(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142662
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】回路装置、電気光学装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20241003BHJP
G01R 31/3185 20060101ALI20241003BHJP
G01R 27/26 20060101ALI20241003BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01R31/28 V
G01R31/3185
G01R27/26 C
H01L27/04 T
H01L27/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054903
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 進也
(72)【発明者】
【氏名】森田 晶
【テーマコード(参考)】
2G028
2G132
5F038
【Fターム(参考)】
2G028AA01
2G028BB06
2G028BC10
2G028BD10
2G028CG07
2G028DH06
2G028EJ06
2G028FK01
2G028FK07
2G028GL12
2G028MS03
2G132AA12
2G132AC01
2G132AD03
2G132AK09
2G132AL11
5F038DT04
5F038DT10
5F038DT12
(57)【要約】
【課題】被検定容量素子の容量値と検定用容量素子の容量値との差が大きい場合でも、安定して検定できるようにする。
【解決手段】制御回路110は、検定用の容量素子CpおよびノードTestを、検定の対象である容量素子Cm1-1に接続して、演算増幅回路Amp1から出力される電圧を、容量素子Cm1-1、CpおよびノードTestに印加する。この後、容量素子CpおよびノードTestを、検定容量素子Cm1-1から切り離し、容量素子およびノードTestを、容量素子Cm1-1に接続して、容量素子Cm1-1に蓄積された電荷を移動させ、比較回路Cmpの負入力端(-)の電圧Vrefを設定して、比較回路Cmpから出力される信号Coutに基づいて容量素子Cm1-1を検定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被検定容量素子と、
第2被検定容量素子と、
第1端の電圧および第2端の電圧を比較する第1比較回路と、
前記第1端と固定電位との間に設けられる第1検定用容量素子と、
第1出力端に向けて電圧を出力する第1演算増幅回路と、
制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子に電気的に接続して、前記第1演算増幅回路から出力される第1電圧を、前記第1被検定容量素子、前記検定用容量素子および前記第1端に印加し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子から電気的に切り離し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子に電気的に接続して、前記第1被検定容量素子の電荷を移動させ、前記第2端を第1検定電圧に設定し、
前記第1比較回路に基づいて前記第1被検定容量素子を検定し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第2被検定容量素子に電気的に接続して、前記第1演算増幅回路から出力される第2電圧を、前記第2被検定容量素子、前記検定用容量素子および前記第1端に印加し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、第2被検定容量素子および前記第1出力端から電気的に切り離し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、第2被検定容量素子に電気的に接続して、前記第2被検定容量素子の電荷を移動させ、前記第2端を第2検定電圧に設定し、
前記第1比較回路に基づいて前記第2被検定容量素子を検定する
回路装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子から電気的に切り離した後、前記第1演算増幅回路から出力される第3電圧を前記第1被検定容量素子に印加し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子に電気的に接続して、前記第1被検定容量素子の電荷を移動させ、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第2被検定容量素子から電気的に切り離した後、前記第1演算増幅回路から出力される第4電圧を前記第1被検定容量素子に印加し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第2被検定容量素子に電気的に接続して、前記第2被検定容量素子の電荷を移動させる
請求項1に記載の回路装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子から電気的に切り離した後、前記第1被検定容量素子の一端電位をシフトさせ、かつ、前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子に電気的に接続して、当該第1被検定容量素子の電荷を移動させ、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第2被検定容量素子から電気的に切り離した後、前記第2被検定容量素子の一端電位をシフトさせ、かつ、前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第2被検定容量素子に電気的に接続して、当該第2被検定容量素子の電荷を移動させる
請求項1に記載の回路装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子から電気的に切り離す際に、前記第1出力端からも電気的に切り離す
請求項1に記載の回路装置。
【請求項5】
第3被検定容量素子と、
第4被検定容量素子と、
第2出力端に向けて電圧を出力する第2演算増幅回路と、
を有し、
前記制御回路は、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第3被検定容量素子に電気的に接続して、前記第2演算増幅回路から出力される第5電圧を、前記第3被検定容量素子、前記検定用容量素子および前記第1端に印加し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第3被検定容量素子から電気的に切り離し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第3被検定容量素子に電気的に接続して、前記第3被検定容量素子の電荷を移動させ、前記第2端を第3検定電圧に設定し、
前記第1比較回路に基づいて前記第3被検定容量素子を検定し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第4被検定容量素子に電気的に接続して、前記第2演算増幅回路から出力される第6電圧を、前記第4被検定容量素子、前記検定用容量素子および前記第1端に印加し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、第4被検定容量素子および前記第2出力端から電気的に切り離し、
前記検定用容量素子および前記第1端を、第4被検定容量素子に電気的に接続して、前記第4被検定容量素子の電荷を移動させ、前記第2端を第4検定電圧に設定し、
前記第1比較回路に基づいて前記第4被検定容量素子を検定する
請求項1に記載の回路装置。
【請求項6】
第1被検定容量素子と、
