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特開2024-14264歯科用エアタービンハンドピースの制御システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014264
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】歯科用エアタービンハンドピースの制御システム
(51)【国際特許分類】
   A61C 1/05 20060101AFI20240125BHJP
   A61C 1/08 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61C1/05 A
A61C1/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116961
(22)【出願日】2022-07-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 通三
(72)【発明者】
【氏名】熊地 智
(72)【発明者】
【氏名】川原 恒夫
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA13
4C052BB03
4C052CC02
4C052CC11
4C052EE05
4C052GG02
4C052GG09
4C052GG21
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で既存の歯科用エアタービンハンドピースにも適用でき、切削負荷変動が生じてもタービン羽根の回転に関する特性をより良好に制御できる歯科用エアタービンハンドピースの制御システムを提供する。
【解決手段】歯科用エアタービンハンドピースの制御システム1は、ホース先端装着部40内、または接続ホース50のホース先端装着部40側の端部における接続ホース50内に設けられ、外部排気チューブ52を流れる排出エア34の変動を検出する排出エア変動検出手段60と、排出エア34の変動に応じて外部給気チューブ51を流れる圧縮エア33の供給量を調整し、タービン羽根19の回転に関する特性としての回転速度の変動を抑えるようにしたエア流量調整手段70と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部給気チューブと外部排気チューブとを内装する接続ホースの先端に設けられたホース先端装着部に着脱可能に装着され、歯科診療ユニットの圧縮エア供給源から前記外部給気チューブを経て供給された圧縮エアによりタービン室に設けられたタービン羽根が回転駆動されるとともに、前記タービン室を経た前記圧縮エアを排出エアとして前記外部排気チューブに向けて排出する歯科用エアタービンハンドピースの制御システムであって、
前記ホース先端装着部内、または前記接続ホースの前記ホース先端装着部側の端部における前記接続ホース内に設けられ、前記外部排気チューブを流れる排出エアの変動を検出する排出エア変動検出手段と、
前記排出エアの変動に応じて前記外部給気チューブを流れる圧縮エアの供給量および供給圧の少なくとも一方を調整し、前記タービン羽根の回転に関する特性の変動を抑えるようにした供給エア調整手段と、
を備えることを特徴とする歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項2】
前記排出エア変動検出手段は、前記外部排気チューブの側面を覆うように配置されており、前記外部排気チューブの外形の変化を検出することで前記排出エアの変動を検出することを特徴とする請求項1に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項3】
前記排出エア変動検出手段は、前記外部排気チューブの外形の変化によって抵抗値が変動する変動抵抗を含むホイートストンブリッジ回路を有することを特徴とする請求項2に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項4】
前記排出エア変動検出手段は、
前記外部排気チューブの側面を覆う円筒の一部を構成する断面C字形状のC形状筒と、
前記C形状筒の内側面または外側面に設置され、前記ホイートストンブリッジ回路に含まれる4つの抵抗のうちの少なくとも一つを構成する前記変動抵抗としてのひずみゲージと、
を有することを特徴とする請求項3に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項5】
前記排出エア変動検出手段の径方向外側に位置する前記接続ホースの径方向外側に、前記排出エア変動検出手段を保護する円筒形状の保護筒が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項6】
前記排出エア変動検出手段は、前記外部排気チューブの外側面に貼付され、前記ホイートストンブリッジ回路に含まれる4つの抵抗のうちの少なくとも一つを構成する前記変動抵抗としてのひずみゲージを有することを特徴とする請求項3に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項7】
前記排出エア変動検出手段の径方向外側に位置する前記接続ホースの径方向外側に、前記排出エア変動検出手段を保護する円筒形状の保護筒が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項8】
前記排出エア変動検出手段は、
前記外部排気チューブの外側面の一方側に接触するダイヤフラムを有するシリコン単結晶と、
前記シリコン単結晶を支持する台座と、
前記台座に固定され、前記外部排気チューブの外側面の他方側に接触するハウジングと、
前記ダイヤフラム上に形成され、前記ホイートストンブリッジ回路に含まれる4つの抵抗のそれぞれを構成する前記変動抵抗としてのピエゾ抵抗と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項9】
前記排出エア変動検出手段は、前記接続ホース内に充填された充填部材に埋設されていることを特徴とする請求項8に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項10】
前記排出エア変動検出手段は、前記外部排気チューブを流れる排出エアを分岐し、分岐された排出エアの圧力の変動を半導体圧力センサにて検出することを特徴とする請求項1に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項11】
