(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142656
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】投射画像の調整方法、プロジェクションシステム、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20241003BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241003BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H04N5/74 D
H04N23/60 500
G03B21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054897
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】米山 拓応
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C122
【Fターム(参考)】
2K203FA94
2K203GB48
2K203GB62
2K203KA56
2K203MA23
5C058BA35
5C058BB11
5C058EA02
5C058EA03
5C058EA26
5C122EA42
5C122FH11
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB09
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】互いに重なるように投射される複数の画像間の相対的なずれ量及びずれ方向のみが判明している状態で、複数の画像間のずれを補正する。
【解決手段】投射画像の調整方法は、第1位置に第1画像が投射され、第2位置に第1画像と重なる第2画像が投射された状態で第1撮像画像を取得することと、第1撮像画像に基づいて、第1ずれ量と第2ずれ量とを取得することと、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、第1位置から第1方向へ離れた第3位置に第1画像を動かすことと、第3位置に第1画像が投射され、第2位置に第2画像が投射された状態で第2撮像画像を取得することと、第2撮像画像に基づいて、第3ずれ量と第4ずれ量とを取得することと、第3ずれ量及び第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ第3ずれ量が第1ずれ量より大きい場合に、第3位置から第1方向とは逆向きの第2方向へ離れた第4位置に第1画像を動かすことと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プロジェクターによって投射面における第1位置に第1画像が投射され、第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる第2画像が投射された状態で、前記投射面をカメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、
前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、
前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、
前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、
前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、
前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、
を含む、投射画像の調整方法。
【請求項2】
前記第1プロジェクターによって前記第4位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第3撮像画像を取得することと、
前記第3撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第5ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第6ずれ量と、を取得することと、
前記第5ずれ量及び前記第6ずれ量が第3条件を満たし、且つ前記第5ずれ量が前記第3ずれ量より小さい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第4位置から前記第2方向へ第3距離離れた第5位置に前記第1画像を動かすことと、
をさらに含む、請求項1に記載の投射画像の調整方法。
【請求項3】
前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が前記第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より小さい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から前記第1方向へ第4距離離れた第6位置に前記第1画像を動かすこと、をさらに含む、請求項1に記載の投射画像の調整方法。
【請求項4】
前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が前記第1条件を満たさない場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第2軸の一端側へ向かう方向に対応する第3方向へ第5距離離れた第7位置に前記第1画像を動かすことと、をさらに含む、請求項1に記載の投射画像の調整方法。
【請求項5】
前記第1条件は、前記第1ずれ量が前記第2ずれ量より大きいこと、であり、
前記第2条件は、前記第3ずれ量が前記第4ずれ量より大きいこと、である、請求項1に記載の投射画像の調整方法。
【請求項6】
前記第1条件は、前記第1ずれ量が前記第2ずれ量より小さいこと、であり、
前記第2条件は、前記第3ずれ量が前記第4ずれ量より小さいこと、である、請求項1に記載の投射画像の調整方法。
【請求項7】
前記第1プロジェクターが備える第1投射レンズの位置に応じて、前記投射面に投射される前記第1画像の位置が変化し、
前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像を動かすことは、前記第1投射レンズの位置を変化させることにより、前記第1画像を前記第1位置から前記第3位置に動かすこと、を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の投射画像の調整方法。
【請求項8】
前記第1画像は、前記第1プロジェクターが備える第1パネルの表示領域に表示される第1パネル画像に対応し、
前記第1プロジェクターによって前記第1位置から前記第3位置に前記第1画像を動かすことは、前記第1パネルの前記表示領域において前記第1パネル画像が表示される位置を変化させることにより、前記第1位置から前記第3位置に前記第1画像を動かすこと、を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の投射画像の調整方法。
【請求項9】
投射面に第1画像を投射する第1プロジェクターと、
前記投射面に第2画像を投射する第2プロジェクターと、
前記投射面を撮像するカメラと、
を備え、
前記第1プロジェクターは、
前記第1プロジェクターによって前記投射面における第1位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、
前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、
前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、
前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、
前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、
前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、
を行う処理装置を備える、
プロジェクションシステム。
【請求項10】
第1プロジェクターによって投射面における第1位置に第1画像が投射され、第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる第2画像が投射された状態で、前記投射面をカメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、
前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、
前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、
前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、
前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、
前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、
を行う処理装置を備える、情報処理装置。
【請求項11】
第1プロジェクターによって投射面における第1位置に第1画像が投射され、第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる第2画像が投射された状態で、前記投射面をカメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、
前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、
前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、
前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、
前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、
前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、
をコンピューターに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射画像の調整方法、プロジェクションシステム、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のプロジェクターによって互いに重なるように投射される複数の投射画像間の画素ずれ量及び画素ずれ方向を検出する技術が開示されている。この技術では、複数の投射画像が重なる重畳領域を撮像することで撮像画像を取得し、撮像画像に対して2次元フーリエ変換処理を適用することで得られる周波数スペクトル画像に基づいて、画素ずれ量及び画素ずれ方向を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、複数の投射画像間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向を検出できるが、どの投射画像がどの方向にずれているかを判定することはできない。言い換えれば、特許文献1の技術では、各投射画像の絶対的な画素ずれ方向を検出することはできない。また、特許文献1には、相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向のみが判明している状態で、どのように複数の投射画像間の画素ずれを補正するのかが具体的に説明されていない。そのため、特許文献1に開示された技術内容に基づいて、互いに重なる複数の投射画像間の画素ずれを補正することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様の投射画像の調整方法は、第1プロジェクターによって投射面における第1位置に第1画像が投射され、第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる第2画像が投射された状態で、前記投射面をカメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、を含む。
【0006】
本発明の一つの態様のプロジェクションシステムは、投射面に第1画像を投射する第1プロジェクターと、前記投射面に第2画像を投射する第2プロジェクターと、前記投射面を撮像するカメラと、を備え、前記第1プロジェクターは、前記第1プロジェクターによって前記投射面における第1位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、を行う処理装置を備える。
【0007】
本発明の一つの態様の情報処理装置は、第1プロジェクターによって投射面における第1位置に第1画像が投射され、第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる第2画像が投射された状態で、前記投射面をカメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、を行う処理装置を備える。
【0008】
本発明の一つの態様のプログラムは、第1プロジェクターによって投射面における第1位置に第1画像が投射され、第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる第2画像が投射された状態で、前記投射面をカメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のプロジェクションシステムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】プロジェクターの概略的な構成を示すブロック図である。
【
図3】画素ずれ補正処理を示すフローチャートである。
【
図6】プロジェクションシステムの第1動作例を表で示す図である。
【
図8】プロジェクションシステムの第2動作例を表で示す図である。
【
図10】プロジェクションシステムの第3動作例を表で示す図である。
【
図12】プロジェクションシステムの第4動作例を表で示す図である。
【
図14】第2実施形態のプロジェクションシステムの概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせている場合がある。
【0011】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態におけるプロジェクションシステム1の概略的な構成を示す図である。プロジェクションシステム1は、複数のプロジェクター10から投射面200に投射される複数の画像をタイリングすることにより、投射面200に1つの画像を表示するマルチプロジェクションシステムである。投射面200は、専用の投射スクリーンでもよいし、壁面などの物体の表面でもよい。
【0012】
一例として、プロジェクションシステム1は、2台のプロジェクター10と、カメラ80と、を備える。以下の説明では、一方のプロジェクター10を、「第1プロジェクター10A」と呼称し、他方のプロジェクター10を、「第2プロジェクター10B」と呼称する場合がある。第1プロジェクター10Aは、投射面200に第1画像100Aを投射する。第2プロジェクター10Bは、投射面200に第2画像100Bを投射する。
【0013】
第1プロジェクター10Aは、投射面200における第1位置に第1画像100Aを投射する。第2プロジェクター10Bは、投射面200における第2位置に、少なくとも一部が第1画像100Aと重なる第2画像100Bを投射する。例えば、第1画像100Aの中心位置が第1位置と一致し、第2画像100Bの中心位置が第2位置と一致する。以下の説明では、第1画像100Aと第2画像100Bとが互いに重なる領域110を、「重畳領域110」と呼称する場合がある。
【0014】
第1プロジェクター10Aは、第2プロジェクター10Bと通信する。第1プロジェクター10Aと第2プロジェクター10Bとの間の通信は、有線通信でもよいし、無線通信でもよい。例えば、無線通信の場合には、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信が採用されてもよい。
【0015】
カメラ80は、投射面200を撮像する。カメラ80は、投射面200の全体を撮像する必要はなく、少なくとも重畳領域110を含む領域を撮像すればよい。言い換えれば、少なくとも重畳領域110が、カメラ80の画角内に収まればよい。例えば、カメラ80は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の通信ケーブルを介して第1プロジェクター10Aと接続される。
【0016】
カメラ80は、第1プロジェクター10Aからカメラ80に送信される撮像要求信号に従って投射面200を撮像し、投射面200の撮像画像を示す撮像画像データを第1プロジェクター10Aに出力する。カメラ80は、第1プロジェクター10Aから離れた位置に配置されてもよいし、第1プロジェクター10Aの筐体に装着されてもよい。または、カメラ80は、第1プロジェクター10Aの筐体の内部に配置されてもよい。すなわち、第1プロジェクター10Aがカメラ80を備えていてもよい。
【0017】
図1では、グローバル座標系の座標軸として、X軸と、X軸に直交するY軸とを付記する。X軸は、第1画像100Aと第2画像100Bとが含まれる矩形の投射領域の横辺に平行な軸であり、Y軸は、投射領域の縦辺に平行な軸である。各軸の矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を-方向とする。以下では、説明の便宜上、カメラ80の画像座標系、すなわちカメラ80から得られる撮像画像の座標系と、各プロジェクター10の固有のローカル座標系とが、グローバル座標系と一致すると仮定する。
【0018】
図2は、プロジェクター10の概略的な構成を示すブロック図である。プロジェクター10は、光学装置20と、入力装置30と、通信装置40と、スピーカー50と、メモリー60と、処理装置70と、を備える。
【0019】
光学装置20は、光源21と、液晶パネル22と、投射レンズ23と、アクチュエーター24と、を備える。光源21は、白色光L1を液晶パネル22に出射する。例えば、光源21は、水銀ランプ、キセノンランプ、LED(Light Emitting Diode)、またはレーザー光源などである。光源21から出射される白色光L1の光量は、処理装置70によって制御される。
【0020】
液晶パネル22は、例えば、画素ごとに画素スイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)を備えたアクティブ駆動型の液晶パネルである。液晶パネル22の各画素の光透過率は、処理装置70によって制御される。その結果、液晶パネル22は光変調装置として機能する。液晶パネル22は、光源21から入射される白色光L1を変調することにより、赤色、緑色及び青色の混合色を有する画像光L2を投射レンズ23に出射する。なお、光学装置20は、1つ以上の液晶パネル、または1つ以上のDMD(Digital Mirror Device)を備える構成としてもよい。
【0021】
液晶パネル22の画像座標系、すなわちパネル画像座標系は、プロジェクター10のローカル座標系と一致する。上記のように、本実施形態では、プロジェクター10のローカル座標系がグローバル座標系と一致すると仮定しているため、パネル画像座標系もグローバル座標系と一致する。
【0022】
以下の説明では、第1プロジェクター10Aが備える液晶パネル22を、「第1液晶パネル22A」と呼称し、第2プロジェクター10Bが備える液晶パネル22を、「第2液晶パネル22B」と呼称する場合がある。
【0023】
投射面200に投射される第1画像100Aは、第1プロジェクター10Aが備える第1液晶パネル22Aの表示領域に表示される第1パネル画像に対応する。投射面200に投射される第2画像100Bは、第2プロジェクター10Bが備える第2液晶パネル22Bの表示領域に表示される第2パネル画像に対応する。
【0024】
投射レンズ23は、複数のレンズを備え、液晶パネル22から入射される画像光L2を投射面200に拡大投射する。プロジェクター10が第1プロジェクター10Aである場合、投射レンズ23から投射面200に投射される画像光L2が、第1画像100Aに対応する。プロジェクター10が第2プロジェクター10Bである場合、投射レンズ23から投射面200に投射される画像光L2が、第2画像100Bに対応する。
【0025】
以下の説明では、第1プロジェクター10Aが備える投射レンズ23を、「第1投射レンズ23A」と呼称し、第2プロジェクター10Bが備える投射レンズ23を、「第2投射レンズ23B」と呼称する場合がある。
【0026】
アクチュエーター24は、プロジェクター10のローカル座標系における投射レンズ23の位置を調整する。上記のように、本実施形態では、プロジェクター10のローカル座標系がグローバル座標系と一致すると仮定しているため、投射レンズ23は、X軸及びY軸のそれぞれに沿って移動可能である。例えば、アクチュエーター24は、モーターと、モーターの回転運動を投射レンズ23の二軸直線運動に変換する装置などを備える。アクチュエーター24の動作は、処理装置70によって制御される。
【0027】
以下の説明では、第1プロジェクター10Aが備えるアクチュエーター24を、「第1アクチュエーター24A」と呼称し、第2プロジェクター10Bが備えるアクチュエーター24を、「第2アクチュエーター24B」と呼称する場合がある。
【0028】
第1アクチュエーター24Aによって、第1投射レンズ23Aの位置が調整されることにより、第1画像100Aの投射位置の調整、フォーカス調整、及びズーム調整などが行われる。すなわち、第1プロジェクター10Aが備える第1投射レンズ23Aの位置に応じて、投射面200に投射される第1画像100Aの位置が変化する。
【0029】
第2アクチュエーター24Bによって、第2投射レンズ23Bの位置が調整されることにより、第2画像100Bの投射位置の調整、フォーカス調整、及びズーム調整などが行われる。すなわち、第2プロジェクター10Bが備える第2投射レンズ23Bの位置に応じて、投射面200に投射される第2画像100Bの位置が変化する。
【0030】
入力装置30は、プロジェクター10に対するユーザーの入力操作を受け付ける装置である。一例として、入力装置30は、操作パネル31と、受光器32と、を含む。操作パネル31は、プロジェクター10に設けられた複数の操作キーから構成される。例えば、操作キーは、電源キー、メニュー呼び出しキー、方向キー、決定キー、および音量調整キーなどを含む。操作キーは、ハードウェアキーでもよいし、或いはプロジェクター10に設けられたタッチパネルに表示されるソフトウェアキーでもよい。操作パネル31は、各操作キーがユーザーによって操作されることで生じる電気信号を操作信号として処理装置70に出力する。
