IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

特開2024-142648連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法
<>
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図1
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図2
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図3
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図4
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図5
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図6
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図7
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図8
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図9
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図10
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図11
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図12
  • 特開-連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142648
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、焼結鉱製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/16 20060101AFI20241003BHJP
   C22B 1/20 20060101ALI20241003BHJP
   G01N 25/02 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
C22B1/16 R
C22B1/20 T
C22B1/20 U
C22B1/20 V
G01N25/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054885
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅大
(72)【発明者】
【氏名】桑名 孝汰
(72)【発明者】
【氏名】大菅 宏児
(72)【発明者】
【氏名】燒谷 将大
【テーマコード(参考)】
2G040
4K001
【Fターム(参考)】
2G040AB15
2G040BA05
2G040BA29
2G040CA03
2G040CA11
2G040CA23
2G040CB02
2G040CB11
2G040DA01
2G040DA15
2G040EA03
2G040GA07
2G040HA07
2G040ZA08
4K001AA10
4K001BA02
4K001CA17
4K001CA33
4K001CA40
(57)【要約】
【課題】本発明は、より精度良く焼成熱量の管理を可能とする連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および該装置、これらそれぞれで生成した機械学習済みの管理指標予測モデルで管理指標を予測する連続式焼結機用管理指標予測方法および該装置、ならびに、前記連続式焼結機用管理指標予測方法を用いた焼結鉱製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する管理指標予測モデルを機械学習する第1機械学習工程S13と、第1機械学習工程S13で前記管理指標予測モデルを機械学習するために用いられ、前記破断面画像および教師データを含む第1学習データセットを入力する第1学習データ入力工程S11とを備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する管理指標予測モデルを機械学習する第1機械学習工程と、
前記第1機械学習工程で前記管理指標予測モデルを機械学習するために用いられ、前記破断面画像および教師データを含む第1学習データセットを入力する第1学習データ入力工程とを備える、
連続式焼結機用予測モデル機械学習方法。
【請求項2】
前記管理指標予測モデルは、前記連続式焼結機における排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つにさらに基づいて前記管理指標を予測するモデルであり、
前記第1学習データセットは、前記管理指標予測モデルに入力される、前記連続式焼結機における排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つをさらに含む、
請求項1に記載の連続式焼結機用予測モデル機械学習方法。
【請求項3】
前記管理指標予測モデルは、
前記連続式焼結機における排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つが入力され、前記管理指標を予測するための第1出力を出力する第1サブモデルと、
前記破断面画像が入力され、前記管理指標を予測するための第2出力を出力する第2サブモデルと、
前記第1および第2出力を結合して、前記管理指標を出力する第3サブモデルとを備える、
請求項2に記載の連続式焼結機用予測モデル機械学習方法。
【請求項4】
前記破断面を撮像可能に配設されたカメラによって生成された画像に基づいて、前記シンターケーキが破断する破断タイミングを予測する破断予測モデルを機械学習する第2機械学習工程と、
前記第2機械学習工程で前記破断予測モデルを機械学習するために用いられ、前記画像および教師データを含む第2学習データセットを入力する第2学習データ入力工程とをさらに備える、
請求項1に記載の連続式焼結機用予測モデル機械学習方法。
【請求項5】
焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する管理指標予測モデルを機械学習する第1機械学習部と、
前記第1機械学習部で前記管理指標予測モデルを機械学習するために用いられ、前記破断面画像および教師データを含む第1学習データセットを入力する第1学習データ入力部とを備える、
連続式焼結機用予測モデル機械学習装置。
【請求項6】
焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像を生成する画像生成工程と、
前記画像生成工程で生成した破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する機械学習済みの管理指標予測モデルで前記管理指標を予測する管理指標予測工程とを備える、
連続式焼結機用管理指標予測方法。
【請求項7】
焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部で生成した破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する機械学習済みの管理指標予測モデルで前記管理指標を予測する管理指標予測部とを備える、
連続式焼結機用管理指標予測装置。
【請求項8】
請求項7に記載の連続式焼結機用管理指標予測方法と、
前記管理指標予測工程で予測した管理指標を出力する出力工程と、
前記出力工程で出力された管理指標に基づいて、粉コークス配合量、鉱石配合量、副原料配合量、焼結速度、焼成風量、鉱層厚および富化酸素量のうちの少なくとも1つを調整する調整工程とを備える、
焼結鉱製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続式焼結機における焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および連続式焼結機用予測モデル機械学習装置、これらそれぞれで生成した機械学習済みの管理指標予測モデルで管理指標を予測する連続式焼結機用管理指標予測方法および連続式焼結機用管理指標予測装置、ならびに、前記連続式焼結機用管理指標予測方法を用いた焼結鉱製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
焼結プロセスでは、低融点のカルシウムフェライト系融液を生成させ、スラグボンドを形成することによって粒子間を結合して粉鉱石が造粒物に塊成化される。そのため、焼成熱量が少な過ぎると成品品質の1つである焼結強度が低下するため、十分な焼成熱量が必要である。この焼成熱量は、成品中における酸化鉄(Fe)の割合(FeO割合)と相関するため、このFeO割合を焼成熱量のコントロール指標に使用できる。このFeO割合は、化学分析により判明し、この化学分析に時間がかかるため、リアルタイムで測定することができない。このため、焼成熱量に変化が生じた場合、この焼成熱量の変化の時点から、例えば3~4時間の遅れが生じてしまう。したがって、化学分析を用いた手法では、焼成熱量に変化が生じても略リアルタイムに焼成熱量をコントロールすることが難しい。このため、画像を用いた手法があり、例えば、特許文献1に開示された手法がある。
【0003】
