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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014267
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116965
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 健志
(72)【発明者】
【氏名】服部 幸男
(72)【発明者】
【氏名】小関 知延
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB19
3D333CC44
3D333CC45
3D333CC47
3D333CD04
3D333CD31
3D333CD32
3D333CD53
3D333CE19
(57)【要約】
【課題】インダクタ部品と配線部との間での磁力干渉によってコモンモードノイズが発生することを抑止できる、制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る制御装置は、その一態様として、電源コネクタと、前記電源コネクタに接続される正極配線部及び負極配線部と、を有するコネクタブロックと、インダクタ部品が実装された回路基板と、を備える、制御装置であって、前記インダクタ部品は、前記インダクタ部品が発生する磁界に対して、前記正極配線部及び前記負極配線部が発生する磁界が干渉する位置に配置され、前記正極配線部と前記インダクタ部品との距離と、前記負極配線部と前記インダクタ部品との距離とが同一距離になるように配置される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源コネクタと、前記電源コネクタに接続される正極配線部及び負極配線部と、を有するコネクタブロックと、
インダクタ部品が実装された回路基板であって、前記正極配線部及び前記負極配線部を介して前記電源コネクタと電気的に接続される前記回路基板と、
を備え、
前記コネクタブロックが、前記回路基板の前記インダクタ部品の実装面に対向するように配置される、制御装置であって、
前記インダクタ部品は、前記インダクタ部品が発生する磁界に対して、前記正極配線部が発生する磁界及び前記負極配線部が発生する磁界が干渉する位置に配置され、
前記正極配線部と前記インダクタ部品との距離と、前記負極配線部と前記インダクタ部品との距離とが同一距離になるように配置されている、
制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記正極配線部と前記負極配線部とは、前記回路基板の実装面と平行な平面上に平行に延設され、
前記インダクタ部品は、前記正極配線部と前記負極配線部との間に配置される、
制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制御装置であって、
前記インダクタ部品は、回路基板の実装面に直交する方向を軸線とする円形コイルを有し、
前記インダクタ部品の軸線又は外周縁と前記正極配線部との距離と、前記インダクタ部品の軸線又は外周縁と前記負極配線部との距離とが同一である、
制御装置。
【請求項4】
電源コネクタと、前記電源コネクタに接続される正極配線部及び負極配線部と、を有するコネクタブロックと、
前記正極配線部及び前記負極配線部を介して前記電源コネクタと電気的に接続され、インダクタ部品が実装された回路基板と、
を備え、
前記コネクタブロックが、前記回路基板の前記インダクタ部品の実装面に対向するように配置される、制御装置であって、
前記正極配線部と前記負極配線部とは、前記回路基板の実装面と平行な平面上に平行に延設され、
前記インダクタ部品は、前記正極配線部と前記負極配線部との間に配置される、
制御装置。
【請求項5】
電源コネクタと、前記電源コネクタに接続される正極配線部及び負極配線部と、を有するコネクタブロックと、
前記正極配線部及び前記負極配線部を介して前記電源コネクタと電気的に接続され、インダクタ部品が実装された回路基板と、
を備え、
前記コネクタブロックが、前記回路基板の前記インダクタ部品の実装面に対向するように配置される、制御装置であって、
前記正極配線部が発生する磁界の向きと、前記負極配線部が発生する磁界の向きとが逆であり、
