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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142625
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】剛度検出装置
(51)【国際特許分類】
   D06H 3/08 20060101AFI20241003BHJP
   D06H 7/02 20060101ALI20241003BHJP
   D04H 1/732 20120101ALI20241003BHJP
【FI】
D06H3/08
D06H7/02
D04H1/732
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054845
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】弥藤 圭一
(72)【発明者】
【氏名】深沢 真直
【テーマコード(参考)】
3B154
4L047
【Fターム(参考)】
3B154AA01
3B154AB22
3B154AB27
3B154BA47
3B154BA53
3B154BB02
3B154BB47
3B154BB54
3B154BC22
3B154BC31
3B154CA03
3B154CA16
3B154CA22
3B154CA25
3B154CA38
3B154DA05
4L047AA08
4L047AB02
4L047AB06
4L047EA03
(57)【要約】
【課題】シート製造装置内において搬送中のシートの剛度を検出することができる剛度検出装置を提供すること。
【解決手段】繊維を含む材料の解繊物を加圧成形してシートを製造するシート製造装置に設けられ、シートの剛度を検出する剛度検出装置であって、シートを搬送する搬送部と、搬送部により搬送されているシートに対し、シートの搬送方向と交わる方向から押し付けてシートを変形させる押付部材を有する押付部と、変形したことにより搬送方向に移動したシートの定められた位置を検出するセンサーを有する検出部と、センサーの検出値に基づいて、シートの剛度を判定する判定部と、を備えることを特徴とする剛度検出装置。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含む材料の解繊物を加圧成形してシートを製造するシート製造装置に設けられ、前記シートの剛度を検出する剛度検出装置であって、
前記シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されている前記シートに対し、前記シートの搬送方向と交わる方向から押し付けて前記シートを変形させる押付部材を有する押付部と、
変形したことにより前記搬送方向に移動した前記シートの定められた位置を検出するセンサーを有する検出部と、
前記センサーの検出値に基づいて、前記シートの剛度を判定する判定部と、を備えることを特徴とする剛度検出装置。
【請求項2】
前記押付部材は、前記シートの一方の面側に設けられた少なくとも1つの第1ローラーと、前記シートの他方の面側に設けられた少なくとも1つの第2ローラーと、を有し、
前記第1ローラーと前記第2ローラーとは、前記シートの、前記搬送方向にずれた位置を押し付ける請求項1に記載の剛度検出装置。
【請求項3】
前記シート製造装置は、前記解繊物を加圧成形する成形部と、前記成形部により成形された帯状の前記シートを切断する切断部と、を有し、
前記定められた位置は、前記切断部により切断された前記シートの前記搬送方向上流側の端部である請求項1に記載の剛度検出装置。
【請求項4】
前記搬送部の搬送速度は、前記成形部から供給される前記シートの搬送速度と実質的に同じである請求項3に記載の剛度検出装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記シートの前記搬送方向上流側の端部を案内する案内部を有する請求項3に記載の剛度検出装置。
【請求項6】
前記センサーは、光学式センサーである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の剛度検出装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記シートの剛度を複数段階でランク付けする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の剛度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剛度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
古紙を粗砕する粗砕部、粗砕部で得られた粗砕片を解繊する解繊部、解繊部で得られた解繊物を平面上に堆積させてウェブを形成する堆積部、堆積したウェブを加熱、加圧する加熱加圧部、加熱加圧部で得られたシートを所定の形状に裁断する裁断部、および得られたシートを回収するシート回収部を備えたシート製造装置が知られている。
【0003】
このようなシート製造装置において、製造したシートの曲げ剛性、すなわち剛度を知ることが、次のような利点があることから、望まれている。例えば、製造したシートの剛度が低すぎたり、高すぎたりした場合、そのシートは使用に適さないと判断することができる。しかしながら、従来では、シート製造装置において、製造したシートの剛度を検出することができなかったため、上記のような利点を得ることができない。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1に記載されているような剛度検出機構をシート製造装置に適用することが考えられる。特許文献1に記載されている剛度検出機構は、用紙であるシートに印刷する印刷装置に設置されたものであり、印刷中にシートの搬送を部分的に停止するかまたは搬送速度を減速してシートを撓ませ、その撓み量をいわゆるレベルセンサーにより検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-144666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている剛度検出機構では、剛度検出の際、シートの搬送を一旦停止したり、シートの搬送速度を低下させたりする必要がある。従って、特許文献1に記載されている剛度検出機構をシート製造装置に適用したとしても、シートの搬送速度が低下してしまい、シートの生産性が低下する。このように、シートの生産性に悪影響を与えることなく、シートの剛度を検出することは、困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の剛度検出装置は、繊維を含む材料の解繊物を加圧成形してシートを製造するシート製造装置に設けられ、前記シートの剛度を検出する剛度検出装置であって、
前記シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されている前記シートに対し、前記シートの搬送方向と交わる方向から押し付けて前記シートを変形させる押付部材を有する押付部と、
変形したことにより前記搬送方向に移動した前記シートの定められた位置を検出するセンサーを有する検出部と、
前記センサーの検出値に基づいて、前記シートの剛度を判定する判定部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る剛度検出装置を備えるシート製造装置の概略を示す構成図である。
図2図2は、図1に示す剛度検出装置のブロック図である。
図3図3は、図1に示す剛度検出装置を鉛直上方から見た図である。
図4図4は、図3中の矢印A方向から見た図である。
図5図5は、図4中矢印B方向から見た概略図であって、押付部材を押し付けていない状態を示す図である。