【0031】
受光器32は、プロジェクター10のリモートコントローラー(図示省略)から送信される赤外光を受光して電気信号に変換する光電変換回路を含む。受光器32は、赤外光の光電変換によって得られた電気信号をリモート操作信号として処理装置70に出力する。リモートコントローラーには、操作パネル31と同様に複数の操作キーが設けられている。リモートコントローラーは、リモートコントローラーに設けられた各操作キーがユーザーによって操作されることで生じる電気信号を赤外光に変換してプロジェクター10に送信する。つまり、受光器32から出力されるリモート操作信号は、リモートコントローラーの各操作キーがユーザーによって操作されることで生じる電気信号と実質的に同じである。なお、リモートコントローラーが、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に従って電波信号を送信する場合には、受光器32の代わりに、電波信号を受信する受信装置を設けてもよい。
【0032】
通信装置40は、処理装置70と外部装置と間の通信を中継する。プロジェクター10が第1プロジェクター10Aである場合、通信装置40は、第2プロジェクター10B及びカメラ80等の外部装置と処理装置70との間の通信を中継する。プロジェクター10が第2プロジェクター10Bである場合、通信装置40は、第1プロジェクター10A等の外部装置と処理装置70との間の通信を中継する。
【0033】
以下の説明では、第1プロジェクター10Aが備える通信装置40を、「第1通信装置40A」と呼称し、第2プロジェクター10Bが備える通信装置40を、「第2通信装置40B」と呼称する場合がある。
【0034】
スピーカー50は、処理装置70によって制御されることにより、所定の音量を有する音声を出力する。
【0035】
メモリー60は、処理装置70に各種処理を実行させるのに必要なプログラム及び各種設定データなどを記憶する不揮発性メモリーと、処理装置70が各種処理を実行する際にデータの一時保存先として使用される揮発性メモリーと、を含む。例えば、不揮発性メモリーは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read Only Memory)又はフラッシュメモリーなどである。例えば、揮発性メモリーは、RAM(Random Access Memory)などである。
【0036】
以下の説明では、第1プロジェクター10Aが備えるメモリー60を、「第1メモリー60A」と呼称し、第2プロジェクター10Bが備えるメモリー60を、「第2メモリー60B」と呼称する場合がある。
【0037】
処理装置70は、メモリー60に予め記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行するプロセッサーである。一例を挙げると、処理装置70は、単数または複数のCPU(Central Processing Unit)によって構成される。処理装置70の機能の一部または全部は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路によって構成されてもよい。処理装置70は、各種の処理を並列的または逐次的に実行する。
【0038】
以下の説明では、第1プロジェクター10Aが備える処理装置70を、「第1処理装置70A」と呼称し、第2プロジェクター10Bが備える処理装置70を、「第2処理装置70B」と呼称する場合がある。
【0039】
詳細は後述するが、第1プロジェクター10Aの第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに予め記憶されたプログラムに従って、画素ずれ補正処理を実行する。この画素ずれ補正処理は、重畳領域110における第1画像100Aと第2画像100Bとの間の画素ずれを補正する処理である。
【0040】
図3は、第1プロジェクター10Aの第1処理装置70Aが実行する画素ずれ補正処理を示すフローチャートである。第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aからプログラムを読み出して実行することにより、
図3で示される画素ずれ補正処理を実行する。第1処理装置70Aは、所定の時間間隔で画素ずれ補正処理を繰り返し実行する。
【0041】
第1処理装置70Aは、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。具体的には、第1処理装置70Aは、第1通信装置40Aを介して、カメラ80に撮像要求信号を送信する。カメラ80は、撮像要求信号に従って投射面200を撮像し、投射面200の撮像画像を示す撮像画像データを第1プロジェクター10Aに出力する。すなわち、ステップS1において、第1処理装置70Aは、投射面200の撮像画像を示す撮像画像データをカメラ80から受信する。撮像画像には、少なくとも重畳領域110に対応する画像が含まれる。
【0042】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110における第1画像100Aと第2画像100Bとの間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向を算出する(ステップS2)。以下の説明では、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間の画素ずれ量を「X軸ずれ量dx」と呼称し、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間の画素ずれ量を「Y軸ずれ量dy」と呼称する。すなわち、ステップS2において、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0043】
相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向を算出する方法は、特に限定されない。例えば、相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向を算出する方法として、特許文献1に開示された方法が適用され得る。従って、具体的な算出方法については、特許文献1を参照されたい。また、相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向を算出する方法として、他の公知技術を適用してもよい。例えば、撮像画像に基づいて、第1画像100Aと第2画像100Bとのそれぞれに含まれる特徴点を抽出し、特徴点間の距離及び方向に基づいて、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出してもよい。
【0044】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。例えば、閾値Thは、撮像画像から算出できる画素ずれ量の下限値と等しい。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きい場合(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。一方、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの両方が閾値Thより小さい場合(ステップS3:No)、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを消去した後、画素ずれ補正処理を終了する。
【0045】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きい場合(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。一方、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより小さい場合(ステップS4:No)、Y軸補正処理を実行する(ステップS6)。ここで、X軸ずれ量dxとY軸ずれ量dyが同じ値であった場合には、X軸補正処理を実行してもよいし、Y軸補正処理を実行してもよく、特に限定されない。
【0046】
図4は、第1処理装置70Aが実行するX軸補正処理を示すフローチャートである。第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。第1カウント変数nxは、X軸補正処理が実行された回数を表す変数である。なお、第1カウント変数nxの値は、1回目のX軸補正処理が開始される前に、予め「0」にリセットされる。
【0047】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。以下の説明において、例えば、dx(nx)は、nx回目のX軸補正処理が実行されたときに保存されたX軸ずれ量dxを表す。
【0048】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。言い換えれば、ステップS13において、第1処理装置70Aは、今回のX軸補正処理が1回目のX軸補正処理であるか否かを判定する。第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」である場合(ステップS13:Yes)、ステップS14に移行する。一方、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではない場合(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0049】
第1処理装置70Aは、ステップS14に移行すると、第1画像100Aを、+X方向に単位ずらし量だけ動かす(ステップS14)。例えば、単位ずらし量は、撮像画像から算出できる画素ずれ量の下限値以上の値に設定される。その理由は、単位ずらし量を、撮像画像から算出できる画素ずれ量の下限値より小さい値に設定した場合、第1画像100Aを動かしたことを、撮像画像から認識することができないからである。
【0050】
既に説明したように、第1プロジェクター10Aが備える第1投射レンズ23Aの位置に応じて、投射面200に投射される第1画像100Aの位置が変化する。従って、ステップS14において、第1処理装置70Aは、第1アクチュエーター24Aによって第1投射レンズ23Aの位置を変化させることにより、第1画像100Aを、+X方向に単位ずらし量だけ動かしてもよい。
【0051】
また、投射面200に投射される第1画像100Aは、第1プロジェクター10Aが備える第1液晶パネル22Aの表示領域に表示される第1パネル画像に対応する。従って、ステップS14において、第1処理装置70Aは、第1液晶パネル22Aの表示領域において第1パネル画像が表示される位置を変化させることにより、第1画像100Aを、+X方向に単位ずらし量だけ動かしてもよい。
【0052】
以下の説明において、第1画像100AをX軸に沿って動かす処理が現れた場合、ステップS14と同様の方法で第1画像100Aは動かされる。第1処理装置70Aは、ステップS14を実行した後、X軸補正処理を終了すると共に、画素ずれ補正処理を終了する。
【0053】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、下記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。下記条件式(1)において、dx(nx)は、nx回目のX軸補正処理が実行されたときに保存されたX軸ずれ量dxを示し、dx(nx-1)は、nx-1回目のX軸補正処理が実行されたときに保存されたX軸ずれ量dxを示す。言い換えれば、dx(nx)は、X軸ずれ量dxの今回値を示し、dx(nx-1)は、X軸ずれ量dxの前回値を示す。
dx(nx)>dx(nx-1) …(1)
【0054】
第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされる場合(ステップS15:Yes)、すなわち、X軸ずれ量dxの今回値がX軸ずれ量dxの前回値より大きい場合に、ステップS16に移行する。一方、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされない場合(ステップS15:No)、すなわち、X軸ずれ量dxの今回値がX軸ずれ量dxの前回値より小さい場合に、ステップS17に移行する。
【0055】
第1処理装置70Aは、ステップS16に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向とは逆方向に単位ずらし量だけ動かす(ステップS16)。直前のシフト方向とは、前回のX軸補正処理の実行時に第1画像100Aが動かされた方向である。第1処理装置70Aは、ステップS16を実行した後、X軸補正処理を終了すると共に、画素ずれ補正処理を終了する。
【0056】
一方、第1処理装置70Aは、ステップS17に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向に単位ずらし量だけ動かす(ステップS17)。第1処理装置70Aは、ステップS17を実行した後、X軸補正処理を終了すると共に、画素ずれ補正処理を終了する。
【0057】
図5は、第1処理装置70Aが実行するY軸補正処理を示すフローチャートである。第1処理装置70Aは、Y軸補正処理を開始すると、まず、第2カウント変数nyの値をインクリメントする(ステップS21)。第2カウント変数nyは、Y軸補正処理が実行された回数を表す変数である。なお、第2カウント変数nyの値は、1回目のY軸補正処理が開始される前に、予め「0」にリセットされる。
【0058】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたY軸ずれ量dyを、第2カウント変数nyの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS22)。以下の説明において、例えば、dy(ny)は、ny回目のY軸補正処理が実行されたときに保存されたY軸ずれ量dyを表す。
【0059】
続いて、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS23)。言い換えれば、ステップS23において、第1処理装置70Aは、今回のY軸補正処理が1回目のY軸補正処理であるか否かを判定する。第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」である場合(ステップS23:Yes)、ステップS24に移行する。一方、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」ではない場合(ステップS23:No)、ステップS25に移行する。
【0060】
第1処理装置70Aは、ステップS24に移行すると、第1画像100Aを、+Y方向に単位ずらし量だけ動かす(ステップS24)。ステップS24において、第1処理装置70Aは、第1アクチュエーター24Aによって第1投射レンズ23Aの位置を変化させることにより、第1画像100Aを、+Y方向に単位ずらし量だけ動かしてもよい。または、ステップS24において、第1処理装置70Aは、第1液晶パネル22Aの表示領域において第1パネル画像が表示される位置を変化させることにより、第1画像100Aを、+Y方向に単位ずらし量だけ動かしてもよい。
【0061】
以下の説明において、第1画像100AをY軸に沿って動かす処理が現れた場合、ステップS24と同様の方法で第1画像100Aは動かされる。第1処理装置70Aは、ステップS24を実行した後、Y軸補正処理を終了すると共に、画素ずれ補正処理を終了する。
【0062】
第1処理装置70Aは、ステップS25に移行すると、下記条件式(2)が満たされるか否かを判定する(ステップS25)。下記条件式(2)において、dy(ny)は、ny回目のY軸補正処理が実行されたときに保存されたY軸ずれ量dyを示し、dy(ny-1)は、ny-1回目のY軸補正処理が実行されたときに保存されたY軸ずれ量dyを示す。言い換えれば、dy(ny)は、Y軸ずれ量dyの今回値を示し、dy(ny-1)は、Y軸ずれ量dyの前回値を示す。
dy(ny)>dy(ny-1) …(2)
【0063】
第1処理装置70Aは、条件式(2)が満たされる場合(ステップS25:Yes)、すなわち、Y軸ずれ量dyの今回値がY軸ずれ量dyの前回値より大きい場合に、ステップS26に移行する。一方、第1処理装置70Aは、条件式(2)が満たされない場合(ステップS25:No)、すなわち、Y軸ずれ量dyの今回値がY軸ずれ量dyの前回値より小さい場合に、ステップS27に移行する。
【0064】
第1処理装置70Aは、ステップS26に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向とは逆方向に単位ずらし量だけ動かす(ステップS26)。直前のシフト方向とは、前回のY軸補正処理の実行時に第1画像100Aが動かされた方向である。第1処理装置70Aは、ステップS26を実行した後、Y軸補正処理を終了すると共に、画素ずれ補正処理を終了する。
【0065】
一方、第1処理装置70Aは、ステップS27に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向に単位ずらし量だけ動かす(ステップS27)。第1処理装置70Aは、ステップS27を実行した後、Y軸補正処理を終了すると共に、画素ずれ補正処理を終了する。
【0066】
以上が画素ずれ補正処理に関する説明である。以下では、上記の画素ずれ補正処理を前提として、プロジェクションシステム1の動作例について具体的に説明する。
【0067】
1.第1動作例
以下、
図6及び
図7を参照しながら、プロジェクションシステム1の第1動作例について説明する。
図6は、プロジェクションシステム1の第1動作例を表で示す図である。
図6において、Ctは、画素ずれ補正処理が実行された回数を示す。
図6の備考欄に記載された「A、+X」は、第1画像100Aを+X方向に単位ずらし量だけ動かすことを意味する。
図6の備考欄に記載された「A、-X」は、第1画像100Aを-X方向に単位ずらし量だけ動かすことを意味する。
図6の備考欄に記載された「-」は、画素ずれ補正処理の実行時に、X軸補正処理及びY軸補正処理のいずれも実施されないことを示す。
【0068】
図6に記載されたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの値及び単位は、説明を容易とするために使用される仮の値及び単位であり、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの実際の値及び単位は、
図6とは異なる場合があることに留意されたい。
図7は、第1動作例をグラフで示す図である。
図7の横軸は、
図6に記載されたCtの値を示し、
図7の縦軸は、
図6に記載されたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの値を示す。第1動作例において、閾値Th及び単位ずらし量は、それぞれ0.5(mm)に設定されていると仮定する。
【0069】
1-1.1回目の画素ずれ補正処理(Ct=1)
第1処理装置70Aは、1回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、1回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第1位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に、少なくとも一部が第1画像100Aと重なる第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。1回目の画素ずれ補正処理のステップS1が実行されることで得られる撮像画像は、第1撮像画像の一例である。
【0070】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。1回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして1.8(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0(mm)が得られたとする。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0071】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0072】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0073】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「1」となる。
【0074】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である1.8(mm)が、第1カウント変数nxの値である「1」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0075】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「1」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であると判定し(ステップS13:Yes)、ステップS14に移行する。
【0076】
第1処理装置70Aは、ステップS14に移行すると、第1画像100Aを、+X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS14)。このステップS14の処理によって、第1画像100Aは、第1位置から+X方向に0.5(mm)離れた第3位置に移動する。すなわち、ステップS14の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第1位置から+X方向に0.5(mm)離れた第3位置に動かす処理であると言い換えられる。
【0077】
ステップS14において、第1処理装置70Aは、第1アクチュエーター24Aによって第1投射レンズ23Aの位置を変化させることにより、第1画像100Aを、第1位置から第3位置に動かしてもよい。または、ステップS14において、第1処理装置70Aは、第1液晶パネル22Aの表示領域において第1パネル画像が表示される位置を変化させることにより、第1画像100Aを、第1位置から第3位置に動かしてもよい。
以上の処理により、1回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0078】
1-2.2回目の画素ずれ補正処理(Ct=2)