第2被検定容量素子と、
第1端の電圧および第2端の電圧を比較する第1比較回路と、
第3端の電圧および第4端の電圧を比較する第2比較回路と、
前記第1端と固定電位との間に設けられる第1検定用容量素子と、
前記第3端と前記固定電位との間に設けられる第2検定用容量素子と、
第1出力端に向けて電圧を出力する第1演算増幅回路と、
制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、
前記第1検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子に電気的に接続して、前記第1演算増幅回路から出力される第1電圧を、前記第1被検定容量素子、前記第1検定用容量素子および前記第1端に印加し、
前記第1検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子から電気的に切り離し、
前記第1検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子に電気的に接続して、前記第1被検定容量素子の電荷を移動させ、前記第2端を第1検定電圧に設定し、
前記第1比較回路に基づいて前記第1被検定容量素子を検定し、
前記第2検定用容量素子および前記第3端を、前記第2被検定容量素子に電気的に接続して、前記第1演算増幅回路から出力される第2電圧を、前記第2被検定容量素子、前記第2検定用容量素子および前記第3端に印加し、
前記第2検定用容量素子および前記第3端を、第2被検定容量素子および前記第1出力端から電気的に切り離し、
前記第2検定用容量素子および前記第3端を、第2被検定容量素子に電気的に接続して、前記第2被検定容量素子の電荷を移動させ、前記第4端を第2検定電圧に設定し、
前記第2比較回路に基づいて前記第2被検定容量素子を検定する
回路装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの回路装置と、
データ線と、
走査線と、
画素回路と、
を含み、
前記第1出力端が前記データ線に対応して設けられ、
前記画素回路が前記データ線に対応して設けられる
電気光学装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電気光学装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、回路装置、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板に形成された容量素子、特に容量値を検定する技術としては、例えば、特許文献1に記載された技術が挙げられる。特許文献1に記載の技術は、具体的には、検定の対象である被検定容量素子と検定用容量素子とに異なる電圧を印加してから電気的に接続し、電荷の移動によって変化する電圧に基づいて被検定容量素子の容量値を検定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、被検定容量素子の容量値と検定用容量素子の容量値との差が大きい場合、電荷の移動量が少なくなるので、電圧変化が小さくなる。このため、安定して検定ができない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る回路装置は、第1被検定容量素子と、第2被検定容量素子と、第1端の電圧および第2端の電圧を比較する第1比較回路と、前記第1端と固定電位との間に設けられる第1検定用容量素子と、第1出力端に向けて電圧を出力する第1演算増幅回路と、制御回路と、を有し、前記制御回路は、前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子に電気的に接続して、前記第1演算増幅回路から出力される第1電圧を、前記第1被検定容量素子、前記検定用容量素子および前記第1端に印加し、前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子から電気的に切り離し、前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第1被検定容量素子に電気的に接続して、前記第1被検定容量素子の電荷を移動させ、前記第2端を第1検定電圧に設定し、前記第1比較回路に基づいて前記第1被検定容量素子を検定し、前記検定用容量素子および前記第1端を、前記第2被検定容量素子に電気的に接続して、前記第1演算増幅回路から出力される第2電圧を、前記第2被検定容量素子、前記検定用容量素子および前記第1端に印加し、前記検定用容量素子および前記第1端を、第2被検定容量素子および前記第1出力端から電気的に切り離し、前記検定用容量素子および前記第1端を、第2被検定容量素子に電気的に接続して、前記第2被検定容量素子の電荷を移動させ、前記第2端を第2検定電圧に設定し、前記第1比較回路に基づいて前記第2被検定容量素子を検定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る回路装置のうち、検定回路を含む周辺の回路図である。
【
図2】第1実施形態の変形例に回路装置のうち、検定回路を含む周辺の回路図である。
【
図3】第2実施形態に係る回路装置のうち、検定回路を含む周辺の回路図である。
【
図4】第2実施形態の変形例に回路装置のうち、検定回路を含む周辺の回路図である。
【
図5】第3実施形態に係る回路装置のうち、検定回路を含む周辺の回路図である。
【
図6】第3実施形態の変形例に回路装置のうち、検定回路を含む周辺の回路図である。
【
図7】第3実施形態に係る回路装置のノードに至る配線の位置を示す平面図である。
【
図8】第3実施形態に係る回路装置のノードに至る配線の位置を示す断面図である。
【
図9】第3実施形態に係る回路装置のノードに至る配線の位置を示す断面図である。
【
図10】第3実施形態に係る回路装置のノードに至る配線の位置を示す断面図である。
【
図11】実施形態等に係る回路装置のノードに至る配線等を示す図である。
【
図12】実施形態等に係る回路装置を適用した電気光学装置の構成を示す図である。
【
図14】電気光学装置における画素回路を示す図である。
【
図15】電気光学装置におけるドライバーを示すブロック図である。
【
図16】電気光学装置を適用した投射型表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0008】
図1は、第1実施形態に係る回路装置のうち、検定回路10を含む周辺回路を示す図である。検定回路10は、検定の対象である容量素子Cm1-1~Cm1-5、Cm2-1~Cm2-5、Cm3-1~Cm3-5の容量値が予め定められた範囲内に収まっているか否かを検定する回路である。検定回路10は、容量素子Cm1-1~Cm1-5、Cm2-1~Cm2-5、Cm3-1~Cm3-5や他の要素とともに同一の半導体基板に形成される。
【0009】
検定の対象である容量素子のうち、容量素子Cm1-1~Cm1-5により第1組が構成される。第1組は、容量素子Cm1-1~Cm1-5のほか、スイッチSW1-1~SW1-3、SWm1-2~SWm1-5、増幅回路Amp1、スイッチAt1、出力端Out1、バッファBuf1-1~Buf1-5を含む。
容量素子Cm2-1~Cm2-5により第2組が構成される。第2組は、容量素子Cm2-1~Cm2-5のほか、スイッチSW2-1~SW2-3、SWm2-2~SWm2-5、増幅回路Amp2、スイッチAt2、出力端Out2、バッファBuf2-1~Buf2-5を含む。
容量素子Cm3-1~Cm3-5により第3組が構成される。第3組は、容量素子Cm3-1~Cm3-5のほか、スイッチSW3-1~SW3-3、SWm3-2~SWm3-5、増幅回路Amp3、スイッチAt3、出力端Out3、バッファBuf3-1~Buf3-5を含む。
なお、
図1では、説明を簡略化するために3組としているが、これらの組は実際には、後述するようにデータ線毎に設けられる。
【0010】
また、検定回路10は、各組で共通なスイッチSWp、容量素子Cp、比較回路Cmpおよび制御回路110を含む。
