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特開2024-142651溶接用雨養生シートの取付方法及び取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142651
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】溶接用雨養生シートの取付方法及び取付構造
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/32 20060101AFI20241003BHJP
   E04G 21/28 20060101ALI20241003BHJP
   B23K 9/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
B23K9/32 Z
B23K9/32 A
E04G21/28 B
B23K9/00 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054888
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598022956
【氏名又は名称】株式会社大同機械
(74)【代理人】
【識別番号】100154357
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】市村 元
(72)【発明者】
【氏名】落合 康全
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 金正
(72)【発明者】
【氏名】石田 正法
(72)【発明者】
【氏名】松岡 明彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大輔
【テーマコード(参考)】
4E081
【Fターム(参考)】
4E081YB03
4E081YY11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】継ぎ目あり鋼管をその上下につなぐ溶接を、雨天でも行うことを可能にする構成を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る雨養生シートSの取付方法は、上側の鋼管1qの位置に第1の両面テープ16を貼り付ける工程と、鋼管1qの溶接肉盛1dに応じた凹形状部を有して第1の両面テープに接する内側面と滑らかな凸湾曲形状を有する外側面とを有する弾性部材18を第1の両面テープ16の外側に貼り付ける工程と、弾性部材の外側面を含む鋼管1qの全周に亘って雨養生シートSが延びるように雨養生シートSの外側から締め付け用ベルト部材で締め付ける工程とを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる溶接肉盛を有する第1の鋼管の上に長手方向に延びる溶接肉盛を有する第2の鋼管を積み重ねて、前記第1の鋼管と前記第2の鋼管との継ぎ目を溶接するとき、前記継ぎ目の上側に設けられる溶接用雨養生シートの取付方法であって、
前記継ぎ目よりも上側の前記第2の鋼管の位置に第1の両面テープの内側接着面が前記第2の鋼管の前記溶接肉盛の箇所を含む領域に貼り付くように前記第1の両面テープを貼り付ける工程と、
前記第2の鋼管の前記溶接肉盛に応じた凹形状部を前記第1の両面テープに接する内側面に有するとともに、前記内側面の裏側に延びる外側面を有する弾性部材であって、前記外側面は前記第2の鋼管の前記溶接肉盛の凸形状より滑らか凸形状を有する弾性部材を前記第1の両面テープの外側接着面に貼り付ける工程と、
前記弾性部材の前記外側面を含む前記第2の鋼管の全周に亘って前記雨養生シートが延びるように、前記雨養生シートの外側から締め付け用ベルト部材で締め付ける工程と
を含む、取付方法。
【請求項2】
前記弾性部材の前記外側面に第2の両面テープの内側接着面が貼り付くように前記第2の両面テープを貼り付ける工程と、
前記雨養生シートが前記第2の鋼管の全周に亘って延びるように、前記第2の両面テープの外側接着面に前記雨養生シートを貼り付ける工程と
を更に含む、
請求項1に記載の取付方法。
【請求項3】
前記第1の両面テープは、1mm以上3mm以下の厚さを有している、
請求項1に記載の取付方法。
【請求項4】
前記第1の両面テープの下側の前記第2の鋼管の位置に、前記雨養生シートを支持する支持部材が配置されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の取付方法。
【請求項5】