第1処理装置70Aは、2回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、2回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第3位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。2回目の画素ずれ補正処理のステップS1が実行されることで得られる撮像画像は、第2撮像画像の一例である。
【0079】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。2回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして2.3(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0(mm)が得られたとする。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0080】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0081】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0082】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「2」となる。
【0083】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である2.3(mm)が、第1カウント変数nxの値である「2」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0084】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「2」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0085】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(2)は、2.3(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(1)は、1.8(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(2)がX軸ずれ量dxの前回値dx(1)より大きいため、条件式(1)が満たされる。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされると判定し(ステップS15:Yes)、ステップS16に移行する。
【0086】
第1処理装置70Aは、ステップS16に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向とは逆方向、すなわち-X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS16)。
【0087】
このステップS16の処理によって、第1画像100Aは、第3位置から-X方向に0.5(mm)離れた第4位置に移動する。すなわち、ステップS16の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第3位置から-X方向に0.5(mm)離れた第4位置に動かす処理であると言い換えられる。第1位置から+X方向に0.5(mm)離れた位置が第3位置であり、第3位置から-X方向に0.5(mm)離れた位置が第4位置であるので、結果的に、第4位置は、第1位置と同じである。
以上の処理により、2回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0088】
2回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、X軸ずれ量dxの今回値dx(2)がX軸ずれ量dxの前回値dx(1)より大きい場合、1回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが動かされた+X方向は、X軸ずれ量dxを増大させる方向であると推測される。従って、この場合には、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向とは逆方向、すなわち-X方向に単位ずらし量だけ動かすことにより、早期にシフト方向の誤りを修正して、X軸ずれ量dxを減少させることができる。
【0089】
1-3.3回目の画素ずれ補正処理(Ct=3)
第1処理装置70Aは、3回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、3回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第4位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。3回目の画素ずれ補正処理のステップS1が実行されることで得られる撮像画像は、第3撮像画像の一例である。
【0090】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。3回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして1.8(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0091】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0092】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0093】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「3」となる。
【0094】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である1.8(mm)が、第1カウント変数nxの値である「3」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0095】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「3」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0096】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(3)は、1.8(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(2)は、2.3(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(3)がX軸ずれ量dxの前回値dx(2)より小さいため、条件式(1)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされないと判定し(ステップS15:No)、ステップS17に移行する。
【0097】
第1処理装置70Aは、ステップS17に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS17)。
【0098】
このステップS17の処理によって、第1画像100Aは、第4位置から-X方向に0.5(mm)離れた第5位置に移動する。すなわち、ステップS17の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第4位置から-X方向に0.5(mm)離れた第5位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、3回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0099】
上記のように、3回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、X軸ずれ量dxの今回値dx(3)がX軸ずれ量dxの前回値dx(2)より小さい場合、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが-X方向に動かされたことにより、シフト方向の誤りが修正され、X軸ずれ量dxが減少したと推測される。従って、この場合には、3回目の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-X方向に単位ずらし量だけ動かすことにより、X軸ずれ量dxをさらに減少させることができる。
【0100】
1-4.4回目の画素ずれ補正処理(Ct=4)
第1処理装置70Aは、4回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、4回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第5位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0101】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。4回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして1.3(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0102】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0103】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0104】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「4」となる。
【0105】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である1.3(mm)が、第1カウント変数nxの値である「4」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0106】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「4」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0107】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(4)は、1.3(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(3)は、1.8(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(4)がX軸ずれ量dxの前回値dx(3)より小さいため、条件式(1)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされないと判定し(ステップS15:No)、ステップS17に移行する。
【0108】
第1処理装置70Aは、ステップS17に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS17)。
【0109】
このステップS17の処理によって、第1画像100Aは、第5位置から-X方向に0.5(mm)離れた第10位置に移動する。すなわち、ステップS17の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第5位置から-X方向に0.5(mm)離れた第10位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、4回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0110】
4回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、X軸ずれ量dxの今回値dx(4)がX軸ずれ量dxの前回値dx(3)より小さい場合、3回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが-X方向に動かされたことにより、X軸ずれ量dxが減少したと推測される。従って、この場合には、4回目の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-X方向に単位ずらし量だけ動かすことにより、X軸ずれ量dxをさらに減少させることができる。
【0111】
1-5.5回目の画素ずれ補正処理(Ct=5)
第1処理装置70Aは、5回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、5回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第10位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0112】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。5回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0.8(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0113】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0114】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0115】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「5」となる。
【0116】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である0.8(mm)が、第1カウント変数nxの値である「5」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0117】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「5」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0118】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(5)は、0.8(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(4)は、1.3(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(5)がX軸ずれ量dxの前回値dx(4)より小さいため、条件式(1)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされないと判定し(ステップS15:No)、ステップS17に移行する。
【0119】
第1処理装置70Aは、ステップS17に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS17)。
【0120】
このステップS17の処理によって、第1画像100Aは、第10位置から-X方向に0.5(mm)離れた第11位置に移動する。すなわち、ステップS17の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第10位置から-X方向に0.5(mm)離れた第11位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、5回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0121】
5回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、X軸ずれ量dxの今回値dx(5)がX軸ずれ量dxの前回値dx(4)より小さい場合、4回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが-X方向に動かされたことにより、X軸ずれ量dxがさらに減少したと推測される。従って、この場合には、5回目の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-X方向に単位ずらし量だけ動かすことにより、X軸ずれ量dxをさらに減少させることができる。
【0122】
1-6.6回目の画素ずれ補正処理(Ct=6)
第1処理装置70Aは、6回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、6回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第11位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0123】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。6回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0.3(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0124】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。6回目の画素ずれ補正処理のステップS2で得られたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyは、両方とも閾値Thより小さい。従って、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの両方が閾値Thより小さいと判定し(ステップS3:No)、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを消去した後、6回目の画素ずれ補正処理を終了する。
【0125】
以上が第1動作例の説明である。上記のように、第1動作例では、画素ずれ補正処理及びX軸補正処理が5回実行されることにより、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyが、両方とも閾値Thより小さくなるため、6回目の画素ずれ補正処理が実行されるときに、X軸補正処理は実行されない。
【0126】
既に述べたように、2回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、X軸ずれ量dxの今回値dx(2)がX軸ずれ量dxの前回値dx(1)より大きい場合、1回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが動かされた+X方向は、X軸ずれ量dxを増大させる方向であると推測される。従って、この場合には、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向とは逆方向に動かすことにより、早期にシフト方向の誤りを修正して、X軸ずれ量dxを減少させることができる。このように、本実施形態によれば、互いに重なるように投射される第1画像100Aと第2画像100Bとの間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向のみが判明している状態であっても、第1画像100Aと第2画像100Bとの間の画素ずれを補正できる。
【0127】
また、本実施形態では、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きい場合に、X軸補正処理を実行し、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより小さい場合に、Y軸補正処理を実行する。このように、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyのうち、大きな画素ずれ量を減少させる処理を優先的に実行することにより、第1画像100Aと第2画像100Bとの間の画素ずれを早期に補正できる。第1動作例では、X軸補正処理、すなわちX軸ずれ量dxを減少させる処理が優先的に実行される。
【0128】
3回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、X軸ずれ量dxの今回値dx(3)がX軸ずれ量dxの前回値dx(2)より小さい場合、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが-X方向に動かされたことにより、シフト方向の誤りが修正され、X軸ずれ量dxが減少したと推測される。従って、この場合には、3回目以降の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向に動かすことにより、X軸ずれ量dxを閾値Thより小さい値に減少させることができる。
【0129】
なお、上記の第1動作例の説明から理解されるように、第1処理装置70Aが1回目の画素ずれ補正処理及び2回目の画素ずれ補正処理を実行することにより、下記の第1ステップから第6ステップを含む投射画像の調整方法が実現される。
【0130】
第1ステップとは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第1位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に、少なくとも一部が第1画像100Aと重なる第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第1撮像画像を取得すること、である。
【0131】
第2ステップとは、第1撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dxと、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dyと、を取得すること、である。X軸は、グローバル座標系の座標軸である第1軸の一例である。Y軸は、第1軸に直交する第2軸の一例である。第1撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dx、すなわち、1回目の画素ずれ補正処理の実行時に取得されるX軸ずれ量dxは、第1ずれ量の一例である。第1撮像画像に基づいて取得されるY軸ずれ量dy、すなわち、1回目の画素ずれ補正処理の実行時に取得されるY軸ずれ量dyは、第2ずれ量の一例である。
【0132】