以降において、図において、特定のスイッチについて言及しない場合には、スイッチの符号を省略する。同様に、特定のバッファについて言及しない場合には、バッファの符号を省略する。
【0011】
容量素子Cm1-1~Cm1-5の容量値は、例えば互いに異なる。なお、便宜的に容量素子Cm1-1の容量値を「1」とした場合に、容量素子Cm1-2~Cm1-5の容量値は、順に「1/2」、「1/4」、「1/8」、「1/16」である。他の組の容量素子Cm2-1~Cm2-5(Cm3-1~Cm3-5)も同様に、容量値が、容量素子Cm2-1(Cm3-1)の容量値を「1」とした場合に、容量素子Cm2-2~Cm2-5(Cm3-1~Cm3-5)の容量値は、順に「1」、「1/2」、「1/4」、「1/8」、「1/16」である。
【0012】
制御回路110は、スイッチのオン状態またはオフ状態を個別に制御し、バッファを個別に制御する。本説明において、スイッチのオン状態とは、スイッチの両端が電気的に閉じて低インピーダンス状態になることをいう。また、スイッチのオフ状態とは、スイッチの両端が電気的に開いて高インピーダンス状態になることをいう。
制御回路110は、検査対象とする容量素子を1つ選択し、選択した容量素子の容量値を検定する。また、制御回路110は、増幅回路Amp1~Amp3を個別に制御する。さらに、制御回路110は、後述する電圧Vrefを設定する。
【0013】
増幅回路Amp1は、制御回路110の制御にしたがって任意の電圧を出力する。スイッチAt1は、制御回路110の制御にしたがって、オン状態であれば増幅回路Amp1の出力端を第1組の出力端Out1に接続し、オフ状態であれば増幅回路Amp1の出力端を当該出力端Out1から電気的に切り離す。
【0014】
バッファBuf1-1~Buf1-5は、制御回路110の制御にしたがって、HまたはLレベルを出力する。なお、Lレベルは、電圧ゼロの基準である接地電位Vshであり、Hレベルは、例えば、電源電圧の高位の電圧Vdhである。
バッファBuf1-1の出力端は容量素子Cm1-1の一端に接続され、容量素子Cm1-1の他端は、スイッチSW1-2の一端および出力端Out1に接続される。
バッファBuf1-2の出力端は、容量素子Cm1-2の一端に接続され、容量素子Cm1-2の他端は、スイッチSWm1-2を介し、スイッチSW1-1の一端およびスイッチSW1-3に接続される。バッファBuf1-3~Buf1-5の出力端は、順に容量素子Cm1-3~Cm1-5の一端に接続され、容量素子Cm1-2~Cm1-5の他端は、順にスイッチSWm1-3~SWm1-5を介し、スイッチSW1-1の一端およびスイッチSW1-3に接続される。
スイッチSW1-2の他端およびSW1-3の他端は比較回路Cmpの正入力端(+)に接続される。
【0015】
本説明において、「接続される」とは、2以上の要素間の直接的または間接的な接続または結合を意味し、例えば半導体基板において2以上の要素間が直接的ではなくても、異なる配線層およびコンタクトホールを介して接続されることも含む。
また、比較回路Cmpの正入力端(+)を便宜的にノードTestと呼称する。
【0016】
第2組において、増幅回路Amp2は、制御回路110の制御にしたがって任意の電圧を出力する。スイッチAt2は、制御回路110の制御にしたがって、オン状態であれば増幅回路Amp2の出力端を第2組の出力端Out2に接続し、オフ状態であれば増幅回路Amp2の出力端を当該出力端Out2から電気的に切り離す。
バッファBuf2-1の出力端は容量素子Cm2-1の一端に接続され、容量素子Cm2-1の他端は、スイッチSW2-2の一端および出力端Out2に接続される。
バッファBuf2-2の出力端は、容量素子Cm2-2の一端に接続され、容量素子Cm2-2の他端は、スイッチSWm2-2を介し、スイッチSW2-1の一端およびスイッチSW2-3に接続される。バッファBuf2-3~Buf2-5の出力端は、順に容量素子Cm2-3~Cm2-5の一端に接続され、容量素子Cm2-2~Cm2-5の他端は、順にスイッチSWm2-3~SWm2-5を介し、スイッチSW2-1の一端およびスイッチSW2-3に接続される。
スイッチSW2-2の他端およびSW2-3の他端はノードTestに接続される。
【0017】
同様に第3組において、増幅回路Amp3は、制御回路110の制御にしたがって任意の電圧を出力する。スイッチAt3は、制御回路110の制御にしたがって、オン状態であれば増幅回路Amp3の出力端を第3組の出力端Out3に接続し、オフ状態であれば増幅回路Amp3の出力端を当該出力端Out3から電気的に切り離す。
バッファBuf3-1の出力端は容量素子Cm3-1の一端に接続され、容量素子Cm3-1の他端は、スイッチSW3-2の一端および出力端Out3に接続される。
バッファBuf3-2の出力端は、容量素子Cm3-2の一端に接続され、容量素子Cm3-2の他端は、スイッチSWm3-2を介し、スイッチSW3-1の一端およびスイッチSW3-3に接続される。バッファBuf3-3~Buf3-5の出力端は、順に容量素子Cm3-3~Cm3-5の一端に接続され、容量素子Cm3-2~Cm3-5の他端は、順にスイッチSWm3-3~SWm3-5を介し、スイッチSW3-1の一端およびスイッチSW3-3に接続される。
スイッチSW3-2の他端およびSW3-3の他端はノードTestに接続される。
【0018】
容量素子Cpの一端は、例えば接地電位Vshである。容量素子Cpの他端は、スイッチSWpを介して、ノードTestに接続される。なお、図では、容量素子CpおよびスイッチSWpが1組であるが、例えば複数組が接地電位VshとノードTestとの間に並列に設けられて、見掛け上の容量素子Cpの容量値が検定対象の容量値に合わせて可変にされる。
【0019】
比較回路Cmpは、正入力端(+)に印加された電圧が負入力端(-)に印加された電圧Vref以上であれば、信号CoutをHレベルで出力し、正入力端(+)の電圧が電圧Vref未満であれば、信号CoutをLレベルで出力する。
制御回路110は、現時点において検査の対象になっている容量素子の容量値が予め定められた範囲内に収まっているか否かを信号Coutに基づいて判定する。
【0020】
なお、スイッチAt1、SW1-1およびSW1-2がいずれもオフ状態であるときに、出力端Out1の寄生容量がCpr1である。スイッチAt2、SW2-1およびSW2-2がいずれもオフ状態であるときに、出力端Out2の寄生容量がCpr2である。同様に、スイッチAt3、SW3-1およびSW3-2がいずれもオフ状態であるときに、出力端Out3の寄生容量がCpr3である。
【0021】
次に、第1実施形態に係る検定回路10の動作について、すべてのバッファがLレベル(Vsh)で固定である場合を例に挙げて説明する。はじめに、検定の対象を第1組の容量素子Cm1-1とする。
なお、以下の説明において、各スイッチは原則オフ状態であり、制御回路110からの指示があった場合にオン状態になる。
【0022】
まず、制御回路110は、ノードTestおよび容量素子Cm1-1を初期化する。詳細には、制御回路110は、スイッチAt1、SW1-2およびスイッチSWpをオン状態にして、増幅回路Amp1に初期電圧V1を出力させる。これにより、ノードTestは、初期電圧V1になるとともに、容量素子Cm1-1およびCpに当該初期電圧(V1-Vsh)が書き込まれる。
【0023】
次に、制御回路110は、検定の対象である容量素子Cm1-1に検定用の電圧を書き込む。詳細には、第1に、制御回路110は、スイッチSW1-2をオフ状態にし、増幅回路Amp1に電圧V2を出力させる。これにより、容量素子Cm1-1に電圧(V2-Vsh)が書き込まれる。第2に、制御回路110は、スイッチAt1をオフ状態にする。
【0024】
続いて、制御回路110は、容量素子Cm1-1に書き込まれた検定用の電圧を再分配させる。詳細には、第1に、制御回路110は、スイッチSW1-2をオン状態にする。スイッチSW1-2がオン状態になることによって、合成容量と、検定の対象である容量素子Cm1-1とにおいて電荷が再分配されるので、ノードTestは、次の式(1)で示される電圧Vsになる。