前記正極配線部が発生する磁界と前記インダクタ部品が発生する磁界との干渉磁力と、前記負極配線部が発生する磁界と前記インダクタ部品が発生する磁界との干渉磁力とが同一になるように構成した、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の電動パワーステアリング装置は、制御ユニット部とモータとを一体化した構造を有し、制御ユニット部とモータとを収容するハウジングの上方端付近には、電源のフィルタを介した電源用バスバーが2組配置され、制御ユニット部内へ延長されてパワーモジュール、電源リレー用スイッチング素子に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/063367号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インダクタ部品(コイル)が実装された回路基板の上方に、電源供給用の正極配線部(正極バスバー)及び負極配線部(負極バスバー)が配置される場合、インダクタ部品が正極配線部と負極配線部との一方に偏った位置に配置されると、磁気カップリングバランスが崩れてコモンモードノイズが発生することがあった。
【0005】
本発明は、従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インダクタ部品と配線部との間での磁力干渉によってコモンモードノイズが発生することを抑止できる、制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明に係る制御装置は、その一態様として、電源コネクタと、前記電源コネクタに接続される正極配線部及び負極配線部と、を有するコネクタブロックと、インダクタ部品が実装された回路基板であって、前記正極配線部及び前記負極配線部を介して前記電源コネクタと電気的に接続される前記回路基板と、を備え、前記コネクタブロックが、前記回路基板の前記インダクタ部品の実装面に対向するように配置される、制御装置であって、前記インダクタ部品は、前記インダクタ部品が発生する磁界に対して、前記正極配線部が発生する磁界及び前記負極配線部が発生する磁界が干渉する位置に配置され、前記正極配線部と前記インダクタ部品との距離と、前記負極配線部と前記インダクタ部品との距離とが同一距離になるように配置される。
【発明の効果】
【0007】
上記発明によると、インダクタ部品と配線部との間での磁力干渉によってコモンモードノイズが発生することを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】操舵装置の斜視図である。
図2】モータ部及び電子制御部の斜視図である。
図3】モータ部及び電子制御部の分解斜視図である。
図4】コネクタブロックの下面図である。
図5】正極バスバーの斜視図である。
図6】負極バスバーの斜視図である。
図7】インダクタ部品の位置に偏りがある場合での磁界の状態を示す図である。
図8】インダクタ部品を正極バスバー及び負極バスバーから等距離に配置した状態を示す上面図である。
図9】インダクタ部品を正極バスバー及び負極バスバーから等距離に配置したときの磁界の状態を示す図である。
図10】正極バスバーと負極バスバーとが段違いに配置されるときのインダクタ部品の配置を示す図である。
図11】主電子制御部用のバスバーと副電子制御部用のバスバーとを個別に備えるコネクタブロックの下面図である。
図12】主電子制御部用の正極バスバーの斜視図である。
図13】主電子制御部用の負極バスバーの斜視図である。
図14】副電子制御部用の正極バスバーの斜視図である。
図15】副電子制御部用の負極バスバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る制御装置の適用例である車両の操舵装置1を示す図である。
操舵装置1において、図示しないステアリングホイールに連結されたステアリングシャフト2の下端にはピニオンが設けられ、このピニオンは車体左右方向に延設されるラックと噛み合っている。
【0010】
ラックの両端には、車両の前輪を左右方向へ操舵するためのタイロッド3が連結されており、ラックはラックハウジング4に覆われている。
そして、ラックハウジング4とタイロッド3との間には、ゴムブーツ5が設けられている。
【0011】