図6図6は、図4中矢印B方向から見た概略図であって、押付部材を押し付けている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の剛度検出装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る剛度検出装置を備えるシート製造装置の概略を示す構成図である。図2は、図1に示す剛度検出装置のブロック図である。図3は、図1に示す剛度検出装置を鉛直上方から見た図である。図4は、図3中の矢印A方向から見た図である。図5は、図4中矢印B方向から見た概略図であって、押付部材を押し付けていない状態を示す図である。図6は、図4中矢印B方向から見た概略図であって、押付部材を押し付けている状態を示す図である。
【0011】
なお、以下では、図1図4図5および図6の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。また、図1は、概略構成図であり、シート製造装置100の各部の位置関係、向き、大きさ等は、図示のものに限定されない。
【0012】
また、図1において、粗砕片M2、解繊物M3、第1選別物M4-1、第2選別物M4-2、第1ウェブM5、細分体M6、混合物M7、第2ウェブM8およびシートSが搬送される方向、すなわち、矢印Vで示す方向を搬送方向とも言う。また、図1中の矢印の先端側を搬送方向における「下流側」、図1中の矢印の基端側を搬送方向における「上流側」とも言う。
【0013】
図1に示すシート製造装置100は、例えば使用済みのコピー用紙のような古紙である原料M1からシートSを生成するシート製造装置100である。すなわち、繊維を含む材料を解繊し、解繊物M3を加圧成形してシートSを製造する装置である。
【0014】
図1に示すように、シート製造装置100は、原料供給部11と、粗砕部12と、解繊部13と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、分散部18と、第2ウェブ形成部19と、成形部20と、切断部21と、本発明の剛度検出装置の一例である剛度検出装置3と、ストック部22と、回収部27と、制御部28と、を備えている。
【0015】
また、シート製造装置100は、加湿部231と、加湿部232と、加湿部233と、加湿部234と、加湿部235と、加湿部236とを備えている。その他、シート製造装置100は、ブロアー261と、ブロアー262と、ブロアー263とを備えている。
【0016】
また、シート製造装置100では、原料供給工程と、粗砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、ほぐし工程と、第2ウェブ形成工程と、シート形成工程と、切断工程とがこの順に実行される。
【0017】
以下、各部の構成について説明する。
図1に示すように、原料供給部11は、粗砕部12に原料M1を供給する原料供給工程を行う部分である。この原料M1としては、セルロース繊維を含む繊維含有物からなるシート状材料である。なお、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロース(狭義のセルロース)を主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロース(狭義のセルロース)の他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。また、原料M1は、織布、不織布等、形態は問わない。また、原料M1は、例えば、古紙を解繊して再生、製造されたリサイクルペーパーや、合成紙のユポ紙(登録商標)であってもよく、リサイクルペーパーでなくてもよい。
【0018】
粗砕部12は、原料供給部11から供給された原料M1を大気中等の気中で粗砕する粗砕工程を行なう部分である。粗砕部12は、一対の粗砕刃121と、シュート122とを有している。
【0019】
一対の粗砕刃121は、互いに反対方向に回転することにより、これらの間で原料M1を粗砕して、すなわち、裁断して粗砕片M2にすることができる。粗砕片M2の形状や大きさは、解繊部13における解繊処理に適しているのが好ましい。粗砕片M2の形状としては、例えば平面形状が正方形の小片、長方形、特に短冊状の小片が挙げられる。また、粗砕片M2のサイズは、例えば、1辺の平均長さが100mm以下の小片であるのが好ましく、3mm以上70mm以下の小片であるのがより好ましい。前記小片の形状としては、正方形、長方形以外のものであってもよい。また、厚さは0.07mm以上0.10mm以下が好ましい。
【0020】
シュート122は、一対の粗砕刃121の下方に配置され、例えば漏斗状をなすものとなっている。これにより、シュート122は、粗砕刃121によって粗砕されて落下してきた粗砕片M2を受けることができる。
【0021】
また、シュート122の上方には、加湿部231が一対の粗砕刃121に隣り合って配置されている。加湿部231は、シュート122内の粗砕片M2を加湿するものである。この加湿部231は、水分を含むフィルター(図示せず)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を粗砕片M2に供給する気化式(または温風気化式)の加湿器で構成されている。加湿空気が粗砕片M2に供給されることにより、粗砕片M2が静電力によってシュート122等に付着するのを抑制することができる。
【0022】
シュート122は、管241を介して、解繊部13の上流側に接続されている。すなわち、管241の下流側端部は、図1に示す解繊部13の投入口に接続されている。シュート122に集められた粗砕片M2は、管241を通過して、解繊部13に搬送される。
【0023】
図1に示すように、解繊部13は、粗砕片M2を気中で、すなわち、乾式で解繊する解繊工程を行なう部分である。この解繊部13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物M3を生成することができる。ここで「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる粗砕片M2を、繊維1本1本に解きほぐすことを言う。そして、この解きほぐされたものが解繊物M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。また、解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
【0024】
また、解繊部13は、図示しないローターの回転により、粗砕部12から選別部14に向かう空気の流れ、すなわち、気流を発生させることができる。これにより、粗砕片M2を管241から解繊部13の上流側に導入することができ、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
【0025】
解繊部13の下流側には、管242が接続されている。管242の途中には、例えばターボ型ファンで構成されるブロアー261が設置されている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、解繊部13への粗砕片M2の導入および選別部14への解繊物M3の送り出しが促進される。後述するように、解繊部13では、その構造上、原料である粗砕片M2の通過および解繊処理が円滑になされるが、解繊部13の下流側に設置されたブロアー261の作動により、粗砕片M2の解繊部13内における通過および解繊処理が促進される。なお、ブロアー261は、解繊部13の上流側に設置されていてもよい。
【0026】
選別部14は、解繊物M3を、繊維長の大小によって選別する選別工程を行なう部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4-1と、第1選別物M4-1よりも繊維長が大きい第2選別物M4-2とに選別される。第1選別物M4-1は、その後のシートSの製造に適した大きさのものとなっている。一方、第2選別物M4-2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊された繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