なお、ここでいう合成容量とは、容量素子Cpの容量値と、出力端Out1からスイッチSW1-2までの寄生容量Cpr1と、の和である。ここで、容量素子Cpの容量値には、スイッチSW1-2からノードTestまでの寄生容量が含まれる。
【0025】
【0026】
ここで、制御回路110は、V1<V2であれば、比較回路Cmpの負入力端(-)に印加する電圧Vrefを、
V1<Vref<Vs
に設定する。好ましくは、制御回路110は、電圧Vrefを例えば次の式(2)になるように設定する。
【数2】
【0027】
仮に、容量素子Cm1-1が正常であれば、信号CoutはHレベルになり、異常であれば、信号CoutはLレベルになる。このため、制御回路110は、電荷の再分配後において、信号Coutの論理レベルによって、容量素子Cm1-1が正常であるか異常であるかを検定することができる。
【0028】
次に、検定の対象を第1組の容量素子Cm1-2である場合の動作について説明する。
まず、制御回路110は、ノードTestおよび容量素子Cm1-2を初期化する。詳細には、制御回路110は、すべてのスイッチをオフ状態にする。この後、制御回路110は、スイッチAt1、SW1-1、SW1-3、SWm1-2およびスイッチSWpをオン状態にして、増幅回路Amp1に初期電圧V1を出力させる。これにより、ノードTestは、初期電圧V1になるとともに、容量素子Cm1-2およびCpに当該初期電圧(V1-Vsh)が書き込まれる。
【0029】
次に、制御回路110は、検定の対象である容量素子Cm1-2に検定用の電圧を書き込む。詳細には、第1に、制御回路110は、スイッチSW1-3をオフ状態にし、増幅回路Amp1に電圧V2を出力させる。これにより、容量素子Cm1-2に電圧(V2-Vsh)が書き込まれる。この後、第2に、制御回路110は、スイッチAt1をおよびSW1-1をオフ状態にする。
【0030】
続いて、制御回路110は、容量素子Cm1-2に書き込まれた検定用の電圧を再分配させる。詳細には、第1に、制御回路110は、スイッチSW1-3をオン状態にする。スイッチSW1-3がオン状態になることによって、合成容量と、検定の対象である容量素子Cm1-2とにおいて電荷が再分配されるので、ノードTestは、次の式(3)で示される電圧Vsになる。
なお、ここでいう合成容量には、容量素子Cpの容量値に加えて、容量素子Cm1-2の他端からノードTestまでの寄生容量が含まれる。
【0031】
【0032】
ここで、制御回路110は、比較回路Cmpの負入力端(-)に印加する電圧Vrefを、
V1<Vref<Vs
に設定する。好ましくは、制御回路110は、電圧Vrefを上記式(2)になるように設定する。
【0033】
仮に、容量素子Cm1-2が正常であれば、信号CoutはHレベルになり、異常であれば、信号CoutはLレベルになる。このため、制御回路110は、電荷の再分配後において、信号Coutの論理レベルによって、容量素子Cm1-2が正常であるか異常であるかを検定することができる。
【0034】
なお、検定の対象を第1組の容量素子Cm1-3、Cm1-4、Cm1-5である場合の動作については、容量素子Cm1-2を検定する動作と同様である。詳細には、iを容量素子の序数を示す3、4、5のいずれかの整数として、容量素子Cm1-iを検定する場合、容量素子Cm1-2を検定する動作において、ハイフン「-」の後の「2」を「i」に、読み替えればよい。
【0035】
容量素子Cm1-1の検定に用いる式(1)では、出力端Out1の寄生容量Cpr1が現れるが、容量素子Cm1-1の容量値が大きいので、寄生容量Cpr1の影響を受けにくい。また、容量素子Cpの容量値を、容量素子Cm1-1の容量値とほぼ同じ値にすることによって、再分配時における電荷の移動量を多くすることができる。このため、容量素子Cm1-1の検定における電圧の変動分が大きくなるので、検定の精度が向上する。
一方、容量素子Cm1-2~Cm1-5の検定において、電荷の再分配では、スイッチSW1-1がオフ状態である。このため、容量素子Cm1-2~Cm1-5の検定に用いる式(3)では、出力端Out1の寄生容量Cpr1が現れない。容量素子Cm1-2~Cm1-5は、容量素子Cm1-1と比べると小さいが、寄生容量Cpr1の影響を受けない。
また、容量素子Cpの容量値を、容量素子Cm1-2~Cm1-5のうち、検定の対象となる容量値とほぼ同じ値にすることによって、再分配時における電荷の移動量を多くすることができる。このため、容量素子Cm1-2~Cm1-5の検定の精度が向上する。
したがって、本実施形態では、複数の容量値が異なる容量素子を検定する場合において、容量値が大きい容量素子と容量値が小さい容量素子との双方について、精度良く検定することができる。
【0036】
なお、この説明では、第1組を構成する容量素子Cm1-1~Cm1-5の検定について説明したが、第1組以外の第2組の容量素子Cm2-1~Cm2-5、第3組の容量素子Cm3-1~Cm3-5を検定する動作については、第1組の容量素子Cm1-1~Cm1-5を検定する動作と同様である。詳細には、jを、組を示す2または3のいずれかの整数として、第j組の容量素子Cmj-1~Cmj-5を検定する場合、第1組の容量素子Cm1-1~Cm1-5の動作において、ハイフン「-」の前の「1」を「j」に、読み替えればよい。
【0037】
この説明では、すべてのバッファがLレベルで固定にして説明したが、検定の対象の容量素子の一端における電圧を、当該容量素子の一端に接続されたバッファによって変化させてもよい。この場合の例について、まず、検定の対象を容量素子Cm1-1として説明する。
【0038】
まず、制御回路110は、ノードTestおよび容量素子Cm1-1を初期化する。詳細には、制御回路110は、すべてのスイッチをオフ状態にし、すべてのバッファにLレベル(Vsh)を出力させる。この後、制御回路110は、スイッチAt1、SW1-2およびスイッチSWpをオン状態にして、増幅回路Amp1に初期電圧V1を出力させる。これにより、ノードTestは、初期電圧V1になるとともに、容量素子Cm1-1およびCpに当該初期電圧(V1-Vsh)が書き込まれる。
【0039】
次に、制御回路110は、スイッチAt1をオフ状態にして、バッファBuf1-1の出力をLレベルからHレベル(Vdh)に変化させる。容量素子Cm1-1の一端がLレベルからHレベルに変化する一方で、スイッチSW1-2およびスイッチSWpはオン状態を維持しているので、容量素子Cm1-1から電荷が流出して、合成容量と検定の対象である容量素子Cm1-1とにおいて電荷が再分配される。なお、ここでいう合成容量とは、容量素子Cpの容量値と、出力端Out1からスイッチSW1-2までの寄生容量Cpr1と、の和であり、容量素子Cpの容量値には、スイッチSW1-2からノードTestまでの寄生容量が含まれる。
この後、制御回路110は、電圧Vrefを次の式(4)に設定する。
【0040】
【0041】
制御回路110は、電荷の再分配後において、信号Coutの論理レベルによって、容量素子Cm1-1が正常であるか不良であるかを検定することができる。
式(4)において、電圧変化を示す項(Vdh-Vsh)は、容量素子Cm1-1の容量値だけの影響を受け、寄生容量Cpr1の影響を受けない。このため、ノードTestの電圧Vsは、容量素子Cm1-1における容量値を精度良く反映した値になる。
【0042】
次に、検定の対象を容量素子Cm1-2の場合について説明する。
まず、制御回路110は、ノードTestおよび容量素子Cm1-2を初期化する。詳細には、制御回路110は、すべてのスイッチをオフ状態にし、すべてのバッファにLレベル(Vsh)を出力させる。この後、制御回路110は、スイッチAt1、SW1-1、SW1-3、SWm1-2およびスイッチSWpをオン状態にして、増幅回路Amp1に初期電圧V1を出力させる。これにより、ノードTestは、初期電圧V1になるとともに、容量素子Cm1-2およびCpに当該初期電圧(V1-Vsh)が書き込まれる。