長手方向に延びる溶接肉盛を有する第1の鋼管の上に長手方向に延びる溶接肉盛を有する第2の鋼管を積み重ねて、前記第1の鋼管と前記第2の鋼管との継ぎ目を溶接するとき、前記継ぎ目の上側に設けられる溶接用雨養生シートの取付構造であって、
前記継ぎ目よりも上側の前記第2の鋼管の位置に内側接着面が前記第2の鋼管の前記溶接肉盛の箇所を含む領域に貼り付くように貼り付けられる第1の両面テープと、
前記第2の鋼管の前記溶接肉盛に応じた凹形状部を前記第1の両面テープに接する内側面に有するとともに、前記内側面の裏側に延びる外側面を有する弾性部材であって、前記外側面は前記第2の鋼管の前記溶接肉盛の凸形状より滑らか凸形状を有する弾性部材と、
前記弾性部材の前記外側面を含む前記第2の鋼管の全周に亘って前記雨養生シートが延びるように前記雨養生シートの外側に設けられる締め付け用ベルト部材と
を備える、取付構造。
【請求項6】
第2の両面テープであって、前記弾性部材の前記外側面に前記第2の両面テープの内側接着面が貼り付くとともに前記第2の両面テープの外側接着面に前記雨養生シートが貼り付けられる第2の両面テープを更に備えている、
請求項5に記載の取付構造。
【請求項7】
前記第1の両面テープは、1mm以上3mm以下の厚さを有している、
請求項5に記載の取付構造。
【請求項8】
前記第1の両面テープの下側の前記第2の鋼管の位置に設けられる前記雨養生シートの支持用の支持部材を更に備える、
請求項5から7のいずれか一項に記載の取付構造。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶接用雨養生シートの取付方法及び取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨構造などの鉄骨柱を有する建築物の建築工事において、柱を起立させる際には、適宜長さに形成された鉄骨の柱部材を建物の基礎から鉛直方向に積み重ね、各部材の継ぎ目を建築現場で溶接して、柱として起立させている。建築現場での鉄骨柱の溶接作業は、雨などの影響を受ける屋外での作業とほぼ同じ環境で行われることがある。
【0003】
特許文献1は、雨天や風の強い場合でも溶接作業ができるようにする鉄骨柱溶接用仮設防雨防風装置を開示する。鉄骨柱の継ぎ目の溶接作業を行なうため、溶接位置(継ぎ目)から適宜位置離した上方の鉄骨柱に上下2段に骨組み支持部材を配置させる。このとき、上段の骨組み支持部材の骨組み支持枠を鉄骨柱の周囲に固定する際に、骨組み支持枠の柱面当接部と柱面との間に水切り部材の基端を挟んで水切り部材の基端を柱面に密着させる。骨組み支持部材を鉄骨柱に設けたら、上段の骨組み支持部材の四隅に設けられた各支持板と隅部の間に設けられた各支持板とのそれぞれに、パイプアームの基端を連結する。そして、各パイプアームの中程の連結板と、それに対応する下段の骨組み支持部材の支持板との間にパイプ頬杖を設けるとともに、パイプアームの係止突板の間にタイロッドを設けて、鉄骨柱の周囲に骨組みを設ける。骨組みを組み立てたら、骨組みの上面に防雨シートを被せるとともに、骨組みの先端の各タイロッドに防風シートを吊り下げて、防雨防風装置が完成する。この防雨防風装置は、シートで区切られた空間内で溶接作業を行なうことにより、雨や風の影響を受けずに溶接作業を行なうことができ、天候に左右されずにスケジュール通りに作業することが可能となる、と特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-109176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、建築構造用のプレス成形角形鋼管(BCP)など長手方向に延びる溶接部を有する鋼管が実際に用いられている。そのプレス成形角形鋼管は、鋼管の角になる部分をプレス成形し、2つのプレス成形体を対面に配置し、その突き合わせ箇所を溶接することで作成したものである。このような鋼管を鉄骨柱として用いるとき、外面に溶接肉盛が露出し、その溶接肉盛は鉄骨柱の長手方向に連続で延びている。このような継ぎ目(シーム)あり角柱鋼管を建築現場で長手方向つまり上下につなぐため、その継ぎ目の溶接作業を雨天においても行うことが望まれる。しかし、上記特許文献1の装置は、継ぎ目あり角柱鋼管つまり長手方向に延びる溶接肉盛を有する鋼管のそのような溶接肉盛箇所を想定したものではない。
【0006】
本開示の目的は、継ぎ目あり鋼管をその上下につなぐ溶接を、雨天でも行うことを可能にする構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様は、
長手方向に延びる溶接肉盛を有する第1の鋼管の上に長手方向に延びる溶接肉盛を有する第2の鋼管を積み重ねて、前記第1の鋼管と前記第2の鋼管との継ぎ目を溶接するとき、前記継ぎ目の上側に設けられる溶接用雨養生シートの取付方法であって、
