IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-データ通信装置 図1
  • 特開-データ通信装置 図2
  • 特開-データ通信装置 図3
  • 特開-データ通信装置 図4
  • 特開-データ通信装置 図5
  • 特開-データ通信装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142632
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】データ通信装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054855
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】小西 達也
(72)【発明者】
【氏名】澤 明香利
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF07
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181MC04
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】データ解析等に適したプローブデータを生成する。
【解決手段】データ通信装置10は、カメラ12およびレーダ13から、物標の挙動に関する物理量を含むセンサデータを第1周期で取得する取得部111と、取得部111により取得されたセンサデータに基づきプローブデータを生成する生成部112と、生成部112により生成されたプローブデータを第1周期よりも長い第2周期で送信する送信部113と、を備える。生成部112は、第2周期の間に取得部111により第1周期で取得された複数のセンサデータのそれぞれに含まれる物理量の差分値を算出し、算出した差分値に基づき生成した物標の挙動を示す挙動情報を、プローブデータに格納する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の物標を検出する車載センサと、
前記車載センサから、前記物標の挙動に関する物理量を含むセンサデータを第1周期で取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記センサデータに基づきプローブデータを生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記プローブデータを前記第1周期よりも長い第2周期で送信する送信部と、を備え、
前記生成部は、前記第2周期の間に前記取得部により前記第1周期で取得された複数の前記センサデータのそれぞれに含まれる前記物理量の差分値を算出し、算出した前記差分値に基づき生成した前記物標の挙動を示す挙動情報を、前記プローブデータに格納することを特徴とするデータ通信装置。
【請求項2】
請求項1記載のデータ通信装置において、
前記生成部は、前記第2周期の間に前記取得部により前記第1周期で取得された前記複数の前記センサデータに、第1センサデータと、該第1センサデータの次に取得された第2センサデータと、該第2センサデータの次に取得された第3センサデータとが含まれるとき、前記第1センサデータに含まれる前記物理量と、前記第1センサデータに含まれる前記物理量から前記第2センサデータに含まれる前記物理量を差し引いて得られる前記差分値と、前記第1センサデータに含まれる前記物理量から前記第2および第3センサデータに含まれる前記物理量を差し引いて得られる前記差分値とに基づいて、前記第2周期の間の前記物標の挙動を示す前記挙動情報を生成し、該挙動情報を前記プローブデータに格納することを特徴とするデータ通信装置。
【請求項3】
請求項1記載のデータ通信装置において、
前記車載センサにより複数の物標が検出されたとき、前記複数の物標それぞれに対応した前記センサデータに基づいて、前記複数の物標それぞれに対する優先度を算出する優先度算出部をさらに備え、
前記生成部は、前記優先度算出部により算出された前記優先度に従って前記複数の物標から所定数の物標を抽出し、前記第2周期の間における前記所定数の物標それぞれの挙動を示す前記挙動情報を生成し、前記所定数の物標それぞれに対応した前記挙動情報を前記プローブデータに格納することを特徴とするデータ通信装置。
【請求項4】
請求項1記載のデータ通信装置において、
前記車載センサにより複数の物標が検出されたとき、前記複数の物標それぞれに対応した前記センサデータに基づいて、前記複数の物標それぞれに対する優先度を算出する優先度算出部をさらに備え、
前記生成部は、前記第2周期の間における前記複数の物標それぞれの挙動を示す前記挙動情報を生成し、前記複数の物標それぞれに対応した前記挙動情報を、前記優先度算出部により算出された前記優先度に従った順で前記プローブデータに格納することを特徴とするデータ通信装置。
【請求項5】
請求項3または4記載のデータ通信装置において、
前記優先度算出部は、前記取得部により取得された前記センサデータに含まれる前記物標の位置情報に基づき前記優先度を算出することを特徴とするデータ通信装置。
【請求項6】