第3ステップとは、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、第1プロジェクター10Aによって、第1位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第3位置に第1画像100Aを動かすこと、である。+X方向は、第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向の一例である。第1位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第3位置は、第1位置から第1方向へ第1距離離れた第3位置の一例である。
【0133】
第1条件は、第1ずれ量が第2ずれ量より大きいこと、である。すなわち、第1条件は、第1撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dxが、第1撮像画像に基づいて取得されるY軸ずれ量dyより大きいことである。
以上の第1ステップから第3ステップは、第1処理装置70Aが1回目の画素ずれ補正処理を実行することにより実現される。
【0134】
第4ステップとは、第1プロジェクター10Aによって第3位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第2撮像画像を取得すること、である。
【0135】
第5ステップとは、第2撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dxと、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dyと、を取得すること、である。第2撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dx、すなわち、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に取得されるX軸ずれ量dxは、第3ずれ量の一例である。第2撮像画像に基づいて取得されるY軸ずれ量dy、すなわち、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に取得されるY軸ずれ量dyは、第4ずれ量の一例である。
【0136】
第6ステップとは、第3ずれ量及び第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ第3ずれ量が第1ずれ量より大きい場合に、第1プロジェクター10Aによって、第3位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第4位置に第1画像100Aを動かすことと、である。-X方向は、第1方向とは逆向きの第2方向の一例である。第3位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第4位置は、第3位置から第2方向へ第2距離離れた第4位置の一例である。
【0137】
第2条件は、第3ずれ量が第4ずれ量より大きいこと、である。すなわち、第2条件は、第2撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dxが、第2撮像画像に基づいて取得されるY軸ずれ量dyより大きいことである。
以上の第4ステップから第6ステップは、第1処理装置70Aが2回目の画素ずれ補正処理を実行することにより実現される。
【0138】
また、投射画像の調整方法は、下記の第7ステップから第9ステップをさらに含む。
第7ステップとは、第1プロジェクター10Aによって第4位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第3撮像画像を取得すること、である。
【0139】
第8ステップとは、第3撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dxと、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dyと、を取得すること、である。第3撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dx、すなわち、3回目の画素ずれ補正処理の実行時に取得されるX軸ずれ量dxは、第5ずれ量の一例である。第3撮像画像に基づいて取得されるY軸ずれ量dy、すなわち、3回目の画素ずれ補正処理の実行時に取得されるY軸ずれ量dyは、第6ずれ量の一例である。
【0140】
第9ステップとは、第5ずれ量及び第6ずれ量が第3条件を満たし、且つ第5ずれ量が第3ずれ量より小さい場合に、第1プロジェクター10Aによって、第4位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第5位置に第1画像100Aを動かすこと、である。第4位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第5位置は、第4位置から第2方向へ第3距離離れた第5位置の一例である。
【0141】
第3条件は、第5ずれ量が第6ずれ量より大きいこと、である。すなわち、第3条件は、第3撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dxが、第3撮像画像に基づいて取得されるY軸ずれ量dyより大きいことである。
以上の第7ステップから第9ステップは、第1処理装置70Aが3回目の画素ずれ補正処理を実行することにより実現される。
【0142】
また、投射画像の調整方法において、第1プロジェクター10Aが備える第1投射レンズ23Aの位置に応じて、投射面200に投射される第1画像100Aの位置が変化し、第1プロジェクター10Aによって第1位置から第3位置に第1画像100Aを動かすことは、第1投射レンズ23Aの位置を変化させることにより、第1位置から第3位置に第1画像100Aを動かすこと、を含む。
【0143】
また、投射画像の調整方法において、第1画像100Aは、第1プロジェクター10Aが備える第1液晶パネル22Aの表示領域に表示される第1パネル画像に対応し、第1プロジェクター10Aによって第1位置から第3位置に第1画像100Aを動かすことは、第1液晶パネル22Aの表示領域において第1パネル画像が表示される位置を変化させることにより、第1位置から第3位置に第1画像100Aを動かすこと、を含む。第1液晶パネル22Aは、第1パネルの一例である。
【0144】
2.第2動作例
以下、
図8及び
図9を参照しながら、プロジェクションシステム1の第2動作例について説明する。
図8は、プロジェクションシステム1の第2動作例を表で示す図である。
図9は、第2動作例をグラフで示す図である。
図9の横軸は、
図8に記載されたCtの値を示し、
図9の縦軸は、
図8に記載されたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの値を示す。第1動作例と同様に、第2動作例においても、閾値Th及び単位ずらし量は、それぞれ0.5(mm)に設定されていると仮定する。
【0145】
2-1.1回目の画素ずれ補正処理(Ct=1)
第1処理装置70Aは、1回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、1回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第1位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に、少なくとも一部が第1画像100Aと重なる第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。1回目の画素ずれ補正処理のステップS1が実行されることで得られる撮像画像は、第1撮像画像の一例である。
【0146】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。1回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして1.8(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0(mm)が得られたとする。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0147】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0148】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0149】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「1」となる。
【0150】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である1.8(mm)が、第1カウント変数nxの値である「1」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0151】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「1」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であると判定し(ステップS13:Yes)、ステップS14に移行する。
【0152】
第1処理装置70Aは、ステップS14に移行すると、第1画像100Aを、+X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS14)。このステップS14の処理によって、第1画像100Aは、第1位置から+X方向に0.5(mm)離れた第3位置に移動する。すなわち、ステップS14の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第1位置から+X方向に0.5(mm)離れた第3位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、1回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0153】
2-2.2回目の画素ずれ補正処理(Ct=2)
第1処理装置70Aは、2回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、2回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第3位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。2回目の画素ずれ補正処理のステップS1が実行されることで得られる撮像画像は、第2撮像画像の一例である。
【0154】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。2回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして1.3(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0(mm)が得られたとする。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0155】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0156】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0157】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「2」となる。
【0158】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である1.3(mm)が、第1カウント変数nxの値である「2」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0159】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「2」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0160】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(2)は、1.3(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(1)は、1.8(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(2)がX軸ずれ量dxの前回値dx(1)より小さいため、条件式(1)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされないと判定し(ステップS15:No)、ステップS17に移行する。
【0161】
第1処理装置70Aは、ステップS17に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち+X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS17)。
【0162】
このステップS17の処理によって、第1画像100Aは、第3位置から+X方向に0.5(mm)離れた第6位置に移動する。すなわち、ステップS17の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第3位置から+X方向に0.5(mm)離れた第6位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、2回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0163】
2回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、X軸ずれ量dxの今回値dx(2)がX軸ずれ量dxの前回値dx(1)より小さい場合、1回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが動かされた+X方向は、X軸ずれ量dxを減少させる方向であると推測される。従って、この場合には、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち+X方向に単位ずらし量だけ動かすことにより、X軸ずれ量dxをさらに減少させることができる。
【0164】
2-3.3回目の画素ずれ補正処理(Ct=3)
第1処理装置70Aは、3回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、3回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第6位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0165】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。3回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0.8(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0166】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0167】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0168】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「3」となる。
【0169】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である0.8(mm)が、第1カウント変数nxの値である「3」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0170】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「3」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0171】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(3)は、0.8(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(2)は、1.3(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(3)がX軸ずれ量dxの前回値dx(2)より小さいため、条件式(1)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされないと判定し(ステップS15:No)、ステップS17に移行する。
【0172】
第1処理装置70Aは、ステップS17に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち+X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS17)。
【0173】
このステップS17の処理によって、第1画像100Aは、第6位置から+X方向に0.5(mm)離れた第12位置に移動する。すなわち、ステップS17の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第6位置から+X方向に0.5(mm)離れた第12位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、3回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0174】
3回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、X軸ずれ量dxの今回値dx(3)がX軸ずれ量dxの前回値dx(2)より小さい場合、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが+X方向に動かされたことにより、X軸ずれ量dxがさらに減少したと推測される。従って、この場合には、3回目の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち+X方向に単位ずらし量だけ動かすことにより、X軸ずれ量dxをさらに減少させることができる。
【0175】
2-4.4回目の画素ずれ補正処理(Ct=4)
第1処理装置70Aは、4回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、4回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第12位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0176】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。4回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0.3(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0177】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。4回目の画素ずれ補正処理のステップS2で得られたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyは、両方とも閾値Thより小さい。従って、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの両方が閾値Thより小さいと判定し(ステップS3:No)、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを消去した後、4回目の画素ずれ補正処理を終了する。
【0178】
以上が第2動作例の説明である。上記のように、第2動作例では、画素ずれ補正処理及びX軸補正処理が3回実行されることにより、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyが、両方とも閾値Thより小さくなるため、4回目の画素ずれ補正処理が実行されるときに、X軸補正処理は実行されない。
【0179】
既に述べたように、2回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、X軸ずれ量dxの今回値dx(2)がX軸ずれ量dxの前回値dx(1)より小さい場合、1回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが動かされた+X方向は、X軸ずれ量dxを減少させる方向であると推測される。従って、この場合には、2回目以降の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向に動かすことにより、X軸ずれ量dxを閾値Thより小さい値に減少させることができる。
【0180】
なお、上記の第2動作例の説明から理解されるように、投射画像の調整方法は、第3ずれ量及び第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ第3ずれ量が第1ずれ量より小さい場合に、第1プロジェクター10Aによって、第3位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第6位置に第1画像100Aを動かすこと、をさらに含む。第3位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第6位置は、第3位置から第1方向へ第4距離離れた第6位置の一例である。
【0181】
第1動作例で説明したように、第2条件は、第3ずれ量が第4ずれ量より大きいことである。すなわち、第2条件は、第2撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dxが、第2撮像画像に基づいて取得されるY軸ずれ量dyより大きいことである。第1ずれ量は、第1撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dxである。
【0182】
3.第3動作例
以下、
図10及び
図11を参照しながら、プロジェクションシステム1の第3動作例について説明する。
図10は、プロジェクションシステム1の第3動作例を表で示す図である。
図11は、第3動作例をグラフで示す図である。
図11の横軸は、
図10に記載されたCtの値を示し、
図11の縦軸は、