【0027】
選別部14は、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング部142とを有する。
【0028】
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部141には、解繊物M3が流入してくる。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4-1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4-2として選別される。
【0029】
第1選別物M4-1は、ドラム部141から落下する。
一方、第2選別物M4-2は、ドラム部141に接続されている管243に送り出される。管243は、ドラム部141と反対側、すなわち下流側の端部が管241の途中に接続されている。この管243を通過した第2選別物M4-2は、管241内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに解繊部13に流入する。これにより、第2選別物M4-2は、解繊部13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
【0030】
また、ドラム部141から落下した第1選別物M4-1は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4-1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程を行なう部分である。第1ウェブ形成部15は、メッシュベルト151と、3つの張架ローラー152と、吸引部153とを有している。
【0031】
メッシュベルト151は、無端ベルトであり、第1選別物M4-1が堆積する。このメッシュベルト151は、3つの張架ローラー152に掛け回されている。そして、張架ローラー152の回転駆動により、メッシュベルト151上の第1選別物M4-1は、下流側に搬送される。
【0032】
第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の目開き以上の大きさとなっている。これにより、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の通過が規制され、よって、メッシュベルト151上に堆積することができる。また、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151上に堆積しつつ、メッシュベルト151ごと下流側に搬送されるため、層状の第1ウェブM5として形成される。
【0033】
また、第1選別物M4-1には、例えば塵や埃等が混在しているおそれがある。塵や埃は、例えば、粗砕や解繊によって生じることがある。そして、このような塵や埃は、後述する回収部27に回収されることとなる。
【0034】
吸引部153は、メッシュベルト151の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト151を通過した塵や埃を空気ごと吸引することができる。
【0035】
また、吸引部153は、管244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された塵や埃は、回収部27に回収される。
【0036】
回収部27には、管245がさらに接続されている。また、管245の途中には、ブロアー262が設置されている。このブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、メッシュベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。この第1ウェブM5は、塵や埃等が除去されたものとなる。また、塵や埃は、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
【0037】
ハウジング部142は、加湿部232と接続されている。加湿部232は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部142内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、第1選別物M4-1を加湿することができ、よって、第1選別物M4-1がハウジング部142の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0038】
選別部14の下流側には、加湿部235が配置されている。加湿部235は、水を噴霧する超音波式加湿器で構成されている。これにより、第1ウェブM5に水分を供給することができ、よって、第1ウェブM5の水分量が調整される。この調整により、静電力による第1ウェブM5のメッシュベルト151への吸着を抑制することができる。これにより、第1ウェブM5は、メッシュベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、メッシュベルト151から容易に剥離される。
【0039】
加湿部235の下流側には、細分部16が配置されている。細分部16は、メッシュベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程を行なう部分である。細分部16は、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング部162とを有している。そして、回転するプロペラ161により、第1ウェブM5を分断することができる。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。また、細分体M6は、ハウジング部162内を下降する。
【0040】
ハウジング部162は、加湿部233と接続されている。加湿部233は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部162内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、細分体M6がプロペラ161やハウジング部162の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0041】
細分部16の下流側には、混合部17が配置されている。混合部17は、細分体M6と添加剤とを混合する混合工程を行なう部分である。この混合部17は、添加剤供給部171と、管172と、ブロアー173とを有している。
【0042】
管172は、細分部16のハウジング部162と、分散部18のハウジング182とを接続しており、細分体M6と添加剤との混合物M7が通過する流路である。
【0043】
管172の途中には、添加剤供給部171が接続されている。添加剤供給部171は、添加剤が収容されたハウジング部170と、ハウジング部170内に設けられたスクリューフィーダー174とを有している。スクリューフィーダー174の回転により、ハウジング部170内の添加剤がハウジング部170から押し出されて管172内に供給される。管172内に供給された添加剤は、細分体M6と混合されて混合物M7となる。
【0044】
ここで、添加剤供給部171から供給される添加剤としては、例えば、繊維同士を結着させる結着剤や、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤、シートSの紙力を増強するための紙力増強剤、解繊物等が挙げられ、これらのうちの一種または複数種を組み合わせて用いることができる。以下では、一例として、添加剤が結着剤P1である場合について説明する。添加剤が繊維同士を結合させる結合材を含むことにより、シートSの強度を高めることができる。