請求項1記載のデータ通信装置において、
前記生成部は、前記第1周期ごとに、前記物標の種別と前記物標を検出した前記車載センサの識別情報とを示すステータス情報と、前記ステータス情報に変更があったか否かを示す更新フラグとを生成し、前記ステータス情報と前記更新フラグとを前記プローブデータにさらに格納し、
前記生成部はさらに、前記更新フラグが前記ステータス情報に変更がないことを示すとき、前記プローブデータに前記ステータス情報を格納しないことを特徴とするデータ通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブデータを送信するデータ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プローブカーなどの移動体から受信した位置情報などのセンサデータを、記憶手段に蓄積するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、記憶容量を抑制するように、移動体から受信したセンサデータの中から、移動体の速さに応じて決定したサンプリング周期に基づいて記憶対象とするセンサデータを抽出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2011-192198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置のようにサンプリング周期を変更するようにしたのでは、データ解析等に必要な情報を精度よく取得できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様であるデータ通信装置10は、車両の周囲の物標を検出する車載センサと、車載センサから、物標の挙動に関する物理量を含むセンサデータを第1周期で取得する取得部と、取得部により取得されたセンサデータに基づきプローブデータを生成する生成部と、生成部により生成されたプローブデータを第1周期よりも長い第2周期で送信する送信部と、を備える。生成部は、第2周期の間に取得部により第1周期で取得された複数のセンサデータのそれぞれに含まれる物理量の差分値を算出し、算出した差分値に基づき生成した物標の挙動を示す挙動情報を、プローブデータに格納する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、データ解析等に適したプローブデータを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置を備えるシステムの構成の一例を示す図。
図2】本発明の実施形態に係るデータ通信装置の要部構成を示すブロック図。
図3】プローブデータのデータ構造の一例を示す図。
図4】センサ物標プローブ情報の一例を示す図。
図5】PF物標プローブ情報の一例を示す図。
図6図2の演算部で実行される処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図6を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る車載装置(以下、データ通信装置と呼ぶ。)を備えるシステムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、システム1は、データ通信装置10と、サーバ装置30とを備える。データ通信装置10は、車両20に搭載される。車両20には、複数の車両20-1,20-2,・・・,20-nが含まれる。なお、車両20は、手動運転車両であってもよいし、自動運転車両であってもよい。また、車両20には、車種やグレードが異なる車両が含まれていてもよい。データ通信装置10は、通信網2を介してサーバ装置30と通信可能に構成される。データ通信装置10は、車両20に搭載された各種センサにより検出された情報(以下、センサデータと呼ぶ。)に基づき生成したプローブデータを、通信網2を介してサーバ装置30に送信する。サーバ装置30は、車両20から送信されるプローブデータを収集してデータ解析を行う。サーバ装置30は、データ解析の結果を用いて、例えば、車両20が走行する道路の渋滞状況などを示す交通情報を認識したり車両20の外界状況を認識したりする。さらに、サーバ装置30は、その認識結果をユーザに提供(配信)する。
【0009】
通信網2には、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網だけでなく、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。
【0010】
図2は、本実施形態に係るデータ通信装置10の要部構成を示すブロック図である。データ通信装置10は、電子制御ユニット(ECU)11と、カメラ12と、レーダ13と、MPU(Map Positioning Unit)14とを有する。
【0011】