また、操舵装置1は、運転者がステアリングホイールを回動操作する際のトルクを補助するための電動パワーステアリング装置6を備える。
電動パワーステアリング装置6は、ステアリングシャフト2の回動方向と回動トルクとを検出するトルクセンサ7と、ラックにギヤ10を介して操舵補助力(アシストトルク)を付与するモータ部8と、モータ部8のモータを制御する制御装置としての電子制御部9と、を有し、モータ部8と電子制御部9とは一体的に構成されている。
【0012】
電動パワーステアリング装置6においては、ステアリングホイールが操作されることによりステアリングシャフト2が回動操作されると、ステアリングシャフト2の回動方向と回動トルクをトルクセンサ7が検出し、この検出値に基づいて電子制御部9の制御回路(マイクロコンピュータ)がモータの駆動操作量を演算する。
この演算された駆動操作量に基づき、電子制御部9の電力変換回路のパワースイッチング素子によりモータが駆動され、モータの出力軸はステアリングシャフト2を操作方向と同じ方向へ駆動するように回動される。
なお、操舵装置1は、ステアバイワイヤシステムであってもよい。
【0013】
図2は、モータ部8と電子制御部9とが一体化されたユニット(モータ駆動装置)の斜視図である。
電動パワーステアリング装置6を構成するモータ部8は、有底筒状のモータハウジング11、及び、当該モータハウジング11に収容されたモータで構成される。
一方、電子制御部9は、モータハウジング11の軸方向のモータ出力軸とは反対側に配置されたカバー12内に収納される。
【0014】
カバー12の内部の収納空間に収納された電子制御部9は、必要な電源電圧を生成する電源回路や、モータを駆動制御するMOSFET或いはIGBT等からなるパワースイッチング素子を有する電力変換回路や、電力変換回路のパワースイッチング素子を制御する制御回路(マイクロコンピュータ)を備える。
そして、電源回路、電力変換回路、及び制御回路を構成する各種電子部品が実装された回路基板がカバー12の収納空間内に固定されて、電子制御部9が構成される。
【0015】
また、カバー12の端面にはコネクタブロック13が固定されている。
コネクタブロック13は、電力供給用コネクタ13A、検出センサ用コネクタ13B、制御状態送出用コネクタ13Cを備えている。
【0016】
そして、カバー12に収納された回路基板には、電力供給用コネクタ13Aを介して電源(バッテリ)から電力が供給され、また、トルクセンサ7を含む検出センサの検出信号が検出センサ用コネクタ13Bを介して供給される。
さらに、電動パワーステアリング装置6の制御状態を示す信号が、回路基板から制御状態送出用コネクタ13Cを介して外部機器に送出される。
【0017】
ここで、モータ部8のモータは、第1巻線組と第2巻線組とを有し、電源回路、電力変換回路、及び制御回路は、巻線組毎に冗長化されている。
つまり、電子制御部は、モータの第1巻線組の通電電流を制御するための主電子制御部と、モータの第2巻線組の通電電流を制御するための副電子制御部とを備え、主電子制御部及び副電子制御部は、それぞれ、電源回路、電力変換回路、及び制御回路を備えて構成される。
【0018】
通常は、主電子制御部による第1巻線組への通電電流の制御と、副電子制御部による第2巻線組への通電電流の制御とを並行して実施させる。
そして、たとえば、主電子制御部に異常、故障が生じると、主電子制御部による第1巻線組への通電電流の制御を停止させ、副電子制御部による第2巻線組への通電電流の制御を継続させることで、モータによる操舵力(アシストトルク)の発生を継続させる。
【0019】
図3は、モータ部8と電子制御部9とが一体化されたユニットの分解斜視図である。
モータハウジング11の内部には、モータシャフト111、及び、図示しないモータロータ、巻線組(第1巻線組及び第2巻線組)からなるモータが収容されている。
【0020】
モータの回転軸線の方向において、モータハウジング11の一方側の端面は、電子制御部9を構成する回路基板115の取り付け面112が設けられている。
取り付け面112は、回路基板115やコネクタブロック13が取り付けられた状態で、カバー12により覆われる。
【0021】
モータシャフト111の電子制御部9側の先端には、センサマグネットが設けられていて、回路基板115の実装面上のセンサマグネットに対向する位置に磁気センサ114が配置されている。