【0045】
結着剤P1は、例えば、澱粉、デキストリン、グリコーゲン、アミロース、ヒアルロン酸、葛、こんにゃく、片栗粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、天然ガム糊、繊維誘導糊、海藻類、動物性蛋白質等の天然物由来成分や、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、天然物由来成分であるのが好ましく、澱粉であるのがより好ましい。また、例えば、各種ポリオレフィン、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、各種熱可塑性エラストマー等を用いることもできる。
【0046】
また、管172の途中には、添加剤供給部171よりも下流側にブロアー173が設置されている。ブロアー173が有する羽根等の回転部の作用により、細分体M6と結着剤P1との混合が促進される。また、ブロアー173は、分散部18に向かう気流を発生させることができる。この気流により、管172内で、細分体M6と結着剤P1とを撹拌することができる。これにより、混合物M7は、細分体M6と結着剤P1とが均一に分散した状態で、分散部18に搬送される。また、混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
【0047】
なお、ブロアー173は、制御装置28と電気的に接続されており、その作動が制御される。また、ブロアー173の送風量を調整することにより、ドラム181内に送り込む空気の量を調整することができる。
【0048】
なお、図示はしないが、管172は、ドラム181側の端部が2股に分岐しており、分岐した各端部は、ドラム181の端面に形成された図示しない導入口にそれぞれ接続されている。
【0049】
図1に示す分散部18は、混合物M7における、互いに絡み合った繊維同士をほぐして放出するほぐし工程を行なう部分である。分散部18は、解繊物である混合物M7を導入および放出するドラム181と、ドラム181を収納するハウジング182と、を有する。
【0050】
ドラム181は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。ドラム181が回転することにより、混合物M7のうち、網の目開きよりも小さい繊維等が、ドラム181を通過することができる。その際、混合物M7がほぐされて空気とともに放出される。すなわち、ドラム181が、繊維を含む材料を放出する放出部として機能する。
【0051】
ドラム181は、図示しない駆動源に接続されており、駆動源から出力された回転力によって回転する。該駆動源は、制御装置28と電気的に接続されており、その作動が制御される。
【0052】
また、ハウジング182は、加湿部234と接続されている。加湿部234は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング182内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、ハウジング182内を加湿することができ、よって、混合物M7がハウジング182の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0053】
また、ドラム181で放出された混合物M7は、気中に分散しつつ落下して、ドラム181の下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。第2ウェブ形成部19は、混合物M7を堆積させて堆積物である第2ウェブM8を形成する第2ウェブ形成工程を行なう部分である。第2ウェブ形成部19は、メッシュベルト191と、張架ローラー192と、吸引部193とを有している。
【0054】
メッシュベルト191は、メッシュ部材であり、図示の構成では、無端ベルトで構成される。また、メッシュベルト191には、分散部18が分散、放出した混合物M7が堆積する。このメッシュベルト191は、4つの張架ローラー192に掛け回されている。そして、張架ローラー192の回転駆動により、メッシュベルト191上の混合物M7は、下流側に搬送される。
【0055】
なお、図示の構成では、メッシュ部材の一例としてメッシュベルト191を用いる構成であるが、本発明ではこれに限定されず、例えば、平板状をなすものであってもよい。
【0056】
また、メッシュベルト191上のほとんどの混合物M7は、メッシュベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、メッシュベルト191を通過してしまうのが規制され、よって、メッシュベルト191上に堆積することができる。また、混合物M7は、メッシュベルト191上に堆積しつつ、メッシュベルト191ごと下流側に搬送されるため、層状の第2ウェブM8として形成される。
【0057】
吸引部193は、メッシュベルト191の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト191上に混合物M7を吸引することができ、よって、混合物M7のメッシュベルト191上への堆積が促進される。
【0058】
吸引部193には、管246が接続されている。また、この管246の途中には、ブロアー263が設置されている。このブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
【0059】
分散部18の下流側には、加湿部236が配置されている。加湿部236は、加湿部235と同様の超音波式加湿器で構成されている。これにより、第2ウェブM8に水分を供給することができ、よって、第2ウェブM8の水分量が調整される。この調整により、静電力による第2ウェブM8のメッシュベルト191への吸着を抑制することができる。これにより、第2ウェブM8は、メッシュベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、メッシュベルト191から容易に剥離される。
【0060】
なお、加湿部231~加湿部236までに加えられる合計水分量は、例えば、加湿前の材料100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下であるのが好ましい。
【0061】
第2ウェブ形成部19の下流側には、成形部20が配置されている。成形部20は、第2ウェブM8からシートSを形成するシート形成工程を行なう部分である。この成形部20は、加圧部201と、加熱部202とを有している。
【0062】
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有し、カレンダーローラー203の間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧することができる。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。なお、加熱する場合の加熱の程度としては、例えば、結着剤P1を溶融させない程度であるのが好ましい。そして、この第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0063】
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有し、加熱ローラー204の間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧することができる。この加熱加圧により、第2ウェブM8内では、結着剤P1が溶融して、この溶融した結着剤P1を介して繊維同士が結着する。これにより、シートSが形成される。そして、このシートSは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0064】