カメラ12は、CCDやCMOS等の撮像素子(イメージセンサ)を有する単眼カメラまたはステレオカメラである。カメラ12は、例えば車両20の前部の所定位置に取り付けられ、車両20の前方空間を連続的に撮像して対象物の画像を取得する。対象物には、車両20の周辺の静止物や移動体等が含まれる。静止物には障害物等が含まれる。移動体には、他車両、より詳細には、車両20の前方を走行する車両(以下、前方車両と呼ぶ。)や、対向車線を走行する車両(以下、対向車両と呼ぶ。)が含まれる。また、移動体には、歩行者が含まれる。カメラ12は、撮像画像をセンサデータとしてECU11に出力する。レーダ13は、車両20に搭載され、電磁波を照射し反射波を検出することで上記対象物を検出する。レーダ13は、検出値(センサデータ)をECU11に出力する。
【0012】
MPU14は、通信網2を介してサーバ装置30等を含む外部の装置と通信可能に構成される。MPU14は、地図配信サーバ(不図示)から送信される最新の地図情報を受信すると、受信した最新の地図情報で記憶装置(不図示)に記憶された地図情報を更新する。
【0013】
図2に示すように、ECU11は、CPU等の演算部110と、ROM、RAM等の記憶部120と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。演算部110は、予め記憶部120に記憶されたプログラムを実行することで、取得部111、生成部112、および、送信部113として機能する。なお、MPU14が、ROM、RAM等の記憶部(不図示)を有する場合には、上記地図情報は、MPU14の記憶部に記憶されてもよい。
【0014】
取得部111は、カメラ12およびレーダ13のそれぞれから出力されるセンサデータを、予め定められたサンプリング周期SCで取得する。センサデータには、対象物(以下、物標とも呼ぶ。)の挙動に関する物理量を含む。挙動に関する物理量には、物標の車両20に対する相対位置、より詳細には、縦位置(車両20の進行方向における相対位置)と横位置(車両20の車幅方向の相対位置)とが含まれる。
【0015】
生成部112は、取得部111により取得されたカメラ12およびレーダ13のセンサデータに基づいて、プローブデータを生成する。図3は、プローブデータのデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、プローブデータは、物標情報と、M個のPF(Perception Fusion)物標プローブ情報と、N個のセンサ物標プローブ情報とが含まれる。物標情報には、カメラ12およびレーダ13により検出された物標の数などが含まれる。PF物標プローブ情報は、カメラ12およびレーダ13のセンサデータを融合して生成された情報である。PF物標プローブ情報については後述する。
【0016】
センサ物標プローブ情報は、カメラ12およびレーダ13のいずれかのセンサデータに基づき生成された情報である。センサ物標プローブ情報には、該プローブ情報がカメラ12およびレーダ13のいずれのセンサデータに基づき生成されたかを示す情報(センサ物標ステータス情報)と、センサデータに基づき得られた物標の物理量(縦位置、横位置、および縦速度)とが含まれる。物標の縦速度は、物標の車両20に対する絶対速度である。なお、生成部112は、物標の各物理量を各物理量に対応した分解能に従って量子化して、量子化後の各物理量をセンサ物標プローブ情報に格納する。図4は、センサ物標プローブ情報#1~#Nの一例を示す図である。センサ物標プローブ情報は、後述する送信周期TCごとに、取得部111により取得されたカメラ12およびレーダ13の最新のセンサデータに基づき生成される。
【0017】
送信部113は、サーバ装置30と通信可能に接続されたMPU14を介して、生成部112により生成されたプローブデータを予め定められた送信周期TCでサーバ装置30へ送信する。送信周期TCは、サンプリング周期SCよりも長い周期である。
【0018】
ここで、PF物標プローブ情報について説明する。説明の簡略化のため、車両20の周囲に物標が1つのみ存在する場合を例にして説明する。生成部112は、カメラ12およびレーダ13のセンサデータに基づいてカメラ12およびレーダ13により物標が検出されているか否かを判定し、その判定結果を示す情報(以下、ロストフラグと呼ぶ。)をPF物標プローブ情報に格納する。また、生成部112は、カメラ12およびレーダ13により物標が検出されているとき、その物標が新規に検出された(前回のサンプリングで検出されていない)物標であるか否かを判定し、その判定結果を示す情報(以下、新規フラグと呼ぶ。)をPF物標プローブ情報に格納する。また、生成部112は、カメラ12およびレーダ13により物標が検出されているとき、カメラ12およびレーダ13のセンサデータから物標の種別を認識する。物標の種別は、静止物、移動物、歩行者、対向車等である。生成部112は、さらに、移動物や対向車の分類、例えば、バイク、乗用車、トラック、自転車等を認識してもよい。
【0019】
カメラ12およびレーダ13により物標が検出されているとき、生成部112は、取得部111により取得されたカメラ12およびレーダ13のセンサデータから、物標の縦位置、横位置および縦速度を読み出す。このとき、生成部112は、カメラ12およびレーダ13のうち各物理量(縦位置、横位置、および縦速度)に対する検出精度がより高い方のセンサデータから、各物理量を読み出す。例えば、横位置の検出精度がレーダ13よりもカメラ12の方が高い場合には、カメラ12のセンサデータから物標の横位置を読み出す。また例えば、縦位置の検出精度がカメラ12よりもレーダ13の方が高い場合には、レーダ13のセンサデータから物標の縦位置を読み出す。