この特許文献1に開示された焼結鉱原料の熱レベル制御方法は、連続的に焼成されて移動してくる焼結ケーキの断面を焼結機排鉱部にて赤外線カメラで撮影すると共に、その映像を画像解析装置により解析して単位時間内に所定温度以上の高温赤熱帯が出現する頻度を測定し、該測定結果に基づいて焼結原料のコークス配合率調整を行うものである。これにより、前記特許文献1によれば、焼結原料の熱レベルが十分適正に制御され得る。そして、具体的には、前記特許文献1によれば、前記所定温度は、900[℃]であって、前記頻度が20回となるように、焼結原料のコークス配合率が調整され、これら温度900[℃]および頻度20回は、予備実験によって設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1-188636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示された焼結鉱原料の熱レベル制御方法は、単位時間内に所定温度以上の高温赤熱帯が出現する頻度に基づいて焼成熱量を管理していることになるが、前記温度900[℃]および頻度20回は、予備実験によって人の判断で設定されているので、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より精度良く焼成熱量の管理を可能とする連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および連続式焼結機用予測モデル機械学習装置、これらそれぞれで生成した機械学習済みの管理指標予測モデルで管理指標を予測する連続式焼結機用管理指標予測方法および連続式焼結機用管理指標予測装置、ならびに、前記連続式焼結機用管理指標予測方法を用いた焼結鉱製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する管理指標予測モデルを機械学習する第1機械学習工程と、前記第1機械学習工程で前記管理指標予測モデルを機械学習するために用いられ、前記破断面画像および教師データを含む第1学習データセットを入力する第1学習データ入力工程とを備える。
【0008】
このような連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、管理指標予測モデルを機械学習するので、破断面画像から人に気付かれない特徴量が管理指標予測モデルに取り込まれ得るから、上記連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、より精度の良い管理指標を予測し得る管理指標予測モデルを生成し得る。このため、より精度良く焼成熱量の管理が可能となる。
【0009】
他の一態様では、上述の連続式焼結機用予測モデル機械学習方法において、前記管理指標予測モデルは、前記連続式焼結機における排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つにさらに基づいて前記管理指標を予測するモデルであり、前記第1学習データセットは、前記管理指標予測モデルに入力される、前記連続式焼結機における排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0010】
このような連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、管理指標予測モデルが破断面画像だけでなく、さらに、連続式焼結機における排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つに基づくので、さらにより精度の良い管理指標を予測し得る管理指標予測モデルを生成し得る。
【0011】
他の一態様では、上述の連続式焼結機用予測モデル機械学習方法において、前記管理指標予測モデルは、前記連続式焼結機における排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つが入力され、前記管理指標を予測するための第1出力を出力する第1サブモデルと、前記破断面画像が入力され、前記管理指標を予測するための第2出力を出力する第2サブモデルと、前記第1および第2出力を結合して、前記管理指標を出力する第3サブモデルとを備える。
【0012】
このような連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、前記連続式焼結機における排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つが入力される第1サブモデルと、前記破断断面画像が入力される第2サブモデルとを備えるので、それぞれの特徴量を機械学習でき、その結果の第1および第2出力を結合するので、さらにより精度の良い管理指標を予測し得る管理指標予測モデルを生成し得る。
【0013】
他の一態様では、これら上述の連続式焼結機用予測モデル機械学習方法において、前記破断面を撮像可能に配設されたカメラによって生成された画像に基づいて、前記シンターケーキが破断する破断タイミングを予測する破断予測モデルを機械学習する第2機械学習工程と、前記第2機械学習工程で前記破断予測モデルを機械学習するために用いられ、前記画像および教師データを含む第2学習データセットを入力する第2学習データ入力工程とをさらに備える。
【0014】
このような連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、破断タイミングを予測する破断予測モデルを機械学習するので、機械学習した管理指標予測モデルで前記管理指標を予測する際に、適切な破断面画像が利用できる。
【0015】
本発明の他の一態様にかかる連続式焼結機用予測モデル機械学習装置は、焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する管理指標予測モデルを機械学習する第1機械学習部と、前記第1機械学習部で前記管理指標予測モデルを機械学習するために用いられ、前記破断面画像および教師データを含む第1学習データセットを入力する第1学習データ入力部とを備える。
【0016】
このような連続式焼結機用予測モデル機械学習装置は、管理指標予測モデルを機械学習するので、破断面画像から人に気付かれない特徴量が管理指標予測モデルに取り込まれ得るから、上記連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、より精度の良い管理指標を予測し得る管理指標予測モデルを生成し得る。このため、より精度良く焼成熱量の管理が可能となる。
【0017】
本発明の他の一態様にかかる連続式焼結機用管理指標予測方法は、焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像を生成する画像生成工程と、前記画像生成工程で生成した破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する機械学習済みの管理指標予測モデルで前記管理指標を予測する管理指標予測工程とを備える。
【0018】
このような連続式焼結機用管理指標予測方法は、上述の連続式焼結機用予測モデル機械学習方法で機械学習した機械学習済みの管理指標予測モデルを用いることで、より精度の良い管理指標を予測し得る。このため、より精度良く焼成熱量の管理が可能となる。
【0019】
本発明の他の一態様にかかる連続式焼結機用管理指標予測装置は、焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部で生成した破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する機械学習済みの管理指標予測モデルで前記管理指標を予測する管理指標予測部とを備える。
【0020】
このような連続式焼結機用管理指標予測装置は、上述の連続式焼結機用予測モデル機械学習装置で機械学習した機械学習済みの管理指標予測モデルを用いることで、より精度の良い管理指標を予測し得る。このため、より精度良く焼成熱量の管理が可能となる。
【0021】
本発明の他の一態様にかかる焼結鉱製造方法は、上述の連続式焼結機用管理指標予測方法と、前記管理指標予測工程で予測した管理指標を出力する出力工程と、前記出力工程で出力された管理指標に基づいて、粉コークス配合量、鉱石配合量、副原料配合量、焼結速度、焼成風量、鉱層厚および富化酸素量のうちの少なくとも1つを調整する調整工程とを備える。
【0022】
このような焼結鉱製造方法は、上述の連続式焼結機用管理指標予測方法を用いることで、より精度の良い管理指標を予測し得るから、より精度良く焼成熱量の管理が可能となる。したがって、所望の品質の成品(焼結鉱)が安定的に得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および連続式焼結機用予測モデル機械学習装置は、より精度良く焼成熱量の管理を可能とする。本発明によれば、これらそれぞれで生成した機械学習済みの管理指標予測モデルで管理指標を予測する連続式焼結機用管理指標予測方法および連続式焼結機用管理指標予測装置、ならびに、前記連続式焼結機用管理指標予測方法を用いた焼結鉱製造方法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態における、連続式焼結機用予測モデル機械学習装置を含む連続式焼結機用管理指標予測装置の構成を示すブロック図である。
図2】連続式焼結機の概略構成を示す模式図である。
図3】前記連続式焼結機用管理指標予測装置における破断予測モデルの構成を示すブロック図である。
図4】一例として、破断タイミングを説明するための時系列に連続した複数の画像を示す図である。
図5】前記連続式焼結機用管理指標予測装置における管理指標予測モデルの構成を示すブロック図である。
図6】一例として、破断面画像として抽出する抽出領域の演算方法を説明するための図である。
図7】一例として、平均化破断面画像の生成方法を説明するための図である。
図8】一例として、標準化測定値の生成方法を説明するための図である。
図9】機械学習に関する前記連続式焼結機用管理指標予測装置の動作を示すフローチャートである。
図10】画像および測定値の収集に関する前記連続式焼結機用管理指標予測装置の動作を示すフローチャートである。
図11】管理指標の予測に関する前記連続式焼結機用管理指標予測装置の動作を示すフローチャートである。
図12】一例として、予測値と実測値との相関性を示す分布図である。