【0043】
次に、制御回路110は、スイッチSW1-1をオフ状態にし、バッファBuf1-1の出力をLレベルからHレベル(Vdh)に変化させる。容量素子Cm1-2の一端がLレベルからHレベルに変化する一方で、スイッチSW1m-2、SW1-3およびスイッチSWpはオン状態を維持しているので、容量素子Cm1-2から電荷が流出して、合成容量と検定の対象である容量素子Cm1-2とにおいて電荷が再分配される。なお、ここでいう合成容量には、容量素子Cpの容量値に加えて、容量素子Cm1-2の他端からノードTestまでの寄生容量が含まれるが、スイッチSW1-1はオフ状態であるので、寄生容量Cpr1は含まれない。
電荷の再分配により、ノードTestは、次の式(5)で示される電圧Vsになる。
【0044】
【0045】
電圧Vrefは、上記電圧Vsの90%とした場合、制御回路110は、電圧Vrefを次の式(6)で示されるように設定する。
【数6】
【0046】
制御回路110は、電荷の再分配後において、信号Coutの論理レベルによって、容量素子Cm1-2が正常であるか異常であるかを検定することができる。
なお、検定の対象を第1組の容量素子Cm1-3、Cm1-4、Cm1-5である場合の動作については、容量素子Cm1-2を検定する動作と同様である。
容量素子Cm1-2~Cm1-5の検定において、電荷の再分配では、スイッチSW1-1はオフ状態である。このため、容量素子Cm1-2~Cm1-5の検定に用いる式(5)および式(6)では、寄生容量Cpr1が現れない。このため、容量素子Cm1-2~Cm1-5の検定においてノードTestの電圧Vsは、容量素子Cm1-2~Cm1-5における容量値を精度良く反映した値になる。
【0047】
図1に示される第1実施形態は、第1組におけるスイッチSW1-2の一端には容量素子Cm1-1の他端が接続された構成である。同様に、第2組におけるスイッチSW2-2の一端には容量素子Cm2-1の他端が接続され、第3組におけるスイッチSW3-2の一端には容量素子Cm3-1の他端が接続される。第1実施形態では、このような構成に限られず、
図2に示されるように、スイッチSW1-2の一端には容量素子Cm1-2の他端が接続された構成としてもよい。同様に、スイッチSW2-2の一端には容量素子Cm2-2の他端が接続され、スイッチSW3-2の一端には容量素子Cm3-2の他端が接続される。
図2に示される構成において、容量素子Cm1-2(Cm2-2、Cm3-2)の検定は、
図1に示される構成における容量素子Cm1-1(Cm2-1、Cm3-1)の検定と同様な動作になる。また、
図2に示される構成において、容量素子Cm1-3以降(Cm2-3、Cm3-3以降)の検定は、
図1に示される構成における容量素子Cm1-2以降(Cm2-2、Cm3-2以降)の検定と同様な動作になる。
【0048】
次に、第2実施形態について説明する。
図3は、第2実施形態に係る回路装置のうち、検定回路10を含む周辺回路を示す図である。
図3に示される構成が、
図1に示される構成と相違する点は、次の3点である。すなわち、第1に、容量素子Cm1-1の他端(スイッチSW1-2の一端)と出力端Out1との間にスイッチSW1-0が介挿されている点、第2に、容量素子Cm2-1の他端(スイッチSW2-2の一端)と出力端Out2との間にスイッチSW2-0が介挿されている点、および、第3に、容量素子Cm3-1の他端(スイッチSW3-2の一端)と出力端Out3との間にスイッチSW3-0が介挿されている点、である。
【0049】
次に、第2実施形態に係る検定回路10の動作について、すべてのバッファがLレベル(Vsh)で固定であって、検定の対象が容量素子Cm1-1である場合を例に挙げて、説明する。
【0050】
まず、制御回路110は、ノードTestおよび容量素子Cm1-1を初期化する。詳細には、制御回路110は、すべてのスイッチをオフ状態にする。この後、制御回路110は、スイッチAt1、SW1-0、SW1-2およびスイッチSWpをオン状態にして、増幅回路Amp1に初期電圧V1を出力させる。これにより、ノードTestは、初期電圧V1になるとともに、容量素子Cm1-1およびCpに当該初期電圧(V1-Vsh)が書き込まれる。
【0051】
次に、制御回路110は、検定の対象である容量素子Cm1-1に検定用の電圧を書き込む。詳細には、第1に、制御回路110は、スイッチSW1-2をオフ状態にし、増幅回路Amp1に電圧V2を出力させる。これにより、容量素子Cm1-1に電圧(V2-Vsh)が書き込まれる。第2に、制御回路110は、スイッチSW1-0をオフ状態にする。
【0052】
続いて、制御回路110は、容量素子Cm1-1に書き込まれた検定用の電圧を再分配させる。詳細には、制御回路110は、スイッチSW1-2をオン状態にする。スイッチSW1-2がオン状態になることによって、合成容量と、検定の対象である容量素子Cm1-1とにおいて電荷が再分配されるので、ノードTestは、次の式(7)で示される電圧Vsになる。
なお、ここでいう合成容量には、容量素子Cpの容量値に加えて、容量素子Cm1-1の他端からノードTestまでの寄生容量が含まれる。
【0053】
【0054】
ここで、制御回路110は、比較回路Cmpの負入力端(-)に印加する電圧Vrefを、
V1<Vref<Vs
に設定する。好ましくは、制御回路110は、電圧Vrefを上記式(2)になるように設定する。
【0055】
仮に、容量素子Cm1-1が正常であれば、信号CoutはHレベルになり、異常であれば、信号CoutはLレベルになる。このため、制御回路110は、電荷の再分配後において、信号Coutの論理レベルによって、容量素子Cm1-1が正常であるか異常であるかを検定することができる。
この例では、容量素子Cm1-1の検定において電荷の再分配する際に、スイッチSW1-0がオフ状態であるので、出力端Out1の寄生容量Cpr1の影響を受けない。具体的には、式(1)とは異なり、式(7)では、寄生容量Cpr1の影響を受けない。このため、ノードTestの電圧Vsは、容量素子Cm1-1における容量値を精度良く反映した値になる。
【0056】
なお、容量素子Cm1-2~Cm1-5の検定については、第1実施形態と同様である。
また、第2組の容量素子Cm2-1~Cm2-5、および、第3組の容量素子Cm3-1~Cm3-5
の検定については、第1組のCm1-1~Cm1-5の検定と同様である。
【0057】
第2実施形態においても、検定の対象の容量素子の一端における電圧を、当該容量素子一端に接続されたバッファによって変化させてもよい。この場合の例について、まず、検定の対象を容量素子Cm1-1として説明する。
【0058】
まず、制御回路110は、ノードTestおよび容量素子Cm1-1を初期化する。詳細には、制御回路110は、すべてのスイッチをオフ状態にし、すべてのバッファにLレベル(Vsh)を出力させる。この後、制御回路110は、スイッチAt1、SW1-0、SW1-2およびスイッチSWpをオン状態にして、増幅回路Amp1に初期電圧V1を出力させる。これにより、ノードTestは、初期電圧V1になるとともに、容量素子Cm1-1およびCpに当該初期電圧(V1-Vsh)が書き込まれる。
【0059】
次に、制御回路110は、スイッチSW1-0をオフ状態にして、バッファBuf1-1の出力をLレベルからHレベル(Vdh)に変化させる。容量素子Cm1-1の一端がLレベルからHレベルに変化する一方で、スイッチSW1-2およびスイッチSWpはオン状態を維持しているので、容量素子Cm1-1から電荷が流出して、合成容量と検定の対象である容量素子Cm1-1とにおいて電荷が再分配される。
電荷が再分配の結果、ノードTestは、次の式(8)で示される電圧Vsになる。
【0060】
【0061】
電圧Vrefが上記電圧Vsの90%であれば、制御回路110は、電圧Vrefを次の式(9)で示されるように設定する。
【0062】
【0063】