前記継ぎ目よりも上側の前記第2の鋼管の位置に第1の両面テープの内側接着面が前記第2の鋼管の前記溶接肉盛の箇所を含む領域に貼り付くように前記第1の両面テープを貼り付ける工程と、
前記第2の鋼管の前記溶接肉盛に応じた凹形状部を前記第1の両面テープに接する内側面に有するとともに、前記内側面の裏側に延びる外側面を有する弾性部材であって、前記外側面は前記第2の鋼管の前記溶接肉盛の凸形状より滑らか凸形状を有する弾性部材を前記第1の両面テープの外側接着面に貼り付ける工程と、
前記弾性部材の前記外側面を含む前記第2の鋼管の全周に亘って前記雨養生シートが延びるように、前記雨養生シートの外側から締め付け用ベルト部材で締め付ける工程と
を含む、取付方法
を提供する。
【0008】
第1の態様の上記構成によれば、第1の鋼管と第2の鋼管との継ぎ目の上側において、雨養生シートと第2の鋼管との間に隙間が生じるのを好適に防ぐことができる。したがって、雨天でも、第1の鋼管と第2の鋼管との継ぎ目の溶接作業を行うことが可能になる。
【0009】
好ましくは、上記取付方法は、前記弾性部材の前記外側面に第2の両面テープの内側接着面が貼り付くように前記第2の両面テープを貼り付ける工程と、前記雨養生シートが前記第2の鋼管の全周に亘って延びるように、前記第2の両面テープの外側接着面に前記雨養生シートを貼り付ける工程とを更に含む。これにより、雨養生シートと第2の鋼管との間に隙間が生じるのをより好適に防ぐことができる。
【0010】
好ましくは、前記第1の両面テープは、1mm以上3mm以下の厚さを有している。この構成によれば、第1の両面テープの厚さ方向においても、厚さ方向において第1の両面テープの材質に応じた弾性変形が可能になり、第1の両面テープはより柔軟に第2の鋼管の表面に延びて貼り付くことができる。同様に、前記第2の両面テープも、1mm以上3mm以下の厚さを有しているとよい。第2の両面テープもこの構成を備えることで、厚さ方向において第2の両面テープの材質に応じた弾性変形が可能になり、第2の両面テープはより柔軟に弾性部材の表面に延びて貼り付くことができる。なお、第1の両面テープ及び第2の両面テープは、それぞれ、厚さ方向にある程度以上の弾性を有するとよく、例えば合成ゴム又は天然ゴムを材料に有するとよく、例えばアクリルゴムを用いて作製されるとよい。これにより、第1の両面テープ及び第2の両面テープは、それぞれ、厚さ方向により確実に弾性変形することが可能になる。ただし、第1の両面テープも、第2の両面テープも、ある程度の回数以上、繰り返し、貼り付けたりはがしたりすることができるとよい。
【0011】
好ましくは、前記第1の両面テープの下側の前記第2の鋼管の位置に、前記雨養生シートを支持する支持部材が配置されている。これにより、第1の鋼管と第2の鋼管との継ぎ目の上側において、雨養生シートをより好適に広げて配置することが可能になる。
【0012】
本開示の第2態様は、
長手方向に延びる溶接肉盛を有する第1の鋼管の上に長手方向に延びる溶接肉盛を有する第2の鋼管を積み重ねて、前記第1の鋼管と前記第2の鋼管との継ぎ目を溶接するとき、前記継ぎ目の上側に設けられる溶接用雨養生シートの取付構造であって、
前記継ぎ目よりも上側の前記第2の鋼管の位置に内側接着面が前記第2の鋼管の前記溶接肉盛の箇所を含む領域に貼り付くように貼り付けられる第1の両面テープと、
前記第2の鋼管の前記溶接肉盛に応じた凹形状部を前記第1の両面テープに接する内側面に有するとともに、前記内側面の裏側に延びる外側面を有する弾性部材であって、前記外側面は前記第2の鋼管の前記溶接肉盛の凸形状より滑らか凸形状を有する弾性部材と、
前記弾性部材の前記外側面を含む前記第2の鋼管の全周に亘って前記雨養生シートが延びるように前記雨養生シートの外側に設けられる締め付け用ベルト部材と
を備える、取付構造
を提供する。
【0013】
第2の態様の上記構成によれば、第1の鋼管と第2の鋼管との継ぎ目の上側において、雨養生シートと第2の鋼管との間に隙間が生じるのを好適に防ぐことができる。したがって、雨天でも、第1の鋼管と第2の鋼管との継ぎ目の溶接作業を行うことが可能になる。
【0014】
好ましくは、上記取付構造は、第2の両面テープであって、前記弾性部材の前記外側面に前記第2の両面テープの内側接着面が貼り付くとともに前記第2の両面テープの外側接着面に前記雨養生シートが貼り付けられる第2の両面テープを更に備えている。この構成によれば、雨養生シートと第2の鋼管との間に隙間が生じるのをより好適に防ぐことができる。
【0015】