前記排出エア変動検出手段は、前記外部排気チューブの外形の変化を、気体または液体の圧力の変化に変換して半導体圧力センサにて検出することを特徴とする請求項1に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項12】
前記供給エア調整手段は、前記歯科診療ユニットにおける前記接続ホースの基端が接続される側の一部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項13】
前記供給エア調整手段は、圧縮エアの供給量を調整するエア流量調整手段であって、入力信号に比例した流量を出力として制御する比例電磁弁を備えることを特徴とする請求項12に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項14】
前記供給エア調整手段は、圧縮エアの圧力を調整するエア圧力調整手段であって、入力信号に比例した圧力を出力として制御する比例電磁弁を備えることを特徴とする請求項12に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用エアタービンハンドピースの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科用エアタービンハンドピースにおいては、圧縮エアにより回転駆動されるタービン羽根の回転軸に装着された回転器具に、患部の切削中に負荷が加わった場合、タービン羽根の回転速度等の回転に関する特性が低下して良好な切削特性が得られないおそれがあった。
【0003】
したがって、歯科用エアタービンハンドピースにおいて、切削負荷を受けた際のタービン羽根の回転速度等の回転に関する特性の低下を低減し、回転に関する特性を一定に維持する制御システムの構築が望まれている。
【0004】
例えば、引用文献1には、ハンドピース内に設置された磁気センサによりロータの回転速度をダイレクトに検出し、これに応じて駆動流体の供給バルブの開閉をコントロールする技術が開示されている(図2参照)。
引用文献2には、ハンドピースからの排出エアをチューブを介して送り、該チューブの基端が接続される側の歯科診療ユニット内に設けたロータを回転させてその回転速度を検出し、これに応じて圧縮エアの供給バルブの流入量を調整する技術が開示されている(図3参照)。
引用文献3には、ハンドピース内の排気管路に設けたダイヤフラムで排出エアの変動を検出し、これに応じてハンドピース内にある給気管路を流れる空気の流量を調整する技術が開示されている(図6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5314746号公報
【特許文献2】特許第6371793号公報
【特許文献3】米国特許第3865505号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1,3に記載の技術は、ハンドピース内に、回転速度や排気圧の変動を検出する検出機構を新たに設ける必要がある。このため、ハンドピース自体に特別な細工を行わなければならず、専用の高価な歯科用エアタービンハンドピースとなってしまう。しかも、既存の歯科用エアタービンハンドピースに対して上記技術を適用することは困難である。
また、引用文献2に記載の技術は、チューブの基端が接続される側の歯科診療ユニット内に設けたロータの回転速度を検出するため、ハンドピースから延びるチューブの長さや材質の影響を受けて検出に遅れが生じるおそれがあり、フィードバック制御の応答性が良好とは言えなかった。
【0007】
本発明は、簡易な構成で既存の歯科用エアタービンハンドピースにも適用でき、切削負荷変動が生じてもタービン羽根の回転に関する特性をより良好に制御できる歯科用エアタービンハンドピースの制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外部給気チューブと外部排気チューブとを内装する接続ホースの先端に設けられたホース先端装着部に着脱可能に装着され、歯科診療ユニットの圧縮エア供給源から前記外部給気チューブを経て供給された圧縮エアによりタービン室に設けられたタービン羽根が回転駆動されるとともに、前記タービン室を経た前記圧縮エアを排出エアとして前記外部排気チューブに向けて排出する歯科用エアタービンハンドピースの制御システムであって、前記ホース先端装着部内、または前記接続ホースの前記ホース先端装着部側の端部における前記接続ホース内に設けられ、前記外部排気チューブを流れる排出エアの変動を検出する排出エア変動検出手段と、前記排出エアの変動に応じて前記外部給気チューブを流れる圧縮エアの供給量および供給圧の少なくとも一方を調整し、前記タービン羽根の回転に関する特性の変動を抑えるようにした供給エア調整手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成で既存の歯科用エアタービンハンドピースにも適用でき、切削負荷変動が生じてもタービン羽根の回転に関する特性をより良好に制御できる歯科用エアタービンハンドピースの制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る歯科用エアタービンハンドピースの制御システムが搭載された歯科診療ユニットの概略構成を示す斜視図である。
図2】歯科用エアタービンハンドピースをホース先端装着部に装着する様子を示す側面図である。
図3】第1実施形態に係る歯科用エアタービンハンドピースの制御システムを示す概略構成図である。
図4図3に示される排出エア変動検出手段と、供給エア調整手段としてのエア流量調整手段とを示す概略構成図である。
図5図3に示される排出エア変動検出手段のC形状筒および抵抗と外部排気チューブとを示す概略斜視図である。
図6図3に示される排出エア変動検出手段のホイートストンブリッジ回路を示す概略構成図である。
図7】排出エア変動検出手段を保護する保護筒を示す概略断面図である。
図8】適正な排気圧で排出エアが外部排気チューブ内を流れる様子を示す概略斜視図である。
図9図8に示す場合のホイートストンブリッジ回路におけるひずみゲージの抵抗値の変化を説明するための図である。
図10】通常よりも減少した排気圧で排出エアが外部排気チューブ内を流れる様子を示す概略斜視図である。
図11図10に示す場合のホイートストンブリッジ回路におけるひずみゲージの抵抗値の変化を説明するための図である。
図12】ひずみゲージである抵抗の抵抗値とホイートストンブリッジ回路の出力電圧との関係を示す図である。