【0020】
生成部112は、取得部111によりサンプリング周期SCでカメラ12およびレーダ13のセンサデータが取得されるごとに、センサデータから上記のようにして読み出した各物理量と、各物理量を検出したセンサの種別(カメラ12またはレーダ13)とセンサデータに基づき認識した物標の種別(分類)を示す情報(以下、PF物標ステータス情報と呼ぶ。)と、PF物標ステータス情報が更新されたか否かを示す情報(以下、ステータス更新フラグまたは単に更新フラグと呼ぶ。)と、を含む物理量データを生成する。生成部112は、生成した物理量データをPF物標プローブ情報に格納する。図5は、PF物標プローブ情報#1~#Mの一例を示す図である。単一のPF物標プローブ情報に格納される物理量データの数は、送信周期TCの長さに応じて決定される。図5に示す例では、PF物標プローブ情報#1~#Mのそれぞれに、5つの物理量データが順に格納されている。すなわち、図5には、サンプリング周期SCが送信周期TCの5分の1であるときの例が示されている。図5の物理量データ#1~#5は、PF物標プローブ情報#1に格納された物理量データを表す。以下では、物理量データ#1~#5のうち物理量データ#1が最初に得られたデータであり、物理量データ#5が最後に得られたデータである。
【0021】
生成部112は、PF物標プローブ情報に格納する物理量データを以下のようにして生成する。まず、生成部112はセンサデータから得られた物理量(縦位置、横位置、および縦速度)を圧縮および量子化する。そして、生成部112は、圧縮および量子化された物理量を物理量データに格納する。ここで、物理量の圧縮および量子化について説明する。以下では、物理量データ#1~#5に格納される物理量を、物理量#1~#5と記す。また、物理量データ#1~#5に格納されるPF物標ステータス情報を、PF物標ステータス情報#1~#5と記す。また、物理量データ#1~#5に格納される更新フラグを、更新フラグ#1~#5と記す。さらに、物理量データ#1~#5の生成に用いられたセンサデータを、センサデータ#1~#5と記す。
【0022】
まず、生成部112は、物理量#1を分解能に従って量子化する。例えば、横位置の分解能が0.5[m]であって物理量#1の横位置が100.6[m]であるとき、量子化後の横位置は、100.6[m]/0.5[m]=201(小数点以下丸め込み)となる。次いで、生成部112は、物理量#2~#5を圧縮して分解能に従って量子化する。具体的には、生成部112は、物理量#1から物理量#2を減算して得られる差分値を分解能に従って量子化する。例えば、物理量#2の横位置が90.3[m]であるとき、量子化後の物理量#2の横位置は、10.3(=100.6-90.3)[m]/0.5[m]=20(小数点以下丸め込み)となる。同様に、生成部112は、物理量#1から物理量#2,#3を減算して得られる差分値を分解能に従って量子化する。同様に、生成部112は、物理量#1から物理量#2~#4を減算して得られる差分値を分解能に従って量子化する。同様に、生成部112は、物理量#1から物理量#2~#5を減算して得られる差分値を分解能に従って量子化する。生成部112は、このようにして得られた量子化後の物理量#1~#5を、物理量データ#1~#5に格納する。量子化後の物理量#1~#5は、送信周期TCの間の物標の挙動を示す。
【0023】
また、生成部112は、物理量データ#1~#5に格納する、PF物標ステータス情報#1~#5と更新フラグ#1~#5とを生成する。まず、生成部112は、送信周期TCの間にサンプリング周期SCで取得された各センサデータに基づき物標の種別を認識し、各センサデータのそれぞれの物標の認識結果を含むPF物標ステータス情報#1~#5を生成する。
【0024】
生成部112は、物理量データ#N(N=2,3,・・・,5)にPF物標ステータス情報#Nと更新フラグ#Nとを格納するとき、まず、PF物標ステータス情報#NがPF物標ステータス情報#N-1と異なるか否かを判定する。PF物標ステータス情報#NとPF物標ステータス情報#N-1が異なるとき、生成部112は、1が設定された更新フラグ#Nを物理量データ#Nに格納する。一方、PF物標ステータス情報#NとPF物標ステータス情報#N-1が同じであるとき、生成部112は、0が設定された更新フラグ#Nを物理量データ#Nに格納する。なお、更新フラグ#1には0が設定される。
【0025】
次いで、生成部112は、更新フラグ#Nが1であるとき、PF物標ステータス情報#Nを物理量データ#Nに格納する。一方、更新フラグ#Nが0であるとき、PF物標ステータス情報#Nを物理量データ#Nに格納しない。なお、物理量データ#1には、更新フラグ#1の値によらずにPF物標ステータス情報#1が格納される。
【0026】
このように、PF物標プローブ情報に格納される物理量データ#1~#5を圧縮することで、PF物標プローブ情報のデータ容量を不要に増大させることなく、PF物標プローブ情報にデータ解析等に必要とされる情報を含ませることができる。なお、PF物標プローブ情報のデータ容量が低減されたことにより得られた、プローブデータの空き領域をセンサ物標プローブ情報の格納領域として使用してもよい。