好ましくは、前述の第2態様の取付構造において、前記第1の両面テープは、1mm以上3mm以下の厚さを有している。この構成によれば、第1の両面テープの厚さ方向においても、厚さ方向において第1の両面テープの材質に応じた弾性変形が可能になり、第1の両面テープはより柔軟に第2の鋼管の表面に延びて貼り付くことができる。同様に、前記第2の両面テープも、1mm以上3mm以下の厚さを有しているとよい。第2の両面テープもこの構成を備えることで、厚さ方向において第2の両面テープの材質に応じた弾性変形が可能になり、第2の両面テープはより柔軟に弾性部材の表面に延びて貼り付くことができる。なお、第1の両面テープ及び第2の両面テープは、それぞれ、厚さ方向にある程度以上の弾性を有するとよく、例えば合成ゴム又は天然ゴムを材料に有するとよく、例えばアクリルゴムを用いて作製されるとよい。これにより、第1の両面テープ及び第2の両面テープは、それぞれ、厚さ方向により確実に弾性変形することが可能になる。ただし、第1の両面テープも、第2の両面テープも、ある程度の回数以上、繰り返し、貼り付けたりはがしたりすることができるとよい。
【0016】
好ましくは、前述の第2態様の取付構造は、前記第1の両面テープの下側の前記第2の鋼管の位置に設けられる前記雨養生シートの支持用の支持部材を更に備える。これにより、第1の鋼管と第2の鋼管との継ぎ目の上側において、雨養生シートをより好適に広げて配置することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の上記態様によれば、上記構成を備えるので、継ぎ目あり鋼管をその長手方向につなぐ溶接を、雨天でも行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】継ぎ目あり鋼管を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図である。
図2】鋼管の上に別の鋼管を重ねてそれらの継ぎ目を溶接する前に、雨養生シートを取り付ける初期段階を示す正面図である。
図3】鋼管の溶接肉盛周りに形成される隙間例を示す断面模式図である。
図4】(a)は鋼管の溶接肉盛箇所を示す断面図であり、(b)は(a)の鋼管に貼り付けられる第1の両面テープの貼り付け形状を示す図であり、(c)は(b)の第1の両面テープに貼り付けられる弾性部材を示す図であり、(d)は弾性部材に貼り付けられる第2の両面テープの貼り付け形状を示す図である。
図5】弾性部材の斜視図である。
図6】鋼管の溶接肉盛周囲への雨養生シートの取り付け状態を示す上面図である。
図7図6に示す雨養生シートの外側から締め付け用ベルト部材で締め付けたときを示す模式図である。
図8】第2の両面テープ、支持部材などへの雨養生シートの取り付けを説明するための説明図である。
図9】鋼管に雨養生シートが取り付けられたところを示す正面図である。
図10】雨養生シートの取り付けの流れを示す一例としてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示に係る実施形態を添付図に基づいて説明する。同一の部品(又は構成)には同一の符号を付してあり、それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0020】
本開示の一実施形態に係る溶接用雨養生シートの取付方法及び取付構造を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、継ぎ目あり鋼管1を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図である。鋼管1は、プレス成形角形鋼管であり、鋼管の角になる部分をプレス成形して作製した2つのプレス成形体1a、1bを対面に配置し、その突き合わせ箇所を溶接することで作成したものであり、鉄骨柱の全部又は一部つまり柱部材をなす。この鋼管1においては、プレス成形体1a、1bの突き合わせ面つまり継ぎ目がその長手方向1cに延び、そこに溶接肉盛1dが延びている。
【0022】
ここでは、鋼管1は、柱部材となり、上下方向にその長手方向が延びるように設けられる。そして、図2に示すように、その上に、別の鋼管1が重ねられる。図2おいて、下側の鋼管1は第1の鋼管に対応し、符号1pを付し、上側の鋼管1は第2の鋼管に対応し、符号1qを付す。
【0023】
鋼管1pと鋼管1qとの継ぎ目2は一般に溶接接合を施すが、溶接作業は雨天時には実行できない。そこで、雨天時にも溶接作業を実行することでその溶接作業効率を高めるため、その継ぎ目2の上側、好ましくはその継ぎ目2から所定距離上側の位置に、雨養生シートS(図9参照)が取り付けられる。雨養生シートSは、継ぎ目2の溶接時に継ぎ目2の上側の鋼管1qの位置に設けられるので、ある程度以上の耐熱性を有しつつ、水を通さない性質を有するとよい。
【0024】