図13】ホイートストンブリッジ回路の出力電圧と排気圧との関係を示す図である。
図14】第2実施形態に係る排出エア変動検出手段のC形状筒および抵抗と外部排気チューブとを示す概略斜視図である。
図15】第2実施形態に係る排出エア変動検出手段のホイートストンブリッジ回路を示す概略構成図である。
図16】第3実施形態に係る排出エア変動検出手段の抵抗と外部排気チューブとを示す概略斜視図である。
図17】第4実施形態に係る排出エア変動検出手段と外部排気チューブとを示す概略軸直角断面図である。
図18図17に示されるダイヤフラム周辺の概略拡大断面図である。
図19図17に示されるダイヤフラムの概略拡大平面図である。
図20】充填部材に埋設された排出エア変動検出手段を示す概略軸方向断面図である。
図21】第5実施形態に係る排出エア変動検出手段と外部排気チューブとを示す概略軸方向断面図である。
図22図21に示される半導体圧力センサの構造の一例を示す概略拡大断面図である。
図23】第6実施形態に係る排出エア変動検出手段と外部排気チューブとを示す概略軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
各図において、共通する部材や同種の部材については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。なお、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜のため、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る歯科用エアタービンハンドピースの制御システムが搭載された歯科診療ユニット11の概略構成を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、歯科診療ユニット11は、基礎ユニット2と、ドクター用の診療テーブル3と、アシスタント用のアシスタントテーブル8と、椅子モジュール9と、フットコントローラ13と、を有している。診療テーブル3は、基礎ユニット2を含む構造体に主アーム4、バランスアーム5を介して連絡されるとともに、インスツルメントモジュール6を備えている。アシスタントテーブル8は、基礎ユニット2に補助アーム7を介して位置調整可能に連結されている。アシスタントテーブル8のハンガー8Aには、バキュームチップやシリンジ等のインスツルメント類が着脱可能に配置されている。椅子モジュール9は、基礎ユニット2の隣りに配置した患者用の椅子本体10を含む。フットコントローラ13は、基礎ユニット2に電気系、エア系を含んで接続しており、ドクターが足踏みで入力操作を行う装置である。
【0014】
基礎ユニット2には、スピットン置台12、スピットン12a、うがいの為のコップに給水するための給水口14が設けられている。診療テーブル3を構成するハンガー3Aには、歯科用エアタービンハンドピース(例えば、第1の歯科用エアタービンハンドピース18a)等のインスツルメント類15を着脱可能に配置されている。基礎ユニット2には、例えば既設の電源供給ケーブル21、水供給管22、エア供給管23が接続されている。また、基礎ユニット2の隣りには、配管ボックス20が配置されている。
【0015】
本実施形態においては、ハンガー3Aに、例えば4個の、すなわち、第1~第4の歯科用エアタービンハンドピース18a~18dが列設配置されている。そして、これら第1~第4の歯科用エアタービンハンドピース18a~18dのうちのいずれかをハンガー3Aから取り外したとき、ハンガー3Aに予め設けた外部パイロット信号出力部(図示省略)からの信号に基づいて流路が切り替えられて、取り外された歯科用エアタービンハンドピースに向けて圧縮エアが送出するように構成されている。
【0016】
図2は、歯科用エアタービンハンドピース18(第1~第4の歯科用エアタービンハンドピース18a~18dの総称)をホース先端装着部40に装着する様子を示す側面図である。図2に示すように、ホース先端装着部40は、外部給気チューブ51および外部排気チューブ52(図3参照)を内装する接続ホース50の先端に設けられている。歯科用エアタービンハンドピース18は、ホース先端装着部40に着脱可能に装着される。歯科用エアタービンハンドピース18は、回転する回転器具30によって患部である歯牙を切削する際に使用される。
【0017】
図3は、第1実施形態に係る歯科用エアタービンハンドピースの制御システム1を示す概略構成図である。図4は、図3に示される排出エア変動検出手段60と、供給エア調整手段としてのエア流量調整手段70とを示す概略構成図である。
【0018】
図3に示すように、歯科診療ユニット11の圧縮エア供給源31から圧縮エア33が外部給気チューブ51を通って送られる。外部給気チューブ51を通って送られる圧縮エア33は、エア流量調整手段70の比例電磁弁75を経た後、歯科用エアタービンハンドピース18内の給気管路24に供給され、タービン室32に設けたタービン羽根19を回転駆動する。歯科用エアタービンハンドピース18は、タービン室32を経た圧縮エアを排出エア34として、歯科用エアタービンハンドピース18内の排気管路25を経て外部排気チューブ52に向けて排出する。
【0019】
歯科用エアタービンハンドピースの制御システム1(以下、単に「制御システム1」ともいう)は、排出エア変動検出手段60と、エア流量調整手段70とを備えている。
【0020】
排出エア変動検出手段60は、図3では、ホース先端装着部40内に設けられている。なお、排出エア変動検出手段60は、接続ホース50のホース先端装着部40側の端部における接続ホース50内に設けられてもよい(図7参照)。この場合、接続ホース50のホース先端装着部40側の端部とは、例えばホース先端装着部40の基端側の端面と該端面からホース先端装着部40の長さ分だけ基端側の位置との間に位置する接続ホース50の部分である。排出エア変動検出手段60は、外部排気チューブ52の側面を覆うように配置されており、外部排気チューブ52の外形の変化を検出することで外部排気チューブ52を流れる排出エア34の変動を検出するものである。
【0021】
エア流量調整手段70は、圧縮エア33の供給量を調整する。エア流量調整手段70は、歯科診療ユニット11における接続ホース50の基端(ホース先端装着部40とは反対側端)が接続される側の一部に設けられている。例えば、エア流量調整手段70は、歯科診療ユニット11の配管ボックス20内や基礎ユニット2内に収納可能である。エア流量調整手段70は、排出エア変動検出手段60により検出された排出エア34の変動に応じて外部給気チューブ51を流れる圧縮エア33の供給量を調整し、タービン羽根19の回転に関する特性としての回転速度の変動を抑えるように構成されている。エア流量調整手段70は、排出エアの変動に関する信号を受けて動作するフィードバック制御回路71と、フィードバック制御回路71により制御される比例電磁弁75とを有している。比例電磁弁75は、本実施形態では、入力信号に比例した流量を出力として制御する電磁弁である。