制御回路110は、電荷の再分配後において、信号Coutの論理レベルによって、容量素子Cm1-1が正常であるか不良であるかを検定することができる。
なお、容量素子Cm1-2~Cm1-5の検定については、第1実施形態と同様である。
また、第2組の容量素子Cm2-1~Cm2-5、および、第3組の容量素子Cm3-1~Cm3-5の検定については、第1組のCm1-1~Cm1-5の検定と同様である。
【0064】
図3に示される第2実施形態は、スイッチSW1-2、SW2-2、SW3-2の一端に、順に、容量素子Cm1-1、Cm2-1、Cm3-1の他端が接続された構成である。第1実施形態における
図2と同様な
図4に示されるように、スイッチSW2-2の一端には容量素子Cm2-1の他端が接続され、第3組におけるスイッチSW3-2の一端には容量素子Cm3-1の他端が接続された構成としてもよい。
図4に示される構成において、容量素子Cm1-2(Cm2-2、Cm3-2)の検定は、
図3に示される構成における容量素子Cm1-1(Cm2-1、Cm3-1)の検定と同様な動作になる。また、
図4に示される構成において、容量素子Cm1-3以降(Cm2-3、Cm3-3以降)の検定は、
図3に示される構成における容量素子Cm1-2以降(Cm2-2、Cm3-2以降)の検定と同様な動作になる。
【0065】
次に、第3実施形態について説明する。
図5は、第3実施形態に係る回路装置のうち、検定回路10を含む周辺回路を示す図である。
図5に示される構成が、
図1に示される構成と相違する点は、スイッチSW1-2、SW2-2、SW3-2の他端が接続されたノードと、スイッチSW1-3、SW2-3、SW3-3の他端が接続されたノードとが独立している点であり、比較回路Cmp_A、Cmp_Bの2系統が設けられる。
【0066】
詳細には、スイッチSW1-2、SW2-2、SW3-2の他端は、比較回路Cmp_Aの正入力端(+)に接続される。比較回路Cmp_Aの負入力端(-)には、制御回路110によって指定された電圧Vref_Aが印加される。また、比較回路Cmp_Aの正入力端(+)を便宜的にノードTest_Aと呼称する。
比較回路Cmp_Aは、ノードTest_Aの電圧が電圧Vref_A以上であれば、信号Cout_AをHレベルで出力し、ノードTest_Aの電圧が電圧Vref_A未満であれば、信号Cout_AをLレベルで出力する。
容量素子Cp_AとスイッチSWp_Aとの直列接続が、接地電位VshとノードTest_Aとの間に介挿される。なお、図では、容量素子Cp_AおよびスイッチSWp_Aが1組であるが、例えば、複数組が接地電位VshとノードTest_Aとの間に並列に設けられて、見掛け上の容量素子Cp_Aの容量値が検定対象の容量値に合わせて可変にされる。
【0067】
スイッチSW1-3、SW2-3、SW3-3の他端は、比較回路Cmp_Bの正入力端(+)に接続される。比較回路Cmp_Bの負入力端(-)には、制御回路110によって指定された電圧Vref_Bが印加される。また、比較回路Cmp_Bの正入力端(+)を便宜的にノードTest_Bと呼称する。
比較回路Cmp_Bは、ノードTest_Bの電圧が電圧Vref_B以上であれば、信号Cout_BをHレベルで出力し、ノードTest_Bの電圧が電圧Vref_B未満であれば、信号Cout_BをLレベルで出力する。
容量素子Cp_BとスイッチSWp_Bとの直列接続が、接地電位VshとノードTest_Aとの間に介挿される。なお、図では、容量素子Cp_BおよびスイッチSWp_Bが1組であるが、例えば、複数組が接地電位VshとノードTest_Bとの間に並列に設けられて、見掛け上の容量素子Cp_Bの容量値が検定対象の容量値に合わせて可変にされる。
【0068】
次に、第3実施形態に係る検定回路10の動作について、すべてのバッファがLレベル(Vsh)で固定であって、検定の対象が容量素子Cm1-1および容量素子Cm1-2の2つである場合を例に挙げて、説明する。
【0069】
まず、制御回路110は、ノードTest_A、Test_B、容量素子Cm1-1およびCm1-2を初期化する。詳細には、制御回路110は、すべてのスイッチをオフ状態にする。この後、制御回路110は、スイッチAt_1、SW1-1、SW1-2、SW1-3、SWm1-2、SWp_AおよびSWp_Bをオン状態にして、増幅回路Amp1に初期電圧V1を出力させる。これにより、ノードTest_AおよびTest_Bは、初期電圧V1になるとともに、容量素子Cm1-1、Cm1-2およびCpに当該初期電圧(V1-Vsh)が書き込まれる。
【0070】
次に、制御回路110は、検定の対象である容量素子Cm1-1およびCm1-2に検定用の電圧を書き込む。詳細には、第1に、制御回路110は、スイッチSW1-2およびSW1-3をオフ状態にし、増幅回路Amp1に電圧V2を出力させる。これにより、容量素子Cm1-1およびCm1-2には電圧(V2-Vsh)がそれぞれ書き込まれる。第2に、制御回路110は、スイッチSW1-1をオフ状態にする。
【0071】
続いて、制御回路110は、容量素子Cm1-1およびCm1-2に書き込まれた検定用の電圧を再分配させる。詳細には、制御回路110は、スイッチSW1-2およびSW1-3をオン状態にする。
スイッチSW1-2がオン状態になることによって、合成容量と、検定の対象である容量素子Cm1-1とにおいて電荷が再分配されるので、ノードTest_Aは、式(1)において電圧VsをVs_Aに置き換えた電圧になる。
【0072】
また、スイッチSW1-3がオン状態になることによって、合成容量と、検定の対象である容量素子Cm1-2とにおいて電荷が再分配されるので、ノードTest_Bは、式(3)において電圧VsをVs_Bに置き換えた電圧になる。
【0073】
V1<V2であれば、制御回路110は電圧Vref_Aを、
V1<Vref<Vs_A
に設定し、電圧Vref_Bを、
V1<Vref<Vs_B、
に設定する。なお、
電圧Vref_Aが上記電圧Vs_Aの90%であれば、制御回路110は、電圧Vref_Aを、式(2)において電圧Vrefで示される電圧に設定する。電圧Vref_Bが上記電圧Vs_Bの90%であれば、制御回路110は、電圧Vref_Bを、式(2)において電圧Vrefで示される電圧に設定する。
【0074】
制御回路110は、電荷の再分配後において、信号Cout_Aの論理レベルによって、容量素子Cm1-1が正常であるか異常であるかを検定することができる。制御回路110は、電荷の再分配後において、信号Cout_Bの論理レベルによって、容量素子Cm1-2が正常であるか異常であるかを検定することができる。
容量素子Cm1-1およびCm1-2を同時に検定する場合、ノードTest_Bにおける寄生容量の影響は、ノードTest_Aにおける寄生容量の影響と比べると小さいので、容量値が小さい容量素子Cm1-2の検定精度を高めることができる。
【0075】
なお、容量素子Cm1-3~Cm1-5の検定については、第1実施形態と同様である。
また、第2組の容量素子Cm2-1~Cm2-5、および、第3組の容量素子Cm3-1~Cm3-5の検定については、第1組のCm1-1~Cm1-5の検定と同様である。
【0076】
なお、第3実施形態において、検定の対象である容量素子の一端における電圧をバッファにより変化させて電荷を再配分し、再配分後における信号Cout_A、Cout_Bの論理レベルによって検定の対象である容量素子が正常であるか異常であるかを検定してもよい。
第3実施形態において、比較回路Cmp_A、Cmp_Bの2系統が設けられたが、例えば、容量素子Cm-1の系統、容量素子Cm-2の系統、および、容量素子Cm-3~Cm-5の系統のように3系統以上としてもよい。
【0077】
また、第3実施形態において、同一組の容量素子Cm1-1およびCm1-2を同時に検定の対象としたが、同時に検定の対象とする容量素子については、異なる組の容量素子同士であってもよい。例えば、容量素子Cm1-1およびCm2-2を同時に検定の対象としてもよい。
【0078】
第3実施形態において、