図13】一例として、予測値と実測値との時系列推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0026】
実施形態における連続式焼結機用予測モデル機械学習装置は、第1学習データ入力部と第1機械学習部とを備える。前記第1機械学習部は、焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する管理指標予測モデルを機械学習するものである。前記第1学習データ入力部は、前記第1機械学習部で前記管理指標予測モデルを機械学習するために用いられ、前記破断面画像および教師データを含む第1学習データセットを入力するものである。実施形態における連続式焼結機用管理指標予測装置は、画像生成部と、管理指標予測部とを備える。前記画像生成部は、焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像を生成するものである。前記管理指標予測部は、前記画像生成部で生成した破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する機械学習済みの管理指標予測モデルで前記管理指標を予測するものである。以下、連続式焼結機用予測モデル機械学習装置を含む連続式焼結機用管理指標予測装置ならびにこれに実装された連続式焼結機用予測モデル機械学習方法および連続式焼結機用管理指標予測方法について、より具体的に説明する。
【0027】
図1は、実施形態における、連続式焼結機用予測モデル機械学習装置を含む連続式焼結機用管理指標予測装置の構成を示すブロック図である。図2は、連続式焼結機の概略構成を示す模式図である。図3は、前記連続式焼結機用管理指標予測装置における破断予測モデルの構成を示すブロック図である。図4は、一例として、破断タイミングを説明するための時系列に連続した複数の画像を示す図である。図4Aは、サンプリングタイミングT1の画像を示し、図4Bは、サンプリングタイミングT1の次のサンプリングタイミングT1+1の画像を示し、図4Cは、サンプリングタイミングT1+1の次のサンプリングタイミングT1+2の画像を示し、図4Dは、サンプリングタイミングT1+2の次のサンプリングタイミングT1+3の画像を示し、図4Eは、サンプリングタイミングT1+3の次のサンプリングタイミングT1+4の画像を示し、図4Fは、サンプリングタイミングT1+4の次のサンプリングタイミングT1+5の画像を示し、図4Gは、サンプリングタイミングT1+5の次のサンプリングタイミングT1+6の画像を示す。図5は、前記連続式焼結機用管理指標予測装置における管理指標予測モデルの構成を示すブロック図である。図5Aは、前記管理指標予測モデルの全体構成を示し、図5Bは、前記管理指標予測モデルのCNN部分の構成を示す。図6は、一例として、破断面画像として抽出する抽出領域の演算方法を説明するための図である。図7は、一例として、平均化破断面画像の生成方法を説明するための図である。図8は、一例として、標準化測定値の生成方法を説明するための図である。
【0028】
まず、連続式焼結機について、説明する。連続式焼結機Sは、焼結鉱を連続的に製造する装置であり、例えば、図2に示すように、上流側から下流側へ、複数の原料槽HP、造粒機DMおよび焼結機BKの各設備をこの順で順次に備える。
【0029】
複数の原料槽HPは、例えば、主原料の粉鉱石(例えば粉鉄鉱石)を貯留する鉱石ホッパー、副原料の石灰石を貯留する石灰石ホッパー、および、固体燃料の粉コークスを貯留する粉コークスホッパー等を備える。複数の原料槽HPの下部には、粉鉱石、石灰石および粉コークス等それぞれを所定量切り出す原料槽下切出しフィーダーが配置され、これによって切り出された粉鉱石、石灰石および粉コークス等は、焼結原料(不図示)を形成し、例えばベルトコンベア装置等の搬送装置BCによって次工程の造粒機DMへ運搬され、造粒機DMに投入口から投入される。
【0030】
造粒機DMは、前記焼結原料を造粒して焼結原料の造粒物を生成する装置であり、例えば、ドラムミキサを備える。造粒機DMでは、ドラムミキサを回転しながら水分を前記焼結原料に添加することによって、前記焼結原料の造粒物が生成される。造粒機DMの出側には、例えば図略のベルトコンベア装置等の搬送装置が配置され、前記焼結原料の造粒物は、これによって次工程の焼結機BKへ運搬され、焼結機BKのサージホッパー101に装入される。
【0031】
焼結機BKは、前記焼結原料の造粒物を焼結する装置である。焼結機BKでは、サージホッパー101に装入された前記焼結原料の造粒物は、ドラムフィーダー(ロールフィーダ-)102によって所定量切り出され無端移動式(無限軌道式)のパレット105上に装入され、前記焼結原料の造粒物による鉱石層が形成される。パレット105は、一対のローラ106、106に懸架され、この一対のローラ106、106によって駆動される。前記鉱石層は、サージホッパー101の下流側に配設された点火炉103によって、前記鉱石層の上表面に点火される。パレット105の下部に配設された吸引機107によって空気が吸引され、これによって前記鉱石層内に空気が導入され、前記焼結原料の造粒物における粉コークスが燃焼する。この燃焼による燃焼熱よって前記焼結原料の造粒物が焼き固められ、シンターケーキ(焼結ケーキ)SCになり、パレット105によって下流端の排鉱部に運搬され、排鉱される。排鉱部では、シンターケーキSCは、その自重によって破断し、この破断したシンターケーキSCは、クラッシャー104によって砕かれ、図略の冷却クーラによって冷却され、焼結鉱が生成される。この排鉱部には、シンターケーキSCの破断面を撮像可能に後述のカメラ11が配設されている。
【0032】
このような連続式焼結機Sにおける焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、前記管理指標を予測する管理指標予測モデルを機械学習する連続式焼結機用予測モデル機械学習装置を含み、例えば、図1に示すように、画像生成部1と、センサ群2と、制御処理部3と、入力部4と、表示部5と、インターフェース部(IF部)6と、記憶部7とを備える。
【0033】
画像生成部1は、焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機SにおけるシンターケーキSCの破断面の破断面画像を生成する装置である。画像生成部1は、例えば、カメラ11と、破断面画像抽出部12(32)とを備える。カメラ11は、シンターケーキSCの破断面を撮像可能に配設される。カメラ11は、制御処理部3に有線または無線によって接続され、制御処理部3の制御に従って、画像を生成する装置であり、例えば、カラーデジタルカメラ等である。カメラ11は、その生成した画像を制御処理部3へ出力する。本実施形態では、カメラ11は、所定のサンプリング間隔で撮像し、時系列に連続した複数の画像を生成し、その生成した各画像を制御処理部3へ出力する。破断面画像抽出部12(32)は、制御処理部3に機能的に構成され、カメラ11によって生成された画像から、機械学習済みの後述の破断予測モデルによってシンターケーキSCが破断する破断タイミングを予測し、この予測した破断タイミングの画像を前記破断面画像として抽出するものである。
【0034】
センサ群2は、連続式焼結機Sにおける所定の各所に配設された複数kのセンサ2kを備えて構成される。複数のセンサ2kそれぞれは、制御処理部3に有線または無線によって接続され、制御処理部3の制御に従って、その配設箇所における所定の物理量を測定し、その測定結果を制御処理部3へ出力する。センサ群2における複数のセンサ2kは、連続式焼結機Sにおける排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、前記冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つを測定するセンサを含む。複数のセンサ2kは、本実施形態では、吸引機107の排ガス温度を複数の箇所で測定する複数の温度計を含む。例えば吸引機107における風箱やブロワーでの温度が測定される。複数のセンサ2kは、本実施形態では、吸引機107の排ガス組成(例えばNO、O、COCO等)を複数の箇所で測定するセンサ(例えばNOセンサ、Oセンサ、COセンサ、COセンサ等)を含む。複数のセンサ2kは、本実施形態では、吸引機107の吸引圧力を複数の箇所で測定する複数の圧力計を含む。複数のセンサ2kは、本実施形態では、前記冷却クーラの排ガス温度を複数の箇所で測定する複数の温度計を含む。複数のセンサ2kは、本実施形態では、排鉱以降の成品温度(焼結鉱の温度)を複数の箇所で測定する複数の温度計を含む。これら複数の配設箇所(測定箇所)は、後述の管理指標予測モデルを勘案して予め適宜に設定される。
【0035】
入力部4は、制御処理部3に接続され、例えば、機械学習の開始を指示するコマンドや、管理指標の予測の開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、機械学習の第1および第2学習データセット等の、連続式焼結機用管理指標予測装置Dを動作させる上で必要な各種データを連続式焼結機用管理指標予測装置Dに入力する機器であり、例えば、キーボードや、マウスや、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。表示部5は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、入力部4から入力されたコマンドやデータ、および、カメラ11による画像やセンサ群2による測定結果や予測結果の管理指標等を表示する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置である。
【0036】