【0022】
外部給気チューブ51は、第1~第4の歯科用エアタービンハンドピース18a~18dに向けて4系統に分岐している。比例電磁弁75は、圧縮エア供給源31側から見て、4系統に分岐する手前の外部給気チューブ51に設けられている。
【0023】
図4に示すように、排出エア変動検出手段60は、外部排気チューブ52(図3参照)の外形の変化によって抵抗値が変動する変動抵抗を含むホイートストンブリッジ回路62を有している。排出エア変動検出手段60は、排出エア34の変動に関する信号として、ホイートストンブリッジ回路62から得られる出力電圧Eout=e1(V)に対応する電圧信号を出力する。
【0024】
エア流量調整手段70のフィードバック制御回路71は、基準電圧出力回路72と、電圧比較回路73と、エア供給量補正信号生成回路74とを有している。基準電圧出力回路72は、予め設定した比例電磁弁75の適正な開度に相当する出力電圧Eout=e2(V)に対応する基準電圧信号を出力する。電圧比較回路73は、ホイートストンブリッジ回路62からの電圧信号と基準電圧出力回路72からの基準電圧信号とを比較する。エア供給量補正信号生成回路74は、電圧比較回路73による比較結果に応じたエア供給量補正信号を比例電磁弁75に送り、排出エア34(図3参照)の圧力である排気圧P(Pa)の変動を抑えるように、比例電磁弁75の弁の開度を調整する。そして、排気圧P(Pa)の変動を抑えることによって、タービン羽根19(図3参照)の回転速度の変動が抑えられる。
【0025】
フィードバック制御回路71に変えて、或いは併用して、PID制御によるフィードバック制御プログラムを実行してもよい。この場合、PID制御の各要素、P(比例制御),I(積分制御),D(微分制御)は次のような働きをする。
ホイートストンブリッジ回路62からの電圧信号e1と、目標とする基準電圧出力回路72からの基準電圧信号e2との差(偏差)の大きさに比例した比例制御弁の制御を行うことが比例制御(P)に相当する。
また、短時間で電圧信号e1を基準電圧信号e2に近づけるように制御するためには、目標値を超えないように抑える働きする必要がある。これが微分制御(D)に相当し、目標値を超えた場合は目標値との差をなくすような働きをする必要がある。これが積分制御(I)に相当する。
これらPID制御のプログラムを実行することで、オーバーシュートやアンダーシュートを発生させずに遅延のないフィードバック制御が可能になり、比例電磁弁75に入力するための適正なエア供給量補正信号を生成することができる。
【0026】
図5は、図3に示される排出エア変動検出手段60のC形状筒61および抵抗Rと外部排気チューブ52とを示す概略斜視図である。図6は、図3に示される排出エア変動検出手段60のホイートストンブリッジ回路62を示す概略構成図である。
【0027】
図5に示すように、排出エア変動検出手段60は、C形状筒61と、ひずみゲージである抵抗Rとを有している。C形状筒61は、外部排気チューブ52の側面を覆う円筒の一部を構成しており、断面C字形状を呈している。抵抗Rは、本実施形態ではC形状筒61の内側面に設置されている。具体的には、抵抗Rは、その長手方向が周方向に沿うように、C形状筒61の内側面に貼付されている。外部排気チューブ52は、例えばシリコーンチューブ等の樹脂製チューブであり、C形状筒61は、例えばウレタン等の樹脂製である。C形状筒61は、外部排気チューブ52よりも少し硬度が大きい材質から形成されていることが好ましい。
【0028】
図6に示すように、抵抗Rは、ホイートストンブリッジ回路62に含まれる4つの抵抗R~Rのうちの一つを構成する変動抵抗としてのひずみゲージである。図6では、他の3つの抵抗R~Rは、抵抗値が変動しない固定抵抗である。図6に示すようなホイートストンブリッジ回路62を利用することで、ひずみゲージの抵抗値の微細な変化を効率良く計測できる。外部排気チューブ52(図5参照)内に排出エア34(図3参照)が流れていない状態(無負荷状態)で、4つの抵抗R~Rの抵抗値をそれぞれR~Rと表すと、R×R=R×Rが成り立つように構成することで、ブリッジ電圧Einに対する出力電圧Eoutは、0Vになる。なお、抵抗R~Rの抵抗値は、一般に無負荷状態において同一に設定される。外部排気チューブ52内に排出エア34(図3参照)が流れると、ひずみゲージである抵抗Rの抵抗値が変化し、排気圧Pに比例した出力電圧Eoutを得ることができる。
【0029】
図7は、排出エア変動検出手段60を保護する保護筒53を示す概略断面図である。
図7に示すように、排出エア変動検出手段60の径方向外側に位置する接続ホース50の径方向外側には、排出エア変動検出手段60を保護する円筒形状の保護筒53が設けられている。保護筒53は、接続ホース50よりも剛性が大きい例えば金属や硬質樹脂から形成されている。
【0030】
本実施形態に係る制御システム1は、第1~第4の歯科用エアタービンハンドピース18a~18dのうちのいずれか一つが圧縮エア33の供給によって動作する場合において、その排出エア34の変動を捉え、圧縮エア33の供給量を調整してその動作中の歯科用エアタービンハンドピースのタービン羽根19の回転速度の変動を抑えるようにしたものである。
【0031】
次に、図8図13を参照して本実施形態に係る制御システム1の動作について説明する。
図8は、適正な排気圧P2で排出エア34が外部排気チューブ52内を流れる様子を示す概略斜視図である。図9は、図8に示す場合のホイートストンブリッジ回路62におけるひずみゲージの抵抗値の変化を説明するための図である。
図8に示すように、外部排気チューブ52内を適正な排気圧P2で正常に排出エア34が排出されると、外部排気チューブ52が膨らむように外形(特に外径)が変化する。このため、外部排気チューブ52を内包するC形状筒61には内径を広げようとする力が働く。これにより、C形状筒61筒の内側面に貼付されたひずみゲージである抵抗Rは、長手方向に伸びる力が働き、抵抗値が増す。このとき、図9に示すように、抵抗Rの抵抗値(Ω)はR+ΔR1bに、排気圧P(Pa)はP2に、ホイートストンブリッジ回路62の出力電圧Eout(V)はe2になる。
【0032】