図6に示されるように、出力端Out1と容量素子Cm1-1の他端(スイッチSW1-2)との間にスイッチSW1-0を介挿してもよい。同様に、出力端Out2と容量素子Cm2-1の他端(スイッチSW2-2)との間にスイッチSW2-0を介挿し、出力端Out3と容量素子Cm3-1の他端(スイッチSW3-2)との間にスイッチSW3-0を介挿してもよい。
この構成において、例えば容量素子Cm1-1の検定において電荷を再配分するときに、スイッチSW1-0をオフ状態にして、ノードTest_Aから出力端Out1を切り離して、寄生容量Cpr1の影響を受けないようにしてもよい。同様に、容量素子Cm2-1の検定において電荷を再配分するときに、スイッチSW2-0をオフ状態にして、寄生容量Cpr2の影響を受けないようにしてもよいし、容量素子Cm3-1の検定において電荷を再配分するときに、スイッチSW3-0をオフ状態にして、寄生容量Cpr3の影響を受けないようにしてもよい。
【0079】
図5または
図6に示される第3実施形態では、ノードTest_Aに至る配線と、ノードTest_Bに至る配線との2つの配線が、存在する。ノードTest_Bに至る配線の容量は、ノードTest_Aに至る配線の容量と比較して小さい。
そこで、ノードTest_Aに至る配線とノードTest_Bに至る配線とが、上下左右の単方向または複数方向に配置する構成が好ましい。この構成において、ノードTest_Aに至る配線の振幅とノードTest_Bに至る配線の振幅とを同程度(例えば2倍以内)とし、容量の小さいノードTest_Aに至る配線に対し、上下または左右方向でノードTest_Bに至る配線で挟む構成とすれば、寄生容量の影響を相殺することができる。
なお、ここでいう左右方向とは、半導体基板面を平面視したときに、例えば増幅回路Amp1から出力端Out1に向かう方向に対して平面視で垂直な方向である。また、上下方向とは、半導体基板面の断面視した場合の厚み方向である。
【0080】
図7は、ノードTest_Aに至る配線とノードTest_Bに至る配線との位置関係の一例を示す平面図であり、平面視でノードTest_Aに至る配線に対して左右の両側にノードTest_Bに至る配線が設けられた例である。
【0081】
図8、
図9、
図10は、ノードTest_Aに至る配線とノードTest_Bに至る配線との位置関係の一例を示す断面図である。
このうち、
図8は、断面視でノードTest_Bに至る配線を挟むように上下の両側にノードTest_Aに至る配線が、層間絶縁膜を介して設けられた例である。
図9は、断面視でノードTest_Bに至る配線に対し、上側にノードTest_Aに至る配線が層間絶縁膜を介して設けられ、左側にもノードTest_Aに至る配線が設けられた例である。
図10は、断面視でノードTest_Bに至る配線に対し、上下の両側にノードTest_Aに至る配線が層間絶縁膜を介して設けられ、さらに、左右の両側にもノードTest_Aに至る配線が設けられた例である。
【0082】
ノードTest_Bに至る配線は、容量が小さいので、ノイズの影響を受けやすい。そこで、
図11に示される構成のように、ノードTest_Bに至る配線に対して平面視で左右の両側に配線Test_B'を配置させて、当該ノードTest_Bに至る配線をシールドする構成としてもよい。この構成において、ノードTest_Bに至る配線の電圧が、ボルテージフォロワVfによってインピーダンス変換されて、配線Test_B'に印加されるので、3配線の電圧変化が同じなるため、寄生容量によるノイズをキャンセルすることができる。
図11では、ノードTest_Bに至る配線に対して平面視で左右の両側に配線Test_B'が配置した例であるが、断面視で上下の両側に配線Test_B'が配置してもよい。
【0083】
なお、容量素子Cm1-1が第1被検定容量素子の一例であり、容量素子Cm1-2が第2被検定容量素子の一例であり、容量素子Cm2-1が第3被検定容量素子の一例であり、容量素子Cm2-2が第4被検定容量素子の一例である。容量素子Cp、Cp_Aが第1検定用容量素子の一例であり、容量素子Cp_Bが第2検定用容量素子の一例である。出力端Out1が第1出力端の一例であり、出力端Out2が第2出力端の一例である。比較回路Cmp、Cmp_Aが第1比較回路の一例であり、比較回路Cmp_Bが第2比較回路の一例である。比較回路Cmp、Cmp_Aの正入力端(+)が第1端の一例であり、比較回路Cmp、Cmp_Aの負入力端(-)が第2端の一例であり、比較回路Cmp_Bの正入力端(+)が第3端の一例であり、比較回路Cmp_Bの負入力端(-)が第4端の一例である。
【0084】
次に、検定回路10を含む回路装置を適用した表示装置DMについて説明する。
図12は、表示装置DMの電気的な構成を示すブロック図であり、
図13は、当該表示装置DMのうち、電気光学装置20等の構成を示す斜視図であり、
図14は、電気光学装置20における画素回路210の構成を示す図である。
【0085】
図12に示されるように、表示装置DMは、電気光学装置20、FPC基板30およびプリント基板40を含む。なお、FPCは、Flexible Printed Circuitsの略語である。
電気光学装置20は、例えば、液晶プロジェクターのライトバルブとして用いられる透過型の液晶パネルである。電気光学装置20では、表示領域200の周縁に、Yドライバー230が設けられる。表示領域200においては、表示すべき画像の画素に対応した画素回路210がマトリクス状に配列されている。詳細には、表示領域200において、複数本の走査線212が図においてX方向に延在して設けられ、また、複数本のデータ線214がY方向に延在し、かつ、走査線212と互いに電気的な絶縁を保って設けられる。そして、複数本の走査線212と複数本のデータ線214との交差に対応して画素回路210が設けられる。
【0086】
走査線212の本数をmとし、データ線214の本数をnとした場合、画素回路210は、縦m行×横n列でマトリクス状に配列する。m、nは、いずれも2以上の整数である。走査線212と画素回路210とにおいて、マトリクスの行を区別するために、図において上から順に1、2、3、…、(m-1)、m行と呼ぶ場合がある。同様にデータ線24および画素回路210において、マトリクスの列を区別するために、図において左から順に1、2、3、…、(n-1)、n列と呼ぶ場合がある。
Yドライバー230は、FPC基板30を介して供給される制御信号にしたがって、走査線212を例えば、1、2、3、…、m行目という順番で1本ずつ選択し、選択した走査線212への走査信号をHレベルとする。なお、Yドライバー230は、選択した走査線212以外の走査線212への走査信号をLレベルとする。
【0087】
説明の便宜上、画素回路210の構成について説明する。
図14に示されるように、画素回路210は、トランジスター216と液晶素子220とを含む。トランジスター216は、例えば、nチャネル型の薄膜トランジスターである。画素回路210において、トランジスター216のゲートノードは、走査線212に接続される。トランジスター216のソースノードはデータ線214に接続される。トランジスター216のドレインノードは、平面視で略正方形にパターニングされた画素電極218に接続される。
【0088】
画素電極218に対向するようにコモン電極208が全画素に対して共通に設けられる。当該コモン電極208には電圧LCcomが印加される。そして、画素電極218とコモン電極208との間には液晶205が挟持される。したがって、画素回路210毎に、画素電極218、コモン電極208および液晶205によって液晶素子220が構成される。
【0089】
後述するように、ある1本の走査線212への走査信号がHレベルとなる水平走査期間において、データ線駆動回路240が、当該走査線212に位置する画素回路210に向けて、当該画素回路210で表現すべき画素の階調に応じた電圧のデータ信号を、当該画素回路210に対応したデータ線214に供給する。
【0090】