磁気センサ114は、センサマグネットがモータシャフト111と共に回転するときの磁界の変化を検出し、モータロータの回転角信号を、回路基板115上の制御回路に出力する。
電力供給用コネクタ13Aの正極端子及び負極端子は、正極配線部としての正極バスバー116、及び、負極配線部としての負極バスバー117を介して、回路基板115に形成された配線(電源パターン)に電気的に接続される。
【0022】
図4は、コネクタブロック13を回路基板115側から見た図であり、図5は正極バスバー116の側面図、図6は負極バスバー117の側面図である。
正極バスバー116及び負極バスバー117は、大容量の電流を導電する導体であり、銅などから形成された板材を加工して製作される。
【0023】
正極バスバー116及び負極バスバー117は、それぞれ、本体部116a,117a、端子接続部116b,117b、及び基板接続部116c,117cを有する。
そして、正極バスバー116及び負極バスバー117は、本体部116a,117aが、回路基板115の実装面に平行な同一平面上において電力供給用コネクタ13Aを挟んで平行に並ぶように、コネクタブロック13に固定される。
【0024】
これにより、本体部116a,117aは、回路基板115の実装面の一端から他端に向けて直線的に延びて実装面を横断するように、回路基板115の実装面に対向して配置される。
なお、本体部116a,117aの延設方向は、コネクタ13A,13B,13Cの並び方向に直交する方向である。
【0025】
端子接続部116b,117bは、本体部116a,117aの中間部から電力供給用コネクタ13A直下の領域まで延びた後、電力供給用コネクタ13Aに向け、回路基板115の実装面に直交する方向に延びる。
そして、正極バスバー116の端子接続部116bは、その先端が電力供給用コネクタ13Aの正極端子に接続され、負極バスバー117の端子接続部117bは、その先端が電力供給用コネクタ13Aの負極端子に接続される。
【0026】
また、正極バスバー116は、本体部116aの両端それぞれから回路基板115に向けて回路基板115の実装面に直交する方向に延びる、一対の基板接続部116c1,116c2を有する。
同様に、負極バスバー117は、本体部117aの両端それぞれから回路基板115に向けて回路基板115の実装面に直交する方向に延びる、一対の基板接続部117c1,117c2を有する。
【0027】
そして、正極バスバー116の基板接続部116c1は、回路基板115上の主電子制御部用の電源配線(VCC)に接続され、負極バスバー117の基板接続部117c1は、回路基板115上の主電子制御部用のグランド配線(GND)に接続される。
同様に、正極バスバー116の基板接続部116c2は、回路基板115上の副電子制御部用の電源配線(VCC)に接続され、負極バスバー117の基板接続部117c2は、回路基板115上の副電子制御部用のグランド配線(GND)に接続される。
【0028】
つまり、電力供給用コネクタ13Aの正極端子は、正極バスバー116を介して、主電子制御部用の電源配線及び副電子制御部用の電源配線に接続される。
また、電力供給用コネクタ13Aの負極端子は、負極バスバー117を介して、主電子制御部用のグランド配線及び副電子制御部用のグランド配線に接続される。
【0029】
ところで、回路基板115に実装されるインダクタ部品(コイル)が、正極バスバー116の本体部116aと負極バスバー117の本体部117aとの間のいずれかに一方に偏った位置に配置される場合、インダクタ部品が発生する磁気によってコモンモードノイズが発生する可能性がある。
なお、本体部116aと本体部117aとの間にインダクタ部品が配置される状態とは、詳細には、本体部116a,117aを回路基板115の実装面に直交する方向に投影したときに、本体部116aの投影領域と本体部117aの投影領域とで挟まれる回路基板115の実装面上にインダクタ部品が配置される状態である。
【0030】
図7は、インダクタ部品118が、本体部116aと本体部117aとの間のいずれかに一方に偏った位置に配置されることで、コモンモードノイズが発生する状態を示す。
図7に示す例では、インダクタ部品118が、本体部116aと本体部117aとの間の本体部116a寄りに配置される。
この場合、インダクタ部品118の発生磁界が、正極バスバー116及び負極バスバー117の発生磁界に対し、均一の磁力レベルで干渉しないため、磁気カップリングバランスが崩れ、寄生容量(浮遊容量)を介して漏れたノイズ電流が電源ラインに戻ってくるコモンモードノイズが発生する。