図10は、通常よりも減少した排気圧P1で排出エア34が外部排気チューブ52内を流れる様子を示す概略斜視図である。図11は、図10に示す場合のホイートストンブリッジ回路62におけるひずみゲージの抵抗値の変化を説明するための図である。
図10に示すように、患部の切削中に過負荷が加わって排出エア34が減少すると、C形状筒61は内径を狭める方向に変化するため、抵抗Rの長手方向に伸びる量は減る。このとき、図11に示すように、抵抗Rの抵抗値(Ω)はR+ΔR1aに、排気圧P(Pa)はP1に、ホイートストンブリッジ回路62の出力電圧Eout(V)はe1になる。
【0033】
図12は、ひずみゲージである抵抗Rの抵抗値とホイートストンブリッジ回路62の出力電圧Eoutとの関係を示す図である。図13は、ホイートストンブリッジ回路62の出力電圧Eoutと排気圧Pとの関係を示す図である。
図12図13に示すように、タービン羽根19が回転していないときのC形状筒61の内側面に貼付されたひずみゲージである抵抗Rの抵抗値(Ω)はRであるが、正常状態の適正な排気圧P2でタービン羽根19が回転しているときの抵抗値(Ω)はR+ΔR1bに変化し、このときホイートストンブリッジ回路62の出力電圧Eout(V)はe2になる。一方、患部の切削中に過負荷が加わった状態になると抵抗値(Ω)はR+ΔR1aに変化し、このときホイートストンブリッジ回路62の出力電圧Eout(V)はe1に、排気圧P(Pa)はP1に下がる。この場合、出力電圧Eout(V)のe1がe2と比較して等しくなるように比例電磁弁75に流れる圧縮エア33の流量(供給量)を調整することで、排気圧P(Pa)が適正な排気圧P2と等しくなるように制御される。
【0034】
前記したように、本実施形態に係る歯科用エアタービンハンドピースの制御システム1は、ホース先端装着部40内、または接続ホース50のホース先端装着部40側の端部における接続ホース50内に設けられ、外部排気チューブ52を流れる排出エア34の変動を検出する排出エア変動検出手段60と、排出エア34の変動に応じて外部給気チューブ51を流れる圧縮エア33の供給量を調整し、タービン羽根19の回転速度の変動を抑えるようにしたエア流量調整手段70と、を備える。
【0035】
このような本実施形態では、排出エア34の変動を検出する排出エア変動検出手段60が、ホース先端装着部40内、または接続ホース50のホース先端装着部40側の端部内に設けられている。これにより、歯科用エアタービンハンドピース18自体に特別な細工を行うことなく、歯科用エアタービンハンドピース18の近傍において排出エア34の変動の検出が可能となる。つまり、安価な構成で切削負荷による排出エアの変動を瞬間的に検出できる。このため、フィードバック制御において遅延が生じにくく、タービン羽根19の回転速度を精密に制御することが可能となる。また、従来のように磁気センサ等を新たに歯科用エアタービンハンドピース18内に設ける必要がないため、既存の歯科用エアタービンハンドピースをそのまま使用できる。そして、歯科用エアタービンハンドピース18は、切削負荷を受けてタービン羽根19の回転速度が低下して排出エア34が減少することのないように、排出エア変動検出手段60によって検出される排出エア34の変動に応じて圧縮エア33の供給量を調整することで、タービン羽根19の一定回転を維持することができる。
したがって、本実施形態によれば、簡易な構成で既存の歯科用エアタービンハンドピースにも適用でき、切削負荷変動が生じてもタービン羽根19の回転速度をより良好に制御できる歯科用エアタービンハンドピースの制御システム1を提供することができる。
【0036】
また、本実施形態では、排出エア変動検出手段60は、外部排気チューブ52の側面を覆うように配置されており、外部排気チューブ52の外形の変化を検出することで排出エア34の変動を検出する。このような構成では、外部排気チューブ52の構成を変えることなく、外部排気チューブ52の膨張、収縮を利用して、より簡易な構成によって排出エアの変動を検出することができる。
【0037】
また、本実施形態では、排出エア変動検出手段60は、外部排気チューブ52の外形の変化によって抵抗値が変動する変動抵抗を含むホイートストンブリッジ回路62を有している。このような構成では、外部排気チューブ52の外形の微小な変化を高感度に検出できる。このため、切削負荷変動が生じてもタービン羽根19の回転速度をより良好に制御できる。
【0038】
また、本実施形態では、排出エア変動検出手段60は、外部排気チューブ52の側面を覆う円筒の一部を構成する断面C字形状のC形状筒61と、C形状筒61の内側面に設置され、ホイートストンブリッジ回路62に含まれる4つの抵抗R~Rのうちの一つを構成する変動抵抗としてのひずみゲージである抵抗Rと、を有する。このような構成では、C形状筒61を外部排気チューブ52の側面を覆うように取り付けるだけで、排出エア変動検出手段60を容易に設置することができ、C形状筒61の変形によるひずみゲージである抵抗Rの抵抗値の変動によって外部排気チューブ52の外形の変化を検出することができる。
なお、抵抗R~Rのうち、C形状筒61の内側面に貼付されるひずみゲージである抵抗は、図5では1つであるが、2つであってもよい。この場合、2倍の出力を得ることや温度補償が可能となる。また、ひずみゲージである抵抗は、C形状筒61の外側面に設置されてもよい。この場合、外部排気チューブ52が膨らんでC形状筒61に内径を広げようとする力が働くと、C形状筒61筒の外側面に貼付されたひずみゲージである抵抗は、長手方向に縮む力が働き、抵抗値が減ることになる。
【0039】
また、本実施形態では、排出エア変動検出手段60の径方向外側に位置する接続ホース50の径方向外側に、排出エア変動検出手段60を保護する円筒形状の保護筒53が設けられている。このような構成では、保護筒53は、外部排気チューブ52の外形の変化によるC形状筒61の変形の自由度を確保しつつ、接続ホース50の曲がり等による外力から排出エア変動検出手段60を保護することができる。
【0040】
また、本実施形態では、エア流量調整手段70は、歯科診療ユニット11における接続ホース50の基端が接続される側の一部に設けられている。このような構成では、十分に確保可能なスペースに、仕様に応じた適切なエア流量調整手段70を設置することができる。
【0041】