図10に記載されたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの値を示す。第1動作例と同様に、第3動作例においても、閾値Th及び単位ずらし量は、それぞれ0.5(mm)に設定されていると仮定する。
【0183】
3-1.1回目の画素ずれ補正処理(Ct=1)
第1処理装置70Aは、1回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、1回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第1位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に、少なくとも一部が第1画像100Aと重なる第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。1回目の画素ずれ補正処理のステップS1が実行されることで得られる撮像画像は、第1撮像画像の一例である。
【0184】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。1回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0.8(mm)が得られたとする。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0185】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、Y軸ずれ量dyが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0186】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより小さいと判定し(ステップS4:No)、Y軸補正処理を実行する(ステップS6)。
【0187】
第1処理装置70Aは、Y軸補正処理を開始すると、まず、第2カウント変数nyの値をインクリメントする(ステップS21)。この時点で、第2カウント変数nyの値は、「1」となる。
【0188】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたY軸ずれ量dyを、第2カウント変数nyの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS22)。すなわち、Y軸ずれ量dyの値である0.8(mm)が、第2カウント変数nyの値である「1」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0189】
続いて、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS23)。この時点で、第2カウント変数nyの値は「1」であるので、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」であると判定し(ステップS23:Yes)、ステップS24に移行する。
【0190】
第1処理装置70Aは、ステップS24に移行すると、第1画像100Aを、+Y方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS24)。このステップS24の処理によって、第1画像100Aは、第1位置から+Y方向に0.5(mm)離れた第7位置に移動する。すなわち、ステップS24の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第1位置から+Y方向に0.5(mm)離れた第7位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、1回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0191】
3-2.2回目の画素ずれ補正処理(Ct=2)
第1処理装置70Aは、2回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、2回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第7位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0192】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。2回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして1.3(mm)が得られたとする。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0193】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、Y軸ずれ量dyが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0194】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより小さいと判定し(ステップS4:No)、Y軸補正処理を実行する(ステップS6)。
【0195】
第1処理装置70Aは、Y軸補正処理を開始すると、まず、第2カウント変数nyの値をインクリメントする(ステップS21)。この時点で、第2カウント変数nyの値は、「2」となる。
【0196】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたY軸ずれ量dyを、第2カウント変数nyの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS22)。すなわち、Y軸ずれ量dyの値である1.3(mm)が、第2カウント変数nyの値である「2」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0197】
続いて、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS23)。この時点で、第2カウント変数nyの値は「2」であるので、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」ではないと判定し(ステップS23:No)、ステップS25に移行する。
【0198】
第1処理装置70Aは、ステップS25に移行すると、上記条件式(2)が満たされるか否かを判定する(ステップS25)。この時点で、Y軸ずれ量dyの今回値dy(2)は、1.3(mm)であり、Y軸ずれ量dyの前回値dy(1)は、0.8(mm)である。この場合、Y軸ずれ量dyの今回値dy(2)がY軸ずれ量dyの前回値dy(1)より大きいため、条件式(2)が満たされる。従って、第1処理装置70Aは、条件式(2)が満たされると判定し(ステップS25:Yes)、ステップS26に移行する。
【0199】
第1処理装置70Aは、ステップS26に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向とは逆方向、すなわち-Y方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS26)。
【0200】
このステップS26の処理によって、第1画像100Aは、第7位置から-Y方向に0.5(mm)離れた第8位置に移動する。すなわち、ステップS26の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第7位置から-Y方向に0.5(mm)離れた第8位置に動かす処理であると言い換えられる。第1位置から+Y方向に0.5(mm)離れた位置が第7位置であり、第7位置から-Y方向に0.5(mm)離れた位置が第8位置であるので、結果的に、第8位置は、第1位置と同じである。
以上の処理により、2回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0201】
2回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、Y軸ずれ量dyの今回値dy(2)がY軸ずれ量dyの前回値dy(1)より大きい場合、1回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが動かされた+Y方向は、Y軸ずれ量dyを増大させる方向であると推測される。従って、この場合には、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向とは逆方向、すなわち-Y方向に単位ずらし量だけ動かすことにより、早期にシフト方向の誤りを修正して、Y軸ずれ量dyを減少させることができる。
【0202】
3-3.3回目の画素ずれ補正処理(Ct=3)
第1処理装置70Aは、3回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、3回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第8位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0203】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。3回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0.8(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0204】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、Y軸ずれ量dyが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0205】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより小さいと判定し(ステップS4:No)、Y軸補正処理を実行する(ステップS6)。
【0206】
第1処理装置70Aは、Y軸補正処理を開始すると、まず、第2カウント変数nyの値をインクリメントする(ステップS21)。この時点で、第2カウント変数nyの値は、「3」となる。
【0207】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたY軸ずれ量dyを、第2カウント変数nyの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS22)。すなわち、Y軸ずれ量dyの値である0.8(mm)が、第2カウント変数nyの値である「3」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0208】
続いて、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS23)。この時点で、第2カウント変数nyの値は「3」であるので、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」ではないと判定し(ステップS23:No)、ステップS25に移行する。
【0209】
第1処理装置70Aは、ステップS25に移行すると、上記条件式(2)が満たされるか否かを判定する(ステップS25)。この時点で、Y軸ずれ量dyの今回値dy(3)は、0.8(mm)であり、Y軸ずれ量dyの前回値dy(2)は、1.3(mm)である。この場合、Y軸ずれ量dyの今回値dy(3)がY軸ずれ量dyの前回値dy(2)より小さいため、条件式(2)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(2)が満たされないと判定し(ステップS25:No)、ステップS27に移行する。
【0210】
第1処理装置70Aは、ステップS27に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-Y方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS27)。
【0211】
このステップS27の処理によって、第1画像100Aは、第8位置から-Y方向に0.5(mm)離れた第9位置に移動する。すなわち、ステップS27の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第8位置から-Y方向に0.5(mm)離れた第9位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、3回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0212】
上記のように、3回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、Y軸ずれ量dyの今回値dy(3)がY軸ずれ量dyの前回値dy(2)より小さい場合、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが-Y方向に動かされたことにより、シフト方向の誤りが修正され、Y軸ずれ量dyが減少したと推測される。従って、この場合には、3回目の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-Y方向に単位ずらし量だけ動かすことにより、Y軸ずれ量dyをさらに減少させることができる。
【0213】
3-4.4回目の画素ずれ補正処理(Ct=4)
第1処理装置70Aは、4回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、4回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第9位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0214】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。4回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0.3(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0215】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。4回目の画素ずれ補正処理のステップS2で得られたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyは、両方とも閾値Thより小さい。従って、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの両方が閾値Thより小さいと判定し(ステップS3:No)、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを消去した後、4回目の画素ずれ補正処理を終了する。
【0216】
以上が第3動作例の説明である。上記のように、第3動作例では、画素ずれ補正処理及びY軸補正処理が3回実行されることにより、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyが、両方とも閾値Thより小さくなるため、4回目の画素ずれ補正処理が実行されるときに、Y軸補正処理は実行されない。
【0217】
第3動作例では、1回目の画素ずれ補正処理が実行されるときに、Y軸ずれ量dyがX軸ずれ量dxより大きいと判定されるため、Y軸補正処理、すなわちY軸ずれ量dyを減少させる処理が優先的に実行される。2回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、Y軸ずれ量dyの今回値dy(2)がY軸ずれ量dyの前回値dy(1)より大きい場合、1回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが動かされた+Y方向は、Y軸ずれ量dyを増大させる方向であると推測される。従って、この場合には、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向とは逆方向に動かすことにより、早期にシフト方向の誤りを修正して、Y軸ずれ量dyを減少させることができる。
【0218】
3回目の画素ずれ補正処理が実行されたときに、Y軸ずれ量dyの今回値dy(3)がY軸ずれ量dyの前回値dy(2)より小さい場合、2回目の画素ずれ補正処理の実行時に第1画像100Aが-Y方向に動かされたことにより、シフト方向の誤りが修正され、Y軸ずれ量dyが減少したと推測される。従って、この場合には、3回目以降の画素ずれ補正処理の実行時に、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向に動かすことにより、Y軸ずれ量dyを閾値Thより小さい値に減少させることができる。
【0219】
なお、上記の第3動作例の説明から理解されるように、投射画像の調整方法は、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たさない場合に、第1プロジェクター10Aによって、第1位置から+Y方向へ単位ずらし量だけ離れた第7位置に第1画像100Aを動かすこと、をさらに含む。+Y方向は、第2軸の一端側へ向かう方向に対応する第3方向の一例である。第1位置から+Y方向へ単位ずらし量だけ離れた第7位置は、第1位置から第3方向へ第5距離離れた第7位置の一例である。
【0220】
第1動作例で説明したように、第1条件は、第1ずれ量が第2ずれ量より大きいこと、である。すなわち、第1条件は、第1撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dxが、第1撮像画像に基づいて取得されるY軸ずれ量dyより大きいことである。
【0221】
4.第4動作例
以下、
図12及び
図13を参照しながら、プロジェクションシステム1の第4動作例について説明する。
図12は、プロジェクションシステム1の第4動作例を表で示す図である。
図13は、第4動作例をグラフで示す図である。
図13の横軸は、
図12に記載されたCtの値を示し、
図13の縦軸は、
図12に記載されたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの値を示す。第1動作例と同様に、第4動作例においても、閾値Th及び単位ずらし量は、それぞれ0.5(mm)に設定されていると仮定する。
【0222】
4-1.1回目の画素ずれ補正処理(Ct=1)
第1処理装置70Aは、1回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、1回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第1位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に、少なくとも一部が第1画像100Aと重なる第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0223】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。1回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして2.4(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして1.3(mm)が得られたとする。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0224】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyのどちらも閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0225】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0226】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「1」となる。
【0227】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である2.4(mm)が、第1カウント変数nxの値である「1」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0228】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「1」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であると判定し(ステップS13:Yes)、ステップS14に移行する。
【0229】
第1処理装置70Aは、ステップS14に移行すると、第1画像100Aを、+X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS14)。このステップS14の処理によって、第1画像100Aは、第1位置から+X方向に0.5(mm)離れた第3位置に移動する。すなわち、ステップS14の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第1位置から+X方向に0.5(mm)離れた第3位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、1回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0230】
4-2.2回目の画素ずれ補正処理(Ct=2)
第1処理装置70Aは、2回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、2回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第3位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0231】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。2回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして2.9(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして1.3(mm)が得られたとする。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0232】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyのどちらも閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0233】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0234】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「2」となる。