なお、入力部4および表示部5は、タッチパネルにより構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部4は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置である。このタッチパネルでは、表示部5の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示部5に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として連続式焼結機用管理指標予測装置Dに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い連続式焼結機用管理指標予測装置Dが提供される。
【0037】
IF部6は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部6は、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってもよい。
【0038】
記憶部7は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。
【0039】
前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、例えば、制御プログラム、破断面画像抽出プログラム、前処理プログラム、管理指標予測プログラム、第1機械学習プログラムおよび第2機械学習プログラム等が含まれる。前記制御プログラムは、連続式焼結機用管理指標予測装置Dの各部1、2、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するプログラムである。前記破断面画像抽出プログラムは、カメラ11によって生成された画像から、機械学習済みの破断予測モデルによってシンターケーキSCが破断する破断タイミングを予測し、この予測した破断タイミングの画像を前記破断面画像として抽出するプログラムである。前記前処理プログラムは、前記管理指標予測プログラムに引き渡す前に、前記破断面画像抽出プログラムで抽出した破断面画像およびセンサ群2における各センサ2kそれぞれで測定した各測定結果に対し、所定の前処理を実施するプログラムである。前記管理指標予測プログラムは、前記画像生成部1で生成した破断面画像(破断面画像抽出プログラムによって抽出した破断面画像)に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測する機械学習済みの管理指標予測モデルで前記管理指標を予測するプログラムである。前記第1機械学習プログラムは、第1学習データセットで管理指標予測モデルを機械学習するプログラムである。前記第2機械学習プログラムは、第2学習データセットで破断予測モデルを機械学習するプログラムである。
【0040】
前記各種の所定のデータには、例えば、前記第1および第2学習データセット、管理指標予測モデル、破断予測モデル、演算途中の各種演算結果、最終的な演算結果等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。
【0041】
このような記憶部7は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部7は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部3のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。また、記憶部7は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0042】
記憶部7は、前記第1学習データセットを記憶する第1学習データ記憶部71および前記第2学習データセットを記憶する第2学習データ記憶部72を機能的に備える。
【0043】
前記第1学習データセットは、前記管理指標予測モデルを機械学習するために用いられ、前記破断面画像およびその教師データを含む。本実施形態では、前記管理指標予測モデルは、焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測するだけでなく、前記連続式焼結機Sにおける排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つにさらに基づいて前記管理指標を予測するモデルであるので、前記第1学習データセットは、前記管理指標予測モデルに入力される、前記連続式焼結機Sにおける排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つをさらに含む。本実施形態では、前記第1学習データセットは、過去実績データから生成された、破断面画像、前記連続式焼結機Sにおける排ガス温度、排ガス組成(NO成分比、O成分比、CO成分比、CO成分比)、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度の各データおよびその教師データを含む第1学習データを、複数、備える。なお、同種の物理量をセンサ2kでも前記センサ2kの配設箇所が異なれば、異なる種類のデータとして扱われる。例えば、配設箇所aに配設された温度計aによって測定された排ガス温度と、前記配設箇所aとは異なる配設箇所bに配設された温度計bによって測定された排ガス温度とは、異なるデータとして扱われる。前記排ガス組成(NO成分比、O成分比、CO成分比、CO成分比)、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度および排鉱以降の成品温度それぞれについても同様である。前記第1学習データセットの教師データは、焼成熱量と好適に相関する、例えばFeO割合等である。
【0044】
前記第2学習データセットは、前記破断予測モデルを機械学習するために用いられ、シンターケーキSCの破断面を撮像可能に配設されたカメラ11によって生成された画像およびその教師データを含む。前記第2学習データセットの教師データは、破断面画像(破断タイミング)であるか否かを表す情報(破断識別情報)である。前記第2学習データセットは、過去実績データから生成される前記画像およびその教師データを含む第2学習データを、複数、備える。
【0045】
このような第1および第2学習データセットそれぞれは、例えば、入力部4から入力され、記憶部7における第1および第2学習データ記憶部71、72それぞれに記憶される。あるいは、例えば、第1および第2学習データセットを記憶した記憶媒体(例えばUSBメモリ等)や記録媒体(例えばCD-R等)からIF部6を介して入力されて記憶されてよく、あるいは例えば、ネットワークおよびIF部6を介して通信可能に接続された、第1および第2学習データセットを管理するサーバ装置から入力されて記憶されてよい。
【0046】
制御処理部3は、連続式焼結機用管理指標予測装置Dの各部1、2、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、破断予測モデルを機械学習し、管理指標予測モデルを機械学習し、機械学習済みの破断予測モデルおよび機械学習済みの管理指標予測モデルを用いて前記画像生成部1で生成した破断面画像(破断面画像抽出部32(12)によって抽出した破断面画像)に基づいて、焼成熱量を管理するための所定の管理指標を予測するための回路である。制御処理部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部3には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部31、破断面画像抽出部32(12)、前処理部33、管理指標予測部34、第1機械学習部35および第2機械学習部36が機能的に構成される。
【0047】
制御部31は、連続式焼結機用管理指標予測装置Dの各部1、2、4~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、連続式焼結機用管理指標予測装置Dの全体の制御を司るものである。
【0048】
破断面画像抽出部32(12)は、上述したように、カメラ11によって生成された画像から、機械学習済みの破断予測モデルによってシンターケーキSCが破断する破断タイミングを予測し、この予測した破断タイミングの画像を前記破断面画像として抽出するものである。
【0049】
前記破断予測モデルは、例えば、公知の、深層学習(ディープラーニング、Deep Learning)の畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)を備えて構成される。より具体的には、本実施形態では、破断予測モデルTMは、図3に示すように、7個の第1ないし第7処理部201~207を備え、この順で直列に接続されている。第1処理部201は、第1畳込み層(Conv1)、第1活性化層(ReLU)および第1プーリング層(Maxpool)を備える。第2処理部202は、第1ドロップアウト層(Dropout)を備える。第3処理部203は、第2畳込み層(Conv1)、第2活性化層(ReLU)および第2プーリング層(Maxpool)を備える。第4処理部204は、第2ドロップアウト層(Dropout)を備える。第5処理部205は、第1リニア層(Linear)を備える。第6処理部206は、第2リニア層(Linear)を備える。第7処理部207は、ソフトマックス層(Softmax)を備える。前記第1および第2畳込み層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が同一であり、当該層の入力画像に対し畳み込み演算(所定の画像フィルタ(Kernel)によるフィルタリング)を実行するものであり、前記入力画像の特徴を抽出する。前記第1および第2活性層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が同一であり、畳込み層とプーリング層との間でデータの伝播のさせ方を調整するものであり、本実施形態では、ReLU関数を備えて構成される。このReLU関数は、入力が0以下の場合、0を出力し、入力が0を超えている場合、その値をそのまま出力する関数であり、機械学習が速くなるというメリットがある。なお、ReLU関数に代え、シグモイド関数やtanh関数等であってもよい。