また、本実施形態では、供給エア調整手段は、圧縮エア33の供給量を調整するエア流量調整手段70であって、入力信号に比例した流量を出力として制御する比例電磁弁75を備えている。このような構成では、排出エア変動検出手段60により検出された排出エアの微小な変動に応じて、圧縮エア33の供給量を細かく調整することができる。この場合、ON/OFF制御ではなく、任意のエア流量を連続的に制御可能となる。すなわち、排出エア34の変動をリアルタイムに検出して高精度にフィードバックすることが可能となり、タービン羽根19の回転速度の変動を抑えるように、一定の回転速度に制御することができる。例えば歯牙の切削などソフトタッチで優れた切れ味が必要とされる切削に適している。
【0042】
[第2実施形態]
次に、図14図15を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図14は、第2実施形態に係る排出エア変動検出手段60のC形状筒61および抵抗R~Rと外部排気チューブ52とを示す概略斜視図である。図15は、第2実施形態に係る排出エア変動検出手段60のホイートストンブリッジ回路62aを示す概略構成図である。なお、第1実施形態と共通する点についての説明は省略する。
【0043】
第2実施形態は、ホイートストンブリッジ回路62aに含まれる4つの抵抗R~Rのすべてが変動抵抗としてのひずみゲージである点で、第1実施形態と相違している。ここでは、抵抗Rと抵抗Rとは、その長手方向が周方向に沿うように、C形状筒61の内側面に貼付され、抵抗Rと抵抗Rとは、その長手方向が周方向に沿うように、C形状筒61の外側面に貼付されている。排出エア34の圧力が加わると外部排気チューブ52が膨らんで抵抗Rと抵抗Rとが伸びる。同時に抵抗Rと抵抗Rとが縮む。このときのホイートストンブリッジ回路62aの出力電圧Eoutを求めることで、外部排気チューブ52を流れる排出エア34の変動を検出することができる。この場合、4倍の出力を得ることや温度補償が可能となる。
【0044】
[第3実施形態]
次に、図16を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図16は、第3実施形態に係る排出エア変動検出手段60の抵抗Rと外部排気チューブ52とを示す概略斜視図である。なお、第1実施形態と共通する点についての説明は省略する。
【0045】
第3実施形態は、ホイートストンブリッジ回路62に含まれる4つの抵抗R~Rのうちの一つである変動抵抗としての抵抗Rが、外部排気チューブ52の外側面に貼付されている点で、第1実施形態と相違している。つまり、この実施形態では、C形状筒61は存在しない。具体的には、ひずみゲージである抵抗Rは、その長手方向が周方向に沿うように、外部排気チューブ52の外側面に直接貼付されている。排出エア34の圧力が加わると外部排気チューブ52が膨らんで抵抗Rが伸びる。このときのホイートストンブリッジ回路62の出力電圧Eoutを求めることで、外部排気チューブ52を流れる排出エア34の変動を検出することができる。
【0046】
第3実施形態では、ひずみゲージを外部排気チューブ52の外側面に貼付することで、排出エア変動検出手段60を容易に設置することができ、外部排気チューブ52の変形によるひずみゲージの抵抗値の変動によって外部排気チューブ52の外形の変化を検出することができる。
また、第3実施形態においても、保護筒53(図7参照)が設けられている。このような構成では、保護筒53は、外部排気チューブ52の外形の変化によるひずみゲージの抵抗値の変動の信頼性を確保しつつ、接続ホース50の曲がり等による外力から排出エア変動検出手段60を保護することができる。
なお、抵抗R~Rのうち、外部排気チューブ52の外側面に貼付されるひずみゲージである抵抗は、図16では1つであるが、2つまたは4つであってもよい。
【0047】
[第4実施形態]
次に、図17図20を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
図17は、第4実施形態に係る排出エア変動検出手段60aと外部排気チューブ52とを示す概略軸直角断面図である。図18は、図17に示されるダイヤフラム64周辺の概略拡大断面図である。図19は、図17に示されるダイヤフラム64の概略拡大平面図である。図20は、充填部材54に埋設された排出エア変動検出手段60aを示す概略軸方向断面図である。なお、第1実施形態と共通する点についての説明は省略する。
【0048】
図17に示すように、第4実施形態に係る排出エア変動検出手段60aは、シリコン単結晶63と、台座65と、ハウジング66と、変動抵抗としてのピエゾ抵抗R~Rと(図18図19参照)を有している。
【0049】
シリコン単結晶63は、外部排気チューブ52の外側面の一方側に接触するダイヤフラム64を有する。台座65は、シリコン単結晶63を支持する。台座65は、例えばガラス製であり、ダイヤフラム64の変形時に空気が通過する貫通孔67を有している。貫通孔67は、ダイヤフラム64と台座65との間に形成された空間を大気に開放する空気孔である。ハウジング66は、台座65に固定されており、外部排気チューブ52の外側面の他方側に接触する。ハウジング66は、排気圧Pによって変形が殆ど生じない例えば金属や硬質樹脂から形成されている。ハウジング66の外部排気チューブ52と接触する部分は、円弧面状に形成されていることが好ましい。ハード素材のハウジング66とシリコン単結晶63のダイヤフラム64との間に、外部排気チューブ52が挟まれる。
【0050】
図18図19に示すように、ピエゾ抵抗R~Rは、ダイヤフラム64上に形成されており、ホイートストンブリッジ回路62bに含まれる4つの抵抗のそれぞれを構成している。具体的には、シリコン単結晶63のダイヤフラム64上に、不純物拡散などで直接、ピエゾ抵抗R~Rが形成されている。ピエゾ抵抗R~Rを用いた排出エア変動検出手段60aは、排気圧Pの印加によるダイヤフラム64の変形(図18の二点鎖線参照)を、ダイヤフラム64上のひずみ(応力)として測定する。ダイヤフラム64に排気圧Pを加えると、ピエゾ抵抗R,Rの抵抗値は増加し、ピエゾ抵抗R,Rの抵抗値は減少する。これにより、ホイートストンブリッジ回路に不均衡が生じ、排気圧Pに比例した出力電圧Eoutを得ることができる。
【0051】
第4実施形態では、ダイヤフラム64の僅かな機械的変形によってピエゾ抵抗R~Rの抵抗値の大きな変化が得られるため、外部排気チューブ52の外形の微小な変化を検出することができる。
また、外部排気チューブ52をダイヤフラム64とハウジング66との間に挟み込むように取り付けるだけで、排出エア変動検出手段60aを容易に設置することができる。さらに、ダイヤフラム64は、排出エア変動検出手段60aの内部に配置されることになるため、外乱の影響を受けにくくなる。これにより、外部排気チューブ52の外形の変化をより精度良く検出することができる。