図2では、鋼管1p上の鋼管1qに、以下説明する取付構造の水浸入防止部構造10、第1骨組み基部12及び第2骨組み基部14が上から順に示されている。なお、第1骨組み基部12及び第2骨組み基部14は、一体に構成されて一つの骨組み基部とされてもよいし、更に分割されてもよい。
【0025】
水浸入防止部構造10には、水が鋼管1qの表面などを伝って雨養生シートSの内側に垂れないように構成されている。一般に、溶接肉盛1dがある鋼管1qにおいて、紐等の部材で単に雨養生シートSを取り付ける場合、図3に模式的に示すように、雨養生シートSの内側に、溶接肉盛1dの周りに隙間Gが形成されてしまう。これは、溶接肉盛1dの表面形状にバラツキがあり、例えば図3に示すように凸湾曲する外面を有するからである。そこで、その隙間Gの形成を防ぐように、以下説明する構成の水浸入防止部構造10が雨養生シートSの取り付けに際して鋼管1qの外面にその全周にわたって設けられる。
【0026】
図4に示すように、水浸入防止部構造10は、両面テープ(以下、第1の両面テープ)16と、弾性部材18と、両面テープ(以下、第2の両面テープ)20とを備える。そして、その第2の両面テープ20の外側に雨養生シートSが貼り付けられ、その上に、締め付け用ベルト部材22が配置される。なお、図面では、第1の両面テープ16及び第2の両面テープ20をそれぞれ破線で示し、それに隣接する部材18、Sなどとの配置関係を見易くする。
【0027】
第1の両面テープ16は、継ぎ目2よりも上側の鋼管1qの位置に内側接着面16aが鋼管1qの溶接肉盛1dの箇所を含む領域に貼り付くように、鋼管1qに直接貼り付けられる。本実施形態では、第1の両面テープ16は、継ぎ目2よりも上側の鋼管1qの位置に内側接着面16aが鋼管1qの溶接肉盛1dの箇所を含む全周にわたって貼り付くように、鋼管1qに直接貼り付けられる。ここでは、第1の両面テープ16は、1mm以上3mm以下の厚さを有しているが、この厚さに限定されない。例えば第1の両面テープ16は、2mmの厚さを有しているとよい。なお、第1の両面テープ16は、厚さ方向に弾性変形可能であるとよく、つまり、厚さ方向にある程度以上の弾性を有するとよく、例えば合成ゴム又は天然ゴムを材料に有するとよく、例えばアクリルゴムを用いて作製されたものであるとよい。そして、第1の両面テープ16は、ある程度の回数以上、繰り返し、貼り付けたりはがしたりすることができるとよい。第1の両面テープ16の幅は、1cm以上あるとよく、好ましくは、2cm以上10cm以下の幅を有するとよいが、この幅に限定されない。
【0028】
弾性部材18は、第1の両面テープ16の外側、つまり、鋼管1qの軸線を中心にするとその軸線の径方向外側に設けられる部材である。弾性部材18は、鋼管1qの溶接肉盛1dの凸形状を、より滑らか凸形状に変換する機能を有するように構成されている。本実施形態では第2の両面テープ20が用いられるので、弾性部材18は、第1の両面テープ16と第2の両面テープ20との間に設けられる。図5に弾性部材18の斜視図を示す。弾性部材18は、鋼管1qの角部を除く箇所に設けられ、鋼管1qの溶接肉盛1dを有する鋼管1qの側面部に配置されるように構成されている。弾性部材18は、ここでは、略三角柱の形状を有する部材である。したがって、弾性部材18は、鋼管1qに対して配置されるとき、上側に位置する上面18dと、下側に位置する下面18eと、それらの間に延びて鋼管1qの周方向に延びるように配置される周側面18fとを有し、周側面18fは、内側面18aと外側面18bとを有して構成されている。特に、周側面18fは、内側面18aと外側面18bのみで実質的に構成されている。弾性部材18の上下方向つまり幅方向Wに対応する幅は第1の両面テープ16の幅に応じた幅を有するとよい。ここでは、上面18dと下面18eは略平行であり、弾性部材18の幅つまり上面18dと下面18eとの間の長さは、第1の両面テープ16の幅と概ね同じ幅を有するが、第1の両面テープ16の幅よりも長くても短くてもよい。弾性部材18の内側面18aは、第1の両面テープ16に接して第1の両面テープ16の外側接着面16bに貼り付く面となる。そして外側面18bは、第2の両面テープ20の内側接着面20aに貼り付く面となる。内側面18aは、平面であるが、鋼管1qの溶接肉盛1dに応じた凹形状部18cをその長手方向Lの概ね中心に有する。凹形状部18cは、幅方向Wに延び、上面18aから下面18eにまで延びる。この凹形状部18cの形状は、可能な限り、鋼管1qの溶接肉盛1dの形状に適合するように設計されるとよい。そして、この凹形状部18cに溶接肉盛1dが嵌まるように弾性部材18は第1の両面テープ16の外側に貼り付けられ得る。弾性部材18の外側面18bは、厚さ方向Tにおいて、つまり、鋼管1qの軸線を中心にするとその軸線の径方向において、内側面18aの裏側に延びる。外側面18bは、弾性部材18の長手方向Lにおいて両端で内側面18aと直接的につながり、内側面18aとつながるその両端で最も薄くその両端から離れた略中央で最も内側面18aから突き出るような山形状を有する。したがって、外側面18bは、凹形状部18cに比べて滑らかな面、つまり、溶接肉盛1dの凸形状より滑らかな凸湾曲形状を有する面として構成されている。図4(a)から(c)より明らかなように、凹形状部18cが対応する溶接肉盛1dの凸湾曲形状よりも、外側面18bの凸湾曲形状は滑らかである。