前記第1および第2プーリング層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が同一であり、当該層の出力(特徴マップ)のサイズを、所定の処理で小さくするものである。前記所定の処理には、本実施形態では、例えば、マックスプーリングが用いられる。このマックスプーリングは、例えば12×12サイズの特徴マップを3×3サイズに縮小する場合、12×12サイズの特徴マップを4×4サイズの9個の領域に分け、各領域の中で各最大値を抽出し、前記3×3サイズの各値とする。なお、前記マックスプーリングに代え、領域の平均値を求めるアベレージプリングが用いられてもよい。前記第1および第2ドロップアウト層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が同一であり、過学習を回避するものであり、複数のノードを備え、機械学習の更新ごと、前記複数のノードを一定確率でランダムに選択して非活性化(無効化)するものである。前記第1および第2リニア層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が同一であり、入力層と出力層との間に2層の中間層(合計4層)を備える全結合のニューラルネットワークである。前記ソフトマックス層は、入力を確率に変換して出力するためのソフトマックス関数を備えて構成され、0~1の数値を出力する。第1処理部201の前記第1畳込み層は、3個の入力チャンネルおよび16個の出力チャンネルを備え、第1処理部201は、16個の出力チャンネルを備える。カメラ11は、カラー画像を生成するので、このカラー画像から、赤画素値から成るR画像、緑画素値から成るG画像および青画素値から成るB画像が生成され、これら3個のR画像、G画像およびB画像それぞれが前記3個の入力チャネルそれぞれに入力される。カラーの成分ごとに機械学習することで、より適切に破断面画像の特徴が抽出できる。第3処理部203の前記第2畳込み層は、16個の入力チャンネルおよび8個の出力チャンネルを備え、第3処理部203は、8個の出力チャンネルを備える。第5処理部205の前記第1リニア層は、8個の入力ノードおよび4個の出力ノードを備え、第5処理部205は、4個の出力ノードを備える。第6処理部206の前記第2リニア層は、4個の入力ノードおよび2個の出力ノードを備え、第6処理部206は、2個の出力ノードを備える。第7処理部207の前記ソフトマックス層は、2個の入力チャンネルおよび1個の出力ノードを備え、第7処理部207は、1個の出力ノードを備える。これにより第1処理部201に入力された画像が破断面画像であるか否かを確率で、第7処理部207が出力する。
【0050】
このような構成の機械学習済みの破断予測モデルTMには、例えば、カメラ11で生成された図4に示す時系列に連続した複数の画像が順次に入力され、前記機械学習済みの破断予測モデルTMは、各画像ごとに、破断面画像であるか否かを判定する。例えば、破断面画像抽出部32(12)は、前記機械学習済みの破断予測モデルの出力と予め設定された所定の閾値(破断面画像判定閾値)とを比較し、破断面画像であるか否かを判定する。例えば、前記破断面画像判定閾値は、0.5とされ、破断面画像抽出部32(12)は、前記機械学習済みの破断予測モデルTMの出力が0.5以下である場合、入力の画像が破断面画像ではないと判定し、前記機械学習済みの破断予測モデルTMの出力が0.5を超えている場合、入力の画像が破断面画像であると判定する。図4に示す例では、図4Aおよび図4Gに示す各画像が破断面画像と判定され、図4Bないし図4Fに示す各画像が破断面画像ではないと判定される。なお、上述の第2学習データセットでは、このような図4に示す各画像と各画像それぞれに付された各破断識別情報(教師データ)を備えて各第2学習データが構成され、前記第2学習データセットは、このような第2学習データを、複数、備える。
【0051】
管理指標予測部34は、前記画像生成部1で生成した破断面画像に基づいて、機械学習済みの管理指標予測モデルで管理指標を予測するものである。
【0052】
前記管理指標予測モデルは、例えば、ニューラルネットワークおよびCNNを備えて構成される。より具体的には、本実施形態では、管理指標予測モデルVMは、図5に示すように、前記連続式焼結機Sにおける排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つが入力され、前記管理指標を予測するための第1出力を出力する第1サブモデル301と、前記破断断面画像が入力され、前記管理指標を予測するための第2出力を出力する第2サブモデル302と、前記第1および第2出力を結合して、前記管理指標を出力する第3サブモデル303とを備える。本実施形態では、第1サブモデル301は、前記連続式焼結機Sにおける排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度の各データが入力され、前記管理指標を予測するための第1出力を出力する。
【0053】
第1サブモデル301は、ニューラルネットワークを備えて構成され、より具体的には、図5Aに示すように、4個の第11ないし第14処理部3011~3014を備え、この順で直列に接続されている。第11処理部3011は、第11リニア層を備え、第12処理部3012は、第12リニア層を備え、第14処理部3014は、第13リニア層を備える。第13処理部3013は、第11ドロップアウト層を備える。これら第11ないし第13リニア層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が前記第1および第2リニア層と同一であり、前記第11ドロップアウト層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が前記第1および第2ドロップアウト層と同一である。第11処理部3011の前記第11リニア層は、38個の入力ノードおよび15個の出力ノードを備え、第11処理部3011は、15個の出力ノードを備える。第12処理部3012の前記第12リニア層は、15個の入力ノードおよび15個の出力ノードを備え、第12処理部3012は、15個の出力ノードを備える。第14処理部3014の前記第13リニア層は、15個の入力ノードおよび5個の出力ノードを備え、第14処理部3014は、5個の出力ノードを備える。第11処理部3011には、連続式焼結機Sにおける複数の配設箇所それぞれで測定した複数の排ガス温度、連続式焼結機Sにおける複数の配設箇所それぞれで測定した複数の排ガス組成、連続式焼結機Sにおける複数の配設箇所それぞれで測定した複数の吸引圧力、連続式焼結機Sにおける複数の配設箇所それぞれで測定した複数の冷却クーラの排ガス温度、連続式焼結機Sにおける複数の配設箇所それぞれで測定した複数の排鉱以降の成品温度の、合計38個の各データが入力され、第14処理部3014から、管理指標を予測するための特徴量(センサ測定特徴量)が出力される。
【0054】
第2サブモデル302は、CNNを備えて構成され、より具体的には、図5Aに示すように、10個の第21-1ないし第21-10処理部3021-1~3021-10と、4個の第22ないし25処理部3022~3025とを備え、10個の第21-1ないし第21-10処理部3021-1~3021-10は、並列であり、4個の第22ないし25処理部3022~3025は、この順で直列に接続され、10個の第21-1ないし第21-10処理部3021-1~3021-10の各出力は、第22処理部3022の入力に接続される。10個の第21-1ないし第21-10処理部3021-1~3021-10は、同一構成であり、図5Bに示すように、9個の第31ないし第39処理部30211~30219を備え、この順で直列に接続されている。第31処理部30211は、第31畳込み層、第31活性化層および第31プーリング層を備える。第32処理部30212は、第31ドロップアウト層を備える。第33処理部30213は、第32畳込み層、第32活性化層および第32プーリング層を備える。第34処理部30214は、第31リニア層を備える。第35処理部30215は、第32ドロップアウト層を備える。第36処理部30216は、第32リニア層を備える。第37処理部30217は、第33ドロップアウト層を備える。第38処理部30218は、第33リニア層を備える。第39処理部30219は、第34リニア層を備える。前記第31および第32畳込み層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が前記第1および第2畳込み層と同一であり、前記第31および第32活性化層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が前記第1および第2活性化層と同一であり、前記第31および第32プーリング層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が前記第1および第2プーリング層と同一である。前記第31ないし第33ドロップアウト層は、入力チャネル数および出力チャネル数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が前記第1および第2ドロップアウト層と同一であり、前記31ないし第34リニア層は、入力ノード数および出力ノード数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が前記第1および第2リニア層と同一である。第31処理部30211の前記第31畳込み層は、前記第1畳込み層と同様に、3個の入力チャンネルおよび16個の出力チャンネルを備え、第31処理部30211は、16個の出力チャンネルを備える。第33処理部30213の前記第32畳込み層は、16個の入力チャンネルおよび16個の出力チャンネルを備え、第33処理部30213は、16個の出力チャンネルを備える。第34処理部30214の前記第31リニア層は、16枚の4×49の圧縮画像(3次元データ)を1次元データ3136(=16×4×49)に圧縮した入力ノードおよび256個の出力ノードを備え、第34処理部30214は、256個の出力ノードを備える。なお、前記第31リニア層には、縦4×横49×チャンネル数16の各圧縮画像を1次元に圧縮した3136ノードに入力される。第36処理部30216の前記第32リニア層は、256個の入力ノードおよび32個の出力ノードを備え、第36処理部30216は、32個の出力ノードを備える。第38処理部30218の前記第33リニア層は、32個の入力ノードおよび32個の出力ノードを備え、第38処理部30218は、32個の出力ノードを備える。第39処理部30219の前記第34リニア層は、32個の入力ノードおよび5個の出力ノードを備え、第39処理部30219は、5個の出力ノードを備える。第31処理部30211には、破断面画像が入力され、第39処理部30319から、管理指標を予測するための特徴量(破断面画像特徴量)が出力される。