【0031】
そこで、電子制御部9において、回路基板115に実装されるインダクタ部品118が、当該インダクタ部品118が発生する磁界に対して、正極バスバー116(正極配線部)が発生する磁界及び負極バスバー117(負極配線部)が発生する磁界が干渉する位置に配置されるときに、正極バスバー116の本体部116aとインダクタ部品118との距離L1と、負極バスバー117の本体部117aとインダクタ部品118との距離L2とが同一になるように、正極バスバー116の本体部116a、負極バスバー117の本体部117a、及び、インダクタ部品118を配設する。
【0032】
このように、正極バスバー116の本体部116a及び負極バスバー117の本体部117aに対してインダクタ部品118を配置すれば、正極バスバー116の本体部116aが発生する磁界の向きと、負極バスバー117の本体部117aが発生する磁界の向きとが逆であり、正極バスバー116の本体部116aが発生する磁界とインダクタ部品118が発生する磁界との干渉磁力と、負極バスバー117の本体部117aが発生する磁界とインダクタ部品118が発生する磁界との干渉磁力とが同一になる。
つまり、上記の配置によれば、磁気カップリングバランスが保持され、コモンモードノイズの発生が抑止される。
【0033】
図8は、正極バスバー116及び負極バスバー117に対し、2つのインダクタ部品118a,118bを距離L1と距離L2とが同一になるように配置した状態を示す。
図9は、インダクタ部品118a,118bを距離L1と距離L2とが同一になるように配置したときの磁界の状態を示す図である。
【0034】
ここで、2つのインダクタ部品118a,118bは、回路基板115の実装面に直交する方向を軸線とする円形コイルを有し、コネクタブロック13は、回路基板115のインダクタ部品118a,118bの実装面に対向するように配置される。
そして、2つのインダクタ部品118a,118bは、正極バスバー116の本体部116aと負極バスバー117の本体部117aとの間に、電力供給用コネクタ13Aを挟んで(詳細には、電力供給用コネクタ13Aの投影領域を挟んで)、本体部116a,117aの延設方向に沿って並ぶように配置される。
【0035】
さらに、インダクタ部品118a,118bから正極バスバー116の本体部116aまでの距離L1と、インダクタ部品118a,118bから負極バスバー117の本体部117aまでの距離L2とが同一となるように、インダクタ部品118a,118bを配置してある。
なお、距離L1は、インダクタ部品118a,118bの軸線又は外周縁と、本体部116aとの距離であり、距離L2は、インダクタ部品118a,118bの軸線又は外周縁と、本体部117aとの距離である。
【0036】
図8及び図9に示した一態様では、正極バスバー116の本体部116aと、負極バスバー117の本体部117aとは、回路基板115の実装面と平行な同一平面上に平行に延設される。
したがって、本体部116aの投影領域と本体部117aの投影領域との間の中央に、インダクタ部品118a,118bを配置することで、インダクタ部品118a,118bから正極バスバー116の本体部116aまでの距離L1と、インダクタ部品118a,118bから負極バスバー117の本体部117aまでの距離L2とが同一になる。
【0037】
そして、距離L1と距離L2とが同一であれば、磁気カップリングバランスが保持され、コモンモードノイズの発生が抑止される。
つまり、距離L1と距離L2とが同一であるとは、距離L1と距離L2との差が、コモンモードノイズの発生が十分に抑止できる程度に小さいことを意味する。
【0038】
但し、正極バスバー116の本体部116aと、負極バスバー117の本体部117aとが、回路基板115の実装面と平行な同一平面上に延設される構造に限定されるものではない。
図10は、負極バスバー117の本体部117aが、正極バスバー116の本体部116aに比べて、回路基板115の実装面からより遠い(高い)位置に配置される場合を例示する。
【0039】
つまり、負極バスバー117の本体部117aと回路基板115の実装面との距離が、正極バスバー116の本体部116aと回路基板115の実装面との距離よりも長くなるように、負極バスバー117の本体部117aと正極バスバー116の本体部116aとが段違いに配置されている。