本実施形態では、成形部20は、加圧部201および加熱部202を有し、第2ウェブM8に対し加熱・加圧成形を施して帯状のシートSを得る構成であるが、これに限らず、成形部20は、第2ウェブM8に対し加圧成形を行う構成でもよい。本明細書で言う「加圧成形」には、加熱・加圧成形と、加熱のない加圧成形とが含まれる。
【0065】
成形部20の下流側には、切断部21が配置され、さらにその下流側には、剛度検出装置3が設置されている。切断部21は、シートSを所望の形状に切断する切断工程を行なう部分である。この切断部21は、第1カッター211と、第2カッター212とを有する。
【0066】
第1カッター211は、シートSの搬送方向Vと交差する方向、特に直交する方向にシートSを切断するものである。
【0067】
第2カッター212は、第1カッター211の下流側で、シートSの搬送方向に平行な方向にシートSを切断するものである。この切断は、シートSの幅方向の両側端部の不要な部分を除去して、シートSの幅を整えるものであり、いわゆる耳切りとも言われる。
【0068】
このような第1カッター211と第2カッター212との切断により、所望の形状、大きさのシートSが得られる。そして、このシートSは、後述する剛度検出装置3を経た後、さらに下流側に搬送されて、ストック部22に蓄積される。
【0069】
第1カッター211によるシートSの切断タイミングは、切断部21を搬送されるシートSの搬送速度と対応している。これにより、ストック部22に蓄積される各シートSは、一定の長さのものとなる。また、剛度検出装置3により検出されるシートSの剛度も、正確なものとなる。
【0070】
切断部21を経た後に剛度検出装置3を通過するシートSの下流側の端部101は、切断部21の第1カッター211により切断された切断端である。
【0071】
このようなシート製造装置100が備える各部は、制御装置28と電気的に接続されている。そして、これら各部の作動は、制御装置28によって制御される。
【0072】
図2に示すように、制御装置28は、制御部281と、記憶部282と、通信部283と、を有する。
【0073】
制御部281は、少なくとも1つのプロセッサーを有し、記憶部282に記憶された各種プログラムを実行する。プロセッサーとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)を用いることができる。また、制御部281は、シート製造装置100のうち、ブロアー261の駆動を制御する機能等のシート製造に関連する装置の各部位の駆動を制御する機能、剛度検出装置3の各部の作動を制御する機能等を有する。制御部281のプロセッサーのうち、後述するような剛度を判定するプロセッサーを判定部281Aと言い、後述する押付部31の作動を制御するプロセッサーを駆動制御部281Bと言う。
【0074】
記憶部282には、例えば、シート製造に関するプログラムや、剛度を検出する剛度検出プログラム等が記憶されている。剛度検出プログラムは、外部の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0075】
通信部283は、例えば、I/Oインターフェースで構成され、シート製造装置100の各部との通信を行う。また、通信部283は、例えばインターネット、イントラネット等のネットワークを介して図示しないコンピューターやサーバー等と通信を行う機能を有する。
【0076】
制御装置28は、シート製造装置100に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター、その他の端末等の外部機器に設けられていてもよい。また、制御部281と、記憶部282とは、例えば、一体化されて、1つのユニットとして構成されていてもよく、制御部281がシート製造装置100に内蔵され、記憶部282が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよく、記憶部282がシート製造装置100に内蔵され、制御部281が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。
【0077】
また、判定部281A、駆動制御部281Bおよび記憶部282等の剛度検出プログラムが記憶されている領域は、制御装置28とは別の図示しない制御装置、例えばコンピューター、サーバー、タブレット端末、スマートフォン等であってもよい。このような判定部281A等を有する制御装置は、例えばインターネット、イントラネット等のネットワークを介して剛度検出装置3の各部と接続されていてもよい。
【0078】
次に、剛度検出装置3について詳細に説明する。
図1図6に示すように、剛度検出装置3は、シート製造装置100に設けられ、製造されたシートSの剛度を検出するものである。ここで、シートSの「剛度」とは、曲げ強さまたは曲げ剛性のことを言う。
【0079】
剛度検出装置3がシートSの剛度を検出することにより、シート製造装置100により製造されるシートSの剛度を知ることができ、その情報を例えば製造されるシートSの品質管理やランク分けに利用することができる。その具体例としては、作業者等が、過剰に剛度が低いシートSまたは過剰に剛度が高いシートSを選別し、除去することができる。これにより、剛度が適正範囲内のシートSを得ることができる。
【0080】
本実施形態では、図1に示すように、剛度検出装置3は、切断部21とストック部22との間に設けられている。図2図6に示すように、剛度検出装置3は、押付部31と、搬送部32と、検出部33と、判定部281Aと、駆動制御部281Bと、を有する。
【0081】
搬送部32は、切断部21により切断される前のシートSを搬送方向Vに搬送して切断部21を通過させる。さらに搬送部32は、切断部21により切断された後のシートSを搬送方向Vに搬送して剛度検出装置3を通過させ、その後ストック部22へ搬送する。
【0082】
搬送部32は、上下方向に並んで配置された一対の搬送ローラー321を有する。各搬送ローラー321は、搬送されているシートSの上方および下方に1つずつ設けられている。各搬送ローラー321が互いに反対方向に回転することにより、各搬送ローラー321で挟んだ状態でシートSを下流側に送り出し、搬送することができる。
【0083】
各搬送ローラー321のうち、一方は、図示しないモーターに接続された、駆動回転する主動ローラーであり、他方は、自由回転する従動ローラーである。該モーターは、制御装置28と電気的に接続されている。制御装置28の駆動制御部281Bによって、モーターの作動が制御される。駆動制御部281Bは、図示しないモータードライバーへの通電条件を制御することにより、搬送ローラー321の回転速度、すなわち、シートSの搬送速度を制御することができる。
【0084】
搬送部32によるシートSの搬送方向Vは、成形部20から供給され、切断部21を通過するシートSの搬送方向Vと実質的に同じである。また、搬送部32によるシートSの搬送速度は、成形部20から供給されるシートSの搬送速度と実質的に同じである。また、搬送部32によるシートSの搬送速度は、切断部21を搬送されるシートSの搬送速度と実質的に同じである。これにより、シートSの剛度の検出および判定の際、例えば搬送速度差を解消するバッファー、すなわちシートSの一時貯留部を設けることなく、搬送速度を落とさずにシートSの剛度を知得することができる。搬送速度において、「実質的に同じ」とは、速度差が10%以下のことを言う。
【0085】
なお、搬送部32は、上記構成に限らず、一対の搬送ローラー321の双方が、駆動回転する主動ローラーであってもよい。また、押付部31の上流側に一対の搬送ローラー321が設置されていてもよい。
【0086】
押付部31は、押付部材としての2つの第1ローラー311Aと、各第1ローラー311Aを回転可能に支持する第1支持部312Aと、第1移動機構313Aと、押付部材としての3つの第2ローラー311Bと、各第2ローラー311Bを回転可能に支持する第2支持部312Bと、第2移動機構313Bと、を有する。
【0087】