【0055】
第3サブモデル303は、第41リニア層を備えて構成される。前記41リニア層は、入力ノード数および出力ノード数が必ずしも互いに同じではないが、その構造が前記第1および第2リニア層と同一である。第3サブモデル303の前記第41リニア層は、10個の入力ノードおよび1個の出力ノードを備え、第3サブモデル303は、1個の出力ノードを備える。第3サブモデル303には、第1および第2サブモデル301、302の各出力が入力され、第3サブモデル303から管理指標が出力される。
【0056】
前処理部33は、管理指標予測部34に引き渡す前に、画像生成部1で生成した破断面画像(破断面画像抽出部12(32)で抽出した破断面画像)およびセンサ群2における各センサ2kそれぞれで測定した各測定結果に対し、所定の前処理を実施するものである。本実施形態では、前記所定の前処理は、破断面画像から、破断面を写し込んだ領域部分の画像(破断面領域画像)を切り出す処理(領域抽出処理)、前記領域部分の位置を補正する処理(切出し位置補正処理)、前記破断面領域画像のサイズを調整する処理(サイズ調整処理)、サイズ調整後の、複数の破断面領域画像を平均化した画像(破断面領域平均画像)を生成する処理(画像平均化処理)、および、前記各測定結果を標準化する処理(標準化処理)を含む。
【0057】
まず、前記領域抽出処理および前記切出し位置補正処理について説明する。画像生成部1の破断面画像抽出部12(32)によって抽出された破断面画像には、シンターケーキSCの破断面を写し込んだ画像領域以外の画像領域も存在する。破断面画像そのものが用いられてもよいが、情報処理量を低減し予測精度を向上するために、破断面画像から破断面を写し込んだ領域部分が切り出される。このため、前記領域抽出処理は、破断面画像抽出部12(32)によって抽出された破断面画像から、破断面を写し込んだ領域部分の破断面領域画像を切り出す処理である。ここで、画像生成部1のカメラ11は、上述したように、シンターケーキSCの破断面を撮像可能に配設され、固定されるので、基本的には、破断面領域画像の領域部分は、破断面画像における特定の位置の領域となる。しかしながら、実際には、シンターケーキSCの破断面の位置は、例えば前記焼結原料の造粒物の切出し量やパレット105の移動に伴う振動等によってばらつくため、前記特定の位置の領域からズレる。前記切出し位置補正処理は、このズレを補正する処理である。より具体的には、図6に示すように、前記特定の位置の領域は、所定サイズの矩形形状に設定され、カメラ11の固定的な配設によって規定される前記特定の位置の領域における4個の第1ないし第4頂点IP1~IP4の各座標値が初期値とされる(IP1(x1、y1)、IP2(x2、y2)、IP3(x3、y3)、IP4(x4、y4);IPm(xm、ym)、m=1、2、3、4)。この初期値xm、ymに補正値△xm、△ymを加算した値xm+△xm、ym+△ymが、今回、破断面画像から破断面領域画像を切り出す際に用いる前記破断面領域画像の領域部分における4個の第1ないし第4頂点TP1~TP4の各座標値となる(TP1(x1+△x1、y1+△y1)、TP2(x2+△x2、y2+△y2)、TP3(x3+△x3、y3+△y3)、TP4(x4+△x4、y4+△y4))。前記補正値△xm、△ymは、今回、破断面領域画像を切り出す破断面画像に対する過去の、複数の破断面画像それぞれでの第1ないし第4頂点TP1~TP4の各座標値における、前記初期値xm、ymからのズレ量(差分)の各平均値である。すなわち、時点tjでの第1ないし第4頂点TP1~TP4の各座標値をxm_tj、ym_tjとし、過去の複数の破断面画像の枚数をn+1とした場合、前記補正値△xm、△ymは、△xm=(Σ(xm-xm_tj))/(n+1)、△ym=(Σ(ym-ym_tj))/(n+1)である。ここで、Σは、jについて0からnまでの和を求める。したがって、今回、破断面画像から破断面領域画像を切り出す場合、前処理部33は、まず、前記切出し位置補正処理として、前記補正値△xm、△ymを求め、そして、前記領域抽出処理として、今回の破断面画像から、第1ないし第4頂点TP1(x1+△x1、y1+△y1)、TP2(x2+△x2、y2+△y2)、TP3(x3+△x3、y3+△y3)、TP4(x4+△x4、y4+△y4)の矩形形状の領域部分の画像を、前記破断面領域画像として切り出す。
【0058】
次に、前記サイズ調整処理について説明する。上述のように、前記切出し位置補正処理が実施されるので、破断面領域画像のサイズが多少ばらつく。その一方、管理指標予測モデルVMの第2サブモデル302に入力される画像のサイズは、固定である。このため、前記サイズ調整処理は、破断面領域画像のサイズと第2サブモデル302の入力における画像のサイズとを比較し、不一致の場合に、第2サブモデル302の入力における画像のサイズとなるように前記破断面領域画像のサイズを調整する処理である。より具体的には、前処理部33は、前記サイズ調整処理として、破断面領域画像のサイズと第2サブモデル302の入力における画像のサイズとを比較し、この比較の結果、破断面領域画像のサイズが第2サブモデル302の入力における画像のサイズより小さい場合、第2サブモデル302の入力における画像のサイズとなるように、例えば画素の線形補間によって前記破断面領域画像を拡大し、前記比較の結果、破断面領域画像のサイズが第2サブモデル302の入力における画像のサイズより大きい場合、第2サブモデル302の入力における画像のサイズとなるように、例えば画素を間引くことによって前記破断面領域画像を縮小する。
【0059】
次に、前記画像平均化処理について説明する。管理指標予測モデルVMにおける第2サブモデル302は、本実施形態では、並列に複数の第21処理部3021を備え、今回から過去における複数の破断面画像に基づく複数の画像が入力されるように構成されている。図5に示す例では、10個の画像が管理指標予測モデルVMにおける第2サブモデル302に入力される。ここで、管理指標予測モデルVMにおける第2サブモデル302には、前記今回の破断面領域画像そのもの、および、前記過去の9個の破断面領域画像それぞれのそのものが入力されてよいが、本実施形態では、ノイズを低減するために、今回から過去へ、所定時間TWごとに破断面領域画像を平均化した10個の破断面領域平均画像が入力される。このため、前記画像平均化処理は、今回から過去へ、所定時間TWごとのそれぞれについて、当該所定時間TWにおける、破断面画像から切り出され、サイズ調整後の破断面領域画像を平均することによって、当該所定時間TWの破断面領域平均画像を生成する処理である。前記平均では、同一画素位置ごとに画素値の平均値が求められ、この求めた画素値の平均値が破断面領域平均画像の画素値とされる。より具体的には、前処理部33は、図7に示すように、まず、今回を時点0とした場合、第1時間範囲0~TWにおける破断面画像から切り出されてサイズ調整後の破断面領域画像を平均することによって、第1時間範囲0~TWの第1破断面領域平均画像を生成する。前処理部33は、次に、第2時間範囲TW~2×TWにおける破断面画像から切り出されてサイズ調整後の破断面領域画像を平均することによって、第2時間範囲TW~2×TWの第2破断面領域平均画像を生成する。以下同様に、前処理部33によって、第3時間範囲2×TW~3×TWについて、第3時間範囲2×TW~3×TWの第3破断面領域平均画像が生成され、第4時間範囲3×TW~4×TWについて、第4時間範囲3×TW~4×TWの第4破断面領域平均画像が生成され、第5時間範囲4×TW~5×TWについて、第5時間範囲4×TW~5×TWの第5破断面領域平均画像が生成され、第6時間範囲5×TW~6×TWについて、第6時間範囲5×TW~6×TWの第6破断面領域平均画像が生成され、第7時間範囲6×TW~7×TWについて、第7時間範囲6×TW~7×TWの第7破断面領域平均画像が生成され、第8時間範囲7×TW~8×TWについて、第8時間範囲7×TW~8×TWの第8破断面領域平均画像が生成され、第9時間範囲8×TW~9×TWについて、第9時間範囲8×TW~9×TWの第9破断面領域平均画像が生成され、第10時間範囲9×TW~10×TWについて、第10時間範囲9×TW~10×TWの第10破断面領域平均画像が生成される。このように生成された10個の第1ないし第10破断面領域平均画像が管理指標予測モデルVMの第2サブモデル302に入力される。
【0060】
次に、前記標準化処理について説明する。前記標準化処理は、前記画像平均化処理に応じて前記所定時間TWにおける、センサ群2の各センサ2kで測定された各測定値を標準化する処理である。より具体的には、前処理部33は、センサ群2の各センサ2kそれぞれについて、今回から過去へ、所定時間TWにおいて、当該センサ2kで測定した各測定値を標準化することによって、当該センサ2kにおける今回の標準化測定結果を生成する。前記標準化では、図8に示すように、今回の測定結果MV0から今回から過去へ所定時間TWにおける各測定結果の平均値AVを減算し、この減算結果を今回から過去へ所定時間TWにおける各測定結果の標準偏差SGで除算することによって、この除算結果として今回の標準化測定結果NMVが求められる(NMV=(MV0-AV)/SG)。
【0061】