【0027】
車両20の周囲に物標が複数存在していて、カメラ12およびレーダ13により複数の物標が検出された場合、取得部111により取得されたセンサデータには複数の物標に対応した物理量が含まれる。この場合、生成部112は、センサデータから複数の物標に対応した物理量をそれぞれ読み出す。そして、生成部112は、複数の物標のそれぞれに対応したPF物標プローブ情報およびセンサ物標プローブ情報を生成し、それらをプローブデータに格納する。なお、カメラ12およびレーダ13により検出された複数の物標の中に既にPF物標プローブ情報およびセンサ物標プローブ情報が生成されている物標が含まれるときには、その物標に対応する物理量は、その物標に対応した既存のPF物標プローブ情報およびセンサ物標プローブ情報に格納される。
【0028】
なお、カメラ12およびレーダ13によりM個を超える複数の物標が検出された場合、生成部112は、PF物標プローブ情報に格納する物標を決定するための優先度(以下、PF物標優先度と呼ぶ。)を算出する。生成部112は、PF物標優先度に従って、複数の物標からPF物標優先度が高いM個の物標を抽出し、抽出したM個の物標のそれぞれに対応したPF物標プローブ情報を生成する。PF物標優先度は、物標の位置情報(横位置と縦位置)に基づき算出される。より詳細には、PF物標優先度は、横位置と縦位置の値が小さいほど高くなるように算出される。PF物標優先度を算出するとき、生成部112は、物標の横位置の値が所定値以上の場合に、横位置が大きくなるにつれてPF物標優先度を段階的に低くするような係数を横位置に乗算してもよい。また、生成部112は、カメラ12およびレーダ13のセンサデータに基づき複数の物標のそれぞれの検出に対する信頼度を算出して、その信頼度が大きいほどPF物標優先度が高くなるような係数をPF物標優先度に乗算してもよい。
【0029】
また、カメラ12およびレーダ13によりN個を超える複数の物標が検出された場合、生成部112は、センサ物標プローブ情報に格納する物標を決定するための優先度(以下、センサ物標優先度と呼ぶ。)を算出する。生成部112は、センサ物標優先度に従って、複数の物標からセンサ物標優先度が高いN個の物標を抽出し、抽出したN個の物標のそれぞれに対応したセンサ物標プローブ情報を生成する。センサ物標優先度は、PF物標優先度と同様に、物標の位置情報(横位置と縦位置)に基づき算出される。センサ物標優先度を算出するとき、生成部112は、PF物標優先度と同様に、物標の横位置の値が所定値以上の場合に、横位置が大きくなるにつれて段階的にセンサ物標優先度が高くなるような係数を横位置に乗算してもよい。また、センサ物標優先度は、例えば、カメラ12およびレーダ13のセンサデータに物標の存在確率を示す情報が含まれるとき、その存在確率が高いほどセンサ物標優先度が高くなるような係数をセンサ物標優先度に乗算してもよい。
【0030】
図6は、予め定められたプログラムに従いデータ通信装置10の演算部110(CPU)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、サンプリング周期SCで繰り返される。まず、ステップS11で、カメラ12およびレーダ13のそれぞれから出力されるセンサデータを取得する。ステップS12で、ステップS11で取得されたセンサデータを記憶部120の所定領域(リングバッファ等)に記憶する。ステップS13で、送信周期TCに基づきプローブデータの送信タイミングであるか否かを判定する。ステップS13で否定されと、処理を終了する。ステップS13で肯定されると、ステップS14で、所定領域に格納された各センサデータ、すなわち、送信周期TCの間にサンプリング周期SCで取得された各センサデータ(上記センサデータ#1~#5)に基づいて、物理量データ(上記物理量データ#1~#5)を生成する。ステップS15で、ステップS15で生成した物理量データを格納したPF物標プローブ情報を生成する。ステップS16で、所定領域に最後に格納されたセンサデータ、すなわち最新のセンサデータに基づき、センサ物標プローブ情報を生成する。ステップS17で、ステップS15で生成したPF物標プローブ情報と、ステップS16生成したセンサ物標プローブ情報とを格納した出力データ(プローブデータ)を生成する。ステップS18で、MPU14を介して出力データを送信する。
【0031】
本発明の実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)データ通信装置10は、車両20の周囲の物標を検出する車載センサ(カメラ12,レーダ13)と、車載センサから物標の挙動に関する物理量を含むセンサデータを第1周期(サンプリング周期SC)で取得する取得部111と、取得部111により取得されたセンサデータに基づきプローブデータを生成する生成部112と、生成部112により生成されたプローブデータを第1周期よりも長い第2周期(送信周期TC)で送信する送信部113と、を備える。生成部112は、第2周期の間に取得部111により第1周期で取得された複数のセンサデータのそれぞれに含まれる物理量の差分値を算出し、算出した差分値に基づき生成した物標の挙動を示す挙動情報(圧縮および量子化された物理量#1~#5)を、プローブデータに格納する。これにより、サンプリング周期SCで取得されたセンサデータを効率的にプローブデータに格納できる。その結果、データ解析等により適したプローブデータを出力できる。また、送信周期をサンプリング周期に合わせて短くすることなくデータ解析等に適したプローブデータをサーバ装置30側に送信できるので、不要にサーバ装置30との間の通信負荷を増大させることがない。また、効率的に圧縮されたプローブデータを出力することでサーバ装置30側の記憶容量の増大を抑制できる。