第1ローラー311Aおよび第1支持部312Aは、シートSの上方に設けられており、第1支持部312Aによって各第1ローラー311Aが一括して支持されている。各第1ローラー311Aは、回転軸315を有し、該回転軸315の片端、すなわち図3および図4中の右側端部において、第1支持部312Aにより片持ち支持されている。
【0088】
第1ローラー311Aは、シートSの搬送方向Vと交わる方向、すなわち、シートSの幅方向に延在する形状をなしている。各第1ローラー311Aは、シートSの搬送方向Vに沿って所定距離離間して並んで配置されている。
【0089】
第1移動機構313Aは、第1支持部312Aおよびこれに支持された第1ローラー311Aを上下方向に移動させるものである。第1移動機構313Aは、例えば、駆動源としてのソレノイドを備え、該ソレノイドは、制御装置28に電気的に接続されている。制御装置28の駆動制御部281Bは、図示しないドライバーを介して通電条件を制御し、第1移動機構313Aの作動を制御する。
【0090】
第2ローラー311Bおよび第2支持部312Bは、シートSの下方に設けられており、第2支持部312Bによって各第2ローラー311Bが一括して支持されている。各第2ローラー311Bは、回転軸316を有し、該回転軸316の片端、すなわち図3および図4中の左側端部において、第2支持部312Bにより片持ち支持されている。
【0091】
第2ローラー311Bは、シートSの搬送方向Vと交わる方向、すなわち、シートSの幅方向に延在する形状をなしている。各第2ローラー311Bは、シートSの搬送方向Vに沿って所定距離離間して並んで配置されている。
【0092】
各第1ローラー311Aは、回転軸315を中心として自由回転可能に第1支持部312Aに支持され、各第2ローラー311Bは、回転軸316を中心として自由回転可能に第2支持部312Bに支持されている。ただし、この構成に限定されず、第1ローラー311Aおよび第2ローラー311Bのうちの少なくとも1つは、回転しない構成であってもよい。
【0093】
また、本実施形態では、各第1ローラー311Aおよび各第2ローラー311Bは、それぞれ、片持ち支持により支持されているが、これに限らず、両持ち支持により支持されていてもよい。
【0094】
第2移動機構313Bは、第2支持部312Bおよびこれに支持された第2ローラー311Bを上下方向に移動させるものである。第2移動機構313Bは、例えば、駆動源としてのソレノイドを備え、該ソレノイドは、制御装置28に電気的に接続されている。制御装置28の駆動制御部281Bは、図示しないドライバーを介して通電条件を制御し、第2移動機構313Bの作動を制御する。
【0095】
なお、第1移動機構313Aおよび第2移動機構313Bの駆動源は、ソレノイドに限らず、例えば、ステッピングモーター、空気圧または油圧により作動するシリンダーであってもよい。
【0096】
各第1ローラー311Aと各第2ローラー311Bとは、シートSの搬送方向Vにずれて配置されている。各第1ローラー311Aおよび各第2ローラー311Bは、搬送されているシートSの上下方向、すなわち厚さ方向から見て、重ならないように配置されている。
【0097】
図6に示すように、シートSの剛度を検出する際、第1移動機構313Aの作動により、第1ローラー311Aは、上方からシートSを下方に向かって押し付けるように移動する。一方、第2移動機構313Bの作動により、第2ローラー311Bは、下方からシートSを上方に向かって押し付けるように移動する。以下、図6に示すこの状態を「押付状態」とも言う。このような各第1ローラー311Aおよび各第2ローラー311Bの移動により、搬送されているシートSは、図6に示すように、上下に蛇行するように、すなわち波状に変形する。
【0098】
なお、第1移動機構313Aおよび第2移動機構313Bには、図示しないバネが内蔵されており、「押付状態」においてはローラー311Aおよびローラー311Bが一定の加重でシートSを押し付ける構造となっている。
【0099】
シートSの押付部31より下流側は、一対の搬送ローラー321で挟持されているため、上記シートSの変形により、切断によって自由端となっているシートSの上流側の端部101は、下流側に移動する。この場合、シートSの剛度に応じて、端部101の移動量、すなわち端部101の位置が変化する。
【0100】
検出部33は、変形したことにより搬送方向Vの下流側に移動したシートSの定められた位置を検出するセンサー331を有する。定められた位置とは、本実施形態では、押付部31を通過しているシートSの上流側の端部101である。
【0101】
センサー331は、本実施形態では、端部101の位置を光学的に検出する光学式センサーであり、特に反射式の光学センサーある。ただし、これに限らず、光学センサーは、透過式の光学センサーであってもよい。さらに、センサー331は、光学式センサーに限らず、例えば、接触式センサー、静電容量式センサー、圧電式センサー、ひずみゲージ式センサー等、接触式または非接触式の各種センサーであってもよい。また、センサー331は、静止画または動画を撮影し得る各種の撮像カメラであってもよい。このような撮像カメラも、光学式センサーと言うことができる。
【0102】
押付部31による押付状態となると、シートSは波状に変形し、図6中の実線および二点鎖線で示すように、端部101の位置が変形前に比べ下流側へ移動する。この端部101の移動量は、シートSの剛度に対応している。検出部33では、シートSの剛度に応じた端部101の移動を検出する。
【0103】
シートSの剛度が比較的小さい場合、各第1ローラー311Aおよび各第2ローラー311Bの押し付けによりシートSの上下に蛇行する幅が比較的大きくなり、端部101の下流側への移動量が比較的大きくなる。一方、シートSの剛度が比較的大きい場合、各第1ローラー311Aおよび各第2ローラー311Bの押し付けによりシートSの上下に蛇行する幅が比較的小さくなり、端部101の下流側への移動量が比較的小さくなる。すなわち、シートSの剛度の大小関係は、端部101の下流側への移動量の大小関係と逆となっている。
【0104】
センサー331は、出射光Lを出射する発光素子で構成された出射部332と、出射光LがシートSにて反射した反射光LLを受光する受光素子で構成された受光部333とを有し、これらが搬送方向Vに沿って並んで配置されている。出射部332から出射される出射光Lの光路は、シートSの搬送経路に対しほぼ直交する方向となるように設定されている。
【0105】
センサー331の出射部332および受光部333は、制御装置28と電気的に接続されている。出射部332は、制御装置28の制御により、所望のタイミングで、すなわち各第1ローラー311Aおよび各第2ローラー311BのシートSの押し付けと同期して、出射光Lを出射する。受光部333は、反射光LLを受光した場合、該反射光LLを光電変換し、得られた電気信号を制御装置28に送信する。受光部333が反射光LLを受光しない場合、電気信号は生じず、制御装置28には送信されない。
【0106】
押付部31による押付状態において、図6中二点鎖線で示すように、シートSの端部101が、搬送経路上でセンサー331よりも上流側に位置している場合、受光部333は、出射光LがシートSにて反射した反射光LLを受光する。一方、図6中実線で示すように、シートSの端部101が、搬送経路上でセンサー331よりも下流側に位置している場合、出射光LはシートSに届かずにそのまま通過するため、受光部333は、反射光LLを受光しない。制御装置28は、出射部332より出射光Lを出射した際、受光部333からの電気信号を受け取ったか否かで、シートSの端部101の位置に関する情報、すなわちシートSの剛度に関する情報を取得することができる。
【0107】
このように、検出部33は、シートSの剛度に応じて変化する端部101の位置を検出すること、すなわちセンサー331の位置に対し、端部101が搬送方向Vの上流側に位置しているか、下流側に位置しているかを検出することにより、シートSの剛度を検出することができる。