【0029】
弾性部材18は、ここでは、発砲スチロールから構成されている。したがって、ある程度以上の弾性を有し、外力で圧縮弾性変形することができる。なお、弾性部材18は、発泡スチロールで作製されることに限定されず、発泡スチロール以外の発泡材、合成ゴム、天然ゴムなどの弾性体により構成されてもよい。
【0030】
第2の両面テープ20は、弾性部材18の外側面18bに第2の両面テープ20の内側接着面20aが貼り付くように貼り付けられる。本実施形態では、第2の両面テープ20は、弾性部材18の外側面18bを含む鋼管1qの全周にわたって第2の両面テープ20の内側接着面20aが貼り付くように貼り付けられる。したがって、第2の両面テープ20の内側接着面20aは、部分的に弾性部材18の外側面18bに貼り付き、部分的に第1の両面テープ16の外側接着面16bに貼り付くが、第1の両面テープ16との間に紙などの薄いシート材が配置されて、第1の両面テープ16から離されてもよい。ここでは、第2の両面テープ20は、1mm以上3mm以下の厚さを有しているが、この厚さに限定されない。例えば第2の両面テープ20は、2mmの厚さを有しているとよい。なお、第2の両面テープ20は、厚さ方向に弾性変形可能であるとよく、つまり、厚さ方向にある程度以上の弾性を有するとよく、例えば合成ゴム又は天然ゴムを材料に有するとよく、例えばアクリルゴムを用いて作製されたものであるとよい。そして、第2の両面テープ20は、ある程度の回数以上、繰り返し、貼り付けたりはがしたりすることができるとよい。第2の両面テープ20の幅は、1cm以上あるとよく、好ましくは、2cm以上10cm以下の幅を有するとよいが、この幅に限定されない。ここでは、第2の両面テープ20は、第1の両面テープ16と同じものであり、同じ幅、同じ厚さを有するが、第1の両面テープ16と異なる幅、異なる厚さを有してもよい。また、第2の両面テープ20は、第1の両面テープ16と異なる材料から作製されたものであってもよい。
【0031】
そして、図6に示すように、その第2の両面テープ20の外側接着面20bに、雨養生シートSが貼り付けられる。雨養生シートSは、図2又は図7に示すとき、第2の両面テープ20の上側に、わずかにそのシート生地を残し、多くは第2の両面テープ20つまり水浸入防止部構造10から垂れ下がるように第2の両面テープ20に貼り付けられる。なお、ここでは、雨養生シートSは一枚のシートであり、鋼管1qの周りに巻くように第2の両面テープ20に貼り付けられる。
【0032】
締め付け用ベルト部材22は、鋼管1qの周りに配置された第1の両面テープ16と、弾性部材18と、第2の両面テープ20と、雨養生シートSとをそれらの外側から締めるように用いられる部材である。締め付け用ベルト部材22は、一本のベルト部材であっても、当初から環状部材として構成されていてもよい。所謂荷締めベルトが、締め付け用ベルト部材22として用いられるとよい。
【0033】
図7に示すように、締め付け用ベルト部材22が雨養生シートSの外側から締められるとき、締め付け用ベルト部材22にはそのベルト部材22に沿った力F1、F2が生じ、これにより、雨養生シートS、第2の両面テープ20、弾性部材18及び第1の両面テープ16には、外側から内側への鋼管1qへ押し付ける力F3、F4が作用する。これにより、弾性部材18においては凹形状部18cを潰す方向に力F3、F4が作用し、溶接肉盛1dの周囲の隙間Gを消失させようとする。なお、鋼管1qの溶接肉盛1dごとに、上記の如く、例えば第1の両面テープ16を用いつつ、弾性部材18が設けられることは当然に理解されよう。
【0034】
なお、溶接肉盛1d以外の鋼管1qの外面は概して滑らかである。したがって、第1の両面テープ16、弾性部材18、第2の両面テープ20を用いて、雨養生シートSを貼り付け、更に締め付け用ベルト部材22で締め付けることで、鋼管1qの外側に隙間Gが生じることはまずない。
【0035】