【0235】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である2.9(mm)が、第1カウント変数nxの値である「2」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0236】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「2」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0237】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(2)は、2.9(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(1)は、2.4(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(2)がX軸ずれ量dxの前回値dx(1)より大きいため、条件式(1)が満たされる。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされると判定し(ステップS15:Yes)、ステップS16に移行する。
【0238】
第1処理装置70Aは、ステップS16に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向とは逆方向、すなわち-X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS16)。
【0239】
このステップS16の処理によって、第1画像100Aは、第3位置から-X方向に0.5(mm)離れた第4位置に移動する。すなわち、ステップS16の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第3位置から-X方向に0.5(mm)離れた第4位置に動かす処理であると言い換えられる。第1位置から+X方向に0.5(mm)離れた位置が第3位置であり、第3位置から-X方向に0.5(mm)離れた位置が第4位置であるので、結果的に、第4位置は、第1位置と同じである。
以上の処理により、2回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0240】
4-3.3回目の画素ずれ補正処理(Ct=3)
第1処理装置70Aは、3回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、3回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第4位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0241】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。3回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして2.4(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして1.3(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0242】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyのどちらも閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0243】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0244】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「3」となる。
【0245】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である2.4(mm)が、第1カウント変数nxの値である「3」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0246】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「3」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0247】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(3)は、2.4(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(2)は、2.9(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(3)がX軸ずれ量dxの前回値dx(2)より小さいため、条件式(1)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされないと判定し(ステップS15:No)、ステップS17に移行する。
【0248】
第1処理装置70Aは、ステップS17に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS17)。
【0249】
このステップS17の処理によって、第1画像100Aは、第4位置から-X方向に0.5(mm)離れた第5位置に移動する。すなわち、ステップS17の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第4位置から-X方向に0.5(mm)離れた第5位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、3回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0250】
4-4.4回目の画素ずれ補正処理(Ct=4)
第1処理装置70Aは、4回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、4回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第5位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0251】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。4回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして1.9(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして1.3(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0252】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyのどちらも閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0253】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0254】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「4」となる。
【0255】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である1.9(mm)が、第1カウント変数nxの値である「4」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0256】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「4」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0257】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(4)は、1.9(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(3)は、2.4(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(4)がX軸ずれ量dxの前回値dx(3)より小さいため、条件式(1)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされないと判定し(ステップS15:No)、ステップS17に移行する。
【0258】
第1処理装置70Aは、ステップS17に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS17)。
【0259】
このステップS17の処理によって、第1画像100Aは、第5位置から-X方向に0.5(mm)離れた第20位置に移動する。すなわち、ステップS17の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第5位置から-X方向に0.5(mm)離れた第20位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、4回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0260】
4-5.5回目の画素ずれ補正処理(Ct=5)
第1処理装置70Aは、5回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、5回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第20位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0261】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。5回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして1.4(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして1.3(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0262】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyのどちらも閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0263】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0264】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「5」となる。
【0265】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である1.4(mm)が、第1カウント変数nxの値である「5」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0266】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「5」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0267】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(5)は、1.4(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(4)は、1.9(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(5)がX軸ずれ量dxの前回値dx(4)より小さいため、条件式(1)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされないと判定し(ステップS15:No)、ステップS17に移行する。
【0268】
第1処理装置70Aは、ステップS17に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS17)。
【0269】
このステップS17の処理によって、第1画像100Aは、第20位置から-X方向に0.5(mm)離れた第21位置に移動する。すなわち、ステップS17の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第20位置から-X方向に0.5(mm)離れた第21位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、5回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0270】
4-6.6回目の画素ずれ補正処理(Ct=6)
第1処理装置70Aは、6回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、6回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第21位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0271】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。6回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0.9(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして1.3(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0272】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyのどちらも閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0273】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより小さいと判定し(ステップS4:No)、Y軸補正処理を実行する(ステップS6)。
【0274】
第1処理装置70Aは、Y軸補正処理を開始すると、まず、第2カウント変数nyの値をインクリメントする(ステップS21)。この時点で、第2カウント変数nyの値は、「1」となる。
【0275】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたY軸ずれ量dyを、第2カウント変数nyの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS22)。すなわち、Y軸ずれ量dyの値である1.3(mm)が、第2カウント変数nyの値である「1」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0276】
続いて、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS23)。この時点で、第2カウント変数nyの値は「1」であるので、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」であると判定し(ステップS23:Yes)、ステップS24に移行する。
【0277】
第1処理装置70Aは、ステップS24に移行すると、第1画像100Aを、+Y方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS24)。このステップS24の処理によって、第1画像100Aは、第21位置から+Y方向に0.5(mm)離れた第22位置に移動する。すなわち、ステップS24の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第21位置から+Y方向に0.5(mm)離れた第22位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、6回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0278】
4-7.7回目の画素ずれ補正処理(Ct=7)
第1処理装置70Aは、7回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、7回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第22位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0279】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。7回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0.9(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして1.8(mm)が得られたとする。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0280】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyのどちらも閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0281】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより小さいと判定し(ステップS4:No)、Y軸補正処理を実行する(ステップS6)。
【0282】
第1処理装置70Aは、Y軸補正処理を開始すると、まず、第2カウント変数nyの値をインクリメントする(ステップS21)。この時点で、第2カウント変数nyの値は、「2」となる。
【0283】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたY軸ずれ量dyを、第2カウント変数nyの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS22)。すなわち、Y軸ずれ量dyの値である1.8(mm)が、第2カウント変数nyの値である「2」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0284】
続いて、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS23)。この時点で、第2カウント変数nyの値は「2」であるので、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」ではないと判定し(ステップS23:No)、ステップS25に移行する。
【0285】
第1処理装置70Aは、ステップS25に移行すると、上記条件式(2)が満たされるか否かを判定する(ステップS25)。この時点で、Y軸ずれ量dyの今回値dy(2)は、1.8(mm)であり、Y軸ずれ量dyの前回値dy(1)は、1.3(mm)である。この場合、Y軸ずれ量dyの今回値dy(2)がY軸ずれ量dyの前回値dy(1)より大きいため、条件式(2)が満たされる。従って、第1処理装置70Aは、条件式(2)が満たされると判定し(ステップS25:Yes)、ステップS26に移行する。
【0286】
第1処理装置70Aは、ステップS26に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向とは逆方向、すなわち-Y方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS26)。
【0287】
このステップS26の処理によって、第1画像100Aは、第22位置から-Y方向に0.5(mm)離れた第23位置に移動する。すなわち、ステップS26の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第22位置から-Y方向に0.5(mm)離れた第23位置に動かす処理であると言い換えられる。第21位置から+Y方向に0.5(mm)離れた位置が第22位置であり、第22位置から-Y方向に0.5(mm)離れた位置が第23位置であるので、結果的に、第23位置は、第21位置と同じである。
以上の処理により、7回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0288】
4-8.8回目の画素ずれ補正処理(Ct=8)
第1処理装置70Aは、8回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、8回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第23位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0289】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。8回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0.9(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして1.3(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0290】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyのどちらも閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0291】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより小さいと判定し(ステップS4:No)、Y軸補正処理を実行する(ステップS6)。
【0292】
第1処理装置70Aは、Y軸補正処理を開始すると、まず、第2カウント変数nyの値をインクリメントする(ステップS21)。この時点で、第2カウント変数nyの値は、「3」となる。
