分を指すとする。この場合、より具体的には2023年3月1日の午前9時50分~10時20分の期間が、第1印刷装置20のメンテナンス日時となる。一方で、記憶部16に「印刷装置=第1印刷装置20、印刷日時=2023年3月1日の午前10時00分、印刷ジョブ=印刷ジョブA」という予約が登録されていたとする。この場合は、第1印刷装置20において、同日の午前10時00分はメンテナンス実行中となるため、制御部11は、メンテナンス日時が予約の日時と重なるという判定をする。
【0024】
制御部11は、ステップS100で決定した第1印刷装置20のメンテナンス日時が第1印刷装置20の予約の日時と重なると判定した場合は、ステップS110の“Yes”からステップS130へ進み、一方、重ならないと判定した場合は、ステップS110の“Nо”からステップS120へ進む。
ステップS120では、制御部11は、現在の日時がステップS100で決定したメンテナンス日時となったか否かを繰り返し判定し、現在の日時がステップS100で決定したメンテナンス日時となったら、“Yes”の判定からステップS150へ進む。
【0025】
ステップS150では、制御部11は、第1印刷装置20にメンテナンスの開始を指示し、メンテナンスを実行させる。メンテナンスは、上述したようにヘッドクリーニングである。この場合、第1印刷装置20の制御部21は、印刷ヘッド22の各ノズルから強制的にインクを吐出させて、各ノズルの詰まりを改善させる。メンテナンスには、例えば、印刷ヘッド22における各ノズルが開口するノズル開口面をワイパーで拭く処理や、ノズル開口面からポンプでインクを吸引して各ノズルに詰まったインクやゴミを吸い出す処理等を含んでもよい。
【0026】
一方、ステップS130では、制御部11は、ステップS100で決定した第1印刷装置20のメンテナンス日時を、第1印刷装置20の予約の日時よりも前の日時に変更する。上述の具体例を参考にすると、制御部11は、第1印刷装置20のメンテナンス日時を、2023年3月1日の午前9時50分から、例えば、同日の午前9時30分へ変更して、第1印刷装置20における同日の午前10時00分の予約と重ならないようにする。
【0027】
ステップS140では、制御部11は、現在の日時がステップS130による変更後のメンテナンス日時となったか否かを繰り返し判定し、現在の日時が変更後のメンテナンス日時となったら、“Yes”の判定からステップS150へ進む。ステップS150は説明した通りである。このように、
図2のスケジュール調整処理によれば、制御装置10は、制御対象の印刷装置において、メンテナンス日時が予約の日時と重ならない場合には、メンテナンス日時に当該印刷装置にメンテナンスを実行させ、メンテナンス日時が予約の日時と重なる場合には、予約の日時よりも前の日時に当該印刷装置にメンテナンスを実行させる。制御部11は、このような
図2のフローチャートを繰り返し実行可能である。
【0028】
4.スケジュール表の表示:
制御装置10は、予約の日時と印刷装置にメンテナンスを実行させる日時とを記入した、印刷装置の動作のスケジュール表50を、所定の表示部13に表示する。スケジュール表50を表示するタイミングは、ユーザーの任意の操作に依存するため、制御部11は、その時点で登録済みの予約や
図2のフローチャートの結果に基づいてスケジュール表50を表示する。印刷装置にメンテナンスを実行させる日時とは、予約と重ならないメンテナンス日時と、予約と重なるために上述のように変更された後のメンテナンス日時とを含む意味である。
【0029】
図3は、表示部13に表示されるスケジュール表50の一例を示している。
図3では、2023年3月1日の一部の時間帯におけるスケジュール表50を示している。スケジュール表50には、制御装置10による制御対象であるプリンターA、プリンターB、プリンターCという3台の印刷装置それぞれのスケジュールが記入されている。プリンターA,B,Cのうちのいずれか2台が第1印刷装置20、第2印刷装置30である。
【0030】
スケジュール表50によれば、プリンターAについては、8時00分から8時30分までが、ヘッドクリーニングすなわちメンテナンスの日時とされており、8時30分から12時00分までの3時間30分が、予約の日時とされている。ユーザーが予約する印刷の日時は印刷の開始時刻であっても、制御部11は、印刷ジョブにおける印刷設定により指定されている印刷枚数や媒体のサイズ、印刷解像度、印刷ヘッドによる印刷速度等に基づいて印刷ジョブにかかる印刷の完了に要する時間を算出し、印刷の開始時刻から、この算出した時間が経過するまでの期間を、予約の日時としてスケジュール表50に示す。
【0031】