なお、水浸入防止部構造10よりも下側に取り付けられる、第1骨組み基部12及び第2骨組み基部14は、磁石を備え、鋼管1qの外面に取り付けられる。したがって、第1骨組み基部12及び第2骨組み基部14の取り付けは容易である。そして、第1骨組み基部12に、鋼管1qの軸線から径方向に延びるように、複数の支持部材30が取り付けられ、更に、その支持部材30を支えるように第2骨組み基部14に各支持部材30に対応する頬杖部材32が取り付けられる。この支持部材30及び頬杖部材32の取り付けは、雨養生シートSの取り付けの直前又は直後に行われるとよい。図8では、雨養生シートSの取り付けの直前に、支持部材30及び頬杖部材32の取り付けが行われたところを示すが、雨養生シートSの取り付けの後に、支持部材30及び頬杖部材32の取り付けが行われてもよい。雨養生シートSの取り付けの後に、支持部材30及び頬杖部材32の取り付けるときの方が、締め付け用ベルト部材22の取り付けが容易である。なお、図8の矢印は、雨養生シートSを支持部材30及び頬杖部材32の上に載置するように取り付けることを模式的に示すものである。そして、その支持部材30及び頬杖部材32の取り付けは、機械式又は磁石を用いるなどして簡単に着脱自在であるとよい。
【0036】
図9に、上記のようにして取り付けられた雨養生シートSを示す。図9に示す雨養生シートSの取付構造ASは、水浸入防止構造10を含む上記構成を備える。更に、雨養生シートSの上端部Saは、テープ部材40で鋼管1qの外面に固定される。したがって、更に、雨養生シートSの内側に雨水が伝って流れることを防ぐことができる。
【0037】
ここで、継ぎ目2よりも上側の鋼管1qの箇所への雨養生シートSの取り付けの流れの一例を図10のフローチャートに基づいて説明する。ただし、上の説明より、図10に示す工程順以外の様々な工程順が可能であることは理解されよう。
【0038】
まず、第1骨組み基部12及び第2骨組み基部14が取り付けられる(ステップS1001)。そして、第1の両面テープ16が取り付けられる(ステップS1003)。次いで、弾性部材18が取り付けられ(ステップS1005)、第2の両面テープ20が取り付けられ(ステップS1007)、雨養生シートSが取り付けられる(ステップS1009)。その後、締め付け用ベルト部材22が取り付けられ(ステップS1011)、雨養生シートSの上端部Saを固定するためにテープ部材40が取り付けられ(ステップS1013)、そして支持部材30及び頬杖部材32が取り付けられる(ステップS1015)。これにより、雨養生シートSが好適に鋼管1qに取り付けられ、継ぎ目2の溶接が雨天でも可能になる。なお、継ぎ目2の溶接は、作業員が手作業で行ってもよいが、自動溶接機で行われるとよい。
【0039】
上記構成の溶接用雨養生シートの取付方法及び取付構造ASにおける、一部の特徴及びそれによる作用効果を以下説明する。
【0040】
長手方向1cに延びる溶接肉盛1dを有する鋼管1pの上に長手方向1cに延びる溶接肉盛1dを有する第2の鋼管1qを積み重ねて、鋼管1pと鋼管1qとの継ぎ目2を溶接するとき、継ぎ目2の上側に溶接用雨養生シートSが取り付けられる。その取り付けの取付構造ASは、第1の両面テープ16、弾性部材18及び締め付け用ベルト部材22を備える。そして、まず、継ぎ目2よりも上側の鋼管1qの位置に第1の両面テープ16の内側接着面16aが鋼管1qの溶接肉盛1dの箇所を含む領域に貼り付くように第1の両面テープ16を貼り付ける工程が行われる(ステップS1003)。そして、鋼管1qの溶接肉盛1dに応じた凹形状部18cを第1の両面テープ16に接する内側面18aに有するとともに、内側面18aの裏側に延びる外側面18bを有する弾性部材18を第1の両面テープ16の外側接着面16bに貼り付ける工程が行われる(ステップS1005)。このとき、その凹形状部18cに溶接肉盛1dが嵌まるように弾性部材18は第1の両面テープ16の外側に貼り付けられることができる。これにより、鋼管1qの溶接肉盛1dの凸形状を、外側面18bのより滑らか凸形状に変換するように、弾性部材18は機能することができる。その上で、弾性部材18の外側面18bを含む鋼管1qの全周に亘って雨養生シートSが延びるように、雨養生シートSの外側から締め付け用ベルト部材22で締め付ける工程が行われる(ステップS1011)。これにより、鋼管1pとその上の鋼管1qとの継ぎ目2の上側において、雨養生シートSと鋼管1qとの間に隙間Gが生じるのを好適に防ぐことができる。したがって、雨天でも、鋼管1pと鋼管1qとの継ぎ目2の溶接作業を行うことが可能になる。なお、ここでは、ステップS1003において、第1の両面テープ16の内側接着面16aが鋼管1qの溶接肉盛1dの箇所を含む全周にわたって貼り付くように第1の両面テープ16を貼り付ける工程が行われる。したがって、鋼管1qの全周に亘って第1の両面テープ6が設けられ、その全周の多くの箇所において雨養生シートSをより密着保持することが可能になり、隙間Gが生じるのを更に防ぐことが可能になる。