【0293】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたY軸ずれ量dyを、第2カウント変数nyの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS22)。すなわち、Y軸ずれ量dyの値である1.3(mm)が、第2カウント変数nyの値である「3」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0294】
続いて、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS23)。この時点で、第2カウント変数nyの値は「3」であるので、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」ではないと判定し(ステップS23:No)、ステップS25に移行する。
【0295】
第1処理装置70Aは、ステップS25に移行すると、上記条件式(2)が満たされるか否かを判定する(ステップS25)。この時点で、Y軸ずれ量dyの今回値dy(3)は、1.3(mm)であり、Y軸ずれ量dyの前回値dy(2)は、1.8(mm)である。この場合、Y軸ずれ量dyの今回値dy(3)がY軸ずれ量dyの前回値dy(2)より小さいため、条件式(2)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(2)が満たされないと判定し(ステップS25:No)、ステップS27に移行する。
【0296】
第1処理装置70Aは、ステップS27に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-Y方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS27)。
【0297】
このステップS27の処理によって、第1画像100Aは、第23位置から-Y方向に0.5(mm)離れた第24位置に移動する。すなわち、ステップS27の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第23位置から-Y方向に0.5(mm)離れた第24位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、8回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0298】
4-9.9回目の画素ずれ補正処理(Ct=9)
第1処理装置70Aは、9回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、9回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第24位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0299】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。9回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0.9(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0.8(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0300】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyのどちらも閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0301】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいと判定し(ステップS4:Yes)、X軸補正処理を実行する(ステップS5)。
【0302】
第1処理装置70Aは、X軸補正処理を開始すると、まず、第1カウント変数nxの値をインクリメントする(ステップS11)。この時点で、第1カウント変数nxの値は、「6」となる。
【0303】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dxを、第1カウント変数nxの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS12)。すなわち、X軸ずれ量dxの値である0.9(mm)が、第1カウント変数nxの値である「6」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0304】
続いて、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS13)。この時点で、第1カウント変数nxの値は「6」であるので、第1処理装置70Aは、第1カウント変数nxの値が「1」ではないと判定し(ステップS13:No)、ステップS15に移行する。
【0305】
第1処理装置70Aは、ステップS15に移行すると、上記条件式(1)が満たされるか否かを判定する(ステップS15)。この時点で、X軸ずれ量dxの今回値dx(6)は、0.9(mm)であり、X軸ずれ量dxの前回値dx(5)は、1.4(mm)である。この場合、X軸ずれ量dxの今回値dx(6)がX軸ずれ量dxの前回値dx(5)より小さいため、条件式(1)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(1)が満たされないと判定し(ステップS15:No)、ステップS17に移行する。
【0306】
第1処理装置70Aは、ステップS17に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-X方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS17)。
【0307】
このステップS17の処理によって、第1画像100Aは、第24位置から-X方向に0.5(mm)離れた第25位置に移動する。すなわち、ステップS17の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第24位置から-X方向に0.5(mm)離れた第25位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、9回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0308】
4-10.10回目の画素ずれ補正処理(Ct=10)
第1処理装置70Aは、10回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、10回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第25位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0309】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。10回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0.4(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0.8(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0310】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。第1処理装置70Aは、Y軸ずれ量dyが閾値Thより大きいと判定し(ステップS3:Yes)、ステップS4に移行する。
【0311】
第1処理装置70Aは、ステップS4に移行すると、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きいか否かを判定する(ステップS4)。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより小さいと判定し(ステップS4:No)、Y軸補正処理を実行する(ステップS6)。
【0312】
第1処理装置70Aは、Y軸補正処理を開始すると、まず、第2カウント変数nyの値をインクリメントする(ステップS21)。この時点で、第2カウント変数nyの値は、「4」となる。
【0313】
続いて、第1処理装置70Aは、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたY軸ずれ量dyを、第2カウント変数nyの値と紐づけて第1メモリー60Aに保存する(ステップS22)。すなわち、Y軸ずれ量dyの値である0.8(mm)が、第2カウント変数nyの値である「4」と紐づけられて第1メモリー60Aに保存される。
【0314】
続いて、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS23)。この時点で、第2カウント変数nyの値は「4」であるので、第1処理装置70Aは、第2カウント変数nyの値が「1」ではないと判定し(ステップS23:No)、ステップS25に移行する。
【0315】
第1処理装置70Aは、ステップS25に移行すると、上記条件式(2)が満たされるか否かを判定する(ステップS25)。この時点で、Y軸ずれ量dyの今回値dy(4)は、0.8(mm)であり、Y軸ずれ量dyの前回値dy(3)は、1.3(mm)である。この場合、Y軸ずれ量dyの今回値dy(4)がY軸ずれ量dyの前回値dy(3)より小さいため、条件式(2)は満たされない。従って、第1処理装置70Aは、条件式(2)が満たされないと判定し(ステップS25:No)、ステップS27に移行する。
【0316】
第1処理装置70Aは、ステップS27に移行すると、第1画像100Aを、直前のシフト方向と同方向、すなわち-Y方向に0.5(mm)だけ動かす(ステップS27)。
【0317】
このステップS27の処理によって、第1画像100Aは、第25位置から-Y方向に0.5(mm)離れた第26位置に移動する。すなわち、ステップS27の処理は、第1処理装置70Aが、第1画像100Aを、第25位置から-Y方向に0.5(mm)離れた第26位置に動かす処理であると言い換えられる。
以上の処理により、10回目の画素ずれ補正処理が終了する。
【0318】
4-11.11回目の画素ずれ補正処理(Ct=11)
第1処理装置70Aは、11回目の画素ずれ補正処理を開始すると、まず、カメラ80から投射面200の撮像画像を取得する(ステップS1)。より具体的には、11回目の画素ずれ補正処理のステップS1において、第1処理装置70Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第26位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から撮像画像を取得する。
【0319】
続いて、第1処理装置70Aは、撮像画像に基づいて、重畳領域110におけるX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを算出する(ステップS2)。11回目の画素ずれ補正処理のステップS2において、X軸ずれ量dxとして0.4(mm)が得られ、Y軸ずれ量dyとして0.3(mm)が得られる。第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、一時的に第1メモリー60Aに保存する。
【0320】
続いて、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx又はY軸ずれ量dyが閾値Thより大きいか否かを判定する(ステップS3)。11回目の画素ずれ補正処理のステップS2で得られたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyは、両方とも閾値Thより小さい。従って、第1処理装置70Aは、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyの両方が閾値Thより小さいと判定し(ステップS3:No)、第1メモリー60Aに一時的に保存されていたX軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを消去した後、11回目の画素ずれ補正処理を終了する。
【0321】
以上が第4動作例の説明である。上記のように、第4動作例では、画素ずれ補正処理が11回実行される期間において、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより大きい場合にはX軸補正処理が実行され、X軸ずれ量dxがY軸ずれ量dyより小さい場合にはY軸補正処理が実行される。このように、本実施形態では、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyが両方とも閾値Thより小さくなるまで、X軸補正処理とY軸補正処理とを交互に実行することにより、X軸ずれ量dx及びY軸ずれ量dyを、閾値Thより小さい値に早期に収束させることができる。
【0322】
(第1実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態の投射画像の調整方法は、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第1位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に、少なくとも一部が第1画像100Aと重なる第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第1撮像画像を取得することと、第1撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dx、すなわち第1ずれ量と、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dy、すなわち第2ずれ量と、を取得することと、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、第1プロジェクター10Aによって、第1位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第3位置に第1画像100Aを動かすことと、第1プロジェクター10Aによって第3位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第2撮像画像を取得することと、第2撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dx、すなわち第3ずれ量と、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dy、すなわち第4ずれ量と、を取得することと、第3ずれ量及び第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ第3ずれ量が第1ずれ量より大きい場合に、第1プロジェクター10Aによって、第3位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第4位置に第1画像100Aを動かすことと、を含む。
【0323】
第3ずれ量が第1ずれ量より大きい場合、初めに第1画像100Aが動かされた+X方向は、X軸ずれ量dxを増大させる方向であると推測される。従って、この場合には、第3位置から+X方向とは逆向きの-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第4位置に第1画像100Aを動かすことにより、早期にシフト方向の誤りを修正して、X軸ずれ量dxを減少させることができる。このように、本実施形態によれば、互いに重なるように投射される第1画像100Aと第2画像100Bとの間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向のみが判明している状態であっても、第1画像100Aと第2画像100Bとの間の画素ずれを補正できる。
【0324】
本実施形態の投射画像の調整方法は、第1プロジェクター10Aによって第4位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第3撮像画像を取得することと、第3撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dx、すなわち第5ずれ量と、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dy、すなわち第6ずれ量と、を取得することと、第5ずれ量及び第6ずれ量が第3条件を満たし、且つ第5ずれ量が第3ずれ量より小さい場合に、第1プロジェクター10Aによって、第4位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第5位置に第1画像100Aを動かすことと、をさらに含む。
【0325】
第5ずれ量が第3ずれ量より小さい場合、第1画像100Aが第3位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第4位置に動かされたことにより、シフト方向の誤りが修正され、X軸ずれ量dxが減少したと推測される。従って、この場合には、第4位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第5位置に第2画像100Bを動かすことにより、X軸ずれ量dxをさらに減少させることができる。
【0326】
本実施形態の投射画像の調整方法は、第3ずれ量及び第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ第3ずれ量が第1ずれ量より小さい場合に、第1プロジェクター10Aによって、第3位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第6位置に第1画像100Aを動かすこと、をさらに含む。
【0327】
第3ずれ量が第1ずれ量より小さい場合、初めに第1画像100Aが動かされた+X方向は、X軸ずれ量dxを減少させる方向であると推測される。従って、この場合には、第3位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第6位置に第1画像100Aを動かすことにより、X軸ずれ量dxをさらに減少させることができる。
【0328】
本実施形態の投射画像の調整方法は、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たさない場合に、第1プロジェクター10Aによって、第1位置から+Y方向へ単位ずらし量だけ離れた第7位置に第1画像100Aを動かすこと、をさらに含む。
【0329】
上記のように、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たす場合には、第1画像100Aは+X方向に動かされ、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たさない場合には、第1画像100Aは+Y方向に動かされる。このように、第1条件の成否に応じて、第1画像100Aが動かされる方向を変化させることにより、ユーザーが認識する画素ずれ量がより少なくなるように補正を行うことができる。
【0330】
本実施形態の投射画像の調整方法において、第1条件は、第1ずれ量が第2ずれ量より大きいこと、である。すなわち、第1条件は、第1撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dxが、第1撮像画像に基づいて取得されるY軸ずれ量dyより大きいことである。また、本実施形態の投射画像の調整方法において、第2条件は、第3ずれ量が第4ずれ量より大きいこと、である。すなわち、第2条件は、第2撮像画像に基づいて取得されるX軸ずれ量dxが、第2撮像画像に基づいて取得されるY軸ずれ量dyより大きいことである。
【0331】
本実施形態によれば、第1ずれ量が第2ずれ量より大きい場合に、第1画像100Aは、第1位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第3位置に動かされ、第3ずれ量が第4ずれ量より大きい場合に、第1画像100Aは、第3位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第4位置に動かされる。このように、画素ずれ量が大きい軸方向から優先的に第1画像100Aの位置調整を行うことにより、視覚的に大きな画素ずれを、より短時間で補正することができる。
【0332】
本実施形態の投射画像の調整方法において、第1プロジェクター10Aが備える第1投射レンズ23Aの位置に応じて、投射面200に投射される第1画像100Aの位置が変化し、第1プロジェクター10Aによって第1位置から第3位置に第1画像100Aを動かすことは、第1投射レンズ23Aの位置を変化させることにより、第1位置から第3位置に第1画像100Aを動かすこと、を含む。
【0333】
このように、第1投射レンズ23Aの位置を変化させることにより、第1画像100Aを動かすことができる。第1画像100Aを1ピクセル単位で動かす場合には、下記のような第1液晶パネル22Aの表示領域において第1パネル画像が表示される位置を変化させる方法が適しているが、第1画像100Aをサブピクセル単位で動かす場合には、第1投射レンズ23Aの位置を変化させる方法が適している。
【0334】
本実施形態の投射画像の調整方法において、第1画像100Aは、第1プロジェクター10Aが備える第1液晶パネル22Aの表示領域に表示される第1パネル画像に対応し、第1プロジェクター10Aによって第1位置から第3位置に第1画像100Aを動かすことは、第1液晶パネル22Aの表示領域において第1パネル画像が表示される位置を変化させることにより、第1位置から第3位置に第1画像100Aを動かすこと、を含む。
【0335】
このように、第1液晶パネル22Aの表示領域において第1パネル画像が表示される位置を変化させることにより、第1プロジェクター10Aが第1投射レンズ23Aの位置調整機能を有していない場合であっても、第1画像100Aを動かすことができる。
【0336】