図1に戻って、第1機械学習部35は、記憶部7の第1学習データ記憶部71に記憶された第1学習データセットを用いて未機械学習の管理指標予測モデルを機械学習するものである。機械学習済みの管理指標予測モデルは、記憶部7に記憶される。
【0062】
第2機械学習部35は、記憶部7の第2学習データ記憶部72に記憶された第2学習データセットを用いて未機械学習の破断予測モデルを機械学習するものである。機械学習済みの破断予測モデルは、記憶部7に記憶される。
【0063】
入力部4(またはIF部6)、第1機械学習部35、第1学習データ記憶部71、第2機械学習部36および第2学習データ記憶部72は、連続式焼結機用予測モデル機械学習装置の一例を相当する。なお、図1に示す例では、センサ群2、制御処理部3および記憶部7は、連続式焼結機用予測モデル機械学習装置に含まれる。画像生成部1、管理指標予測部34および記憶部7は、連続式焼結機用管理指標予測装置の一例に相当する。なお、図1に示す例では、センサ群2、制御処理部3、表示部5および記憶部7は、前記連続式焼結機用管理指標予測装置に含まれる。
【0064】
次に、本実施形態の動作について説明する。図9は、機械学習に関する前記連続式焼結機用管理指標予測装置の動作を示すフローチャートである。図10は、画像および測定値の収集に関する前記連続式焼結機用管理指標予測装置の動作を示すフローチャートである。図11は、管理指標の予測に関する前記連続式焼結機用管理指標予測装置の動作を示すフローチャートである。
【0065】
このような構成の、連続式焼結機用予測モデル機械学習装置を含む連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部3には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部51、温度調整部52、回転速度演算部53、回転速度調整部54、フィードバック制御部55および機械学習部56が機能的に構成され、温度調整部52には、予測部521および判定部522が機能的に構成される。
【0066】
まず、機械学習に関する連続式焼結機用管理指標予測装置Dの動作について説明する。図9において、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、入力部4またはIF部6からの第1学習データセットの、ユーザ(オペレータ)による入力を受け付け、制御処理部3によって、この第1学習データセットを記憶部7の第1学習データ記憶部71に記憶する(S11、第1学習データ入力工程)。
【0067】
続いて、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、入力部4またはIF部6からの第2学習データセットの、ユーザによる入力を受け付け、制御処理部3によって、この第2学習データセットを記憶部7の第2学習データ記憶部72に記憶する(S12、第1学習データ入力工程)。
【0068】
続いて、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、制御処理部3の第1機械学習部35によって、第1学習データ記憶部71に記憶された第1学習データセットを用いて未機械学習の管理指標予測モデルを機械学習し、この機械学習済みの管理指標予測モデルを記憶部7に記憶する(S13、第1機械学習工程)。
【0069】
そして、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、制御処理部3の第2機械学習部36によって、第2学習データ記憶部72に記憶された第2学習データセットを用いて未機械学習の破断予測モデルを機械学習し、この機械学習済みの破断予測モデルを記憶部7に記憶し(S14、第1機械学習工程)、本処理を終了する。
【0070】
このように連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、未機械学習の管理指標予測モデルおよび未機械学習の破断予測モデルを機械学習する。
【0071】
次に、画像および各測定値の収集に関する連続式焼結機用管理指標予測装置Dの動作について説明する。
【0072】
図10において、サンプリングタイミングになると、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、制御処理部3の制御部31によって、カメラ11で生成した画像を前記カメラ11から取得し、この取得した画像を前記サンプリングタイミングの時刻(サンプリング時刻、サンプリングの回数)と対応付けて記憶部7に記憶し、センサ群2の各センサ2kそれぞれで測定した各測定結果を前記各センサ2kそれぞれから取得し、この取得した各測定結果を、測定元のセンサ2kおよび前記サンプリングタイミングの時刻(サンプリング時刻、サンプリングの回数)と対応付けて記憶部7に記憶する(S21、画像測定結果取得工程)。
【0073】
続いて、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、制御処理部3の破断面画像抽出部32(12)によって、前記処理S21で取得した画像が破断面画像であるか否かを判定する(S22、破断面画像特定工程)。より具体的には、破断面画像抽出部32(12)は、前記処理S21で取得した画像を破断予測モデルTMに入力し、その出力値を破断面画像判定閾値0.5と比較する。この比較の結果、破断面画像抽出部32(12)は、前記出力値が破断面画像判定閾値0.5以下である場合、前記入力の画像が破断面画像ではないと判定し(No)、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、次に、処理S24を実行する。前記比較の結果、前記出力値が破断面画像判定閾値0.5を超えている場合、前記入力の画像が破断面画像であると判定し(Yes)、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、次に、処理S23を実行する。
【0074】
なお、処理S21および処理S22は、焼結鉱を連続的に製造する連続式焼結機におけるシンターケーキの破断面の破断面画像を生成する画像生成工程の一例に相当する。
【0075】
前記処理S23(破断面画像マーキング工程)では、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、制御処理部3の破断面画像抽出部32(12)によって、前記処理S21で取得した画像が破断面画像であることを表す情報(破断面画像フラグ)を、記憶部7に記憶した、前記処理S21で取得した画像にさらに対応付けて記憶部7に記憶し、次に、処理S24を実行する。
【0076】
前記処理S24では、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、制御処理部3によって、終了か否かを判定する。この判定の結果、終了の場合(Yes)には、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、本処理を終了し、一方、前記判定の結果、非終了の場合(No)には、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、処理を処理S21に戻す。例えば、連続式焼結機Sの運転が終了された場合や入力部4から終了を指示するコマンドが入力された場合等では、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、前記終了と判定する。
【0077】
このように連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、カメラ11から画像を収集して記憶し、この画像が破断面画像である場合にはその旨を付し、各センサ2kから各測定結果(各測定値)を収集して記憶する。
【0078】
次に、管理指標の予測に関する前記連続式焼結機用管理指標予測装置Dの動作について説明する。
【0079】
図11において、管理指標の予測の開始を指示するコマンドが入力されると、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、制御処理部3の制御部31によって、直近にサンプリングしたサンプリングタイミングを時点0として、第1ないし第10時間範囲0~TW、TW~2×TW、2×TW~3×TW、3×TW~4×TW、4×TW~5×TW、5×TW~6×TW、6×TW~7×TW、7×TW~8×TW、8×TW~9×TW、9×TW~10×TWそれぞれにおける各破断面画像を、各画像に対応付けられているサンプリング時刻および破断面画像フラグを参照して記憶部7から取得し、前記第1時間範囲0~TWにおける各測定結果を、各測定結果に対応付けられているサンプリング時刻を参照して記憶部7から取得する(S31、破断面画像測定結果取得工程)。なお、ユーザによって前記時点0とする時刻が指定され、入力部4から入力されてもよい。
【0080】
続いて、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、制御処理部3の前処理部33によって、これら各破断面画像および各測定結果に対し、所定の前処理を実施する(S32、前処理工程)。より具体的には、本実施形態では、前処理部33は、まず、第1ないし第10時間範囲0~TW、TW~2×TW、2×TW~3×TW、3×TW~4×TW、4×TW~5×TW、5×TW~6×TW、6×TW~7×TW、7×TW~8×TW、8×TW~9×TW、9×TW~10×TWそれぞれにおける各破断面画像それぞれについて、当該破断面画像に対し、前記切出し位置補正処理を実施して領域抽出処理を実施する。これによって前記各破断面画像それぞれから各破断面領域画像が切り出される。次に、前処理部33は、各破断面領域画像それぞれに対し前記サイズ調整処理を実施する。次に、前処理部33は、第1ないし第10時間範囲0~TW、TW~2×TW、2×TW~3×TW、3×TW~4×TW、4×TW~5×TW、5×TW~6×TW、6×TW~7×TW、7×TW~8×TW、8×TW~9×TW、9×TW~10×TWそれぞれについて、当該時間範囲におけるサイズ調整後の各破断面領域画像に対し、前記画像平均化処理を実施する。これによって第1ないし第10時間範囲0~TW、TW~2×TW、2×TW~3×TW、3×TW~4×TW、4×TW~5×TW、5×TW~6×TW、6×TW~7×TW、7×TW~8×TW、8×TW~9×TW、9×TW~10×TWそれぞれの各破断面領域平均画像が生成される。一方、前処理部33は、前記第1時間範囲0~TWにおける各測定結果に対し、各センサ2kの各測定結果ごとに前記標準化処理を実施する。これによって各センサ2kの各測定結果ごとに時点0の各標準化測定結果が生成される。