【0032】
(2)生成部112は、第2周期の間に取得部111により第1周期で取得された複数のセンサデータに、第1センサデータ(センサデータ#1)と、該第1センサデータの次に取得された第2センサデータ(センサデータ#2)と、該第2センサデータの次に取得された第3センサデータ(センサデータ#3)とが含まれるとき、第1センサデータに含まれる物理量と、第1センサデータに含まれる物理量から第2センサデータに含まれる物理量を差し引いて得られる差分値と、第1センサデータに含まれる物理量から第2および第3センサデータに含まれる物理量を差し引いて得られる差分値とに基づいて、第2周期の間の物標の挙動を示す挙動情報を生成し、該挙動情報をプローブデータに格納する。これにより、効率的なデータ圧縮が実現できる。
【0033】
(3)生成部112は、取得部111により取得されたセンサデータに含まれる物標の位置情報に基づき物標に対する優先度を算出する。車載センサにより複数の物標が検出されたとき、生成部112は、複数の物標それぞれに対応したセンサデータに基づいて、複数の物標それぞれに対する優先度を算出する。生成部112は、算出した優先度に従って複数の物標から所定数の物標を抽出し、第2周期の間における所定数の物標それぞれの挙動を示す挙動情報を生成し、所定数の物標それぞれに対応した挙動情報をプローブデータに格納する。これにより、優先度の高い物標の情報が優先してプローブデータに格納されるので、データ解析等により適したプローブデータを出力できる。
【0034】
(4)生成部112は、第1周期ごとに、物標の種別と物標を検出した車載センサの識別情報とを示すステータス情報と、ステータス情報に変更があったか否かを示す更新フラグとを生成し、ステータス情報と更新フラグとをプローブデータにさらに格納する。生成部112はさらに、更新フラグがステータス情報に変更がないことを示すとき、プローブデータにステータス情報を格納しない。これにより、プローブデータのデータサイズを低減できる。
【0035】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。
【0036】
上記実施形態では、優先度算出部としての生成部112が、車載センサにより複数の物標が検出されたとき、複数の物標それぞれに対応したセンサデータに含まれる物標の位置情報に基づいて、複数の物標それぞれに対する優先度を算出するようにした。また、生成部112は、算出した優先度に従って複数の物標から所定数の物標を抽出し、第2周期の間における所定数の物標それぞれの挙動を示す挙動情報を生成し、所定数の物標それぞれに対応した挙動情報をプローブデータに格納するようにした。しかしながら、生成部は、第2周期の間における複数の物標それぞれの挙動を示す挙動情報を生成し、複数の物標それぞれに対応した挙動情報を、優先度算出部により算出された優先度に従った順でプローブデータに格納してもよい。これにより、優先度の高い物標の情報が優先してプローブデータに格納されるので、データ解析等により適したプローブデータを出力できる。
【0037】
また、上記実施形態では、送信部113が、サーバ装置30と通信可能に接続されたMPU14を介して生成部112により生成されたプローブデータを送信するようにした。しかしながら、データ通信装置10が通信ユニット等を備える場合には、通信ユニットを介して生成部112により生成されたプローブデータを送信してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、取得部111が、車載センサとしてのカメラ12およびレーダ13のそれぞれから出力されるセンサデータを取得するようにした。しかしながら、車両20がライダを搭載する場合には、取得部は、ライダの検出値(センサデータ)を取得してもよい。さらに、上記実施形態では、車両20に搭載されたデータ通信装置10を例として示したが、データ通信装置は、車両以外の移動体に搭載されてもよい。
【0039】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の一つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 データ通信装置、11 ECU、12 カメラ、13 レーダ、14 MPU、20,20-1~20-n 車両、30 サーバ装置、110 演算部、111 取得部、112 生成部、113 送信部、120 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6