同様に、スケジュール表50によれば、プリンターBについては、9時00分から10時00分までと、13時00分から15時00分までが予約の日時とされており、12時30分から13時00分までがメンテナンスの日時とされている。同様に、スケジュール表50によれば、プリンターCについては、11時00分から13時00分が予約の日時とされている。このようにスケジュール表50に示されるメンテナンスの日時は、ステップS100で決定されたままの、予約と重ならないメンテナンス日時か、ステップS130で予約と重ならないように早い時間帯に変更された後のメンテナンス日時のどちらかである。
【0032】
図3に示すように、制御部11は、スケジュール表50には、予約に対応する印刷ジョブのジョブ名や、予約を入力したユーザーの名称等を併せて表示してもよい。例えば、プリンターAの8時30分から12時00分までの予約に対しては“Jоb01”といったジョブ名や、“製造1課 中村”といったユーザー名が示されている。これにより、スケジュール表50の分かり易さが増す。
【0033】
制御装置10は、予約にかかる印刷によるインクの消費量と、印刷装置におけるインクの残量とを比較し、前記残量が前記消費量に満たない場合に、前記残量が無くなる日時を推測し、推測した日時をスケジュール表50に表示するとしてもよい。ここでは、
図3を参照しつつ、制御装置10とプリンターAとの関係に注目して説明する。制御部11は、例えば、ユーザーがプリンターAに対して2023年3月1日の8時30分を日時に指定した予約にかかる印刷ジョブ“Jоb01”によるインク消費量を算出する。詳細は省くが、インク消費量は、印刷ジョブに含まれる画像データや印刷設定を解析して分かる画像の画素数、画像に使用される色、印刷枚数等に基づいて、各色のインク毎に概算できる。また、インク残量は、通信IF15を介してプリンターAから色毎に取得できる。
【0034】
制御部11は、上述のように算出したインク消費量がインク残量を超える場合は、印刷ジョブ“Jоb01”の印刷実行中に、インク残量が無くなると言えるため、インク残量が無くなる日時を推測する。制御部11は、例えば、媒体1枚当たりの色毎のインク消費量と、媒体1枚の印刷に要する時間から、8時30分に開始した印刷ジョブ“Jоb01”の印刷において、何時何分ごろにいずれの色のインク残量が枯渇するかを推測し、その推測した時刻が分かるような表示をスケジュール表50において行う。あくまで推測であるから、厳密でなくてもよい。
図3によれば、印刷ジョブ“Jоb01”の予約日時である8時30分~12時00分の時間帯の中で、10時30分に対して“Cインク交換”という警告が表示されている。つまり、制御部11は、プリンターAが印刷ジョブ“Jоb01”の印刷を予約に従って開始した場合に10時30分にはCインクが無くなると推測し、そのように推測した時刻を分かり易くユーザーに伝えるための表示をする。
【0035】
5.まとめ:
このように本実施形態によれば、印刷システム40は、印刷装置と、印刷装置を制御する制御装置10と、を備える。制御装置10は、ユーザーから印刷の日時の予約を受け付けて、予約を所定の記憶部16に登録し、予約に従って印刷装置に印刷を実行させることが可能であり、印刷装置の所定動作の日時に基づいて次回のメンテナンスの日時であるメンテナンス日時を決定し、メンテナンス日時が予約の日時と重ならない場合には、メンテナンス日時に印刷装置にメンテナンスを実行させ、メンテナンス日時が予約の日時と重なる場合には、予約の日時よりも前の日時に印刷装置にメンテナンスを実行させる。
【0036】
前記構成によれば、制御装置10は、決定したメンテナンス日時が印刷の予約の日時と重なる場合には、予約の日時よりも前の日時に印刷装置にメンテナンスを実行させる。従って、印刷装置においてメンテナンスを実行しているために予約した印刷を開始できないという事態を回避し、ユーザーは予定通りに印刷物を生産することができる。また、実行すべきメンテナンスが、決定したメンテナンス日時よりも遅れることが無いため、印刷装置の状態が良好に保たれ易い。
【0037】
また、本実施形態によれば、制御装置10は、予約の日時と印刷装置にメンテナンスを実行させる日時とを記入した、印刷装置の動作のスケジュール表50を、所定の表示部13に表示する。
前記構成によれば、スケジュール表50を表示部13に表示することで、印刷やメンテナンスのスケジュールをユーザーに認識させることができる。なお、表示部13は、制御装置10の構成の一部であってもよいし、制御装置10の外部に存在するディスプレイであってもよい。
【0038】
また、本実施形態によれば、制御装置10は、予約にかかる印刷によるインクの消費量と、印刷装置におけるインクの残量とを比較し、残量が消費量に満たない場合に、残量が無くなる日時を推測し、推測した日時をスケジュール表50に表示する、としてもよい。
推測した日時の表示は、直接的な表示であっても、間接的な表示であっても、結果的にユーザーに分かり易い表示であればよい。
前記構成によれば、予約した印刷の実行によって印刷装置のインク残量が無くなる日時をユーザーに認識させ、インクの交換、つまりインクカートリッジ等の交換を促すことができる。