【0108】
なお、センサー331の設置位置や設置角度、押付部31の押し付けの程度を適宜変更することにより、シートSの剛度の大小のしきい値を設定することができる。
【0109】
判定部281Aは、受光部333が反射光LLを受光したか否か、すなわち受光部333の受光光量が所定値を超えているか否かに基づいて、押付状態における端部101の搬送方向Vにおける位置を検出し、シートSの剛度を判定する。
【0110】
センサー331として、透過式の光学式センサーを用いる場合、図示しないフォトインタラプターが挙げられる。フォトインタラプターは、出射部332と受光部333とがシートSの搬送経路を挟んで対向して配置されており、出射部332と受光部333との間にシートSがあるときは、出射部332からの出射光LはシートSに遮られて受光部333に到達せず、出射部332と受光部333との間にシートSがないときは、出射部332からの出射光Lが受光部333で受光され、光電変換により生じた電気信号を制御装置28に送信する。出射部332からの出射光Lを受光部333が受光しない場合、電気信号は生じず、制御装置28には送信されない。このような透過式の光学式センサーによっても、前記と同様に、シートSの剛度に応じて変化する端部101の位置を検出すること、すなわちセンサー331の位置に対し、端部101が搬送方向Vの上流側に位置しているか、下流側に位置しているかを検出することができ、よって、シートSの剛度を検出することができる。
【0111】
本実施形態では、判定部281Aは、検出されたシートSの剛度について、「シートSの剛度が大きい」と、「シートSの剛度が小さい」の2段階でランク付けする。
【0112】
例えば、判定部281Aが、シートSの剛度が大きいと判断した場合、検出した剛度に対応するシートSを合格品とし、シートSの剛度が小さいと判断した場合、検出した剛度に対応するシートSを不合格品(不良品)とすることができる。逆に、判定部281Aが、シートSの剛度が大きいと判断した場合、検出した剛度に対応するシートSを不合格品(不良品)とし、シートSの剛度が小さいと判断した場合、検出した剛度に対応するシートSを合格品とすることもできる。
【0113】
シートSの合格および不合格に関する情報は、検出した剛度に対応するシートSと対応付けて記憶部282に記憶してもよい。
【0114】
また、不合格品とされたシートSは、例えば、搬送部32を通過後、作業者によって取り除かれてもよい。この場合、不合格品とされたシートSに、それを認識するためのマーカーや、切れ込み等の特徴を付与することもできる。
【0115】
このように、剛度検出装置3を用いて剛度を検出することにより、製造したシートSの剛度を知ることができる。特に、搬送中のシートSの剛度を検出することにより、搬送を停止したり、搬送速度を大幅に減速したりすることなく、シートSの製造過程において剛度を検出することができる。よって、シートSの生産性(単位時間当たりの生産量)に悪影響を与えることなく、すなわち目的とする生産性を維持しつつ、シートSの剛度を検出することができる。そして、検出したシートSの剛度または該剛度に応じた判定結果、例えばシートSの合否判定やランク付けのような判定結果に基づいて、種々の判断や対応を行うことができる。
【0116】
図示の構成と異なるが、検出部33は、前述したようなセンサー331を搬送方向Vに沿って複数並べて設置した構成としてもよい。この場合は、各センサー331は、それぞれ、制御装置8と電気的に接続されており、各センサー331から送信される信号の組み合わせにより、シートSの剛度を3段階以上の多段階にランク付けすることができる。
【0117】
また、上記のような検出部33による剛度の検出は、成形部20を経たシートSの搬送方向Vの全域に連続的に実施する構成であってもよく、間欠的に実施する構成であってもよい。連続的に実施する場合、剛度の検出を行った領域が、切断後のどのシートSであるかを特定する。この特定は、例えば、搬送ローラー321のモーターに設置されたエンコーダーのエンコーダー値に基づいてなされる。
【0118】
成形部20を経たシートSの搬送方向Vの全域に対し、剛度の検出を間欠的に実施する場合、まず、上記のように、押付部31による押し付けを行いつつ剛度を検出する。検出し終わったら、押付部31による押し付けを解除し、シートSを所定長さ、例えば、切断後の1枚分のシートSの長さだけ搬送を行う。その後、再度、押付部31による押し付けを行いつつ剛度を検出する。このような処理を繰り返すことにより、間欠的に剛度の検出を実施することができる。
【0119】
図4図5および図6に示すように、検出部33は、シートSの端部101を案内する案内部334を有する。案内部334は、一対の案内板335で構成されている。一対の案内板335は、搬送方向Vにおいて、センサー331と押付部31との間に設けられている。案内板335は、シートSの一方の面側および他方の面側にそれぞれ設けられている。両案内板335の間をシートSが通過する。
【0120】
押付状態において、シートSの端部101またはシートSの端部101付近は、両案内板335の間に入り、これらにより適正な方向へ、すなわち搬送方向Vへ誘導され、円滑に移動することができる。例えば、シートSの剛度が小さ過ぎる場合、シートSの端部101付近が自重で下方に湾曲するように撓んでしまい、シートSの端部101の位置を正確に検出することが難しくなるおそれがある。逆に、シートSの剛度が大き過ぎる場合、押付部31の押し付けにより最も上流側にある第2ローラー311Bにより上流側のシートSが斜め上方に向けて傾斜し、シートSの端部101の位置を正確に検出することが難しくなるおそれがある。このようなことから、上下一対の案内板335を配置することにより、剛度検出の際、シートSの剛度に係わらず、シートSを搬送方向Vまたは搬送方向Vと平行な方向に保つことができ、また、端部101を検出部33の直近に円滑に誘導することができる。よって、シートSの端部101の位置をより正確に検出することができる。
【0121】
このように、検出部33は、シートSの搬送方向Vの下流側の端部101を案内する案内部334を有する。これにより、シートSの剛度に係わらず、シートSの剛度をより正確に検出することができる。
【0122】
図5および図6に示すように、一対の案内板335の離間距離は、搬送方向Vに沿って一定となっている。ただし、これに限らず、一対の案内板335は、それらの離間距離が上流側よりも下流側の方が大または小となるように、適宜傾斜して配置されていてもよい。また、一対の案内板335は、それらの離間距離が、搬送方向Vの中央部に対し、上流側が大となっている構成、下流側が大となっている構成、上流側および下流側の双方が大となっている構成のいずれを採ることもできる。これにより、シートSの端部101をより円滑に誘導し、案内することができる。
【0123】
なお、一対の案内板335のうち、シートSの上面側または下面側に位置する案内板335は、省略されていてもよく、双方の案内板335が省略されていてもよい。
【0124】
以上説明したように、剛度検出装置3は、繊維を含む材料の解繊物M3を加圧成形してシートSを製造するシート製造装置100に設けられ、シートSの剛度を検出するものである。また、剛度検出装置3は、シートSを搬送する搬送部32と、搬送部32により搬送されているシートSに対し、シートSの搬送方向Vと交わる方向から押し付けてシートSを変形させる押付部材としての第1ローラー311Aおよび第2ローラー311Bを有する押付部31と、変形したことにより搬送方向Vに移動したシートSの定められた位置、本実施形態では、シートSの端部101の位置を検出するセンサー331を有する検出部33と、センサー331の検出値に基づいて、シートSの剛度を判定する判定部281Aと、を備える。これにより、搬送を停止したり、搬送速度を大幅に減速したりすることなく、シートSの製造過程において剛度を検出することができる。よって、シートSの生産性に悪影響を与えることなく、シートSの剛度を検出または判定することができる。