本実施形態のプロジェクションシステム1は、投射面200に第1画像100Aを投射する第1プロジェクター10Aと、投射面200に第2画像100Bを投射する第2プロジェクター10Bと、投射面200を撮像するカメラ80と、を備え、第1プロジェクター10Aは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第1位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に、少なくとも一部が第1画像100Aと重なる第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第1撮像画像を取得することと、第1撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dx、すなわち第1ずれ量と、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dy、すなわち第2ずれ量と、を取得することと、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、第1プロジェクター10Aによって、第1位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第3位置に第1画像100Aを動かすことと、第1プロジェクター10Aによって第3位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第2撮像画像を取得することと、第2撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dx、すなわち第3ずれ量と、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dy、すなわち第4ずれ量と、を取得することと、第3ずれ量及び第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ第3ずれ量が第1ずれ量より大きい場合に、第1プロジェクター10Aによって、第3位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第4位置に第1画像100Aを動かすことと、を行う処理装置70を備える。
【0337】
本実施形態のプロジェクションシステム1によれば、互いに重なるように投射される第1画像100Aと第2画像100Bとの間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向のみが判明している状態であっても、第1画像100Aと第2画像100Bとの間の画素ずれを補正できる。
【0338】
本実施形態のプログラムは、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第1位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に、少なくとも一部が第1画像100Aと重なる第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第1撮像画像を取得することと、第1撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dx、すなわち第1ずれ量と、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dy、すなわち第2ずれ量と、を取得することと、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、第1プロジェクター10Aによって、第1位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第3位置に第1画像100Aを動かすことと、第1プロジェクター10Aによって第3位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第2撮像画像を取得することと、第2撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dx、すなわち第3ずれ量と、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dy、すなわち第4ずれ量と、を取得することと、第3ずれ量及び第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ第3ずれ量が第1ずれ量より大きい場合に、第1プロジェクター10Aによって、第3位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第4位置に第1画像100Aを動かすことと、をコンピューターに実行させる。
【0339】
本実施形態のプログラムによれば、互いに重なるように投射される第1画像100Aと第2画像100Bとの間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向のみが判明している状態であっても、第1画像100Aと第2画像100Bとの間の画素ずれを補正できる。
【0340】
[第2実施形態]
以下、本開示の第2実施形態について説明する。
図14は、第2実施形態におけるプロジェクションシステム2の概略的な構成を示す図である。第1実施形態と同様に、プロジェクションシステム2は、複数のプロジェクター10から投射面200に投射される複数の画像をタイリングすることにより、投射面200に1つの画像を表示するマルチプロジェクションシステムである。以下に例示する第2実施形態において、第1実施形態と共通の構成については、第1実施形態で使用した符号と同じ符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
【0341】
プロジェクションシステム2は、第1のプロジェクター10Aと、第2のプロジェクター10Bと、カメラ80と、情報処理装置90と、を備える。第2実施形態において、第1のプロジェクター10A、第2のプロジェクター10B、及びカメラ80は、それぞれ、情報処理装置90と有線通信又は無線通信を行う。例えば、情報処理装置90は、パーソナルコンピューター、又はタブレット端末などである。
【0342】
情報処理装置90は、少なくとも、処理装置91と、メモリー92と、を備える。情報処理装置90は、不図示のマザーボード等の回路基板を内蔵しており、処理装置91及びメモリー92は、回路基板上に配置される。また、回路基板上には、情報処理装置90の筐体から露出するように配置された不図示の外部接続コネクターと、外部接続コネクターと電気的に接続される不図示の通信インターフェース回路などが配置される。回路基板上において、処理装置91、メモリー92、及び通信インターフェース回路は、バス等の配線を介して相互に電気的に接続される。
【0343】
メモリー92は、処理装置91に各種処理を実行させるのに必要なプログラム及び各種設定データなどを記憶する不揮発性メモリーと、処理装置91が各種処理を実行する際にデータの一時保存先として使用される揮発性メモリーと、を含む。例えば、不揮発性メモリーは、EEPROM、ROM又はフラッシュメモリーなどである。例えば、揮発性メモリーは、RAMなどである。
【0344】
処理装置91は、メモリー92に予め記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行するプロセッサーである。一例を挙げると、処理装置91は、単数または複数のCPUによって構成される。処理装置91の機能の一部または全部は、DSP、ASIC、PLD、及びFPGA等の回路によって構成されてもよい。処理装置91は、各種の処理を並列的または逐次的に実行する。
【0345】
処理装置91は、通信インターフェース回路を介して、第1プロジェクター10A、第2プロジェクター10B、及びカメラ80と通信する。処理装置91は、メモリー92に予め記憶されたプログラムに従って、画素ずれ補正処理を実行する。画素ずれ補正処理については第1実施形態で説明したため、第2実施形態では説明を省略する。
【0346】
(第2実施形態の効果)
本実施形態の情報処理装置90は、第1プロジェクター10Aによって投射面200における第1位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって投射面200における第2位置に、少なくとも一部が第1画像100Aと重なる第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第1撮像画像を取得することと、第1撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dx、すなわち第1ずれ量と、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dy、すなわち第2ずれ量と、を取得することと、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、第1プロジェクター10Aによって、第1位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第3位置に第1画像100Aを動かすことと、第1プロジェクター10Aによって第3位置に第1画像100Aが投射され、第2プロジェクター10Bによって第2位置に第2画像100Bが投射された状態で、投射面200をカメラ80に撮像させることにより、カメラ80から第2撮像画像を取得することと、第2撮像画像に基づいて、X軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のX軸ずれ量dx、すなわち第3ずれ量と、Y軸における第1画像100Aと第2画像100Bとの間のY軸ずれ量dy、すなわち第4ずれ量と、を取得することと、第3ずれ量及び第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ第3ずれ量が第1ずれ量より大きい場合に、第1プロジェクター10Aによって、第3位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第4位置に第1画像100Aを動かすことと、を行う処理装置91を備える。
【0347】
本実施形態の情報処置装置90によれば、互いに重なるように投射される第1画像100Aと第2画像100Bとの間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向のみが判明している状態であっても、第1画像100Aと第2画像100Bとの間の画素ずれを補正できる。
【0348】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0349】
上記実施形態では、第1条件は、第1ずれ量が第2ずれ量より大きいことであり、第2条件は、第3ずれ量が第4ずれ量より大きいことである形態を例示した。本開示はこれに限定されず、第1条件は、第1ずれ量が第2ずれ量より小さいことであり、第2条件は、第3ずれ量が第4ずれ量より小さいことであってもよい。この変形例によれば、第1ずれ量が第2ずれ量より小さい場合に、第1画像100Aは、第1位置から+X方向へ単位ずらし量だけ離れた第3位置に動かされ、第3ずれ量が第4ずれ量より小さい場合に、第1画像100Aは、第3位置から-X方向へ単位ずらし量だけ離れた第4位置に動かされる。このように、画素ずれ量が小さい軸方向から優先的に第1画像100Aの位置調整を行うことにより、例えば、画素ずれ量が増大する方向に第1画像100Aを動かしてしまった場合に、ユーザーに視覚的に大きな画素ずれを感じさせてしまうことを抑制できる。
【0350】
例えば、上記実施形態では、2台のプロジェクター10を備えるプロジェクションシステム1及び2を例示したが、本開示はこれに限定されず、プロジェクター10の台数は、2台以上であればよい。
【0351】
上記実施形態の投射画像の調整方法は、第1距離、第2距離、第3距離、第4距離および第5距離の一例として、これらがいずれも、撮像画像から算出できる画素ずれ量の下限値以上の値に設定される単位ずらし量を用いる構成を説明したが、本開示はこれに限定されない。第1距離から第5距離の各々の値は異なっていてもよく、例えば、得られたX軸ずれ量dxまたはY軸ずれ量dyに応じて、値が調整されてもよい。
【0352】
〔本開示のまとめ〕
以下、本開示のまとめを付記する。
【0353】
(付記1)第1プロジェクターによって投射面における第1位置に第1画像が投射され、第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる第2画像が投射された状態で、前記投射面をカメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、を含む、投射画像の調整方法。
【0354】
第3ずれ量が第1ずれ量より大きい場合、初めに第1画像が動かされた第1方向は、第1軸における第1画像と第2画像との間の画素ずれを増大させる方向であると推測される。従って、この場合には、第3位置から第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に第1画像を動かすことにより、早期にシフト方向の誤りを修正して、第1軸における画素ずれを減少させることができる。このように、付記1に記載の投射画像の調整方法によれば、互いに重なるように投射される第1画像と第2画像との間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向のみが判明している状態であっても、第1画像と第2画像との間の画素ずれを補正できる。
【0355】
(付記2)前記第1プロジェクターによって前記第4位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第3撮像画像を取得することと、前記第3撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第5ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第6ずれ量と、を取得することと、前記第5ずれ量及び前記第6ずれ量が第3条件を満たし、且つ前記第5ずれ量が前記第3ずれ量より小さい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第4位置から前記第2方向へ第3距離離れた第5位置に前記第1画像を動かすことと、をさらに含む、付記1に記載の投射画像の調整方法。
【0356】
第5ずれ量が第3ずれ量より小さい場合、第1画像100Aが第3位置から第2方向へ第2距離離れた第4位置に動かされたことにより、シフト方向の誤りが修正され、第1軸における画素ずれが減少したと推測される。従って、この場合には、第4位置から第2方向へ第3距離離れた第5位置に第1画像を動かすことにより、第1軸における画素ずれをさらに減少させることができる。
【0357】
(付記3)前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が前記第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より小さい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から前記第1方向へ第4距離離れた第6位置に前記第1画像を動かすこと、をさらに含む、付記1に記載の投射画像の調整方法。
【0358】
第3ずれ量が第1ずれ量より小さい場合、初めに第1画像が動かされた第1方向は、第1軸における画素ずれを減少させる方向であると推測される。従って、この場合には、第3位置から第1方向へ第4距離離れた第6位置に第1画像を動かすことにより、第1軸における画素ずれをさらに減少させることができる。
【0359】
(付記4)前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が前記第1条件を満たさない場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第2軸の一端側へ向かう方向に対応する第3方向へ第5距離離れた第7位置に前記第1画像を動かすことと、をさらに含む、付記1に記載の投射画像の調整方法。
【0360】
付記4によれば、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たす場合には、第1画像は第1方向に動かされ、第1ずれ量及び第2ずれ量が第1条件を満たさない場合には、第1画像は第3方向に動かされる。このように、第1条件の成否に応じて、第1画像が動かされる方向を変化させることにより、ユーザーが認識する画素ずれ量がより少なくなるように補正を行うことができる。
【0361】
(付記5)前記第1条件は、前記第1ずれ量が前記第2ずれ量より大きいこと、であり、前記第2条件は、前記第3ずれ量が前記第4ずれ量より大きいこと、である、付記1に記載の投射画像の調整方法。
【0362】
付記5によれば、第1ずれ量が第2ずれ量より大きい場合に、第1画像は、第1位置か第1方向へ第1距離離れた第3位置に動かされ、第3ずれ量が第4ずれ量より大きい場合に、第1画像は、第3位置から第2方向へ第2距離離れた第4位置に動かされる。このように、画素ずれ量が大きい軸方向から優先的に第1画像の位置調整を行うことにより、視覚的に大きな画素ずれを、より短時間で補正することができる。
【0363】
(付記6)前記第1条件は、前記第1ずれ量が前記第2ずれ量より小さいこと、であり、前記第2条件は、前記第3ずれ量が前記第4ずれ量より小さいこと、である、付記1に記載の投射画像の調整方法。
【0364】
付記6によれば、第1ずれ量が第2ずれ量より小さい場合に、第1画像は、第1位置から第1方向へ第1距離離れた第3位置に動かされ、第3ずれ量が第4ずれ量より小さい場合に、第1画像は、第3位置から第2方向へ第2距離離れた第4位置に動かされる。このように、画素ずれ量が小さい軸方向から優先的に第1画像の位置調整を行うことにより、例えば、画素ずれ量が増大する方向に第1画像を動かしてしまった場合に、ユーザーに視覚的に大きな画素ずれを感じさせてしまうことを抑制できる。
【0365】
(付記7)前記第1プロジェクターが備える第1投射レンズの位置に応じて、前記投射面に投射される前記第1画像の位置が変化し、前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像を動かすことは、前記第1投射レンズの位置を変化させることにより、前記第1画像を前記第1位置から前記第3位置に動かすこと、を含む、付記1から6のいずれか一項に記載の投射画像の調整方法。
このように、第1投射レンズの位置を変化させることにより、第1画像を動かすことができる。
【0366】
(付記8)前記第1画像は、前記第1プロジェクターが備える第1パネルの表示領域に表示される第1パネル画像に対応し、前記第1プロジェクターによって前記第1位置から前記第3位置に前記第1画像を動かすことは、前記第1パネルの前記表示領域において前記第1パネル画像が表示される位置を変化させることにより、前記第1位置から前記第3位置に前記第1画像を動かすこと、を含む、付記1から6のいずれか一項に記載の投射画像の調整方法。
このように、第1パネルの表示領域において第1パネル画像が表示される位置を変化させることにより、第1プロジェクターが第1投射レンズの位置調整機能を有していない場合であっても、第1画像を動かすことができる。
【0367】
(付記9)投射面に第1画像を投射する第1プロジェクターと、前記投射面に第2画像を投射する第2プロジェクターと、前記投射面を撮像するカメラと、を備え、前記第1プロジェクターは、前記第1プロジェクターによって前記投射面における第1位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、を行う処理装置を備える、プロジェクションシステム。
【0368】
付記9のプロジェクションシステムによれば、互いに重なるように投射される第1画像と第2画像との間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向のみが判明している状態であっても、第1画像と第2画像との間の画素ずれを補正できる。
【0369】
(付記10)第1プロジェクターによって投射面における第1位置に第1画像が投射され、第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる第2画像が投射された状態で、前記投射面をカメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、を行う処理装置を備える、情報処理装置。
【0370】
付記10の情報処理装置によれば、互いに重なるように投射される第1画像と第2画像との間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向のみが判明している状態であっても、第1画像と第2画像との間の画素ずれを補正できる。
【0371】
(付記11)第1プロジェクターによって投射面における第1位置に第1画像が投射され、第2プロジェクターによって前記投射面における第2位置に、少なくとも一部が前記第1画像と重なる第2画像が投射された状態で、前記投射面をカメラに撮像させることにより、前記カメラから第1撮像画像を取得することと、前記第1撮像画像に基づいて、グローバル座標系の座標軸である第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第1ずれ量と、前記第1軸に直交する第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第2ずれ量と、を取得することと、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量が第1条件を満たす場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第1位置から、前記第1軸の一端側へ向かう方向に対応する第1方向へ第1距離離れた第3位置に前記第1画像を動かすことと、前記第1プロジェクターによって前記第3位置に前記第1画像が投射され、前記第2プロジェクターによって前記第2位置に前記第2画像が投射された状態で、前記投射面を前記カメラに撮像させることにより、前記カメラから第2撮像画像を取得することと、前記第2撮像画像に基づいて、前記第1軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第3ずれ量と、前記第2軸における前記第1画像と前記第2画像との間の第4ずれ量と、を取得することと、前記第3ずれ量及び前記第4ずれ量が第2条件を満たし、且つ前記第3ずれ量が前記第1ずれ量より大きい場合に、前記第1プロジェクターによって、前記第3位置から、前記第1方向とは逆向きの第2方向へ第2距離離れた第4位置に前記第1画像を動かすことと、をコンピューターに実行させる、プログラム。
【0372】
付記11のプログラムによれば、互いに重なるように投射される第1画像と第2画像との間の相対的な画素ずれ量及び画素ずれ方向のみが判明している状態であっても、第1画像と第2画像との間の画素ずれを補正できる。
【符号の説明】
【0373】
1、2…プロジェクションシステム、10…プロジェクター、10A…第1プロジェクター、10B…第2プロジェクター、80…カメラ、90…情報処理装置、20…光学装置、30…入力装置、40…通信装置、50…スピーカー、60、92…メモリー、70、91…処理装置、100A…第1画像、100B…第2画像、110…重畳領域、200…投射面