【0039】
6.変形例:
上述したように、印刷システム40は、印刷装置として第1印刷装置20および第2印刷装置30を有し、制御装置10は、ユーザーからの指示に従って予約をいずれかの印刷装置に対応付けて記憶部16に登録する。
そして、制御装置10は、第1印刷装置20に対応付けて登録した予約の日時と重なる日時に、第2印刷装置30に対応付けられた予約が無く、かつ、第2印刷装置30が直近に実行したメンテナンスの日時が、第1印刷装置20が直近に実行したメンテナンスの日時よりも後であれば、第1印刷装置20に対応付けて登録した予約にかかる印刷を第2印刷装置30に実行させることをユーザーに促す「報知処理」をする、としてもよい。
【0040】
ここでは、
図3および
図4を参照しつつ、プリンターBを第1印刷装置20、プリンターCを第2印刷装置30と想定して説明する。
図4は、報知処理に相当するメッセージ51の表示がされている点を除くと、
図3と同じである。
図3,4によれば、プリンターBに対して予約された印刷ジョブ“Jоb02”の日時である2023年3月1日の9時00分~10時00分と重なる日時に、プリンターCに対する予約は無い。また、この印刷ジョブ“Jоb02”の日時を基準にすると、直近にプリンターBが実行したメンテナンスの日時よりも、直近にプリンターCが実行したメンテナンスの日時の方が、近い過去であるとする。このような条件が揃った場合、制御部11は報知処理として、メッセージ51を表示部13に表示する。
【0041】
図4によれば、メッセージ51はスケジュール表50と共に表示されている。むろん、制御部11は、メッセージ51を単独で表示部13に表示してもよい。メッセージ51によれば、プリンターBに対応付けて登録した予約にかかる印刷をプリンターCに実行させることが促されており、ユーザーは、このメッセージ51に対して“はい”又は“いいえ”の応答をすることができる。
【0042】
ユーザーが、メッセージ51に対して“はい”、つまり受容の応答をした場合、制御部11は、プリンターBに対応付けて登録した予約にかかる印刷、この場合は、印刷ジョブ“Jоb02”の印刷を、この予約にかかる日時に、プリンターBではなくプリンターCに実行させる。一方、ユーザーが、メッセージ51に対して“いいえ”、つまり拒否の応答をした場合、制御部11は、印刷ジョブ“Jоb02”の印刷を、その予約通りにプリンターBに実行させる。言うまでもなく、報知処理は、視覚情報による報知だけでなく、音声による報知であってもよい。
【0043】
このような変形例によれば、制御装置10は、予約が無く使用可能であって、かつ、第1印刷装置20と比べてより近い過去にメンテナンスを実行して印刷ヘッド等の状態が良好な可能性が高い第2印刷装置30に、第1印刷装置20に対して予約がされた印刷を代わりに実行させることができる。
【0044】
当該変形例において、制御装置10は、第2印刷装置30におけるインクの残量に応じて、報知処理を実行するか否かを決めるとしてもよい。つまり、制御装置10は、上述したような報知処理をする条件が揃った場合であって、かつ、第2印刷装置30のインク残量が所定の基準を超える場合に、報知処理を実行する。一方、制御装置10は、上述したような報知処理をする条件が揃った場合であっても、第2印刷装置30のインク残量が所定の基準に達しない場合は、報知処理を実行しない。
【0045】
例えば、制御装置10は、報知処理によって第2印刷装置30に実行させることを促す、第1印刷装置20に対する予約にかかる印刷、つまり印刷ジョブ“Jоb02”の印刷に要するインク消費量を、所定の基準とする。あるいは、このような印刷ジョブ“Jоb02”のインク消費量に、印刷ジョブ“Jоb02”の日時よりも後の日時に第2印刷装置30に対して予約されている印刷、つまり印刷ジョブ“Jоb04”の印刷に要するインク消費量を足し合わせた量を、所定の基準としてもよい。このような構成によれば、報知処理によりユーザーを促した結果、第2印刷装置30において印刷中にインク切れを招くといった事態を、回避し易い。
【0046】
なお、特許請求の範囲において、請求項同士の組み合わせの一部のみを記載していたとしても、本実施形態は、独立請求項と従属請求項との一対一の組み合わせだけでなく、当然に、複数の従属請求項の各種組み合わせを開示範囲に含める。
本実施形態は、印刷システム40以外にも、印刷システム40が実行する工程やステップからなる方法や、当該方法をプロセッサーと協働して実現するためのプログラム12を開示する。また、制御装置10や印刷装置もそれぞれに発明として成立する。
【符号の説明】
【0047】
10…制御装置、11…制御部、12…プログラム、13…表示部、14…操作受付部、15…通信IF、16…記憶部、20…第1印刷装置、30…第2印刷装置、40…印刷システム、50…スケジュール表、51…メッセージ