この場合、インダクタ部品118a,118bを本体部116aの投影領域と本体部117aの投影領域との間の中央に配置すると、距離L1と距離L2とに差が生じ、コモンモードノイズの発生を十分に抑止することができない。
【0040】
そこで、インダクタ部品118a,118bの位置を、本体部116aの投影領域と本体部117aの投影領域との間の中央からずらし、距離L1と距離L2とが同じになるようにする。
図10に示した態様では、負極バスバー117の本体部117aの位置が正極バスバー116の本体部116aよりも高いので、インダクタ部品118a,118bの位置を、本体部116aの投影領域と本体部117aの投影領域との間の中央から本体部117a寄りにずらすことで、距離L1と距離L2とを同じにする。
つまり、正極バスバー116の本体部116a及び負極バスバー117の本体部117aが、回路基板115の実装面から同じ高さに配置されるものに限定されず、高さが異なる場合であっても、距離L1と距離L2とを同じに設定してコモンモードノイズを低減することができる。
【0041】
また、図4に示した電子制御部9は、正極バスバー116と負極バスバー117とを一対だけ備えるが、主電子制御部に電源供給するための一対のバスバーと、副電子制御部に電源供給するための一対のバスバーとを個別に備えることができる。
図11は、主電子制御部に電源供給するための一対のバスバーと、副電子制御部に電源供給するための一対のバスバーとを備えた電子制御部9における、バスバー形状の一態様を示す。
【0042】
図11に示す電子制御部9は、コネクタブロック13が、主電子制御部用の電力供給用コネクタ13A1と副電子制御部用の電力供給用コネクタ13A2とを備える。
そして、電力供給用コネクタ13A1から回路基板115の主電子制御部に電源供給するための正極バスバー116A及び負極バスバー117Aと、電力供給用コネクタ13A2から回路基板115の副電子制御部に電源供給するための正極バスバー116B及び負極バスバー117Bとが設けられている。
【0043】
図12は正極バスバー116Aの斜視図、図13は負極バスバー117Aの斜視図、図14は正極バスバー116Bの斜視図、図15は負極バスバー117Bの斜視図である。
各バスバー116A,117A,116B,117Bは、回路基板115の実装面と平行に延びる本体部116Aa,117Aa,116Ba,117Baを有する。
そして、本体部116Aa,117Aa,116Ba,117Baは、主電子制御部と副電子制御部とのそれぞれで、正極側と負極側とが相互に平行になるように配される。
【0044】
ここで、相互に平行に並ぶ正極側の本体部と負極側の本体部との間に、正極側の本体部116Aa,116Baとインダクタ部品との距離L1と、負極側の本体部117Aa,117Baとインダクタ部品との距離L2とが同一距離になるように、インダクタ部品を配置する。
この場合も、磁気カップリングバランスが保持され、コモンモードノイズの発生を抑止することができる。
【0045】
上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【0046】
たとえば、上記実施形態の電子制御部9(制御装置)は、モータ部8と一体化され、モータ部8のモータを制御するが、モータ部8と別体に構成されるものであってもよく、また、制御対象を、電動パワーステアリングにおいて操舵力を発生するモータに限定するものでもない。
また、配線部としてのバスバー(bus bar)は、板材を加工した導体に限定されず、丸棒を加工した導体をバスバーとして使用することができる。
また、コネクタブロック13において、コネクタをカバー12の外周面に設けることができ、さらに、コネクタの抜き差し方向は、回路基板115の実装面に直交する方向と、回路基板115の実装面に平行する方向とのいずれであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
9…電子制御部(制御装置)、13…コネクタブロック、13A…電力供給用コネクタ(電源コネクタ)、115…回路基板、116…正極バスバー(正極配線部)、117…負極バスバー(負極配線部)、118a,118b…インダクタ部品
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