走査信号がHレベルとなった走査線212では、当該走査線212に対応して設けられる画素回路210のトランジスター216がオンする。トランジスター216のオンにより、データ線214と画素電極218とが電気的に接続された状態となるので、データ線24に供給されたデータ信号が、オンしたトランジスター216を介して画素電極218に到達する。走査線212がLレベルになると、トランジスター116はオフになるが、画素電極118に到達したデータ信号の電圧は、液晶素子220の容量性によって保持される。
【0091】
周知のように、液晶素子220では、画素電極218およびコモン電極208によって生じる電界に応じて液晶205の配向状態が変化する。したがって、液晶素子220は、印加された電圧の実効値に応じた透過率(光学状態)となる。このため、電気光学装置20では、画素回路210の液晶素子220毎に透過率が変化する。
このような液晶素子220への電圧保持動作が、1、2、3、…、m行目という順番で実行されることによって、m行n列で配列する画素回路210の液晶素子220の各々にデータ信号に応じた電圧が保持される。このような電圧の保持によって液晶素子220の各々が目的とする透過率となり、m行n列で配列する画素からなる画像が生成される。
【0092】
図13に示されるように、回路装置1は、略直方体形状の半導体チップであり、FPC基板30に、フェイスダウンボンディングによって実装される。電気光学装置20は、表示領域で開口する枠状のケース22に収納される。
電気光学装置20には、FPC基板30の一端が接続される。FPC基板30の他端がプリント基板40に接続される。
【0093】
説明を再び
図12に戻すと、プリント基板40には制御回路400が含まれる。当該制御回路400は、図示省略された上位回路から階調データおよび同期信号を入力する。階調データとは、表示すべき画像における画素の階調レベルをデジタルで、例えば、8ビットで指定する。
制御回路400は、同期信号に基づいて生成した制御信号を、FPC基板30を介してYドライバー230に供給する。
また、制御回路400は、階調データおよび同期信号にしたがって生成した制御信号を回路装置1に供給する。
【0094】
回路装置1は、上述した第1乃至第3実施形態のいずれかに係る検定回路10のほか、 1行分の階調データのアナログのデータ信号を生成し、データ線214の各々に供給するドライバー回路を含む。このドライバーは、検定の対象となる容量素子を含む。
【0095】
図15は、回路装置1の構成を示すブロック図である。回路装置1は、検定回路10と、複数のドライバーDrvと、データ入力回路12と、データコントローラー14と、を含む。
ドライバーDrvは、データ線214に一対一に対応して設けられる。データ線214が複数のn本である場合、ドライバーDrvも複数のn個となる。
データ入力回路12は、制御回路400からFPC基板30を介して供給される階調データや同期信号を入力するためのインターフェースである。データコントローラー14は、データ入力回路12を介して供給された階調データをn個のドライバーDrvに、データ入力回路12を介して供給された同期信号にしたがって振り分ける。
【0096】
n個のドライバーDrvは回路装置1における長辺に沿って配列する。
図12および
図13に示されるように、回路装置1の長辺が走査線212の延在方向であるX方向に沿うように、当該回路装置1がFPC基板30に実装されるので、n個のドライバーDrvについても、走査線212の延在方向に沿って設けられる。
【0097】
検定回路10は、回路装置1において、走査線212の延在方向に沿って設けられるn個のドライバーDrvが配列する領域の隣に設けられる。検定回路10では、n個のドライバーDrvの各々に含まれる容量素子が検定される。
【0098】
1個のドライバーDrvは、当該ドライバーDrvの列に対応して供給された階調データをラッチするとともに、当該階調データをアナログのデータ信号に変換する。なお、n個のドライバーDrvの各々は、変換したデータ信号を、Yドライバー230による走査線212の選択に合わせて、例えば、一斉に出力する。
【0099】
ドライバーDrvにおいて検定の対象となる容量素子は、ラッチされた階調データをアナログのデータ信号に変換するDA変換回路に含まれる容量素子である。具体的には、DA変換回路としては、特開2016-80805号公報に記載のドライバーや、特開2016-90882号公報に記載のドライバーが挙げられる。これらのドライバーを構成する各種の容量素子が、検定の対象とすることができる。
【0100】
検定回路10は、n個のドライバーDrvを順番に1個ずつ選択し、さらに選択したドライバーDrvに含まれる容量素子を、所定の順番で1個ずつ検定対象に選択して、選択した容量素子を検定する。
【0101】
次に、表示装置DMを適用した電子機器の一例として、投射型表示装置について説明する。
【0102】
図16は、投射型表示装置PLの光学的な構成を示す図である。図に示されるように、投射型表示装置PLは、電気光学装置20R、20Gおよび20Bを含む。
【0103】
投射型表示装置PLの内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によって、赤(R)、緑(G)および青(B)の3原色に分離される。このうち、Rの光は電気光学装置20Rに、Gの光は電気光学装置20Gに、Bの光は電気光学装置20Bに、それぞれ入射する。
なお、Bの光路は、Rの光路およびGの光路と比較して長いので、Bの光路での損失を防ぐ必要がある。このため、Bの光路には、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121が設けられる。
【0104】
電気光学装置20R、20Gおよび20Bは、上述した電気光学装置20と共通であるが、入射光の色が異なるので、便宜的に符号で区別している。
電気光学装置20Rの液晶素子は、プリント基板40の制御回路400からFPC基板30を介して供給されるRに対応するデータ信号に基づいて駆動されることによって、当該データ信号の電圧に応じた透過率となる。
このため、電気光学装置20Rでは、液晶素子の透過率を個別に制御することによって、Rの透過像が生成される。同様に、電気光学装置20Gでは、Gに対応するデータ信号に基づいてGの透過像が生成され、電気光学装置20Bでは、Bに対応するデータ信号に基づいてBの透過像が生成される。
【0105】
電気光学装置20R、20Gおよび20Bによってそれぞれ生成された各色の透過像は、ダイクロイックプリズム2112に三方向から入射する。ダイクロイックプリズム2112において、RおよびBの光は90度に屈折する一方、Gの光は直進する。したがって、ダイクロイックプリズム2112が各色の画像を合成する。ダイクロイックプリズム2112による合成像は投射レンズ2114に入射する。投射レンズ2114は、合成像を、スクリーンScrに拡大して投射する。
【0106】
なお、電気光学装置20R、20Bによる透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、電気光学装置20Gによる透過像は直進して投射される。したがって、電気光学装置20R、20Bによる各透過像は、電気光学装置20Gの透過像に対して左右反転した関係となる。
【0107】
また、電気光学装置20は、液晶パネルに限られず、OLEDを用いた有機ELパネルにも適用可能である。有機ELパネルでは、当該有機ELパネルを構成する半導体基板に上記回路装置1の機能を持たせる構成が好ましい。
電子機器として投射型表示装置PLを例示したが、これに限られず、例えば、ヘッドマウントディスプレイの表示パネルや、ビデオカメラまたはレンズ交換式のデジタルカメラなどにおける電子式ビューファインダー、携帯情報端末、腕時計の表示部などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0108】
1…回路装置、10…検定回路、20…電気光学装置、30…FPC基板、40…プリント基板、110…制御回路、Ct-1~Ct-n、Ct…被検定容量素子、Cs-1~Cs-m…検定用容量素子、Cmp、Cmp_A、Cmp_B…比較回路。