【0125】
また、センサー331は、光学式センサーである。これにより、簡易な構成で、シートSの定められた位置を容易に、正確に検出することができる。
【0126】
なお、本実施形態では、シートSの定められた位置の一例として、シートSの上流側の端部101である場合について説明したが、本発明ではこれに限定されない。シートSの定められた位置としては、例えば、シートSに設けられた切れ込み、孔、折り目、シートSに付されたマーカー等であってもよい。いずれの場合であっても、上記と同様にシートSの剛度を判定することができ、同様の効果を発揮する。
【0127】
また、押付部31は、押付部材として、シートSの一方の面側に設けられた少なくとも1つ、本実施形態では、2つ、の第1ローラー311Aと、シートSの他方の面側に設けられた少なくとも1つ、本実施形態では、3つ、の第2ローラー311Bと、を有する。また、第1ローラー311Aと第2ローラー311Bとは、シートSの、搬送方向Vにずれた位置を押し付ける。これにより、シートSの定められた位置である端部101をシートSの剛度に応じてより確実に移動させることができる。その結果、端部101の位置を正確に検出することができ、シートSの剛度をより正確に検出または判定することができる。
【0128】
また、本実施形態では、押付部材として、第1ローラー311A、第2ローラー311Bのようなローラーである場合について説明したが、本発明ではこれに限定されず、押付部材は、例えば、板状の部材、棒状の部材、球状の部材等であってもよい。
【0129】
また、シート製造装置100は、解繊物M3、詳しくは解繊物M3の堆積物である第2ウェブM8を加圧成形する成形部20と、成形部20により成形された帯状のシートSを切断する切断部21と、を有する。そして、シートSの定められた位置は、切断部21により切断されたシートSの搬送方向上流側の端部101である。これにより、シートSの剛度をより正確に検出または判定することができる。また、定められた位置として、シートSに対し切れ込み、孔、折り目を形成したり、マーカーを付したりすることを省略することができる。よって、簡単な構成によりシートSの剛度を検出または判定することができる。
【0130】
なお、本実施形態では、剛度検出装置3が、切断部21とストック部22との間に設けられている場合について説明したが、剛度検出装置3のシート製造装置100に対する設置位置はこれに限定されず、例えば、剛度検出装置3は、成形部20と切断部21との間に設けられていてもよい。この場合、例えばシートSに切れ込み等やマーカー等を設け、これらをシートSの定められた位置として、剛度を検出することができる。
【0131】
また、搬送部32の搬送速度は、成形部20から供給されるシートSの搬送速度と実質的に同じである。また、搬送部32の搬送速度は、切断部21を搬送されるシートSの搬送速度と実質的に同じであるのが好ましい。これにより、シートSの剛度の検出の際、両者の搬送速度差を解消するバッファーを設けることなく、シートSの剛度を検出または判定することができる。
【0132】
また、判定部281Aは、シートSの剛度を複数段階、本実施形態では、2段階、でランク付けする。これにより、判定部281Aでの判定結果を容易に把握することができる。その結果、判定結果を利用して種々の判断や対応を行うのに有利となる。
【0133】
なお、上記構成に限定されず、判定部281Aは、シートSの剛度を3段階以上の多段階でランク付けする構成であってもよく、また、シートSの剛度の実数を算出する構成であってもよい。
【0134】
判定部281AがシートSの剛度を3段階以上の多段階でランク付けする場合としては、次のような例が挙げられる。
【0135】
検出部33は、1つの発光素子と、シートSの搬送経路を挟んで前記発光素子と対向して配置され、搬送方向Vに沿って設置された複数の受光素子(受光素子アレイ)と、を有するセンサー331備え、各受光素子から送信される信号の組み合わせにより、端部101の位置を多段階で把握し、シートSの剛度を多段階にランク付けすることができる。
【0136】
また、検出部33は、シートSの搬送方向Vに沿って設置された複数の発光素子(発光素子アレイ)と、シートSの搬送経路を挟んで前記各発光素子とそれぞれ対向して配置された複数の受光素子(受光素子アレイ)と、を有するセンサー331備え、各受光素子から送信される信号の組み合わせにより、端部101の位置を多段階で把握し、これにより、シートSの剛度を多段階にランク付けすることができる。
【0137】
また、検出部33は、その外周面がシートSの表面と接触し、シートSの搬送に伴って回転する従動ローラーと、該従動ローラーに設置され、従動ローラーの回転数または回転角度を検出するロータリーエンコーダーとを備え、判定部281Aは、制御装置28が取得したロータリーエンコーダーからの信号に基づいて、端部101の位置を多段階で把握し、これにより、シートSの剛度を多段階にランク付けすることができる。
【0138】
以上、本発明の剛度検出装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、剛度検出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、剛度検出装置には、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0139】
また、シート製造装置100では、原料供給部11および粗砕部12が省略されていてもよい。この場合、シート製造装置100は、原料供給部11および粗砕部12に代えて、粗砕片を供給する粗砕片供給部を備える。
【0140】
また、本発明の剛度検出装置が適用されるシート製造装置は、実施形態で示した、図1に示す構成のシート製造装置100に限定されず、繊維を含む材料の解繊物を加圧成形してシートを製造するシート製造装置であれば、いかなる構成のものであってもよい。
【符号の説明】
【0141】
3…剛度検出装置、11…原料供給部、12…粗砕部、13…解繊部、14…選別部、15…第1ウェブ形成部、16…細分部、17…混合部、18…分散部、19…第2ウェブ形成部、20…成形部、21…切断部、22…ストック部、27…回収部、28…制御装置、31…押付部、32…搬送部、33…検出部、100…シート製造装置、101…端部、121…粗砕刃、122…シュート、141…ドラム部、142…ハウジング部、151…メッシュベルト、152…張架ローラー、153…吸引部、161…プロペラ、162…ハウジング部、170…ハウジング部、171…添加剤供給部、172…管、173…ブロアー、174…スクリューフィーダー、181…ドラム、182…ハウジング、191…メッシュベルト、192…張架ローラー、193…吸引部、201…加圧部、202…加熱部、203…カレンダーローラー、204…加熱ローラー、211…第1カッター、212…第2カッター、231…加湿部、232…加湿部、233…加湿部、234…加湿部、235…加湿部、236…加湿部、241…管、242…管、243…管、244…管、245…管、246…管、261…ブロアー、262…ブロアー、263…ブロアー、281…制御部、281A…判定部、281B…駆動制御部、282…記憶部、283…通信部、311A…第1ローラー、311B…第2ローラー、312A…第1支持部、312B…第2支持部、313A…第1移動機構、313B…第2移動機構、315…回転軸、316…回転軸、321…搬送ローラー、331…センサー、332…出射部、333…受光部、334…案内部、335…案内板、A…矢印、B…矢印、L…出射光、LL…反射光、M1…原料、M2…粗砕片、M3…解繊物、M4-1…第1選別物、M4-2…第2選別物、M5…第1ウェブ、M6…細分体、M7…混合物、M8…第2ウェブ、P1…結着剤、S…シート、V…搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6