【0081】
続いて、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、制御処理部3の管理指標予測部34によって、管理指標を予測する(S33、管理指標予測工程)。より具体的には、本実施形態では、管理指標予測部34は、前記処理S32で生成した各センサ2kそれぞれにおける時点0の各標準化測定結果を、管理指標予測モデルVMの第1サブモデル301に入力するとともに、前記処理S32で生成した第1ないし第10時間範囲0~TW、TW~2×TW、2×TW~3×TW、3×TW~4×TW、4×TW~5×TW、5×TW~6×TW、6×TW~7×TW、7×TW~8×TW、8×TW~9×TW、9×TW~10×TWそれぞれの各破断面領域平均画像を、管理指標予測モデルVMの第2サブモデル302に入力し、管理指標予測モデルVMの出力値を前記時点0での管理指標として得る。前記所定時間TWは、例えば6分とされ、前記時点0から過去6分間の各測定結果による、各センサ2kそれぞれにおける時点0の各標準化測定結果が、管理指標予測モデルVMの第1サブモデル301に入力され、前記時点0から過去1時間の10枚の破断面領域平均化画像が管理指標予測モデルVMの第2サブモデル302に入力される。
【0082】
そして、連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、制御処理部3の制御部31によって、この管理指標を表示部5に表示し(S34、表示工程(出力工程))、本処理を終了する。なお、必要に応じて、前記管理指標は、IF部6を介して外部の機器へ出力されてもよい。
【0083】
このように連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、前記時点0での管理指標を予測する。連続式焼結機用管理指標予測装置Dは、略リアルタイムで管理指標を予測できる。
【0084】
次に、一実施例の結果について説明する。図12は、一例として、予測値と実測値との相関性を示す分布図である。図12の横軸は、FeO割合の予測値(管理指標)[%]であり、その縦軸は、FeO割合の実測値(実績値)[%]である。図13は、一例として、予測値と実測値との時系列推移を示すグラフである。図13の横軸は、経過時間(時刻)であり、その縦軸は、FeO割合である。図13において、実線は、FeO割合の予測値(管理指標)を表し、●は、FeO割合の実測値を表す。
【0085】
FeO割合は、通常、6~10[%]であり、図12から分かるように、FeO割合の予測値(管理指標予測モデルVMで予測した管理指標)は、FeO割合の実測値と相関している。その相関係数Rは、0.388であった。
【0086】
図13から分かるように、FeO割合の予測値(管理指標予測モデルVMで予測した管理指標)は、時間経過に対し、FeO割合の実測値と同様に推移している。
【0087】
以上説明したように、実施形態における、連続式焼結機用管理指標予測装置Dに備えられた連続式焼結機用予測モデル機械学習装置およびこれに実装された連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、管理指標予測モデルVMを機械学習するので、破断面画像から人に気付かれない特徴量が管理指標予測モデルVMに取り込まれ得るから、上記連続式焼結機用予測モデル機械学習装置および連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、より精度の良い管理指標を予測し得る管理指標予測モデルVMを生成し得る。このため、より精度良く焼成熱量の管理が可能となる。
【0088】
上記連続式焼結機用予測モデル機械学習装置および連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、管理指標予測モデルVMが破断面画像だけでなく、さらに、連続式焼結機Sにおける排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つに基づくので、さらにより精度の良い管理指標を予測し得る管理指標予測モデルVMを生成し得る。
【0089】
上記連続式焼結機用予測モデル機械学習装置および連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、連続式焼結機Sにおける排ガス温度、排ガス組成、吸引圧力、冷却クーラの排ガス温度、排鉱以降の成品温度のうちの少なくとも1つが入力される第1サブモデル301と、前記破断断面画像が入力される第2サブモデル302とを備えるので、それぞれの特徴量を機械学習でき、その結果の第1および第2出力を結合するので、さらにより精度の良い管理指標を予測し得る管理指標予測モデルVMを生成し得る。
【0090】
上記連続式焼結機用予測モデル機械学習装置および連続式焼結機用予測モデル機械学習方法は、破断タイミングを予測する破断予測モデルTMを機械学習するので、機械学習した管理指標予測モデルVMで前記管理指標を予測する際に、適切な破断面画像が利用できる。
【0091】
実施形態における連続式焼結機用管理指標予測装置Dおよびこれに実装された連続式焼結機用管理指標予測方法は、上述の連続式焼結機用予測モデル機械学習装置および連続式焼結機用予測モデル機械学習方法で機械学習した機械学習済みの管理指標予測モデルVMを用いることで、より精度の良い管理指標を予測し得る。このため、より精度良く焼成熱量の管理が可能となる。
【0092】
なお、上述の実施形態における連続式焼結機用管理指標予測装置Dおよび連続式焼結機用管理指標予測方法を用いて予測した管理指標に基づいて、連続式焼結機Sの操業条件が調整されてもよい。より具体的には、例えば、上述の処理S34で表示または出力された管理指標に基づいて、粉コークス配合量、鉱石配合量、副原料配合量、焼結速度、焼成風量、鉱層厚および富化酸素量のうちの少なくとも1つが調整される。より詳しくは、管理指標(FeO割合)が大きいほど、焼結熱量が大きいことを意味する。このため、管理指標(FeO割合)が相対的に大きい場合(例えば予め設定した閾値(調整判定閾値)以上の場合)、焼結熱量が現状より少なくなるように、前記調整が実施される。例えば、粉コークスは、熱を発生する熱源であるので、前記焼結原料における粉コークス配合量を現状より少なくするように、前記粉コークス配合量が調整される。あるいは例えば、鉱石に結晶水を含む場合、鉱石は、熱を消費(吸収)する消費源(吸熱源)であるので、前記焼結原料における鉱石配合量を現状より多くなるように、前記鉱石配合量が調整される。あるいは例えば、副原料が石灰石である場合、石灰石は、消費源(吸熱源)であるので、前記焼結原料における石灰石配合量を現状より多くなるように、前記石灰石配合量が調整される。あるいは例えば、焼結速度が現状より速くなるように、前記焼結速度が調整される。すなわち、パレット105の速度が現状より速くなるように、前記パレット105の速度が調整される。あるいは例えば、焼成風量が現状より多くなるように、前記焼成風量が調整される。すなわち、吸引機107の吸引量が現状より多くなるように、前記吸引量が調整される。あるいは例えば、鉱層厚が現状より厚くなるように、前記鉱層厚が調整される。すなわち、ドラムフィーダー102の切出し量が現状より多くなるように、前記切出し量が調整される。あるいは例えば、焼結機BKの焼成に、富化酸素が用いられる場合、富化酸素量が現状より少なくなるように、前記富化酸素量が調整される。これら操業条件のうちの複数を組み合わせて調整が実施されてもよい。例えば、前記焼結原料における粉コークス配合量を現状より少なくするように、前記粉コークス配合量が調整されると共に、前記焼結原料における石灰石配合量を現状より多くなるように、前記石灰石配合量が調整される。一方、管理指標(FeO割合)が相対的に小さい場合(例えば前記調整判定閾値未満の場合)、焼結熱量が現状より多くなるように、前記調整が実施される。この場合では、操業条件が上述とは逆に調整が実施される。例えば、前記焼結原料における粉コークス配合量を現状より多くなるように、前記粉コークス配合量が調整される。
【0093】
このような焼結鉱製造方法は、上述の連続式焼結機用管理指標予測装置Dおよび連続式焼結機用管理指標予測方法を用いることで、より精度の良い管理指標を予測し得るから、より精度良く焼成熱量の管理が可能となる。したがって、所望の品質の成品(焼結鉱)が安定的に得ることができる。連続式焼結機用管理指標予測装置Dが略リアルタイムで管理指標を予測できるので、より適切な焼成熱量で焼成が実施でき、成品品質の1つである焼結強度がより適正化できる。さらに、粉コークスの過剰配合の回避が可能となり、生産コストの低減や二酸化炭素の排出量の低減が可能となる。
【0094】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0095】
S 連続式焼結機
D 連続式焼結機用予測モデル機械学習装置を含む連続式焼結機用管理指標予測装置
1 画像生成部
2 センサ群
3 制御処理部
4 入力部
5 表示部
6 インターフェース部(IF部)
7 記憶部
11 カメラ
31 制御部
32(12) 破断面画像抽出部
33 前処理部
34 管理指標予測部
35 第1機械学習部
36 第2機械学習部
71 第1学習データ記憶部
72 第2学習データ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13