【0041】
更に、上記取付構造ASは、第2の両面テープ20を備えている。したがって、上記取付方法では、弾性部材18を第1の両面テープ16の外側接着面16bに貼り付ける工程(ステップS1005)の次に、弾性部材18の外側面18bに第2の両面テープ20の内側接着面20aが貼り付くように第2の両面テープ20を貼り付ける工程が行われる(ステップS1007)。更に、雨養生シートSが鋼管1qの全周に亘って延びるように、第2の両面テープ20の外側接着面20bに雨養生シートSを貼り付ける工程が行われ(ステップS1009)、その上で、前述の雨養生シートSの外側から締め付け用ベルト部材22で締め付ける工程が行われる(ステップS1011)。これにより、鋼管1pとその上の鋼管1qとの継ぎ目2の上側において、雨養生シートSと鋼管1qとの間に隙間Gが生じるのをより好適に防ぐことができる。なお、取付構造ASの水浸入防止部構造10は、第2の両面テープ20を備えずに構成することもできるが、好ましくは、このように第2の両面テープ20を備えるとよい。また、本実施形態では、第2の両面テープ20は、弾性部材18の外側面18bを含む鋼管1qの全周にわたって貼り付けられるが、弾性部材18の外側面18bの外側のみに、又は、外側面18bとその両脇の第1の両面テープ16の一部の上の限られた範囲のみに貼り付けられてもよい。これにより、第2の両面テープ20が第1の両面テープ16に貼り付く量を抑制し、第2の両面テープ20を有効に活用することが可能になる。
【0042】
また、第1の両面テープ16は、1mm以上3mm以下の厚さを有している。この構成によれば、第1の両面テープ16の厚さ方向においても、厚さ方向において第1の両面テープ20の材質に応じた弾性変形が可能になり、第1の両面テープ16はより柔軟に第2の鋼管1qの表面に延びて貼り付くことができる。同様に、第2の両面テープ20も、1mm以上3mm以下の厚さを有している。第2の両面テープ20もこの構成を備えることで、厚さ方向において第2の両面テープ20の材質に応じた弾性変形が可能になり、第2の両面テープ20はより柔軟に弾性部材18の表面に延びて貼り付くことができる。なお、第1の両面テープ16及び第2の両面テープ20は、それぞれ、厚さ方向にある程度以上の弾性を有するとよく、例えば合成ゴム又は天然ゴムを材料に有するとよく、例えばアクリルゴムを用いて作製されるとよい。これにより、第1の両面テープ16及び第2の両面テープ20は、それぞれ、厚さ方向により確実に弾性変形することが可能になり、よって、好ましくは上記隙間Gの形成をより確実に抑制することができる。ただし、第1の両面テープ16も、第2の両面テープ20も、ある程度の回数以上、繰り返し、貼り付けたりはがしたりすることができるとよい。
【0043】
加えて、第1の両面テープ16の下側の第2の鋼管1qの位置に、雨養生シートSを支持する支持部材30が配置されている。これにより、鋼管1pとその上側の鋼管1qとの継ぎ目2の上側において、雨養生シートSをより好適に広げて配置することが可能になる。
【0044】
なお、雨養生シートSを設けて継ぎ目2の溶接作業を行うことで、継ぎ目2へ水分が至ることをより好適に防ぐことができる。よって、例えば溶接部における水素脆性が生じる可能性をより下げることも可能である。
【0045】
(実施例)
第1の両面テープ16及び第2の両面テープ20として、OTOKU製の両面テープ(厚さ2mm)を使用するとともに、上記形状の弾性部材18を用いて、鋼管1に、雨養生シートSを上記の如く取り付けた。そして、それらの上から鋼管1の表面を介して水を流した。その結果、鋼管の溶接肉盛1dの箇所及びその周囲において、雨養生シートSの内側への雨のしみこみ、雨水の漏れなどは確認されなかった。
【0046】
以上、本開示に係る実施形態及びその変形例について説明したが、本開示はそれらに限定されない。本願の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の置換、変更が可能である。
【0047】
本開示に係る技術は、建築構造用のプレス成形角形鋼管(BCP)以外の鋼管の溶接にも適用可能である。例えば、長手方向に延びる溶接部を有する鋼管の一種である冷間ロール成形角形鋼管(BCR)をつなぐ溶接にも用いられることができる。
【符号の説明】
【0048】
1、1p、1q 鋼管
1d 溶接肉盛
2 継ぎ目
10 水浸入防止部構造
16 両面テープ(第1の両面テープ)
18 弾性部材
20 両面テープ(第2の両面テープ)
22 締め付け用ベルト部材
S 雨養生シート


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10