【0052】
また、図20に示すように、第4実施形態では、排出エア変動検出手段60aは、接続ホース50内に充填された充填部材54に埋設されている。なお、充填部材54は、貫通孔67の充填部材54外への連通が確保されるように構成されている。このような構成では、充填部材54は、排出エア変動検出手段60aを埋設してもダイヤフラム64(図17参照)が排出エア変動検出手段60aの内側に存在するので検出に支障を与えることがなく、接続ホース50の曲がり等による外力から排出エア変動検出手段60aを保護することができる。
【0053】
[第5実施形態]
次に、図21図22を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
図21は、第5実施形態に係る排出エア変動検出手段60bと外部排気チューブ52とを示す概略軸方向断面図である。図22は、図21に示される半導体圧力センサ80の構造の一例を示す概略拡大断面図である。なお、第4実施形態と共通する点についての説明は省略する。また、図22では、半導体圧力センサ80は、説明の都合上、図21とは上下逆に描いてある。
【0054】
図21に示すように、第4実施形態に係る排出エア変動検出手段60bは、外部排気チューブ52を流れる排出エア34を分岐し、分岐された排出エア34の圧力の変動を半導体圧力センサ80にて検出するものである。排出エア変動検出手段60bは、例えば、外部排気チューブ52を流れる排出エア34を分岐する分岐管路83と、分岐管路83に設けられた分岐部84から分岐された排出エア34が通る接続管85と、接続管85を経て送られる排出エア34の圧力の変動を検出する半導体圧力センサ80とを有している。
【0055】
図22に示すように、半導体圧力センサ80は、分岐された排出エア34を導入する排出エア導入部81と、排出エア導入部81から導入された排出エア34の圧力を検知する圧力検知部82とを有する。排出エア導入部81は、接続管85(図21参照)に接続される。半導体圧力センサ80の圧力検知部82は、図17に示したものと同様のピエゾ抵抗型圧力センサであって、ピエゾ抵抗Ra~Rdから成るひずみゲージの電気抵抗の変化を電圧変化として取り出して排気圧Pを検知するものである。電気抵抗の変化はホイートストンブリッジ回路を構成することにより高感度が得られる。前記した第4実施形態では、外部排気チューブ52の外側面の一方側にダイヤフラム64を直接接触させているが、第5実施形態では、排気圧Pを半導体圧力センサ80の排出エア導入部81に加えることでダイヤフラム64を変形させることができる。
【0056】
[第6実施形態]
次に、図23を参照して、本発明の第6実施形態について説明する。
図23は、第6実施形態に係る排出エア変動検出手段60cと外部排気チューブ52とを示す概略軸方向断面図である。なお、第5実施形態と共通する点についての説明は省略する。
【0057】
図23に示すように、第6実施形態に係る排出エア変動検出手段60cは、外部排気チューブ52の外形の変化を、気体または液体の圧力の変化に変換して半導体圧力センサ80にて検出するものである。排出エア変動検出手段60cは、例えば、外部排気チューブ52の側面との間に空間87が形成されるように密閉して覆う密閉管86と、密閉管86に設けられた孔部88を介して空間87と連通する内部を有する接続管85と、空間87および接続管85の内部に充填される気体または液体の圧力の変動を検出する半導体圧力センサ80とを有している。
第6実施形態では、外部排気チューブ52の外形変化を密閉管86内に密封された気体または液体の圧力の変化に変えて、半導体圧力センサ80の排出エア導入部81に加えることでダイヤフラム64を変形させることができる。
【0058】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記した実施形態や変形例に記載した構成に限定されるものではない。本発明は、前記した実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0059】
例えば、前記した実施形態においては、供給エア調整手段は、圧縮エア33の供給量を調整するエア流量調整手段70であって、入力信号に比例した流量を出力として制御する比例電磁弁75を備えているが、これに限定されるものではない。
供給エア調整手段は、圧縮エア33の圧力を調整するエア圧力調整手段であって、入力信号に比例した圧力を出力として制御する比例電磁弁を備えていてもよい。この場合、ON/OFF制御ではなく、任意のエア圧力を連続的に制御可能となる。すなわち、排出エア34の変動をリアルタイムに検出してフィードバックすることにより、タービン羽根19の回転トルクの変動を抑えるように、一定の回転トルクに制御することができる。例えば、外的要因を受けても(回転器具30先端に過負荷が発生しても弾かれることなく)安定した回転トルクで切削が可能になる。したがって、例えば補綴物の切削など安定した回転トルクの必要な切削に適している。
なお、圧縮エア33の供給量および供給圧の両方の制御が可能な比例電磁弁を使用すれば、上記両方の特徴を兼ね備えた制御が可能となる。またエア流量調整手段とエア供給圧調整手段の両方を切換可能な切換スイッチを用意して、切削目的に応じて任意に切換えて使用してもよい。
また、前記した実施形態においては、歯科用エアタービンハンドピースを4個含む構成としたが、歯科用エアタービンハンドピースの個数は、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 歯科用エアタービンハンドピースの制御システム
11 歯科診療ユニット
18 歯科用エアタービンハンドピース
19 タービン羽根
31 圧縮エア供給源
32 タービン室
33 圧縮エア
34 排出エア
40 ホース先端装着部
50 接続ホース
51 外部給気チューブ
52 外部排気チューブ
53 保護筒
54 充填部材
60,60a~60c 排出エア変動検出手段
61 C形状筒
62,62a,62b ホイートストンブリッジ回路
63 シリコン単結晶
64 ダイヤフラム
65 台座
66 ハウジング
70 エア流量調整手段
75 比例電磁弁
80 半導体圧力センサ
~R 抵抗
~R ピエゾ抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部給気チューブと外部排気チューブとを内装する接続ホースの先端に設けられたホース先端装着部に着脱可能に装着され、歯科診療ユニットの圧縮エア供給源から前記外部給気チューブを経て供給された圧縮エアによりタービン室に設けられたタービン羽根が回転駆動されるとともに、前記タービン室を経た前記圧縮エアを排出エアとして前記外部排気チューブに向けて排出する歯科用エアタービンハンドピースの制御システムであって、
前記接続ホース、前記ホース先端装着部及び前記歯科用エアタービンハンドピースを複数組備えるとともに、
複数の前記歯科用エアタービンハンドピースのそれぞれに対応して複数の前記ホース先端装着部内、または複数の前記接続ホースの前記ホース先端装着部側の端部における前記接続ホース内にそれぞれ設けられ、前記外部排気チューブを流れる排出エアの変動を検出する複数の排出エア変動検出手段と、
前記排出エアの変動に応じて前記外部給気チューブを流れる圧縮エアの供給量および供給圧の少なくとも一方を調整し、前記タービン羽根の回転に関する特性の変動を抑えるようにした供給エア調整手段と、
を備えることを特徴とする歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項2】
前記排出エア変動検出手段は、前記外部排気チューブの側面を覆うように配置されており、前記外部排気チューブの外形の変化を検出することで前記排出エアの変動を検出することを特徴とする請求項1に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項3】
前記排出エア変動検出手段は、前記外部排気チューブの外形の変化によって抵抗値が変動する変動抵抗を含むホイートストンブリッジ回路を有することを特徴とする請求項2に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項4】
前記排出エア変動検出手段は、
前記外部排気チューブの側面を覆う円筒の一部を構成する断面C字形状のC形状筒と、
前記C形状筒の内側面または外側面に設置され、前記ホイートストンブリッジ回路に含まれる4つの抵抗のうちの少なくとも一つを構成する前記変動抵抗としてのひずみゲージと、
を有することを特徴とする請求項3に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項5】
前記排出エア変動検出手段の径方向外側に位置する前記接続ホースの径方向外側に、前記排出エア変動検出手段を保護する円筒形状の保護筒が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項6】
前記排出エア変動検出手段は、前記外部排気チューブの外側面に貼付され、前記ホイートストンブリッジ回路に含まれる4つの抵抗のうちの少なくとも一つを構成する前記変動抵抗としてのひずみゲージを有することを特徴とする請求項3に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項7】
前記排出エア変動検出手段の径方向外側に位置する前記接続ホースの径方向外側に、前記排出エア変動検出手段を保護する円筒形状の保護筒が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項8】
前記排出エア変動検出手段は、
前記外部排気チューブの外側面の一方側に接触するダイヤフラムを有するシリコン単結晶と、
前記シリコン単結晶を支持する台座と、
前記台座に固定され、前記外部排気チューブの外側面の他方側に接触するハウジングと、
前記ダイヤフラム上に形成され、前記ホイートストンブリッジ回路に含まれる4つの抵抗のそれぞれを構成する前記変動抵抗としてのピエゾ抵抗と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項9】
前記排出エア変動検出手段は、前記接続ホース内に充填された充填部材に埋設されていることを特徴とする請求項8に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項10】
前記排出エア変動検出手段は、前記外部排気チューブを流れる排出エアを分岐し、分岐された排出エアの圧力の変動を半導体圧力センサにて検出することを特徴とする請求項1に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項11】
前記排出エア変動検出手段は、前記外部排気チューブの外形の変化を、気体または液体の圧力の変化に変換して半導体圧力センサにて検出することを特徴とする請求項1に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項12】
前記供給エア調整手段は、前記歯科診療ユニットにおける前記接続ホースの基端が接続される側の一部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項13】
前記供給エア調整手段は、圧縮エアの供給量を調整するエア流量調整手段であって、入力信号に比例した流量を出力として制御する比例電磁弁を備えることを特徴とする請求項12に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【請求項14】
前記供給エア調整手段は、圧縮エアの圧力を調整するエア圧力調整手段であって、入力信号に比例した圧力を出力として制御する比例電磁弁を備えることを特徴とする請求項12に記載の歯科用エアタービンハンドピースの制御システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、外部給気チューブと外部排気チューブとを内装する接続ホースの先端に設けられたホース先端装着部に着脱可能に装着され、歯科診療ユニットの圧縮エア供給源から前記外部給気チューブを経て供給された圧縮エアによりタービン室に設けられたタービン羽根が回転駆動されるとともに、前記タービン室を経た前記圧縮エアを排出エアとして前記外部排気チューブに向けて排出する歯科用エアタービンハンドピースの制御システムであって、前記接続ホース、前記ホース先端装着部及び前記歯科用エアタービンハンドピースを複数組備えるとともに、複数の前記歯科用エアタービンハンドピースのそれぞれに対応して複数の前記ホース先端装着部内、または複数の前記接続ホースの前記ホース先端装着部側の端部における前記接続ホース内にそれぞれ設けられ、前記外部排気チューブを流れる排出エアの変動を検出する複数の排出エア変動検出手段と、前記排出エアの変動に応じて前記外部給気チューブを流れる圧縮エアの供給量および供給圧の少なくとも一方を調整し、前記タービン羽根の回転に関する特性の変動を抑えるようにした供給エア調整手段と、を備えることを特徴とする。